JP4442191B2 - 光学用フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板保護フィルムなどの光学用フィルムに関し、さらに詳しくは従来よりも表面欠陥が少なく、面状の優れた光学用フィルムに関する。
液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置に用いる熱可塑性樹脂からなるフィルムには、光学的に透明であり、かつ複屈折が小さい他に光学的な均質性が求められる。このため、高度に延伸したポリビニルアルコールからなる偏光子を保護するための偏光子保護フィルムや、ガラス基板を樹脂フィルムに代えたプラスチック液晶表示装置用のフィルム基板の場合、1)複屈折と厚みの積で表される位相差が小さいこと、2)外部の応力などによりフィルムの位相差が変化しにくいこと、3)平面方向および厚み方向の面内でこれらの位相差のむらが小さいこと、4)フィルム表面の凹凸による、いわゆるレンズ効果による画像のゆがみ現象が生じにくいこと、が要求される。すなわち、位相差が大きかったり、外部の応力などにより位相差が変化したり、面内における位相差の変化が大きかったり、フィルム表面の凹凸によるレンズ効果があると、液晶表示装置の画質品位を著しく低下させる。すなわち、色が部分的に薄くなるなどの色とび現象や、画像が歪むなどの弊害が出る。
そこで、液晶表示装置に用いられる熱可塑性樹脂からなる光学用フィルムとしては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース等のプラスチックからなるフィルムが知られている。これらプラスチックフィルムを製造する場合、プラスチックの溶融流動、溶剤乾燥収縮、熱収縮や搬送応力等により成形中のフィルムには各種応力が発生する。そのため、得られるフィルムにはこれらの応力により誘起される分子配向に起因する複屈折により位相差が残存しやすい。そのため必要に応じ熱アニール等のフィルムに対する特別な処理を施し残存する位相差を低減させなければならず製造工程が煩雑になるなどの問題がある。また、残存する位相差を低減させたフィルムを用いた場合でも、そのあとのフィルムの加工時に生じる応力や変形により新たな位相差を生じる。更に、プラスチックフィルムが偏光保護フィルムとして用いられる場合、偏光子の収縮応力により該フィルムに好ましくない位相差が生じ、偏光フィルムの偏光性能に悪影響を及ぼすことが知られている。
これらの問題を解決するため、より分極の小さい、すなわち、分子の配向による位相差が発現しにくいプラスチックフィルムを得ることが試みられている。例えば、環状オレフィン系フィルムや、マレイミド成分を有するオレフィン系フィルムが提案されている。
また、光学フィルム用途では光学的均質性のため、フィルムの厚さの均一性が特に高度に要求される。このため、従来からこれらの用途に用いられるフィルムは、厚さの均一性に優れる溶液流延法で製造されてきた。しかし、近年、溶液流延法は溶剤による環境の汚染や生産性の低さが指摘され、溶液流延法から溶融押出法に転換されつつある。しかし、これまで、溶融押出法で成膜されたフィルムは厚さむらが大きく、ダイラインが生じやすいなどの欠点もあるため、厚みの均一性や光学特性を厳しく要請される偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの光学用途のフィルム製造法として、溶融押出法はほとんど実用化されていない。
ところで、ダイラインは、ダイスから押出される溶融樹脂がダイスの壁面に付着したその付着跡が線状痕となって現れるダイラインと、ダイスのリップ口に付着した樹脂跡を通過したダイラインなどがあり、これらのダイラインの凹凸は約0.1〜0.5μm程度でその幅は約50〜500μm程度の山と谷からなっている。光学フィルムにおいては、このダイラインが光信号エラーの原因あるいはディスプレイにダイライン模様が映るなどの悪影響を与えるため、フィルムの押出成形時に溶融樹脂の温度の調整や溶融粘度の選定、冷却ロールとダイスのエアーギャップ、溶融樹脂フィルムが冷却ロールに接した溶融樹脂フィルムに電圧を付与するなどの試みがなされている。また、ダイスのリップ部に研磨処理やクロム鍍金などの鍍金処理を施したりしている。しかしながら、これらの方法では、ダイラインを防止するには十分ではなく、生産を続けていくうちに徐々にダイラインが増加してしまい、生産面や製品特性の安定性など種々の問題が生じている。そこで、種々の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、環状オレフィン系熱可塑性樹脂よりなり、少なくとも一面に表面粗さが0.01μm以下の平滑面が形成され、厚みが0.05〜3mmで、残留位相差が20nm以下であることを特徴とする透明樹脂シートが開示されている。また、このシートを製造する方法として、押出機に取り付けられたTダイから溶融状態の環状オレフィン系熱可塑性樹脂を、金属製の冷却用ロールと金属製の冷却用ベルトによって挟圧することにより、当該環状オレフィン系熱可塑性樹脂を当該冷却用ロール又は冷却用ベルトに圧着させ、その後、前記環状オレフィン系熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度で当該環状オレフィン系熱可塑性樹脂を前記冷却ロール又は前記冷却用ベルトから剥離することが記載されている。
また、特許文献2には、リップエッジのRが0.005〜0.05mmであり、且つ表面粗さRaが0.005μm以下であるTダイを用いて溶融押出成形することを特徴とするポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法が開示されている。これによれば、ダイラインが極めて少なく光学用途に使用されると記載されている。
