JP4480708B2 - 免震装置 - Google Patents

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本発明は、例えばビルやマンション等の構造物とその室内の床との間に設けられ、地震による構造物の揺れに対して室内側の揺れを吸収する免震装置に関するものである。
近年、例えばビルやマンションでは、地震による建物の倒壊を防止するため、耐震強度の高い構造のものが多くなっている。しかしながら、建物の倒壊は防ぐことができても、地震による揺れが激しい場合は、室内の家具が転倒したり、備品が飛散するなど、室内側の被害が大きい場合がある。そこで、構造物のスラブと室内の床との間に免震装置を設け、免震装置によって部屋ごとに揺れを吸収するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−102750号公報
ところで、前述のように免震装置によって部屋ごとに揺れを吸収するようにした場合では、床下のスペースが狭いことから小型の免震装置を用いる必要があるが、小型の免震装置では揺れを十分に吸収することができず、特に横揺れに対する水平方向の移動量が少ないという問題点があった。また、地震の揺れがなくなった後は、横揺れによって位置ずれした床が元の位置に復帰するようにしなければならないが、この場合は免震装置に水平方向の張力を付与する復帰バネを免震装置の外部に設ける必要があるため、復帰バネの設置スペースが別途必要となり、狭い床下への設置が困難になるという問題点があった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型に構成した場合でも横揺れに対する水平方向の移動量を十分確保することができるとともに、免震対象物を元の位置に復帰させるためのバネを外部に別途設置する必要のない免震装置を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、地震と共に揺れる構造物と免震対象物との間に配置され、構造物側から免震対象物側に伝わる地震の揺れを吸収する免震装置において、前記構造物に固定される第1の基板と、免震対象物に固定される第2の基板と、第2の基板を水平方向に移動自在に支持する支持部材と、第1の基板上に水平方向に移動自在に支持され、支持部材を上下方向に移動自在に支持する主軸と、主軸の外側に径方向に間隔をおいて配置され、第1の基板上に固定された円筒部材と、支持部材を上方に付勢する第1の弾性部材と、主軸と円筒部材との間に配置され、主軸に対する円筒部材の水平方向への移動による圧縮力によって弾性変形する第2の弾性部材と、第2の基板と支持部材に連結され、第2の基板に対する支持部材の水平方向の移動による引張力によって弾性変形する第3の弾性部材とを備えている。
これにより、主軸に支持された支持部材が上下動することにより地震の縦揺れが吸収され、この上下動は第1の弾性部材によって緩衝される。また、円筒部材が主軸に対して水平方向に移動するとともに、主軸が第2の基板に対して水平方向に移動することにより、地震の横揺れが吸収され、これらの移動は第2及び第3の弾性部材によって緩衝される。即ち、構造物側の水平方向の移動に対し、円筒部材の移動と主軸の移動により、免震対象物側への横揺れが吸収される。また、地震の揺れがなくなった後は、第2の弾性部材の復元力によって主軸が円筒部材の中心位置に戻され、第3の弾性部材の復元力によって第2の基板がその中心位置に主軸が位置するように戻される。
本発明の免震装置によれば、構造物側の水平方向の移動に対し、円筒部材の移動と主軸の移動により、免震対象物側への横揺れを吸収することができ、小型に構成した場合でも横揺れに対する水平方向の移動量を十分確保することができる。また、復帰用のバネを外部に別途設置しなくとも、主軸及び第2の基板を元の位置に確実に戻すことができるので、床下等の狭いスペースに設置する場合に極めて有利である。
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1は免震装置の側面断面図、図2は図1のA−A線矢視方向断面図、図3は図1のB−B線矢視方向断面図、図4は免震装置の一部断面要部平面図、図5は免震装置の動作を示す側面断面図、図6は免震装置の設置状態を示す建物の側面断面図である。
同図に示す免震装置1は、構造物に固定される第1の基板2と、免震対象物に固定される第2の基板3と、第2の基板3を水平方向に移動自在に支持する支持部材4と、第1の基板2上に水平方向に移動自在に支持され、支持部材4を上下方向に移動自在に支持する主軸5と、主軸5の径方向外側に配置され、第1の基板2上に水平方向に移動自在に支持された第1の円筒部材6と、第1の円筒部材6の径方向外側に配置され、第1の基板2上に固定された第2の円筒部材7と、支持部材4を上方に付勢する第1の弾性部材8と、主軸5に対する第1の円筒部材6の水平方向への移動及び第1の円筒部材6に対する第2の円筒部材7の水平方向への移動による圧縮力によって弾性変形する複数の第2の弾性部材9と、第2の基板3に対する支持部材4の水平方向の移動による引張力によって弾性変形する第3の弾性部材10とを備えている。
