本明細書および添付図面の記載により少なくとも以下の事項が明らかとなる。
媒体にインクを吐出するインク吐出部と、前記媒体に吐出されたインクにより形成されるパターンを検出するセンサと、ユーザーが指示を入力するためのユーザーインターフェイスとを備え、互いに異なる複数の対象を調整可能であり、前記インク吐出部は、前記対象を調整するためのパターンを形成可能である印刷システムにおいて、前記ユーザーインターフェイスを介してユーザーから指示が入力されたとき、前記インク吐出部は、それぞれの前記対象を調整するための前記パターンをそれぞれ形成し、前記センサにより前記パターンをそれぞれ検出し、前記各パターンの検出結果に基づいて、前記複数の対象をそれぞれ調整することを特徴とする印刷システム。
このような印刷システムにあっては、ユーザーインターフェイスを介してユーザーから指示が入力されたとき、インク吐出部は、互いに異なる複数の対象を調整するためのパターンをそれぞれ形成し、センサによりパターンをそれぞれ検出し、各パターンの検出結果に基づいて、複数の対象をそれぞれ調整するので、印刷画像の画質が低下した場合、インクジェットプリンタの機能にあまり詳しくないユーザーであっても、適切に画質の改善を行うことができるようになる。
前記センサは、前記媒体に吐出されたインクにより形成されるパターンに光を照射する発光部と、前記パターンからの反射光を検出する受光部とを備えた光学センサであることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記センサは、前記媒体に吐出されたインクにより形成されるパターンに光を照射する発光部と、前記パターンからの反射光を検出する受光部とを備えた光学センサであるので、前記パターンをより正確に検出することが可能となる。
前記インク吐出部は、複数のノズルを有し、前記対象の1つは、前記ノズルの目詰まりであることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記インク吐出部は、複数のノズルを有し、前記対象の1つは、前記ノズルの目詰まりであるので、前記ノズルの目詰まりを調整することが可能となる。
前記ノズルの目詰まりを調整するためのパターンは、複数のブロックから形成され、各ブロックは、前記ノズルのうち特定のノズルから吐出されるインクによって形成されることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記ノズルの目詰まりを調整するためのパターンは、複数のブロックから形成され、各ブロックは、前記ノズルのうち特定のノズルから吐出されるインクによって形成されるので、各ノズルの目詰まりを調整することが可能となる。
前記インク吐出部のクリーニング処理を行うことによって、前記ノズルの目詰まりを調整することが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記インク吐出部のクリーニング処理を行うことによって、前記ノズルの目詰まりを調整するので、前記ノズルの目詰まりを確実に除去することが可能となる。
前記ノズルの目詰まりの調整は、前記ノズルの目詰まり以外の前記対象を調整する前に行われることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記ノズルの目詰まりの調整は、前記ノズルの目詰まり以外の前記対象を調整する前に行われるので、各ノズルの目詰まりを優先的に調整することが可能となる。
前記インク吐出部は、インクを吐出しながら移動可能であり、前記対象の1つは、移動する前記インク吐出部からインクを吐出するタイミングであることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記インク吐出部は、インクを吐出しながら移動可能であり、前記対象の1つは、移動する前記インク吐出部からインクを吐出するタイミングであるので、前記インク吐出部からインクを吐出するタイミングを調整することが可能となる。
前記タイミングを調整するためのパターンは、複数の補正用パターンから形成され、各補正用パターンは、移動する前記インク吐出部が往路において吐出したインクによって形成される第1ドット列群と、移動する前記インク吐出部が復路において吐出したインクによって形成される第2ドット列群とを備えることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記タイミングを調整するためのパターンは、複数の補正用パターンから形成され、各補正用パターンは、移動する前記インク吐出部が往路において吐出したインクによって形成される第1ドット列群と、移動する前記インク吐出部が復路において吐出したインクによって形成される第2ドット列群とを備えるので、移動する前記インク吐出部の往路、および、復路において吐出されるインクの吐出タイミングを調整することが可能となる。
前記第1ドット列群は、前記インク吐出部の移動方向に所定ピッチで形成された複数のドット列を有し、前記第2ドット列群は、前記第1ドット列群のドット列と同じピッチで形成された複数のドット列を有し、各補正用パターンの前記第1ドット列群と前記第2ドット列群とのずれ量は、所定差分ずつであることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記第1ドット列群は、前記インク吐出部の移動方向に所定ピッチで形成された複数のドット列を有し、前記第2ドット列群は、前記第1ドット列群のドット列と同じピッチで形成された複数のドット列を有し、各補正用パターンの前記第1ドット列群と前記第2ドット列群とのずれ量は、所定差分ずつであるので、第1ドット列群のドット列と第2ドット列群のドット列とが前記インク吐出部の移動方向に関して最も揃った補正用パターンを選択して、前記インク吐出部からインクを吐出するタイミングを調整することが可能となる。
