JP4518936B2 - セルロース系交織織物 - Google Patents
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Description
交織織物に於いてセルロース繊維の混率を高める方法としては、特許文献2に経糸に化繊フィラメントおよび合繊フィラメントを一本交互使いで用い、且つ、セルロース繊維側に太い繊度の糸を用いる方法が開示されている。実施例によれば緯糸側も一本交互か混繊糸使いの例が開示されている。セルロース繊維の混率は、計算上54.7%〜71.4%で良好な品位と風合いを有し、洗濯収縮率が経緯ともに0%、耐磨耗性が5級の織物が開示されている。洗濯シワ等の水洗い性能の具体的な記載は無いが水洗いが可能なレベルにあるものと推測される。しかしながら、実施例の工程性量、特に経密度変化、から見る限り緯方向のストレッチ性は殆んど無いことは明確であり、着用快適性に関しては低いことは明らかである。また、該特許文献の記載に依れば、織物の風合い及び物性は、経糸の影響をより強く受けることから、緯糸にのみ化繊フィラメントと合繊フィラメントを一本づつ交互に配列して用いても化繊と合繊の長所を充分に引き出すことはできないとのことであり、該発明では経糸は一本交互使いが必須となっている。また、経糸一本交互織物は、経糸準備が煩雑であることは基より、製織工程時に化繊フィラメントと合繊フィラメントとの湿潤・乾燥特性の違いから局所的に経筋が発生し易いなどの欠点を有しており汎用性があるとはいえない。
リコーン処理を行うことでセルロ−ス繊維の風合いや物性を損ねることなく緯伸びとイージーケア性を付与できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の構成は以下の通りからなる。
〔1〕経糸がセルロース繊維、緯糸がセルロース繊維と合成繊維から構成される交織織物において、緯糸のセルロース繊維対合成繊維の比率が1:3〜3:1の範囲であり、該交織織物が樹脂加工時にエポキシ変性シリコーンで処理されてなる織物であって、かつ、下記(1)〜(3)の特性を満たすセルロース系交織織物からなることを特徴とするセルロース系交織裏地。
(1)W&W性が3.5級以上
(2)緯方向のストレッチ率が5%以上
(3)吸湿性が7.5%以上
〔3〕前記合成繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕記載のセルロース系交織裏地。
〔4〕ポリエステル系繊維がポリトリメチレンテレフタレートの加工糸であることを特徴とする上記〔3〕記載のセルロース系交織裏地。
〔5〕セルロース繊維の混率が70〜95%であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロース系交織裏地。
本発明の構成上の第一の特徴は、経糸がセルロース繊維、緯糸がセルロース繊維と合成繊維から構成される交織織物において、かかる織物が樹脂加工時にエポキシ変性シリコーンで処理されてなる織物から構成されている点にある。
セルロース系交織織物において、経糸か緯糸のいずれか一方にセルロース繊維を用い他方に合成繊維を用いた織物が一般的に知られており、例えば、プレーンな織物裏地用途では大半がこの単純交織品が使われている。この単純交織品の場合、セルロース繊維の混率は40〜60%が一般的である。この交織品はセルロース繊維の強度面を補う点と色合いがシャンブレーになる点が特徴になっているが、反面、風合いが合繊タッチになったり、吸湿性も半減するため摩擦帯電圧が高くなると言った欠点を持ち、必ずしも着用快適性に優れたものではなかった。
しかるに、前述したように本発明では、織物を仕上げ樹脂加工する際にエポキシ変性シリコーンを併用することにより、洗濯シワが付き難く風合い変化も少ないと言った水洗い性能が格段に向上することを発見し、困難な課題を克服するに至ったものである。本発明の最大の特徴はこのエポキシ変性シリコーンを併用処理し、水洗い性能と風合い耐久性を高めた点にある。
本発明において樹脂加工時に用いるエポキシ変性シリコーンとは、数平均分子量が10000から200000のポリマーであり、セルロースの水酸基と直接反応する官能基であるエポキシ基を持つジメチルシリコーン誘導体を意味する。エポキシ基にはグリシジルタイプのものと脂環式タイプのものとがあるがいずれのタイプでも構わない。これらは単独でも混合系で使用しても構わない。
使用濃度は、他の樹脂加工剤との兼ね合いもあるが、通常0.3〜10重量%が望ましく、更に好ましくは0.5〜5重量%の範囲で用いられる。0.3重量%以下の場合は、水洗い洗濯時にシワが発生し易く所望の水洗い性能を得ることができない。一方、10重量%以上の場合は性能的には充分満たすが、過剰の未反応エポキシ変性シリコーンを除去する必要があり、手間や剤コスト的に無駄になるので望ましくない。
このエポキシ変性シリコーンの風合い硬化や洗濯シワの抑制効果は、エポキシ変性のシリコーンの分子量が大きいためセルロース繊維の内部まで浸透できず繊維表面の水酸基と直接反応し、強固に固定されるため繊維表面間の摩擦抵抗が低減して発現したものと推察される。また、1分子当たり多数個のエポキシ基を持つため、そのうち2個以上が反応すれば架橋的な役割を果たし、形態安定性が向上したものと推察される。この架橋作用が洗濯を繰り返しても風合い硬化が起こり難かったり、シワの付き難さに反映されているものと推測される。そのため本発明を構成する交織織物に該エポキシ変性シリコーン処理を施さない場合は、W&W性が3.5級以下になり、しかも、風合いが洗濯することで変化して硬くなるといった問題が発現する。
本発明の織物の緯糸に用いる合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66に代表されるポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アセテート繊維、ポリウレタン包含糸、および、前述の合成樹脂の共重合体からなる繊維等が挙げられる。これら繊維の総繊度は33〜167dtex、好ましくは33〜110dtexの範囲であり、単糸繊度は0.5〜10dtex、好ましくは1〜5dtexの範囲である。これらの繊維は、必要に応じて、仮撚り加工されたり、撚糸されたり、混繊やカバリング等の複合糸の形で用いることができる。勿論、サイドバイサイド型のコンジュゲート糸も包含する。緯糸がセルロース繊維と合成繊維とからなる糸構成としては、一本交互使いが好ましいが、糸構成(繊度)によってはセルロース繊維対合成繊維の比率が3:1〜1:3の範囲でも良い。
れるものではない。
本発明の織物は、製織された生機を常法の精錬、染色、仕上げ加工で処理することで得ることができる。例えば、精錬はオープンソーパー型連続精錬機、ソフサー精錬機、液流型染色機、浴中懸垂型連続精錬機などを用いて行うことができる。また、染色加工は、コールドパッドバッチ法、パッドスチーム法、パッドロール法、ジッガー法、液流染色法、ウインス法、ビーム法など織物構成に合わせて染料と共に適宜選択すればよい。
本発明に使用できるエポキシ変性シリコーン以外の樹脂加工剤としては、グリオキザール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂が挙げられる。触媒は樹脂との組み合わせで適宜決めればよく、グリオキザール系樹脂用の触媒である酸性触媒や潜在酸性触媒を使用すればよい。例えば、酸性触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、有機酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸などのオキシ酸、アミン塩酸塩等が挙げられ、潜在酸性触媒としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルニウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、塩化マグネシウム、ホウフッ化マグネシウムなどの無機金属塩等が挙げられる。
これらの条件をすべて充足することによって初めて家庭水洗いが可能で着用快適性に優れた織物となるが、本発明者らの知る限り、これらの構成要件のうち2つは満たすものは存在するが、これら全てを満たす織物は存在しない。
先ず、W&W性であるが、洗濯後の布帛を見てアイロン掛け等のケアをしなくてもそのまま着用可能と判断できるレベルが3.5級であり、3.5級以下ではアイロン掛けをしないと着用する気になれないレベルであると一般的には判断される。本発明では緯糸に合成繊維を少し挿入してセルロース繊維の柔かさ・変形のし易さを補強すると共に、エポキシ変性シリコーン付与に伴う滑性向上により洗濯時に受ける変形を緩和させることで3.5級以上のW&W性を発現せし得たものと推察する。緯糸に合成繊維を全く挿入しないでエポキシ変性シリコーンの処理を行った場合のW&W性は3.0級、同様に合成繊維を全く挿入しないでエポキシ変性シリコーンの処理を行わなかった場合のW&W性は2.25級、合成繊維を挿入してもエポキシ変性シリコーン処理を行わなかった場合のW&W性は3.2級であり、いずれも本発明の3.5級を充足させることはできないことを確認している。すなわち、本発明では前述した交織織物の糸構成とエポキシ変性シリコーンの処理が必須要件となっており、これらが後述する吸湿性の高さやストレッチ性の発現にも寄与している。
