JP4457516B2 - 液滴噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液室の少なくとも一部の壁面を変形させるための圧電材料板を備えた液滴噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットタイプのプリンタに用いられるインクジェットヘッドとして、圧電素子を用いたものが知られている。このようなインクジェットヘッドでは、インク圧力室を覆う壁部に圧電材料からなる板状の部材(圧電材料板)を使用する。この圧電材料板に駆動電圧を印加することにより上記壁部を変形させ、インク圧力室内のインクに圧力を誘起する。これにより、インク圧力室に連続するノズルからインクを吐出するものである。
【0003】
このような圧電材料板を駆動変形させるモードとして、通常、ダイレクトモードと、シェアーモードとがある。ダイレクトモードでは、駆動電圧の印加にともなう電界の方向と圧電材料板の変形方向とが一致し、シェアーモードでは、上記電界の方向と圧電材料板の変形方向とが異なる。
【0004】
これらのモードのうち、ダイレクトモードは駆動電圧を印加した際の電界の方向と圧電材料板の分極方向とが一致している。このため、駆動電圧の印加を繰り返すことで分極が弱まることに起因するインクジェットヘッドの性能劣化等の問題が発生しない。また、圧電材料板を分極させる際に、駆動電圧を印加する電極自体を利用することができるという製造上の利点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、インク圧力室の壁部、すなわち圧電材料板にインクを吐出させるのに充分な変形量を与えるためには、駆動電圧に高電圧が必要であり、エネルギー効率が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、駆動電圧が低電圧であっても圧電材料板に充分な変形量を付与することができ、エネルギー効率の良好な液滴噴射装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の液滴噴射装置は、液室(5)の少なくとも一部の壁面を変形させるための圧電材料板(1)を備え、圧電材料板(1)のダイレクトモードでの変形により液室(5)から液滴を噴射する液滴噴射装置において、圧電材料板(1)の分極方向は圧電材料板(1)の面方向に対して傾斜しており、圧電材料板への電圧の印加による分極方向への圧電材料板(1)の変形によって液滴を噴射するように構成されており、前記圧電材料板(1)の分極方向と前記圧電材料板(1)にかかる電界の方向とが略同一であることを特徴とする。
【0008】
この液滴噴射装置によれば、圧電材料板の分極方向が圧電材料板の面方向に対して傾斜しているため、圧電材料板の変形量に比較して圧電材料板により駆動される壁面の変位幅を増大させることができるため、同じ駆動電圧を印加しても、エネルギー効率の良好な液滴噴射装置を得ることができる。
また、この場合には分極に用いる電極および駆動に用いる電極として、共通の電極を使用できる。さらに、印加される電界が圧電材料板のダイレクトモードによる変位のために効率的に働く。
【0009】
また、請求項2の液滴噴射装置は、請求項1に記載の液滴噴射装置において、前記圧電材料板(1)には、定電位の第1の電極(2)と、前記圧電材料板(1)を変形させるための電圧が印加される第2の電極(3)とが配置されており、前記面方向に直交する方向から見て、前記第1の電極(2)と前記第2の電極(3)がずれて配置されていることを特徴とする。
【0013】
分極方向は圧電材料板(1)の面方向に対して10〜70度の角度範囲で傾斜していてもよい。
【0014】
この場合には、圧電材料板の変形量に比較して圧電材料板により駆動される壁面の変位幅を充分に増大させることができる。
【0015】
圧電材料板(1)は、液室(5)のほぼ中央をはさんで一対の領域を有し、電圧を印加した際の各領域の変形は、互いに反対の方向であってもよい。
【0016】
この場合は、同じ駆動電圧でも圧電材料板の変位を大きくすることができる。
【0019】
圧電材料板に電界をかけるための電極(2,3)が、圧電材料板(1)の内部に設けられてもよい。
【0020】
この場合には、電極が液室内の液体と接触することなどによる電極の劣化を防止できる。
【0021】
圧電材料板(1)は複数のシート状の圧電材料(1a)を積層して構成されてもよい。
【0022】
この場合には、圧電材料板の内部に容易に電極を形成することができる。
【0023】
電極(2,3)は圧電材料板(1)の表面に形成されていてもよい。
【0024】
この場合には、印刷法を用いる等して、電極(2,3)を容易に形成することができる。
【0025】
なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0026】
【発明の実施の形態】
−第1の実施形態−
以下、図1〜図5を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第1の実施形態について説明する。
【0027】
図1は第1の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図、図2は第1の実施形態の液滴噴射装置の液室にインクが充填された状態を示す断面図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は駆動電圧を印加した状態を示す断面図、図5は駆動電圧の印加を停止した状態を示す断面図である。
【0028】
図1〜図3に示すように、第1の実施形態の液滴噴射装置100は、複数枚(この例では6枚)のグリーンシート(シート状圧電材料)1aを積層して構成された圧電材料板1と、圧電材料板1の内部に設けられた第1の電極2と、圧電材料板1の内部に設けられた第2の電極3と、液室5に対応する複数の貫通孔が形成された第1の液室プレート6と、圧電材料板1とともに、第1の液室プレート6の液室5に対応する複数の貫通孔の開口を閉塞して液室5を形成するとともに、この液室5へのインクの供給路5bとしての貫通孔およびオンクの排出路としての貫通孔が液室4の所定の位置に対応して形成された第2の液室プレート7と、各液室5に対応する複数のノズル8が形成されたノズルプレート9とを備える。
【0029】
図1〜図3に示すように、圧電材料板1、第1の液室プレート6、第2の液室プレート7およびノズルプレート9を順次積層することにより、ノズル8を備える複数の液室5が配列して形成される。圧電材料板1は第1の液室プレート6の貫通孔を閉塞して液室5の壁面の一部を構成する。圧電材料板1は第1の液室プレート6により支持され、その支持位置が支点となって変形する。
