JP4510246B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光着色部を有するカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの発達、特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。そこで、さらなる普及のためにはコストダウンが必要であり、特にコスト的に比重の重いカラーフィルタのコストダウンに対する要求が高まっている。そこで、カラーフィルタの要求特性を満足しつつ上記の要求に応えるべく種々の方法が従来より試みられているが、なお改善されるべき問題を有している場合が多いのが現状である。
【0003】
例えば、近年、効果的なコストダウンの可能性のあるインクジェット方式を用いたカラーフィルタの製造方法に関しての提案が多数なされているが、インクジェット方式での着色剤の安定な吐出性と、インクジェット方式で形成された透光着色部を有するカラーフィルタの製品としての耐水性、耐光性等の信頼性を高い次元で両立することは困難である場合が多い。すなわち、インクジェット方式による透光着色部の形成に用いられる着色剤としては、水を主体とする水性溶媒に染料や顔料などの色材を含有させた組成を有するものが用いられている。ところが、色材として染料を用いる場合には、インクジェット方式における着色剤の吐出安定性についてはある程度満足するものが得られるが、色材として染料を用いて形成されたカラーフィルタの信頼性は、顔料を色材として用いる場合に比べて劣る場合が一般的である。これに対して、色材として顔料を用いる場合に得られるカラーフィルタの信頼性は満足できるものとなるが、インクジェット方式での着色剤の吐出安定性については染料系の色材を用いた着色剤に比べて劣る場合が一般的である。さらに、顔料系の水性着色剤は長期保存安定性に劣る場合があるという問題も発生している。
【0004】
このような背景において、インクジェット方式での吐出安定性と着色剤としての長期保存安定性の両方を満足した水性顔料着色剤を用いたインクジェット方式の研究が進められている。
【0005】
以下に、この点について更に詳述する。カラーフィルタとしての信頼性の面から、色材として顔料を用いることが非常に好ましいが、カラーフィルタに用いられる顔料を水性着色剤の色材として用いるには、水性媒体中に顔料を安定して分散させることが要求される。一般的には、均一分散系を得るために分散剤を添加することにより顔料を水性媒体中に分散させる方法が採られている。しかしながら、この分散剤を使用する方法によっても十分に満足し得る分散性が得られず、このため顔料を分散させた着色剤では長期保存安定性に劣る場合があるという問題があった。
【0006】
一方、一般に、着色剤をインクジェット方式に用いる場合には、着色剤がインクジェット記録ヘッドの微細なノズルの先端(吐出口:オリフィス)から安定な液滴となって吐出されることが要求されるため、インクジェット記録ヘッドのオリフィスの乾燥によって着色剤の固化等が発生しないことが必要となる。しかしながら、上記した分散剤が含有された着色剤をインクジェット記録に用いた場合には、分散剤を形成している樹脂等がオリフィス等に付着した後、再溶解されずに目詰まりや液滴の不吐出等が生じる場合がある。また、分散剤を含む水性顔料着色剤は粘稠であり、長時間にわたる連続吐出及び高速描画を行う際にノズル先端までの経路で抵抗を起こし、吐出が不安定になるという問題もあった。
なお、顔料を含むインクをインクジェット方式に用いてカラーフィルタを形成する方法については、例えば特開平11-80633号公報に、顔料の周囲にカルボキシル基を有する皮膜形成性樹脂で被覆されてなる着色微粒子を含むインクを用いてカラーフィルタを形成することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らの検討によれば、特開平11-80633号公報に開示されている様な熱架橋性樹脂で被覆されている顔料を含むインクをインクジェット法で吐出させて得た画素は、カラーフィルタに要求される重要な特性のひとつである画素の透明性において必ずしも十分でない場合があった。この理由について、図1を参照して説明する。すなわち、本発明者らはその原因が、画素の形成過程において、顔料19の局在化が起こり、それによって乱反射が生じるためと推測した。つまり、基板1上に着色剤を塗布(図1(i))した後、熱処理及び光照射の少なくとも一方を行なうと、顔料19を被覆している樹脂間の架橋と媒体の蒸発が生じる(図1(ii))。その結果、顔料19同士が近接した状態で存在する傾向となり(図1(iii))、得られた画素は局在化した顔料部分で乱反射が生じるため透明性が劣っている場合が生じると考えた。このような知見から、本発明者らは、透明性に優れた画素が得られ、インクジェット適性に優れ、且つ、カラーフィルタに要求される性能をも満足しうるような顔料系着色剤の開発が必要であるとの認識を持つに至った。
