JP4465794B2 - オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、所定の化合物を含有する触媒により、α−オレフィンを効率よく共重合させることができるオレフィン重合用触媒、及びそれを用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるオレフィン重合体及びオレフィン共重合体は、耐熱性、耐老化性、耐薬品性等に優れ、汎用樹脂として自動車部品等、広範な工業分野において使用されている。これらのオレフィン重合体の製造に用いられる触媒としては、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、或いはバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒に代表されるチーグラー−ナッタ触媒が知られている。
【0003】
しかし、チタン系触媒の重合活性は十分ではない。そのため、これを使用して得られるオレフィン重合体は分子量が小さく、且つ分子量分布が広い。また、チタン系触媒を使用して得られるオレフィン共重合体は、ランダム共重合性が十分でないため、組成分布が広く、十分な力学特性を有する共重合体を得難い。一方、バナジウム系触媒の場合は、ランダム共重合性は向上するが、組成分布が狭くなり、力学的特性も向上はするが十分といえるものではない。
【0004】
また、チーグラー−ナッタ触媒に代わるものとして、遷移金属化合物とアルミノキサンとからなるメタロセン触媒が提案されている。例えば、特公平4−12283号公報では、遷移金属化合物及びアルミノキサンからなる触媒によるオレフィンの重合方法が開示されている。また、特公平5−80493号公報には、共役π電子を有する基を配位子としたジルコニウムヒドリド化合物及びアルミノキサンからなる触媒が記載されている。そして、この触媒の存在下で、エチレンもしくはプロピレンを重合し、又はエチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンと炭素数5〜20の非共役ポリエンとを共重合することによって、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が1.97〜2.15の重合体又は共重合体を製造する方法が開示されている。
【0005】
このメタロセン触媒以外にも、珪素原子等による架橋構造を有するメタロセン化合物(特開昭60−35007号公報、特開平3−12406号公報)や、幾何拘束型メタロセン化合物(CGCT:特開平3−163088号公報)も、エチレンとα−オレフィンとを共重合させ得ることが知られている。
しかし、メタロセン系配位子を有する化合物(即ち、シクロペンタジエン環構造を有する基を配位子とする化合物)の合成は2〜5段階の合成工程を必要とする。また、比較的合成が簡便な1個のシクロペンタジエニル基を有するメタロセン触媒や、2個のシクロペンタジエニル基を有する非架橋型のメタロセン触媒では、α−オレフィンに対する重合活性が低く、生成するエチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィン含量が5重量%前後と低いものとなる。
【0006】
また、メタロセン触媒とは別に、酸素等のヘテロ原子と結合した遷移金属化合物を用いたオレフィンの重合が知られている。例えば、特開平2−145606号公報には、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)スルフィドとオキシ三塩化バナジウムとの生成物とメチルアルミノキサンとを用いてオレフィンを重合する方法が開示されている。しかし、高価なメチルアルミノキサンを大量に使用しなければならない。
更に、特開平5−230133号公報及び特開平6−192330号公報には、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)チタンジクロライド、トリイソブチルアルミニウム及びほう素化合物を用いて、オレフィンを重合する方法が開示されている。しかし、トリイソブチルアルミニウムを多く使用する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するものであり、分子量の大きな重合体を、高い収率で得ることのできるオレフィン重合用触媒を提供することを目的とする。特に、炭素数が4以上である、特に炭素数が6以上であってもα−オレフィンの共重合性が高いオレフィン重合用触媒を提供することを目的とする。更に、触媒成分は簡便に合成することができ、有機アルミニウム化合物の含有量の少ない触媒を提供することを目的とする。また、その触媒を用いてオレフィン重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のオレフィン重合用触媒は、前記一般式(1)で表される化合物(a)、化合物(b)及び化合物(c)を含有することを特徴とする。
尚、本発明に言う結合は、共有結合性、イオン結合性及び配位結合性のいずれを含むものであってもよい。また、σ結合及びπ結合のいずれであってもよく、σ結合及びπ結合の両方を有する結合であってもよいものとする。
【0009】
本発明において使用する化合物(a)の特徴は酸素原子がMに2重結合していることである。
上記「化合物(a)」を構成する上記「A1」及び「A2」の各々は、バナジウム金属原子であるMに結合する所定原子を有する基である。また、その他の例として、Mは、ニオブ、タンタル等の周期表第5族(VA族)の金属原子が挙げられる。このMに結合する所定原子は、酸素原子であり、A1及びA2としては、−O−である。また、その他の例として、Mに結合する所定原子としては、窒素原子、ケイ素原子、リン原子及び硫黄原子のうちのいずれか1種が挙げられ、その他の例として、A1及びA2は、例えば、−N(R4)−、−O−Si(R4)(R5)−、−Si(R4)(R5)−、−P(R4)−、−P(O)(R4)−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−N{S(O)2−R4}−、−N{C(O)−R4}−(但し、R4及びR5は各々、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はヘテロ原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。)等を挙げることができる。尚、例えば、−N(R4)(R5)等の構造を有し、ヘテロ原子がMに配位していてもよい。
