本発明のカチオン硬化性組成物には、(I)カチオン重合開始剤と(II)カチオン重合性化合物とが含まれる。
当該(I)カチオン重合開始剤は特に限定されるものではなく、公知の如何なるカチオン重合開始剤でもよい。このようなカチオン重合開始剤としては、ルイス酸或いはブレンステッド酸、又は加熱や光照射によりルイス酸或いはブレンステッド酸を生じる化合物などが知られている。口腔内などの環境で速やかに重合させることが容易な点で、光照射によりルイス酸或いはブレンステッド酸を生じる、所謂、光酸発生剤を採用することが特に好適である。
当該光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、およびハロメチル置換−S−トリアジン有導体等が挙げられる。
これらの中でも、ジアリールヨードニウム塩系化合物及びスルホニウム塩系化合物が、重合活性が特に高い点で優れている。ジアリールヨードニウム塩系化合物の具体例を例示すれば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p−フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなるジアリールヨードニウム塩系化合物が挙げられる。
これらのなかでも、重合性単量体に対する溶解性の点から、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネートをアニオンとして有する化合物が好適に使用でき、また、求核性が低く、光照射を行わなければ重合性単量体との混合物として安定に保存できる点で、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレートをアニオンとして有する化合物が好適に使用できる。
また、スルホニウム塩系化合物としては、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,7−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,8−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p−トリルジフェニルスルホニウム、p−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンとからなるスルホニウム塩系化合物が挙げられる。
これら光酸発生剤は必要に応じて、1種または2種以上混合して用いても何等差し支えない。これら光酸発生剤の使用量は、光照射により重合を開始しうる量であれば特に制限されることはないが、適度な重合の進行速度と得られる硬化体の各種物性(例えば、耐候性や硬度)を両立させるために、一般的にはカチオン重合性単量体100質量部に対し、0.001〜10質量部を用いればよく、好ましくは0.05〜5質量部を用いるとよい。
上記のような光酸発生剤は通常、近紫外〜可視域には吸収の無い化合物が多く、重合反応を励起するためには、特殊な光源が必要となる場合が多い。そのため、近紫外〜可視域に吸収をもつ化合物を増感剤として、上記光酸発生剤に加えてさらに配合することが好ましい。
このような増感剤として用いられる化合物は、例えばアクリジン系色素、ベンゾフラビン系色素、アントラセン、ペリレン等の縮合多環式芳香族化合物、フェノチアジン等が挙げられる。
これら増感剤のなかでも、重合活性が良好な点で、縮合多環式芳香族化合物が好ましく、さらに、少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が縮合多環式芳香族環と結合した構造を持つ縮合多環式芳香族化合物が好適である。
このような少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が縮合多環式芳香族環と結合した構造を持つ縮合多環式芳香族化合物を具体的に例示すると、1−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、アセナフテン、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン、ベンゾ[f]フタラン、ベンゾ[g]クロマン、ベンゾ[g]イソクロマン、N−メチルベンゾ[f]インドリン、N−メチルベンゾ[f]イソインドリン、フェナレン、4,5−ジメチルフェナントレン、1,8−ジメチルフェナントレン、アセフェナントレン、1−メチルアントラセン、9−メチルアントラセン、9−エチルアントラセン、9−シクロヘキシルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエチルアントラセン、9,10−ジシクロヘキシルアントラセン、9−メトキシメチルアントラセン、9−(1−メトキシエチル)アントラセン、9−ヘキシルオキシメチルアントラセン、9,10−ジメトキシメチルアントラセン、9−ジメトキシメチルアントラセン、9−フェニルメチルアントラセン、9−(1−ナフチル)メチルアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−(1−ヒドロキシエチル)アントラセン、9,10−ジヒドロキシメチルアントラン、9−アセトキシメチルアントラセン、9−(1−アセトキシエチル)アントラセン、9,10−ジアセトキシメチルアントラセン、9−ベンゾイルオキシメチルアントラセン、9,10−ジベンゾイルオキシメチルアントラセン、9−エチルチオメチルアントラセン、9−(1−エチルチオエチル)アントラセン、9,10−ビス(エチルチオメチル)アントラセン、9−メルカプトメチルアントラセン、9−(1−メルカプトエチル)アントラセン、9,10−ビス(メルカプトメチル)アントラセン、9−エチルチオメチル−10−メチルアントラセン、9−メチル−10−フェニルアントラセン、9−メチル−10−ビニルアントラセン、9−アリルアントラセン、9,10−ジアリルアントラセン、9−クロロメチルアントラセン、9−ブロモメチルアントラセン、9−ヨードメチルアントラセン、9−(1−クロロエチル)アントラセン、9−(1−ブロモエチル)アントラセン、9−(1−ヨードエチル)アントラセン、9,10−ジクロロメチルアントラセン、9,10−ジブロモメチルアントラセン、9,10−ジヨードメチルアントラセン、9−クロロ−10−メチルアントラセン、9−クロロ−10−エチルアントラセン,9−ブロモ−10−メチルアントラセン、9−ブロモ−10−エチルアントラセン、9−ヨード−10−メチルアントラセン、9−ヨード−10−エチルアントラセン、9−メチル−10−ジメチルアミノアントラセン、アセアンスレン、7,12−ジメチルベンズ(a)アントラセン、7,12−ジメトキシメチルベンズ(a)アントラセン、5,12−ジメチルナフタセン、コラントレン、3−メチルコラントレン、7−メチルベンゾ(a)ピレン、3,4,9,10−テトラメチルペリレン、3,4,9,10−テトラキス(ヒドロキシメチル)ペリレン、ビオランスレン、イソビオランスレン、5,12−ジメチルナフタセン、6,13−ジメチルペンタセン、8,13−ジメチルペンタフェン、5,16−ジメチルヘキサセン、9,14−ジメチルヘキサフェン等が挙げられる。
また上記以外の縮合多環式芳香族化合物としては、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ナフタセン、ベンズ[a]アントラセン、ピレン、ペリレン等が挙げられる。
これら縮合多環式芳香族化合物のなかでも、生体に対する為害性を考慮すると可視光で重合を励起することが可能となる、可視域に吸収を有する化合物が好ましく、可視域に極大吸収を有する化合物がより好ましい。また、これら縮合多環式芳香族化合物は必要に応じて複数の化合物を併用しても良い。
縮合多環式芳香族化合物の添加量も、組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、通常は前期した光酸発生剤1モルに対し、縮合多環式芳香族化合物が0.001〜20モルであり、0.005〜10モルであることが好ましい。
さらに上記縮合多環式芳香族化合物に加えて、酸化型の光ラジカル発生剤を配合すると、より一層重合活性が向上し好ましい。酸化型の光ラジカル発生剤とは、光照射により励起してラジカルを発生する化合物であって、励起により水素供与体から水素を引き抜いてラジカルを生成するいわゆる水素引き抜き型のラジカル発生剤、励起により自己開裂を起こしてラジカルを発生し(自己開裂型ラジカル発生剤)、次いで該ラジカルが電子供与体から電子を引き抜くタイプのもの、及び光照射により励起して電子供与体から直接電子を引き抜いてラジカルとなるもの等の、光照射による励起によって活性ラジカル種を発生させる機構が酸化剤的な作用による(自らは還元される)ものである光ラジカル発生剤である。これら酸化型の光ラジカル発生剤は特に制限されず、公知の化合物を用いれば良いが、光照射を行った際の重合活性が他の化合物に比してより高い点で、水素引き抜き型の光ラジカル発生剤が好ましく、なかでも、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物又はケトクマリン化合物が特に好ましい。
ジアリールケトン化合物を具体的に例示すると4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9−フルオレノン、3,4−ベンゾ―9−フルオレノン、2―ジメチルアミノ―9−フルオレノン、2−メトキシ―9―フルオレノン、2−クロロ―9−フルオレノン、2,7−ジクロロ―9―フルオレノン、2−ブロモ―9―フルオレノン、2,7−ジブロモ―9―フルオレノン、2−ニトロ−9−フルオレノン、2−アセトキ−9−フルオレノン、ベンズアントロン、アントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ジメチルアミノアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,5−ジクロロアントラキノン、1,2−ジメトキシアントラキノン、1,2−ジアセトキシ−アントラキノン、5,12−ナフタセンキノン、6、13−ペンタセンキノン、キサントン、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、9(10H)−アクリドン、9−メチル−9(10H)−アクリドン、ジベンゾスベレノン等を挙げることができる。
α−ジケトン化合物の具体例を例示すれば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等が挙げられる。
またケトクマリン化合物としては、3−ベンゾイルクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)7−メトキシ−3−クマリン、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3,3’−クマリノケトン、3,3’−ビス(7−ジエチルアミノクマリノ)ケトン等を挙げることができる。
これら酸化型の光ラジカル発生剤は単独または2種類以上を混合して用いて使用できる。また、添加量も組み合わせる他の成分や重合性単量体の種類によって異なるが、通常は前記した光酸発生剤1モルに対し、光ラジカル発生剤が0.001〜20モルであり、0.005〜10モルであることが好ましい。
本発明のカチオン硬化性組成物は、(II)カチオン重合性化合物として、オキセタン官能基を有するオキセタン化合物(以下、単にオキセタン化合物)と、ビシクロオルトエステル官能基を有するビシクロオルトエステル化合物(以下、単にビシクロオルトエステル化合物)の双方を含んでいる必要がある。
なお、オキセタン官能基とは、下記式(1)
(式中、Rは水素原子又は1価の基を示す。)
で示される四員環エーテル(オキセタン環)官能基であり、ビシクロオルトエステル官能基とは、下記式(2)