前記タイミングを調整するためのパターンは、前記ずれ量の所定差分が小さい微調整用のパターンと、前記微調整用のパターンの前記所定ピッチよりも、前記ずれ量の所定差分が大きい粗調整用のパターンを備え、前記粗調整用のパターンによって決定されたずれ量に基づいて、前記微調整用のパターンを作成することが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記タイミングを調整するためのパターンは、前記ずれ量の所定差分が小さい微調整用のパターンと、前記微調整用のパターンの前記所定ピッチよりも、前記ずれ量の所定差分が大きい粗調整用のパターンを備え、前記粗調整用のパターンによって決定されたずれ量に基づいて、前記微調整用のパターンを作成するので、短時間かつ高精度で、第1ドット列群のドット列と第2ドット列群のドット列とが前記インク吐出部の移動方向に関して最も揃った補正用パターンを選択して、前記インク吐出部からインクを吐出するタイミングを調整することが可能となる。
前記媒体を搬送するための搬送部をさらに備え、前記対象の1つは、前記搬送部が前記媒体を搬送する搬送量であることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記媒体を搬送するための搬送部をさらに備え、前記対象の1つは、前記搬送部が前記媒体を搬送する搬送量であるので、前記搬送量を調整することが可能となる。
前記媒体の搬送量を調整するためのパターンは、インク吐出部の搬送方向上流側の部分から吐出されるインクによって形成される第1パターンと、インク吐出部の搬送方向下流側の部分から吐出されるインクによって前記第1パターンの前記搬送方向上流側に隣接して形成される第2パターンとから構成される境界部を複数有することが好ましい。
このような印刷システムにあっては、前記媒体の搬送量を調整するためのパターンは、インク吐出部の搬送方向上流側の部分から吐出されるインクによって形成される第1パターンと、インク吐出部の搬送方向下流側の部分から吐出されるインクによって前記第1パターンの前記搬送方向上流側に隣接して形成される第2パターンとから構成される境界部を複数有するので、前記境界部をセンサで検出することによって、前記媒体の搬送量を調整することが可能となる。
複数の前記境界部は、それぞれの前記第1パターンと前記第2パターンとの間隔が異なるように形成されることが好ましい。
このような印刷システムにあっては、複数の前記境界部は、それぞれの前記第1パターンと前記第2パターンとの間隔が異なるように形成されるので、前記媒体の搬送量を調整するための最適のパターンを選択することが可能となる。
また、媒体にインクを吐出するインク吐出部と、前記媒体に吐出されたインクにより形成されるパターンを検出するセンサと、ユーザーが指示を入力するためのユーザーインターフェイスとを備え、互いに異なる複数の対象を調整可能であり、前記インク吐出部は、前記対象を調整するためのパターンを形成可能である印刷システムにおいて、前記ユーザーインターフェイスを介してユーザーから指示が入力されたとき、前記インク吐出部は、それぞれの前記対象を調整するための前記パターンをそれぞれ形成し、前記センサにより前記パターンをそれぞれ検出し、前記各パターンの検出結果に基づいて、前記複数の対象をそれぞれ調整し、前記センサは、前記媒体に吐出されたインクにより形成されるパターンに光を照射する発光部と、前記パターンからの反射光を検出する受光部とを備えた光学センサであり、前記インク吐出部は、複数のノズルを有し、前記対象の1つは、前記ノズルの目詰まりであり、前記ノズルの目詰まりを調整するためのパターンは、複数のブロックから形成され、各ブロックは、前記ノズルのうち特定のノズルから吐出されるインクによって形成され、前記インク吐出部のクリーニング処理を行うことによって、前記ノズルの目詰まりを調整し、前記ノズルの目詰まりの調整は、前記ノズルの目詰まり以外の前記対象を調整する前に行われ、前記インク吐出部は、インクを吐出しながら移動可能であり、前記対象の1つは、移動する前記インク吐出部からインクを吐出するタイミングであり、前記タイミングを調整するためのパターンは、複数の補正用パターンから形成され、各補正用パターンは、移動する前記インク吐出部が往路において吐出したインクによって形成される第1ドット列群と、移動する前記インク吐出部が復路において吐出したインクによって形成される第2ドット列群とを備え、前記第1ドット列群は、前記インク吐出部の移動方向に所定ピッチで形成された複数のドット列を有し、前記第2ドット列群は、前記第1ドット列群のドット列と同じピッチで形成された複数のドット列を有し、各補正用パターンの前記第1ドット列群と前記第2ドット列群とのずれ量は、所定差分ずつであり、前記タイミングを調整するためのパターンは、前記ずれ量の所定差分が小さい微調整用のパターンと、前記微調整用のパターンの前記所定ピッチよりも、前記ずれ量の所定差分が大きい粗調整用のパターンを備え、前記粗調整用のパターンによって決定されたずれ量に基づいて、前記微調整用のパターンを作成し、前記媒体を搬送するための搬送部をさらに備え、前記対象の1つは、前記搬送部が前記媒体を搬送する搬送量であり、前記媒体の搬送量を調整するためのパターンは、インク吐出部の搬送方向上流側の部分から吐出されるインクによって形成される第1パターンと、インク吐出部の搬送方向下流側の部分から吐出されるインクによって前記第1パターンの前記搬送方向上流側に隣接して形成される第2パターンとから構成される境界部を複数有し、複数の前記境界部は、それぞれの前記第1パターンと前記第2パターンとの間隔が異なるように形成されることを特徴とする印刷システムも実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