本発明の目的は具体的には、長期保存安定性に優れ、かつ製造コストの低減に有効なインクジェット方式での長期吐出安定性に優れた顔料系水性着色剤を用い、優れた品位の信頼性の高いカラーフィルタ及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、顔料系水性着色剤を用いたインクジェット方式により形成された透光着色部を有し、製造コストが低減され、かつ優れた品位と高い信頼性を有するカラーフィルタを組み込んだ液晶パネルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明により達成することができる。すなわち、本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上にインクジェット方式を用いて着色剤を供給して透光着色部を配列させる工程を有するカラーフィルタの製造方法において、
前記着色剤が、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色材からなり、かつ該色材に、顔料の表面に−PhCOOM(但し、Phはフェニル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表す。)が結合された自己分散型顔料が含まれており、
前記顔料がC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントグリーン7のいずれかであることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0009】
本発明においては、長期保存性に優れ、インクジェット方式での吐出安定性を確保できる顔料系着色剤を用いるので、インクジェット方式を利用することにおける高品位なカラーフィルタを低コストで製造できるという利点を生かし、耐水性、耐光性などの特性において信頼性が高く、更に、透明性にも優れた透光着色部を有するカラーフィルタを得ることができる。
本発明で得られるカラーフィルタの透光着色部の生成工程の一例を図2に示す。着色剤中に自己分散型顔料20が均一に分散された状態で着色剤が基板上に塗布され(図2(i))、熱処理及び光照射の少なくとも一方により着色剤中のバインダー成分の架橋および媒体の蒸発が行なわれる(図2(ii))。その結果、架橋したバインダー成分の隙間に自己分散型顔料20がほぼ均一に存在し(図2(iii))、皮膜表面も平滑であるため透明性が良好であると考えられる。
なお、顔料表面に直接または他の原子団を介して親水性基を結合させてなる自己分散型顔料及びそれを用いたインクは、例えば米国特許(USP)第5,837,045号によって既に知られているものである。しかし、このインクをインクジェット法を用いてカラーフィルタの製造に適用した時に得られる画素の特性についてはこの米国特許には何ら開示はなく、さらにはカラーフィルタとして用いるのに十分な特性を備えた画素が得られることについて示唆すらされていない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。図3(a)〜(d)は本発明におけるカラーフィルタの製造方法の一例を示したものである。
【0011】
基板1としては、一般にガラス基板が用いられるが、基板の構成材料は、液晶用カラーフィルタとしての透明(透光)性、機械的強度等の必要特性を有するものであればガラス基板に限定されるものではない。まず、図3(a)に示すように、基板1上に、遮光層としてのブラックマトリクス2が設けられる。ブラックマトリクス2は、公知の材料及び方法により形成することができる。このブラックマトリクス2によって遮光部が形成されるもので、例えば、黒色顔料を含む樹脂組成物(黒色顔料レジスト)を用い、フォトリソグラフィーなどの技術を利用して、所望の形状の光透過部7に対応する開口部2aを有するように黒色顔料レジストの層をマトリクス状にパターニングすることによって形成されたものが好ましい。このとき、黒色顔料レジスト層の厚みは0.5μm以上であることが好ましい。0.5μm以上とすることでブラックマトリクスにより十分な光学濃度を得て、より確実な遮光効果を得ることができ、しかも開口部に着色剤をインクジェット方式で付与した際に着色剤があふれ出して隣接する開口部に流入して、異なる色同士の着色剤が混ざり合うことをより効果的に防止できる。黒色顔料レジスト層の厚みの上限は特に限定されず、実用的な範囲から選択すればよいが、例えば、1〜2μm程度とするのが望ましい。
【0012】
ついで、図3(b)に示すように着色剤4をインクジェット法により開口部2aに付与する。インクジェット装置としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバルブジェットタイプ、あるいは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等のものが使用可能である。この場合、着色面積および着色パターンは任意に設定することができる。着色剤4(水性顔料着色剤)としては、上述したように、少なくとも、水、水溶性有機溶剤及び色材からなり、且つ、この色材に、顔料の表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合された自己分散型顔料が含まれているものが用いられる。