当出願人は、特許文献3において、環状オレフィン樹脂を溶融し、溶融状態の環状オレフィン樹脂を剥離強度75N以下のリップ部を有するダイを通して押出し、環状オレフィン樹脂を成形することを特徴とする環状オレフィン樹脂製押出成形物(シート又はフィルム形状)の製造方法を提案している。これによれば、極めて優れた表面平滑性を有するため、光学用途において好適に用いることができると記載されている。
しかしながら、昨今の液晶表示装置の高輝度化に伴い、輝度の高い光源を備える表示装置に、これらの公報に記載された方法により得られた光学用フィルムを用いると、ダイライン由来のスジが光の明もしくは暗として表示画面上に目視でも顕著に見られたり、光漏れが発生したりする問題があり、さらなる改善が求められている。
特開2000−219752号公報 特開2000−355040号公報 特開2000−280315号公報
そこで、本発明の目的は、従来のものより表面欠陥が少なく、特に輝度の高い光源を備える表示装置に用いたときに、ダイラインに起因する明暗のスジが確認されず、さらには光漏れのない光学用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、上記公報に記載の方法で得られた光学用フィルムは、(1)フィルム表面に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さが大きいこと、及び(2)単位長さあたりのダイラインの傾きが大きいことがわかった。そこで、さらに鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂フィルムを溶融押出するに際し、特定のダイスを用いることにより、上記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、
(1)脂環式構造を有する重合体樹脂である非晶性の熱可塑性樹脂を、押出機によって溶融させて当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押出し、押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂を、少なくとも1つの冷却ドラムに密着させて成形して引き取る工程を有する光学用フィルムの製造方法において、ダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.01μm以下で、かつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.005μm以下であるダイスを使用する、長手方向に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さがフィルム全面で15nm〜50nmである光学用フィルムの製造方法、
(2)ダイスリップの剥離強度が75N以下である請求項1に記載の光学用フィルムの製造方法
(3)前記光学用フィルムの厚さを20μm〜50μmとする、請求項1又は2に記載の光学用フィルムの製造方法
(4)前記光学用フィルム面内の位相差Reを10nm以下とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学用フィルムの製造方法
(5)前記冷却ドラムの温度を、前記脂環式構造を有する重合体樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲にする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学用フィルムの製造方法
(6)請求項1〜5の製造方法により得られた前記光学用フィルムを、偏光板保護フィルムとして積層する、偏光板の製造方法
(7)請求項1〜5の製造方法により得られた前記光学用フィルムを延伸して位相差フィルムを得る、位相差フィルムの製造方法
がそれぞれ提供される。
本発明によれば、従来のものより表面欠陥が少なく、特に輝度の高い光源を備える表示装置に用いたときに、ダイラインに起因する明暗のスジが確認されず、さらには輝度ムラのない光学用フィルムを提供することができる。
本発明の光学用フィルムは、非晶性の熱可塑性樹脂からなる。
本発明に使用する非晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、脂環式構造を有する重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂などが挙げられる。中でも、脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。脂環式構造を有する重合体樹脂を使用すると、流動性が高く、製膜時の膜厚のレベリング性が良好で、厚み精度のよいフィルムが得られる。
本発明の光学用フィルムに使用される脂環式構造含有重合体樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
重合体の脂環式構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、もっとも好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあるとフィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加型共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造を有する重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選択される。
本発明の光学用フィルムに好適に用いられるノルボルネン系重合体の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学用フィルムを得ることができる。
