JP4472953B2 - 重金属捕捉剤 - Google Patents

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Description

本発明は、重金属捕捉剤に関するものであり、より詳細には、粘土の酸処理工程で排出される酸性廃液から得ることができる重金属捕捉剤に関する。
ゴミ焼却炉などで発生する飛灰中には、Cd、Cr、Zn、Cu、Ni、Hg、As、Mn、Pb等の有害な重金属を含有しており、現在では、このような飛灰は、セメントで固化して埋め立て等により廃棄されている。しかしながら、上記のような有害な重金属がセメントから溶出し、新たな環境汚染が問題となっている。
このような問題を解決するため、Al(SO、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等の固体酸の粉末を重金属捕捉剤として使用することが提案されている(特許文献1)。
特開平7−204605号公報(特許請求の範囲)
上記特許文献1に開示されている重金属捕捉剤によれば、各種重金属が塩等の安定な化合物の形で捕捉され、溶出等による環境汚染を有効に回避できるというものであるが、その吸着及び捕捉効果が未だ満足し得るものではなく、重金属に対する捕捉作用がさらに向上した捕捉剤が求められている。
一方、粘土の酸処理工程で生成する酸性廃液には、粘土に含まれている塩基性成分(例えばアルミナ分、アルカリ土類金属成分、マグネシウム成分、鉄分等)が水溶性塩類の形で含有されていると共に、シリカ成分も酸性ゾルの形で含有されている。従って、このような酸性廃液は、各種金属の吸着、捕捉に寄与する成分を含有しており、何らかの処理をすることにより、重金属捕捉効果の高い剤を得ることができるのではないかと考えられる。しかしながら、このような酸性廃液は、多くの場合、中和処理してそのまま廃棄されており、僅かに土壌改良剤などの用途への再利用が提案されているに過ぎない。
従って本発明の目的は、Cd、Cr、Pbなどの重金属に対する吸着・捕捉効果が著しく向上した重金属捕捉剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、粘土の酸処理工程で生成する酸性廃液から製造可能な重金属捕捉剤を提供することにある。
本発明によれば、粘土の酸処理工程で排出される酸性廃液を中和処理して生成するスラリーを、更にpHが8乃至10.5の範囲となるようにアルカリ処理し、次いで熟成することにより得られた重金属捕捉剤であって、
該重金属捕捉剤は、Na、Mg、Al及びSiを、110℃乾燥基準且つ酸化物換算で、下記条件:
NaO:0.2乃至6重量%
MgO:10乃至20重量%
Al:20乃至45重量%
SiO:8乃至40重量%
を満足する量で含有し、灼熱減量(1050℃)が20乃至40重量%の範囲にあり、且つ前記元素の一部は、少なくとも下記式(1)乃至(3):
Mg2.85Al5.7Si10.332・14HO …(1)
Na〔AlSi16〕・6HO …(2)
(Na,Ca)Al(SO(OH) …(3)
のいずれかで表わされる化合物の形で存在することを特徴とする重金属捕捉剤が提供される。
本発明の重金属捕捉剤においては、Fe 含量が8重量%以下に抑制され、且つSO 含量が15重量%以下に抑制されていることが好ましい。
本発明の重金属捕捉剤は、Cd、Cr、Pbなどの重金属を効率よく捕捉することが可能であり、環境保護の点で極めて有用であるばかりか、粘土の酸性廃液を利用して生産可能であり、資源の再利用という点でも極めて有用である。
(重金属捕捉剤の製造)
本発明の重金属捕捉剤は、これに限定するものではないが、粘土の酸性廃液から得ることができる。即ち、粘土の酸処理で発生する廃液を利用できるというのが本発明の最大の利点である。