【0013】
この自己分散型顔料を調製するための原料としての顔料には、無機顔料、有機顔料などカラーフィルタ用として用いることのできるものであれば特に制限はない。有機顔料としては、たとえばアゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料類、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料類、染料レーキなどがあげられる。無機顔料としては、たとえば酸化チタン、ベンガラ、酸化クロム、鉄黒などの酸化物やカドミウムイエロー、クロムバーミリオン、紺青、群青、黄色酸化鉄などがあげられる。なお、色調の点から有機顔料が特に好ましく用いられる。
【0014】
色材として用いられる自己分散型顔料は、顔料に親水性基を保持させた構成を有するもので、イオン性を有するものが好ましい。アニオン性に帯電した顔料の場合、表面に結合されている親水性基が、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR等(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、未置換あるいは炭素数1〜5のアルキル基が置換されたフェニル基または未置換あるいは炭素数1〜5のアルキル基が置換されたナフチル基を表す。)が挙げられる。これらの中でも、特に−COOM、−SO3Mが顔料表面に結合してアニオン性に帯電しているものが好ましい。
【0015】
また、上記親水性基中のMはアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、有機アンモニウムとしては、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0016】
アニオン性に帯電した顔料を得る場合に、顔料表面に−COONaを導入する方法としては、例えば顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法が挙げられるが、もちろん、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0017】
カチオン性に帯電した顔料の場合、直接もしくは他の原子団を介して結合した親水性基が、例えば第4級アンモニウム基である場合が好ましく、より好ましくは下記に挙げる第4級アンモニウム基のいずれかが顔料表面に結合されたものが挙げられる。
−NH3 +、−NR3 +(Rは上記と同様に定義される。)、
【0018】
【化3】
上記したような親水性基が結合されたカチオン性に帯電している自己分散型顔料を製造する方法として、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル基:
【0019】
【化4】
を結合させる方法を例にとって説明すると、顔料を3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法が挙げられる。もちろん、本発明はこれに限定されない。
【0020】
なお、本発明においては、顔料表面への親水性基の結合態様としては、親水性基が他の原子団を介して顔料表面に結合したものが好ましい。親水性基を顔料表面に結合させるための他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、未置換あるいは炭素数1〜5のアルキル基が置換されたフェニル基または未置換あるいは炭素数1〜5のアルキル基が置換されたナフチル基が挙げられる。他の原子団を介して顔料の表面に結合した親水性基の具体例としては、上記に先に挙げた親水性基に含まれているものの他、例えば、−C2H4COOM、−PhSO3M、−PhCOOM等(但し、Phはフェニル基を表し、Mは先に規定したとおりである)が挙げられるが、もちろん本発明はこれらに限定されない。
【0021】
なお、顔料粒子に結合させる親水性基は、同じ極性の親水性基であれば、同一顔料粒子に異なる2種以上の親水性基を結合させることもできる。
【0022】
この水性顔料着色剤に用いられる自己分散型顔料は、顔料表面の親水性基によってアニオン性もしくはカチオン性に帯電しており、そのイオンの反発によって水分散性を有し、また、その親水性基により親水性も向上している。そのため、長期間放置されても顔料の粒径や粘度が増大したりすることなく水性媒体中に安定して分散された水性顔料着色剤が得られる。更に、この自己分散型顔料はそれ自身が着色剤の水性媒体中への良好な分散性を有するので、この着色剤をインクジェット方式による装置に用いた場合に良好な吐出安定性を得ることができ、従来におけるような分散剤の使用を省略またはその使用量を効果的に低減させることができる。