【0030】
圧電材料板1の第1の電極と第2の電極間に電圧が印加されて、圧電材料板1に変形が生じると、液室5に貯留されているインクの一部が第2の液室プレート7のインク排出路5aとしての貫通孔を介してノズルプレート9のノズル8に供給され、このノズル8からインクが吐出する。一方、この吐出されたインク量にみあった量のインクが第2の液室プレート7のインク供給路5bとしての貫通孔を介して液室5に補給される。
【0031】
第1の電極2は各液室5に対応して設けられ、液室プレート6により支持された圧電材料板1の支持位置に位置する。第1の電極2はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。図1等に示すように、第1の電極2の電極パターンは圧電材料板1の厚み方向に対して、図1の下方から上方に向けて順次その面積が小さくなるように形成されている。
【0032】
第2の電極3は各液室5に対応して設けられ、各液室5のほぼ中央部分に位置する。第2の電極3はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。図1等に示すように、第2の電極3の電極パターンは圧電材料板1の厚み方向に対して、図1の下方から上方に向けて順次その面積が大きくなるように形成されている。また、第1の電極2が全体として図1における下方寄りに位置しているのに対して、第2の電極3は全体として図1における上方寄りに位置している。
【0033】
なお、第1の電極2および第2の電極3を構成する電極パターンを互いに接続する構成および各電極を引き出す構成は任意に選択できる。
【0034】
図1〜図3において圧電材料板1の内部に描かれた矢印(図1において符号「A」で示す矢印)は、圧電材料板1の分極方向を示す。各図に示すように、圧電材料板1は第1の電極2と第2の電極3とを結ぶ方向に分極されている。
【0035】
次に、図2、図4および図5を参照して、液滴を噴射する動作について説明する。
【0036】
図2に示すように、最初に液室5の内部にインクを充填する。このとき、第1の電極2および第2の電極3はいずれもグラウンド(0V)に接続されている。次に、図4に示すように、第1の電極2をグラウンドに接続したまま、第2の電極3に正電圧を印加する。このとき、第1の電極2および第2の電極3の間に発生する電界の向きと、圧電材料板1分極方向とが一致しているため、圧電材料板1は分極方向にダイレクトモードで分極方向に伸びるように変形する。図4に示すように、圧電材料板1の変形にともない、第2の電極3が形成された領域が図4において上方に移動することにより、液室5の容積が増加するとともに、増加した容積に対応した量のインクがインクの供給槽(不図示)であるインクタンクより供給される。ここで、圧電材料板1の変形方向は第2の電極3が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0037】
次に、第1の電極2をグラウンドに接続したまま第2の電極3の電位をグラウンド(0V)に戻すと、圧電材料板1の形状が図2と同様の状態に戻り、図5に示すように、ノズル8を介して液室5から所定量のインク10が吐出される。
【0038】
図1〜図5に示すように、第1の実施形態の液滴噴射装置100では、圧電材料板1の分極方向、すなわち圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板1の面方向(図1〜図5における左右方向)に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板1の分極方向への変位を液室5の容積の変化として伝えやすく、圧電材料板1の分極方向への変形量に対して、圧電材料板1の図1〜図5における上下方向の変位幅、すなわち液室5の容積変化が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板1の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第1の実施形態の液滴噴射装置100では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0039】
なお、圧電材料板1の面方向に対する圧電材料板1の伸縮方向の傾きは、10度〜70度の範囲とすることにより、変位幅を充分に増大させることができる。
【0040】
以下、図1および図3を参照して、第1の実施形態の液滴噴射装置100の製造方法について説明する。
【0041】
圧電材料板1は複数枚のシート状の圧電材料であるグリーンシートを積層して焼成することにより作製することができる。このとき、第1の電極2および第2の電極3の材料(導電性のペースト)を所定のパターンでグリーンシート上に印刷しておくことにより、グリーンシートの焼成と同時に、第1の電極2および第2の電極3が形成される。
【0042】
次に、第1の電極2および第2の電極3の間に直流電圧を印加することにより、圧電材料板1の分極を行う。具体的には、第1の電極2を負電位に、第2の電極3を正電位に接続して、第1の電極2および第2の電極3の間に電界を発生させることにより、図1および図3に示す矢印の方向に分極させる。
【0043】
図1および図3に示すように、第1の電極2および第2の電極3は、全体として各図の上下方向にずれた位置に設けられているため、分極方向は圧電材料板1の面方向に対して若干傾いた方向となる。また、分極に用いる電極と、圧電材料板1の駆動に用いる電極とが共通するため、圧電材料板1の駆動時には、電界の方向と分極方向とが一致することになる。
【0044】
次に、圧電材料板1、第1の液室プレート6、第2の液室プレート7およびノズルプレート9を順次積層することにより、第1の実施形態の液滴噴射装置100が作製される。
【0045】
なお、圧電材料板1を分極させる工程と、圧電材料1、第1の液室プレート6、第2の液室プレート7およびノズルプレート9を積層する工程との順序を入れ換えてもよい。
【0046】
−第2の実施形態−
以下、図6を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第2の実施形態について説明する。なお、図6において第1の実施形態と同一要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