(式中、R’、R”は各々独立に水素原子又は1価の基を示し、R”’、R””、R””’は各々独立に結合手又は置換基を有していても良いアルキレン基を示す。)
で示されるビシクロオルトエステル環からなる官能基である。
本発明で使用されるオキセタン化合物は、カチオン重合可能な化合物であれば特に限定されることはなく公知の化合物を使用することができるが、上記式(1)において、Rがオキセタン環の3位に結合している化合物が好ましい。当該オキセタン化合物を具体的に例示すると、トリメチレンオキサイド、3−メチル−3−オキセタニルメタノール、3−エチル−3−オキセタニルメタノール、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3,3−ジエチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシ)オキセタン等の1つのオキセタン環を有すもの、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシ)ビフェニール、4,4′−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシメチル)ビフェニール、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等、あるいは下記に示す化合物
等のオキセタン環を2つ以上有す化合物が挙げられる。これらオキセタン化合物は、複数種のものを併用しても良い。
特に得られる硬化体の物性の点から、1分子中にオキセタン官能基を2つ以上有するものが好適に使用される。
また、ビシクロオルトエステル化合物もまた、カチオン重合可能な化合物であれば特に限定されることはなく公知のものが使用できるが、前記式(2)において、R”’及びR””がメチレン基であり、R””’が結合手又はメチレン基である化合物が好ましい。
代表的なビシクロオルトエステル化合物を具体的に例示すれば、2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1,4−ジメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1,4−ジエチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ヒドロキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ヒドロキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ヒドロキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ヒドロキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ヒドロキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メトキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メトキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−メトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−メトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−メトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−メトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−メトキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−メトキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−メトキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エトキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エトキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−エトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−エトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−エトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−エトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−エトキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−エトキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−エトキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ベンジルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ベンジルオキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ベンジルオキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−ベンジルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−ベンジルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−ベンジルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−ベンジルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ベンジルオキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ベンジルオキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ベンジルオキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−フェニルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−フェニルオキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−フェニルオキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−フェニルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−フェニルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−フェニルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−フェニルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−フェニルオキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−フェニルオキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−フェニルオキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−アセトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−アセトキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−アセトキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−アセトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−アセトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−アセトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−アセトキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−アセトキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−アセトキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−アセトキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メタクリルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メタクリルオキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メタクリルオキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−メタクリルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−メタクリルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−メタクリルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−メタクリルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−メタクリルオキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−メタクリルオキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−メタクリルオキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ベンゾイルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ベンゾイルオキシメチル−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ベンゾイルオキシメチル−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−ベンゾイルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−ベンゾイルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−ベンゾイルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−ベンゾイルオキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ベンゾイルオキシエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ベンゾイルオキシエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ベンゾイルオキシエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ビニル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ビニル−4−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ビニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−クロロメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−クロロメチル−4−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−クロロメチル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ブロモメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ブロモメチル−4−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−ブロモメチル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−クロロメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−クロロメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−クロロメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−クロロメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、4−ブロモメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチル−4−ブロモメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−エチル−4−ブロモメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−イソプロピル−4−ブロモメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ブロモエチル)−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ブロモエチル)−4―メチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、1−(1−ブロモエチル)−4―エチル―2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン、2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−フェニル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン等のビシクロオルトエステル官能基を1つ有する化合物、また、
等のビシクロオルトエステル官能基を二つ有する化合物、更に
等の、1分子中にビシクロオルトエステル官能基を三つ以上有する化合物が挙げられる。これらビシクロオルトエステル化合物は、異なる種類のものを複数用いても良い。
本発明における最大の特徴は、組成物中におけるオキセタン官能基の量と、ビシクロオルトエステル官能基の量とが特定の範囲となるよう、オキセタン化合物とビシクロオルトエステル化合物の配合量を調整する点にある。即ち、オキセタン化合物が1分子あたりa個のオキセタン官能基を有し、ビシクロオルトエステル化合物が1分子あたりb個のビシクロオルトエステル官能基を有する場合、(a×A):(b×B)が99.99:0.01〜50:50の範囲となるように、オキセタン化合物をAモルと、ビシクロオルトエステル化合物をBモル配合する必要がある。
なお、前述したように本発明においては、オキセタン化合物は単一のものを用いても良いし、異なる種類のものを複数用いても良い。オキセタン化合物として単一のものを用いた場合、あるいはその有するオキセタン官能基数が同一のオキセタン化合物のみを用いた場合の、上記1分子あたりのオキセタン官能基数は、該オキセタン化合物の有するオキセタン官能基の数に等しい。一分子あたりのオキセタン官能基の数の異なる複数の化合物を用いた際には、上記オキセタン官能基の数は、その配合量(比)と各々の化合物が有する官能基の数とから求める平均値である。例えば、オキセタン官能基を1つだけ有すオキセタン化合物と、2つ有すオキセタン化合物を等モル量用いた場合には、1分子あたり1.5個のオキセタン官能基を有するオキセタン化合物を用いたものとして計算する。同様に、オキセタン官能基を1つだけ有すオキセタン化合物と2つ有すオキセタン化合物をモル比にして1:3の割合で用いた場合には、1分子あたり1.75個のオキセタン官能基を有するオキセタン化合物を用いたものとして計算する。
ビシクロオルトエステル化合物の一分子あたりの平均官能基数も、上記と同様にして算出すればよい。
また、本発明において、オキセタン化合物、ビシクロオルトエステル化合物のいずれも、各々必ず1つ以上のオキセタン官能基、ビシクロオルトエステル官能基を有するから、上記a、bのいずれも1未満になることはない。化合物の入手の容易さや、本発明の硬化性組成物の粘度等の操作性、硬化後の硬化体の機械的物性等を考慮すると、a、bのいずれもが1〜5の範囲にあることが好ましく、1.5〜3の範囲にあることがより好ましい。
上述の通り、本発明においては(a×A):(b×B)が99.99:0.01〜50:50の範囲にあることが必須である。この範囲にすることにより、カチオン重合性化合物がオキセタン化合物のみ(上記比が100:0)である場合に比して、ゲル化時間、硬化時間共に、遥かに早いものとすることができる。他方、50:50よりもビシクロオルトエステル官能基数が多くなる(比率が高くなる)ほどにビシクロオルトエステル化合物を配合すると、該化合物を全く配合しなかった場合よりも硬化が遅くなってしまう。なお、ビシクロオルトエステル化合物は極めてカチオン重合性が悪く、通常、該化合物のみではほとんど光硬化しない。より良好な硬化速度を得られる点で、好ましくは、(a×A):(b×B)が99.9:0.1〜60:40の範囲であり、さらに硬化体物性等の観点からより好ましくは99:1〜70:30の範囲である。