【0023】
また、本発明において、着色剤中に含有させる自己分散型顔料は1種類に限定されるものではなく、2種以上を混合して色調を調整しても良い。また、着色剤中の自己分散型顔料の添加量としては、着色剤全重量に対して、例えば0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の範囲とすることができる。
【0024】
さらに、自己分散型顔料に加えて染料を使用して着色剤の色調を調整しても良い。この染料としては、インクジェット方式用の着色剤やインクに用いることができ、カラーフィルタの透光着色部の形成に利用できるものであれば特に制限されない。
【0025】
さらに、着色剤中にはバインダー成分として、水溶解性あるいは水分散性の化合物、好ましくは水溶解性あるいは水分散性の樹脂成分を含有していても良い。このバインダー成分としては、天然樹脂、あるいはアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アミノ系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が用いられるがもちろんこれらに限られるものではない。このバインダー成分は着色剤全重量に対して、例えば0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%の範囲で添加することができる。
【0026】
なお、バインダー成分として、硬化性の樹脂組成物を含有させることで、耐水性、耐光性が更に向上した透光着色部を得ることができる。この硬化性の樹脂組成物としては、熱処理及び光照射処理の少なくとも一方で硬化するものが好ましい。このような硬化性の樹脂組成物としては、例えば、カルボキシル基、水酸基等を有するアクリル系樹脂、メラミン系樹脂等を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0027】
着色剤中の水性媒体は、水及び水溶性有機溶媒との混合溶媒を主体としてなる。この水溶性有機溶媒としては、着色剤の保存やインクジェット装置での使用時における乾燥防止効果を有するものが好ましく、また、水は種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが望ましい。
【0028】
本発明で使用する水溶性有機溶剤としては、具体的に、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
【0029】
水溶性有機溶剤の量は、例えば、水性顔料着色剤全量に対し、10〜70質量%程度が適当である。
【0030】
更に、水性顔料着色剤は、所望の物性値を有する着色剤とするために、上記した成分の他に必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤等を添加することができる。
図3に示すように、インク受容層を設けずにカラーフィルタを製造する場合、開口部間の着色剤の混色を防止するためには境界となるマトリックス部で着色剤が撥水されることが好ましく、そのために着色剤が高い表面張力を有することが好ましい。具体的には、着色剤全体の表面張力が50mN/m(dyne/cm)以上であることが好ましい。自己分散型顔料の分散性は水性媒体中であれば他の成分の影響をうけ難く、表面張力が高い媒体中においても良好な分散性を示すことができる。また、表面張力を増加させる1つの方法として、硬化性樹脂を構成している親水性モノマーの比率を増加させることが挙げられ、一般的な親水性モノマーの場合、親水性モノマーの含有率を50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上にすると良い。親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオン酸等のカルボキシル基を含有するもの、ヒドロキシメチルメタクリレ−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ヒドロキシメチルアクリレ−ト、ヒドロキシエチルアクリレ−ト等の水酸基を含有したもの、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基あるいはその誘導体を含有したものなどが挙げられる。
【0031】
次いで、基板1上の開口部2aにインクジェット装置によって着色剤を付与した後に、これを乾燥などの適当な処理によって皮膜化し、透光着色部を得る。着色剤に、熱及び/または光照射硬化性の樹脂組成物をバインダー成分として添加した場合は、図3(c)に示すように熱処理及び光照射の少なくとも一方を行い、着色剤を硬化、皮膜化させることにより透光着色部を形成することができる。
【0032】
