JP4507436B2 - 非可逆回路素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主にマイクロ波帯において使用される自動車電話、携帯電話などの移動体通信機器に用いられる非可逆回路素子、特にハイパワー対応の非可逆回路素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非可逆回路素子は小型で構成できることから、移動体通信機器の端末機に早くから使用されてきた。非可逆回路素子は図7,図8に示すように順方向の入力信号に対してはきわめて小さいロスで出力側に通し、逆方向の信号(反射)に対しては終端抵抗で吸収し、入力端子側に通さない性質を持っている。非可逆回路素子は、移動体通信機器の送信段においてパワーアンプとアンテナの間に配置され、パワーアンプへの不要信号の逆流を防ぐ、パワーアンプの負荷側のインピーダンスを安定させる等の目的で用いられている。
【0003】
現在携帯電話等の端末機に広く利用されている非可逆回路素子の一般的な構成について図9を用いて簡単に説明する。電気的に絶縁され略120度の角度で交差し重ね合わされた3組のストリップライン4a、4b、4cが、フェライト板5に近接配置され、前記フェライトを磁化するための磁石2が前記フェライトに対向して配置される。前記ストリップライン4a、4b、4cにはそれぞれ整合用コンデンサ8a,8b,8cが並列に付加され、ストリップライン4a,4bについては入出力端子3a,3bに、ストリップライン4cについては終端抵抗7に接続される。また、それぞれのストリップラインの他端は共通の接地円板に接続され、前記接地円板は前記3個の整合用コンデンサ8a,8b,8cと抵抗7の接地側電極とともに下ケース9に電気的に接続される。さらに、前記下ケース9とともに、前記フェライト板5及び前記磁石2を内包し磁気回路の一部を構成する上ケース1が図のように構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近の移動体通信機器の急激な小型化は基地局にも及び、基地局に用いられる非可逆回路素子は最大動作電力付近で使用されている場合もある。こういった状況から、現在の小型・低損失特性を損なうことなく動作電力を大きくすることが望まれている。
【0005】
従来の非可逆回路素子はアイソレータとして順方向2.5W、逆方向0.6Wが動作電力であったが、順方向5W程度で使用したいとの要望が増えてきた。しかし、従来の非可逆回路素子の構造では、ハイパワー入力での問題として非可逆回路素子の発熱があり、特に逆方向にハイパワーが入力された場合には終端抵抗が異常発熱し、破壊されてしまう。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するため、従来の小型化された非可逆回路素子の特性を損なうことなく、ハイパワー入力を実現した非可逆回路素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁性を有する基板と、前記基板の主面上に互いに絶縁されしかも所定の角度を持って交差したストリップラインと、前記基板に磁界を印可する磁石と、前記ストリップラインに接続されたコンデンサと、前記ストリップラインに接続された終端抵抗と、前記各構成部材を収納するケースと、前記ケース内に設けられた絶縁性の熱伝導体と、前記ケース内に少なくとも基板を収納する収納部を有する端子ベースを備え、前記終端抵抗上に前記端子ベースの一部が非配置となるように、前記端子ベースの形状を規定した。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、磁性を有する基板と、前記基板の主面上に互いに絶縁されしかも所定の角度を持って交差したストリップラインと、前記基板に磁界を印可する磁石と、前記ストリップラインに接続されたコンデンサと、前記ストリップラインに接続された終端抵抗と、前記各構成部材を収納するケースと、前記ケース内に設けられた絶縁性の熱伝導体と、前記ケース内に少なくとも基板を収納する収納部を有する端子ベースを備え、前記終端抵抗上に前記端子ベースの一部が非配置となるように、前記端子ベースの形状を規定したことを特徴とする非可逆回路素子とすることで、逆方向に流れる電流が大きくなったとしても内部で発生した熱を効率よく、他の部分へ拡散することができ、放熱効果を向上させることができる。