JP4410360B2 - オイル付着物用オイル除去シート、オイル付着物用オイル除去材及びオイル付着物用オイル除去装置 - Google Patents

オイル付着物用オイル除去シート、オイル付着物用オイル除去材及びオイル付着物用オイル除去装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオイル付着物用オイル除去シート、オイル付着物用オイル除去材及びオイル付着物用オイル除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置においては、定着ロールと加圧ロールとの間に未定着トナー像を担持した複写シート(例えば、紙、フィルムなど)を供給し、熱及び圧力の作用により複写シート表面にトナーを定着させていた。そのため、定着ロール及び/又は加圧ロール表面にトナーが転写され、その転写されたトナーが複写シートの後端部又は次に通過する複写シートに再度転写されて、複写シートを汚す(いわゆるオフセット)という問題があった。そのため、定着ロール表面にオイルを塗布することにより定着ロール表面からのトナーの離型性を高めたうえで、クリーニングシートによってトナーを払拭していた。
【0003】
このトナーの定着について、定着部における模式的断面図である図1をもとに説明すると、まず、定着ロール1と加圧ロール2との間に、未定着トナー像3aを担持した複写シート3が供給される。そして、この複写シート3が定着ロール1と加圧ロール2との間を通過する際に、熱と圧力の作用により未定着トナー3aが複写シート3に定着され、その後複写シート3が排出される。
他方、定着ロール1にはトナーの離型性を高めるために、複写シート3と接触する前の段階で、オイル塗布装置4からオイル4aが塗布される。次いで、定着ロール1は未定着トナー3aを複写シート3に定着させた後、定着されないで残留したトナーがクリーニングシート5によって払拭される。
【0004】
このようにして複写シート3に未定着トナー3aが定着されるため、複写シート3にはトナー以外に定着ロールに塗布されたオイルも転写される。そのため、複写シート3が紙からなり、トナーが定着されていない部分を有する場合には、トナーが定着されていない部分によってオイルが吸収されるため、大きな問題は発生しない。しかしながら、複写シートの表面全体にトナーを定着させる場合(例えば、カラーコピー機により写真を複写する場合など)や、複写シートがフィルムの場合、前者はトナーがオイルを吸収せず、後者は複写シートがオイルを吸収しないため、オイルは定着したトナー上に残留したままの状態となり、複写された画像品位が低下するという問題があった。
特に、オイル塗布装置4によるオイルの塗布は、クリーニングシート5により定着ロール表面を払拭した後に行われるが、従来から使用しているクリーニングシート5は表面が粗かったり、繊維の分散性が悪かったり、或いは繊維が毛羽立ちやすい傾向があったため、トナーが払拭されると同時にクリーニングシート5によりオイルが不均一に払拭され、定着ロール表面に残留するオイルの厚さが不均一(図2(a)参照)になる傾向があった。そのため、オイル塗布装置4によって均一にオイルが塗布されたとしても、定着ロール表面におけるオイルの厚さの不均一さを助長(図2(b)参照)してしまい、その結果、複写シートに定着されたトナー上にオイルが不均一に転写され、画像品位を著しく低下させていた。
【0005】
そのため、クリーニングシート5の定着ロール1への押圧力を高くすることにより、オイルを均一に払拭しようと試みられたが、クリーニングシート5を強く押し付けるがゆえに定着ロールに傷をつけやすく、定着ロール1の寿命が短くなるという問題や、クリーニングシート5と定着ロール1との摩擦が大きくなることによって機械的振動を引き起こすなどの弊害があった。
また、オイル塗布装置4から定着ロール1へ塗布するオイルの量を少なくするという試みもなされているが、オイルの量を少なくすることによりトナーの離型性が悪くなり、オフセットが発生しやすいという問題があった。
更には、クリーニングシート5を定着ロール1と直接接触させるのではなく、定着ロール表面の残留トナーを転写することのできる転写ロールを設置して、この転写ロールにクリーニングシート5を接触させて残留トナー及びオイルを除去するという試みもなされているが、複写シート上のオイル筋を完全に解消することができていないのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、上記定着ロールのようなオイル付着物のオイルを均一に払拭して除去することのできるオイル除去シート、オイル付着物用オイル除去材及びオイル付着物用オイル除去装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のオイル付着物用オイル除去シート(以下、「オイル除去シート」という)は、オイルを除去すべきオイル付着物と接触しても溶融しない耐熱性繊維であるポリエステル系繊維とポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートからなる結合性繊維を含む繊維ウエブAと、耐熱性繊維である芳香族ポリアミド繊維とポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートからなる結合性繊維を含む繊維ウエブBとを積層した繊維ウエブを加熱加圧して製造した、前記結合性繊維が前記耐熱性繊維同士を結合する結合樹脂となった繊維シートからなり、前記繊維シートの断面において、オイル付着物と接触する一方の表面(A)から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域(領域A)に存在している結合樹脂は、主として繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合しており、しかも前記領域Aに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材である耐熱性繊維のポリエステル系繊維の占める面積の、前記領域Aに存在している繊維シート構成材全体の占める面積に対する平均面積比率が25%以下であり、かつ前記繊維シートの断面において、他方の表面(B)から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域(領域B)に存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材である耐熱性繊維の芳香族ポリアミド繊維の占める面積の、前記領域Bに存在している繊維シート構成材全体の占める面積に対する平均面積比率が25%を越えており、前記領域Aに存在している耐熱性繊維のポリエステル系繊維の平均繊維径が11μm以下であり、前記表面(A)における下記に定義する平均表面粗さ(Ra)が3μm以下であり、かつ前記表面(B)における下記に定義する平均表面粗さ(Rb)が3μmを越えるものである。

平均表面粗さ(Ra、Rb)は表面試験機(KES−FB4、カトーテック社製)を使用し、次の条件で測定した表面粗さの平均値をいう。