(1)緯ストレッチ率の評価
カトーテック(株)製のKES−FB1を用いて、20cm×20cmの織物を引張り速度0.2mm/秒で緯方向に伸長し、500g/cmの応力下での伸びE(%)を次式により算出した。
E(%)=(ΔL/L)×100
ここでΔLは500g/cm荷重下で伸びた長さ(cm)、Lは織物の把持長で5cmである。
JIS−L−1096:A法で平干し後のシワの状態を官能評価した。3人の評価者がn=3のサンプルについて観察し、AATCC評価版をもとに1級から5級に格付け評価して平均値を出して級付けした。
(3)吸湿性の評価
JIS−L−1096に準拠して評価した。公定水分率で%表示している。
(4)寸法変化率
JIS−L−1096に準拠して評価した。マイナス表示は収縮を意味し、%表示している。
(5)縫目滑脱
JIS−L−1096に準拠して評価した(B法縫目ずれ)。単位はmm。
経糸にキュプラアンモニウムレーヨンフィラメント56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン56dtex/45fとポリトリメチレンテレフタレート(以後「PTT」と呼称)56dtex/24f加工糸(Z加撚)逆追撚S900t/mした糸を用いて一本交互に緯打ちした。織り上がった生機の経糸密度は137本/吋、緯糸密度は96本/吋であった。この生機をオープンソーパータイプの精練機で精練した後、ハイジガー染色機でPTTを染色しシリンダー乾燥させた。しかる後、キュプラアンモニウムレーヨン側をパッドバッチ染色し、ソーピング乾燥させた。引き続く樹脂加工はノンホル型グリオキザール樹脂4重量%、その触媒1.5重量%、エポキシ変性シリコーンとしてDIC社製「DICシリコーンソフナー Y−8」を1重量%、柔軟剤1.5重量%、帯電防止剤0.5重量%、フィックス剤1.8重量%等を含む浴を用いて生地を浸
漬し、絞った後、テンターを用いて硬化させた。しかる後、水パッドし乾燥させ、最後にコールドペーパー処理を行い風合い調整を行った。
得られた織物の経糸密度は150本/吋、緯糸密度96本/吋であった。この織物のセルロース混率は80%、緯伸びは7%、摩擦帯電圧240V(公定水分率9.1%)、寸法変化率−0.1/−1.3、縫目滑脱1.4/1.5、且つ、W&W性も3.9級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
実施例1の生機を用い、実施例1の精練・染色処方に準拠して染め上がり品を作成した。引き続く樹脂加工はエポキシ変性シリコーンを用いない以外は実施例1の処方に準拠して実施し、その後の工程は実施例1と同じ処理を行った。得られた織物の緯伸びは6.7%と本発明の特性を満たすが、W&W性が3.2級と家庭水洗い洗濯対応裏地としては不充分なレベルであった。また、寸法変化率は−0.2/−1.3、縫目滑脱は1.6/1.5、公定水分率は9.2%であった。
経糸にキュプラアンモニウムレーヨンフィラメント56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン56dtex/45fとPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸40dtex/24fを用いて一本交互に緯打ちした。織り上がった生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は105本/吋であった。この生機をオープンソーパータイプの精練機で精練した後、ハイジガー染色機でPTTを染色しシリンダー乾燥させた。しかる後、キュプラアンモニウムレーヨン側をパッドバッチ染色し、ソーピング乾燥させた。引き続く樹脂加工はノンホル型グリオキザール樹脂4重量%、その触媒1.5重量%、実施例1と同じエポキシ変性シリコーン1重量%、柔軟剤1.5重量%、帯電防止剤0.5重量%、フィックス剤1.8重量%等を含む浴を用いて生地を浸漬し、絞った後、テンターを用いて硬化させた。しかる後、水パッドし乾燥させ、最後にコールドペーパー処理を行い風合い調整を行った。