【0010】
上記「R1」及び「R2」は、フェニレン基、ナフタレン基、及び下記一般式(7)で表される基で表される基のうちのいずれか1種の基である。更に、R1及びR2がフェニレン基の場合、上記一般式(1)におけるA1とBとがフェニレン基の相隣接する炭素に結合し、上記一般式(1)におけるA2とBとがフェニレン基の相隣接する炭素に結合する。R1及びR2がナフタレン基の場合、上記一般式(1)におけるA1とBとがナフタレン基の相隣接する炭素に結合し、上記一般式(1)におけるA2とBとがナフタレン基の相隣接する炭素に結合する。R1及びR2が下記一般式(7)で表される基の場合、上記一般式(1)におけるA1とBとがフェニレン骨格の相隣接する炭素に結合し、上記一般式(1)におけるA2とBとがフェニレン骨格の相隣接する炭素に結合する。また、その他の例として、「R1」及び「R2」は、下記一般式(5)で表される基、下記一般式(6)、下記一般式(8)で表される基等が挙げられる。
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
一般式(5)及び一般式(6)におけるR4とR5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数1〜20であり且つヘテロ原子を含む炭化水素基である。R4及びR5は同一であっても異なっていてもよい。更に、nは1〜4までの整数である。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
一般式(7)及び一般式(8)におけるR4は、炭素数1〜20の炭化水素基である。また、その他の例としては、一般式(7)及び一般式(8)におけるR 4 は、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20であり、且つヘテロ原子を含む炭化水素基が挙げられる。また、sはフェニレン基に結合するR4の数を表し、1〜4の整数である。tはナフタレン基に結合するR4の数を表し、1〜6の整数である。s及び/又はtが2以上の場合、各々の一般式におけるR4は複数存在し、これらは同一であっても異なっていてもよい。更に、nは1である。また、その他の例としては、nは2〜4までの整数が挙げられる。
【0017】
上記「B」は、R1とR2との両方に結合する所定原子を有する基であり、この所定原子は、硫黄原子である。このBとしては、−S−、又は−S(O)−である。また、その他のBとしては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、ケイ素原子及びカルボニル炭素のうちのいずれか1種が挙げられる。その他の例として、Bは、例えば、−C(O)−、−O−、−N(R4)−、−P(R4)−、−P(O)(R4)−、−S(O)−、−S(O)2−、−Si(R4)(R5)−(但し、R4及びR5は各々、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はヘテロ原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。)等を挙げることができる。
【0018】
尚、その他の例として、R1及びR2の末端がヘテロ原子、例えば、酸素原子であり、Bが−Si(R4)(R5)−であるとすると、これらR1、R2及びBは合わせて−O−Si(R4)(R5)−O−であることとなる。
更に、前記のようにR1及びR2が結合し、Bが以下のような原子である場合、R1、R2及びBは合わせて以下のような基となる。例えば、Bが酸素原子の場合はフランジイル基、オキサゾリデン基等となり、Bが窒素原子の場合はピロリデン基、イミダゾリデン基、ピリジンジイル基、キノリンジイル基等となり、Bが硫黄原子の場合はチオフェンジイル基、チアゾリデン基等となる。
【0019】
上記「X」は塩素である。また、その他の例として、Xが、その他のハロゲン原子である場合は、Xとしては、フッ素、臭素及びヨウ素等を挙げることができる。また、XがMに結合する所定の原子を有する基である場合は、この基としては、−C(R4)(R5)(R6)、−CH2−Si(R4)(R5)(R6)、−C(O)(R4)、−N(R4)(R5)、−OR4、−O−Si(R4)(R5)(R6)、−Si(R4)(R5)(R6)、−P(R4)(R5)、−P(O)(R4)(R5)、−SR4、−S(O)(R4)、−S(O)2(R4)(但し、R4、R5及びR6は各々、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はヘテロ原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。)等を挙げることができる。
【0020】
上記「化合物(b)」のその他の例としては、下記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物があり(但し、トリアルキルアルミニウムは除く。)、下記「R3」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、フェニル基及びベンジル基等を挙げることができる。これらのうちでもメチル基、エチル基、t−ブチル基及びイソブチル基であることが特に好ましい。
下記「Z」がハロゲン原子である場合は、塩素原子及び/又は臭素原子であることが特に好ましい。また、このZがアルコキシル基である場合は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基等を挙げることができ、これらのうちでもメトキシ基、エトキシ基及びn−ブトキシ基であることが特に好ましい。
(R 3 ) n AlZ 3−n (2)
(但し、R3は炭素数1〜20の炭化水素基である。Zは水素原子、ハロゲン原子又はアルコキシル基である。nは1〜3である。)