ポリマーとしてXの構造を繰り返し単位として有するモノマーとしては、ノルボルネン環に五員環が結合した構造を有するノルボルネン系単量体が挙げられ、より具体的には、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.10,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、及びその誘導体が挙げられる。
また、ポリマーとしてYの構造を繰り返し単位として有するモノマーとしては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3,7−ジエン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)が挙げられる。
ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなノルボルネン系重合体を得る手段としては、具体的にはa)ポリマーとして前記Xの構造を繰り返し単位として有するモノマーと、ポリマーとして前記Yの構造を繰り返し単位として有するモノマーとの共重合比でコントロールして重合し、必要に応じてポリマー中の不飽和結合を水素添加する方法や、b)前記Xの構造を繰り返し単位として有するポリマーと、前記Yの構造を繰り返し単位として有するポリマーとのブレンド比でコントロールする方法が挙げられる。
本発明に使用する非晶性の熱可塑性樹脂の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す。)で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常8,000〜100,000、好ましくは10,000〜80,000、より好ましくは15,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
本発明に用いる非晶性の熱可塑性樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
本発明の光学用フィルムは、非晶性の熱可塑性樹脂からなるものであるが、他の配合剤を含んでいてもよい。配合剤としては、格別限定はないが、層状結晶化合物;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤等が挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、低吸水性等を低下させることなく、フィルム成形時の酸化劣化等によるフィルムの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、非晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
本発明の光学用フィルムは、該フィルムの長手方向に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さがフィルム全面で100nm以下であり、かつ、以下[1]式で表されるフィルムの表面のダイラインの傾きがフィルム全面で300nm/mm以下である。
[1]傾き(nm/mm)=(隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ)/(隣接する山の頂点から谷の底点までの幅)
ここで、「フィルムの長手方向に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さがフィルム全面で100nm以下である」ということは、ダイラインの高さがすべて100nm以下であることを意味し、フィルム表面のダイラインの傾きがフィルム全面で300nm/mm以下である」ということは、ダイラインの傾きがすべて300nm/mm以下であることを意味している。
本発明の光学用フィルムにおいては、前記高さは好ましくは50nm以下、さらに好ましくは30nm以下、前記傾きは好ましくは100nm/mm以下、さらに好ましくは50nm/mm以下である。
前記ダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ、及び傾きが上記範囲であることにより、高輝度のバックライトユニットを有する液晶表示ユニットに組み込む場合にも輝点がなく良好な表示状態とすることができる。
ここで長手方向とは、フィルムを押出す流れ方向のことをいう。
上記ダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ、及び傾きは、三次元表面構造解析顕微鏡を用い、フィルム表面の凹凸のある面を一定速度で走査させて干渉縞を発生させて測定することができる。
ダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ及び傾きを測定するに際しては、隣り合う谷の底点と山の頂点とで、ベースが異なっている場合は、図1のようにベースライン1を引いて、山の頂点2又は谷の底点3からそのベースライン2へ垂直に引いた線とベースライン1との交点間の距離を山の頂点から谷の底点までの距離4とする。また高さは、山の頂点2又は谷の底点3を通ってベースラインに平行な線5、6を引き、線5から線6までの最短距離を高さ7とする。
本発明の光学用フィルムにおいては、該フィルムの長手方向に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの幅が、好ましくは500μm以上、さらに好ましくは1000μm以上である。
本発明においては、フィルム面内の位相差Reが10nm以下であることが好ましく、3nm以下であることがより好ましい。位相差が10nm以下であることにより、液晶表示ユニットに組み込んだ場合の色ムラを抑えることができる。特に大画面の液晶表示装置において色ムラが顕著に目立つ傾向にあるが、このような大画面の表示装置にも好適である。
フィルム面内の位相差Reは、フィルム面内の主屈折率をNx、Nyとし、フィルムの厚さをdとすると、Re=(Nx−Ny)×dで求めることができる。
