JP4428077B2 - 自動分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフ等の分析装置に関し、更に詳しくは、複数の試料を自動的に交換・選択しながら順次分析を実行する自動分析装置に関する。本発明に係る自動分析装置は、試料に対する分析動作の実行を開始するまでに、例えば試料の前処理や分析条件の設定などに比較的時間を要するような分析装置に特に好適である。
例えば液体クロマトグラフでは、予め多数の試料をオートサンプラのラックにセットしておき、オペレータがそれら試料の分析順序や分析条件などを規定するスケジュールテーブルを入力した上で分析開始を指示しておくと、そのスケジュールテーブルに従って試料が順次選択され、設定されている分析条件の下で分析が自動的に実行される(例えば特許文献1など参照)。こうした多数の試料に対する連続自動分析では全分析の終了までに時間が掛かるため、一般に、自動分析の間、オペレータはその装置の傍を離れて他の作業を行ったりその装置の設置場所から離れた場所に行ったりしていることが多い。
連続分析開始前に予め分析所要時間又は分析終了時刻が分かっていれば、オペレータはその終了時刻の前後に装置のところに戻って来て、分析終了から時間をおかずに試料を交換して分析を再開させたり分析結果を処理したりするといった作業を効率良く行うことができる。こうした目的のために、従来、連続分析開始前又は1つの分析毎に分析所要時間や分析終了時刻を推算し、これをディスプレイの画面上に表示するような装置が知られている。しかしながら、従来の装置では、こうした分析所要時間や分析終了時刻の推算の精度は必ずしも高いものではなく、実際の分析所要時間や分析終了時刻が推算値よりも大幅にずれてしまう場合があった。こうした大きな時間誤差の主たる原因は次の通りである。
すなわち、一般に自動分析装置では、制御部がスケジュールテーブルに則って各分析の開始命令を出しても実際にすぐに試料に対する分析動作が実行されるわけではない。いま液体クロマトグラフを例として挙げると、液体クロマトグラフでは、分析開始命令を受けてオートサンプラ(試料注入装置)は指定された試料を選択して採取する動作を開始するが、場合によっては試料の濃縮、希釈、混合等の前処理が行われる場合がありこうした処理には或る程度時間を要する。また、分析開始命令を受けたカラムオーブンは、オーブン槽内が分析条件の一つとして設定されている温度となるように昇温又は降温制御を実行する。したがって、或る1つの分析において分析開始命令が出されてから実際に分析が開始されるまでの時間(以下、これを分析前準備時間という)は実際に試料に対する分析動作が実行されている時間(以下、これを分析時間という)に比べても無視できない程度に長い。そこで、従来の装置では、分析前準備時間として或る決まった一定値Taを用い、例えば全部でN回の分析を実行する際に各分析における分析時間が全てTbであるとしたときに、全分析所要時間Ttotalを次式により推算している。
Ttotal=N×(Ta+Tb)
各分析の分析時間はオペレータが決定するものであり、スケジュールテーブルに分析条件の1つとして設定されるため、正確な値をスケジュールテーブルから抽出することが可能である。しかしながら、分析前準備時間は本来一定ではあり得ず、上記のような試料の前処理の有無によって、或いは、或る分析を実行しようとする際にその直前の分析時の分析条件からの分析条件の変更の有無によって変動し得る。例えば、或る分析を行おうとする時点で、その直前の分析におけるカラムオーブン温度と同じカラムオーブン温度であれば昇温や降温の必要はなく分析前準備時間は短いが、その直前の分析におけるカラムオーブン温度とはカラムオーブン温度が異なる場合には昇温又は降温を行う時間が必要となり、さらにその温度に安定するまでの待ち時間も加わって分析前準備時間は長くなる。従来の自動分析装置では、分析所要時間を算出する際にこうした分析前準備時間の変動要因が全く考慮されておらず、それによって分析所要時間の推算が大きくずれる場合があった。
特開平10-318803号公報(図2及び段落0017〜0019)