【0021】
この化合物(b)はトリアルキルアルミニウムであり、トリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリアミルアルミニウム等を挙げることができる。また、その他の例として、一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムハイドライド及びアルキルアルミニウムアルコキシド等を挙げることができる。
【0022】
アルキルアルミニウムハライドとしては、ジメチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ジ−t−ブチルアルミニウムクロライド、t−ブチルアルミニウムジクロライド、ジアミルアルミニウムクロライド、アミルアルミニウムジクロライド、トリメチルジアルミニウムトリクロライド、トリエチルジアルミニウムトリクロライド等を挙げることができる。
アルキルアルミニウムハイドライドとしては、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジオクチルアルミニウムハイドライド等を挙げることができる。
アルキルアルミニウムアルコキシドとしては、メチルアルミニウムジメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等を挙げることができる。
【0023】
更に、化合物(b)のその他の例として、アルミノキサンであってもよい。
上記の化合物(b)は、2種以上の化合物を組合せて使用することができる。上記の化合物(b)は触媒活性が高いためトリアルキルアルミニウムを使用する。このうち、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムを使用することが特に好ましい。
【0024】
上記「化合物(c)」であるイオン化イオン性化合物とは、分子内に少なくとも一つのアニオン及び少なくとも一つのカチオンを同時に有し、本発明の触媒を用いて重合を行う場合に使用する溶媒及び/又は媒体中においてイオンとして存在することのできる化合物を表す。
【0025】
この化合物(c)としては、下記一般式(9)で示されるものを挙げることができる。
([L]k+)p([M’A1A2…An]-)q (9)
式中、[L]k+は陽イオンであり、M’は周期表第13(IIIB)、14(IVB)及び15(VB)族から選ばれる元素であり、A1、A2、…Anはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜30のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数6〜40のアリールオキシ基、炭素数7〜40のアルカリール基、炭素数7〜40のアラルキル基、炭素数1〜40のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜20のアシルオキシ基及び有機メタロイド基から選ばれる基であり、各々同一であっても異なっていてもよい。kはLの価数であり、1〜3の整数である。pは1以上のq=(k×p)を満たす整数である。
【0026】
化合物(c)としては、トリアルキルアンモニウムテトラフェニルボレート(R3(H)N]+[Ph4B]-)、ジアルキルアニリニウムテトラフェニルボレート、アルキルピリジニウムテトラフェニルボレート、アルキル(2−シアノピリジニウム)テトラフェニルボレート、アルキル(4−シアノピリジニウム)テトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、フェロセニウムテトラフェニルボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アルキルピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アルキル(2−シアノピリジニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、アルキル(4−シアノピリジニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス[3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルアルキルテトラキス[3,5−ビス−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、テトラフェニルホウ酸銀(銀テトラフェニルボレート)、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(ナトリウムテトラフェニルボレート)、テトラフルオロホウ酸銀、トリフェニルカルベニウムテトラフルオロボレート等を挙げることができる。
【0027】
上記アルキル基の具体例を示す具体的化合物(c)としては、例えば、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me3(H)N]+[Ph4B]-)、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、メチル(ジブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、メチルピリジニウムテトラフェニルボレート、メチル(2−シアノピリジニウム)テトラフェニルボレート、メチル(4−シアノピリジニウム)テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル(ジブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル(2−シアノピリジニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチル(4−シアノピリジニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート等を挙げることができる。これらのうち、触媒活性が高いためN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを使用することが特に好ましい。これらの化合物(c)は2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明のオレフィン重合用触媒は、下記一般式(3)で表される化合物(d)及び一般式(4)で表される化合物(e)を反応させて得られる反応生成物(f)、化合物(b)並びに化合物(c)を含有させるものでもよい。