フィルム面内の位相差Reは、市販の自動複屈折計を用いて測定することができる。
本発明の光学用フィルムの厚さは、通常20〜300μm、好ましくは30〜200μmである。
本発明において、フィルムの厚さ変動は、上記厚さの3%以内であることが好ましく、2.5%以内であることがさらに好ましい。フィルムの厚さ変動を上記範囲とすることにより本発明の光学用フィルムを液晶表示装置に組み込んだ場合の色ムラを小さくすることができる。
本発明の光学用フィルムにおいて、フィルムの揮発性成分の含有量が、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。揮発成分の含有量が前記範囲にあることにより、フィルムの使用環境による寸法変化を少なくすることができ、さらにフィルムを液晶ディスプレイに使用した場合に長期間使用してもディスプレイの表示ムラが発生しないなどの光学特性の安定性に優れるようになる。
揮発性成分は、基材フィルム中に微量含まれる分子量200以下の比較的低沸点の物質であり、例えば、残留単量体や溶媒などが挙げられる。揮発性成分の含有量は、脂環式構造含有重合体樹脂に微量含まれる分子量200以下の物質の合計であり、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量することができる。
本発明の光学用フィルムを成形する方法としては、特に制限されず、例えば、溶液流延法や溶融押出法などの従来公知の方法が挙げられる。中でも、溶剤を使用しない溶融押出法の方が、地球環境や作業環境の観点、あるいは製造コストの観点から好ましい。
また、本発明の光学用フィルムの好ましい製造方法(以下、「本発明の製造方法」と記す)は、非晶性の熱可塑性樹脂を、押出機によって溶融させて当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押出し、押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂を、少なくとも1つの冷却ドラムに密着させて成形して引き取る工程を有する光学用フィルムの製造方法において、ダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.05μm以下で、かつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.025μm以下であるダイスを使用することを特徴とする。
本発明の製造方法において、使用するダイスは、ダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.05μm以下でかつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.025μm以下、好ましくはダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.01μm以下でかつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.005μm以下である。
表面粗さRa及びその分布は、非接触3次元表面形状・粗さ測定機を用いて測定することができる。
本発明の製造方法において、Tダイを有する押出機における非晶性の熱可塑性樹脂の溶融温度は、前記樹脂のガラス転移温度よりも80〜180℃高い温度にすることが好ましく、ガラス転移温度よりも100〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機での溶融温度が過度に低いと樹脂の流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと樹脂が劣化する可能性がある。
ダイスの開口部から押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂を冷却ドラムに密着させる方法としては、特に制限されず、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
冷却ドラムの数は特に制限されないが、通常は2本以上である。また、冷却ドラムの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられるが特に制限されない。またダイスの開口部から押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂の冷却ドラムへの通し方も特に制限されない。
本発明においては、冷却ドラムの温度により、押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂の冷却ドラムへの密着具合が変化する。冷却ドラムの温度を上げると密着はよくなるが、温度を上げすぎるとシート状の非晶性の熱可塑性樹脂が冷却ドラムから剥がれずに、ドラムに巻きつく不具合が発生する恐れがある。そのため、冷却ドラム温度は、好ましくはダイスから押し出す非晶性の熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg(℃)とすると、(Tg+30)℃以下、さらに好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲にする。そうすることにより滑りやキズなどの不具合を防止することができる。
本発明においては、非晶性の熱可塑性樹脂を押出機内で溶融して、当該押出機に取り付けられたダイスから押出す前に、溶融状態の非晶性の熱可塑性樹脂をギヤーポンプやフィルターを通すことが好ましい。ギヤーポンプを使用することにより、樹脂の押出量の均一性を向上させ、厚さむらを低減させることができる。また、フィルターを使用することにより、樹脂中の異物を除去し欠陥の無い外観に優れた光学用フィルムを得ることができる。