また、ユーザーからの指示を入力するユーザーインターフェイスを介して、ユーザーから指示が入力されたときに、媒体にインクを吐出するインク吐出部から前記媒体にインクを吐出して、互いに異なる複数の対象を調整するためのパターンをそれぞれ形成し、センサによって前記パターンをそれぞれ検出し、前記各パターンの検出結果に基づいて前記複数の対象をそれぞれ調整することを特徴とする印刷方法も実現可能である。
このようにして実現された印刷方法は、従来方法よりも優れた方法となる。
また、ユーザーインターフェイスに、ユーザーからの指示を受けさせる機能と、印刷装置に、ユーザーインターフェイスを介して、ユーザーから指示が伝えられたときに、媒体にインクを吐出するインク吐出部から前記媒体にインクを吐出して、互いに異なる複数の対象を調整するためのパターンをそれぞれ形成する機能と、センサによって前記パターンをそれぞれ検出し、前記各パターンの検出結果に基づいて前記複数の対象をそれぞれ調整する機能とを実現させるためのプログラムも実現可能である。
このようにして実現されたプログラムは、従来方法よりも優れたプログラムとなる。
===印刷システムの構成===
次に、印刷システム(コンピュータシステム)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と電気的に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置120は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のユーザーインタフェースを表示する。入力装置130は、例えばキーボード130Aやマウス130Bであり、表示装置120に表示されたユーザーインタフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等に用いられる。記録再生装置140は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置140AやCD−ROMドライブ装置140Bが用いられる。
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザーインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ110とのシステムを意味する。
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ112やアプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ112は、アプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116からの表示命令に従って、例えばユーザーインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム114は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム114のユーザーインターフェースを介して、アプリケーションプログラム114により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム114は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ116に画像データを出力する。
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。ここで、コマンドデータとは、プリンタに特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する紙上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理などを行う。なお、解像度変換処理は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンタに出力される。
<プリンタドライバの設定について>