この原料の粘土としては、スメクタイト粘土、特に酸性白土やベントナイト等のモンモリロナイトが好適であるが、ハロイサイト等も使用することができる。スメクタイトは、火山灰や溶岩等が海水の影響下で変性することにより生成したものと考えられているが、この変性の過程で過剰のケイ酸分が水晶、クリストバライト、オパールCT等の形で析出し、これがスメクタイト粘土と共存していることが多い。このようなスメクタイト粘土を、必要により、石砂分離、浮力選鉱、磁力選鉱、水簸、風簸等の精製操作に付した後、酸処理が行われる。この酸処理は、油脂精製剤或いは触媒担体として有用な活性白土、感圧紙用顕色剤、非晶質シリカ等を得るために行われるものであり、この酸処理に際して、本発明において利用し得る酸性廃液が副生する。
酸としては、粘土鉱物中の金属と用いた酸の酸根との塩が水或いは酸水溶液中で可溶であるようなものであるが、通常、経済性や取り扱い性の点で硫酸が最も好適である。酸処理に用いる硫酸の濃度は、一般に5乃至50重量%、特に15乃至35重量%の範囲内であり、酸処理温度は、一般に、50乃至100℃、特に60乃至95℃の範囲に設定され、酸処理時間は、酸処理温度や目的物の種類、原料の粘土鉱物の種類等によっても異なるが、一般的には1乃至30時間、特に5乃至25時間の範囲である。原料粘土鉱物と酸との接触は、原料粘土鉱物を一定の粒状物に造粒し、この造粒物を塔に充填し、酸水溶液を塔内に循環させる方法や、酸水溶液中に原料粘土鉱物を分散させ、スラリー状で酸処理する方法等により行われる。
上記の酸処理により、原料粘土鉱物中に含まれる層間の陽イオンが塩として酸水溶液中に溶出し、且つ3層構造の八面体中のMg成分、Fe成分、Al成分や3層構造の四面体層中のAl等の金属成分が塩として酸水溶液中に溶出する。また、粘土中のシリカ成分の一部が酸性ゾルの形で溶出する。酸処理の終点において、これらの塩を含む酸水溶液を、粘土鉱物の酸処理物から分離する。
このようにして酸処理物から分離された酸性廃液或いは酸処理物の水洗液(これらの混合液でも良い)を、中和処理して、酸性廃液中に含まれるシリカ成分及び各種金属成分及び酸根(硫酸根)を沈殿として回収する。
中和処理には、通常、消石灰が使用されるが、例えばゼオライトの合成工程で排出されるアルカリ性廃液を使用することもできる。この中和反応は、液のpHが6乃至9、特に7乃至8となるように行い温度は、0乃至60℃の範囲が適当である。ゼオライトの合成工程で排出されるアルカリ性廃液及び消石灰は、それぞれ単独で中和に用いても良いし、組合せで中和に用いても良い。例えば、中和の初期段階で、アルカリ性廃液を使用し、中和の終期の段階で消石灰を使用しても良い。
沈殿の沈降分離は、シックナーにより行われ、上澄液は放流され、沈降したスラリーは、固液分離され、本発明の重金属捕捉剤の製造に用いる。
上記のスラリーは、Na、Mg、Al及びSiの元素成分を含み、さらに硫酸根やFe、Ca、Znなどの成分をも含んでいる。例えば、非晶質シリカ、非晶質アルミナ、非晶質乃至結晶質のシリカアルミナ或いはアルミノケイ酸塩(ゼオライトをも含む)、鉄水酸化物乃至酸化物、石膏等が複合された状態で沈殿として析出し、これらの成分の大部分は、吸着性に優れ、水に不溶性或いは難溶性の成分として存在している。固液分離されたこの沈殿スラリーの代表的な化学組成は、以下の通りである。
(化学組成)
NaO:1〜6(重量%)
MgO:2〜6
Al:15〜35
SiO:15〜35
Fe:2〜6
CaO:1〜6
O:0.1〜2
SO:13〜25
上記のスラリーを、スラリーpHが8乃至10.5の範囲となるようにアルカリ処理を行い、次いで熟成する。このアルカリ処理及び熟成によって、硫酸根(SO)が適度に除去され、重金属の捕捉に有効な結晶成分が生成するものと思われる。例えば、後述する実施例に示すように、アルカリ処理のpHが上記範囲よりも低いと(即ち、中性サイドであると)、重金属の捕捉に有効な結晶成分の生成が不十分となり、重金属捕捉効果が低下する。また、アルカリ処理のpHが上記範囲よりも高いと、有効成分が取り出されてしまい、やはり、重金属捕捉効果が低下してしまう。
上記のアルカリ処理に用いるpH調整剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化バリウム等が好適に使用されるが、必要に応じて苛性ソーダ、苛性カリ、アルミン酸ソーダ、ケイ酸ソーダ等を用いても良い。
熟成後、濾過、水洗し、次いで乾燥し、粉砕することにより、本発明の重金属捕捉剤を得ることができる。