第2の実施形態の液滴噴射装置200では、第1の電極22は各液室5に対応して設けられ、液室プレート6により支持された圧電材料板21の支持位置に位置する。第1の電極22はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。第1の電極22の電極パターンは圧電材料板21の厚み方向に対して、図6の下方から上方に向けて順次その面積が大きくなるように形成されている。
【0048】
第2の実施形態の液滴噴射装置200では、第2の電極23が各液室5に対応して設けられ、各液室5のほぼ中央部分に位置する。第2の電極23はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。第2の電極23の電極パターンは圧電材料板21の厚み方向に対して、図6の下方から上方に向けて順次その面積が小さくなるように形成されている。また、第1の電極22が全体として図6における圧電材料板21の上方寄りに位置しているのに対して、第2の電極23は全体として図6における圧電材料板21の下方寄りに位置している。
【0049】
なお、第1の電極22および第2の電極23を構成する電極パターンを互いに接続する構成および各電極を引き出す構成は任意に選択できる。
【0050】
図6において圧電材料板21の内部に描かれた矢印は、圧電材料板21の分極方向を示す。図6に示すように、圧電材料板21は第1の電極22と第2の電極23とを結ぶ方向に分極されている。
【0051】
次に、液滴を噴射する動作について説明する。
【0052】
最初に液室5の内部にインクを充填し、図6に示すように、第1の電極22をグラウンドに接続したまま、第2の電極23に正電圧を印加する。このとき、第1の電極22および第2の電極23の間に発生する電界の向きと、圧電材料板21分極方向とが一致しているため、圧電材料板21は分極方向にダイレクトモードで伸びるように変形する。図6に示すように、圧電材料板21の変形にともない、第2の電極23が形成された領域が図6において下方に移動することになり、液室5の容積が減少する。このため、図6に示すように、ノズル8を介して液室5から所定量のインク10が吐出される。ここで、圧電材料板21の変形方向は第2の電極23が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0053】
また、第2の電極23への電圧の印加をやめることにより、圧電材料板21はもとの状態に戻るとともに、この時の圧電材料板21による液室5の容積変化量に対応したインクがインク供給装置116より補給される。
【0054】
第2の実施形態の液滴噴射装置200では、圧電材料板21の分極方向、すなわち圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板21の面方向に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板21の分極方向への変形量に対して、圧電材料板21の図6における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板21の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第2の実施形態の液滴噴射装置200では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0055】
なお、第2の実施形態の液滴噴射装置200の製造に際しては、第1の実施形態と同様の工程を用いることができるため、その説明は省略する。
【0056】
−第3の実施形態−
以下、図7を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第3の実施形態について説明する。なお、図7において第1の実施形態と同一要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
第3の実施形態の液滴噴射装置300では、第1の電極32が各液室5に対応して設けられ、液室プレート6により支持された圧電材料板31の支持位置に位置する。第1の電極32はグリーンシート1aの中間に形成された同一パターンの2層の電極パターンを電気的に接続して構成される。
【0058】
第2の電極33は各液室5に対応して設けられ、各液室5のほぼ中央部分に位置する。第2の電極33はグリーンシート1aの中間に形成された同一パターンの2層の電極パターンを電気的に接続して構成される。
【0059】
第1の電極32が全体として図7における圧電材料板31の下方寄りに位置しているのに対して、第2の電極33は全体として図7における圧電材料板31の上方寄りに位置している。しかし、第1の実施形態のように、圧電材料板31の厚み方向での各電極面積の変化はない。
【0060】
なお、第1の電極32および第2の電極33を構成する電極パターンを互いに接続する構成および各電極を引き出す構成は任意に選択できる。
【0061】
図7において圧電材料板31の内部に描かれた矢印は、圧電材料板31の分極方向を示す。図7に示すように、圧電材料板31は第1の電極32と第2の電極33とを結ぶ方向に分極されている。
【0062】
次に、液滴を噴射する動作について説明する。
【0063】
最初に液室5の内部にインクを充填し、図7に示すように、第1の電極32をグラウンドに接続したまま、第2の電極33に正電圧を印加する。このとき、第1の電極32および第2の電極33の間に発生する電界の向きと、圧電材料板31分極方向とが一致しているため、圧電材料板31は分極方向にダイレクトモードで分極方向に伸びるように変形する。図7に示すように、圧電材料板31の変形にともない、第2の電極33が形成された領域が図4において上方に移動することにより、液室5の容積が増加するとともに、インク供給装置116から液室5の容積の増加量に対応したインクが供給される。ここで、圧電材料板31の変形方向は第2の電極33が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0064】
次に、第1の電極32をグラウンドに接続したまま第2の電極33の電位をグラウンド(0V)に戻すと、圧電材料板31の形状が最初の平らな状態に戻り、ノズル8を介して液室5から所定量のインクが吐出される。
【0065】