図3は、プリンタドライバのユーザーインターフェースの説明図である。このプリンタドライバのユーザーインターフェースは、ビデオドライバ112を介して、表示装置に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷モードとして、高速印刷モードまたはファイン印刷モードを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)を選択することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度として720dpiや360dpiを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された解像度に応じて解像度変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷用紙として、普通紙や光沢紙を選択することができる。紙の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバは、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。なお、「普通紙」は、表面にコート層を有さず、基材(ベース)のみからなる紙である。一方、「光沢紙」は、基材の表面に光沢を有するコート層が設けられている紙である。光沢紙にインクが着弾すると適切にインクがコート層に浸透するので、光沢紙に写真を印刷すれば高品質な画質が得られる。
また、ユーザーは、この画面上から印刷画像の画質が低下した場合に、印刷装置に画質の改善の指示を入力することができる。その場合には、ユーザーは、マウス130Bを操作して画面上に表示されているカーソルを画面中央下部に設けられた画質改善ボタン80上に移動させる。そして、ユーザーは、カーソルが画質改善ボタン80上にある状態でマウス130Bをクリックすればよい。
プリンタドライバは、ユーザーインターフェイスを介してユーザーから指示が入力されたとき、インク吐出部からインクを吐出させ、媒体に互いに異なる複数の対象(本実施の形態においては、ノズルの目詰まり、インクの吐出タイミング、および、媒体の搬送量)を調整するための各パターンを形成させ、センサによって各パターンを検出して、複数の対象をそれぞれ調整させる。それぞれの異なる複数の対象を調整する方法については、後に詳しく説明する。
次に、このように、ユーザーインターフェイス上に画質改善ボタン80を設けることの意義について説明する。ユーザーインターフェイス上に画質改善ボタン80が設けられてないと、印刷画像の画質が低下した場合に、ユーザーは、画質の低下の原因を考えて特定する。そして、ユーザーは、ユーザーインターフェイス上からプリンタ1に画質の低下の原因を調整させるための指示を入力しなければならない。しかしながら、ユーザーが、印刷装置の機能にあまり詳しくない場合、画質低下の原因を正確に判断することができない。この場合、ユーザーは、ユーザーインターフェイス上から、印刷装置に画質の低下の原因を調整させるための指示を適切に入力することができない。ところが、本実施の形態においては、ユーザーインターフェイス上に画質改善ボタン80が設けられている。そして、印刷装置の機能にあまり詳しくないユーザーであっても、画質改善ボタン80を選択するだけで、ユーザーインターフェイスを介してプリンタドライバへ画質改善の指示を入力することができる。画質改善の指示を受け取ったプリンタドライバは、印刷装置に画質改善の処理を実行させる。印刷装置が実行する画質改善の処理については、後に詳しく説明する。
そして、プリンタドライバは、ユーザーインターフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。なお、ユーザーは、この画面上から、プリンタドライバの各種の設定を行うことができるほか、カートリッジ内のインクの残量を知ること等もできる。
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図4は、本実施形態のプリンタの全体構成のブロック図である。また、図5は、本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。また、図6は、本実施形態のプリンタの全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
本実施形態のプリンタは、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、およびコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を形成する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。検出器群50から検出結果を受けたコントローラは、その検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、印刷用紙P等)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送機構(搬送手段)として機能する。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。ただし、搬送ユニット20が搬送機構として機能するためには、必ずしもこれらの構成要素を全て必要とするわけではない。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21は、D形の断面形状をしており、円周部分の長さは搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙を搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、DCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された印刷用紙Pを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の印刷用紙Pを支持する。