続いて図3(d)に示したように、必要に応じて保護膜を形成する。保護層5としては、光照射または熱処理、あるいはこれらの両方により硬化可能な樹脂材料、あるいは蒸着またはスパッタによって形成された無機膜等を用いることができ、カラーフィルタとした場合の透明性を有し、その後のITO形成プロセス、配向膜形成プロセス等に耐えうるものであれば使用可能である。
【0033】
一方、本発明は、予めインク受容層を設けた基板上に自己分散顔料を塗布してカラーフィルタを製造する方法も含む。この方法の一例を図4を用いて説明する。
【0034】
図4(a)は、パターン状にブラックマトリクス2が形成された光透過性の基板1を示したものである。ブラックマトリクス2の形成方法は、前記方法と同様の方法で行えばよい。又7は光透過部である。
次に、ブラックマトリクス2の形成された基板1上に硬化可能な樹脂組成物を含む層を形成し、インク受容層16とする(図4(b))。インク受容層16を形成する材料は公知のものが使用できる。また、上記受容層16には必要に応じて各種添加剤を含んでもよい。添加剤の具体的な一例としては各種界面活性剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、分散剤、粘度調整剤、pH調整剤、防カビ剤、可塑剤が挙げられる。これらの添加剤については従来公知の化合物から目的に応じて任意に選択すればよい。
【0035】
インク受容層16の形成方法としては、スピンコート、ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップコート等の方法を用いることができる。また必要に応じてプリベークを行っても良い。
【0036】
次いで、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色材からなり、且つ、この色材に、顔料の表面に少なくとも1種の親水性基が直接もしくは他の原子団を介して結合された自己分散型顔料が含まれている着色剤をインクジェット記録装置6を用いてインク受容層16の画素形成部位に付着させ、該インク受容層16の所定の部位を着色せしめる(図4(c))。
次にインク受容層16を硬化させる(図4(d))。硬化方法としてはインク受容層に用いた硬化性樹脂に適した方法を用いれば良く例えば加熱、光照射あるいは加熱及び光照射を行って硬化させ、各色の透光着色部18を形成し、カラーフィルタを得る。
この後、必要に応じて硬化せしめたインク受容層16上に保護層5を前記方法と同様の方法で形成してもよい(図4(e))。
また、インク受容層16にインクを付与する工程(図4(c))に先立って、ブラックマトリックス2を硬化させ、インク吸収性を予め低下させてもよい。
【0037】
図5に、上記の実施形態によるカラーフィルタを組み込んだ液晶素子の表示部の一実施形態の概略断面図を示す。本実施形態は、TFTカラーフィルタ液晶素子である。このTFTカラー液晶素子は、カラーフィルタ9を有する基板1と、TFTを有する基板14とを不図示の封止材により貼り合わせ、その間隙(2〜5μm程度)に液晶封入層12を形成することにより構成される。液晶素子の一方の基板の内側にはTFT(不図示)と透明な画素電極13がマトリクス状に形成されている。またもう一方の基板の内側には、画素電極13に対応する位置にカラーフィルタ9の透光着色部3がそれぞれ設置され、その上に透明な対向(共通)電極10が一面に形成されている。さらに、両基板の面内には配向膜11がそれぞれ形成されており、これらをラビング処理することにより液晶分子を一定方向に配列させることが出来る。またそれぞれのガラス基板の外側には偏光板15が接着されている。また、バックライト17としては、蛍光灯と散乱光(何れも不図示)の組み合わせが用いられ、液晶封入層12中の液晶化合物をバックライト17の光の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行う。
【0038】
液晶素子における液晶としては、TN型液晶や、強誘電性液晶(FLC)等何れの液晶も好適に用いることが出来る。
【0039】
なお、図5の構成における各部分は、図示した構成に限定されず、種々の構成を取ることができる。例えば、共通電極がストライプ状に形成された構成や、ブラックマトリクス2及びカラーフィルタ9の双方がTFT基板側に形成された構成などを有するものでも良い。
【0040】
【実施例】
実施例1
ガラス基板上にアクリル系樹脂、多官能アクリルモノマー及びカーボンブラックを含む黒色顔料レジスト(商品名:CK-S171B;富士ハント(株)社製)をスピンコート法により塗布し、露光、現像、熱処理により厚さ1.0μmのブラックマトリクスを形成した。ついで、インクジェットプリンタにより200μm×80μmのブラックマトリクスに囲まれた開口部に、R(レッド)、G(グリーン)またはB(ブルー)の各着色剤を1つの開口部に対して約200pl(10発)吐出した。また、その時の、吐出周波数は500Hzであった。
【0041】
着色剤としては、以下のものを用いた。