また、本発明の光学用フィルムの揮発性成分の含有量を少なくするための手段としては、(1)揮発性成分量の少ない非晶性の熱可塑性樹脂を用いる;(2)フィルムを成形する前に用いる非晶性の熱可塑性樹脂を予備乾燥する;などの手段が挙げられる。予備乾燥は、例えば原料をペレットなどの形態にして、熱風乾燥機などで行われる。乾燥温度は100℃以上が好ましく、乾燥時間は2時間以上が好ましい。予備乾燥を行うことにより、フィルム中の揮発成分量を低減させる事ができ、さらに押し出す非晶性の熱可塑性樹脂の発泡を防ぐことができる。
本発明の光学用フィルムは、液晶表示装置などの表示装置に用いられる部材、例えば、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、透明導電フィルム、タッチパネル用基板、液晶基板、光拡散シート、プリズムシートなどにも用いることができる。中でも、偏光板保護フィルムや位相差フィルムに好適である。
本発明の光学用フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合は、偏光板の片面又は両面に、適当な接着剤を介してこれを積層する。偏光板は、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素などをドープした後、延伸加工することにより得られる。接着層としては、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどの適当なポリマーをベースポリマーとする粘着剤などが用いられる。
本発明の位相差フィルムは、本発明の光学用フィルムを延伸処理して得られる。
延伸処理する方法としては、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いてフィルムの幅方向に対して任意の角度θの方向に連続的に斜め延伸する方法;などが挙げられる。
斜め延伸する方法により、フィルムの幅方向に対して角度θの遅相軸を有する長尺の延伸フィルムを得ることができる。すなわち、角度θを任意の値に設定することにより、面内の遅相軸方向の屈折率、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、及び厚み方向の屈折率を所望の値となるようにすることができ、所定の波長に対して1/2の位相差を与える1/2波長板、及び1/4の位相差を与える1/4波長板とすることができる。
斜め延伸する方法としては、その幅方向に対して角度1〜50度の方向に連続的に延伸して、ポリマーの配向軸を所望の角度に傾斜させるものであれば特に制約されず、公知の方法を採用することができる。本発明に用いることができる斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報等に記載されたものが挙げられる。
延伸処理するときの温度は、前記非晶性の熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg−30℃)から(Tg+60℃)の間、より好ましくは(Tg−10℃)から(Tg+50℃)の温度範囲である。また、延伸倍率は、通常1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
本発明の位相差フィルムとしては、所定の波長に対して1/2波長の位相差を与える1/2波長板、所定の波長に対して1/4波長の位相差を与える1/4波長板、前記1/2波長板と1/4波長板とを特定の角度で貼りあわせた広帯域1/4波長板、ポジティブリターダー(素子面に垂直な方向に正の位相差を有する位相差素子)、ネガティブリターダー(素子面に垂直な方向に負の位相差を有する位相差素子)、などが挙げられる。
本発明の位相差フィルムの厚さは、通常30〜200μmである。
本発明の位相差フィルムにおいては、複数枚の位相差フィルムを、各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層させてもよい。積層させる場合は、公知の積層方法を用いればよい。また、積層の際に粘着剤等を用いてもよい。
本発明を、実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)ダイスリップの表面粗さRa及びその分布
非接触3次元表面形状・粗さ測定機(Zygo社製、New View5000)を用いて測定する。測定は、ダイスリップ全幅において50mm間隔で行う。そして、Raの測定値の算術平均値を代表値とし、各測定値と算術平均値との差をRaの分布とする。
(2)ダイスリップの剥離強度
樹脂ペレットをリップ部と同じ表面を持つテストピースにのせ、300℃のギヤオーブン中に60分間放置した後、室温まで冷却し、次に、測定装置(万能引張圧縮試験機;TCM500(新興通信工業社製))を用い、圧縮用ロードセル500kgf、圧縮速度1mm/minの条件で、テストピースの表面に対して25°の角度から厚み0.5mmのステンレス鋼板からなる圧子を押し当ててペレットをテストピースから剥がすことにより測定する。
(3)フィルムの膜厚(基準膜厚、膜厚ムラ)
フィルムを長手方向に100mm毎に切り出し、その切り出したフィルム10枚について、接触式ウェブ厚さ計(明産社製、RC−101)を用いて、フィルムの幅方向に0.48mm毎に測定し、その測定値の算術平均値を基準膜厚T(μm)とする。膜厚ムラは、前記測定した膜厚の内最大値をTMAX(μm)、最小値をTMIN(μm)として以下の式から算出する。
膜厚ムラ(%)=(TMAX−TMIN)/T×100
(4)フィルムのダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さ及び傾き
フィルムに光を照射して、透過光をスクリーンに映したときにスクリーン上に光の明若しくは暗の縞部分が見られる箇所(ダイライン)について、全幅に渡って観察する。このダイライン部分のフィルムを3cm角程度の大きさに切り取り、三次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製)を用いて、フィルム両面の表面を観察する。フィルム上の凹凸を干渉縞を発生させて測定する。
