JP4532017B2 - 電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解金属箔の製造で陰極ローラ(金属箔用ドラム)として用いられるチタンリングの製造方法に関し、特にチタンリング板継部の組織改質を生産性良く行う方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解金属箔の一つであるプリント配線板等に用いられる電解銅箔は、回転ドラムのアウターリングにチタンを用いた電解銅箔製造装置により製造される。
【0003】
チタンは、耐食性、電解銅箔の剥離性に優れることから、近年、広く用いられるようになったものであるが、圧延チタン板をロール成形機により円筒状に巻いて、板継溶接によりアウターリングを製造する場合、板継溶接部組織に起因する模様が銅箔表面に転写され、品質上問題とされる場合があった。
【0004】
そのため、溶接部を後熱処理し、溶接部組織を母材組織並とする方法(特開平2−243790号公報等)や、更に、円筒状とするため板継溶接した後、溶接部を加工し、プレス等により加工歪を付与した後、熱処理を行う方法(特開平8−225905号公報等)が開発されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、溶接部にプレス加工し、溶接ビードを圧縮する方法は、有効な加工歪を付与するため、溶接部を曲げ加工によりリングの外側に突き出し、更に溶接を行うなど複雑な加工を必要とする。
【0006】
また加工硬化により割れが発生する危険を防止するため、中間焼鈍が必要である等生産コストや生産時間が増加し、必ずしも望ましいものとは言い難かった。
【0007】
そこで、本発明は、プレス加工など複雑な加工によらず板継部組織を生産性良く改質する方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、チタン材溶接部組織の改質に加工後の再結晶は不可欠であるとの認識を前提に、再結晶を促進する加工歪を効率的に付与する方法を見出すべく、銅箔用ドラムの製造工程について詳細に検討を行った。
【0009】
その結果、アウターリングの板継部の厚みを母材元厚より厚くした後、板継部の上下に配した複数のローラにより加圧し、該チタン材の再結晶温度以上に加熱した場合、割れ等を生じることなく良好な再結晶組織が得られ、極薄銅箔や樹脂付き銅箔など最近の製品に要求される厳しい品質仕様を満足する電解銅箔の得られることを見出した。
【0010】
本発明は以上の知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち本発明は、
1.母材両端部に肉盛部を形成する工程と、
肉盛部を形成した母材両端部に、ドラム内部に向かって開口するように開先部を形成する工程と、
開先部を形成した母材両端部を溶接して、母材両端部に、母材よりも肉厚の板継部を形成する工程と、
母材より肉厚の板継部を複数のローラにより圧壊する工程と、
圧壊された板継部を、再結晶温度以上に加熱する工程とを備え、
前記圧壊する工程は、母材の溶接線方向に沿ってローラを移動する工程、または該ローラを固定して母材をその溶接線方向に沿って移動させる工程を備えたことを特徴とする電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
【0011】
2.再結晶温度以上に加熱する工程は、その加熱温度が625℃以上であることを特徴とする請求項1記載の金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
【0012】
3.ローラと板継部の硬度差がHv.50以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
【0013】
4.(1)式を満たすように板継部の圧壊を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
{(tb+h−tp)/(tb+h)}×100≧30 (1)
但し、tb:母材元厚、h:余盛厚さ、tp:圧壊後の板継部の板厚
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明では、銅箔などの金属箔に転写される板継溶接部の組織が、品質上の欠陥とならないよう加工歪後の再結晶を利用し改質する際、有効に且つ生産性良く加工歪を付与する方法として、母材より肉厚を大きくした板継部をその上下に配した複数のローラにより加圧し、その後、再結晶温度に加熱することを特徴とする。
【0018】
図1は、本発明方法の実施に用いる装置の一例で、チタンリングの板継溶接部を上下から挟むように配した一対のプレスローラ1を有し、油圧シリンダ2と油圧ポンプ3よりなる油圧機構により加圧を行う。
【0019】
プレスロール1は、均一に接触するようその幅を板継部(アウターリング内面側)の幅より広くすることが望ましく、更に板継部(アウターリング外側)とプレスロール表面の硬度差をHv.50以上とすることが望ましい。
【0020】
ローラ形状は、アウターリングを挟んだ場合、密着して加工ができるように、胴長方向の形状を上ロールは、太鼓状、下ロールは鼓状とすることが望ましい。また、上下ロールは、異径とすることもできる。
【0021】
図1に示す装置は、チタンリングを挟みつけたロールを回転させることにより、チタンリングを溶接線方向に移動させ、溶接線全長に加圧するものであるが、チタンリングを固定し、上下ローラを移動させる構造とすることも可能である。ローラの溶接線方向への移動速度は要求される生産性に応じて適宜設定すれば良く、本発明では特に規定しない。
【0022】
図3は、本発明の実施状況を模式的に示すもので、(a)は、板継部7が、板継溶接により余盛厚さh(=h1+h2)だけ、母材の元厚tbに対し、肉厚が厚くなっていることを示し、(b)は、ロールにより圧壊される状況を、(c)は圧壊後、母材が板厚tpとなったことを示す。
【0023】
板継部の圧壊は、電解銅箔に転写される板継部の表面組織が製品仕様を満足するように行うものとするが、下記(1)式を満たすように行うことが望ましく、特に、板継溶接部が母材と面一になるように圧壊(押し潰し加工)すると、その後の研削工程が簡略化され、好ましい。
【0024】
{(tb+h−tp)/(tb+h)}×100≧30 (1)
但し、tb:母材元厚、h:余盛厚さ、tp:圧壊後の板継部の板厚