排紙ローラ25は、印刷が終了した印刷用紙Pをプリンタの外部に排出するローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、往復移動可能である。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動させるためのモータであり、DCモータにより構成される。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動すると、ヘッド41も移動する。そして、ヘッド41が移動中にインクを断続的に吐出することによって、ドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および、光学センサ55等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が搬送ローラ23に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。
なお、本実施形態では、検出器群50には光学センサ55が含まれる。光学センサ55は、キャリッジ31に取り付けられている。光学センサ55は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙上に形成されたパターンを検出する。この光学センサ55の構成については、後で図13を参照して詳しく説明する。
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御手段)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<ロータリー式エンコーダについて>
次に、図7を参照して、ロータリー式エンコーダについて説明する。図7は、ロータリー式エンコーダ52の検出部の説明図である。
ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものであり、スケールと検出部とを有する。
スケールは、所定の間隔毎にスリットが設けられており、搬送ローラ23側に設けられている。つまり、スケールは、搬送ローラ23が回転すると、一緒に回転する。本実施形態では、搬送ローラ23が印刷用紙Pを1/1440インチ分の搬送を行うように回転すると、搬送ローラはスケールのスリット間隔分だけ回転する。
検出部は、スケールと対向して設けられており、プリンタ本体側に固定されている。
ここで、図7を参照して、ロータリー式エンコーダ52の検出部について、さらに詳しく説明する。検出部522は、発光ダイオード522Aと、コリメータレンズ522Bと、検出処理部522Cとを有しており、検出処理部522Cは、複数(例えば、4個)のフォトダイオード522Dと、信号処理回路522Eと、2個のコンパレータ522Fa、522Fbとを備えている。
発光ダイオード522Aは、両端の抵抗を介して電圧Vccが印加されると光を発し、この光はコリメータレンズに入射される。コリメータレンズ522Bは、発光ダイオード522Aから発せられた光を平行光とし、スケール521に平行光を照射する。スケールに設けられたスリットを通過した平行光は、固定スリット(不図示)を通過して、各フォトダイオード522Dに入射する。フォトダイオード522Dは、入射した光を電気信号に変換する。各フォトダイオードから出力される電気信号は、コンパレータ522Fa、522Fbにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。そして、コンパレータ522Fa、522Fbから出力されるパルスENC−AおよびパルスENC−Bが、ロータリー式エンコーダ52の出力となる。
図8Aは、搬送モータ22が正転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。図8Bは、搬送モータ22が反転しているときの出力信号の波形のタイミングチャートである。
図8Aおよび図8Bに示す通り、搬送モータ22の正転時および反転時のいずれの場合であっても、パルスENC−AとパルスENC−Bとは、位相が90度ずれている。搬送モータ22が正転しているとき、すなわち、印刷用紙Pが搬送方向に搬送されているときは、図8Aに示す通り、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が進んでいる。一方、搬送モータ22が反転しているとき、すなわち、印刷用紙Pが搬送方向とは逆方向に搬送されているときは、図8Bに示す通り、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れている。各パルスの1周期Tは、搬送ローラ23がスケール521のスリットの間隔(例えば、1/1440インチ(1インチ=2.54cm))分だけ回転する時間に等しい。
===印刷動作について===
図9は、印刷時の処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する(S101)。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・ドット形成処理・搬送処理等を行う。