(1)標準加圧力(P):10gf
(2)接触子:直径0.5mmの鋼製ワイヤーを曲げて接触長さ5mmとしたもの
(3)垂直変位感度:SENS 2×5:10V/0.4mm
(4)記録計感度:X軸−0.1V/cm、Y軸−0.5V/cm
(5)接触子移動速度:1mm/sec
(6)接触子の移動方向:繊維シートの幅方向(繊維シートの長さ方向と直交する方向)
(7)試料張力:20gf/cm
(8)試料の大きさ:20×20cm
(9)測定回数:10回
このように領域Aに存在している結合樹脂は偏平な状態で結合しており、しかも領域Aに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材である耐熱性繊維のポリエステル系繊維の占める面積の、領域Aに存在している繊維シート構成材全体の占める面積に対する平均面積比率が25%以下、つまり結合樹脂が75%以上を占めているため、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)は非常に平滑である。そのため、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができる。また、領域Bに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材である耐熱性繊維の芳香族ポリアミド繊維の占める面積の、領域Bに存在している繊維シート構成材全体の占める面積に対する平均面積比率が25%を越えている、つまり結合樹脂が75%未満を占めており、領域Bは領域Aよりも粗い構造を有しているため、この領域Bによって除去したオイルを大量に保持することができる。なお、前記領域Aに存在している耐熱性繊維のポリエステル系繊維の平均繊維径が11μm以下であり、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)が更に平滑であるため、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを更に均一に払拭し、除去することができる。
【0008】
また、本発明のオイル除去シートは、前記繊維シートの一方の表面(A)における下記に定義する平均表面粗さ(Ra)が3μm以下であり、かつ前記繊維シートの他方の表面(B)における下記に定義する平均表面粗さ(Rb)が3μmを越えるものである。このように、平均表面粗さ(Ra)が3μm以下の繊維シート表面(A)は非常に平滑であるため、この繊維シート表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができる。また、平均表面粗さ(Rb)が3μmを越える繊維シート表面(B)は繊維シート表面(A)よりも粗い構造を有しているため、この繊維シート表面(B)の近傍において、除去したオイルを大量に保持することができる。

平均表面粗さ(Ra、Rb)は表面試験機(KES−FB4、カトーテック社製)を使用し、次の条件で測定した表面粗さの平均値をいう。
(1)標準加圧力(P):10gf
(2)接触子:直径0.5mmの鋼製ワイヤーを曲げて接触長さ5mmとしたもの
(3)垂直変位感度:SENS 2×5:10V/0.4mm
(4)記録計感度:X軸−0.1V/cm、Y軸−0.5V/cm
(5)接触子移動速度:1mm/sec
(6)接触子の移動方向:繊維シートの幅方向(繊維シートの長さ方向と直交する方向)
(7)試料張力:20gf/cm
(8)試料の大きさ:20×20cm
(9)測定回数:10回
【0009】
本発明のオイル付着物用オイル除去材(以下、「オイル除去材」という)は、前述のようなオイル除去シートの一端がシャフトに巻回されており、このオイル除去シートの他端が別のシャフトに固定されたものである。このオイル除去材はオイル除去シートの常に新しい面をオイル付着物表面と接触させることができるため、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができると同時に、除去したオイルを大量に保持することができる。
【0010】
本発明のオイル付着物用オイル除去装置(以下、「オイル除去装置」という)は、前述のオイル除去材からオイル除去シートを巻き出し、巻き出したオイル除去シートの表面(A)がオイル付着物と接触するように、押圧手段によりオイル付着物に押圧した後、押圧したオイル除去シートを巻き取る機構を有するものである。このオイル除去装置はオイル除去シートの常に新しい面をオイル付着物表面と接触させることができるため、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができると同時に、除去したオイルを大量に保持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のオイル除去シートを構成する繊維シートとしては、例えば、織物、編物、不織布、或いはこれらの複合体であることができる。これらの中でも、繊維がランダムに配置することができるため表面の平滑性に優れる不織布からなるのが好ましい。
【0012】
本発明の繊維シートはオイルを除去すべきオイル付着物と接触しても溶融しない耐熱性繊維と、この耐熱性繊維同士を結合している結合樹脂とを含んでいる。
この耐熱性繊維はオイル除去シートがオイル付着物と接触しても破断することがないように含まれており、オイル付着物と接触しても溶融しない繊維である。
例えば、オイルを除去すべきオイル付着物が電子写真装置の定着ロールである場合には、定着ロールの表面温度が170〜230℃程度であるため、融点が240℃以上であるか、炭化温度が280℃以上の繊維を耐熱性繊維として用いることができる。
また、オイルを除去すべきオイル付着物が電子写真装置の加圧ロールである場合には、加圧ロールの表面温度が100〜180℃程度であるため、融点が190℃以上であるか、炭化温度が230℃以上の繊維を耐熱性繊維として用いることができる。
更に、オイルを除去すべきオイル付着物が電子写真装置の転写ロールである場合には、転写ロールの表面温度が140〜200℃程度であるため、融点が210℃以上であるか、炭化温度が250℃以上の繊維を耐熱性繊維として用いることができる。
本発明における「融点」は示差熱量計を用い、昇温温度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。また、「炭化温度」はJIS K 7120に規定されている熱重量測定により得られる温度をいう。
より具体的には、1つのグループの耐熱性繊維(以下、「第1耐熱性繊維」ということがある)として、融点又は炭化温度が300℃を越える、メタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、芳香族ポリエーテルアミド繊維、ポリベンツイミダゾール繊維、芳香族ポリエステル繊維などを挙げることができる。これら第1耐熱性繊維は1種類又は2種類以上適宜組み合わせて使用することができる。これらの中でも芳香族ポリアミド繊維は高温においても収縮しにくく、繊維シートに皺を発生させにくい結果として、オイル除去シート表面の平滑性を維持しやすいため好適に使用できる。