本発明はかかる課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、複数の試料に対する分析を連続的に実行する自動分析装置において、連続分析実行前又は分析実行途中での分析所要時間や分析終了時刻の推算の精度を向上させ、オペレータ(分析者)により正確な情報を提示することができる自動分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、予め入力設定されたスケジュールテーブルに従って試料を順次交換・選択するとともにそれぞれ分析条件を設定して複数の試料の分析を連続的に実行する自動分析装置であって、連続分析の開始前又は連続分析の実行途中に連続分析の所要時間又は終了予定時刻を推算して提示する自動分析装置において、
a)連続分析実行時に各分析において分析開始命令が発せられた時点から分析の準備が整って実際に分析が開始される時点までの分析前準備時間を実測する時間測定手段と、
b)該時間測定手段による分析前準備時間の実測値データを、分析前準備時間の長さに影響を与える、直前の分析における分析条件から当該分析における分析条件への遷移状態を示す情報を含むパラメータに対応付けて記憶しておく記憶手段と、
c)連続分析の所要時間又は終了予定時刻を推算する際に前記記憶手段を参照し、分析前準備時間の実測値データが存在するパラメータと同一のパラメータの下での分析に対しては該実測値データを用いるともに、分析前準備時間の実測値データが存在しないパラメータの下での分析に対しては規定値を用い、これに実際に分析を実行する所要時間を加えて1分析における所要時間を算出し、スケジュールテーブルに則って最終分析までの各分析における所要時間の総和を求めて連続分析の所要時間を推算する演算処理手段と、
を備えることを特徴としている。
「分析前準備時間」内に行うべき作業や処理は分析装置の種類等によって様々であるから、「分析前準備時間の長さに影響を与えるパラメータ」も同様に分析装置の種類等によって様々である。一般的に、温度や湿度などの環境条件が分析条件の1つとなっている場合、こうした環境条件を変更して安定させるには時間を要する。したがって、2つの連続した分析において分析条件が同一であるか、それとも分析条件を変更する必要があるか、というのは分析前準備時間の長さに大きく影響を与える。そのため、本発明に係る自動分析装置では、或る分析に対する前記パラメータとして、直前の分析における分析条件から当該分析における分析条件への遷移状態を示す情報を含むようにしている。分析条件はスケジュールテーブルに記述されているから、スケジュールテーブルの記述から分析条件の遷移状態を把握することができる。
本発明に係る自動分析装置において、時間測定手段は、スケジュールテーブルに従って複数の試料に対する分析を連続的に行う過程でそれぞれ分析前準備時間を実測する。これによって得られた分析前準備時間の実測値データは、分析前準備時間の長さに影響を与えるパラメータ、例えば上述した分析条件の遷移状態に対応付けて記憶手段に記憶される。例えばいま分析条件がA、B、Cの3種類存在する場合を考えると、分析条件の遷移状態としては、A→A、A→B、A→C、B→A、B→B、B→C、C→A、C→B、C→C、の9通りが考え得る。すなわち、この9通りの遷移状態毎にそれぞれ分析前準備時間は異なる(もちろん偶然同一になる場合もあり得る)し、逆に言えば、遷移状態が同一であれば分析前準備時間はほぼ同一となる筈である。そこで、演算処理手段は、連続分析の所要時間又は終了予定時刻を推算する際に、上記記憶手段の記憶内容を参照する。
すなわち、スケジュールテーブルに記述されている任意の1つの分析における所要時間を算出する際に、その分析における分析条件の遷移状態(つまり直前の分析における分析状態から当該分析における分析条件への遷移の状態)を調べ、記憶手段を参照してその遷移状態に対応した分析前準備時間実測値データが存在するか否かをチェックする。実測値データが存在すればそのデータを引き出して来てこれを分析前準備時間とし、実測値データが存在しなければ決まった規定値を分析前準備時間として採用する。そして、この分析前準備時間に分析条件の1つとして記述されている分析時間を加算して、その1つの分析における所要時間として定める。連続分析の開始前に分析所要時間を算出する場合には、スケジュールテーブルに記述されている全ての分析について上記のようにしてそれぞれ各分析の所要時間を算出し、その総和を計算することで連続分析の所要時間を得る。一方、連続分析の実行途中で残りの分析所要時間を算出する場合には、スケジュールテーブルに記述されている全ての分析の中で未だ分析の実行されていない分析のみについて上記のようにしてそれぞれ各分析の所要時間を算出し、その総和を計算することで分析所要時間(厳密には残りの所要時間)を得る。
