JP4420005B2 - オーバステア抑制制御に運転者のカウンタステアを加味する車輌 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車輌に於いてオーバステアを抑制する車輌の旋回挙動制御に係る。
自動車等の車輌に於いてオーバステアを抑制する旋回挙動制御は、従来より種々の態様にて提案されまた公知とされている。オーバステアは操舵過剰や路面の滑り等により生じ、昂じればスピンに至る。オーバステア抑制制御は、通常、舵輪の操舵角を低減方向に切り戻すことや車輌の旋回外側に位置する前輪を制動し、該前輪の周りに車輌を旋回外側へ偏向させるヨーモーメントを発生させること等により行われている。
この種のオーバステア抑制制御に関し、車輌がレーンチェンジやスラローム走行を行っているとき等に於いて、車輌に対し一方向への抑制ヨーモーメントが付与された後、直ちに他方向への抑制ヨーモーメントが付与されると、補正舵角の急変により違和感が生ずる恐れがあることに対処し、本件出願人は、下記に特許文献1として示す先の特許出願に於いて、一方向への抑制ヨーモーメントの付与に続いて他方向への抑制ヨーモーメントを付与するときには、少なくとも或る所定時間だけ他方向へ付与する抑制ヨーモーメントの大きさ或いはその付与の速度を低減することを提案した。
特願2004-261162
車輌の旋回走行時にオーバステアまたはそれが昂じたスピンが生じたとき、人はある程度以上運転に習熟してくると、咄嗟にステアリングホイールを旋回方向とは逆方向に切り戻すカウンタステアを行うようになる。しかし、従来の旋回挙動制御装置であって、車輌のオーバステア状態を検出して運転者による操舵装置の操舵量に対応する舵輪の操舵角を低減するものは、その作動によってオーバステア状態が終息することによりその作動が終了するようになっている。従って、車輌がオーバステア状態となり、旋回挙動制御装置がそれを検出して舵輪の操舵角を低減しつつあるとき運転者が操舵装置によりカウンタステアを行うと、舵輪操舵角の自動低減は、操舵機構の本質上、運転者によりなされた操舵による操舵角を元にそれを低減するものであることから、運転者によるカウンタステアの直後には、舵輪操舵角の自動低減とカウンタステアによる舵輪操舵角の低減とが重なり、操舵の切り戻しが過剰となって車輌の操舵状態に違和感が生ずる虞れがある。
本発明は、上記の事情に着目し、この点に於いて更に改良された車輌を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するものとして、本発明は、運転者により操作される操舵装置と、車輌のオーバステア状態を検出して運転者による前記操舵装置の操作に基づく舵輪の操舵角を自動的に低減する旋回挙動制御装置とを有する車輌にして、前記旋回挙動制御装置による舵輪操舵角自動低減が行われているときに運転者が前記操舵装置によりカウンタステアを行う動きに応じて前記舵輪操舵角自動低減の量を削減するようになっていることを特徴とする車輌を提案するものである。
前記舵輪操舵角自動低減量の削減は、運転者による前記カウンタステアの切り戻し操舵角度に対応した度合にて行なわれるようになっていてよい。
或はまた、前記舵輪操舵角自動低減量の削減は、運転者による前記カウンタステアの切り戻し操舵角速度に対応した度合にて行なわれるようになっていてよい。
上記の如く、運転者により操作される操舵装置と、車輌のオーバステア状態を検出して運転者による前記操舵装置の操作に基づく舵輪の操舵角を自動的に低減する旋回挙動制御装置とを有する車輌に於いて、前記旋回挙動制御装置による舵輪操舵角自動低減が行われているときに運転者が前記操舵装置によりカウンタステアを行う動きに応じて前記舵輪操舵角自動低減の量を削減するようになっていれば、旋回挙動制御装置によるオーバステアの自動抑制制御に於いて、カウンタステアによる目標ヨーレートの低減に対する実ヨーレートの低減遅れにより実ヨーレートと目標ヨーレートの偏差が一時的に増大することに対し適切な修正を行って、旋回挙動制御装置によるオーバステアの自動抑制制御と運転者によるカウンタステアとが重なって舵輪操舵角の切り戻しが過剰に行われることにより車輌の操舵状態に違和感が生ずる虞れを無くすることができる。