(5)光漏れ
原反(未延伸)フィルム2枚それぞれを、縦延伸(延伸温度は132℃、延伸倍率は2倍)して延伸フィルムを得、これらを互いの延伸軸が直交するように貼りあわせて積層体を作製する。この積層体をそれぞれ延伸フィルムの延伸軸が偏光板の透過軸に対して45度となるようにして偏光板ではさむ。次に、この偏光板を挟んだ積層体にバックライトにより光を透過させ、偏光板から法線方向の距離で30mmの所に照度計(横河M&C社製、A級照度計51001)を配置し、照度を測定する。照度が300ルクス以上の場合を光漏れ有り、照度が300lx未満の場合を光漏れなしとする。なお、バックライトは、照度5,000ルクスのものと10,000ルクスのものを用いる。
(実施例1)
ノルボルネン系重合体(ZEONOR1420、日本ゼオン社製;ガラス転移温度Tg136℃)のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて100℃で、4時間乾燥した。そしてこのペレットを、リーフディスク形状のポリマーフィルター(濾過精度30μm)を設置した50mmの単軸押出機と表1に示すダイスリップAを有するT型ダイス1を用いて260℃で押出し、押出されたシート状のノルボルネン系重合体を3本の冷却ドラム(直径250mm、ドラム温度120℃、引取り速度0.35m/s)に通して冷却し、600mm幅の光学用フィルム1を得た。得られた光学用フィルム1の評価結果を表2に示す。
比較例1
ダイスリップとして、表1に示すダイスリップBを有するT型ダイス2を用いた他は、実施例1と同様にして光学用フィルム2を得た。得られた光学用フィルム2の評価結果を表2に示す。
(比較例
ダイスリップとして、表1に示すダイスリップCを有するT型ダイス3を用いた他は、実施例1と同様にして光学用フィルム3を得た。得られた光学用フィルム3の評価結果を表2に示す。
(比較例
ダイスリップとして、表1に示すダイスリップDを有するT型ダイス4を用いた他は、実施例1と同様にして光学用フィルム4を得た。得られた光学用フィルム4の評価結果を表2に示す。
(比較例
ダイスリップとして、表1に示すダイスリップEを有するT型ダイス5を用いた他は、実施例1と同様にして光学用フィルム5を得た。得られた光学用フィルム5の評価結果を表2に示す。
Figure 0004442191
Figure 0004442191
本実施例及び比較例の結果から以下のことがわかる。本発明の光学用フィルムは、実施例に示すように、ダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さが100nm以下で、傾きが300nm/mm以下である。そのため、このフィルムを延伸して偏光板にはさんで光漏れを測定すると、照度5,000ルクス及び10,000ルクスのバックライトを用いても光漏れがない。
一方、比較例の光学用フィルムは、ダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さが100nmより大きい、及び/又は傾きが300nm/mmより大きい。そのため、このフィルムを延伸して偏光板にはさんで光漏れを測定すると、照度5,000ルクス及び10,000ルクスのバックライトを用いても光漏れがある(比較例)、照度5,000ルクスのバックライトを用いた場合には光漏れがなくても、10,000ルクスのバックライトを用いると光漏れがある(比較例及び)。
本発明の光学用フィルムのダイラインの拡大部である。
符号の説明
1:ベースライン
2:山の頂点
3:谷の底点
4:山の頂点から谷の底点までの距離
5、6:線
7:山の頂点から谷の底点までの高さ

Claims (7)

  1. 脂環式構造を有する重合体樹脂である非晶性の熱可塑性樹脂を、押出機によって溶融させて当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押出し、押出されたシート状の非晶性の熱可塑性樹脂を、少なくとも1つの冷却ドラムに密着させて成形して引き取る工程を有する光学用フィルムの製造方法において、ダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.01μm以下で、かつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.005μm以下であるダイスを使用する、長手方向に形成されるダイラインの隣接する山の頂点から谷の底点までの高さがフィルム全面で15nm〜50nmである光学用フィルムの製造方法。
  2. ダイスリップの剥離強度が75N以下である請求項1に記載の光学用フィルムの製造方法
  3. 前記光学用フィルムの厚さを20μm〜50μmとする、請求項1又は2に記載の光学用フィルムの製造方法
  4. 前記光学用フィルム面内の位相差Reを10nm以下とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学用フィルムの製造方法
  5. 前記冷却ドラムの温度を、前記脂環式構造を有する重合体樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、(Tg−5)℃〜(Tg−45)℃の範囲にする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学用フィルムの製造方法
  6. 請求項1〜5の製造方法により得られた前記光学用フィルムを、偏光板保護フィルムとして積層する、偏光板の製造方法
  7. 請求項1〜5の製造方法により得られた前記光学用フィルムを延伸して位相差フィルムを得る、位相差フィルムの製造方法
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