したがって、記憶手段において分析前準備時間実測値データが全く存在しないか、或いはごく僅かしか存在しない場合には、分析所要時間を算出する際に分析前準備時間として正確性の乏しい規定値が採用される可能性が高いが、記憶手段の分析前準備時間実測値データが充実してくると分析所要時間を算出する際に、正確な実測値データが分析前準備時間として採用される確率が高くなる。それによって、連続分析の所要時間の推算精度を高めることができ、これに基づいて分析終了予定時刻を提示する際にもその精度が高まる。なお、連続分析の開始前に分析所要時間を算出する場合には、過去に実行された連続分析の際に実測された実測値データを利用することができ、連続分析の実行途中で分析所要時間を算出する場合には、過去に実行された連続分析の際に実測された実測値データに加えて、現時点で実行されている連続分析の中で既に終了した分析において実測された実測値データも利用することができる。したがって、後者の場合には、連続分析の中で分析が進行するに従い、分析所要時間の算出精度が向上してゆく。
上記のような本発明の趣旨に鑑みれば、本発明は、分析前準備時間が相対的に長く、しかも分析条件等に応じてその時間の長さの変化が大きいような分析装置に特に有効である。こうした分析装置として最も典型的であるのは、試料に含まれる各成分をカラムにより時間的に分離し、分離された各成分を順次検出するクロマトグラフ分析装置、具体的には液体クロマトグラフやガスクロマトグラフなどである。したがって、クロマトグラフ分析装置に本発明を適用することにより、分析所要時間の算出精度を従来に比べて大幅に向上させることができる。
本発明に係る自動分析装置によれば、連続分析の開始前又は連続分析の実行中に連続分析の所要時間や分析終了予定時刻をオペレータに提示する際に、その時間の算出精度を従来に比べて向上させることができる。したがって、例えば連続分析中に装置から離れていたオペレータが上記のように提示された情報を参考にして装置のところに戻って来たとき、連続分析が終了する直前又は直後である可能性が高く、時間を無駄にすることなく効率良く作業を進めることができる。
以下、本発明に係る自動分析装置の一実施例として液体クロマトグラフについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施例による液体クロマトグラフの要部のブロック構成図である。この液体クロマトグラフは、溶離液(移動相)槽1、送液ポンプ2、オートサンプラ3、カラムオーブン5に内装されたカラム6、検出器7、これら各部をそれぞれ制御する制御部8、制御部8を通して分析作業を管理したり検出器7で得られたデータを解析・処理したりするパーソナルコンピュータ9を備える。
この液体クロマトグラフによる分析動作について概略的に説明すると、パーソナルコンピュータ9から指示を受けた制御部8の制御の下で、送液ポンプ2は溶離液槽1から吸引した溶離液を略一定流量で以てオートサンプラ3を介してカラム6へと流す。オートサンプラ3には多数の試料瓶(バイアル)が搭載されたラック4がセットされており、制御部8の制御の下に所定の試料を選択し所定のタイミングで該試料を溶離液中に注入する。この試料は溶離液に乗ってカラム6へと導入される。試料中の各成分がカラム6を通過する時間(保持時間)は成分によって異なるため、カラム6を通過する間に試料中の各成分は時間的に分離される。検出器7はこうしてカラム6により分離されて溶出する成分を順次検出し、検出データを制御部8を介してパーソナルコンピュータ9へ送る。パーソナルコンピュータ9では受け取ったデータをハードディスク等の記憶装置に格納するとともに、所定の処理を行ってクロマトグラムを作成してディスプレイ11の画面上に表示する。
ラック4に搭載された多数の試料を連続的に分析するために、分析に先立って、オペレータは入力部10からスケジュールテーブルを設定する。図2はこのスケジュールテーブルの一例である。分析メソッドは分析条件を記述したデータファイルの名称である。したがって、分析メソッドが同一である場合には分析条件は全く同一である。分析条件としては、例えばカラムオーブン5の設定温度、オートサンプラ3による試料注入条件、分析時間などがある。ここでは、カラムオーブン設定温度が、Method_1では40℃、Method_2では60℃であるとものとする。