このような第1耐熱性繊維は、オイル除去シートがオイル付着物と接触しても破断することがないように、繊維シート中、10mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましい。なお、後述の結合樹脂との関係から、繊維シート中、60mass%以下含まれているのが好ましい。
2つめのグループの耐熱性繊維(以下、「第2耐熱性繊維」ということがある)として、軟化温度が300℃以下でしかもオイル付着物の熱によって溶融はしないものの軟化する繊維を挙げることができる。このような第2耐熱性繊維はオイル付着物と接触した際にオイル付着物の表面に沿って変形し、オイル除去シートの平滑性を更に向上させることができる。また、第2耐熱性繊維の変形によって、オイル除去シートとオイル付着物との接触面積が広くなり、オイル除去シートのオイル付着物への押圧力を低くすることができるため、オイル付着物を損傷しにくくなる、という効果も奏する。
この「軟化温度」とは、JIS K 7121に規定されている熱流束示差走差熱量測定(DSC、昇温温度10℃/分)により得られるDSC曲線における融解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
この第2耐熱性繊維として、例えば、6ナイロン繊維や66ナイロン繊維などのポリアミド系繊維、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維や延伸ポリブチレンテレフタレート繊維などのポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ビニロン系繊維、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維などを挙げることができる。この第2耐熱性繊維は1種類、又は2種類以上適宜組み合わせて使用することができる。また、第1耐熱性繊維と第2耐熱性繊維とを併用しても良い。これら第2耐熱性繊維の中でも、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維が好適である。特に、オイル付着物が電子写真装置の定着ロール、加圧ロール或いは転写ロールのような高温になる物の場合には、融点が255℃程度と高く、しかもオイル付着物設置箇所の雰囲気温度では軟化及び溶融しない延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を好適に使用できる。
このような第2耐熱性繊維は繊維シート中、0〜30mass%含まれているのが好ましく、2〜20mass%含まれているのがより好ましい。
なお、第1耐熱性繊維及び第2耐熱性繊維の平均繊維径が大き過ぎると、オイル除去シートの表面を平滑にすることが困難になるので、第1耐熱性繊維と第2耐熱性繊維の各々の平均繊維径が14μm以下であるのが好ましく、12.5μm以下であるのがより好ましい。下限は特に限定するものではないが、5μm程度が適当である。
また、第1耐熱性繊維と第2耐熱性繊維の全体の平均繊維径も14μm以下であるのが好ましく、12.5μm以下であるのがより好ましく、11.5μm以下であるのが更に好ましい。下限は特に限定するものではないが、5μm程度が適当である。
本発明における「繊維径」は、繊維の断面形状が円形である場合にはその直径をいい、繊維の断面形状が非円形である場合にはその断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。また、「平均繊維径」は無作為に選んだ100本の繊維の繊維径の平均値をいう。
本発明のオイル除去シートを構成する耐熱性繊維(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維など)の断面形状は円形である必要はなく、多角形状(例えば、三角形、四角形など)やアルファベット形状(例えば、Y形状、X形状など)などの非円形であっても良い。なお、耐熱性繊維(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維など)の断面形状が偏平形状であると、オイル除去シートは平滑性がより優れている。
【0013】
本発明のオイル除去シートを構成する繊維シートは、上述のような耐熱性繊維同士が結合樹脂によって結合されていることによって、繊維シート形状を維持していると同時にオイル除去シート表面における平滑性に優れている。
この結合樹脂は耐熱性繊維同士を結合できるものであれば特に限定されるものではないが、オイル付着物が電子写真装置の定着ロール、加圧ロール或いは転写ロールであるように高温になる物の場合には、耐熱性のある結合樹脂からなるのが好ましい。
このような耐熱性のある結合樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、6ナイロンや66ナイロンなどのナイロンなどを挙げることができる。この結合樹脂は1種類又は2種類以上適宜組み合わせることができる。これらの中でもポリエチレンテレフタレートは高温にさらされても結合力が低下しないため好適に使用できる。
この結合樹脂は繊維シート表面を平滑にしやすいように、繊維シート中、50mass%以上含まれているのが好ましく、55mass%以上含まれているのがより好ましく、60mass%以上含まれているのが最も好ましい。また、耐熱性繊維(例えば、第1耐熱性繊維及び/第2耐熱性繊維)を混合するのが好ましいため、結合樹脂は繊維シート中、95mass%以下であるのが好ましく、90mass%以下であるのがより好ましく、80mass%以下であるのが最も好ましい。
【0014】
本発明のオイル除去シートは前述のような繊維からなる繊維シートから構成されており、この繊維シートはその断面において、一方の表面(A)から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域(領域A)に存在している結合樹脂は、主として繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合しており、しかも前記領域Aに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材の占める、前記領域Aに存在している繊維シート構成材全体に対する平均面積比率が25%以下であり、かつ前記繊維シートの断面において、他方の表面(B)から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域(領域B)に存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材の占める、前記領域Bに存在している繊維シート構成材全体に対する平均面積比率が25%を越えた状態にある。
このように領域Aに存在する結合樹脂は偏平な状態で結合しており、しかも領域Aに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材の占める、領域Aに存在している繊維シート構成材全体に対する平均面積比率が25%以下、つまり結合樹脂が75%以上を占めているため、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)は非常に平滑である。そのため、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができる。
