JP4485752B2 - 光学素子フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子フィルムの製造方法において、走行中の積層体の欠陥部位と正常部位の境界を表示し、欠陥部位を含む積層体の領域を巻取り部で除去して欠陥部位を含まない領域を巻き取る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルムや多層フィルム、包装材料等の製造において、長尺物を連続的に製造する方法が広く使用されている。積層体の製造方法の一例として、複数の長尺高分子フィルムを接着剤のような軟質材料を介して積層し、次いで該軟質材料を硬化させて長尺積層体を製造する方法が行われている。例えば、2本のフィルムロールからそれぞれ高分子フィルムを繰り出し、一方のフィルム表面に接着剤を塗布し、ついで他方のフィルムと張り合わせて積層体を得、後続の工程でこの積層体中の軟質材料を硬化させて所望の製品を得る方法が知られている。一般に長尺物の製造工程を監視していて欠陥が見つかったときは、その欠陥が重大なものであれば運転を停止するが、そうでない場合は欠陥部分をマークしておき運転を継続し、後続の工程で当該部分を除去することによって製品化することが行われる。マーク方法として、細片を貼り付けたり、はさんだり、あるいはマーカーで記入したりすることが行われている。
【0003】
長尺高分子フィルムを接着剤のような軟質材料を介して積層し、次いで該軟質材料を硬化させて長尺積層体を製造する方法において、接着剤の塗布時に気泡が入り込むと、後続の工程における接着剤の硬化に際して、気泡中の酸素の存在によって、硬化反応が妨げられることがある。未硬化の状態で積層体が走行しているうちに、気泡が拡大して、欠陥部位が工程の上流に拡大することがある。従来の欠陥部位表示手段では、このような軟質材料に特有の欠陥の拡大を防止できない。製品の歩留まりも低下する。液晶表示装置等に用いる液晶性高分子層を有する光学用素子が知られているが、この光学素子に用いられる液晶性高分子は、非常に薄い膜であることおよび配向性を重視するために分子量としては比較的小さいものが使用されている。そのため配向基板フィルム上に形成された薄膜の液晶性高分子層を接着剤を用いることによって、透光性基板フィルムと貼合わせて積層フィルムとし、接着剤を硬化させて得られた、配向基板フィルム/液晶性高分子層/硬化接着剤層/透光性基板フィルムからなる層構成を有する積層フィルムから、配向基板フィルムのみを連続的に剥離する連続転写プロセスが知られている(例えば特許文献1参照)。このような光学素子の製造においては未硬化の接着剤が巻き込む気泡の存在を欠陥として表示しかつその拡大を防止することが求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−113993号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、走行している長尺物の欠陥部位と正常部位の境界を表示する方法を提供するものであり、さらに詳細には長尺物の連続製造中に欠陥部位の影響が正常部位に拡大することを防ぐ方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、(1)少なくとも2層の、液晶高分子層を有する配向基板フィルム層および透光性基板フィルム層を接着剤にて貼り合わせた積層体を形成する工程、(2)走行中の該積層体に欠陥部位を発見した場合に、該欠陥部位と正常部位の境界を細長い磁性片にて幅方向に上下から挟む工程、(3)該積層体に光または電子線を照射して接着剤を硬化する工程、(4)積層体の転写分離工程の手前で該磁性片を取り外す工程、(5)配向基板フィルムと液晶性高分子層、硬化接着剤層および透光性基板フィルムからなる積層体とを剥離する転写分離工程、(6)該欠陥部位を含む積層体の領域を巻取り部で除去する工程、(7)液晶性高分子層、硬化接着剤層および透光性基板フィルムからなる光学素子フィルムの該欠陥部位を含まない領域を巻き取る工程からなる光学素子フィルムの製造方法に関するものである。
【0007】
