JP4475400B2 - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被噴射液を吐出する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に供給されたインクを圧力発生素子によって加圧することにより、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室を圧力発生素子によりインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが知られている。このようなインクジェット式記録ヘッドには、圧力発生素子、例えば、圧電素子を駆動するための駆動IC(半導体集積回路)等が必要である。駆動ICは圧力発生室が形成された流路形成基板(例えば、ヘッドチップを構造的に保持固定する固定部材)上に搭載され、ワイヤボンディングによって各圧電素子と接続する構造が採用されている。ケースヘッドには配線基板が設けられ、TCP(テープ・キャリア・パッケージ)等のテープ状のケーブル(フレキシブルケーブル)により配線基板を介して外部から駆動ICに駆動信号が供給される(例えば、特許文献1参照)。
このフレキシブルケーブルは、例えば、ポリイミド等のベースフィルムの表面に銅箔等で導体パターンを形成し、導体パターンをレジストで被覆した構成とされる。そして、フレキシブルケーブルの一端側の端子部は、駆動ICにつながる配線基板の端子部に接続される。
駆動ICやワイヤボンディング、配線基板、フレキシブルケーブルの一端側の部位は、充填硬化剤としてのモールドによって覆うことにより保護されている(例えば、特許文献2参照)。モールドの材料としては一般的に樹脂材料が用いられている。このようなモールドとして、未硬化状態で比較的粘度の低い材料を用いた場合、隙間にも確実に流れ込み、駆動ICやワイヤボンディング、配線基板、フレキシブルケーブルの一端側を確実に覆うことができる。フレキシブルケーブルは、一端側の近傍で上側に曲げられて垂直な状態にされ、他端側がケースヘッドの上部から外部に導き出されて外部の配線側に接続されるようになっている。
未硬化状態で比較的粘度の低い材料を用いることでモールドとして、駆動ICやワイヤボンディング、配線基板、フレキシブルケーブルの一端側の部位の隙間にもモールド材料が流れ込み、良好なモールド状態が得られるが、反面、フレキシブルケーブルとケースヘッドの内壁の隙間から毛細管現象によりモールド材がしみ上がり、ケースヘッドの外に出てしまう虞があった。ケースヘッドの外にモールド材が出てしまうと、後工程における部材の取り付けなどに支障をきたしてしまう。
また、フレキシブルケーブルの一端側には配線基板の端子部に接続される端子(金属がメッキされて形成されている)が設けられているが、端子とレジストとの境界部位でフレキシブルケーブルを上側に曲げると、メッキされた端子が折れてしまう虞があるため、フレキシブルケーブルの折り曲げはメッキ部もしくはレジスト部で曲げる必要がある。折り曲げのためにメッキ部を長くすると、フレキシブルケーブルが傾いてショートする虞がある。このため、メッキ部はできるだけ短くする必要があり、フレキシブルケーブルの折り曲げはレジスト部で行うのが実用的である。
レジスト部でフレキシブルケーブルの折り曲げを行う場合の問題としては、複数本のフレキシブルケーブルの固定位置がばらついて、複数本を同時に後工程の取付板フィルタに挿入する工程が複雑になる。このため、レジスト部でフレキシブルケーブルの折り曲げを行う場合には確実に所望の一定位置で折り曲げる必要がある。
特開2000−211131号公報(第3図、第5頁) 特開2000−135790号公報(第5−8,11,12,14図)
本発明は、このような事情に鑑み、フレキシブルケーブルの折り曲げが確実に定位置で行えると共に、充填硬化剤がケースヘッドの上面にしみ上がることがない液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、圧力発生室内の液体をノズル開口から液滴として吐出させる圧力発生素子と、該圧力発生素子を駆動するための駆動ICと、該駆動ICを囲む空間が設けられたケースヘッドと、該ケースヘッドの空間内で一端側端子部が前記駆動ICの端子部に接続され、レジスト部が一端側端子部に交差する垂直な面で配されて充填硬化剤により該ケースヘッドに固定されるフレキシブルケーブルと、前記ケースヘッドの空間を形成する内壁面に設けられ前記一端側端子部の位置を規制して該フレキシブルケーブルをレジスト部で垂直な状態に立ち上げると共に前記フレキシブルケーブルの前記レジスト部を垂直な状態に支持し更に前記充填硬化剤のしみ上がりを抑制する庇部とを備えたことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、庇部により、フレキシブルケーブルの一端側端子部の位置が規制されてフレキシブルケーブルがレジスト部で垂直な状態に立ち上げられてレジスト部が垂直な状態に支持され、充填硬化剤のしみ上がりが防止される。このため、フレキシブルケーブルの折り曲げが確実に定位置で行えると共に、充填硬化剤がケースヘッドの上面にしみ上がることがない液体噴射ヘッドとなる。