このように、本発明の重金属捕捉剤は、粘土の酸性廃液を中和処理したスラリーから得られるものであるため、Na、Mg、Al及びSiの元素成分を、110℃乾燥基準且つ酸化物換算で、下記条件:
NaO:0.2乃至6重量%、特に0.2乃至4重量%、
MgO:10乃至20重量%、特に10乃至18重量%、
Al:20乃至45重量%、特に20乃至30重量%、
SiO:8乃至40重量%、特に10乃至30重量%、
を満足する量で含有し、灼熱減量(1050℃)が20乃至40重量%の範囲にあり、さらに、好ましくは、上述したアルカリ処理によって、Fe含量が8 重量%以下、且つSO含量が15重量%以下に低減されている。しかも、重要なことは、前記元素の一部は、少なくとも下記式(1)乃至(3):
Mg2.85Al5.7Si10.332・14HO …(1)
Na〔AlSi16〕・6HO …(2)
(Na,Ca)Al(SO(OH)・・・(3)
のいずれかで表わされる化合物を形成しているのであり、このような化合物の存在により、重金属捕捉能の著しい向上がもたらされるのである。
例えば、添付図面の図1は、本発明の重金属捕捉剤(実施例1〜2)と実施例1の重金属捕捉剤の製造に用いた酸性廃液の中和処理物(比較例1)のX線回折像を示すものであるが、比較例1の中和処理物では、上記式(1)乃至(3)の化合物の結晶は生成していないが、実施例1〜2では、結晶成分として、上記式(1)乃至(3)いずれかの化合物の存在が確認される。
式(1)の化合物は、ASTM 16−0604で規定される化合物である。式(2)の化合物は、ASTM 12−0687で規定される化合物であり、重土十字沸石(Harmotome)と呼ばれる。式(3)の化合物はASTM 34−0143で規定される化合物であり、南石(Minamiite)と呼ばれる明礬石グループの鉱物である。何れの化合物もイオン交換能を有しており、このイオン交換能によって、各種の有害重金属(例えば、Cd、Cr、Zn、Cu、Ni、Hg、As、Mn、Pb等)が安定な塩の形で捕捉される。一方、このような化合物が存在していない比較例1では、実施例1の重金属(Pb)捕捉率が29.4wt%であるのに対し、比較例1のPb捕捉率は10.8wt%であり、重金属捕捉能は著しく低いものとなっている。
尚、式(3)の化合物が存在する場合、MgはCaのところに置換された状態で存在していると考えられるが、この推測は本発明を拘束するものではない。
本発明の重金属捕捉剤は、飛灰の有害重金属を除去できるだけでなく、水中の重金属を捕捉することもできる。水と本発明の重金属捕捉剤の接触は、従来から公知である固定床流通法、粉末分散法等が適用できる。固定床流通法は、例えば、粒子径0.1〜10mmに成形した重金属捕捉剤を固定床に充填し、空間速度1.5〜10h−1で水を通水し重金属捕捉剤と接触させることにより、水中の重金属を重金属捕捉剤に吸着固定して、除去する方法である。粉末分散法は、例えば、攪拌槽に水を入れた後、重金属捕捉剤を添加し攪拌することにより、水と重金属捕捉剤を接触させて水中の重金属を重金属捕捉剤に吸着させた後、濾過又は沈降分離により重金属捕捉剤を分離して、除去する方法である。
また、水中の重金属の除去方法の実施に際しては、凝集沈澱法、膜濾過法等の従来公知の吸着法を組み合わせて行うことも勿論可能である。
尚、本発明の重金属捕捉剤は、酸性の地下水、河川水、温泉水であっても、重金属捕捉剤を接触させる処理工程においてpHが4超であれば、水中の重金属の除去が可能である。
本発明の重金属捕捉剤は、それ単独で、飛灰等の有害重金属含有成分と混合されるが、本発明の重金属捕捉剤の特性を損なわない範囲で、例えば各種固体酸や有機酸と併用することもできる。
このような固体酸としては、酸性白土、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト等の粘土鉱物、硫酸、リン酸等の無機酸を担持したシリカゲル、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ゼオライトなどの多孔性無機化合物、陽イオン交換樹脂、各種無機酸化物、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物を例示することができる。
