JP4423660B2 - 分割構造タービン翼 - Google Patents

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本発明は、航空エンジンやガスタービンに用いるタービン翼に関するものであり、より詳しくは、セラミックス系材料により製作したタービン翼を有するタービンにおいて、主流ガスの温度が変化した場合に、タービン翼の局所的な温度差に起因して発生する熱応力を低減させ、低サイクル疲労強度を向上させたタービン翼の構造に関する。
セラミックス系材料からなるタービン翼の局所的な温度差に起因して発生する熱応力を低減させる手段として、特許文献1〜4が既に提案されている。
特許文献1の「セラミック静翼耐熱衝撃構造」は、図5に示すように、高温燃焼ガスを仕事をなす回転動翼に導くための流路を構成する上下のサイドウォール52、53と、該サイドウォールに支持され、高温燃焼ガス流中に該高温燃焼ガス流を一定の角度で回転動翼に流入させるべく配置された翼部から構成されるガスタービンのセラミック製静翼において、
翼部の前縁部54a,54b,54cと後縁部55a,55b,55cを該翼部のコード方向に沿って2個以上に分離してあることを特徴とするものである。
特許文献2の「セラミック製静翼」は、図6に示すように、セラミックス翼部の外側及び内側にシュラウド67、68を有する一体構造のセラミックス製静翼61において、
前記セラミックス翼部61はその内面と間隔をおいて中に挿設されたインサート62と、翼部後縁に多数設けられた冷却空気孔64と、これら冷却空気孔の翼部内面に配置されたポーラス材65とを備え、
前記インサート62は翼前縁側の高さ方向に複数のインサート孔を有し、前記セラミックス外側及び内側シュラウドの外側に設けられた金属シュラウドを冷却しそして前記インサートの内側へ導入された冷却空気は前記インサート孔を介して前縁側に流出され、さらにセラミックス翼部の内面とインサートとの隙間を通って前記ポーラス材及び前記冷却空気孔へと流されるようにしたものである。
特許文献3の「タービン用セラミック静翼」は、図7に示すように、翼高さ方向の上下両端が拘束されたタービン翼部71を、翼弦方向、翼高さ方向および翼厚方向の少なくとも1つの方向に分割し、分割により形成された複数のセラミック要素72を結合した構成のタービン用セラミック静翼において、
前記セラミック要素72とは別個に設けられた結合手段73によって、前記セラミック要素同士を結合したことを特徴とするものである。
特許文献4(未公開)の「タービン翼」は、図8に示すように、セラミックス系材料を使用して中空形態に製作されたタービン翼であって、
該タービン翼81は、腹側部83および背側部85の温度変化を平均化するため、その腹側部の翼肉厚(T.press)が、背側部の翼肉厚(T.suction)よりも薄く形成されているものである。
特開昭61−89903号公報 特開平6−146805号公報 特開平8−109802号公報 特願2002−172276号明細書、未公開
近年熱効率向上のためにガスタービンの高温化が進められており、この場合のタービン入口温度は1200℃〜1400℃程度にまで達する。かかる高温下では金属製のタービン翼は耐用限界を超えてしまうため、セラミックス系材料を使用したタービン翼の使用が有望視されている。このタービン翼は従来のタービン翼と同様に前縁部と背側部と後縁部と腹側部とで囲まれ、所定の転向角でできた翼断面を有している。
ここでセラミックス系材料を使用したタービン翼では、(1)セラミックス系材料の熱伝導率が非常に低いこと、(2)セラミックス系材料のヤング率が比較的大きいこと、が相まって、例えばタービンの起動時や停止時などに、主流ガスに急激な温度変化が発生した場合には、その内部に非常に高い熱応力が発生するといった問題があった。
タービン翼に高い熱応力が作用すると、その低サイクル疲労寿命(以下「LCF寿命」という)が低下し、極端な場合にはタービン翼に破断などの不具合が発生することも予想されていた。
そのため、セラミックス系材料を使用したタービン翼について、特許文献4(未公開)のように、その内部を中空に形成することで、この問題の解決を図ることが提案されている。すなわち、タービン翼を中空にすることで、中実のタービン翼と比較して上記(1)および(2)に起因して発生していた熱応力を低減する対策が検討されている。
しかし、タービン翼を中空形状にした場合でも、タービン入口の主流ガス温度が均一でない場合や、特に実環境でしばしば発生するスパン方向の温度分布が大きい場合(後述する図3参照)には、十分に熱応力を低減することができず、LCF寿命の低下や極端な場合には一発破断などの不適合の発生が予測されていた。
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、タービン入口の主流ガス温度が均一でない場合や、スパン方向の温度分布が大きい場合でも、十分に熱応力を低減することができ、LCF寿命の低下を抑制し、一発破断などの不適合の発生を防止することができる分割構造タービン翼を提供することにある。
本発明によれば、セラミックス系材料からなるタービン翼であって、