本実施形態の第2の態様は、液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて当該圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板と、前記保護基板上に接合され前記圧電素子を駆動するための駆動ICを囲む空間が設けられたケースヘッドと、該ケースヘッドの空間内の保護基板上で一端側端子部が前記駆動ICの端子部に接続され、レジスト部が一端側端子部に交差する垂直な面で配されて充填硬化剤により該ケースヘッドに固定されるフレキシブルケーブルと、前記ケースヘッドの空間を形成する内壁面に設けられ前記一端側端子部の位置を規制して該フレキシブルケーブルをレジスト部で垂直な状態に立ち上げると共に前記フレキシブルケーブルの前記レジスト部を垂直な状態に支持し更に前記充填硬化剤のしみ上がりを抑制する庇部とを備えたことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、庇部により、フレキシブルケーブルの一端側端子部の位置が規制されてフレキシブルケーブルがレジスト部で垂直な状態に立ち上げられてレジスト部が垂直な状態に支持され、充填硬化剤のしみ上がりが防止される。このため、フレキシブルケーブルの折り曲げが確実に定位置で行えると共に、充填硬化剤がケースヘッドの上面にしみ上がることがない液体噴射ヘッドとなる。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記庇部は、前記フレキシブルケーブルの前記レジスト部を面支持する面部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、レジスト部が庇部の面により支持されるので、レジスト部の垂直な状態の支持が確実に行える。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記庇部の前記ケースヘッドの空間側への張り出し長さは、該フレキシブルケーブルのレジスト部を垂直な状態にする長さに設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、庇部のケースヘッドの空間側への張り出し長さが的確に規定される。因みに、張り出し長さが短すぎると、レジスト部が鈍角状態で固定され、後工程(取付板フィルタへの挿入)が困難になり、張り出し長さが長すぎると、レジスト部が鋭角状態に曲げられ、一端側端子部の近傍で曲げられてクラック等が発生する虞がある。
本発明の第5の態様は、第3又は4の態様において、前記庇部の下端部の位置は、少なくとも該フレキシブルケーブルが垂直な状態に立ち上がる曲げ部のアール部の上端の高さ以上の高さに設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、庇部での当接面の位置が的確に規定される。
本発明の第6の態様は、第3〜5のいずれかの態様において、前記フレキシブルケーブルは帯状に形成され、前記庇部の前記フレキシブルケーブルの幅方向の長さは、前記ケースヘッドの空間における前記フレキシブルケーブルが配される内壁面の全幅に亘る長さに設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、フレキシブルケーブルの全幅に亘り充填硬化剤のケースヘッドの上面へのしみ上がりを防止することができる。
本発明の第7の態様は、第3〜5のいずれかの態様において、前記フレキシブルケーブルは帯状に形成され、前記庇部の前記フレキシブルケーブルの幅方向は、前記ケースヘッドの空間における前記フレキシブルケーブルが配される内壁面の両端角部を含む部位に形成され、内壁面の全幅に亘り不連続状態に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第7の態様では、ケースヘッドの空間における内壁面の両端角部の部位で充填硬化剤のケースヘッドの上面へのしみ上がりを防止することができ、その他の部位ではケースヘッドの空間における内壁面とフレキシブルケーブルとの接触をなくして充填硬化剤のしみ上がりを防止することができる。
本発明の第8の態様は、第3〜7のいずれかの態様において、前記庇部の上端の位置は、前記ケースヘッドの空間の上面部より低い位置に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第8の態様では、庇部の上端面に充填硬化剤の溜まり部が形成され、充填硬化剤のケースヘッドの上面へのしみ上がりを確実に防止することができる。
本発明の第9の態様は、第3〜8のいずれかの態様において、前記庇部には、高さ方向に段差が形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第9の態様では、庇部の上端面に充填硬化剤の溜まり部が複数形成され、充填硬化剤のケースヘッドの上面へのしみ上がりを更に確実に防止することができる。
本発明の第10の態様は、第1〜9のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第9の態様では、断線のない信頼性及び耐久性を向上した液体噴射装置を実現することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1には本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの斜視状況、図2には図1中の分解斜視、図3には図1中のIII−III線矢視、図4には図1中のIV−IV線矢視、図5にはポッティング剤を省略した状態の図1中のIV−IV線矢視、図6には図5中のVI−VI線矢視を示してある。
図1、図2、図3に図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設された列が2列設けられている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には各圧力発生室12の列毎に連通部13が形成され、連通部13と圧力発生室12とがインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部33と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ110の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられた絶縁膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としている。これらの関係は、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
