JP4413246B2 - 保水性コンクリートブロック及びその製造方法並びに舗装構造 - Google Patents

保水性コンクリートブロック及びその製造方法並びに舗装構造 Download PDF

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Description

本発明は、歩道、住宅地の車道、駐車場、広場、ビルの屋上等の地面に敷設して舗装され、また、駐車場の車止め、道路の分離帯や分離ブロック等としても使用できる保水性コンクリートブロックとその製造方法に関し、さらに該ブロックを用いた舗装構造に関するものである。
今日、環境問題が社会的関心となっている。環境問題の中には、都市部の気温が周辺部に比べて高くなるヒートアイランド現象や、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出により地球全体の気温が上昇する温暖化等がある。
このうち、ヒートアイランド現象の一因として、都市部においては、大部分の地面がアスファルトやコンクリートで覆われていることにある。アスファルトやコンクリートで覆われている地面は、雨水がほとんど保持されずに流出してしまい、水の気化熱による冷却作用が期待できないからである。
そこで、特許文献1記載のように、コンクリートに保水性を持たせるため、植物繊維をセメントに対し、5質量%以上(上限については記載なし)配合したものが提案されている。実施例としては、セメントに対し、綿を8.3〜8.6質量%配合したものが記載されている。
特開2002−173353号公報
一方、繊維業界においては、製造過程等で生じた羊毛屑や綿屑が大量に廃棄され、焼却処理が行われている。この処理には、多大なコストがかかる上に、これらを焼却することは、動植物等の天然由来の廃棄物であっても、固定されていた炭素を大気中に炭酸ガスとして放出することになる。
しかし、特許文献1記載の保水性コンクリートでは、綿等の植物繊維の配合量が少ないことから、十分な保水性がない上に、繊維業界において、大量に廃棄・焼却されている綿屑を十分に利用することができない。
そこで、本発明は、高い保水性により地面の温度を長時間にわたり下げることができ、また大量の羊毛、綿及び大鋸屑の有効な再利用先ともなり炭酸ガスの放出量の削減にも寄与でき、弾力性も備える保水性コンクリートブロックとこの保水性コンクリートブロックを用いた舗装構造を提供することを目的とする。
A.本発明の保水性コンクリートブロック
本発明の保水性コンクリートブロックは、セメント100質量部に対し、砂礫100〜400質量部と、充填材としての、15〜40mmの長さに切断された羊毛糸10〜23質量部、15〜40mmの長さに切断された綿糸5〜12質量部及び大鋸屑10〜20質量部の三種の組合せと、水とを含む均一に混合された攪拌混合物が固化してなり、保水可能な多孔質であるとともに弾力性を備えることを特徴とするものである。
多孔には、保水性コンクリートブロックの製造中(主に攪拌中)に混入した空気による微孔や糸等の充填材間の空隙等が含まれる。
B.本発明の保水性コンクリートブロック製造方法
本発明の保水性コンクリートブロック製造方法は、混合機に、セメント100質量部に対し、砂礫100〜400質量部及び水150〜500質量部の混合物に大鋸屑10〜20質量部を入れて攪拌し、均一に混合した後、前記混合機に、15〜40mmの長さに切断された羊毛糸10〜23質量部及び15〜40mmの長さに切断された綿糸5〜12質量部を投入し攪拌し、均一に混合した後、均一に混合された攪拌混合物を固化させることを特徴とする。
ここで、セメントと砂礫と大鋸屑と水とを攪拌した後に、羊毛糸及び綿糸を投入して攪拌するという二段階の手順をとるのは、最もこれらが均一に混合しやすい方法だからである。仮に、これら全てを一度に合わせて攪拌すると、充填材(特に糸)の添加量が格段に多いため、長時間かけてもなかなか混合しない。また、一段階目の攪拌の速度は特に高速でなくてもよいが、二段階目の攪拌は高速で行わないと、やはり長時間かけてもなかなか混合しない。そこで、二段階目の攪拌速度については、攪拌する混合機の種類にもよるので一律に数値で示すことは困難であるが、混合機の速度を上げていくと混ざり合いが進み始める速度があるので、かかる速度を本発明では「混ざり合う境界速度」としている。