また、有機酸としては、スルホン酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等を挙げることができる。アミノスルホン酸の例としてはスルファニル酸が挙げられ、モノカルボン酸の例としては、ギ酸、酢酸、安息香酸等が代表的に挙げられる。ジカルボン酸としては、脂肪族不飽和ジカルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。該脂肪族不飽和ジカルボン酸は、好ましくは炭素数4〜6のものである。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。該脂肪族飽和ジカルボン酸は、好ましくは炭素数2〜6のものである。具体的には、コハク酸、マロン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、ベンゼン環を有することが好ましく、具体的にはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。該脂環式ジカルボン酸は、シクロヘキシル環を有する酸が好ましい。具体的にはシクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。トリカルボン酸としてはクエン酸が代表的に挙げられる。用いる有機酸は、実質上無臭で且つ常温において固体であるものが好適であり、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸が好適である。
一般に、本発明の重金属捕捉剤と上記の固体酸或いは有機酸とは、99:1乃至50:50の重量比、特に99:1乃至80:20の重量比で組み合わせて使用するのがよい。
尚、有機酸は、通常、その少なくとも一部を本発明の重金属捕捉剤の表面或いは細孔内に添着させて使用するのがよい。このような添着手段としては、含浸法や共粉砕法等が用いられる。中でも、メカノケミカル処理による添着が特に好ましい。
含浸法では、有機酸を水或いは有機極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、セロソルブ系溶媒、ジエチレングリコールエーテル系溶媒等に溶解した溶液を、本発明の重金属捕捉剤に含浸させ、これを乾燥して製品とする。有機酸の溶液としては、一般に有機酸の濃度が5乃至20重量%の溶液を用いるのが好ましい。
一方、共粉砕法では、固体の有機酸と本発明の重金属捕捉剤とを、粉砕機中で共粉砕する。粉砕機としては、ボールミル、ジェットミル、振動ミル、コロイドミル等が使用されるが、特にジェットミルが好適に使用される。この粉砕に対して、少量の水分、一般に組成物当たり5乃至25重量%の水分を加えると、細孔内への有機酸の取り込みが有効に行われる。
また、有害重金属成分以外の成分に対する吸着捕捉性能を高めるために、無機吸着剤を併用することもできる。このような無機吸着剤としては、例えば、結晶性ケイ酸亜鉛化合物、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛乃至そのケイ酸質複合体、フィロケイ酸マグネシウム、含アルミニウムフィロケイ酸マグネシウム、メソポーラスシリカ、セピオライト、パリゴルスカイト、活性炭、竹炭、木炭、天然ゼオライト、合成ゼオライト、抗菌ゼオライト、活性炭素繊維、シリカゲル、活性白土、リモナイト、アルミナ、バーミキュライト、ケイソウ土などが挙げられ、更にパルプ、繊維、布、高分子多孔体など併用することができる。これらの無機吸着剤は、前記の有機酸と組み合わせて用いることももちろんできる。無機吸着剤と有機酸は、99:1乃至50:50の重量比、特に95:5乃至60:40の重量比で組み合わせて使用するのがよい。
本発明の重金属捕捉剤、或いはこの重金属捕捉剤に上述した各種固体酸、有機酸、無機吸着剤等を組み合わせたものは、粉末、顆粒状或いは棒状、ペレット状、球状、樽状、板状、ハニカム状、円筒状、繊維状等に押し出し成形し用途に応じた適宜の形状に容易に成形することができる。