第1の基板2は平板状の部材からなり、後述する構造物の上面に固定されるようになっている。
第2の基板3は平板状の部材からなり、その上面には後述する免震対象物が固定されるようになっている。第2の基板3にはその周縁から下方に延びる延設部3aが設けられ、延設部3aの下端には各第3の弾性部材10の一端が連結される複数の連結部3bが設けられている。
支持部材4は、前後方向及び左右方向に延びる梁状部材4aと、梁状部材4aの上面に固定された第1の支持板4bと、梁状部材4aの下面に固定された第2の支持板4cと、第2の基板3を水平方向に移動自在に支持する転動自在な複数のボール4dとからなり、梁状部材4aの両端には各第3の弾性部材10の他端を連結する連結部4eがそれぞれ設けられている。各ボール4dは第1の支持板4bの上面に前後方向及び左右方向に配列され、互いに仕切壁4fによって一つずつ仕切られている。
主軸5は、互いに上下方向に摺動自在に係合する円筒状の上側部材5a及び下側部材5bからなり、上側部材5aは支持部材4の第2の支持板4cに固定されている。下側部材5bの下面には第1の基板2に転動自在に接触する複数のボール5cが設けられ、各ボール5cは互いに主軸5の周方向に間隔をおいて配置されている。
第1の円筒部材6は、互いに上下方向に摺動自在に係合する円筒状の上側部材6a及び下側部材6bからなり、上側部材6aは図示しないバネによって上方に付勢されている。上側部材6aの上端と下側部材6bの下端には、それぞれ支持部材4及び第1の基板2に転動自在に接触する複数のボール6cが設けられ、各ボール6cは互いに第1の円筒部材6の周方向に間隔をおいて配置されている。
第2の円筒部材7は、互いに上下方向に摺動自在に係合する円筒状の上側部材7a及び下側部材7bからなり、上側部材7aは図示しない弾性部材によって上方に付勢されている。上側部材7aの上端には支持部材4に転動自在に接触する複数のボール7cが設けられ、各ボール7cは互いに第2の円筒部材7の周方向に間隔をおいて配置されている。また、下側部材7bは第1の基板2に固定されている。
第1の弾性部材8は主軸5内に配置されたコイルスプリングからなり、その径方向内側には第1の弾性部材8よりも径の小さいコイルスプリングからなる補助弾性部材8aが設けられている。第1の弾性部材8及び補助弾性部材8aは支持部材4の下面と主軸5内の底面との間に圧縮状態で配置され、それぞれ支持部材4を上方に付勢している。
各第2の弾性部材9は主軸5の周方向に延びる環状の中空ゴムからなり、主軸5と第1の円筒部材6の間及び第1の円筒部材6と第2の円筒部材7の間にそれぞれ複数ずつ上下に積み重ねて配置されている。
各第3の弾性部材10はコイルスプリングからなり、第2の基板3の連結部3bと支持部材4の連結部4eに引張状態で連結されている。この場合、各第3の弾性部材10は下端側が上端側よりも主軸5からの距離が遠くなるように斜めに設けられている。
以上のように構成された免震装置1は、例えば図6に示すようにビルやマンション等に設置される。即ち、構造物20のスラブ21と、免震対象物としての室内22の床23との間には複数の免震装置1が配置される。この場合、免震装置1の第1の基板2はスラブ21に固定され、第2の基板3は床23に固定される。
ここで、地震により構造物20が揺れると、各免震装置1によって室内22への揺れが吸収される。その際、縦揺れに対しては、主軸5の上側部材5a、支持部材4及び第2の基板3が上下動し、これらの上下動は主軸5内の第1の弾性部材8の圧縮によって緩衝される。また、横揺れに対しては、図5に示すように第2の円筒部材7が第1の円筒部材6に対して水平方向に移動するとともに、第1の円筒部材6が主軸5に対して水平方向に移動し、これらの移動は各第2の弾性部材9の圧縮によって緩衝される。更に、主軸5と共に支持部材4が水平方向に移動し、これらの移動は各第3の弾性部材10の伸長によって緩衝される。これにより、構造物20側の水平方向の移動Lに対し、各円筒部材6,7の移動L1 と主軸5及び支持部材4の移動L2 により、室内22側への横揺れが吸収される。地震の揺れがなくなった後は、各第2の弾性部材9の復元力によって主軸5が第2の円筒部材7の中心位置に戻され、各第3の弾性部材10の復元力によって第2の基板3がその中心位置に主軸5が位置するように戻される。
このように、本実施形態の免震装置によれば、免震対象物側を支持する支持部材4を主軸5によって上下方向に移動自在に支持するとともに、主軸5に設けた第1の弾性部材8及び補助弾性部材8aによって支持部材4を上方に付勢するようにしたので、地震による縦揺れを効果的に吸収することができる。また、免震対象物に固定された第2の基板3を支持部材4によって水平方向に移動自在に支持するとともに、支持部材4を支持する主軸5を構造物20側に固定された第1の基板2上に水平方向に移動自在に支持するようにしたので、構造物20側の水平方向の移動Lに対し、各円筒部材6,7の移動L1 と主軸5及び支持部材4の移動L2 により、免震対象物側への横揺れを吸収することができ、小型に構成した場合でも横揺れに対する水平方向の移動量を十分確保することができる。この場合、地震の揺れがなくなった後は、各第2の弾性部材9及び各第3の弾性部材10によって主軸5及び第2の基板3が元の位置に戻されるので、復帰用のバネを外部に別途設置する必要がなく、床下の狭いスペースに設置する場合に極めて有利である。