また、領域Bに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材の占める、領域Bに存在している繊維シート構成材全体に対する平均面積比率が25%を越えている、つまり結合樹脂が75%未満を占めており、領域Bは領域Aよりも粗い構造を有しているため、この領域Bによって除去したオイルを大量に保持することができる。
このような繊維シートの断面は、例えば電子顕微鏡写真から容易に確認することができる。
この一方の表面(A)及び他方の表面(B)は、繊維シートの両方の表面から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでのそれぞれの領域に存在している、結合樹脂以外の繊維シート構成材の占める、各領域に存在している繊維シート構成材全体に対する平均面積比率を導き出し、その結果として平均面積比率が25%以下である領域に含まれる表面を表面(A)とし、平均面積比率が25%を越えている領域に含まれる表面を表面(B)とする。
なお、「表面」とは繊維シート上に、1cm2あたり1gの平板を積層した時に、前記平板の繊維シート側表面と一致する仮想表面を繊維シートの表面とみなす。また、繊維シートの「厚さ方向」とは、繊維シートの表面と直交する方向をいう。
前述のような領域Aに存在している結合樹脂は、主として繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合している、つまり結合樹脂は繊維シート表面と平行であるような偏平な状態で結合しているため、表面(A)は非常に平滑である。
なお、「結合樹脂の繊維シートの厚さ方向における長さ」は、繊維シートの厚さ方向と平行かつ最も長い長さをいい、「結合樹脂の繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さ」は、繊維シートの厚さ方向に直交する方向(繊維シートの表面と平行方向)と平行かつ最も長い長さをいう。
本発明の繊維シートの領域Aに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材(例えば、第1耐熱性繊維及び/又は第2耐熱性繊維など)の占める、前記領域Aに存在している繊維シート構成材全体(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維、結合樹脂など)に対する平均面積比率が25%以下である、つまり前述のような偏平な状態の結合樹脂が75%以上の平均面積比率を有するため、繊維シートの表面(A)は非常に平滑である。
なお、平均面積比率は10箇所における繊維シート断面各々から次の式により算出される面積比率の平均値をいい、この平均面積比率が低ければ低いほど繊維シートの表面(A)は平滑であるため、平均面積比率は20%以下であるのが好ましく、15%以下であるのがより好ましく、10%以下であるのが更に好ましい。
面積比率(%)=(K/T)×100
ここで、「K」は繊維シート断面における各領域に存在する結合樹脂以外の繊維シート構成材の占める面積を意味し、「T」は繊維シート断面における各領域に存在する繊維シート構成材全体の占める面積を意味する。
なお、領域Aに存在している繊維(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維など)の平均繊維径が11μm以下(より好ましくは10μm以下、5μm以上程度)であると、領域Aに含まれている繊維シートの表面Aの平滑性が更に向上するため好適である。なお、領域Aに存在している個々の繊維の平均繊維径も11μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがより好ましく、9μm以下であるのが最も好ましい。また、下限は5μm以上程度であるのが適当である。
本発明の繊維シートの領域Bに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材(例えば、第1耐熱性繊維及び/又は第2耐熱性繊維など)の占める、領域Bに存在している繊維シート構成材全体(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維、結合樹脂など)に対する平均面積比率が25%を越えている、つまり領域Bは前述のような領域Aよりも粗い構造を有しているため、繊維シートの表面(B)を含む領域Bによって除去したオイルを大量に保持することができる。
なお、平均面積比率は領域Aの場合と同様にして導き出される値であり、この平均面積比率が高ければ高いほど粗い構造となり、オイルの保持性がより優れているため、領域Bにおける平均面積比率は30%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのが最も好ましい。他方、適度な強度保持のために結合樹脂が必要であるため、80%以下であるのが好ましく、70%以下であるのがより好ましい。
領域Bに存在している繊維(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維など)の平均繊維径はオイルを保持しやすいように、15μm以下であるのが好ましい。
また、領域Bに存在している個々の繊維(例えば、第1耐熱性繊維、第2耐熱性繊維など)の平均繊維径はいずれも15μm以下であるのが好ましい。
なお、領域Aと領域Bとの面積比率の差は25%以上であるのが好ましく、35%以上であるのがより好ましく、40%以上であるのが更に好ましい。
【0015】
本発明の別のオイル除去シートは前述のような繊維からなる繊維シートから構成されており、繊維シートの一方の表面(A)における平均表面粗さ(Ra)が3μm以下であり、かつ繊維シートの他方の表面(B)における平均表面粗さ(Rb)が3μmを越えるものである。
このように、平均表面粗さ(Ra)が3μm以下の繊維シート表面(A)は非常に平滑であるため、この繊維シート表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができる。
また、平均表面粗さ(Rb)が3μmを越える繊維シート表面(B)は繊維シート表面(A)よりも粗い構造を有しているため、この繊維シート表面(B)の近傍において、除去したオイルを大量に保持することができる。
この一方の表面(A)及び他方の表面(B)は、繊維シートの両表面における平均表面粗さを測定し、その結果として平均表面粗さが3μm以下である表面を表面(A)とし、平均表面粗さが3μmを越えている表面を表面(B)とする。
この平均表面粗さ(Ra、Rb)は表面試験機(KES−FB4、カトーテック社製)を使用し、次の条件にて測定される表面粗さの平均値をいう。
(1)標準加圧力(P):10gf
(2)接触子:直径0.5mmの鋼製ワイヤーを曲げて接触長さ5mmとしたもの