前記舵輪操舵角自動低減量の削減が、運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角度に対応した度合にて行なわれるようになっていれば、運転者によるカウンタステアのオーバステアに対する抑制効果をカウンタステア操作角度に基づいてその静的大きさの局面から評価してそれを旋回挙動制御装置によるオーバステアの自動抑制制御より適切に相殺し、両者の重なりによる制御過剰を回避することができる。
また、前記舵輪操舵角自動低減量の削減が、運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角速度に対応した度合にて行なわれるようになっていれば、運転者によるカウンタステア操作のオーバステアに対する抑制効果をカウンタステア操作角度の変化率に基づいてその動的大きさの局面から評価してそれを旋回挙動制御装置によるオーバステアの自動抑制制御より適切に相殺し、両者の重なりによる制御過剰を回避することができる。
図1は、運転者により操作される操舵装置と、車輌のオーバステア状態を検出して運転者による操舵装置の操作に基づく舵輪の操舵角を自動的に低減する旋回挙動制御装置とを有し、旋回挙動制御装置による舵輪操舵角自動低減が行われているときに運転者が操舵装置によりカウンタステアを行うことに応じて舵輪操舵角自動低減の量を削減するようになっている本発明による車輌の本発明に関係する構成を解図的に示す図である。但し、本発明はその制御の態様に係るソフトウエア的事項であり、それを組み込むコンピュータを含むハードウェア的構成自体はこの技術の分野に於いて公知のものである。
図1に於いて、左右の前輪および左右の後輪により懸架された図には示されていない車体を備えた車輌には、それ自身種々の態様にて公知の操舵装置と電子制御装置(ECU)が組み込まれている。
操舵装置には、ステアリングホイール、パワーアクチュエータ、操舵角補正装置が含まれており、運転者によるステアリングホイールの回動操作に応じてパワーアクチュエータを経て舵輪である左右の前輪が操舵されるようになっており、その際、左右の前輪はステアリングホイールによる操舵角を操舵角補正装置により自動的に補正した舵角にて転舵されるようになっている。
電子制御装置は、その主要部がマイクロコンピュータにより構成されたものであり、マイクロコンピュータによる制御演算機能の一部として、本発明に関係する旋回挙動制御部および操舵角補正演算部が含まれている。電子制御装置には、車速センサより車速を示す信号、ヨーレートセンサより車体のヨーレートを示す信号、横加速度センサより車体の横加速度を示す信号、操舵角センサよりステアリングホイールによる操舵角を示す信号が供給される他、必要に応じてその他の種々の情報を示す信号が供給されるようになっている。電子制御装置はこれらの入力信号とマイクロコンピュータに予め装填された制御プログラムに従って種々の制御演算を行い、本発明に係る制御のほか車輌の運行にかかわる他の種々の制御を行うようになっている。
図2は、本発明の車輌に於いて行われるオーバステア抑制制御の態様を一つの実施の形態について示すフローチャートである。かかるフローチャートに沿った制御は、車輌の運行中、数10〜数100ミリセカンドの周期にて繰り返されてよい。
制御が開始されると、ステップ10にて操舵角センサにより検出される操舵角θが或る所定の下限値θo以上であるか否かが判断される。尚、操舵角θは、左旋回方向に操舵がなされるときの角度を正とし、右旋回方向に操舵がなされるときの角度を負とするものとする。下限値θoは、操舵角の絶対値がこれ以上のときオーバステア状態となる可能性があり、本発明による制御の対象となるような操舵角を表す正の値である。答がイエス(Y)であれば、制御はステップ20へ進み、Dの値が1とされる。答がノー(N)であれば、制御はステップ30へ進み、θが−θo以下であるか否かが判断される。答がイエスであれば、制御はステップ40へ進み、Dの値が−1とされる。ステップ30がノーであるときは、左方向にも右方向にも操舵がさほど行われていないときであり、このときにはこのフローチャートによる制御はこれにて終了する。
ステップ20または40より制御はステップ50へ進み、操舵角センサにより検出された操舵角をθ、車速センサにより検出された車速をV、横加速度センサにより検出された車体に作用する横加速度をGy、操舵装置のギヤ比をN、ホールベースをLとし、またKhをスタビリティファクタとして、下記の要領にて、そのときあるべき車体のヨーレート、即ち、目標ヨーレートγtが算出される。