他方、ビシクロオルトエステル官能基と同様、重合収縮のほとんどない開環重合性の他の官能基である、オルトスピロエステル官能基やオルトスピロカーボネート官能基を有する化合物を、オキセタン化合物と組み合わせても、硬化時間が早くなることはなく、またゲル化時間もビシクロオルトエステル化合物を用いた場合ほど早くはならない。また、エポキシ官能基を有する化合物を、オキセタン官能基を有する化合物と組み合わせた場合には、硬化時間は早くなるが、やはりゲル化はさほど早くならないという問題があり、さらに、エポキシ官能基は、ビシクロオルトエステル官能基に比して重合収縮が大きいという問題がある。またエポキシ官能基を有する化合物は毒性が強い傾向もあり、この点からも歯科用としてはあまり好ましくない。
また、ビシクロオルトエステル化合物と、エポキシ官能基、オルトスピロエステル官能基あるいはオルトスピロカーボネート官能基を有する化合物との組み合わせでは、本発明の硬化性組成物よりも硬化性に劣るものしか得られない。
本発明のカチオン硬化性組成物には、前記官能基比率を保持する限り、カチオン重合性化合物として、オキセタン化合物及びビシクロオルトエステル化合物に加えて、オキセタン官能基及びビシクロオルトエステル官能基以外の他のカチオン重合性官能基を有する化合物が配合されていても良いが、硬化性組成物中のカチオン重合性官能基中に占める他のカチオン重合性官能基の割合が増えるほど、硬化速度が遅くなったり、ゲル化時間が長くなったり、あるいは重合収縮率が大きくなったりするため、カチオン硬化性組成物中の全カチオン重合性官能基の総和を100モル%としたとき、その他の官能基の占める割合は30モル%未満であることが好ましく、10モル%未満であることが好ましく、5モル%未満であることが更に好ましく、オキセタン官能基及びビシクロオルトエステル官能基以外の他のカチオン重合性官能基は実質的に存在しないことが特に好ましい。
また、必要に応じて(メタ)アクリレート系単量体等の付加重合型のラジカル重合性単量体を配合することも可能である。ラジカル重合性単量体を配合することにより、さらに見かけの硬化時間を短くすることができる。一方、付加重合型のラジカル重合性は重合収縮が大きいため、あまり多量に配合することは好ましくない。ラジカル重合性単量体を配合する場合のその配合量は、カチオン重合性単量体とラジカル重合性単量体の合計100質量%に対して、30質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることが好ましい。
このようなラジカル重合性単量体を具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。
本発明の歯科用カチオン硬化性組成物には、上記重合開始剤及び重合性単量体に加えて、歯科用硬化性組成物の配合成分として公知の他の成分を配合することができる。
代表的な他の配合成分としては(III)充填材が挙げられる。本発明の歯科用カチオン硬化性組成物に充填材を配合することにより、重合収縮をさらに小さくすることができる。また、充填材を用いることにより、硬化前の硬化性組成物の操作性を改良したり、あるいは、硬化後の機械的物性の向上を計ることができ、特に歯科用の充填修復材料として有用性の高いものとなる。
本発明の歯科用カチオン硬化性組成物に対して充填材を配合する場合、その充填材の種類や配合量は、該組成物の用途に応じて適宜設定すればよい。例えば、本発明の歯科用カチオン硬化性組成物を充填修復材料として用いる場合には、歯科用充填修復材料の充填材として公知の充填材を配合すればよい。
より具体的には、石英、シリカ、アルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の無機粒子(以下、無機フィラー)が挙げられる。さらに、これら無機フィラーと重合性単量体を予め混合し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機−無機複合粒子(有機−無機複合フィラー)を用いてもよい。なお、無機フィラーとして、ジルコニア等の重金属を含むものを用いることによってX線造影性を付与することもできる。
これら充填材の粒径、形状は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている、球状や不定形の、平均粒子径0.01μm〜100μmの粒子を目的に応じて適宜使用すればよい。また、これら充填材の屈折率も特に限定されず、一般的な歯科用組成物の充填材が有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用できる。
本発明のカチオン硬化性組成物に上記充填材を配合する場合の配合量も特に限定されないが、歯科用充填修復材料として用いる場合には、前記重合性単量体100質量部に対して、50〜1500質量部、好ましくは70〜1000質量部とすることが好ましい。さらに、これら無機フィラー、有機−無機複合フィラー等の充填材は各々単独で用いても良いし、材質、粒径、形状等の異なる複数種のものを併用しても良い。硬化後の機械的物性に優れる点で、歯科用充填修復材料として用いる場合には、無機フィラーを主とすることが特に好ましい。
また必要に応じてポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルメタクリレート共重合体、架橋型ポリメチルメタクリレート、架橋型ポリエチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等の有機高分子からなる粒子(有機フィラー)を充填材として配合することも可能である。