(3)垂直変位感度:SENS 2×5:10V/0.4mm
(4)記録計感度:X軸−0.1V/cm、Y軸−0.5V/cm
(5)接触子移動速度:1mm/sec
(6)接触子の移動方向:繊維シートの幅方向(繊維シートの長さ方向と直交する方向)
(7)試料張力:20gf/cm
(8)試料の大きさ:20×20cm
(9)測定回数:10回
なお、表面(A)における平均表面粗さ(Ra)は2.5μm以下であるのが好ましく、2μm以下であるのがより好ましい。また、表面(B)における平均表面粗さ(Rb)は3.3μm以上であるのが好ましく、3.5μm以上であるのがより好ましい。なお、表面(B)における平均表面粗さ(Rb)の上限は5μm程度が適当である。
【0016】
本発明のオイル除去シートを構成する繊維シートの面密度や厚さは特に限定するものではないが、面密度は20〜60g/m2、厚さは40〜120μm(より好ましくは50〜100μm)程度であるのが好ましい。
なお、オイル除去シート(繊維シート)の見掛密度は0.5〜0.8g/cm3であるのが好ましい。オイル除去シート(繊維シート)の見掛密度が0.5g/cm3未満であると、平滑性が悪くなる傾向があり、0.8g/cm3を越えると、オイルを保持できる空間が小さくなりオイル保持能が低下する傾向があるためで、0.55〜0.75g/cm3であるのがより好ましく、0.6〜0.75g/cm3であるのが更に好ましい。
このオイル除去シート(繊維シート)の厚さは、マイクロメーター(JIS B 7502:測定面積φ6.3)を用いて測定した値をいう。
【0017】
本発明のオイル除去シートを構成する繊維シートの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば不織布からなるオイル除去シートは次のようにして製造することができる。
まず、耐熱性繊維(例えば、第1耐熱性繊維及び/又は第2耐熱性繊維など)と、結合樹脂のもととなる材料、例えば、結合性繊維、結合樹脂パウダー、結合樹脂エマルジョン又はラテックス、結合樹脂フィルム、結合樹脂板の中から選ばれる少なくとも1種類を用意する。これらの中でも結合樹脂のもととなる材料が結合性繊維からなるのが好ましい。
この結合性繊維としては、例えば、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維、未延伸ポリブチレンテレフタレート繊維、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維などを挙げることができる。オイル付着物が電子写真装置の定着ロール、加圧ロール或いは転写ロールなどの高温の物である場合、オイル付着物と接触しても結合力が低下せず、結合する際の温度が比較的低温で、しかも結合温度範囲が広く結合しやすい、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を使用するのが好ましい。
この結合性繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、結合性繊維の分散性及び繊維シートの平滑性に優れるように、27μm以下であるのが好ましく、25μm以下であるのがより好ましく、23μm以下であるのが更に好ましい。なお、下限は特に限定するものではないが、10μm程度が適当である。
1つのオイル除去シートの製造方法は、耐熱性繊維(例えば、第1耐熱性繊維及び/又は第2耐熱性繊維など)を含む繊維ウエブを形成した後に、繊維ウエブの片面をより多くの結合樹脂パウダーで結合したり、繊維ウエブの片面をより多くの結合樹脂エマルジョン又はラテックスで結合したり、或いは繊維ウエブの片面をより多くの結合樹脂フィルム又は結合樹脂板で結合して、前述のような繊維シート、つまりオイル除去シートを製造することができる。
別のオイル除去シートの製造方法は、少なくとも結合性繊維を含む繊維ウエブAと、耐熱性繊維(例えば、第1耐熱性繊維及び/又は第2耐熱性繊維など)と結合性繊維を含む繊維ウエブBとを形成し、これら繊維ウエブAと繊維ウエブBとを積層した後に結合性繊維によって結合して、前述のような繊維シート、つまりオイル除去シートを製造することができる。この場合、繊維ウエブAにおける結合性繊維の量が繊維ウエブA中、75mass%以上であると、本発明のオイル除去シートの表面(A)を形成しやすく、80mass%以上であるのが好ましく、85mass%以上であるのがより好ましい。他方、繊維ウエブBにおける結合性繊維の量が繊維ウエブB中、30〜60mass%であると、本発明のオイル除去シートの表面(B)を形成しやすく、35〜55mass%であるのが好ましく、40〜50mass%であるのがより好ましい。
本発明の繊維ウエブの形成方法としては、例えば、カード法、エアレイ法などの乾式法や湿式法などがある。なお、カード法により繊維ウエブの長さ方向に繊維を配向させると、オイル除去シートの長さ方向における強度を強くすることができ、オイル除去シート使用中に破断しにくいため好適である。
なお、いずれの製造方法により製造する場合も、繊維シート表面(A)の平滑性に優れるように、結合時或いは結合後に、繊維ウエブを全面的に加圧するのが好ましい。このように全面的に加圧することによって、結合樹脂が偏平な状態となりやすい。また、オイル付着物が高温であっても、オイル除去シートはオイル付着物との接触によって収縮せず、平滑性を損なわないという効果も奏する。
例えば、後者のように繊維ウエブAと繊維ウエブBとを積層した後に結合性繊維で結合する場合、例えば、積層した繊維ウエブを熱カレンダーにより加熱加圧したり、平板プレス機により加熱加圧して結合するのが好ましい。前者の熱カレンダーにより好適な結合性繊維である未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を結合させる場合、平滑かつ強固に結合し、しかも厚さを調整できるように、温度170〜250℃、線圧100〜1000N/cmで実施するのが好ましく、温度190〜230℃、線圧300〜700N/cmで実施するのがより好ましい。
なお、結合性繊維により結合する場合、水流などの流体流によって絡合させた後に結合性繊維により結合させると、繊維同士の接触点が多い状態で結合性繊維が結合することになり、引張り強度を向上させることができたり、毛羽立ちを抑えることができたり、平滑性を向上させることができるため好適である。
【0018】
本発明のオイル除去材は、上述のようなオイル除去シートの一端がシャフト(巻き出しシャフト)に巻回されており、このオイル除去シートの他端が別のシャフト(巻き取りシャフト)に固定されたものである。このオイル除去材は巻き出しシャフトから順次オイル除去シートを巻き出すことによって、常に新しいオイル除去シートをオイル付着物と接触させることができるため、常にオイルの厚さが均一であるようにオイルを除去することができる。