自己分散型有機顔料1 5質量%
バインダー成分
(アクリル酸メタクリル酸メチル共重合体:共重合比、30:70) 3質量%
ジエチレングリコール 20質量%
イソプロピルアルコール 5質量%
純水 67質量%
(自己分散型有機顔料1の製造)
自己分散型有機顔料1としては以下の方法によって製造したものを使用した。まず、B(青色)顔料としてC.I.ピグメントブル−15:6を用意した。水6gに濃塩酸5.5gを溶解した溶液に、4−アミノ安息香酸1.8gを加え、10℃以下に保った。それに亜硝酸ナトリウム2gを水10gに溶解した溶液を加え、攪拌した。さらに、上記有機顔料を20g加えて攪拌した。得られたスラリーを濾過し、顔料粒子を十分に水洗して乾燥させた後、水中にそれぞれ再分散し、逆浸透膜で脱塩した。その後、この顔料分散液を顔料濃度10質量%に濃縮し、有機顔料表面に下記式:
【0042】
【化5】
で表されるフェニル基を介してカルボキシル基が結合した、アニオン性の自己分散型青色顔料分散液を得た。
また、R(赤色)、G(緑色)に関しても、それぞれ
R顔料:C.I.ピグメントレッド254、
G顔料:C.I.ピグメントグリ−ン7、
の顔料を用いて、B(青色)と同様の方法により自己分散型赤色、緑色顔料分散液を得た。
【0043】
この着色剤の表面張力は42mN/m(dyne/cm)となった。この着色剤でブラックマトリクスの開口部を着色した後、240℃、30分の熱処理により着色剤成分を硬化、皮膜化させ、透光着色部を形成した。さらにその上に、2液型の熱硬化型樹脂材料(商品名:オプトマーSS6688;JSR(株)製、)を膜厚1μmとなるようにスピンコートし、230℃、60分の熱処理を行なって硬化させることによりカラーフィルタを作成した。
このように作成したカラーフィルタを光学顕微鏡により観察したところ、全面にわたって混色、色ムラ等の問題は観察されなかった。また、このカラーフィルタを用い、ITO(電極)形成、配向膜形成、液晶材料の封入等の一連の作業を行い、図5に示すようなカラー液晶素子(液晶パネル)を作製したところ、良好な特性を有する液晶素子が得られた。
【0044】
本実施例の液晶素子を用いて、−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間の駆動を行ったところ、障害は発生しなかった。また、さらに、太陽光線のもと、正味1000時間の投射駆動を行ったところ、透過率及び色調の変化は確認されなかった。
【0045】
参考例1
ガラス基板上にアクリル系樹脂、多官能アクリルモノマー及びカーボンブラックを含む黒色顔料レジスト(商品名:CK-S171B;富士ハント(株)社製)をスピンコート法により塗布し、露光、現像、熱処理により厚さ1.0μmのブラックマトリクスを形成した。ついで、インクジェットプリンタにより200μm×80μmのブラックマトリクスに囲まれた開口部に着色剤のR(レッド)、G(グリーン)またはB(ブルー)の各着色剤を1つの開口部に対して約200pl(10発)吐出した。また、その時の、吐出周波数は3KHzであった。着色剤としては、以下のものを用いた。
自己分散型有機顔料1 5質量%
バインダー成分(アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体:共重合比、80:20) 3質量%
ジエチレングリコール 20質量%
純水 72質量%
【0046】
この着色剤の表面張力は53mN/m(dyne/cm)となった。この着色剤でブラックマトリクスの開口部を着色した後、240℃、30分の熱処理により着色剤成分を硬化、皮膜化させ、透光着色部を形成した。さらにその上に、2液型の熱硬化型樹脂材料(商品名:オプトマーSS6688;JSR(株)製、)を膜厚1μmとなるようにスピンコートし、230℃、60分の熱処理を行なって硬化させることによりカラーフィルタを作成した。
作成したカラーフィルタを光学顕微鏡により観察したところ、全面にわたって混色、色ムラ等の問題は観察されなかった。また、このカラーフィルタを用い、ITO(電極)形成、配向膜形成、液晶材料の封入等の一連の作業を行い、図5に示すようなカラー液晶素子(液晶パネル)を作製したところ、良好な特性を有する液晶素子が得られた。
本参考例の液晶素子を用いて、−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間の駆動を行ったところ、障害は発生しなかった。また、さらに、太陽光線のもと、正味1000時間の投射駆動を行ったところ、透過率及び色調の変化は確認されなかった。
【0047】
また、自己分散型有機顔料として以下の各顔料:
R(赤色)顔料:C.I.ピグメントレッド168、
G(緑色)顔料:C.I.ピグメントグリ−ン36、
B(青色)顔料:C.I.ピグメントブル−60、
を使用し、それぞれの有機顔料表面に親水性基として−COONa基、
【0048】
【化6】