本発明の第2は、本発明の第1において、前記磁性片が、可撓性材料からなることを特徴とする光学素子フィルムの製造方法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、特許文献1に記載の連続転写法による光学素子の製造方法について本発明をさらに説明する。連続転写法において、転写すべき物質は液晶性を示す高分子であって、溶融時に液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーである。光学素子としては、好ましくは均一でモノドメインなネマチック液晶相またはねじれネマチック液晶相を示すものである。ここで選択されるサーモトロピック液晶ポリマーは、液晶状態ではネマチック配向またはねじれネマチック配向し、液晶転移温度以下の温度領域ではガラス状態となる液晶性高分子である。
【0010】
液晶性高分子としては、カルボン酸基、アルコール基、フェノール基、アミノ基、チオール基などを有する化合物を縮合させて成る縮合系液晶性高分子、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など二重結合を有する液晶性化合物などを原料として得られる液晶性ビニルポリマー、アルコキシシラン基を有する液晶化合物などから合成される液晶性ポリシロキサン、エポキシ基を有する液晶性化合物などから合成される液晶性エポキシ樹脂および上記液晶性高分子の混合物などが例示できる。これらの各種液晶性高分子の中でも、得られるフィルムの光学特性などの点から縮合系液晶性高分子が最も好ましい。
【0011】
縮合系液晶性高分子は、通常二官能性モノマーを適当な方法で縮合して得ることができる。当該二官能性モノマーとしては、芳香族またはシクロヘキサン環を有する二官能性モノマーが望ましく、具体的には、フェニレンジアミン等のジアミン類、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のジオール類、1,4−フェニレンジチオール、1,2−フェニレンジチオール等のジチオール類、サリチル酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸類、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸等のアミノ酸類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフィニルジカルボン酸、4,4’−スチルベンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸類などを例示できる。なかでもヒドロキシ基を持つ成分としてカテコール単位を必須構造単位として含有する縮合系液晶性高分子が最も好ましい。
【0012】
縮合系液晶性高分子を調製する際の原料モノマーには、液晶性を破壊しない程度において、例えば、シュウ酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール等の脂肪族ジオール類、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン等の脂肪族ジアミン類、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸類などが添加可能である。
【0013】
また、必要に応じて液晶性高分子の主鎖末端を修飾するために、一官能性モノマーや三官能性モノマー等を原料モノマー中に添加することもできる。一官能性モノマーとしては、カルボン酸基、アミン基、アルコール基、フェノール基、チオール基などを一分子中に一個有する例えば芳香族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸類、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、フェノール類、脂肪族フェノール類が挙げられる。また三官能性モノマーとしては、例えばトリメリット酸、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゼンカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0014】
これらのモノマーを縮合して縮合系液晶性高分子、具体的には液晶性ポリエステルを得る方法は、特に制限されるものではなく、当該分野で公知の如何なる方法も適宜採用することができる。例えば、カルボン酸を酸ハロゲン化物としたり、ジシクロヘキシルカルボジイミド等を存在させることによってカルボン酸を活性化した後、アルコール、アミン等と反応させる方法、フェノールを酢酸エステル化した後、カルボン酸と反応させ脱酢酸反応により合成する方法、カルボン酸をメチルエステルのようなエステル化物とした後、必要であれば適当な触媒の存在下、アルコールと反応させ脱アルコール反応により合成する方法などが任意に採用できる。