ローラにより、板継部を圧壊する際、その板継部の温度は、冷間でも温間でも良く特に規定しないが、圧壊後の加熱は、母材の再結晶温度以上とすることが必要で、特に625℃以上が好ましい。
【0025】
加熱時間は、板継部の組織改質に応じて適宜選択すれば良く特に規定しない。
【0026】
本発明においては、板継部の厚みが母材元厚より厚いことが必要で、板継溶接で余盛が得られるよう溶接条件を選定したり、または、板継溶接後、肉盛溶接を行う。溶接法はTIG溶接、プラズマ溶接が望ましい。
【0027】
更に、板継溶接のため、開先加工を行う母材端部を肉盛溶接等で肉厚とすることも可能で、図2は、母材端部を肉盛溶接し、母材の元厚より肉厚とした後、開先加工し、その後、板継溶接し、板継部をローラプレスにより加圧する手順を模式的に示すものである。
【0028】
図2(a)に母材4の両端部に肉盛部5を形成することを示す。図2(b)にドラム内部に向かって開口するように開先部6を形成することを示す。図2(c)に本溶接により板継部7を形成することを示す。図2(d)にロールプレス1により板継溶接部を加圧することを示す。図2(e)は圧壊後、母材が板厚tpとなったことを示す。
【0029】
尚、溶接部断面形状を母材に対して凸状とする方法が上述のいずれであっても、円筒状に曲げ加工する際、板継溶接により接合する両端部の曲げRをその他の部分より大きくし、板継溶接において、仮付け、本溶接の積層法を工夫し、溶接部を円筒の外側に突出させることが加工歪を付与する上で望ましい。
【0030】
尚、溶接の際、リング内面側を広幅ビードとし、リング外側での溶接部幅を小さくしたり、水冷冶具を用い、溶接による組織変化自体を軽減させることも再結晶後の溶接部組織を改質し、母材組織との均質化に有効である。
【0031】
本発明は、電解銅箔の場合、最も優れた効果が得られるが、電解法による金属箔の製造方法として汎用的に適用可能である。
【0032】
【実施例】
母材の元厚が8mmのチタン板をローラにより円筒状に曲げ加工し、板継溶接を行い外径2200mm,奥行1200mmのチタンリングを製造した。溶接はY開先の突き合わせ溶接をプラズマ溶接で行い、その後、肉盛溶接を行った。その結果、溶接部の余盛の幅は約25mm,余盛の高さは8mmであった。
【0033】
次に、図1の装置を用い、冷間で板継部が母材と面一となるまで5回の押し潰し加工を行った。尚、加工途中において、軟化熱処理を行わなかったにも拘わらず、割れ、大きな変形は生じなかった。
【0034】
尚、図1の装置において、ローラはその幅が100mm,板継溶接部の幅は25〜30mm,厚みは8mmで、関係式(1)を満足し、ローラの表面硬度と板継溶接部との硬度差はHv.50であった。
【0035】
その後、再結晶のため、650℃×180分の熱処理をおこない、再結晶による組織改質の評価を行った。評価試験として、溶接部近傍を1000番の砥石により研磨仕上げ後、目視観察とビッカース硬さ試験を行った。
【0036】
その結果、目視では、板継部と母材部を区別できず、板継部(板継溶接部の場合は、WM、HAZ各々。板継溶接後、肉盛溶接した場合は肉盛溶接部)と母材部の硬度差は25以下で、更に溶接部と母材部の結晶粒度の差はASTM粒度No.で2以下と、電解設備用電極として極めて良好なものが得られた。
【0037】
又、ロールで圧壊するため、ロールと板継部は線接触となり、軽荷重でも、大きな加工歪が、連続的に安定して付与され、常温での加工にもよらず、圧壊された表面は極めて平滑で、応力集中がないことより割れも生じなかった。そのため、加工中、中間焼鈍等の複雑な工程が不要で、本発明法による作業時間は従来のプレス法の約1/3〜1/4で、優れた生産性が確認された。
【0038】
【発明の効果】
本発明法によれば、電解銅箔に板継部の模様が転写されることがない表面性状に優れた電解金属箔製造用のチタン製アウターリングが生産性良く得られ、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法に用いる装置の実施形態例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図2】(a)−(e)は、本発明法の実施手順の一例(母材端部を肉盛溶接後、板継溶接により板継部とする)を模式的に示す図。
【図3】(a)−(c)は、本発明法の実施手順の一例(板継溶接により、板継部とする)を模式的に示す図。
【符号の説明】
1…プレスローラ
2…油圧ローラ
3…油圧ポンプ
4…母材部、
5…肉盛溶接部、
6…開先部、
7…接合部
Claims (4)
- 電解金属箔製造用ドラムのチタンリングの製造において、
母材両端部に肉盛部を形成する工程と、
肉盛部を形成した母材両端部に、ドラム内部に向かって開口するように開先部を形成する工程と、
開先部を形成した母材両端部を溶接して、母材両端部に、母材よりも肉厚の板継部を形成する工程と、
母材より肉厚の板継部を複数のローラにより圧壊する工程と、
圧壊された板継部を、再結晶温度以上に加熱する工程とを備え、
前記圧壊する工程は、母材の溶接線方向に沿ってローラを移動する工程、または該ローラを固定して母材をその溶接線方向に沿って移動させる工程を備えたことを特徴とする電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。 - 再結晶温度以上に加熱する工程は、その加熱温度が625℃以上であることを特徴とする請求項1記載の金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
- ローラと板継部の硬度差がHv.50以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
- (1)式を満たすように板継部の圧壊を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法。
{(tb+h−tp)/(tb+h)}×100≧30 (1)
但し、tb:母材元厚、h:余盛厚さ、tp:圧壊後の板継部の板厚
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| JP2001149508A JP4532017B2 (ja) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | 電解金属箔製造用ドラムのチタンリング製造方法およびその装置 |
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