オペレータは図2のようなスケジュールテーブルを設定した後に連続分析開始の指示を与える。パーソナルコンピュータ9は連続分析開始の指示を受けて、制御部8に対してスケジュールテーブルの順番で分析条件データを送り、分析開始を指示する。また、パーソナルコンピュータ9はスケジュールテーブルに記載された全分析に要する時間を推算し、例えば分析終了予定時刻をディスプレイ11の画面上に表示する。以下、本実施例の液体クロマトグラフの特徴である全分析所要時間の推算の手順を説明する。
この液体クロマトグラフでは、連続分析を実行する過程で各分析毎に分析前準備時間を実測し、その実測値データを分析メソッド(つまり分析条件)の遷移状態に対応付けてテーブルとして記憶する。いま図2の例で考えると、分析メソッドの遷移状態には次の4通りのパターンが考え得る。
[i] Method_1 → Method_1
[ii] Method_1 → Method_2
[iii] Method_2 → Method_1
[iv] Method_2 → Method_2
[i]ではカラムオーブン温度は40℃を維持し、[iv]ではカラムオーブン温度は60℃を維持する。いずれの場合にもカラムオーブン5における昇温又は降温制御は不要であるので分析前準備時間は相対的にかなり短い。これに対し、[ii]ではカラムオーブン温度を40℃→60℃に昇温制御する必要があり、[iii]ではカラムオーブン温度を60℃→40℃に降温制御する必要があるため分析前準備時間は相対的にかなり長くなる(実際には数分程度掛かる)。これら4通りの遷移状態に対する分析前準備時間はそれぞれ異なる(偶然に一致する場合もあり得る)から、分析の実行過程でこれら4通りの遷移状態に対する分析前準備時間の実測値データを取得することが望ましい。すなわち、上記例の場合、分析前準備時間の実測値テーブルは図4に示すようになる。
こうした実測値テーブルを作成するために、パーソナルコンピュータ9では、具体的に各分析において図3に示す処理を実行する。まず、直前の分析における分析メソッドから現時点の分析メソッドへの遷移状態をスケジュールテーブルから抽出する(ステップS10)。次に、この遷移状態又はそれに対応する実測値データが分析前準備時間実測値テーブルに存在するか否かを判定する(ステップS11)。もし、その遷移状態又はそれに対応する実測値データが実測値テーブルに存在する場合には、分析前準備時間を実測する必要がないのでそのまま処理を終了する。
一方、その遷移状態又はそれに対応する実測値データが実測値テーブルに存在しない場合には、分析開始命令が出されてから実際に試料に対する分析動作が開始されるまでの時間、つまり分析前準備時間を実測する(ステップS12)。液体クロマトグラフの場合、試料に対する分析動作の開始とはオートサンプラ3によって試料液が溶離液に注入される試料注入時点であって、試料を実際に注入したことを知らせる信号はオートサンプラ3から制御部8を介しパーソナルコンピュータ9に伝達されるようになっている。実測値データが得られると、実測値テーブルにおいて、分析メソッドの遷移状態に対応付けてその実測値データを格納する(ステップS13)。なお、ステップS11にて既に実測値データが実測値テーブルに存在すると判定された場合であっても、ステップS12、S13に進んで分析前準備時間を実測し、既に書き込まれている実測値を書き換えるようにしてもよい。
上記処理は各分析毎に実行されるため、分析メソッドについての様々な遷移状態のパターンが存在する場合、分析の進行に伴って分析前準備時間実測値テーブルの内容は充実、つまり実測値データが存在しないような遷移状態は減ってゆく。図2のスケジュールテーブルに沿った連続分析において、分析開始前の状態が分析メソッドMethod_1であるものとすると、番号=1の分析の際には、上記[ii](Method_1 → Method_2)の遷移状態に対する分析前準備時間の実測値が測定されることになり、実測値テーブル上では、Method_1 → Method_2に対応付けて実測値データt2が格納される。次に番号=2の分析の際には、上記[iv]( Method_2 → Method_2)の遷移状態に対する分析前準備時間の実測値が測定されることになり、実測値テーブル上では、Method_2 → Method_2に対応付けて実測値データt4が格納され、続く番号=3の分析の際には同様にして、実測値テーブル上でMethod_2 → Method_1に対応付けて実測値データt3が格納される。