尚、この場合、下記に言う結合は、共有結合性、イオン結合性及び配位結合性のいずれを含むものであってもよい。また、σ結合及びπ結合のいずれであってもよく、σ結合及びπ結合の両方を有する結合であってもよいものとする。
化合物(d);M(O)X3 (3)
化合物(e);C1−A1−R1−B−R2−A2−C2 (4)
【0029】
上記化合物(d)の特徴は、酸素原子はMに2重結合していることである。
上記「化合物(d)」における「M」及び「X」としては、前記に示す化合物(a)における「M」及び「X」と各々同様である。
上記「化合物(e)」における「A1」、「A2」、「B」、「R1」及び「R2」は、前記に示す化合物(a)における「A1」、「A2」、「B」、「R1」及び「R2」と各々同様である。また、「C1」及び「C2」は、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子のうちのいずれか1種であれば特に限定されないが、水素原子である化合物(e)は合成が簡便であるため好ましい。
化合物(e)としては、2,2’−チオビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−トリイソプロピルシリルフェノール)、2,2’−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)、2,2’−チオビス(N−メチルアニリン)、2,2’−チオビス(N−t−ブチルアニリン)、2,2’−スルフィニルビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−オキシビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−スルホニルビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−オキシビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−オキシビス(N−メチルアニリン)、2,2’−オキシビス(N−t−ブチルアニリン)、2,6−ビス(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フラン、ビス(N−フェニルアミノエチル)エーテル、ビス{N−(2,6−ジメチル)フェニルアミノエチル}エーテル、ビス{N−(2,6−ジイソプロピル)フェニルアミノエチル}エーテル、ビス(N−t−ブチルアミノエチル)エーテル、ビス(N−フェニルアミノエチル)スルフィド、ビス{N−(2,6−ジメチル)フェニルアミノエチル}スルフィド、ビス{N−(2,6−ジイソプロピル)フェニルアミノエチル}スルフィド、ビス(N−t−ブチルアミノエチル)スルフィド等を挙げることができる。これらのうち触媒活性が高いため2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)を使用することが好ましい。
更に、上記「化合物(b)」及び「化合物(c)」は前記第1発明に示す化合物(b)及び化合物(c)と同様である。
尚、ヘテロ原子は、ハロゲン原子を含むものである。
【0030】
本発明の化合物(a)、化合物(b)及び化合物(c)を含有するオレフィン重合用触媒、又は、反応生成物(f)、化合物(b)及び化合物(c)を含有するオレフィン重合用触媒を重合系に供給する際に使用する溶媒及び/又は媒体は特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、モノクロルベンゼン等を使用することができる。
また、これら各々の化合物のうちのいずれか少なくとも一種の化合物を担体に担持させて用いることができる。この担体としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、チタニア及びマグネシア等の無機酸化物、塩化マグネシウム等の無機化合物及び/又は有機化合物を用いることができる。これらの担体に担持させる方法は特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。
【0031】
本発明のオレフィン重合用触媒のうち、化合物(b)としてトリアルキルアルミニウムを使用し、且つ化合物(c)としてN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを使用することが特に好ましい。
このオレフィン重合用触媒に含有される化合物(a)、化合物(b)、化合物(c)の配合比は特に限定されないが、化合物(b)/化合物(a)は0.01〜20000(より好ましくは0.1〜10000、更には1〜1000)で配合することが好ましい。また、化合物(c)/化合物(a)は0.01〜1000(より好ましくは0.1〜100、更には0.5〜10)で配合することが好ましい。
また、オレフィン重合用触媒に含有される反応生成物(f)、化合物(b)及び化合物(c)の配合比は特に限定されないが、化合物(b)/反応生成物(f)は0.01〜20000(より好ましくは0.1〜10000、更には1〜1000)で配合することが好ましい。また、化合物(c)/反応生成物(f)は0.01〜1000(より好ましくは0.1〜100、更には0.5〜10)で配合することが好ましい。
更に、本発明において、これらの触媒を重合系に供給する方法は特に限定されないが、化合物(a)又は反応生成物(f)、化合物(b)及び化合物(c)の各々の化合物を別々に供給してもよいし、いずれか2種以上を予め混合した後に供給してもよい。
【0032】
本発明のオレフィン重合用触媒により重合することのできる「オレフィン」は特に限定されない。また、オレフィンの単独重合及び共重合のいずれにも好適に使用することができる。このうち、オレフィンの共重合に使用した場合は、特に、α−オレフィンの共重合性が高く、分子量の大きな共重合体が得られる。