オイル除去シートのシャフトへの固定方法としては、例えば、(1)両面テープによる固定、(2)ホットメルト樹脂などの融着樹脂による固定、(3)シャフトが熱可塑性樹脂からなる場合には、シャフトを熱融着させることによる固定、(4)シャフトにピンなどを設置し、オイル除去シートを差し込むことによる固定、(5)シャフトに溝を形成し、その溝にオイル除去シートを差し込むことによる固定、などがある。なお、上記(1)〜(3)の方法により固定する場合には、シャフトに対して全面的に固定しても良いし、部分的に固定しても良い。また、巻き出しシャフト側においては、オイル除去シートをシャフトに必ず固定する必要はなく、シャフトに単に巻き込むだけでも良い。
【0019】
本発明のオイル除去装置は、上述のオイル除去材からオイル除去シートを巻き出し、巻き出したオイル除去シートを押圧手段によりオイル付着物に押圧した後、押圧したオイル除去シートを巻き取る機構を有するものである。このオイル除去装置は巻き出しシャフトから順次オイル除去シートを巻き出すことによって、常に新しいオイル除去シートをオイル付着物と接触させることができるため、常にオイルの厚さが均一であるようにオイルを除去することができる。
本発明のオイル除去装置におけるオイル除去シートのオイル付着物への押圧手段としては、例えば、断面形状が円形状や多角形状(例えば、四角形、六角形など)の棒状体を使用することができる。これらの中でも、断面形状が円形状の棒状体であると、オイル除去シートをオイル付着物へ均一に押圧でき、均一にオイルを除去しやすいため好適である。本発明のオイル除去装置を電子写真装置などの定着ロール、加圧ロール或いは転写ロールのオイル除去に使用する場合、前記棒状体は弾性及び耐熱性に優れているのが好ましいため、例えば、発泡又は無発泡のシリコーンゴムなどからなるのが好ましい。なお、この棒状体によるオイル付着物への押圧力は、オイルの厚さが均一となるように除去できるように、棒状体のオイル付着物表面における作用幅(ニップ幅)が、2〜5mmであるような押圧力であるのが好ましい。また、棒状体はオイル除去シートの表面(A)がオイル付着物と接触するように押圧する。
【0020】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(結合性繊維、繊維径:22.6μm、繊維長:38mm、断面:円形)80mass%と、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(第2耐熱性繊維、軟化温度:240℃、繊維径:8.8μm、繊維長:38mm、断面:円形)20mass%とを混綿し、カード機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方向性繊維ウエブA(面密度:30g/m2)を形成した。
他方、メタ型芳香族ポリアミド繊維(第1耐熱性繊維、炭化温度:500℃、繊維径:12.4μm、繊維長:38mm、断面:円形)60mass%、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(結合性繊維、繊維径:22.6μm、繊維長:38mm、断面:円形)40mass%とを混綿し、カード機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方向性繊維ウエブB(面密度:30g/m2)を形成した。
次いで、この一方向性繊維ウエブAと一方向性繊維ウエブBとを積層した状態で、温度210℃に設定されたスチールロールとコットンロールとの間(線圧:490N/cm)を通過させて、全面的に未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維に由来するポリエチレンテレフタレートにより結合して、面密度60g/m2、厚さ100μm、見掛密度0.6g/cm3の不織布、つまりオイル除去シートを製造した。
このオイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真を観察したところ、領域Aに存在しているポリエチレンテレフタレート(結合樹脂)は、大部分が繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合した偏平な状態にあった。また、オイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真からA領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、約18%であった。なお、A領域に存在している繊維は延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(第2耐熱性繊維)のみであり、その平均繊維径は8.8μmであった。
他方、オイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真からB領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、約63%であった。なお、B領域に存在している繊維はメタ型芳香族ポリアミド繊維(第1耐熱性繊維)のみであり、その平均繊維径は12.4μmであった。
また、このオイル除去シートの一方の表面(A)における平均表面粗さ(N=10)は2.5μmであり、他方の表面(B)における平均表面粗さ(N=10)は3.7μmであった。
【0022】
(実施例2)
未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(結合性繊維、繊維径:22.6μm、繊維長:38mm、断面:円形)95mass%と、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(第2耐熱性繊維、軟化温度:240℃、繊維径:8.8μm、繊維長:38mm、断面:円形)5mass%とをカード機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方向性繊維ウエブA(面密度:30g/m2)を形成したこと以外は実施例1と全く同様にして、面密度60g/m2、厚さ100μm、見掛密度0.6g/cm3の不織布、つまりオイル除去シートを製造した。
このオイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真を観察したところ、領域Aに存在しているポリエチレンテレフタレート樹脂(結合樹脂)は、大部分が繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合した偏平な状態にあった。また、オイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真からA領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、約6%であった。なお、A領域に存在している繊維は延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(第2耐熱性繊維)のみであり、その平均繊維径は8.8μmであった。
他方、オイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真からB領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、約58%であった。なお、B領域に存在している繊維はメタ型芳香族ポリアミド繊維(第1耐熱性繊維)のみであり、その平均繊維径は12.4μmであった。