さらに本発明の歯科用カチオン硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、重合禁止剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料、有機溶媒や増粘剤等の公知の添加剤が配合されていても良い。
本発明の歯科用カチオン重合性組成物は上記のような歯科用充填修復材料として特に好適に使用されるが、それに限定されるものではなく、歯科用接着材や義歯床用材料等その他の用途にも使用できる。
本発明の歯科用カチオン硬化性組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の製造方法を適宜採用すればよい。具体的には、本発明の歯科用カチオン硬化性組成物を構成する、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物ならびに必要に応じて配合されるその他の配合成分を所定量秤取り、これらを混合すればよい。
本発明の歯科用カチオン硬化性組成物の包装形態は特に制限されるものではなく、その目的や保存安定性を考慮して適宜決定すればよい。例えば、カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を配合した際には、本発明の歯科用カチオン硬化性組成物を構成する全ての成分を遮光状態で一つの包装とすればよい。一方、光照射を行わずとも室温でカチオン重合を開始できるような成分を重合開始剤として用いる場合には、保存中に重合・硬化してしまわないように、2つ以上の包装に分割しておき、使用直前に両者を混合するような形態が好ましい。
本発明の歯科用カチオン硬化性組成物を硬化させる手段としては用いたカチオン重合開始剤の重合開始機構に従い適宜、公知の重合手段を採用すればよく、具体的には、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、蛍光灯、太陽光、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー等の光源による光照射、或いは加熱重合器等を用いた加熱、またはこれらを組み合わせた方法等が何等制限なく使用される。光照射により重合させる場合には、その照射時間は、光源の波長、強度、硬化体の形状や材質によって異なるため、予備的な実験によって予め決定しておけばよいが、一般には、照射時間が5〜60秒程度の範囲になるように、各種成分の配合割合を調整しておくことが好ましい。同様に加熱時間及び加熱温度も予備的な実験によって予め決定しておけばよい。
また、前述のように本発明のカチオン硬化性組成物を歯科用充填修復材として用いた場合には、表面未重合層が実質的に存在しないため、従来のラジカル硬化型のもののように表面未重合層を研磨、除去する必要はないが、歯牙の形状に近づけるために研磨等を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではない。尚、本文中、並びに実施例中に使用した化合物の名称および構造は以下の通りである。
1.オキセタン化合物
2.ビシクロオルトエステル化合物
3.オキセタン化合物又はビシクロオルトエステル以外のカチオン重合性化合物(単量体)
4.ラジカル重合性単量体
5.光酸発生剤
6.縮合多環芳香族化合物
7.酸化型の光ラジカル発生剤
CQ:カンファーキノン
8.その他
DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン
また、本文中ならびに実施例中に示した物性評価方法については次の通りである。
(1)硬化時間
ガラス板上に、約直径6mm、高さ3mmに硬化性組成物を築盛し、築盛物上面約5mmの距離から歯科用光照射器(TOKUSO POWER LITE、(株)トクヤマデンタル社製)により可視光を照射した。そのとき、太さ約0.4mmの針で照射光を遮らない様、築盛物上面および側面の硬さを調べ、築盛物全体に針が刺さらなくなった時を硬化時間とした。
(2)ゲル化時間
ガラス板上に、調製した硬化性組成物を直径6mm、高さ3mmの円盤状に築盛した。次に硬化性組成物を載せたガラス面方向から約5mm離して歯科用照射機(TOKUSO POWER LITE、(株)トクヤマデンタル社製)で硬化性組成物に対して照射を開始した。この光照射を行いつつガラス面の反対側から、築盛した硬化性組成物に針を接触させて探り、この部分に流動性が認められなくなった時点をゲル化時間とした。
(3)重合収縮率
直径3mm、高さ7mmの孔を有するSUS製割型に、直径3mm、高さ4mmのSUS製プランジャーを填入して孔の高さを3mmとした。これに硬化性組成物を充填し、上からポリプロピレンフィルムで圧接した。フィルム面を下に向けて歯科用照射器の備え付けてあるガラス製台の上に載せ、更にSUS製プランジャーの上から微小な針の動きを計測できる短針を接触させた。歯科用照射器によって重合硬化させ、照射開始より10分後の収縮(%)を、短針の上下方向の移動距離から算出した。
(4)曲げ強度・曲げ弾性率
硬化性組成物を2×2×25mmの金型に充填し、光照射器にて1.5分間光照射し硬化させた。硬化物を37℃で一晩保存した後、オートグラフ(島津製作所社製)を使用し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード0.5mm/分で3点曲げ強度と曲げ弾性率を各々5個の硬化物について測定し、その平均値を算出した。
実施例1
OXT−121(東亜合成社製)とBOE−1とを、OXT−121が1モルに対して、BOE−1が0.1053モルとなるように量を調節して配合した。この場合、OXT−121は2官能のオキセタン化合物であるからaが2、BOE−1は単官能のビシクロオルトエステル化合物であるからbが1であり、官能基割合は(a×A):(b×B)=(2×1):(1×0.1053)=95:5となる。