また、各圧電素子300の上電極膜80の一端部近傍にはリード電極90が接続されている。このリード電極90は、流路形成基板10の中央部近傍まで延設され、後述する保護基板30上に実装された駆動ICと接続される。さらに、本実施形態では、圧電素子300を構成する各層及びリード電極90が、駆動ICとの接続部を除いて、例えば、無機絶縁材料からなる絶縁膜100によって覆われている。この絶縁膜100の材料としては、無機絶縁材料であれば、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム(Al)、五酸化タンタル(Ta)等が挙げられるが、特に、酸化アルミニウム(Al)を用いるのが好ましい。
このような無機絶縁材料からなる絶縁膜100は、薄膜でも水分の透過性が極めて低いため、この絶縁膜100によって、下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80及びリード電極90の表面を覆うことにより、圧電体層70の水分(湿気)に起因する破壊を防止することができる。
また、このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、この圧電素子保持部31は、本実施形態では、並設された圧電素子300の列毎に設けられている。
保護基板30の各圧電素子保持部31の外側には、リザーバ110の少なくとも一部を構成するリザーバ部33が、圧電素子保持部31に隣接して設けられている。これらのリザーバ部33は、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って設けられており、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の列毎の共通のインク室となるリザーバ110をそれぞれ構成している。また、本実施形態では、保護基板30の圧電素子保持部31の間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔34が、各圧電素子300の列に対応して設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90は、その端部近傍が貫通孔34内で露出されている。なお、このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、この保護基板30の表面、すなわち、流路形成基板10との接合面とは反対側の面には、圧電素子300を駆動するための駆動IC(半導体集積回路)120が各圧電素子300の列毎に実装されている。そして、各駆動IC120と各圧電素子300から引き出されたリード電極90とは、保護基板30の貫通孔34内にワイヤボンディングによって形成される接続配線130によって接続されている。
さらに、保護基板30上には、リザーバ部33に対応する領域を含む周縁部を囲むように、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部33の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ110に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ110の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
さらに保護基板30上には、駆動IC120を囲む空間であるIC保持部141を有するケースヘッド140が接合されている。本実施形態では、ケースヘッド140は、保護基板30上に設けられたコンプライアンス基板40に接合されている。このケースヘッド140は、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成され、IC保持部141はケースヘッド140を厚さ方向に貫通して設けられている。なお、ケースヘッド140の材料は、樹脂材料に限定されず、例えば、ニッケル、アルミニウム等の金属材料を用いてもよい。このような金属材料を用いることにより、寸法精度を向上でき、また、その応力による部材の剥離を防止することができる。
そして、このIC保持部141内には、例えば、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂等の低応力性樹脂材料からなるポッティング剤150が充填され、保護基板30上に設けられた駆動IC120及び接続配線130が、IC保持部141に充填されたポッティング剤150で完全に覆われている。
一方、ケースヘッド140のIC保持部141内にはTCP(テープ・キャリア・パッケージ)等のテープ状(帯状)のケーブル(フレキシブルケーブル)201の下端部がポッティング剤150により固定され、フレキシブルケーブル201はケースヘッド140の開口部140aから引き出されて設けられている。このフレキシブルケーブル201は、例えば、ポリイミド等のベースフィルムの表面に銅箔等で導体パターンを形成し、導体パターンをレジストで被覆したレジスト部203を有する構成とされる。そして、フレキシブルケーブル201の一端側の端子部(図中下側の端子部)202は、駆動IC120につながる配線基板の端子部(後述する図6、図8に符号220で示してある)に接続される。
図4、図5、図6に基づいてフレキシブルケーブル201のケースヘッド140への支持状況を説明する。