また、第1の弾性部材8と共に支持部材4を上方に付勢する補助弾性部材8aを備えているので、免震対象物の重量に応じて補助弾性部材8aを任意に設けることができ、汎用性の向上を図ることができる。この場合、補助弾性部材8aを第1の弾性部材8よりも径の小さいコイルスプリングによって形成し、補助弾性部材8aを第1の弾性部材8の径方向内側に配置するようにしたので、補助弾性部材8a用のスペースを別途確保する必要がなく、主軸5を大型化させることがないという利点がある。
更に、第2の弾性部材9を主軸5の周方向に延びる中空状の環状ゴムによって形成したので、主軸5の周方向何れの位置においても常に中心方向に向かう弾性力を生じさせることができ、主軸5を各円筒部材6,7の中心位置に確実に戻すことができる。この場合、複数の第2の弾性部材9を互いに上下方向に積み重ねて配置するようにしたので、第2の弾性部材9の数により弾性力を免震対象物の規模等に応じて任意に設定することができ、しかも第2の弾性部材9の数が多くなっても径方向に大型化することがないという利点がある。
また、第3の弾性部材10を主軸5の周方向複数箇所に設けたので、第2の基板3を主軸5が中心になる位置に確実に戻すことができる。更に、第3の弾性部材10の一端を支持部材4の連結部4eに連結し、その他端を第2の基板3から支持部材4の連結部4eよりも下方に延びる延設部3aに連結するようにしたので、第3の弾性部材10を上下方向に伸縮するように配置することができ、第3の弾性部材10の伸縮スペースを主軸5の径方向に大きく確保する必要がないという利点がある。
この場合、各第3の弾性部材10をそれぞれ下端側が上端側よりも主軸5からの距離が遠くなるように斜めに設けたので、第2の基板3と主軸5との間に常に水平方向の弾性力を付与することができ、主軸5に対する第2の基板3の位置をより確実に中心位置に保持することができる。
尚、前記実施形態では、二つの円筒部材6,7を備えたものを示したが、1つのみ、または3つ以上の円筒部材を備えるようにしてもよい。また、前記実施形態では、ビル等の構造物20に対する室内22の揺れを吸収するようにしたものを示したが、本発明の免震装置は、ビル、マンション、一般家屋等の構造物全体と基礎との間に設けられるものにも適用することができる。
本発明の一実施形態を示す免震装置の側面断面図 図1のA−A線矢視方向断面図 図1のB−B線矢視方向断面図 免震装置の一部断面要部平面図 免震装置の動作を示す側面断面図 免震装置の設置状態を示す建物の側面断面図
符号の説明
1…免震装置、2…第1の基板、3…第2の基板、3a…延設部、4…支持部材、5…主軸、6…第1の円筒部材、7…第2の円筒部材、8…第1の弾性部材、8a…補助弾性部材、9…第2の弾性部材、10…第3の弾性部材、20…構造物、22…室内。

Claims (5)

  1. 地震と共に揺れる構造物と免震対象物との間に配置され、構造物側から免震対象物側に伝わる地震の揺れを吸収する免震装置において、
    前記構造物に固定される第1の基板と、
    免震対象物に固定される第2の基板と、
    第2の基板を水平方向に移動自在に支持する支持部材と、
    第1の基板上に水平方向に移動自在に支持され、支持部材を上下方向に移動自在に支持する主軸と、
    主軸の外側に径方向に間隔をおいて配置され、第1の基板上に固定された円筒部材と、
    支持部材を上方に付勢する第1の弾性部材と、
    主軸と円筒部材との間に配置され、主軸に対する円筒部材の水平方向への移動による圧縮力によって弾性変形する第2の弾性部材と、
    第2の基板と支持部材に連結され、第2の基板に対する支持部材の水平方向の移動による引張力によって弾性変形する第3の弾性部材とを備えた
    ことを特徴とする免震装置。
  2. 前記第1の弾性部材と共に支持部材を上方に付勢する補助弾性部材を備え、
    第1の弾性部材をコイルスプリングによって形成するとともに、補助弾性部材を第1の弾性部材よりも径の小さいコイルスプリングによって形成し、補助弾性部材を第1の弾性部材の径方向内側に配置した
    ことを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  3. 前記第2の弾性部材を主軸の周方向に延びる中空状の環状ゴムによって形成し、複数の第2の弾性部材を互いに上下方向に積み重ねて配置した
    ことを特徴とする請求項1または2記載の免震装置。
  4. 前記第3の弾性部材を主軸の周方向複数箇所に設けるとともに、その一端を支持部材に連結し、その他端を第2の基板から支持部材との連結部よりも下方に延びる延設部に連結した
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の免震装置。
  5. 前記各第3の弾性部材をそれぞれ下端側が上端側よりも主軸からの距離が遠くなるように斜めに設けた
    ことを特徴とする請求項4記載の免震装置。
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