【0015】
本発明の液晶性高分子には、上記したような縮合系液晶性高分子を単独で用いることもでき、また、2種類または3種類以上の縮合系液晶性高分子の混合物を用いることもできる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において光学活性な液晶性高分子、液晶性ビニルポリマー、液晶性ポリシロキサン、液晶性エポキシ樹脂等の各種液晶性高分子や非液晶性高分子などを適宜混合して用いることもできる。
【0016】
これらのポリマーの分子量は、各種溶媒、例えばフェノール/テトラクロロエタン(重量比:60/40)混合溶媒中において、30℃で測定した対数粘度が0.05から3.0に相当するものが好ましく、さらに好ましくは0.07から2.0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい場合は、得られた液晶性高分子の強度が弱くなり好ましくない。また3.0より大きい場合は、液晶形成時の粘性が高すぎて、配向性の低下や配向に要する時間の増加などの点で問題が生じる。
【0017】
また、上記光学活性な高分子化合物の分子量は、例えばフェノール/テトラクロロエタン中、30℃で測定した対数粘度が0.05から5.0の範囲に相当するものが好ましい。対数粘度が5.0より大きい場合は、粘性が高すぎて結果的に配向性の低下を招き、また0.05より小さい場合は、組成の調整が難しくなるため、いずれも好ましくない。
【0018】
液晶性高分子として上記ポリエステル系ポリマーを採用すれば、接着剤層として使用するアクリル系樹脂との接着性がよく好ましいものである。液晶性高分子は、配向基板により配向が規制される。配向基板は、適宜の基材上に形成された高分子フィルムであることもできる。
【0019】
連続転写法において用いることができる配向基板フィルムは、長尺の連続延伸フィルムをそのまま用いるか、あるいは長尺の連続フィルムのMD(長手)方向に対して平行または所定の角度で斜め方向にラビング処理し、このラビング処理面と接触した液晶性高分子がラビング処理の方向に対応して配向し得るものである。このような配向基板フィルムとしては、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロンなどのポリアミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンサルファイド;ポリフェニレンオキサイド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリアクリレート、ポリメタクリレート;トリアセテートセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂などが例示される。
【0020】
上記高分子フィルムは、それ自体にラビング処理を施すことができ、またこれらの高分子フィルムを基材として、その表面に上記のような他の高分子からなる有機薄膜を形成してなるものでもよい。また、このような基材上に形成される有機薄膜の基材としては、上記高分子フィルムの他に、銅、ステンレス鋼、鋼などの金属箔とすることもできる。その他、前記配向基板それ自体を、銅、ステンレス鋼、鋼などの金属箔で形成することもできる。本発明において特に好ましい配向基板フィルムは、長尺の自立性のある高分子フィルムそれ自体をラビング処理してなり、特に積層すべき基材などを使用しないものである。かかる目的に好適な長尺フィルムとしては、上記のフィルムのうち、熱可塑性樹脂からなるフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂である。熱硬化性樹脂フィルムとしては、ポリイミドが好適に用いられる。
【0021】
ここで、長尺フィルムとは、一定の長さを有する連続したフィルムを意味し、工業的にはロール巻きされた形態で供給され得るような連続フィルムをいう。もちろん、ロール巻の形態が必須ではなく、適宜に折り畳まれた連続フィルムでもよい。長尺フィルムの長さは、場合により10,000mの長さに達することもある。
【0022】