この重合性化合物の混合物100質量部に対してIMDPIを1質量部、DMBAnを0.1質量部、CQを0.4質量部加え、暗所で攪拌溶解し、マトリックスAとした。
他方、球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.5μm)と球状シリカ−チタニア(平均粒径0.1μm)の質量比7:3の混合物20gを、pH4.0に調整した塩酸80mlに縣濁させ、攪拌しながら3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン1.2gを滴下した。1時間攪拌後、エバポレーターで水を留去し、得られた固体を乳鉢で粉砕後、減圧下80℃で15時間乾燥した。乾燥後、得られた粉末を無機フィラーaとした。
調製した無機フィラーaと上記マトリックスAを、無機フィラー含有率が76質量%となるようにメノウ乳鉢で混合し、該混合物を真空下、脱泡して気泡を取り除き歯科用充填修復材料を得た。
この歯科用充填修復材料について各物性を測定したところ、ゲル化時間が3秒、硬化時間が9秒、重合収縮率が1.1%であった。
比較例1
OXT−121とBOE−1との混合物に代えて、全てOXT−121を用いた以外は実施例1と同様にして歯科用充填修復材料を調整し、各種物性を測定した。その結果、ゲル化時間が7秒、硬化時間が33秒、重合収縮率が1.1%であった。
実施例2〜4
OXT−121とBOE−1との混合比を表1に示す割合で変化させて各種物性を測定した。なお表中、オキセタン化合物の欄の数値は(a×A)+(b×B)を100とした場合の(a×A)を、ビシクロオルトエステル化合物の欄の数値は(b×B)を示す。測定された物性を表1に示す。
比較例2
OXT−121とBOE−1との混合物に代えて、全てBOE−1を用いた以外は実施例1と同様にして歯科用充填修復材料を調整し、各種物性を測定しようとしたが、10分間の光照射でも全く硬化しなかった。
実施例5〜8
BOE−1に代えて、BOE−2を用い、これとOXT−121との混合比を表1に示す割合で変化させて各種物性を測定した。なお表中、オキセタン化合物の欄の数値は(a×A)+(b×B)を100とした場合の(a×A)を、ビシクロオルトエステル化合物の欄の数値は(b×B)を示す。測定された物性を表1に示す。
比較例3
OXT−121とBOE−1との混合物に代えて、OXT−221を100%とした以外は実施例1と同様にして歯科用充填修復材料を調整し、各種物性を測定した。その結果、ゲル化時間が6秒、硬化時間が30秒、重合収縮率が1.2%であった。
実施例9〜12
OXT−121に代えて、OXT−221を用い、これとBOE−1との混合比を表1に示す割合で変化させて各種物性を測定した。なお表中、オキセタン化合物の欄の数値は(a×A)+(b×B)を100とした場合の(a×A)を、ビシクロオルトエステル化合物の欄の数値は(b×B)を示す。測定された物性を表1に示す。
上記表1に示した結果から理解されるように、オキセタン化合物の有するオキセタン官能基に対してビシクロオルトエステル官能基が特定の範囲となるようビシクロオルトエステル化合物を配合することにより、オキセタン化合物単独、若しくはビシクロオルトエステル化合物単独の場合よりも遥かにゲル化時間、硬化時間とも短くすることができるため、口腔内で用いる歯科用の硬化性組成物として極めて優れたものとすることができる。
比較例4〜11
表2に示す官能基割合になるように、各種カチオン重合性化合物を所定量配合し、実施例1と同じ割合で光カチオン重合開始剤を加えて歯科用充填修復材を得た。これらの組成物のゲル化時間、硬化時間及び重合収縮率を測定し、結果を表2に示した。なお表中、各化合物の欄の数値は、組成物中の全カチオン重合性官能基の総和を100とした場合の、各々の化合物に由来するカチオン重合性官能基の割合を示す値であり、その計算方法は前記オキセタン官能基及びビシクロオルトエステル官能基の場合と同様である。
これら比較例と、前記実施例を比較すれば理解されるように、オキセタン化合物に対して、ビシクロオルトエステル化合物以外のカチオン重合性化合物を配合しても、ゲル化を速くする効果はビシクロオルトエステル化合物よりも大幅に小さい。
他方、ビシクロオルトエステル化合物を、エポキシ化合物やビニルエーテル化合物に配合してもゲル化時間の短縮はなく、むしろゲル化時間が長くなる傾向がある。即ち、本発明の効果は、オキセタン化合物とビシクロオルトエステル化合物との組み合わせに特異的な効果である。
なお、比較例10,11として示されるようにビニルエーテル化合物は極めてゲル化時間の早い化合物であるが、開環重合ではなく付加重合型の化合物であるため、重合収縮率が大きい。従って、(メタ)アクリレート系のラジカル重合性単量体を用いた際に起こる重合収縮という問題の解決は、該ビニルエーテル化合物を用いてもほとんど解決されない。
比較例12
ラジカル重合性化合物であるBis−GMAを50質量部と、3Gを50質量部混合し、この混合物に対してDMPTを1質量部、CQを0.4質量部加えて暗所で攪拌溶解した。
他方、球状シリカ−ジルコニア(粒径0.5μm)と球状シリカ−チタニア(粒径0.1μm)の重量比7:3の混合物20gをpH4.0に調整した塩酸80mlに縣濁させ、攪拌しながら3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを1.26gを滴下した。1時間攪拌後、エバポレーターで水を留去し、得られた固体を乳鉢で粉砕後、減圧下80℃で15時間乾燥した。乾燥後、得られた粉末を無機フィラーbとした。これをメノウ乳鉢中で無機フィラー含有率が76質量%となるように上記ラジカル重合性単量体混合物と混合し、該混合物を真空下、脱泡して気泡を取り除き従来型の歯科用充填修復材料を得た。
この歯科用充填修復材について各種物性を測定したところ、重合収縮が2.0%と大きく、さらに空気に接した部分はべとついており、未硬化の部分が残っていた。
また実施例2、比較例1、4、8及び12で用いた歯科用充填修復材料について曲げ強度と曲げ弾性率を測定した。その結果を表3に示す。