また、確実に熱伝導体と終端抵抗の密着性を良くすることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記熱伝導体を前記終端抵抗の近傍かもしくは前記終端抵抗に接触して設けたことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子とすることで、特に発熱が著しい終端抵抗から発生した熱を効率よく拡散させ、温度上昇による、素子の破壊を防止できる。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記熱伝導体を可塑性もしくは弾性を有する材料で構成したことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子とすることで、容易にケース内に収納でき、しかも各部材との密着性を良くし、放熱効果を得ることができるとともに、素子の組立の際に部材間の隙間の調整などが不要になり、生産性が向上する。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記熱伝導体を樹脂材料で構成したことを特徴とする請求項3記載の非可逆回路素子とすることで、簡単にしかも確実にケース内に熱伝導部材を設けることができる。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記終端抵抗上に設けられる前記熱伝導体の厚みを他の部分上に設けられる前記熱伝導体の厚みよりも厚くしたことを特徴とする請求項2記載の非可逆回路素子とすることで、特に発熱が著しい終端抵抗から熱伝導体へ熱が伝達される部分の熱容量を大きくすることができ、熱の拡散をスムーズに行うことができる。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記熱伝導体を前記磁石かもしくは前記ケースの少なくとも一方に接触させたことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子とすることで、外気と最も接触面積が大きなケースに熱伝導体からの熱が流れ込むので、冷却効率を上げることができ、しかも磁石もケースに接触して設けられているので同様の効果を得ることができる。
【0014】
請求項7記載の発明は、前記熱伝導体が接着性を有し、前記熱伝導体が前記ケース内で固定されていることを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子とすることで、素子に外部から衝撃が加わっても、素子内で熱伝導体が移動することはなく、特性の変化を引き起こすことはない。
【0015】
請求項8記載の発明は、前記熱伝導体は固形かもしくは前記ケースから流れ出さない程度の粘性のある材料で構成した請求項1記載の非可逆回路素子とすることで、熱伝導部材がケース内からはみ出して、他の部材へ影響を及ぼすことがなく、特性劣化を防止できる。
【0017】
請求項9記載の発明は、前記端子ベースを環状とし、前記端子ベースの中央部に基板が収納されると共に、前記端子ベースには一部を切除したような開口部が設けられ、前記開口部は前記中央部と連結していることを特徴とする請求項8記載の非可逆回路素子とすることで、抵抗器を複数個実装するためのスペースを作るという作用と、熱伝導性の良い熱伝導体を配置するためのスペースをつくるという作用を有している。
【0018】
以下図1を用いて、非可逆回路素子について説明する。
【0019】
まず、ストリップライン4a,4b,4cでフェライト5を覆うように巻き付け、ストリップラインの接地導体部分を下ケース9に当接させる。それぞれのストリップラインは絶縁シート6によって電気的に絶縁されている。
【0020】
また、下ケース9には、整合用コンデンサ8a,8b,8cの一方の電極を接合させるように実装し、終端抵抗7も一方の電極を接合させるように実装する。
【0021】