長尺の配向基板フィルム上へ長尺の液晶性高分子層を形成する操作は任意の方法で行うことができる。すなわち、液晶性高分子を適宜の溶剤に溶解させ、ロールコーターなどの塗工設備を用いて塗布、乾燥させて液晶性高分子層を形成する方法、あるいは、Tダイなどにより高分子液晶を溶融押出しするなどの方法を用いることができる。また、膜厚などの品質の観点から、溶液塗布および乾燥による方法が適当である。塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート法、カーテンコート法やスロットコート法などのダイコート法などを採用することができる。塗工幅としては、通常10〜2,000mm、好ましくは100〜1,000mmの範囲で選択される。塗布後、溶剤を乾燥により除去する。
【0023】
MD方向に対し平行に、またはMD方向に対し所定の角度で斜めの方向にラビング処理してなる長尺の配向基板フィルム上に、液晶性高分子層が形成された後に、所定の温度で所定時間加熱することにより、液晶性高分子を配向させ、次にTg(ガラス転移温度)以下の温度に冷却することによって液晶構造を固定化する。ここで固定化される液晶構造としては、用いられる液晶性高分子の種類、組成比等が異なることから一概には言えないが、例えばネマチック配向、ネマチックハイブリッド配向、ねじれネマチック配向、コレステリック配向等が挙げられる。ただし、これら液晶構造は、例示であり、本発明はこれら液晶構造になんら限定されるものではない。固定化後の液晶性高分子層の膜厚は、特に制限はない。光の波長によって異なるが、例えば、ディスプレイ用途などの可視光が重要である分野においては、0.1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上である。0.1μm未満では精度よく膜厚を調整することが困難となるので好ましくない。また、あまり厚くなると光学素子としての規制力が弱まり好ましくなく、この観点から1,000μm以下、好ましくは500μm以下の範囲が適当である。本発明においては、下の配向基板フィルムが所定の角度でラビング処理された長尺配向基板フィルムであるから、このラビング処理に対応した角度に配向した長尺液晶性高分子フィルムが得られる。
【0024】
透光性基板用フィルムとしては、透明性を有し、液晶性高分子層を支持できるものであれば特に限定されないが、長尺のものを必要とするところから、プラスチックフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリエチレンサルファイド、アモルファスポリエチレン、トリアセチルセルロースなどを挙げることができる。また、基板用フィルムの厚さは0.5〜200μm、好ましくは1〜100μmの範囲である。
【0025】
本発明において用いることができる接着剤は特に限定されないが、連続転写法においては極めて短時間に硬化が可能であること、液晶性高分子のTg温度以下で硬化が可能であることを考慮して、光硬化型または電子線硬化型が好ましい。とりわけアクリル系オリゴマーを主成分とする接着剤は、液晶性高分子層の転写ミスを皆無にし、巻取りなどの操作の際にトラブルが生ずることがなく、製品となった光学素子の信頼性も高いという点から好適である。さらにこのアクリル系オリゴマーに対して、N−ビニルピロリドンのような極性ビニルモノマーを配合することも可能である。
【0026】
次に、これらの光または電子線硬化型の接着剤を用いて、配向基板フィルム上に形成された液晶性高分子層を透光性基板フィルムに連続転写するプロセスを説明する。すなわち(1)長尺の配向基板フィルム上に形成された液晶性高分子層または長尺の透光性基板フィルムの少なくとも一方への接着剤の塗布、(2)接着剤塗布後の長尺の両基板フィルムの貼合わせ、(3)貼合わせ後の積層フィルムへの光または電子線の照射による接着剤の硬化、(4)接着剤の硬化後に配向基板フィルムのみの剥離、(5)長尺の透光性基板フィルム側に転写された液晶性高分子層/硬化接着剤層/透光性基板フィルムからなる長尺の光学素子フィルムの巻取りなどの工程からなる。これらの工程を0.5〜100m/minの範囲の速度で連続的に行う。
【0027】
長尺の配向基板フィルム上に形成された液晶性高分子層、または長尺の透光性基板フィルムの少なくとも一方への接着剤の塗布方法としては、一般に行われている連続フィルムへの塗布手段であるロールコート法、カーテンコート法、スロットコート法などのダイコート法、スプレーコート法などを用いることができ、特に限定されない。塗布する接着剤の厚みは0.5〜200μm、好ましくは1〜100μmであり、200μm以上に厚いと接着剤の硬化速度が減少するため硬化が不十分となることもあるので好ましくない。接着剤を塗布した後の両基板フィルムの貼合わせは、一般に行われているラミネート手段により行うことができるが、貼合わせ時に気泡の混入を徹底的に排除するようにして行う。塗布および貼合わせ後の接着剤層の硬化は、用いる接着剤に応じて適宜の条件により、光または電子線を長尺の貼合わせフィルムの幅方向に均一に照射することにより行うことができる。