また、このオイル除去シートの一方の表面(A)における平均表面粗さ(N=10)は1.9μmであり、他方の表面(B)における平均表面粗さ(N=10)は3.3μmであった。
【0023】
(比較例1)
未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(結合性繊維、繊維径:22.6μm、繊維長:38mm、断面:円形)70mass%と、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(第2耐熱性繊維、軟化温度:240℃、繊維径:8.8μm、繊維長:38mm、断面:円形)30mass%とを混綿し、カード機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方向性繊維ウエブA(面密度:30g/m2)を形成したこと以外は実施例1と全く同様にして、面密度60g/m2、厚さ100μm、見掛密度0.6g/cm3の不織布、つまりオイル除去シートを製造した。
このオイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真を観察したところ、領域Aに存在しているポリエチレンテレフタレート樹脂(結合樹脂)は、大部分が繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合した偏平な状態にあった。また、オイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真からA領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、約29%であった。なお、A領域に存在している繊維は延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(第2耐熱性繊維)のみであり、その平均繊維径は8.8μmであった。
他方、オイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真からB領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、約61%であった。なお、B領域に存在している繊維はメタ型芳香族ポリアミド繊維(第1耐熱性繊維)のみであり、その平均繊維径は12.4μmであった。
また、このオイル除去シートの一方の表面(A)における平均表面粗さ(N=10)は3.1μmであり、他方の表面(B)における平均表面粗さ(N=10)は4μmであった。
【0024】
(比較例2)
未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(結合性繊維、繊維径:22.6μm、繊維長:38mm、断面:円形)40mass%と、メタ型芳香族ポリアミド繊維(第1耐熱性繊維、炭化温度:500℃、繊維径:12.4μm、繊維長:38mm、断面:円形)60mass%とを混綿し、カード機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方向性繊維ウエブ(面密度:60g/m2)を形成した。
次いで、この一方向性繊維ウエブのみを、温度210℃に設定されたスチールロールとコットンロールとの間(線圧:490N/cm)を通過させて、全面的に未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維に由来するポリエチレンテレフタレートにより結合して、面密度60g/m2、厚さ100μm、見掛密度0.6g/cm3の不織布、つまりオイル除去シートを製造した。
このオイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真から、一方の表面から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域における平均面積比率(N=10)、及び他方の表面から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、いずれの領域も約60%であった。
また、このオイル除去シートの一方の表面における平均表面粗さ(N=10)、他方の表面における平均表面粗さ(N=10)ともに4μmであった。
【0025】
(比較例3)
未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(結合性繊維、繊維径:22.6μm、繊維長:38mm、断面:円形)80mass%と、メタ型芳香族ポリアミド繊維(第1耐熱性繊維、炭化温度:500℃、繊維径:12.4μm、繊維長:38mm、断面:円形)20mass%とを混綿し、カード機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方向性繊維ウエブ(面密度:30g/m2)を形成した。
次いで、この一方向性繊維ウエブのみを、温度210℃に設定されたスチールロールとコットンロールとの間(線圧:490N/cm)を通過させて、全面的に未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維に由来するポリエチレンテレフタレートにより結合して、面密度30g/m2、厚さ50μm、見掛密度0.6g/cm3の不織布、つまりオイル除去シートを製造した。
このオイル除去シートの断面における電子顕微鏡写真から、一方の表面から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域における平均面積比率(N=10)、及び他方の表面から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域における平均面積比率(N=10)を測定したところ、いずれの領域も約20%であった。
また、このオイル除去シートの一方の表面における平均表面粗さ(N=10)、他方の表面における平均表面粗さ(N=10)ともに2.8μmであった。
【0026】
(オイル除去シートの評価)
(1)オイル除去性の評価;
表面がRTVシリコーンゴム(肉厚1mm)からなる定着ロールと、表面がRTVシリコーンゴム(肉厚2mm)からなる加圧ロールとからなり、いずれのロールにもヒータが内蔵された定着装置を備えたカラー複写機を用意した。
次いで、実施例1〜2及び比較例1〜3のオイル除去シートを、それぞれ定着ロールの回転方向とは反対方向に移動するように、かつオイル除去シートの表面(A)が定着ロールと接触するように供給(比較例2、3のオイル除去シートはいずれか一方の表面が定着ロールと接触するように供給)し、円柱状の発泡シリコーンゴムからなる押圧ロールにより、供給されたオイル除去シートを定着ロールに押圧(ニップ幅:3mm、押圧力:0.05kg/cm)できるように設定した。
そして、写真画像の複写をOHPフィルム(複写シート)に対して連続的に10枚実施した。次いで、その10枚目のOHPフィルムを投影機により投影し、OHPフィルム上のオイル筋を目視により観察した。この結果は表1に示す通りであった。