まず、コントローラ60は、給紙処理を行う(S102)。給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラ23まで送る。コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。
次に、コントローラ60は、ドット形成処理を行う(S103)。ドット形成処理とは、移動するヘッドからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動させる。そして、コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッドからインクを吐出させる。ヘッドから吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。
次に、コントローラ60は、搬送処理を行う(S104)。搬送処理とは、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラ60は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
搬送処理については、後で図10を参照して詳しく説明する。
次に、コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う(S105)。印刷中の紙に印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。印刷中の紙に印刷するためのデータがなくなれば、コントローラ60は、その紙を排紙する。コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、印刷した紙を外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う(S106)。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙処理を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
<印刷用紙の搬送について>
図10は、印刷用紙の搬送の流れを説明するためのフロー図である。以下に説明されるプリンタ1(または搬送ユニット20)の各種の動作は、コントローラ60のメモリ63内に格納されたプログラムによって実現される。また、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
まず、目標搬送量が設定される(S201)。目標搬送量とは、搬送ユニット20が目標とする移動量で印刷用紙Pを搬送するため、搬送ユニット20の駆動量を決める値である。この目標搬送量は、コンピュータ110から受信した印刷データの中に含まれている目標搬送量に関する情報に基づいて、決定される。そして、目標搬送量は、カウンタの値を設定することによって、設定される。本実施形態では、目標搬送量をXとしているので、カウンタの値をXに設定する。
次に、搬送モータ22が駆動する(S202)。搬送モータ22が駆動すると、歯車を介して、搬送ローラ23が回転する。そして、搬送ローラ23が回転すると、搬送ローラ23に設けられたロータリー式エンコーダも回転する。
次に、ロータリー式エンコーダのパルス信号のエッジを検出する(S203)。すなわち、まず、パルスENC−AまたはENC−Bについて、立ち上がりエッジまたは立ち下りエッジを検出する。本実施形態では、1個のエッジを検出することは、搬送ローラが1/1440インチで印刷用紙Pを搬送することを意味する。
ロータリー式エンコーダのパルス信号のエッジを検出したら、カウンタの値を減算する(S204)。つまり、カウンタの値がXのときに、パルス信号のエッジを検出したら、カウンタの値をX−1に設定する。
そして、カウンタの値がゼロになるまで、S202〜S204の動作を繰り返す(S205)。最初にカウンタに設定された値のパルス数を検出するまで、搬送モータ22を駆動する。これにより、搬送ユニット20は、最初にカウンタに設定された値に応じた搬送量で、印刷用紙Pを搬送方向に搬送できる。
例えば、印刷用紙Pを90/1440インチだけ搬送するとき、目標搬送量を設定するため、カウンタの値を90に設定する。そして、ロータリー式エンコーダのパルス信号の立ち上りエッジまたは立ち下りを検出するたびに、カウンタの値を減算する。そして、カウンタの値がゼロになったとき、搬送ユニット20は、搬送動作を終了する。90個のパルス信号を検出することは、搬送ローラが90/1440インチで印刷用紙Pを搬送することを意味する。したがって、目標搬送量の設定としてカウンタの値を90に設定すれば、搬送ユニット20は、90/1440インチで印刷用紙Pを搬送することになるのである。
なお、上記の説明では、パルスENC−AまたはENC−Bの立ち上がりエッジまたは立ち下りエッジを検出していたが、パルスENC−AとパルスENC−Bの両方のエッジを検出しても良い。パルスENC−AとパルスENC−Bの各々の周期はスケールのスリット間隔に等しく、かつ、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度ずれているので、各パルスの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのいずれかを検出することは、搬送ローラが1/5760インチで印刷用紙を搬送することを意味する。この場合、カウンタの値を90に設定すれば、搬送ユニット20は、90/5760インチで印刷用紙Pを搬送することになる。以下に説明される本実施形態では、カウンタの値が1であれば、搬送ユニット20は、1/5769インチで印刷用紙を搬送する。