第3の実施形態の液滴噴射装置300では、圧電材料板31の分極方向、すなわち圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板31の面方向に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板31の分極方向への変形量に対して、圧電材料板31の図7における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板31の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第3の実施形態の液滴噴射装置300では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0066】
なお、第3の実施形態の液滴噴射装置300の製造に際しては、第1の実施形態と同様の工程を用いることができるため、その説明は省略する。
【0067】
−第4の実施形態−
以下、図8を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第4の実施形態について説明する。なお、図8において第1の実施形態と同一要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
第4の実施形態の液滴噴射装置400では、第1の電極42は各液室5に対応して設けられ、液室プレート6により支持された圧電材料板41の支持位置に位置する。第1の電極42はグリーンシート1aの中間に形成された2層の電極パターンを電気的に接続して構成される。第1の電極42の電極パターンは圧電材料板41の厚み方向に対して、図8の下方から上方に向けて順次その面積が大きくなるように形成されている。
【0069】
第4の実施形態の液滴噴射装置400では、第2の電極43が各液室5に対応して設けられ、各液室5のほぼ中央部分に位置する。第2の電極43はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。第2の電極43の電極パターンは圧電材料板41の厚み方向に対して、図8の下方から上方に向けて順次その面積が小さくなるように形成されている。また、第1の電極42が全体として図8における圧電材料板41の上方寄りに位置しているのに対して、第2の電極43は全体として図8における圧電材料板41の下方寄りに位置している。
【0070】
なお、第1の電極42および第2の電極43を構成する電極パターンを互いに接続する構成および各電極を引き出す構成は任意に選択できる。
【0071】
図8において圧電材料板41の内部に描かれた矢印は、圧電材料板41の分極方向を示す。図8に示すように、圧電材料板41は第1の電極42と第2の電極43とを結ぶ方向に分極されている。
【0072】
図8に示すように、第4の実施形態の液滴噴射装置400では、第2の電極43が形成された領域において、圧電材料板41の一部に切欠き41aが形成されている。このような切欠き41aを形成することにより圧電材料板41が屈曲しやすくなり、駆動電圧を印加したときの液室5の容積変化量を拡大することができる。
【0073】
次に、液滴を噴射する動作について説明する。
【0074】
最初に液室5の内部にインクを充填し、図8に示すように、第1の電極42をグラウンドに接続したまま、第2の電極43に正電圧を印加する。このとき、第1の電極42および第2の電極43の間に発生する電界の向きと、圧電材料板41分極方向とが一致しているため、圧電材料板41は分極方向にダイレクトモードで変形する。図8に示すように、圧電材料板41の変形にともない、第2の電極43が形成された領域が図8において下方に移動することにより、液室5の容積が減少する。このため、図8に示すように、ノズル8を介して液室5から所定量のインク10が吐出される。ここで、圧電材料板41の変形方向は第2の電極43が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0075】
第4の実施形態の液滴噴射装置400では、圧電材料板41の分極方向、すなわち圧電材料板41の伸縮方向が圧電材料板41の面方向に対して、わずかに傾いているとともに、圧電材料板41の変形に寄与しない部分が切り欠かれている。このため、圧電材料板41の分極方向への変形量に対して、圧電材料板41の図8における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板41の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を一層、低下させることができる。その結果として、第4の実施形態の液滴噴射装置400では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0076】
なお、第4の実施形態の液滴噴射装置400の製造に際しては、第1の実施形態と同様の工程を用いることができる。切欠き41aを形成するためには、切欠き41aの形状に合せてグリーンシート1aにあらかじめ開口部を形成しておき、このようなグリーンシートを積層して焼成すればよい。もちろん、開口部のない状態でグリーンシートを積層し、その後に機械加工あるいはレーザ加工により切欠き41aを形成してもよい。
【0077】
−第5の実施形態−
以下、図9を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第5の実施形態について説明する。なお、図9において第1の実施形態と同一要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
図9に示すように、第5の実施形態の液滴噴射装置500では、第1の電極52および第2の電極53が、それぞれ各液室5に対応して、圧電材料板51の表面に設けられている。圧電材料板51は圧電材料を一体的に焼結して形成されている。
【0079】
第1の電極52は第1の液室プレート6と、圧電材料板51との間に設けられ、圧電材料板51は第1の電極52を介して第1の液室プレート6によって支持される。一方、第2の電極53は各液室5のほぼ中央部分に位置している。
【0080】
なお、第1の電極52および第2の電極53を引き出す構成は任意に選択できる。
【0081】
図9において圧電材料板51の内部に描かれた矢印は、圧電材料板51の分極方向を示す。図9に示すように、圧電材料板51は第1の電極52と第2の電極53とを結ぶ方向に分極されている。
【0082】
次に、液滴を噴射する動作について説明する。
【0083】