整合用コンデンサ8a,8b,8cの電極上にはストリップライン4a,4b,4cの端部に設けられた端子部4d,4e,4fがそれぞれ接合され、うち端子部4fには終端抵抗7と、整合用コンデンサ8cの電極の双方が接合される。
【0022】
終端抵抗7が接続されないストリップライン4a,4bの端子部4d,4eの上には入出力端子3a,3bが接合される。この入出力端子3a,3bは端子ベース3と一体成型されており、この端子ベース3は、端子部4d,4e,4fと整合用コンデンサ8a,8b,8cとの接合部分を押さえつけるように配置される。
【0023】
フェライト板5に直流磁界を印加する磁石2を上カバー1に固定し、端子ベース3を接合した下ケース9とで絶縁性を有する熱伝導体10を挟むように組み合わせて、集中定数型アイソレータが組み立てられる。このとき挟み込む熱伝導体10を抵抗器7に密着するような形状、例えば、抵抗器7に接触する部分の熱伝導体10の量を他の部分よりも多くする(例えば、抵抗器7上に設けられる値と伝導体10の厚みを他の部分よりも厚くする)など、にすることが好ましい。
【0024】
以下、各構成について説明する。
【0025】
まず、非可逆回路素子の空間に充填させる熱伝導体10について説明する。
【0026】
熱伝導体10の構成材料としては、絶縁性を有し熱伝導率が高い材料を含むことが必要である。例えば、シリコーンゴムシート、オイルコンパウンド(アルミナ粉末などを配合したグリース状),縮合型シリコーンRTVゴム(空気中の湿気と反応して硬化、接着するもの),付加型液状シリコーンゴム/ゲル(加熱硬化型で一液性、二液性がある)等を好適に用いることができる。この様に一般に柔らかい材料で熱伝導体10を構成することで、素子中で他の部材間の押圧力等によって、容易に変形し、収納が容易となるとともに、各部材間との密着性も良くなり、しかも非可逆回路素子内部の空間に広がりやすい。また、熱伝導体10としてグリース状のものも好適に用いられるが、素子内部に収納した際に熱伝導体10が外に流れ出ることがない程度の粘性(150℃以下において)を有することが好ましい。すなわち、前述の様に、シート状体のものや粘性の高いグリース状のものが好適に用いられる。逆に硬化させた際に、大きな応力を素子の内部部品などに加える材料も余り好ましくない。すなわち、硬化させた際に大きな応力が部品などに加わって、特性の劣化や接合が外れたりすることが生じるからである。
【0027】
特に、この熱伝導体10には電気特性、難燃性などから熱伝導率が1W/m・℃以上あるシリコーンゴム等の樹脂材料を用いることが最も好ましい。
【0028】
また、熱伝導体10は好ましくは抵抗器7に接触するかもしくは近傍に設けることが好ましい。すなわちこの抵抗器7が最も発熱量が大きく、熱の発散場所を熱伝導体10を介して増やすことにより、所定温度(130℃)以上になることを防止できる。また、前述の通り、抵抗器7上に設けられる熱伝導体10の厚さや量を大きくすることで、抵抗器7で発生した熱を効率よく熱伝導体10に導くことができ、素子の温度上昇を更に抑えることができる。
【0029】
また、熱伝導体10は磁石2や或いは下ケース9や上カバー1に接触させることによって、熱を外方に発散し易くできるので、特に好ましい。
【0030】
非可逆回路素子内部の各部材で熱伝導体10を容易に挟み扱くことができ熱伝導体の形状に関わらず、複数の熱伝導体を同時に使用することも可能であり、シート状の場合、複数枚層状にして使用することも可能である。さらに、この熱伝導体が接着性を有しているか、または接着層を有していると、位置決めや非可逆回路素子内部の部品の固定が容易になり、素子に衝撃が加わっても素子内部で熱伝導体10が移動することを防止し、特性の変化が生じることを防止できるので、好ましい。接着層などの代わりに接着剤を用いて同様の効果を得ることもできる。
【0031】
また、熱伝導体10は好ましくは磁石2と基板6との間に設けられ、一部が抵抗器7に接触するように設けることが好ましい。図1に示すようにシート状の熱伝導体10を磁石2と基板6との間に設ける構成が工程として最も好ましい。
【0032】