【0033】
オレフィンとしては、そのα位にオレフィン性二重結合をもつα−オレフィンであることが好ましく、更に、炭素数が2〜20であることがより好ましい。このα−オレフィンは、鎖状オレフィン及び環状オレフィンのいずれであってもよく、更に、非極性オレフィン及び極性オレフィンのいずれであってもよい。
このようなα−オレフィンのうち鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン及び1−デセン等を挙げることができる。
【0034】
また、環状オレフィンとしてはノルボルネン等を挙げることができる。更に、このような環状オレフィンの置換誘導体であり、アルキル基、アルキリデン基、芳香族基等による置換誘導体、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、エステル基、アルコキシル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基による置換誘導体等を挙げることができる。この置換誘導体としては、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
【0035】
また、極性オレフィンである、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリル化合物等として、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。更に、本発明におけるオレフィンには、スチレン及びその誘導体が含まれるものとする。これらの各種のオレフィンは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の触媒は、これらのオレフィンのうちエチレン、プロピレン、ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンの重合、更には、エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合において、特に好適に使用することができる。
【0036】
また、この共重合においては、共役ジエン及び/又は非共役ジエンを用いることができる。架橋性を有する共重合体を得る場合は非共役ジエンを用いることが好ましい。
この非共役ジエンを、生成する共重合体に分岐鎖を形成することができるものと、分岐鎖を形成することができないものとして分類した場合に、分岐鎖を形成させることのできる非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、更に、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭素数6〜20の脂肪族α,ω−ジエン類等を挙げることができる。これに対して、分岐鎖を形成することができない非共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等を挙げることができる。これらの非共役ジエンは2種以上を混合して使用することができるが、上記分岐鎖を形成することのできる非共役ジエンと分岐鎖を形成することのできない非共役ジエンのうちから少なくとも1種以上を合わせて使用することが好ましい。
【0037】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明の重合用触媒を用いてオレフィンを重合することを特徴とする。特に、この製造方法は、エチレンとその他のα−オレフィンの共重合において好適である。
【0038】
本発明の重合方法におけるオレフィンの重合及び共重合は、溶液中であってもスラリー中であっても行うことができる。この溶液中又はスラリー中で重合を行う際に使用される溶媒及び/又は媒体としては、オレフィンの重合及び共重合に用いることのできる溶媒であれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及び塩化メチレン等を挙げることができる。この他、オレフィン自身を溶媒及び/又は媒体として用いてもよい。これらの溶媒及び媒体は2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
オレフィンの重合及び共重合における温度は特に限定されないが、−100〜300℃の範囲で行うことが好ましく、−20〜200℃の範囲で行うことがより好ましい。
また、圧力についても特に限定されないが、0.5〜1500気圧の範囲で行うことが好ましく、1〜500気圧の範囲で行うことがより好ましい。
更に、この重合は連続式及びバッチ式のいずれの方法においても重合することができる。また、分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
尚、本実施例において得られた重合体及び共重合体の各特性は、以下の手法により測定した。
(1)α−オレフィン含量 ; 1H−NMRによる。
(2)重量平均分子量及び数平均分子量 ; ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(WATERS社製、型式「150C」)を用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒とし、135℃で測定した。これらは、共にポリスチレン換算値である。また、重量平均分子量(以下、Mwともいう。)及び数平均分子量(以下、Mnともいう。)から分散度(以下、Mw/Mnともいう。)を算出した。
また、以下に示す実施例1〜10及び比較例1〜6の試験条件の概要及びその結果を合わせて、それぞれ表1、表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
実施例1(エチレンと1−オクテンの共重合)
▲1▼反応生成物(f)の調製