本発明における各要素の態様を以下に例示する。
1.セメント
セメントとしては、特に限定されないが、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメント等が例示できる。
2.砂礫
砂礫の大きさとしては、特に限定されないが、粒径0.5mm〜10mm程度のものを例示できる。
3.充填材(フィラー)
3−1.羊毛糸
羊毛糸を用いるのは、所定の吸水性を備えるとともに、優れた弾力性を備えていて保水性コンクリートブロック中に保水のための空隙を形成しやすいからである。用いる羊毛は新品でもよいが、通常焼却処分されるような羊毛屑を用いると、その焼却処分に要する多大なコストを削減でき、また炭酸ガス放出量を削減できるため、好ましい。また、羊毛は純羊毛に限定されず、主たる羊毛に別繊維が混合したものでもよい。
羊毛糸として15〜40mmの長さに切断されたものを用いるのは、15mm未満であるとセメントスラリー中に均一に混ざり合いにくく、また、強度が低下するからであり、40mmを超えるとセメントスラリー中に均一に混ざり合いにくく、また、攪拌中に混合機の羽根等に巻きつくからである。この切断長さは20〜35mmが好ましく、25〜30mmがより好ましい。
羊毛糸の太さは、特に限定されないが、保水性コンクリートブロックの吸水率が安定することから、2〜7番手が好ましく、3〜5番手がより好ましい。
羊毛糸の色は、特に限定されないが、少なくとも保水性コンクリートブロックの表面部の形成に用いる羊毛糸の色が淡色であると、該表面部の色が淡色になり太陽光の吸熱が減少し、急速な水の蒸発を防いで保水性を長時間維持できる点で好ましい。
3−2.綿糸
綿糸を用いるのは、所定の弾力性を備えるとともに、優れた吸水性を備えていて保水性コンクリートブロックに高い保水性をもたらすからである。用いる綿は新品でもよいが、通常焼却処分されるような綿屑を用いると、上記羊毛糸と同じ理由で好ましい。また、綿は純綿に限定されず、主たる綿に別繊維が加わったものでもよい。
綿糸として15〜40mmの長さに切断されたものを用いるのは、上記羊毛糸と同じ理由である。この切断長さは20〜35mmが好ましく、25〜30mmがより好ましい。
綿糸の太さは、特に限定されないが、上記羊毛糸と同じ理由で、2〜7番手が好ましく、3〜5番手がより好ましい。
綿糸の色は、特に限定されないが、上記羊毛糸と同じ理由で、少なくとも保水性コンクリートブロックの表面部の形成に用いる綿糸の色が淡色であると好ましい。
3−3.大鋸屑
大鋸屑を用いるのは、所定の弾力性を備えるとともに、優れた吸水性を備えていて保水性コンクリートブロックに高い保水性をもたらすからである。大鋸屑の木種類は、特に限定されない。大鋸屑の形状及び大きさは、特に限定されないが、片長4mmの片状よりも小さい片状、粉粒状等が好ましい。
3−4.好ましい組合せ
上記羊毛糸、綿糸及び大鋸屑を単独で又は組合せて(混合して)コンクリートスラリー中に配合したときの知見として得られた、吸水性及び弾力性の評価を次の表1に示す。同表の7通りについて検討し、吸水性及び弾力性が共に「非常に良い」評価である、羊毛糸と大鋸屑との組合せ、羊毛糸と綿糸と大鋸屑との組合せの2通りが好ましく、さらに吸水性が特に良い綿糸と大鋸屑との組合せも好ましい。本発明は、羊毛糸と綿糸と大鋸屑との組合せである。
Figure 0004413246
評価 ○:良い、◎:非常に良い
4.配合量
セメント100質量部に対する砂礫の配合量は100〜400質量部とするが、150〜300質量部が好ましく、150〜250質量部がより好ましい。
セメント100質量部に対する充填材の配合量は20〜55質量部とするが、次の配合量が好ましい。
(1)羊毛糸15〜35質量部と大鋸屑10〜20質量部との組合せ