フレキシブルケーブル201は、ケースヘッド140の空間で圧電素子300(図1乃至図3参照)の面に平行な面で一端側の端子部202が駆動IC120(図1、図2参照)の端子部(図6中の配線基板の端子部220)に接続され、レジスト部203が曲げられて一端側の端子部202に交差する垂直な面でレジスト部203が配されている。
ケースヘッド140の内壁面には庇部210が設けられ、庇部210はフレキシブルケーブル201のレジスト部203を垂直な状態に面支持する面部211を有している。レジスト部203は庇部210の面部211により支持されるので、レジスト部203の垂直な状態の支持が確実に行える。なお、庇部210の形状は平面状態の面部211を有する形状に限らず、レジスト部203を垂直な状態に支持する形状であれば、凸状や凹状の円弧面や表面に複数のボス部が形成された面等を有する形状にすることが可能である。
庇部210のケースヘッド140の空間側への張り出し長さは、フレキシブルケーブル201のレジスト部203を垂直な状態にする長さに設定されている。このため、庇部210のケースヘッド140の空間側への張り出し長さが的確に規定される。張り出し長さはヘッドのサイズ等により寸法は適宜設定される。庇部210の張り出し長さが短すぎると、レジスト部203が鈍角状態で固定され、後工程(取付板フィルタへの挿入)が困難になり、庇部210の張り出し長さが長すぎると、レジスト部203が鋭角状態に曲げられ、レジスト部203が一端側の端子部202の近傍で曲げられてクラック等が発生する虞がある。
また、庇部210の下端部210aの位置は、フレキシブルケーブル201のレジスト部203が垂直な状態に立ち上がる曲げ部のアール部212の上端の高さ以上の位置に設定されている。即ち、図5中のライン213よりも上方に設定されている。図5に示した庇部210の場合、レジスト部203が点線で示した状態の曲げ部までのアールに設定することが可能である。このため、庇部210での当接面の位置が的確に規定される。実際には、フレキシブルケーブル201のサイズや材質にもよるが、アール部212は0.2R乃至0.5Rの範囲に設定される。庇部210の高さ方向の寸法は、例えば、0.3mm乃至0.5mmに設定される。
庇部210のフレキシブルケーブル201の幅方向の長さは、図6に示すように、ケースヘッド140の空間の全幅(内壁面の全幅)に亘る長さに設定されている。このため、庇部210によるポッティング剤150のケースヘッド140の上面へのしみ上がりを防止することができ、フレキシブルケーブル201の全幅に亘りポッティング剤150のケースヘッド140の上面へのしみ上がりを防止することができる。
また、庇部210の上端部210bの位置は、ケースヘッド140の空間の上面部よりも低い位置に設定されている。これにより、庇部210の上端面部210bがポッティング剤150の溜まり部として機能する。このため、万一、フレキシブルケーブル201のレジスト部203と面部211との間にポッティング剤150がしみ上がっても、ポッティング剤150は上端面部210bに溜まり、ケースヘッド140の上面に至ることがなく、ポッティング剤150のケースヘッド140へのしみ上がりを確実に防止することができる。
ケースヘッド140の内壁面に庇部210を設けたので、フレキシブルケーブル201の一端側の端子部202の位置が規制され、フレキシブルケーブル201がレジスト部203で垂直な状態に立ち上げられてレジスト部203が垂直な状態に支持される。また、庇部210によってポッティング剤150のしみ上がりが防止される。このため、フレキシブルケーブル201の折り曲げが確実に定位置で行えると共に、ポッティング剤150がケースヘッド140の上面にしみ上がることがない液体噴射ヘッドとなる。
図1、図2、図3に示すように、保護基板30の表面はケースヘッド140及びポッティング剤150が設けられ、これらによって完全に覆われている。
なお、保護基板30の圧電素子保持部31を外部と連通して大気開放する構成とすることも可能である。圧電素子保持部31を大気開放させることにより、水分に起因する圧電体層70の破壊を確実に防止することができる。具体的に説明すると、上述したように圧電素子300は絶縁膜100で覆われているため、圧電素子保持部31内の湿気に起因する圧電体層の破壊は基本的には防止されている。しかし、圧電素子保持部31はインクの流路であるリザーバ110に隣接して設けられているため、リザーバ110内の液体、例えばインクが流路形成基板10と保護基板30とを接合している接着剤35を介して侵入してしまう虞がある。このため、圧電素子保持部31が密封されていると、圧電素子保持部31内の湿度が徐々に上昇してしまい、圧電素子保持部31内の湿度が外部よりも高くなると、外部の温度変化によってその湿気が結露する虞がある。そして、結露により生じた水滴によって圧電体層70が破壊されてしまう虞がある。すなわち、圧電素子保持部31内が低湿度下であれば絶縁膜100によって圧電体層70の破壊を防ぐことができるが、高湿度下では結露が発生し、この結露による圧電体層70の破壊は絶縁膜100をもってしても完全には防ぐことができない。
これに対し、保護基板30の圧電素子保持部31を外部と連通して大気開放することで、圧電素子保持部31内の湿度が外気よりも高くなっても、湿気が外部に排出されるため、圧電素子保持部31内は常に外気と同程度の湿度に維持されるため、圧電素子保持部31内で結露が発生する程の高湿度になることがない。したがって、圧電素子保持部31内で結露が発生することがなく、圧電体層70の水滴に起因する破壊を確実に防止することができる。
なお、保護基板30の圧電素子保持部31を外部と連通して大気開放する構成としては、保護基板30に連通孔を設けると共にケースヘッド140に通気孔を設け、連通孔と通気孔とで圧電素子保持部31を大気開放することができる。