上記の説明は、1回の搬送動作に関するものである。複数回の搬送動作を間欠的に行う場合、それぞれの搬送動作が終わるたびに目標搬送量が設定(カウンタが設定)され、設定された目標搬送量に従って印刷用紙Pを搬送する。
ところで、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には、搬送ローラ23の回転量を検出するのであって、印刷用紙の搬送量を検出していない。しかし、搬送ローラ23が回転して印刷用紙Pを搬送するとき、搬送ローラ23と印刷用紙Pとの間の滑りによって、搬送誤差が生じている。このように、搬送ローラ23と印刷用紙Pとの間で滑りが生じている場合、印刷用紙Pを目標搬送量で搬送するためには、目標搬送量よりも大きい搬送量で搬送ローラ23を駆動する必要がある。そこで、本実施形態のプリンタは、搬送誤差を打ち消して印刷用紙Pを最適な搬送量で搬送するため、目標搬送量を補正し、補正された目標搬送量に応じた値にカウンタを設定することが可能である。
<ノズルについて>
図11は、キャリッジの下面の構成の説明図である。キャリッジの下面には、ヘッド41が設けられている。
ヘッド41の下面には、イエローインクノズル群Yと、マゼンタインクノズル群Mと、シアンインクノズル群Cと、マットブラックインクノズル群MBkと、フォトブラックインクノズル群PBkと、レッドインクノズル群Rと、バイオレットインクノズル群Vが、形成されている。各ノズル群は、各インクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、印刷用紙Pに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720)である場合、k=4である。
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯180)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向の下流側に位置している。各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子が設けられている。
<ヘッドの駆動について>
次に、ヘッド41の駆動について図12を参照して説明する。図12は、ヘッドユニット40(図4)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
図12において、駆動信号発生部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。
マスク回路204は、ヘッド41のノズル♯1〜♯180をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子PEに対応して設けられている。なお、図12において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズル♯1〜♯180に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分のキャリッジ移動期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。
駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングをキャリッジ移動の往路に対して復路にて前後にずらして、往路と復路とのキャリッジ移動方向のドット形成位置の補正を行う。すなわち、この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路とのキャリッジ移動方向のドット形成位置のずれが補正される。この補正をすべく駆動信号補正部230に入力されるタイミング補正値は、後述のテストパターンによって決定される。
なお、本実施の形態において、図12に示したヘッドユニット40(図4)内に設けられた駆動発生信号部は、ノズル列毎に設けられている。
===光学センサの構成===
<光学センサについて>
図13は、光学センサ55の構成の説明図である。図中の左右方向がキャリッジ移動方向であり、図中の紙面垂直方向が搬送方向である。
この光学センサ55は、印刷用紙上に形成されたパターンを検出するためのセンサである。光学センサ55を利用したパターンの検出については、後述する。
光学センサ55は、発光部551と、第1受光部552および第2受光部553とを有する反射型光学センサである。発光部551は、例えば発光ダイオードを有し、光を印刷用紙Pに照射する。第1受光部552および第2受光部553は、例えばフォトトランジスタを有し、発光部から印刷用紙Pに照射された光の反射光を検出する。
光学センサ55の発光部551は、印刷用紙Pに対して斜めに光を照射する。また、光学センサ55の第1受光部552は、印刷用紙Pに対して垂直な位置に設けられている。そのため、第1受光部552は、発光部から印刷用紙Pに照射された光の拡散反射光を受光する。一方、光学センサ55の第2受光部553は、発光部551と対称の位置に設けられ、印刷用紙Pから斜めに放射される光を受光する。そのため、第2受光部553は、発光部551から印刷用紙Pに照射された光の正反射光を受光する。