【0028】
接着剤層の硬化後、配向基板フィルムのみを連続的に剥離することにより、配向基板フィルム上に形成された液晶性高分子層を硬化接着剤層を介して透光性基板フィルム側に連続的に転写し、巻取りロールに巻取る。この最後の連続剥離工程においては、液晶性高分子の配向基板フィルム側への転写残りが全くないこと、転写液晶性高分子層にクラックや剥がれを全く発生させないこと、さらには透光性基板フィルム、配向基板フィルム自体に傷やしわを生じさせないことなどが必須条件として挙げられ、この工程は特に重要でかつ難易度の高い工程である。
【0029】
以下、図面に沿って本発明の光学素子フィルムの製造方法における欠陥部位の表示方法を説明する。
図1は、本発明方法に使用する細長い磁性片の一例である。図2は該磁性片を用いて積層体を幅方向に上下から挟んだ状態の概略図である。図3は、連続転写法により光学素子を製造する工程の概略図である。図1および図2において、1は細長い磁性片、2は積層体、3は積層時に発生する気泡混入などの欠陥部位である。図3において、4は液晶性高分子層を有する配向基板フィルム、5は透光性基板フィルム、6は接着剤塗布工程、7は貼り合わせ工程、8は積層体(配向基板フィルム/液晶性高分子層/未硬化接着剤層/透光性基板フィルム)、9は紫外線照射による接着剤の硬化工程、10は転写分離工程、11は配向基板フィルム、12は製品フィルム(液晶性高分子層/硬化接着剤層/透光性基板フィルム)である。
【0030】
細長い磁性片はフィルムをその幅全体にわたって挟むことができる形状であれば特にその材料について制限はない。長さは挟むべき積層体の幅より大きいことが好ましい。磁性片の幅は、積層体を磁力によって安定的に挟むことができる程度であれば良い。また、厚さは積層体を挟んだまま走行するのに支障がない程度であればよい。具体例を挙げれば、フィルム幅が650mmの場合で、磁性片の長さは700mm、幅は20mm、厚さは2mmのものを使用した。特に好ましい材料は、PVCなどのプラスチックからなる可撓性または弾力性のある材料である。これに磁性粉を混合するか、他の磁性片を張り合わせたものが好ましい。可撓性または弾力性がある材料からなり、かつ図1に示すような二つ折りの形状にすることにより、材料の弾性によって容易に開くことができ、フィルムをはさんだ後は磁力によりしっかりと積層体を挟み込むことができ、取り外すときは容易に開くことができる。
【0031】
図3に示すような連続転写法による光学素子の製造工程において、貼り合わせ工程7の後で気泡混入などの欠陥部位を監視して、欠陥が見つかったときは、その欠陥部位の直後(図中Aで示す磁性片装着箇所)を、幅方向に磁性片により完全に挟み込み、そのまま紫外線照射による接着剤の硬化工程9を経て、転写分離工程10の前(図中Bで示す磁性片脱着箇所)で積層体から磁性片を取り外す。なお、積層体を磁性片で挟んだままでロール間を通過するときは、ロール間隙を開いて走行させる。磁性片を取り外した後の欠陥部位を含む積層体の領域は、巻取り部で除去し、当該欠陥部位を含まない領域から製品巻取りを開始する。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお参考例および実施例で用いた各分折法は以下のとおりである。
(1)光学パラメータの測定
液晶フィルムの光学パラメータであるねじれ角およびリターデーション(Δn・d)は偏光解析法により測定した。
(Δn:複屈折、d:液晶フィルムの液晶層の厚み;単位nm)
(2)対数粘度の測定
ウッベローデ型粘度計を用いて、フェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定した。
(3)液晶性高分子の組成の決定
液晶性ポリエステルを重水素化クロロホルムに溶解し、400MHzのH−NMR(日本電子製JNM−GX400)で測定し組成を決定した。
【0033】
(参考例)
式(1)の液晶性高分子物質(対数粘度=0.22dl/g、Tg=61℃)、及び式(2)の(R)−3−メチルヘキサン−1,6−ジオール単位を含む光学活性な液晶性高分子物質(対数粘度=0.17dl/g)を合成した。