最初に液室5の内部にインクを充填し、図9に示すように、第1の電極52をグラウンドに接続したまま、第2の電極53に正電圧を印加する。このとき、第1の電極52および第2の電極53の間に発生する電界の向きと、圧電材料板51の分極方向とが一致しているため、圧電材料板51は分極方向にダイレクトモードで変形する。図9に示すように、圧電材料板51の変形にともない、第2の電極53が形成された領域が図9において上方に移動することにより、液室5の容積が増加するとともに、インク供給装置116より液室5の容積増加量に対応したインクが供給される。ここで、圧電材料板51の変形方向は第2の電極53が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0084】
次に、第1の電極52をグラウンドに接続したまま第2の電極53の電位をグラウンド(0V)に戻すと、圧電材料板51の形状が最初の平らな状態に戻り、ノズル8を介して液室5から所定量のインクが吐出される。
【0085】
第5の実施形態の液滴噴射装置500では、圧電材料板51の分極方向、すなわち圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板51の面方向に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板51の分極方向への変形量に対して、圧電材料板51の図9における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板51の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第5の実施形態の液滴噴射装置500では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0086】
なお、第5の実施形態の液滴噴射装置500における第1の電極52および第2の電極53は、圧電材料板51の表面に第1の電極52および第2の電極53の材料を印刷や蒸着法を用いて所定形状にパターニングすることにより形成できる。このうち、第1の電極52は、圧電材料板51の表面に形成するのではなく、第1の液室プレート上に形成してもよい。
【0087】
−第6の実施形態−
以下、図10を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第6の実施形態について説明する。なお、図10において第5の実施形態と同一要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
図10に示すように、第6の実施形態の液滴噴射装置600では、圧電材料板61が圧電材料を一体的に焼結して形成されている。
【0089】
図10に示すように、第6の実施形態の液滴噴射装置600では、第1の電極62および第2の電極63が、それぞれ各液室5に対応して設けられる。第1の電極62は圧電材料板61の表面に形成された引出部62aと、引出部62aに接続され、圧電材料板61の内部に収容された収容部62bとを備える。第2の電極63は圧電材料板61の表面に形成された引出部63aと、引出部63aに接続され、圧電材料板61の内部に収容された収容部63bとを備える。
【0090】
第1の電極62の引出部62aは第1の液室プレート6と、圧電材料板61との間に設けられ、圧電材料板61は引出部62aを介して第1の液室プレート6によって支持される。一方、第2の電極63は各液室5のほぼ中央部分に位置している。
【0091】
なお、第1の電極62および第2の電極63を引き出す構成は任意に選択できる。
【0092】
図10において圧電材料板61の内部に描かれた矢印は、圧電材料板61の分極方向を示す。図10に示すように、圧電材料板61は第1の電極62と第2の電極63とを結ぶ方向に分極されている。
【0093】
次に、液滴を噴射する動作について説明する。
【0094】
最初に液室5の内部にインクを充填し、図10に示すように、第1の電極62をグラウンドに接続したまま、第2の電極63に正電圧を印加する。このとき、第1の電極62および第2の電極63の間に発生する電界の向きと、圧電材料板61の分極方向とが一致しているため、圧電材料板61は分極方向にダイレクトモードで伸びるように変形する。図10に示すように、圧電材料板61の変形にともない、第2の電極63が形成された領域が図10において上方に移動することにより、液室5の容積が増加するとともに、インクが供給される。ここで、圧電材料板61の変形方向は第2の電極63が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0095】
次に、第1の電極62をグラウンドに接続したまま第2の電極63の電位をグラウンド(0V)に戻すと、圧電材料板61の形状が最初の平らな状態に戻り、ノズル8を介して液室5から所定量のインクが吐出される。
【0096】
第6の実施形態の液滴噴射装置600では、圧電材料板61の分極方向、すなわち圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板61の面方向に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板61の分極方向への変形量に対して、圧電材料板61の図10における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板61の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第6の実施形態の液滴噴射装置600では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0097】
なお、第6の実施形態の液滴噴射装置600における第1の電極62の収容部62bおよび第2の電極63の収容部63bは、例えば、圧電材料板61に切欠きを形成し、この切欠きに電極材料を充填することにより形成できる。また、第1の電極62の引出部62aおよび第2の電極63の引出部63aは、圧電材料板61の表面に電極材料を印刷や蒸着法を用いて所定形状にパターニングすることにより形成できる。
【0098】
−第7の実施形態−
以下、図11を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第7の実施形態について説明する。なお、図11において第1の実施形態と同一要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