(2)綿糸15〜35質量部と大鋸屑10〜20質量部との組合せ
(3)羊毛糸及び綿糸を合わせて15〜35質量部と大鋸屑10〜20質量部との組合せ(より好ましい例)
(4)羊毛糸10〜23質量部と綿糸5〜12質量部と大鋸屑10〜20質量部との組合せ(最も好ましい例)、そして、同例が本発明である。
セメント100質量部に対する水の配合量は150〜500質量部とするが、200〜400質量部が好ましく、200〜300質量部がより好ましい。
本発明の舗装構造は、通水性を確保しかつ強度を確保するため、セメント1質量部と砂礫5〜20質量部とからなる下地層と、下地層の上に敷設している上記保水性コンクリートブロックとを有するものである。
下地層の厚さとしては、特に限定されないが、20〜50mmであることが好ましい。
20mm未満では、下地層の平滑度及び舗装構造としての強度を確保することが難しくなり、50mmを超えると通水性が悪化するためである。
また、保水性コンクリートブロックに注水できるよう、注水用の管を下地層に設備していることが好ましい。
さらに、注水に雨水を使用できるよう、雨水を溜めておく貯水槽を設け、高温時に自動でこの雨水を注水できるような制御装置を有することがより好ましい。
本発明によれば、高い保水性により地面の温度を長時間にわたり下げることができ、また大量の羊毛、綿及び大鋸屑の有効な再利用先ともなり炭酸ガスの放出量の削減にも寄与でき、弾力性も備えるという優れた効果が得られる。
セメント100質量部に対し、砂礫150〜250質量部と、15〜40mmの長さに切断された羊毛糸10〜23質量部及び綿糸5〜12質量部と、大鋸屑10〜20質量部と、水200〜300質量部とを含む攪拌混合物が固化してなり、保水可能な多孔質であることを特徴とする保水性コンクリートブロックである。
セメント100質量部に対し、砂礫150〜250質量部及び水200〜300質量部の混合物に大鋸屑10〜20質量部を入れて攪拌した後、15〜40mmの長さに切断された羊毛糸10〜23質量部及び綿糸5〜12質量部を投入し、混ざり合う境界速度以上の速度で攪拌することを特徴とする保水性コンクリートブロックの製造方法である。
図1に示すように、本実施例の保水性コンクリートブロックは矩形平板状であり、寸法は適宜設定できるが、以下の例では一辺が300mmの正方形で、厚さが80mmである。
実施例1として、次の配合及び方法により保水性コンクリートブロックを製造した。
(1)先ず、回転羽根式の混合機に、セメント2.18Kg(100質量部)と、砂礫4.37Kg(200質量部)と、大鋸屑0.312Kg(14.3質量部)と、水5.3Kg(243質量部)とを入れて攪拌し、均一に混合する。このときは、特に高速回転でなくてもよく混合する。
(2)その後、同混合物に、共に番手3番であり25mm〜30mmの長さに切断した、羊毛糸0.312Kg(14.3質量部)及び綿糸0.16Kg(7.3質量部)を添加して、高速回転(例えば100回/分(1.7Hz))で攪拌し、均一に混合する。なお、均一に混合した状態で、空気を大量に包含している。
(4)均一に混合された攪拌混合物を、一辺が300mmの正方形の型に厚さが85mmになるように注入し、その後、厚さが80mmになるよう圧縮して、固化させる。
(5)成形された保水性コンクリートブロックを養生し、乾燥させる。
また、実施例2として、上記実施例1に対し、大鋸屑の添加量を0.25Kg(11.5質量部)に減らし、水の添加量を5.1Kg(234質量部)に減らし、それ以外は実施例1と同様の配合及び方法により保水性コンクリートブロックを製造した。
さらに、比較例として、セメント2.18Kg(100質量部)と、砂礫4.37Kg(200質量部)と、水約2.1Kg(約50質量部)との攪拌混合物(羊毛糸、綿糸及び大鋸屑が添加されていない)を成形して保水性コンクリートブロックを製造した。
上記にて作成した実施例1の保水性コンクリートブロックについて次の耐凍害性試験を行うとともに、実施例1,2及び比較例から得た試料について次の吸水性試験を行い、それぞれ評価した。
[耐凍害性試験]