また、このようなインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等の外部インク供給手段が、ケースヘッド140、コンプライアンス基板40及び保護基板30に設けられたインク導入口160に接続され、インク供給手段からインク導入口160を介してインクを取り込む。そして、リザーバ110からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC120からの駆動信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に駆動電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70とにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(実施形態2)
図7に基づいて庇部の他の形状を説明する。図7には本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面を示してある。図7の状態は、実施形態1における図5に相当する。このため、実施形態1で説明した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
図に示すように、ケースヘッド140の内壁面には庇部250が設けられ、庇部250には高さ方向に段部255が形成され、庇部250上面には高さ方向に2箇所の上端面部251a,251bが形成された状態になっている。下側の上端面部251aが形成された部位のケースヘッド140の内側の面は、フレキシブルケーブル201のレジスト部203を垂直な状態に面支持する垂直状態の面部251となっている。レジスト部203は庇部210の面部251により支持されるので、レジスト部203の垂直な状態の支持が確実に行える。庇部250の下端部の位置、張り出し長さ、高さ方向の寸法等は、実施形態1と同様に適宜設定される。なお、図に示した実施形態2では2段の段部が設けられた例を挙げて説明したが、3段以上の複数段に形成することも可能である。
実施形態2では、フレキシブルケーブル201のレジスト部203と面部251との間にポッティング剤150がしみ上がっても、ポッティング剤150は下側の上端面部251aに溜まり、ケースヘッド140の上面に至ることがない。更にポッティング剤150がしみ上がった場合であっても、ポッティング剤150は上側の上端面部251bに溜まり、ケースヘッド140の上面に至ることがない。このため、ポッティング剤150がケースヘッド140の上面に至ることがない。従って、庇部250の上端面にポッティング剤150の溜まり部が複数形成された状態になり、ポッティング剤150のケースヘッド140の上面へのしみ上がりを更に確実に防止することができる。
(実施形態3)
図8に基づいて庇部の他の形状を説明する。図8には本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面を示してあり、実施形態1における図6に相当する。このため、実施形態1で説明した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
図8に示すように、フレキシブルケーブル201が配される内壁面の両端角部を含む部位におけるケースヘッド140の内壁面にはそれぞれ庇部260が設けられ、庇部260は内壁面の全幅に亘り不連続状態(2分割された状態)に設定されている。なお、不連続状態にする分割数は2分割に限定されず、3以上の数に分割して不連続状態にすることも可能である。各庇部260はフレキシブルケーブル201のレジスト部203の両端部をそれぞれ垂直な状態に面支持する面部261をそれぞれ有している。レジスト部203はそれぞれの庇部260の面部261により幅方向の両側が支持されるので、レジスト部203の垂直な状態の支持が確実に行える。
ケースヘッド140の空間における内壁面の両端角部の部位でポッティング剤150の上面へのしみ上がりを防止することができ、中央の部位ではケースヘッド140の内壁面とフレキシブルケーブル201のレジスト部203との接触をなくしてポッティング剤150のしみ上がりを防止することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、通気孔は、一方向に直線的に延設されているが、これに限定されず、例えば、L字状等、2方向以上に延びるように形成してもよい。また、上述の実施形態では、圧電素子300を絶縁膜100で覆うようにしたが、これに限定されず、絶縁膜100は設けられていなくてもよい。すなわち、圧電体層70の膜厚が薄い場合には厚膜に比べ水分の影響を受けやすいので絶縁膜100の必要性が高いが、例えば膜厚が10μm程度の比較的厚いものであれば絶縁膜100を設けるまでもなく、圧電素子保持部31内の一部が大気開放されるのみで圧電体層70の破壊は防止される。
また、ケースヘッド140に設けられる庇部としては、幅方向の全幅及び両端角部の例の他にも、例えば、中央部に全幅に亘らない庇部を中央部に1つもしくは不連続に複数形成する等の構成を適用することができる。また、庇部210及び庇部250の下辺縁の高さは、幅方向に亘り同じ高さでも不均一な高さでも可能である。例えば、下辺縁を幅方向に直線状に形成することはもちろん、パルス波形状、波線形状、鋸歯型形状、傾斜直線形状、円弧曲線形状等、種々の形状を適用することが可能である。
さらに、上述したインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図9に基づいてインクジェット式記録装置の一例を説明する。図9にはインクジェット式記録装置の一例を示す概略を示してある。