第7の実施形態の液滴噴射装置700では、第1の実施形態の液滴噴射装置100と同様の第1の電極2および第2の電極3に加えて、各液室5に対応して第3の電極74が設けられる。図11に示すように、第3の電極74はグリーンシート1aの中間に形成された5層の電極パターンを電気的に接続して構成される。これらの電極パターンは圧電材料板71の面方向に順次ずれて配置され、等価的に、第3の電極74が第1の電極2および第2の電極3の間で圧電材料板71の面方向に対して斜めに配置された状態となる。
【0100】
なお、第1の電極2、第2の電極3および第3の電極74を構成する電極パターンを互いに接続する構成および各電極を引き出す構成は任意に選択できる。
【0101】
図11において圧電材料板71の内部に描かれた矢印は、圧電材料板71の分極方向を示す。図11に示すように、圧電材料板71は第1の電極2と第2の電極3とを結ぶ方向に分極され、その分極方向は第3の電極74を境界として反転している。
【0102】
次に、液滴を噴射する動作について説明する。
【0103】
最初に液室5の内部にインクを充填し、図11に示すように、第1の電極2および第2の電極3をグラウンドに接続したまま、第3の電極74に正電圧を印加する。このとき、第1の電極2と第3の電極74との間、および第2の電極3と第3の電極74との間に発生する電界の向きと、圧電材料板71の分極方向とが一致しているため、圧電材料板71は分極方向にダイレクトモードで変形する。図11に示すように、圧電材料板71の変形にともない、第2の電極3が形成された領域が図11において上方に移動することにより、液室5の容積が増加する。ここで、圧電材料板71の変形方向は第2の電極3が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0104】
次に、第1の電極2および第2の電極3をグラウンドに接続したまま第3の電極74の電位をグラウンド(0V)に戻すと、圧電材料板71の形状が最初の平面形状に戻り、ノズル8を介して液室5から所定量のインクが吐出される。
【0105】
第7の実施形態の液滴噴射装置700では、圧電材料板71の分極方向、すなわち圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板71の面方向に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板71の分極方向への変形量に対して、圧電材料板71の図11における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板71の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第7の実施形態の液滴噴射装置700では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0106】
また、第7の実施形態の液滴噴射装置700では、第3の電極74を第1の電極2および第2の電極3の間に挿入しているので、第1の実施形態の装置100と比較して、より低い駆動電圧で同一の電界強度を得ることができる。したがって、より一層、駆動電圧を低下できる。
【0107】
なお、第7の実施形態の液滴噴射装置700の製造に際しては、第1の実施形態と同様の工程を用いることができるため、その説明は省略する。
【0108】
−第8の実施形態−
以下、図12および図13を参照して、本発明の液滴噴射装置をインクジェットヘッドに適用した第8の実施形態について説明する。
【0109】
図12および図13は第8の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図であり、図12は駆動電圧を印加した状態を示す図、図13は駆動電圧を印加しない状態を示す図である。
【0110】
図12および図13に示すように、第1の実施形態の液滴噴射装置800は、複数枚(この例では6枚)のグリーンシート(シート状圧電材料)1aを積層して構成された圧電材料板81と、圧電材料板81の内部に設けられた第1の電極82と、圧電材料板81の内部に設けられた第2の電極83と、圧電材料板81の内部に設けられた第3の電極84と、液室85に対応する複数の貫通孔が形成された第1の液室プレート86と、第1の液室プレート6よりも小径の貫通孔が形成された第2の液室プレート87と、各液室85に対応する複数のノズル88が形成されたノズルプレート89とを備える。
【0111】
図12および図13に示すように、圧電材料板81、第1の液室プレート86、第2の液室プレート87およびノズルプレート89を順次積層することにより、ノズル88を備える複数の液室85が配列して形成される。圧電材料板81は第1の液室プレート86により支持され、その支持位置が支点となって変形する。
【0112】
第1の電極82は各液室85に対応して設けられ、液室プレート86により支持された圧電材料板81の支持位置に位置する。第1の電極82はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。図12および図13に示すように、第1の電極82は圧電材料板81の厚み方向に同一パターンの電極パターンを重ね合わせて形成されている。
【0113】
第2の電極83は各液室85に対応して設けられ、各液室85のほぼ中央部分に位置する。第2の電極83はグリーンシート1aの中間に形成された3層の電極パターンを電気的に接続して構成される。図12および図13に示すように、第2の電極83は圧電材料板81の厚み方向に同一パターンの電極パターンを重ね合わせて形成されている。
【0114】
また、第1の電極82が全体として図11における圧電材料板81の下方寄りに位置しているのに対して、第2の電極83は全体として図11における圧電材料板81の上方寄りに位置している。
【0115】
第3の電極84は、各液室85に対応して設けられ、第1の電極82および第2の電極83の間に配置される。第3の電極84はグリーンシート1aの中間に形成された5層の電極パターンを電気的に接続して構成される。図12および図13に示すように、第3の電極84は圧電材料板81の厚み方向に同一パターンの電極パターンを重ね合わせて形成されている。
【0116】
なお、第1の電極82、第2の電極83および第3の電極84を構成する電極パターンを互いに接続する構成および各電極を引き出す構成は任意に選択できる。
【0117】
図12において圧電材料板81の内部に描かれた矢印(図1において符号「A」で示す矢印に相当)は、圧電材料板81の分極方向を示す。各図に示すように、圧電材料板81は、第1の電極82と第3の電極84との間、および第2の電極83と第3の電極84との間を結ぶ方向に分極されている。
【0118】