得られた織物の経糸密度は155本/吋、緯糸密度97本/吋であった。また、セルロース混率は85%、緯伸びは8.1%、摩擦帯電圧210V(公定水分率9.5%)、寸法変化率−0.5/−0.8、縫目滑脱1.6/0.7、且つ、W&W性も3.6級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
実施例2のPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸の替わりにPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸加工糸56dtex/24fを用い、エポキシ変性シリコーンの濃度を0.5重量%に変更した以外は実施例2と同様の方法で裏地を作成した。生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は97本/吋であった。得られた織物の経糸密度は165本/吋、緯糸密度100本/吋であった。また、セルロース混率は81%、緯伸びは16.2%、摩擦帯電圧200V(公定水分率9.2%)、寸法変化率−0.4/−1.0、縫目滑脱1.3/0.7、且つ、W&W性も3.8級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
実施例2のPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸の替わりにW型断面形状のポリエチレンテレフタレート56dtex/30fを用いた以外は実施例2と同様の方法で裏地を作成した。生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は96本/吋であった。得られた織物の経糸密度は149本/吋、緯糸密度100本/吋であった。また、セルロース混率は80%、緯伸びは6.4%、摩擦帯電圧205V(公定水分率9.1%)、寸法変化率―0.3/−0.5、縫目滑脱1.0/1.4、且つ、W&W性も3.6級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
実施例2のPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸の替わりに丸断面形状のポリエチレンテレフタレート加工糸56dtex/30fを用いた以外は実施例2と同様の方法で裏地を作成した。生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は97本/吋であった。
得られた織物の経糸密度は152本/吋、緯糸密度100本/吋であった。また、セルロース混率は80%、緯伸びは5.9%、摩擦帯電圧260V(公定水分率9.1%)、寸法変化率―0.1/−0.8、縫目滑脱1.6/1.1、且つ、W&W性も3.6級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
Claims (5)
- 経糸がセルロース繊維、緯糸がセルロース繊維と合成繊維から構成される交織織物において、緯糸のセルロース繊維対合成繊維の比率が1:3〜3:1の範囲であり、該交織織物が樹脂加工時に数平均分子量が10000から200000のポリマーでセルロースの水酸基と直接反応する官能基であるエポキシ基を持つジメチルシリコーン誘導体であるエポキシ変性シリコーンで処理されてなる織物であって、かつ、下記(1)〜(3)の特性を満たすセルロース系交織織物からなることを特徴とするセルロース系交織裏地。
(1)W&W性が3.5級以上
(2)緯方向のストレッチ率が5%以上
(3)吸湿性が7.5%以上 - 前記セルロース繊維が再生セルロース繊維であることを特徴とする請求項1記載のセルロース系交織裏地。
- 前記合成繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース系交織裏地。
- ポリエステル系繊維がポリトリメチレンテレフタレートの加工糸であることを特徴とする請求項3記載のセルロース系交織裏地。
- セルロース繊維の混率が70〜95%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース系交織裏地。
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