翼のスパン方向中央部を構成する中央翼部品と、該中央翼部品の先端側に嵌合して翼の先端部を構成する先端翼部品と、中央翼部品の末端側に嵌合して翼の末端部を構成する末端翼部品とからなり、
前記中央翼部品は、熱応力を低減するように薄肉かつ中空に形成されており、かつスパン方向両端部に嵌合用の凹孔を有し、前記各凹孔が前記中空の空洞で互いに連通するように構成されており、
前記先端翼部品と前記末端翼部品は、それぞれ前記中央翼部品の嵌合用の前記凹孔に嵌合する突起部を有する、ことを特徴とする分割構造タービン翼が提供される。
上記本発明の構成によれば、翼のスパン方向中央部を構成する中央翼部品が、薄肉かつ中空に形成されているので、1200〜1400℃の高温の主流ガスに曝されても、内部に発生する温度差を小さくでき、熱応力を低減することができる。
また、前記先端翼部品と末端翼部品は、中央翼部品に単に嵌合する別部品であるため、自由に熱膨張でき、かつ所定の大きさに形成されているので、内部に発生する温度差を小さくでき、熱応力を低減することができる。
従ってタービン入口の主流ガス温度が均一でない場合や、スパン方向の温度分布が大きい場合でも、十分に熱応力を低減することができ、LCF寿命の低下を抑制し、一発破断などの不適合の発生を防止することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記先端翼部品の前記突起部は、前記中央翼部品の先端側の前記凹孔に、隙間をもって嵌合し、前記末端翼部品の前記突起部は、前記中央翼部品の末端側の前記凹孔に隙間をもって嵌合する。また、本発明の実施形態によれば前記中央翼部品は、腹側部の翼肉厚が背側部の翼肉厚よりも薄く形成されている。


また本発明によれば、前記先端翼部品と末端翼部品のスパン方向高さHendと、翼全体のスパン方向高さHallの間に、
0.08≦Hend/Hall≦0.26
の関係が成り立つ、ことが好ましい。
後述するシミュレーション結果から、先端翼部品と末端翼部品に発生する熱応力は、Hend/Hallが小さいときに高く大きくなるほど低下し、逆に中央翼部品に発生する熱応力は、Hend/Hallが小さいときに低く大きくなるほど高くなり、その中間の0.08〜0.26において先端翼部品、末端翼部品及び中央翼部品の最大主応力を材料破断強度より小さくできることが明らかとなった。
上述したように、タービン翼をスパン方向に3分割した構造にすることで、主流ガスのスパン方向の温度差による翼部の熱膨張量を3分割した各部品に分散させることができる。これにより、翼に発生する拘束力が緩和されるため、スパン方向の温度分布に依存して発生する熱応力が低減し、その結果、LCF寿命の向上が可能となる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は本発明の分割構造タービン翼を分解状態で示す全体斜視図であり、図2は図1の分割構造タービン翼を組立状態で示す側面図である。
図1に示すように、本発明の分割構造タービン翼10は、翼のスパン方向中央部を構成する中央翼部品12、翼の先端部を構成する先端翼部品14、および翼の末端部を構成する末端翼部品16とからなる。各部品12、14、16は、1200〜1400℃の高温に耐える耐熱性の高いセラミックス系材料からなる。
中央翼部品12は、スパン方向両端部に嵌合用の凹孔12aを有する。この嵌合用凹孔12aは、この例では翼形の凹みであるが、本発明はこれに限定されず、任意の形状、例えば楕円形、小判形、複数の円形等であってもよい。
また中央翼部品12は、セラミックス系材料からなる一体部品であり、熱応力を低減するように薄肉かつ中空に形成されている。すなわち、この例では、両端部に設けられた翼形の凹み12aが内部の中空の空洞で連通しており、翼外面と中空空洞との間の厚さ(翼肉厚)が1200〜1400℃の高温に曝されても発生する熱応力を許容範囲に抑えるように、十分薄肉に形成されている。
さらに、好ましくは、腹側部および背側部の温度変化を平均化するため、その腹側部の翼肉厚が、背側部の翼肉厚よりも薄く形成されているのがよい。
タービン翼の腹側部の翼肉厚を背側部の翼肉厚と比較して薄く形成することにより、熱伝達率が低い腹側部の熱容量を減少させて、腹側部の温度応答性を向上させることができる。
先端翼部品14と末端翼部品16は、それぞれ中央翼部品12の嵌合用凹孔12aに嵌合する突起部14a,16aを有する。突起部14a,16aの断面形状は、この例では翼形の凸部であるが、本発明はこれに限定されず、凹孔12aに嵌合する任意の形状、例えば楕円形、小判形、複数の円形等であってもよい。
また、嵌合用凹孔12aと突起部14a,16aとの嵌合は、熱膨張または熱収縮により嵌合部に過大な応力が発生しないように、わずかな隙間をもった嵌合であるのがよい。
さらに、先端翼部品14と末端翼部品16は、セラミックス系材料からなる一体部品であり、発生する熱応力を低減するように所定の大きさに形成されている。この所定の大きさについては後述する。
先端翼部品14は、突起部14aを中央翼部品12の先端側の嵌合用凹孔12aに嵌合して連結される。また末端翼部品16は、突起部16aを中央翼部品12の末端側の嵌合用凹孔12aに嵌合して連結される。