以上の様に、絶縁性の熱伝導体10を素子内に設けることによって、例えば、通信機器のアンテナが損傷しており、全反射にて非可逆回路素子に逆方向にハイパワーの入力があった場合に、抵抗器7がハイパワーによって異常発熱を起こしても、熱伝導体10が抵抗器7から発散する熱を効率よく他の部分に導くことができるので、非可逆回路素子の破損を防止でき、それに伴って、非可逆回路素子に接続されたオペアンプなどの増幅器に逆方向にハイパワーの電流が流れ込むことを防止でき、増幅器の破損を防止できる。
【0033】
次に、ストリップライン4a,4b,4cについて説明する。
【0034】
ストリップライン4a,4b,4cは、銅,金,銀等の金属材料を所定形状のシート状体に形成することが好ましく、特に銅或いは銅合金或いは銅に所定量の添加物を添加したものを用いることが、電気特性,加工性,コストの各面で非常に有利になる。
【0035】
また、本実施の形態では、3つのストリップライン4a,4b,4cで構成したが、4つ以上のストリップラインで構成しても良い。
【0036】
更に、本実施の形態では、ストリップライン4a,4b,4cを図示していない中央部にて互いに一体に形成し、略Y字状としたが、ストリップライン4a,4b,4cはそれぞれ別体で構成しても良い。
【0037】
また、本実施の形態では、フェライト板5をストリップライン4a,4b,4cで巻き付けるとき、接地導体部から延長されたストリップライン4a,4b,4cが前記フェライト側面に沿って折り曲げられ、さらに同一フェライト上で前記側面に対向する側面に沿って折り曲げられていることで磁気充填率をできる限り高めることができ、小型化による非可逆回路素子の挿入損の増加を防ぐことができるので好ましい。
【0038】
なお、ストリップライン4a,4b,4cそれぞれの間には、絶縁シート6が設けられており、電気的に絶縁されている。
【0039】
また、具体的には、ストリップライン4a,4b,4cとしては、圧延銅箔(25μm〜60μm)を用いることが好ましく、25μm以下であると、断線などが起こりやすくなり、生産性等が悪くなり、60μm以上であると、薄型に不向きとなる。また、前記圧延銅箔に銀,金などの導電性金属材料を厚さ1μm〜5μmでメッキすることが好ましく、この様に構成することで、ストリップラインの表面の導電性を向上させる事ができ、特性を向上させることができる。
【0040】
次に、フェライト板5について説明する。
【0041】
フェライト板5は、円板状,方形板状,楕円板状,多角形板状等の形を取ることができ、特性面等から判断すると、円板状であることが好ましい。
【0042】
また、フェライト板5はFe,Y,Al,Gdなどを含んだ磁性材料であることが好ましい。
【0043】
フェライト板5に、ストリップラインを巻回する場合には、角部に所定の面取りを施すことが、ストリップラインの断線や、フェライト板5との擦れによる特性劣化等を抑える事ができる。
【0044】
フェライト板5の大きさとしては、厚みとして0.2mm〜0.8mm(好ましくは0.3mm〜0.6mm)とすることが、特性面強度面から見て好ましく、整合用コンデンサの厚みより厚いことを特徴としている。例えば、フェライト板5を円板状とすると、直径は1.6mm〜3.5mm(好ましくは2.5mm〜2.9mm)とする事が、小型化や特性面から見て好ましい。
【0045】
また、フェライト板5の両主面には、研磨加工などを施す事によって、所定の厚みに形成したり、特性のばらつきを抑えたりすることができる。
【0046】
次に磁石2について説明する。
【0047】
磁石2は黒色であることが組立時の画像認識が容易なため好ましい。また、十分にフェライト板5に磁界を印可できる程の磁力を有する事が好ましく、特に好ましい材料としてはSr系フェライトを用いることが好ましい。
【0048】
更に、磁石2の大きさとしては、フェライト板5より大きいことが好ましく、更に、磁石2の投影面積内にフェライト板5が収納されることが好ましい。特に好ましいのは、磁石2の中心とフェライト板5の中心を一致させるように配置する事が均一に磁界をフェライト板5に印加できるので、最も特性面から見て好ましい。
【0049】
磁石2の具体的な、形状としては、円板状,方形板状,楕円板状,多角形板状等の形を取ることができ、特に、フェライト板5が円板状である場合には、方形板状とすることが、均一な磁界をフェライト板5に加えることができ、しかも位置決めなどが行いやすいので好ましい。