それ以降、番号=4〜10までは、既に実測値テーブルに実測値データが存在するとすれば、この間は分析前準備時間は実測されない。そして番号=11の分析の際に、上記[i]( Method_1 → Method_1)の遷移状態に対する分析前準備時間の実測値が測定されることになり、実測値テーブル上では、Method_1 → Method_1に対応付けて実測値データt1が格納される。この時点で初めて、図4に示す全ての遷移状態に対する実測値データが格納されることになる。
また、連続分析の所要時間の算出が指示されると、パーソナルコンピュータ9は図5に示す手順に従って演算処理を実行する。
まずスケジュールテーブル(図2)に記述された番号順に従って、1つの分析について直前の分析における分析メソッドから現時点の分析メソッドへの遷移状態をスケジュールテーブルから抽出する(ステップS20)。次に、この遷移状態に対応する実測値データが分析前準備時間実測値テーブルに存在するか否かを判定する(ステップS21)。もし、その遷移状態に対応する実測値データが分析前準備時間実測値テーブルに存在する場合には、そのテーブルにおいてその遷移状態に対応付けられている実測値データを読み出して分析前準備時間とし(ステップS22)、一方、その遷移状態に対応する実測値データが分析前準備時間実測値テーブルに存在しない場合には、予め定めておいたデフォルト値t0を分析前準備時間とする(ステップS23)。いずれの場合でも、分析メソッドにより規定される分析条件の1つとして分析時間が含まれているので、この分析時間と先の分析前準備時間とを加算してその1つの分析に対する所要時間とする(ステップS24)。
次に、スケジュールテーブル上で全ての分析の個々の所要時間の計算が終了したか否かを判定し、未終了のものがあればステップS20へと戻る。したがって、スケジュールテーブルに記載されている番号の順に各分析の所要時間を計算してゆき、最下行の分析(図2の例では番号=12)の所要時間の計算が済んだらステップS25からS26へと進む。そして、それまでに計算した全ての分析の個々の所要時間の総和を計算し、これを連続分析の所要時間とし、それからさらに分析終了予定時刻を計算する(ステップS26)。
上記のように連続分析の所要時間を算出するための処理は、連続分析開始前に行われる場合と連続分析実行途中で任意の分析の開始前に行われる場合とがあり得る。具体的に、連続分析の開始前に分析前準備時間実測値テーブルが全く作成されていない状態から、図2に従った連続分析を実行する場合には次のようになる。
連続分析の開始前に分析所要時間を算出するべく指示が行われたときには、実測値データは全く存在しないから、図5のフローチャートにおいて、全ての分析(つまり番号=1〜12までの各分析)において分析前準備時間としてデフォルト値t0が採用される。したがって、このときの分析所要時間の精度はあまり高いものではない。
次に、番号=1の分析終了時点で分析所要時間を算出する場合について考える。このとき、上述したような分析前準備時間の実測処理によって実測値テーブルにはMethod_1 → Method_2の遷移状態に対応した実測値データt2のみが格納されている。したがって、番号=2以降の分析においてMethod_1 → Method_2の遷移状態となる分析に関しては、分析前準備時間としてデフォルト値ではなく実測値データを採用することができる。具体的には、図2に示すように例えば番号=4の分析がそうである。したがって、この番号=4の分析については分析前準備時間が正確であるので、この1つの分析に対する所要時間は正確に求まる。それ以外の分析については分析前準備時間としてデフォルト値を採用せざるを得ないが、それでも連続分析の開始前に求めたものより分析終了予定時刻の精度は確実に向上する。
さらに、番号=2の分析終了時点で分析所要時間を算出する場合について考える。このとき、実測値テーブルにはさらにMethod_2 → Method_2の遷移状態に対応した実測値データt4も追加して格納されている。したがって、番号=3以降の分析においてMethod_1 → Method_2の遷移状態のみならずMethod_2 → Method_2の遷移状態となる分析に関しても、分析前準備時間としてデフォルト値ではなく実測値データを採用することができる。具体的には、図2に示すように例えば番号=5の分析がそうである。したがって、番号=4、5の分析については分析前準備時間が正確であるので、これら2つの分析に対する所要時間は正確に求まる。つまり、上記の場合よりもさらに分析前準備時間として実測値データが採用されるケースが増加するので、分析終了予定時刻の精度は一層向上する。同様にして分析が進んで実測値テーブル上の実測値データが充実するに伴い、スケジュールテーブル内で未実行の部分の分析所要時間の算出精度は一段と向上することになる。