次に、図12および図13を参照して、液滴を噴射する動作について説明する。
【0119】
最初に液室85の内部にインクを充填し、図12に示すように、第1の電極82および第2の電極83をグラウンドに接続したまま、第3の電極84に正電圧を印加する。このとき、第1の電極82と第3の電極84との間、および第2の電極83と第3の電極84との間に発生する電界の向きと、圧電材料板81の分極方向とが一致しているため、圧電材料板81はいずれの領域も分極方向にダイレクトモードで伸びるように変形する。図12に示すように、圧電材料板81の変形にともない、第2の電極83が形成された領域が図12において上方に移動することにより、液室5の容積が増加する。ここで、圧電材料板81の変形方向は第2の電極83が形成されている液室5のほぼ中央を挟んで互いに反対の方向となる。
【0120】
次に、第1の電極82および第2の電極83をグラウンドに接続したまま第3の電極84の電位をグラウンド(0V)に戻すと、図13に示すように、圧電材料板81が平面状のもとの状態に戻り、ノズル88を介して液室85から所定量のインク10が吐出される。
【0121】
図12および図13に示すように、第8の実施形態の液滴噴射装置800では、圧電材料板81の分極方向、すなわち圧電材料板81の伸縮方向が、全体として実質的に圧電材料板81の面方向(図12および図13における左右方向)に対して、わずかに傾いている。このため、圧電材料板81の分極方向への変形量に対して、圧電材料板81の図12および図13における上下方向の変位幅が大きくなる。したがって、液室5に一定の容積変化を与えるために必要な圧電材料板81の分極方向への変形量を減らすことができ、必要な駆動電圧を低下させることができる。その結果として、第8の実施形態の液滴噴射装置800では、駆動電圧の低下により、装置のコストダウンを図ることができるとともに、インクの吐出に必要なエネルギーを低下させてエネルギー効率を向上させることができる。
【0122】
以下、第8の実施形態の液滴噴射装置800の製造方法について説明する。
【0123】
圧電材料板81は複数枚のシート状の圧電材料であるグリーンシート1aを積層して焼成することにより作製することができる。このとき、第1の電極2および第2の電極3の材料(導電性のペースト材料)を所定のパターンでグリーンシート状に印刷しておくことにより、グリーンシート1aの焼成と同時に、第1の電極82、第2の電極83および第3の電極84が形成される。
【0124】
次に、第1の電極82と第3の電極84との間、および第2の電極83と第3の電極84との間に直流電圧を印加することにより、圧電材料板81の分極を行う。具体的には、第1の電極82および第2の電極83を負電位に、第3の電極83を正電位に接続して、第1の電極82と第3の電極84との間、および第2の電極83と第3の電極84との間に電界を発生させることにより、図12および図13に示す矢印の方向に分極させる。
【0125】
図12および図13に示すように、第1の電極82および第2の電極83は、全体として各図の上下方向にずれた位置に設けられており、第3の電極84は第1の電極82および第2の電極83の中間に位置しているため、分極方向は圧電材料板81の面方向に対して若干傾いた方向となる。また、分極に用いる電極と、圧電材料板81の駆動に用いる電極とが共通するため、圧電材料板81の駆動時には、電界の方向と分極方向とが一致することになる。
【0126】
次に、圧電材料板81、第1の液室プレート86、第2の液室プレート87およびノズルプレート89を順次積層することにより、第8の実施形態の液滴噴射装置800が作製される。
【0127】
なお、圧電材料板81を分極させる工程と、圧電材料板81、第1の液室プレート86、第2の液室プレート87およびノズルプレート89を積層する工程との順序を入れ換えてもよい。
【0128】
なお、上記第1〜第8の実施形態では、液室の壁面の一部を圧電材料板自体により構成しているが、液室の壁面を別の部材で構成し、その壁面を圧電材料板の変形を利用して駆動してもよい。
【0129】
−インクジェットプリンタ−
以下、図14を参照して、本発明の液滴噴射装置を搭載したインクジェットプリンタについて説明する。図14はインクジェットプリンタの要部を示す斜視図である。
【0130】
図14に示すプラテン110は、被記録媒体である用紙を搬送する用紙搬送手段として働き、軸112によりフレーム113に回転可能に取り付けられており、モータ114によって駆動される。このモータ114はプラテン110の駆動手段として働き、その駆動力は図14に示すように、いくつかのギヤを介してプラテン110に伝えられる。プラテン110には用紙111がセットされており、プラテン110に対向してインクジェット式印字ヘッドが設けられている。インクジェット式印字ヘッドとしての液滴噴射装置100等は、インクが充填され、インク供給槽として働くインクタンクや、液滴噴射装置100にインクをインクタンクから供給するためのインク供給路を含み、液滴噴射装置とインクタンクとを連結している連結部から構成されるインク供給装置116とともにキャリッジ118上に載置されている。キャリッジ118はプラテン110の軸線に平行に配設された2本のガイドロッド120に摺動可能に支持されるとともに、一対のプーリ122に巻き掛けられたタイミングベルト124が結合させられ、プーリ122が駆動力を伝達するモータ123とともに、キャリッジ搬送手段を構成している。そして、一方のプーリ122がモータ123によって回転させられ、タイミングベルト124が送られることによりキャリッジ118へプラテン110に沿って移動させられる。
【0131】
なお、本発明の液滴噴射装置は、インクジェットプリンタへの適用に限定されず、各種印字装置や各種塗布装置に対しても適用できる。
【0132】
また、キャリッジに載置されるインクジェット式印字ヘッドは、液滴噴射装置100、インクタンクおよびインク供給路を含む連結部とが一体に形成されていても、互いに着脱可能に形成されていてもよい。さらに、液滴噴射装置100のみがキャリッジに載置されていても、液滴噴射装置100と連結部とが載置される構成であってもよい。
【0133】
要するに、本発明の各請求項にかかる液滴噴射装置は、印字ヘッドを搭載したキャリッジと、用紙を搬送する用紙搬送手段と、その用紙搬送手段の用紙搬送方向に交差する方向に前記キャリッジを搬送するキャリッジ搬送手段とからなるインクジェットプリンタの印字ヘッドとして採用することができる。
【0134】