また、図2に示すように組立てた状態において、使用中に嵌合部に隙間ができないように、先端翼部品14の先端側と末端翼部品16の末端側に図示しないストッパー部材が設けられる。
上述した本発明の構成によれば、中央翼部品12と先端翼部品14及び末端翼部品16は、互いに嵌合する別部品であるため自由に熱膨張でき、発生する熱応力を低減することができる。
また、翼のスパン方向中央部を構成する中央翼部品12が、薄肉かつ中空に形成されているので、1200〜1400℃の高温の主流ガスに曝されても、内部に発生する温度差を小さくでき、熱応力を低減することができる。
さらに、先端翼部品14と末端翼部品16は、中央翼部品12に単に嵌合する別部品であるため、自由に熱膨張でき、かつ所定の大きさに形成されているので、内部に発生する温度差を小さくでき、熱応力を低減することができる。
従ってタービン入口の主流ガス温度が均一でない場合や、スパン方向の温度分布が大きい場合でも、十分に熱応力を低減することができ、LCF寿命の低下を抑制し、一発破断などの不適合の発生を防止することができる。
図3はタービン入口における主流ガス温度分布の一例を示す図である。この図において、縦軸は、本発明による分割構造タービン翼10のスパン方向高さHendに対する比率(%)であり、横軸は主流ガス温度(℃)である。なお図2におけるスパン方向高さHendは、主流ガスの流路幅に一致しているものとする。
図4は、分割構造タービン翼に発生する熱応力と寸法の関係図である。この図は、タービン入口における主流ガス温度分布が図3で示すような、スパン方向に大きな分布がついている場合を想定し、図1、図2に示した分割構造翼に対し、コンピュータによる熱伝導解析、熱応力解析を実施したものである。
なお、この解析において、タービン翼の大きさは一般的なタービンに用いられるもの(翼弦長45mm、翼高さ35mm程度)を想定している。
図4において、横軸は、前記先端翼部品と末端翼部品のスパン方向高さHendと、翼全体のスパン方向高さHallの比(Hend/Hall)であり、縦軸は、最大主応力値を材料破断強度で除した無次元熱応力である。
このシミュレーション結果から、先端翼部品14と末端翼部品16に発生する熱応力は、Hend/Hallが小さいときに高く大きくなるほど低下し、0.08以上のときに無次元熱応力が1以下となり、発生熱応力が破断強度以下となる。
逆に中央翼部品12に発生する熱応力は、Hend/Hallが小さいときに低く大きくなるほど高くなり、0.26以下のときに無次元熱応力が1以下となり、発生熱応力が破断強度以下となる。
従って、その中間のHend/Hallが0.08〜0.26において先端翼部品14、末端翼部品16及び中央翼部品12の最大主応力を材料破断強度より小さくできることが明らかとなった。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の分割構造タービン翼を分解状態で示す全体斜視図である。 図1の分割構造タービン翼を組立状態で示す側面図である。 タービン入口における主流ガス温度分布の一例を示す図である。 分割構造タービン翼に発生する熱応力と寸法の関係図である。 特許文献1の「セラミック静翼耐熱衝撃構造」の構成図である。 特許文献2の「セラミック製静翼」の構成図である。 特許文献3の「タービン用セラミック静翼」の構成図である。 特許文献4(未公開)の「タービン翼」の構成図である。
符号の説明
10 分割構造タービン翼、
12 中央翼部品、12a 嵌合用凹孔、
14 先端翼部品、14a 突起部、
16 末端翼部品、16a 突起部

Claims (4)

  1. セラミックス系材料からなるタービン翼であって、
    翼のスパン方向中央部を構成する中央翼部品と、該中央翼部品の先端側に嵌合して翼の先端部を構成する先端翼部品と、中央翼部品の末端側に嵌合して翼の末端部を構成する末端翼部品とからなり、
    前記中央翼部品は、熱応力を低減するように薄肉かつ中空に形成されており、かつスパン方向両端部に嵌合用の凹孔を有し、前記各凹孔が前記中空の空洞で互いに連通するように構成されており、
    前記先端翼部品と前記末端翼部品は、それぞれ前記中央翼部品の嵌合用の前記凹孔に嵌合する突起部を有する、ことを特徴とする分割構造タービン翼。
  2. 前記先端翼部品の前記突起部は、前記中央翼部品の先端側の前記凹孔に、隙間をもって嵌合し、前記末端翼部品の前記突起部は、前記中央翼部品の末端側の前記凹孔に隙間をもって嵌合する、ことを特徴とする請求項1に記載の分割構造タービン翼。
  3. 前記中央翼部品は、腹側部の翼肉厚が背側部の翼肉厚よりも薄く形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の分割構造タービン翼。
  4. 前記先端翼部品と末端翼部品のスパン方向高さHendと、翼全体のスパン方向高さHallの間に、
    0.08≦Hend/Hall≦0.26
    の関係が成り立つ、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の分割構造タービン翼。
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