【0050】
磁石2の厚さとしては、0.3mm〜1.5mmとすることが、薄型化や磁界の強さから見て好ましい。
【0051】
次に、下ケース9と上カバー1について説明する。
【0052】
下ケース9は一般的に導電性の良い金属材料で構成されており、特に好ましくは、銅,銀,鉄等を含む導電性金属基板が好適に用いられ、更に、導電性金属基板上に、銀,金等の導電性の良い金属材料をメッキなどで1μm〜5μm形成することが電気特性や、他の部品との接合性の面から見て好ましい。又、下ケース9には壁部9aの他に突起9bが設けられており、この突起9bはアース端子として用いても良い。
【0053】
また、下ケース9に設けられている絶縁物11は、抵抗7のホット端子側及び整合用コンデンサ8a,8b,8cが下ケース9に近接する下ケース側面部に形成する。この絶縁物は粘着性のシートあるいは非粘着性のシートあるいは印刷の少なくとも1方法で構成することが好ましい。
【0054】
下ケース9にはストリップライン4a,4b,4cの接地導体部が少なくとも導電性接合材等によって接合されている。
【0055】
下ケース9は、断面略コ字型に形成されているおり、しかも調整用の窓等は形成されていない。
【0056】
また、上カバー1も同じ様な材料で構成され、しかも調整用の窓等は設けられておらず、上カバー1には少なくとも磁石2が接合材によって接着されている。
【0057】
次に、終端抵抗7について説明する。
【0058】
終端抵抗7にはチップ固定抵抗器を用いることが小型、実装性からみて好ましい。また抵抗器を複数個並列に使用する場合、多連チップ抵抗器を用いると実装部品点数を削減できるので好ましい。
【0059】
次に、整合用コンデンサ8a,8b,8cについて説明する。
【0060】
整合用コンデンサ8a,8b,8cは、容量ばらつきと、非可逆回路素子の小型化、特に薄型化という点から平行平板型コンデンサを使用することが好ましい。
【0061】
また、このときの電極としては、銅,銀,ニッケルの内少なくとも一つから選ばれる電極材料で構成される。
【0062】
また、整合用コンデンサ8a,8b,8cの外形形状は、好ましくは方形状することが実装の面や位置決めの点で有利になる。また、外形形状としては、円形や楕円形状としてもよい。
【0063】
次に、端子ベース3について説明する。
【0064】
端子ベース3の特徴は、フェライト板5を囲うように設け、実装位置を規定する事ができ、さらに端子ベースに入出力端子3a,3bをインサートしたことにより、フェライト板5、ストリップライン4a,4b,4cと入出力端子3a,3bとの位置関係を安定させることができ、特性バラツキが減少し製造が容易になる。好ましくはフェライト板5を完全に包囲せず欠落部分があり、抵抗器7の周囲に熱伝導体10を配置する点から10%以上の欠落部分があることが好ましく、フェライト板5の位置決め、および入出力端子3a,3bとの位置関係の安定を保つため、また端子ベース3に入出力端子3a,3bを形成するためには欠落部分が50%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10〜25%にすればストリップライン4a,4b,4cの先端に設けた端子部4d,4e,4fと整合用コンデンサ8a,8b,8cとの接合部分を押さえる構造を損なわず、組立時の接合不良が低減される。
【0065】
端子ベース3は樹脂(エポキシ樹脂,液晶ポリマー等),セラミック等の非導電材料にインサート成型などを利用して入出力端子3a,3bを設けた構成となっている。熱伝導性の悪い樹脂で端子ベース3を構成する場合、前記欠落部分を複数箇所設けて代わりに熱伝導性の良い熱伝導体を配置できるスペースを作ることが放熱性の改善という点から好ましく、端子ベース3を複数のパーツに分割してもよい。
【0066】
入出力端子3a,3bは真鍮などの導電性材料で構成され、この導電性材料の上に銀等の良導体でメッキ処理を施すことが好ましい。
【0067】