また、印字ヘッドにインクを供給するためにインクを貯蔵したインクタンクを設ける必要があるが、このインクタンクは着脱交換可能にキャリッジ上に装着される。この交換形態は、印字ヘッドがキャリッジに交換不能に固定されている場合にはインクタンクのみが交換される形態である。この交換形態の場合には液滴噴射装置をインクタンク交換後も継続使用することとなるため、液滴噴射装置の耐久性が高くなければならない。一方、液滴噴射装置と前記インクタンクとをインクユニットとして一体化し、そのインクユニットに各ノズル駆動用の信号線をそれぞれ露出させた駆動信号被伝達コネクタ部を設け、キャリッジにプリンタ制御装置のヘッド駆動信号を出力する信号線を露出させた駆動信号伝達コネクタ部を設け、インクユニットをキャリッジに装着したときにその駆動信号被伝達コネクタ部の各信号線がキャリッジの駆動信号伝達コネクタ部の各信号線と接続されて各ノズルがプリンタ制御装置からのヘッド駆動信号により各々駆動されるようにする形態も採用できる。このインクユニットにした場合には、インクを消費しきってしまうとインクユニットごとの交換をすることになる。そのため、液滴噴射装置は、インクユニットのインクタンクのインク量についてのみ確実に動作すればよいので、インクタンク交換型にした場合に比べその耐久性は小さいもので済むし、液滴噴射装置のコストも小さくて済む。また、インクユニットとして具体化した場合にはインクタンクと液滴噴射装置との間のインク供給路の構造を簡単にできるので、インクユニットの構造としても簡単になり安価にできる。
【0135】
インクタンクを交換式にした場合には液滴噴射装置とインクタンクとの間のインク供給路は交換時に外気に触れることとなり、交換時に外気が混入してインク吐出能力が損なわれたりするが、インクユニットを上述した一体構造に具体化すればこのような問題も発生しない。
【0136】
なお、用紙搬送手段としては、プラテンを駆動するタイプの他に、平板状のプラテンを搬送路上に固定し、そのプラテンの上流と下流にそれぞれ一対の搬送ローラを設け、これら二対の搬送ローラで用紙を搬送するタイプのものでもよい。また、以上で説明した印字ヘッドは、キャリッジにより搬送されるタイプの印字ヘッドであったが、用紙幅全域を同時に印字できるタイプのものであってもよい。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液滴噴射装置によれば、圧電材料板の伸縮方向が圧電材料板の面方向に対して傾斜しているため、圧電材料板の変形量に比較して圧電材料板により駆動される壁面の変位幅を増大させることができるため、駆動電圧を低下させることができ、エネルギー効率の良好な液滴噴射装置を得ることができる。また、本発明の液滴噴射装置によれば、圧電材料板の分極方向が圧電材料板の面方向に対して傾斜しているため、圧電材料板の変形量に比較して圧電材料板により駆動される壁面の変位幅を増大させることができるため、駆動電圧を低下させることができ、エネルギー効率の良好な液滴噴射装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図2】第1の実施形態の液滴噴射装置の液室にインクが充填された状態を示す断面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】駆動電圧を印加した状態を示す断面図。
【図5】駆動電圧の印加を停止した状態を示す断面図。
【図6】第2の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図7】第3の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図8】第4の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図9】第5の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図10】第6の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図11】第7の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図12】第8の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図13】第8の実施形態の液滴噴射装置を示す断面図。
【図14】インクジェットプリンタの要部を示す斜視図。
【符号の説明】
1 圧電材料板
1a シート状圧電材料
2 第1の電極(電極)
3 第2の電極(電極)
5 液室
Claims (7)
- 液室の少なくとも一部の壁面を変形させるための圧電材料板を備え、前記圧電材料板のダイレクトモードでの変形により前記液室から液滴を噴射する液滴噴射装置において、
前記圧電材料板の分極方向は前記圧電材料板の面方向に対して傾斜しており、前記圧電材料板への電圧の印加による分極方向への前記圧電材料板の変形によって前記液滴を噴射するように構成されており、
前記圧電材料板の分極方向と前記圧電材料板にかかる電界の方向とが略同一であることを特徴とする液滴噴射装置。 - 前記圧電材料板には、定電位の第1の電極と、前記圧電材料板を変形させるための電圧が印加される第2の電極とが配置されており、
前記面方向に直交する方向から見て、前記第1の電極と前記第2の電極がずれて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。 - 前記圧電材料板は、前記液室のほぼ中央を挟んで一対の領域を有し、前記電圧を印加した際の各領域の前記変形は、互いに反対の方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴噴射装置。
- 前記分極方向は前記圧電材料板の面方向に対して10〜70度の角度範囲で傾斜していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液滴噴射装置。
- 前記圧電材料板に電界をかけるための電極が、前記圧電材料板の内部に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴噴射装置。
- 前記電極は前記圧電材料板の表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴噴射装置。
- 前記圧電材料板は複数のシート状の圧電材料を積層して構成されていることを特徴とする請求項5、又は6に記載の液滴噴射装置。
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