JIS A 5209 7、12に準じて、試験を行った。
凍結融解及び観察の操作を1回として、これを4回繰り返した。その結果、試料である実施例1の保水性コンクリートブロックにひび割れ及びはがれは認められなかった。
[吸水率試験(6時間吸水)]
試料が恒量になるまで乾燥した後、試料全体が水没した状態で6時間吸水させた質量を測定した。吸水前後の質量の増加量を吸水前の質量で割って吸水率とした。得られた吸水率は、実施例1で43.9質量%、実施例2で56.9質量%、比較例で24.2質量%であり、実施例1,2の高い吸水性が確認された。
図2に示すように、本実施例の舗装構造30は、セメント1質量部と砂礫10質量部とからなり固化した厚さ25mmの下地層20に、貯水槽21(図示略)に溜めておいた雨水を保水性コンクリートブロック10に注水するため、1平米(m)当り1個の注水孔23を設けた注水管22を設備し、下地層20の上に上記保水性コンクリートブロック10を敷設している。また、温度センサー24(検出器、図示略)により、気温を検出し、高温時、溜めておいた雨水を雨水注入口25から注水管22に注ぎ入れ、保水性コンクリートブロック10に注水する。
本実施例によれば、(a)〜(d)の効果が得られる。
(a)羊毛糸及び綿糸に、焼却処分される羊毛屑及び綿屑を用いることにより、これらの再活用が図れるとともに、炭酸ガスの放出量の削減にも寄与する。
(b)羊毛糸及び綿糸を含むことにより、これらの毛細現象により多くの水を保水性コンクリートブロック中及びその下の地中に含ませることができる。
(c)高温時、保水性コンクリートブロック等に含まれている多くの水を徐々に蒸発させ、地面の温度を長時間にわたり下げることができる。
(d)番手3番の羊毛糸及び綿糸を用いることにより、吸水率の安定化が図れる。
(e)−20℃でも変化(割れ、はがれ)が生じないことから、冬季の寒さにも耐えることができる。
(f)羊毛糸及び綿糸を含むことにより、従来の歩道に敷設されているブロックと比べ、割れ難くなる。
本実施例の舗装構造の用途としては、歩道、駐車場、住宅地の車道等が考えられ、本実施例の保水性コンクリートブロックの用途としては、ビル等の建造物の屋上、駐車場等の車止め等が考えられる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
本実施例の保水性コンクリートブロックの模式図である。 本実施例の舗装構造の模式図である。
符号の説明
10 保水性コンクリートブロック
20 下地層
30 舗装構造

Claims (5)

  1. セメント100質量部に対し、砂礫100〜400質量部と、充填材としての、15〜40mmの長さに切断された羊毛糸10〜23質量部、15〜40mmの長さに切断された綿糸5〜12質量部及び大鋸屑10〜20質量部の三種の組合せと、水とを含む均一に混合された攪拌混合物が固化してなり、保水可能な多孔質であるとともに弾力性を備えることを特徴とする保水性コンクリートブロック。
  2. 前記羊毛糸の太さは、2〜7番手であり、前記綿糸の太さは、2〜7番手である請求項1記載の保水性コンクリートブロック。
  3. 混合機に、セメント100質量部に対し、砂礫100〜400質量部及び水150〜500質量部の混合物に大鋸屑10〜20質量部を入れて攪拌し、均一に混合した後、
    前記混合機に、15〜40mmの長さに切断された羊毛糸10〜23質量部及び15〜40mmの長さに切断された綿糸5〜12質量部を投入し攪拌し、均一に混合した後、
    均一に混合された攪拌混合物を固化させることを特徴とする保水性コンクリートブロックの製造方法。
  4. セメント1質量部と砂礫5〜20質量部とからなり固化した下地層と、前記下地層の上に敷設された請求項1又は2記載の保水性コンクリートブロックとを有する舗装構造。
  5. 前記保水性コンクリートブロックに注水する管を前記下地層に設備した請求項4記載の舗装構造。
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