また、端子ベース3は、接合材などで他の回路基板上に実装する際に、熱が加えられる可能性が高いので、好ましくは耐熱性を有する材質で構成することが好ましい。具体的には250℃以上(好ましくは290℃以上)の耐熱性を有する事が好ましい。
【0068】
端子ベース3は整合用コンデンサ8a,8bと入出力端子3a,3bの間にストリップライン4a,4bの先端に設けた端子部4d,4eを挟むように設けられ、しかも少なくとも下ケース7に接着材や嵌合などで接合される。
【0069】
また、好ましくは端子ベース3には、入出力端子3a,3b以外の端子及び電極パターンなどを設けない方が、更に端子ベース3を小型軽量化することができる。
【0070】
又、本実施の形態では、樹脂などで構成された端子ベース3にインサート成型などで入出力端子3a,3bを設けたが、入出力端子3a,3bを端子ベース3に接着材などで接着する構成としても良いし、端子ベース3に係止部等を設け、その係止部を変形させて機械的に入出力端子3a,3bを固定する方法でも良く、この場合には更に接着材などを用いて確実に固定しても良い。更に、本実施の形態では、入出力端子3a,3bを金属などの導電材で構成された板状体に曲げ加工などを施したが、端子ベース3上にメッキやスパッタ法などの薄膜形成技術にて、薄膜で入出力端子3a,3bを形成しても良く、この場合に、入出力端子3a,3bは端子ベース3の表面に形成、或いは、端子ベース3の内部に入出力端子3a,3bを形成し、一部を端子ベース3の表面に露出させる構成としても良い。
【0071】
また、図1に示すように、端子ベース3は略C字型に形成されており、その開口部3cには抵抗器7が表出するように、すなわち、抵抗状には端子ベース3が存在しないように構成することによって、磁石2と端子ベース3の間に熱伝導体10を設けても、確実に抵抗器7と熱伝導体10を接触させることができる。
【0072】
以下に本発明の実施の形態の非可逆回路素子について、その放熱性について説明する。
【0073】
上カバー1または上カバー1に取り付けられた磁石2と端子ベース3の間の空間およびフェライト板5との空間に熱伝導性の良い熱伝導体10を挿入した。本実施の形態では熱伝導性の良い熱伝導体10として信越シリコーン社製シリコンゴムシートTC−50TXSを使用したが、シート状のみならず、オイルコンパウンド、硬化性ゴム状のものでもかまわない。また、本実施の形態では図1中のように抵抗器7を2個並列で構成したが、1個または3個以上で終端してもかまわないし、多連チップ抵抗を使用してもかまわない。
【0074】
本実施の形態におけるアイソレータの評価としては、逆方向入力による非可逆回路素子の破壊電力(表1)と電気特性(表2)を(表1)(表2)に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
(表1)から判るように、本実施の形態の場合、逆方向の破壊電圧が従来品の10倍以上となっており、しかも(表2)から判るように特性は従来品とほとんど同じである。
【0078】
また図3に示すように、標準信号発生器からの信号をアンプで増幅して、順方向にアイソレータに流した場合のアイソレータの温度は、図4に示すように60℃程度であり、従来品とあまり変わらない。また、図5に示すように、標準信号発生器からの信号をアンプで増幅し、逆方向に流した場合に、2.5Wの電流を流した場合でも、アイソレータの温度は120℃以下であり、アイソレータの特性が劣化するほどの温度上昇はない。
【0079】
本実施の形態においては、887MHz〜925MHz(中心周波数906MHz)で動作するアイソレータを作製したが、本発明はこの周波数帯に限定されるものではない。また、本発明はアイソレータに限定されるものではなく、サーキュレータとしても有効である。
【0080】