γt={1/(1+Kh×V)}×V×θ/(N×L)
Gy=γt×V

以上の2式より

γt=V×θ/(N×L)−Kh×Gy×V
次いで、ステップ60に於いて、ヨーレートセンサによるヨーレートの実測値をγdとし、γdと上に算出された目標ヨーレートγtの差がある所定の偏差Δγoより大きいか否かが判断される。上記の通り左旋回への操舵時に操舵角θが正とされ、右旋回への操舵時に操舵角θが負とされることに対応して、ヨーレートも左旋回方向のヨーレートが正とされ、右旋回方向のヨーレートが負とされる。上記の通り左旋回の操舵時にはDは1とされ、右旋回の操舵時にはDは−1とされるので、Δγoをある適当な正の値とし、(γd−γt)Dの値がΔγoより大きいか否かを判断することにより、左旋回および右旋回のいずれについても、その答がイエスであるか否かによって,実際のヨーレートの絶対値が目標ヨーレートの絶対値より或る所定の限界値以上に大きいか否か、即ち、車輌の旋回が所定の程度を越えてオーバステア状態にあるか否かが判断される。答がイエスのときには、制御はステップ70へ進む。答がノーのときには、オーバーステアが発生していないことを意味するので、このときにはこのフローチャートに沿う制御はこれにて終了する。
ステップ70に於いては、左右の旋回方向のいずれついても、目標ヨーレートγtに対する実ヨーレートγdの差の絶対値Δγ=(γd−γt)Dに対するオーバステア抑制のための操舵角低減量Δρの値が、Δγを変数とする或る適切な関数Fs(Δγ)の値として算出される。これは、Δγの値に基づいて図3に示す如きマップを参照して行われてよい。
次いで、制御はステップ80へ進み、このフローチャートに沿う今回のサイクルにおける操舵角の値をθとし、前回のサイクルにおける操舵角の値をθ’としてその間の差が算出される。左旋回および右旋回のいずれに於いてもカウンタステアがなされているか否かを検出するため、θとθ’の差はΔθ=−(θ−θ’)Dとして検出される。この値はカウンタステアが行われているときには正の値である。
次いで、ステップ90にて、Δθが正であるか否かが判断される。答がイエスであれば、制御は直接ステップ100へ進むが、答がノーであれば、制御はステップ110へ進み、ここでΔθは0にリセットされ、制御はステップ100へ進む。
ステップ100に於いては、Δθの値に基づいてオーバステア抑制制御に於ける操舵角低減量をカウンタステアに応じて削減する演算が行われる。この演算はΔθに基づく関数として削減率Fc(Δθ)を算出し、ステップ70にて算出された操舵角低減量ΔρをΔρ{1−Fc(Δθ)}の如く修正するものである。関数Fc(Δθ)の値は、Δθの値に基づいて図4に示す如きマップを参照して得られてよい。図4のマップに於いて、線a,b,cはこの順にオーバーステア抑制制御による操舵角低減量に対する削減率に運転者によるカウンタステアの速度の効果をより大きく組み込むものである。Δθは図2のフローを巡る1サイクル当りのカウンタステア量であり、1サイクルの経過毎にθの値がΔθずつ変化することに応じて、1サイクル当りのオーバーステア抑制制御による本来の操舵角低減量ΔρはΔρ×Fc(Δθ)ずつ削減され、舵輪操舵角自動低減量の削減は、運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角度に対応した度合にて行なわれるが、Δθの大きさは図2のフローを巡る1サイクル当りのカウンタステア角の増大量を表し、その大きさはカウンタステアの切り戻し操舵角速度の大きさを表しているので、線a,b,cの上方への反り具合は、舵輪操舵角自動低減量の削減が運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角速度に対応する度合を表している。即ち、線a,b,cを比較すれば、線bのマップは線aのマップより舵輪操舵角自動低減量の削減に運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角速度の大きさをより大きく反映させ、更に線cのマップは線bのマップより舵輪操舵角自動低減量の削減に運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角速度の大きさをより大きく反映させる。尚、舵輪操舵角自動低減量の削減に対する運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角速度線の反映は、図4に於いて点線にて示す如く、線bは線aの途中から上方へ反り、線cは線bの途中から上方へ反るよう、運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角に対応した舵輪操舵角自動低減量の削減に上乗せする要領にて行われてもよい。いずれにしても、こうして図4の如きマップによれば、舵輪操舵角自動低減量の削減を運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角に対応した度合にて行うことに加えて、舵輪操舵角自動低減量の削減を運転者によるカウンタステアの切り戻し操舵角速度に対応した度合にて行うことができる。
次いで、ステップ120に於いて、Dが1であるか否かが判断される。左旋回時には答はイエスであり、右旋回時には答はノーである。答がイエスのときには、制御はステップ130へ進み、その時の操舵角θを操舵装置のギヤ比Nで除した舵輪の操舵角をΔρだけ減じて舵輪の操舵角ρが算出される。答がノーのときには、制御はステップ140へ進み、その時の操舵角θ(負の値)を操舵装置のギヤ比Nで除した舵輪の操舵角の絶対値をΔρだけ減じて(算術的には増大させて)舵輪の操舵角ρ(負の値)が算出される。
次いで、制御はステップ150へ進み、舵輪の操舵角を上に求められたρとするようパワーアクチュエータが作動される。
以上に於いては、本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
本発明による車輌の本発明に関係する構成を解図的に示す図。 本発明の車輌に於いて行われるオーバステア抑制制御の態様を一つの実施の形態について示すフローチャート。 オーバステアの度合に応じてオーバステア抑制のための舵輪操舵角低減量Δρを算出する要領の一例をステップ70に於ける関数Fsの値として示すマップ。 オーバステア抑制のための舵輪操舵角低減量Δρをカウンタステアの度合に応じて削減する要領の一例をステップ100に於ける関数Fcの値として示すマップ。

Claims (3)

  1. 運転者により操作される操舵装置と、車輌のオーバステア状態を検出して運転者による前記操舵装置の操作に基づく舵輪の操舵角を自動的に低減する旋回挙動制御装置とを有する車輌にして、前記旋回挙動制御装置による舵輪操舵角自動低減が行われているときに運転者が前記操舵装置によりカウンタステアを行う動きに応じて前記舵輪操舵角自動低減の量を削減するようになっていることを特徴とする車輌。
  2. 前記舵輪操舵角自動低減量の削減は、運転者による前記カウンタステアの切り戻し操舵角度に対応した度合にて行なわれるようになっていること特徴とする請求項1に記載の車輌。
  3. 前記舵輪操舵角自動低減量の削減は、運転者による前記カウンタステアの切り戻し操舵角速度に対応した度合にて行なわれるようになっていること特徴とする請求項1または2に記載の車輌。
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