(2)オイル保持性の評価;
前記オイル除去性の評価に使用したカラー複写機(オイル除去シート設置済みのもの)を使用して、オイル除去シートを移動させない状態(固定した状態)で、OHPフィルム(複写シート)の複写を100枚実施した。次いで、100枚目のOHPフィルム上のオイル筋を目視により観察した。この結果は表1に示す通りであった。
【表1】
Figure 0004410360
#;◎・・オイル筋が全く観察されない
○・・オイル筋は観察されないが、若干のオイルムラがある
△・・薄いオイル筋が観察できる
×・・はっきりとオイル筋が観察できる
【0027】
実施例1と比較例1との結果から、領域Aにおける平均面積比率が25%以下、或いは表面(A)における平均表面粗さが3μm以下であると、オイル除去性及びオイル保持性に優れていることがわかった。
また、実施例1及び比較例3との結果から、領域Bにおける平均面積比率が25%を越えている、或いは表面(B)における平均表面粗さが3μmを越えていると、オイル除去性及びオイル保持性に優れていることがわかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明のオイル付着物用オイル除去シートの領域Aに含まれている繊維シート表面(A)は非常に平滑であるため、この表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができる。また、領域Bは領域Aよりも粗い構造を有しているため、この領域Bによって除去したオイルを大量に保持することができる。
なお、前記領域Aに存在している繊維の平均繊維径が11μm以下であると、領域Aに含まれている繊維シート表面(A)が更に平滑であるため、表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを更に均一に払拭し、除去することができる。
【0029】
本発明の別のオイル除去シートの表面(A)は非常に平滑であるため、この表面(A)をオイル付着物と接触させれば、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができる。また、繊維シート表面(B)は繊維シート表面(A)よりも粗い構造を有しているため、この繊維シート表面(B)の近傍において除去したオイルを大量に保持することができる。
【0030】
本発明のオイル付着物用オイル除去材はオイル除去シートの常に新しい面をオイル付着物表面と接触させることができるため、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができると同時に、除去したオイルを大量に保持することができる。
【0031】
本発明のオイル付着物用オイル除去装置はオイル除去シートの常に新しい面をオイル付着物表面と接触させることができるため、オイル付着物表面のオイルを均一に払拭し、除去することができると同時に、除去したオイルを大量に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 定着部における模式的断面図
【図2】(a) 従来のクリーニングシートにより払拭した後の、定着ロール表面におけるオイルの厚さを表す模式的拡大断面図
(b) 従来のオイル塗布装置によりオイルを塗布した後の、定着ロール表面におけるオイルの厚さを表す模式的拡大断面図
【符号の説明】
1 定着ロール
2 加圧ロール
3 複写シート
3a 未定着トナー
4 オイル塗布装置
4a オイル
5 クリーニングシート

Claims (3)

  1. オイルを除去すべきオイル付着物と接触しても溶融しない耐熱性繊維であるポリエステル系繊維とポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートからなる結合性繊維を含む繊維ウエブAと、耐熱性繊維である芳香族ポリアミド繊維とポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートからなる結合性繊維を含む繊維ウエブBとを積層した繊維ウエブを加熱加圧して製造した、前記結合性繊維が前記耐熱性繊維同士を結合する結合樹脂となった繊維シートからなり、
    前記繊維シートの断面において、オイル付着物と接触する一方の表面(A)から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域(領域A)に存在している結合樹脂は、主として繊維シートの厚さ方向における長さよりも繊維シートの厚さ方向に直交する方向における長さの方が長い状態で結合しており、しかも前記領域Aに存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材である耐熱性繊維のポリエステル系繊維の占める面積の、前記領域Aに存在している繊維シート構成材全体の占める面積に対する平均面積比率が25%以下であり、
    かつ前記繊維シートの断面において、他方の表面(B)から繊維シートの厚さ方向へ20μmまでの領域(領域B)に存在している結合樹脂以外の繊維シート構成材である耐熱性繊維の芳香族ポリアミド繊維の占める面積の、前記領域Bに存在している繊維シート構成材全体の占める面積に対する平均面積比率が25%を越えており、
    前記領域Aに存在している耐熱性繊維のポリエステル系繊維の平均繊維径が11μm以下であり、前記表面(A)における下記に定義する平均表面粗さ(Ra)が3μm以下であり、かつ前記表面(B)における下記に定義する平均表面粗さ(Rb)が3μmを越えることを特徴とする、オイル付着物用オイル除去シート。

    平均表面粗さ(Ra、Rb)は表面試験機(KES−FB4、カトーテック社製)を使用し、次の条件で測定した表面粗さの平均値をいう。
    (1)標準加圧力(P):10gf
    (2)接触子:直径0.5mmの鋼製ワイヤーを曲げて接触長さ5mmとしたもの
    (3)垂直変位感度:SENS 2×5:10V/0.4mm
    (4)記録計感度:X軸−0.1V/cm、Y軸−0.5V/cm
    (5)接触子移動速度:1mm/sec
    (6)接触子の移動方向:繊維シートの幅方向(繊維シートの長さ方向と直交する方向)
    (7)試料張力:20gf/cm
    (8)試料の大きさ:20×20cm
    (9)測定回数:10回
  2. 請求項1に記載のオイル付着物用オイル除去シートの一端がシャフトに巻回されており、このオイル付着物用オイル除去シートの他端が別のシャフトに固定されていることを特徴とするオイル付着物用オイル除去材。
  3. 請求項2に記載のオイル付着物用オイル除去材からオイル付着物用オイル除去シートを巻き出し、巻き出したオイル付着物用オイル除去シートの表面(A)がオイル付着物と接触するように、押圧手段によりオイル付着物に押圧した後、押圧したオイル付着物用オイル除去シートを巻き取る機構を有することを特徴とする、オイル付着物用オイル除去装置。
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