オキシ三塩化バナジウム{化合物(d)}0.52g(3.0mmol)を、乾燥させたn−ヘキサン30mlに溶解し、この溶液を−50℃に保持しながら、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール){化合物(e)}1.1g(3.0mmol)を溶解させたn−ヘキサン溶液を滴下し、混合した。その後、徐々に昇温し、室温(20〜25℃)にて9時間撹拌した。次いで、生成した黒紫色の沈殿物を遠心分離により回収し、真空中において乾燥し、1.3gの反応生成物(f)を含む、反応物を得た。
この反応物の1H−NMR(CD2Cl2)の結果は以下の通りである。
7.28ppm(s,2H),7.22ppm(s,2H),2.34ppm(s,6H),1.34ppm(s,18H)。
【0044】
▲2▼エチレンと1−オクテンの共重合
充分に窒素置換を行った内容量2リットルのフラスコに、950mlのn−ヘキサン、50mlの1−オクテンを投入し、30℃に保持しながら、エチレンを流速5リットル/分で10分間流入させ、溶解させた。その後、n−ヘキサンに溶解させた1.5mmolのトリメチルアルミニウム{化合物(b)}、トルエンに溶解させた6.9mgの▲1▼で得られた反応物、30μmolのN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{化合物(c)}を上記フラスコに更に投入し、重合を開始した。重合反応中は、フラスコ内を30℃に保持し、エチレンを流速5リットル/分で供給し続けた。20分経過後、メタノール5mlを加え、重合反応を停止した。次いで、老化防止剤を加え、スチームストリッピングで重合体を回収し、乾燥した。その結果27.9gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は25.8mol%であり、Mwは10.4×105であり、Mw/Mnは3.1であった。
【0045】
実施例2(エチレンと1−オクテンの共重合)
実施例1の▲2▼と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。但し、トリメチルアルミニウム{化合物(b)}の使用量は50μmolとし、実施例1の▲1▼で得られた反応物の使用量は2.3mgとし、 N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{化合物(c)}の使用量は10μmolとした。その結果16.3gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は27.9mol%であり、Mwは16.4×105であり、Mw/Mnは4.1であった。
【0046】
実施例3(エチレンと1−オクテンの共重合)
実施例1の▲2▼と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。但し、トリメチルアルミニウムの代わりにトリイソブチルアルミニウムを使用し、その使用量は7.5mmolとした。その結果5.4gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は24.4mol%であり、Mwは9.6×105であり、Mw/Mnは2.7であった。
【0047】
実施例4(エチレンとプロピレンの共重合)
充分に窒素置換を行った内容量2リットルのフラスコに、1000ミリリットルのn−ヘキサンを投入し、30℃に保持しながら、エチレン及びプロピレンをそれぞれ流速5リットル/分で10分間流入させ、溶解させた。その後、n−ヘキサンに溶解させた50μmolのトリメチルアルミニウム{化合物(b)}、トルエンに溶解させた実施例1の▲1▼で得られた反応物2.3mg、10μmolのN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{化合物(c)}を上記フラスコに更に投入し、重合を開始した。重合反応中は、フラスコ内を30℃に保持し、エチレン及びプロピレンを各々流速5リットル/分で供給し続けた。20分間経過後、、メタノール5mlを加え、重合反応を停止した。次いで、老化防止剤を加え、スチームストリッピングで重合体を回収し、乾燥させた。その結果25.3gの重合体が得られた。この重合体のプロピレン含量は52.0mol%であり、Mwは5.8×105であり、Mw/Mnは4.1であった。
【0048】
実施例5(エチレンと1−ブテンの共重合)
充分に窒素置換を行った内容量2リットルのオートクレーブに、600mlのn−ヘキサン、n−ヘキサンに溶解させた0.25mmolのトリメチルアルミニウム、100mlの1−ブテンを投入し、30℃に保持しながら、圧力が4kg/cm2に保持されるようにエチレンにより加圧した。その後、40℃に保持し、トルエンに溶解させた2.3mgの実施例1の▲1▼で得た反応物、10μmolのN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを更に投入し、重合を開始した。重合反応中は、オートクレーブ内の温度を40℃に保持し、15分間経過後、メタノール5mlを加え、重合反応を停止した。その後、老化防止剤を加え、スチームストリッピングで重合体を回収し、乾燥した。その結果、16.1gの重合体が得られた。この重合体の1−ブテン含量は45.2mol%であり、Mwは11.9×105であり、Mw/Mnは3.8であった。
【0049】
実施例6(エチレンと1−ブテンと5−エチリデン−2−ノルボルネンの共重合)
2.0mlの5−エチリデン−2−ノルボルネン(E−NOR)を、1−ブテン等と同時に投入する以外は、実施例5と同様に重合を行った。その結果16.5gの重合体が得られた。この重合体の1−ブテン含量は42.9mol%であり、ヨウ素価は16.7であり、Mwは8.9×105であり、Mw/Mnは2.7であった。尚、ヨウ素価はヨウ素価滴定法により測定した。
【0050】
実施例7(エチレンと1−オクテンの共重合)
実施例2と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。但し、実施例1の▲1▼で得られた反応物及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートをそれぞれ塩化メチレンに溶解し、実施例1の▲1▼で得られた反応物の使用量は1.2mgとし、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの使用量は5μmolとした。その結果17.4gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は35.0mol%であり、Mwは8.3×105であり、Mw/Mnは2.4であった。