本発明の重金属捕捉剤は、前述した固体酸量をコントロールできることにより、有害ガス例えば、NOx、SOx等の分解を促進させることができる。従って、各種廃棄ガスの処理に用いることにより、有害重金属成分の捕捉とともに、有害ガスの分解を促進させることができ、環境汚染を有効に防止することができる。
本発明を次の例で説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。尚、各試験方法は下記の方法に従って行った。
(1)X線回折測定試験
理学電機(株)製のRAD−IBシステムを用いて、Cu−Kαにて測定した。
ターゲット: Cu
フィルター: 湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器: SC
電圧: 40KVP
電流: 20mA
カウントフルスケール: 8000c/s
スムージングポイント: 25
走査速度: 1°/min
ステップサンプリング: 0.02°
スリット: DS1° RS0.15mm SS1°
照角: 6°
(2)化学分析
灼熱減量(Ig−loss )、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al) 、酸化ナトリウム(NaO)の分析は、JIS M 8855に準拠して測定した。また、Fe、CaO、MgO、KOは原子吸光法を用いた。なお、測定試料は110℃乾燥物を基準とする。
(3)BET比表面積、
細孔容積カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、BET法により測定した。
(4)pH測定
JIS K
5101−26(3)3.1に依った。
(5)重金属捕捉試験1
純水3LにCd、Cr、Znがそれぞれ500ppmになるように硝酸カドミウム4水和物(和光純薬製試薬PuA99.9%)、硝酸クロム(III)9水和物(和光純薬製試薬PuA99.9%)、硝酸亜鉛6水和物(和光純薬製試薬PuA99.9%)を各々溶解し吸着試験用原液を調製した。
次いで300mlの共栓付き三角フラスコに上記原液を200g採取した後試料を0.33g〜1g加えヤマト製Shaking bath BW200に固定して165rpmで24時間振とう後上澄液を採取した。なお、試料の添加量を変えるのは重金属の残存濃度が0ppmでは除去率が求められないため、重金属が適量残存するようにするためである。
採取した上澄液を原子吸光法により分析し、下記式により重金属捕捉率を求めた。
重金属捕捉率(wt%)={(200(g))×(500―残存濃度(ppm)
×(10−6)/(試料(g))}×100
(6)重金属捕捉試験2
環境庁告示13号法に準拠し、原子吸光法で重金属の溶出量を測定した。
(実施例1)
活性白土製造時の洗浄液(pH2.3)とゼオライト合成時の洗浄液(pH14)をpHが7.0±0.5(循環式流通管の中にガラス電極を据付、検出、制御)になるようにオーバーフロー式反応槽で流量約140m/Hで連続的に中和する。ついでこの中和液をシックナーに輸送後固液分離し、下部沈殿スラリーを採取した。この沈殿スラリー(原料スラリー)の主な組成を表1(No.1−0)に示した。
次に30Lのステンレス製容器にNo.1−0スラリーを20kg秤取り、攪拌下(室温)アルミン酸ソーダ溶液(Al 12%、NaO 17%)412gを3時間かけて注加しpHが9.2で安定したことを確認し、一夜静置した。一夜放置後pHが9.0であることを確認し吸引濾過、水洗浄し、110℃のオーブンで乾燥後、サンプルミルで粉砕し粉末試料(S−1とする)を得た。
この粉末試料の性状を表1、X線回折図を図1に示した。
(実施例2)
実施例1−0をサンプリングした日から1ヶ月後同様に沈殿物スラリーをサンプリングした。
この原料スラリーの主な組成を表1(No.2−0)に示した。
以後実施例1と同様に調製したが、濾過前の最終pHは9.3であった(試料S−2とする)。
この粉末性状を表1、X線回折図を図1に示した。
(実施例3)
実施例2でアルミン酸ソーダの代わりに35%水酸化マグネシウムスラリーを注加してpH9.2に調製し、以後実施例2と同様に試料粉末(S−3とする)を調製した。