図に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上に搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態においては、駆動ICは圧電素子を駆動するものとして説明したが、圧電素子に限定されず、他の圧力発生素子、例えば発熱素子を駆動するためのものであっても構わない。
また、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの斜視図である。 図1中の分解斜視図である。 図1中のIII−III線矢視図である。 図1中のIV−IV線矢視視図である。 ポッティング剤を省略した状態の図1中のIV−IV線矢視図である。 図5中のVI−VI線矢視図である。 本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。 インクジェット式記録装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 33 リザーバ部、 34 貫通孔、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 100 絶縁膜、 110 リザーバ、 120 駆動IC、 130 接続配線、140 ケースヘッド、 141 IC保持部、 150 ポッティング剤、 201 フレキシブルケーブル、 203 レジスト部203,250,260 庇部、 300 圧電素子

Claims (10)

  1. 圧力発生室内の液体をノズル開口から液滴として吐出させる圧力発生素子と、
    該圧力発生素子を駆動するための駆動ICと、
    該駆動ICを囲む空間が設けられたケースヘッドと、
    該ケースヘッドの空間内で一端側端子部が前記駆動ICの端子部に接続され、レジスト部が一端側端子部に交差する垂直な面で配されて充填硬化剤により該ケースヘッドに固定されるフレキシブルケーブルと、
    前記ケースヘッドの空間を形成する内壁面に設けられ前記一端側端子部の位置を規制して該フレキシブルケーブルをレジスト部で垂直な状態に立ち上げると共に前記フレキシブルケーブルの前記レジスト部を垂直な状態に支持し更に前記充填硬化剤のしみ上がりを抑制する庇部と
    を備えたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 液滴を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、
    該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子と、
    前記流路形成基板の前記圧電素子側の面に接合されて当該圧電素子を保護する圧電素子保持部を有する保護基板と、
    前記保護基板上に接合され前記圧電素子を駆動するための駆動ICを囲む空間が設けられたケースヘッドと、
    該ケースヘッドの空間内の保護基板上で一端側端子部が前記駆動ICの端子部に接続され、レジスト部が一端側端子部に交差する垂直な面で配されて充填硬化剤により該ケースヘッドに固定されるフレキシブルケーブルと、
    前記ケースヘッドの空間を形成する内壁面に設けられ前記一端側端子部の位置を規制して該フレキシブルケーブルをレジスト部で垂直な状態に立ち上げると共に前記フレキシブルケーブルの前記レジスト部を垂直な状態に支持し更に前記充填硬化剤のしみ上がりを抑制する庇部と
    を備えたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1又は2において、前記庇部は、前記フレキシブルケーブルの前記レジスト部を面支持する面部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項3において、前記庇部の前記ケースヘッドの空間側への張り出し長さは、該フレキシブルケーブルのレジスト部を垂直な状態にする長さに設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項3又は請求項4において、前記庇部の下端部の位置は、少なくとも該フレキシブルケーブルが垂直な状態に立ち上がる曲げ部のアール部の上端の高さ以上の高さに設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  6. 請求項3〜5のいずれかにおいて、前記フレキシブルケーブルは帯状に形成され、前記庇部の前記フレキシブルケーブルの幅方向の長さは、前記ケースヘッドの空間における前記フレキシブルケーブルが配される内壁面の全幅に亘る長さに設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項3〜5のいずれかにおいて、前記フレキシブルケーブルは帯状に形成され、前記庇部の前記フレキシブルケーブルの幅方向は、前記ケースヘッドの空間における前記フレキシブルケーブルが配される内壁面の両端角部を含む部位に形成され、内壁面の全幅に亘り不連続状態に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  8. 請求項3〜7のいずれかにおいて、前記庇部の上端の位置は、前記ケースヘッドの空間の上面部より低い位置に設定されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  9. 請求項3〜8のいずれかにおいて、前記庇部には、高さ方向に段差が形成されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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