を結合させたものを用いて実施例1または参考例1と同様の方法でカラーフィルタ及び液晶パネルを作成した場合も、実施例1または参考例1と同様に信頼性の高いカラーフィルタおよび液晶素子が得られると考えられる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように本発明により、混色、色ムラがなく、耐熱性、耐溶剤性、解像性等の必要特性を満足する安価で耐水性等の信頼性の高いカラーフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】i)〜iii)は、皮膜形成性樹脂で被覆されている顔料を含むインクを用いたカラーフィルタの画素の生成工程の一例を示す図である。
【図2】i)〜iii)は、本発明で使用するインクを用いたカラーフィルタの画素の生成工程の一例を示す図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の方法によるカラーフィルタの製造工程の一例を示す図である。
【図4】(a)〜(e)は、本発明の方法によるカラーフィルタの製造工程の一例を示す図である。
【図5】本発明の方法で得られたカラーフィルタを用いた液晶パネルの一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 基板またはガラス基板
2 ブラックマトリクス
2a 開口部
3 透光着色部
4 着色剤
5 保護層
6 インクジェット記録装置
7 光透過部
8 遮光部
9 カラーフィルタ
10 共通電極
11 配向膜
12 液晶封入層
13 画素電極
14 ガラス基板
15 偏光板
16 インク受容層
17 バックライト
18 透光着色部
19 皮膜形成樹脂で被覆されている顔料
20 自己分散型顔料
Claims (11)
- 基板上にインクジェット方式を用いて着色剤を供給して透光着色部を配列させる工程を有するカラーフィルタの製造方法において、
前記着色剤が、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び色材からなり、かつ該色材に、顔料の表面に−PhCOOM(但し、Phはフェニル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表す。)が結合された自己分散型顔料が含まれており、
前記顔料がC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントグリーン7のいずれかであることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。 - 前記透光着色部が、(i)前記基板上に遮光部を選択的に設ける工程と、(ii)該遮光部が設けられていない開口部に前記着色剤を供給する工程と、により形成される請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記着色剤が、加熱処理及び光照射の少なくとも一方により硬化皮膜を形成し得る硬化性着色剤であり、該開口部内に付与された硬化性着色剤に熱処理及び光照射の少なくとも一方を行って硬化皮膜化させる工程を更に有する請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記遮光部がブラックマトリクスを構成する請求項2または3に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記遮光部が黒色顔料含有レジストを含む請求項2〜4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記遮光部の厚みが0.5μm以上である請求項2〜5のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記基板上の前記透光着色部および前記遮光部上に、樹脂層を設ける工程を有する請求項2〜6のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記遮光部上の樹脂層が光照射及び熱処理の少なくとも一方を行って硬化させることで形成される請求項7に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記着色剤が、水溶解性もしくは水分散性の化合物、あるいは水溶解性もしくは水分散性の樹脂成分を含む請求項1〜8のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記水溶解性もしくは水分散性の化合物、あるいは水溶解性もしくは水分散性の樹脂成分が着色剤全量に対して0.1〜20質量%含まれている請求項9に記載のカラーフィルタの製造方法。
- 前記カラーフィルタが液晶用カラーフィルタである請求項1〜10のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
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