これらの高分子材料の合成は、オルトジクロルベンゼン溶媒中、トリエチルアミンの共存下で、ジカルボン酸単位に対応する酸塩化物とジオール化合物とを反応させることによって行った。
得られた式(1)の液晶性高分子物質18.1g及び式(2)の液晶性高分子物質1.9gの混合物を80gのN−メチルピロリドンに溶解させて液晶性高分子物質溶液−1を調製した。
【0034】
【化1】
Figure 0004485752
【0035】
【化2】
Figure 0004485752
【0036】
<長尺の積層フィルムの製造例>
MD方向に対し平行または斜め方向にラビングした500mm幅、厚み10μmの長尺のポリエーテルエーテルケトンフィルムのラビング処理面上に、ロールコーターを使用して参考例で得られた液晶性高分子物質溶液を400mm幅で塗布した。乾燥後220℃×15分間加熱処理して液晶性高分子を配向させ、次に室温まで冷却して液晶構造を固定化した。紫外線照射設備を備えたコーターラミネーター装置を使用して配向基板フィルム上の液晶性高分子面にアクリル系オリゴマーを主成分とする紫外線硬化型接着剤(市販品A、粘度320cp)をグラビアコーターにより400mm幅、厚み10μmで連続塗布を行い、次いで500mm幅、厚み100μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合わせた。運転開始後の早期段階で積層体内に接着剤の気泡の存在が認められたので幅20mm、厚さ2.0mm、長さ550mmのPVC製の二つ折りの細長い板状体で、気泡が存在する欠陥部位の直後を挟んだ。そのまま走行して次いで紫外線を照射することによって、長尺の配向基板フィルム/液晶性高分子層/硬化接着剤層/透光性基板フィルムからなる積層体を得た。次に、磁性片をはずして転写分離工程で配向基板フィルム/液晶性高分子層/硬化接着剤層/透光性基板フィルムからなる長尺の積層フィルムから、配向基板フィルムのみを連続的に剥離することによって光学素子フィルムを得た。欠陥が存在する領域は、巻取り部でカットしてから製品巻取りを開始した。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、走行中の積層体の欠陥部位と正常部位の境界の表示および取り外しが簡便に行える。また、積層体中の未硬化接着剤中の気泡のように走行中に欠陥が拡大する恐れがあるものについては、その拡大を抑制できる。これによって製品の歩留りが向上し、生産性および経済性が飛躍的に向上する。光学素子等の高精密製品の製造に極めて適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する細長い磁性片の一例である。
【図2】細長い磁性片を用いて積層体を幅方向に上下から挟んだ状態の概略図である。
【図3】連続転写法に光学素子を製造する工程の概略図である。
【符号の説明】
1 細長い磁性片
2 積層体
3 欠陥部位
4 液晶性高分子層を有する配向基板フィルム
5 透光性基板フィルム
6 接着剤塗布工程
7 貼り合わせ工程
8 積層体(配向基板フィルム/液晶性高分子層/未硬化接着剤層/透光性基板フィルム)
9 紫外線照射による接着剤の硬化工程
10 転写分離工程
11 配向基板フィルム
12 製品フィルム(液晶性高分子層/硬化接着剤層/透光性基板フィルム)
A 磁性片装着箇所
B 磁性片脱着箇所

Claims (2)

  1. (1)少なくとも2層の、液晶高分子層を有する配向基板フィルム層および透光性基板フィルム層を接着剤にて貼り合わせた積層体を形成する工程、(2)走行中の該積層体に欠陥部位を発見した場合に、該欠陥部位と正常部位の境界を細長い磁性片にて幅方向に上下から挟む工程、(3)該積層体に光または電子線を照射して接着剤を硬化する工程、(4)積層体の転写分離工程の手前で該磁性片を取り外す工程、(5)配向基板フィルムと液晶性高分子層、硬化接着剤層および透光性基板フィルムからなる積層体とを剥離する転写分離工程、(6)該欠陥部位を含む積層体の領域を巻取り部で除去する工程、(7)液晶性高分子層、硬化接着剤層および透光性基板フィルムからなる光学素子フィルムの該欠陥部位を含まない領域を巻き取る工程からなる光学素子フィルムの製造方法。
  2. 前記磁性片が、可撓性材料からなることを特徴とする請求項1記載の光学素子フィルムの製造方法。
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