なお、上記説明では連続分析の実行前に分析前準備時間の実測値テーブルが作成されていないことを前提としたが、以前に実行された連続分析において実測された実測値データを用いることも可能である。このようにすれば、連続分析の開始前であっても、高い精度で分析所要時間を算出することができる。但し、同一連続分析内でない場合、例えば周囲温度などの条件によっては、分析メソッドの遷移状態が同一であったとしても必ずしも分析前準備前時間が同一になるとは限らない。しかしながら、そうであっても分析前準備前時間としてデフォルト値を採用する場合に比べれば格段に分析所要時間の精度が向上するのは確かである。
また、分析メソッド(分析条件)のみならず、一般的にスケジュールテーブルに記述されている他の項目に依っても分析前準備時間が変動することが考え得る。例えば、図2の例ではラックとして番号1、2の2台が使用されているが、ラック番号の変更に伴ってラック交換のための時間が余分に必要になる場合がある。これは例えばラックチェンジャー等によってラック自体を交換する場合などである。このような場合には、分析メソッドの遷移状態とは別に、ラック番号の遷移時の分析前準備時間の実測値データを例えばテーブル形式で記憶しておき、上記と同様にこのテーブルの内容も参照しながら分析前準備時間をより精度の高いものとするとよい。さらにまた、上述したように、周囲温度などスケジュールテーブルには記述されていない項目が分析前準備時間の変動要因となる場合には、これに対応した実測値データを格納するテーブルを用意しておくことによって、より一層の精度の向上を図ることができる。
上記実施例は本発明の一実施例にすぎないから、上記記載した各変形のほかにも、本発明の趣旨の範囲で適宜変更、修正、追加を行っても本発明に包含されることは明らかである。
本発明の一実施例である液体クロマトグラフのブロック構成図。 連続分析を行う際に設定される分析スケジュールテーブルの一例を示す図。 本実施例の液体クロマトグラフにおいて分析前準備時間実測値テーブルを作成するための処理動作を示すフローチャート。 分析前準備時間実測値テーブルの一例を示す図。 本実施例の液体クロマトグラフにおいて分析所要時間及び分析終了予定時刻を推算するための処理動作を示すフローチャート。
符号の説明
1…溶離液槽
2…送液ポンプ
3…オートサンプラ
4…ラック
5…カラムオーブン
6…カラム
7…検出器
8…制御部
9…パーソナルコンピュータ
10…入力部
11…ディスプレイ

Claims (2)

  1. 予め入力設定されたスケジュールテーブルに従って試料を順次交換・選択するとともにそれぞれ分析条件を設定して複数の試料の分析を連続的に実行する自動分析装置であって、連続分析の開始前又は連続分析の実行途中に連続分析の所要時間又は終了予定時刻を推算して提示する自動分析装置において、
    a)連続分析実行時に各分析において分析開始命令が発せられた時点から分析の準備が整って実際に分析が開始される時点までの分析前準備時間を実測する時間測定手段と、
    b)該時間測定手段による分析前準備時間の実測値データを、分析前準備時間の長さに影響を与える、直前の分析における分析条件から当該分析における分析条件への遷移状態を示す情報を含むパラメータに対応付けて記憶しておく記憶手段と、
    c)連続分析の所要時間又は終了予定時刻を推算する際に前記記憶手段を参照し、分析前準備時間の実測値データが存在するパラメータと同一のパラメータの下での分析に対しては該実測値データを用いるともに、分析前準備時間の実測値データが存在しないパラメータの下での分析に対しては規定値を用い、これに実際に分析を実行する所要時間を加えて1分析における所要時間を算出し、スケジュールテーブルに則って最終分析までの各分析における所要時間の総和を求めて連続分析の所要時間を推算する演算処理手段と、
    を備えることを特徴とする自動分析装置。
  2. 試料に含まれる各成分をカラムにより時間的に分離し、分離された各成分を順次検出するクロマトグラフ分析を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
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