【0051】
実施例8(エチレンと1−オクテンの共重合)
実施例7と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。但し、トリメチルアルミニウムのn−ヘキサン溶液、実施例1の▲1▼で得られた反応物の塩化メチレン溶液、及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの塩化メチレン溶液を、充分窒素置換した100mlフラスコに加え、1分攪拌した後、重合用の2リットルのフラスコに投入し重合を開始した。その結果、37.7gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は26.8mol%であり、Mwは5.9×105であり、Mw/Mnは1.9であった。
【0052】
実施例9(エチレンと1−オクテンの共重合)
実施例7と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。但し、重合溶媒としてn−ヘキサンの代わりに塩化メチレンを950ml使用した。その結果32.5gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は36.7mol%であり、 Mwは11.1×105であり、Mw/Mnは2.1であった。
【0053】
実施例10(エチレンと1−オクテンの共重合)
▲1▼反応生成物(f)の調製
実施例1の▲1▼と同様にして、反応生成物(f)を調製した。但し、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)の代わりに2,2’−スルフィニルビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)1.1gを使用した。その結果、1.4gの反応生成物(f)を含む、濃青色の固体を得た。
▲2▼エチレンと1−オクテンの共重合
実施例7と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。但し、実施例1の▲1▼で得られた反応物の代わりに実施例10の▲1▼で得られた反応物1.2mgを使用した。その結果、7.7gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は33.4mol%であり、 Mwは13.7×105であり、Mw/Mnは3.1であった。
【0054】
比較例1(エチレンと1−オクテンの共重合)
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートジメチルアニリニウムを使用しないこと以外は実施例1の▲2▼と同様に重合を行った。その結果0.2gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は9.4mol%であった。Mw及びMw/Mnの値は、重合体がo−ジクロロベンゼンに溶解しなかったために、得ることができなかった。
【0055】
比較例2(エチレンと1−オクテンの共重合)
▲1▼反応生成物(f)の比較品の製造
化合物(e)の代わりに、上記一般式(4)におけるBが本発明の範囲外の構成原子の炭素原子である2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)1.0g(3.0mmol)を使用し、実施例1の▲1▼と同様な反応を行い、0.87gの反応物を得た。
▲2▼エチレンと1−オクテンの共重合
▲1▼で得た反応物6.6mgを使用した以外は実施例1の▲2▼と同様に重合を行った。その結果、重合体は得られなかった。
【0056】
比較例3(エチレンと1−オクテンの共重合)
▲1▼反応生成物(f)の比較品の製造
化合物(d)の代わりに、一般式(3)において本発明の範囲外である四塩化バナジウム0.58g(3.0mmol)を使用した以外は、実施例1の▲1▼と同様な反応を行い、1.2gの反応物を得た。
▲2▼エチレンと1−オクテンの共重合
▲1▼で得た反応物7.2mgを使用した以外は実施例1の▲2▼と同様に重合を行った。その結果0.98gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は18.1mol%であった。Mw及びMw/Mnの値は、重合体がo−ジクロロベンゼンに溶解しなかったために、得ることができなかった。
【0057】
比較例4(エチレンとプロピレンの共重合)
トリメチルアルミニウムに代えて、メチルアルミノキサンを使用し、化合物(c)を使用しないこと以外は、実施例4と同様に重合を行った。しかし、この反応では重合体は得られなかった。
【0058】
比較例5(エチレンとプロピレンの共重合)
0.5mmolのメチルアルミノキサンを使用したこと以外は、比較例4と同様に重合を行った。その結果、10.1gの重合体が得られた。この重合体のプロピレン含量は33.5mol%であった。Mw及びMw/Mnの値は、重合体がo−ジクロロベンゼンに溶解しなかったために、得ることができなかった。
【0059】
比較例6(エチレンと1−オクテンの共重合)
▲1▼化合物(f)の比較品の製造
2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)チタンジクロリドを文献Malromol.Chem.,Rapid Commun.10,349(1989)に準じて合成した。
▲2▼エチレンと1−オクテンの共重合
▲1▼で得た2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)チタンジクロリド2.4mg(2.5μmol)を使用した以外は実施例2と同様にして、エチレンと1−オクテンの共重合を行った。その結果、0.53gの重合体が得られた。この重合体の1−オクテン含量は8.9mol%であった。Mw及びMw/Mnの値は、重合体がo−ジクロロベンゼンに溶解しなかったために、得ることができなかった。