この粉末性状を表1に示した。なお、X線回折は、実施例2と同じピークを示した。
(実施例4)
実施例1−0をサンプリングした日から2ヶ月後に、実施例1と同様に沈殿物(原料)スラリー(No.3−0)をサンプリングし、実施例1と同様に試料粉末(S−4とする)を調製した。
この粉末性状を表1に示した。なお、X線回折は、実施例2と同じピークを示した。
(比較例1)
実施例1でアルカリ処理をせずに濾過・乾燥した粉末の性状を表1、X線回折図を図1に示した。
(比較例2)
実施例1の原料スラリー(No.1−0)に鉄系凝集剤(ポリ鉄)をFe2O3として固形分の10%になるように添加して実施例1と同様に粉末まで調製した。
この粉末性状、重金属捕捉能を表1に示した。
(比較例3〜4)
天然ゼオライト(クリノプチロライト)、合成シリカの重金属捕捉試験をそれぞれ行った。その結果を表1に示した。
(実施例5〜7、比較例5〜6)
ゴミ焼却場から排出される、飛灰50gに対して水30gを混練し、表3に示した量の粉末捕捉剤を添加し、7日間養生固化させた。
次いで環境庁13号法に従い原子吸光法により鉛の溶出量を測定した(重金属捕捉試験2)。
捕捉剤を添加しないで水のみで同様に固化させた時(比較例5)、市販アルミノシリケート(比較例6)の鉛の溶出量を測定した。結果を表2に示した。
(実施例8〜10、比較例7)
実施例5で使用した飛灰50gに対して普通ポルトランドセメント70重量部に表3に示した試料30重量部を混合粉末化した捕捉剤試料10g、水30gを混練りし、7日間養生固化させた。
次いで環境庁13号法に従い原子吸光法により鉛の溶出量を測定した(重金属捕捉試験2)。
ブランクとして捕捉剤を添加せずポルトランドセメントのみの鉛の溶出量(比較例7)も測定した。結果を表3に示した。
(試料成型)
実施例1及び実施例2と表4に示した吸着剤等を粉末換算で所定割合に混合しファインディスクペレッターで径1mmの柱状に成型後110℃または350℃で乾燥して表4に示す成型品を得た。
(実施例11)
内径15mmのガラス製カラムに実施例11の成型品を10ml(5.6g)充填し、あらかじめ50mg/Lに調製したPb液、Cd液をSV60(600ml/h)で下部より定量ポンプで流入し、充填剤を通過後の液を随時サンプリングして濃度を原子吸光法で測定しブレークする(1mg/L)までの時間から重金属捕捉能を求めた。
その結果ブレークまでのPb液流通量は52時間(31.2L)、Pb捕捉率27.9%、Cd液流通量は15時間(9L)、Cd捕捉率8.0%であった。
(実施例12〜15)
50mg/LのPb液を使用して、実施例12〜15についても実施例11と同様にPb捕捉能を測定した。結果を表4に示した。
Figure 0004472953
Figure 0004472953
Figure 0004472953
Figure 0004472953
本発明の重金属捕捉剤(実施例1〜2)及び比較例1の重金属捕捉剤のX線回折像である。

Claims (2)

  1. 粘土の酸処理工程で排出される酸性廃液を中和処理して生成するスラリーを、更にpHが8乃至10.5の範囲となるようにアルカリ処理し、次いで熟成することにより得られた重金属捕捉剤であって、
    該重金属捕捉剤は、Na、Mg、Al及びSiを、110℃乾燥基準且つ酸化物換算で、下記条件:
    NaO:0.2乃至6重量%
    MgO:10乃至20重量%
    Al:20乃至45重量%
    SiO:8乃至40重量%
    を満足する量で含有し、灼熱減量(1050℃)が20乃至40重量%の範囲にあり、且つ前記元素の一部は、少なくとも下記式(1)乃至(3):
    Mg2.85Al5.7Si10.332・14HO …(1)
    Na〔AlSi16〕・6HO …(2)
    (Na,Ca)Al(SO(OH) …(3)
    のいずれかで表わされる化合物の形で存在することを特徴とする重金属捕捉剤。
  2. Fe含量が8重量%以下に抑制され、且つSO含量が15重量%以下に抑制されている請求項1に記載の重金属捕捉剤。
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