また、非可逆回路素子内部の空間に熱伝導率の良い熱伝導体10を挿入し、抵抗器7にその熱伝導体10を密着させることによって、従来の非可逆回路素子の特性を損なわず、順方向5W、逆方向2Wが保証できる非可逆回路素子が可能になる。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、磁性を有する基板と、基板の主面上に互いに絶縁されしかも所定の角度を持って交差したストリップラインと、基板に磁界を印可する磁石と、ストリップラインに接続されたコンデンサと、ストリップラインに接続された終端抵抗と、各構成部材を収納するケースと、ケース内に設けられた絶縁性の熱伝導体と、ケース内に少なくとも基板を収納する収納部を有する端子ベースを備え、終端抵抗上に端子ベースの一部が非配置となるように、端子ベースの形状を規定したことで、逆方向に流れる電流が大きくなったとしても内部で発生した熱を効率よく、他の部分へ拡散することができ、放熱効果を向上させることができる。また、従来の非可逆回路素子よりも大きい動作電力を保証でき、従来の電気特性、形状と変わらない非可逆回路素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における非可逆回路素子の分解斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における非可逆回路素子の断面図
【図3】本発明の一実施の形態における非可逆回路素子に順方向に5W入力したときの測定概念を示す図
【図4】本発明の一実施の形態における非可逆回路素子の時間と表面温度の関係を示すグラフ
【図5】本発明の一実施の形態における非可逆回路素子に順方向に電力を入力したときの測定概念を示す図
【図6】本発明の一実施の形態における非可逆回路素子に逆方向に入力した各電力における時間と表面温度の関係を示すグラフ
【図7】一般的な非可逆回路素子の電流の流れを示す概念図
【図8】一般的な非可逆回路素子の電流の流れを示す概念図
【図9】従来の非可逆回路素子を示す分解斜視図
【符号の説明】
1 上カバー
2 磁石
3 端子ベース
3a,3b 入出力端子
4a,4b,4c ストリップライン
4d,4e,4f 端子部
5 フェライト板
6 絶縁シート
7 抵抗器
8a,8b,8c 整合用コンデンサ
9 下ケース
9a 下ケース側面部
9b 下ケース端子部(アース端子)
10 熱伝導体
11 絶縁物
Claims (9)
- 磁性を有する基板と、前記基板の主面上に互いに絶縁されしかも所定の角度を持って交差したストリップラインと、前記基板に磁界を印可する磁石と、前記ストリップラインに接続されたコンデンサと、前記ストリップラインに接続された終端抵抗と、前記各構成部材を収納するケースと、前記ケース内に設けられた絶縁性の熱伝導体と、前記ケース内に少なくとも基板を収納する収納部を有する端子ベースを備え、前記終端抵抗上に前記端子ベースの一部が非配置となるように、前記端子ベースの形状を規定したことを特徴とする非可逆回路素子。
- 前記熱伝導体を前記終端抵抗の近傍かもしくは前記終端抵抗に接触して設けたことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記熱伝導体を可塑性もしくは弾性を有する材料で構成したことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記熱伝導体を樹脂材料で構成したことを特徴とする請求項3記載の非可逆回路素子。
- 前記終端抵抗上に設けられる前記熱伝導体の厚みを他の部分上に設けられる前記熱伝導体の厚みよりも厚くしたことを特徴とする請求項2記載の非可逆回路素子。
- 前記熱伝導体を前記磁石かもしくは前記ケースの少なくとも一方に接触させたことを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記熱伝導体が接着性を有し、前記熱伝導体が前記ケース内で固定されていることを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記熱伝導体は固形かもしくは前記ケースから流れ出さない程度の粘性のある材料で構成した請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記端子ベースを環状とし、前記端子ベースの中央部に基板が収納されると共に、前記端子ベースには一部を切除したような開口部が設けられ、前記開口部は前記中央部と連結していることを特徴とする請求項8記載の非可逆回路素子。
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