【0060】
実施例及び比較例の効果
実施例1〜3、7〜10より、通常、共重合し難い、1−オクテンであっても本発明の触媒を使用することにより、1−オクテンの含量が24.4〜36.7mol%と高い共重合体を得ることができる。比較例1の1−オクテン含量である9.4mol%から比較すると、2.5倍以上の共重合性を有することになる。更に、プロピレン及び1−ブテンにおいては各々の含量が、42.9〜52.0mol%の高い共重合性を有する共重合体を得ることができる。
【0061】
また、実施例より重量平均分子量は5.8×105〜16.4×105と大きな重合体が得られていることが分かる。特に、実施例1、2、7、9のように、トリメチルアルミニウム{化合物(b)}とN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{化合物(c)}を使用した、エチレンと1−オクテンの重合においては、重量平均分子量は8.3×105〜16.4×105と特に大きな重合体が得られていることが分かる。更に、実施例8における、反応物(f)と化合物(b)及び化合物(c)を予め混合して使用すると、Mw/Mnが1.9とシャープな重合体が得られていることが分かる。また、実施例5では、比較的高分子量の重合体が得にくいエチレンと1−ブテンの重合であっても、重量平均分子量が11.9×105と大きな重合体が得られている。
【0062】
実施例2、4、7〜9より、有機アルミニウム化合物等である化合物(b)の使用量が50μmolと少ない使用量であっても16.3〜37.7gと十分な重合体が得られ、α−オレフィンの含量が26.8mol%以上の高い共重合体が得られていることが分かる。これに対して、比較例1では、化合物(c)を使用しなかったために得られた重合体はわずかであり、そのα−オレフィンの含量は9.4mol%と共重合性が低いことが分かる。
【0063】
比較例2では、化合物(e)のBにヘテロ原子を含まない化合物を使用したために、重合体を得ることができなかった。比較例3では、化合物(d)として本発明の範囲外であるバナジウムに酸素原子が二重結合していない化合物を使用したために、実施例1と比較して得られた重合体の量は約30分の1であった。また、比較例6では、化合物(a)として本発明の範囲外であるチタン化合物を使用したために、得られた重合体はわずかであり、そのα−オレフィンの含量は8.9mol%と共重合性が低いことが分かる。この結果、バナジウム原子に酸素が二重結合している化合物は、高い触媒活性を発揮することが分かる。
【0064】
【発明の効果】
本発明のオレフィン重合用触媒によると、共重合性が高く、分子量が大きい重合体を、高い収率で得ることができる。また、この触媒は極めて簡便な方法により触媒成分を得ることができる。更に、高価な有機アルミニウム化合物の使用量が少なくてよい。このため、残触を防止することができる。
また、本発明のオレフィン重合用触媒はオレフィンの重合に有用であり、特に、共重合性が高く、分子量が大きい重合体を得ることができる。
更に、本発明の製造方法によれば、共重合性が高く、分子量が大きい重合体を、高い収率で得ることができる。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表される化合物(a)、下記化合物(b)及び下記化合物(c)を含有することを特徴とするオレフィン重合用触媒。
化合物(a);
〔但し、上記一般式(1)において、A1とA2は、各々Mに結合する酸素原子であり、R1とR2は、フェニレン基、ナフタレン基、及び上記一般式(7)で表される基のうちのいずれか1種の基であり、同一であっても異なっていてもよい。更に、上記R1及び上記R2がフェニレン基の場合、上記A1と上記Bとがフェニレン基の相隣接する炭素に結合し、上記A2と上記Bとがフェニレン基の相隣接する炭素に結合する。上記R1及び上記R2がナフタレン基の場合、上記A1と上記Bとがナフタレン基の相隣接する炭素に結合し、上記A2と上記Bとがナフタレン基の相隣接する炭素に結合する。上記R1及び上記R2が上記一般式(7)で表される基の場合、上記A1と上記Bとがフェニレン骨格の相隣接する炭素に結合し、上記A2と上記Bとがフェニレン骨格の相隣接する炭素に結合する。Bは、各々上記R1と上記R2とに結合し、−S−、及び−S(O)−のうちのいずれか1種である。Mはバナジウムである。Xは塩素原子である。
また、上記一般式(7)におけるR4は、炭素数1〜20の炭化水素基である。また、sはフェニレン基に結合するR4の数を表し、1〜4の整数である。上記sが2以上の場合、各々の一般式におけるR4は複数存在し、これらは同一であっても異なっていてもよい。更に、nは1である。〕
化合物(b);トリアルキルアルミニウム
化合物(c);イオン化イオン性化合物 - 上記一般式(1)におけるR1とR2は、フェニレン基、及び上記一般式(7)で表される基のうちのいずれか1種の基である請求項1記載のオレフィン重合用触媒。
- 上記一般式(1)におけるR1とR2は、上記一般式(7)で表される基であり、上記一般式(7)におけるR4は、炭素数1〜4の炭化水素基であり、上記一般式(7)におけるsが2である請求項1記載のオレフィン重合用触媒。
- 上記イオン化イオン性化合物が、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである請求項1乃至3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
- 上記イオン化イオン性化合物が、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである請求項1乃至3のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の重合用触媒を用いてオレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- 上記オレフィン重合体はエチレン・α−オレフィン共重合体である請求項6記載のオレフィン重合体の製造方法。
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