光学センサ55の検出スポット(発光部551からの光が照射される印刷用紙上の領域)の位置に濃度の濃いパターンがある場合、第1受光部552が受光する光量が少なくなる。一方、光学センサ55の検出スポットの位置に濃度の薄いパターンがある場合(パターンが形成されていない場合も含む)、第1受光部552が受光する光量が多くなる。つまり、第1受光部552が受光する光量はパターンの濃度に応じて異なるので、第1受光部552の出力する信号に基づいて、コントローラは、検出スポット内のパターンの濃度(またはパターンの有無)を検出することができる。
また、光学センサ55の検出スポットの位置に光沢性の低いものがある場合、第2受光部553が受光する光量が少なくなる。一方、光学センサ55の検出スポットの位置に光沢性の高いものがある場合、第2受光部553が受光する光量が多くなる。つまり、第2受光部553が受光する光量は光沢性の高低に応じて異なるので、第2受光部553の出力する信号に基づいて、コントローラは、検出スポット内の光沢性の高低を検出することができる。
===ユーザーが画質改善ボタン80を選択した後の処理について===
次に、ユーザーが画質改善ボタン80を選択した後に、プリンタ1によって実行される処理について、図14を参照して説明する。図14は、ユーザーが画質改善ボタン80を選択した後に、プリンタ1によって実行される処理について説明するための説明図である。
ユーザーは、印刷画像の画質が低下した場合に、プリンタ1に画質の改善の指示を入力することができる。その場合には、ユーザーは、マウス130Bを操作して表示装置120に、図3に示されるようなユーザーインターフェイス画面を表示させる。そして、ユーザーは、マウス130Bを操作して画面上に表示されているカーソルを画面中央部下部に設けられた画質改善ボタン80上に移動させる。ユーザーが、カーソルが画質改善ボタン80上にある状態でマウス130Bをクリックすれば、プリンタ1に画質の改善の指示が入力される(ステップS301)。プリンタ1に画質の改善の指示が入力されるまで処理は待機する。
プリンタ1に画質の改善の指示が入力された場合、ステップS302の処理に進む。
ステップS302において、プリンタ1は、各色の色インクがノズルから適正に吐出されているか否かの吐出検査を実行する。ステップS302において実行される吐出検査については、後で、図15乃至図21を参照して詳しく説明する。
ステップS302において、吐出検査処理が実行される理由について説明する。インクの固着などにより、ノズルに目詰まりが発生すると、ノズルからインクが吐出されないことがある。そして、インクが吐出できないノズルがあると、画質の低下の原因となる。なぜなら、インクを吐出することができないノズルがあると、本来、そのノズルから吐出されるはずのインクが、印刷用紙に向けて吐出されない。この場合、印刷用紙に向けて吐出されるはずのインクの総量が、本来吐出されるべきインクの総量より減ってしまう。したがって、インクを吐出することができないノズルと対向する部分の印刷用紙は、薄く印刷されてしまう。したがって、本実施の形態においては、ノズルからインクが適正に吐出されるか否かの吐出検査を実行する必要がある。
ステップS302において、吐出検査が実行された後、ステップS303の処理に進む。
ステップS303において、プリンタ1は、キャリッジ移動の往路におけるキャリッジ移動方向のドット形成位置と、復路におけるキャリッジ移動方向のドット形成位置とのずれを補正するドット形成位置補正処理を実行する。ステップS303において実行されるドット形成位置補正処理については、後で、図22乃至図24を参照して詳しく説明する。
ステップS303において、ドット形成位置補正処理が実行される理由について説明する。プリンタが、印刷用紙に印刷を実行する場合、複数のノズルを有するヘッドが往復移動しながらノズルから印刷用紙に向けてインクを吐出する。本実施の形態のプリンタにおいてはヘッドが往復移動するときに、往復移動の往路、および、復路のそれぞれにおいて、ノズルから印刷用紙に向けてインクが吐出される。したがって、ヘッドの往復移動の往路、および、復路のそれぞれにおいて、ノズルから吐出されるインクによって印刷用紙に形成されるドット形成位置にずれが生じる。なぜなら、ヘッドが右向きに移動する場合、ノズルはヘッドに設けられているので、ノズルから吐出されるインクは、右向きの速度を有することになる。したがって、この場合、ノズルから吐出されるインクは、印刷用紙に対してノズルの直下ではなく、若干右方向にずれて着弾する。一方、ヘッドが左向きに移動する場合、ノズルから吐出されるインクは、左向きの速度を有することになる。したがって、この場合、ノズルから吐出されるインクは、印刷用紙に対してノズルの直下ではなく、若干左方向にずれて着弾する。このように、ヘッドが往復移動しながらノズルからインクが吐出されるので、ノズルから吐出されるインクによって印刷用紙に形成されるドット形成位置にはずれが生じる。
このように、印刷用紙に形成されるドット形成位置にずれが生じると、画質の低下の原因となる。なぜなら、上述したように、ヘッドの移動によって、印刷用紙に形成されるドット形成位置にずれが生じるので、印刷用紙に形成された画像は、ヘッドの移動方向に若干歪んだ画像となるからである。したがって、本実施の形態においては、このようなドット形成位置のずれを補正する必要がある。
ステップS303において、ドット形成位置補正処理が実行された後、ステップS304の処理に進む。
ステップS304において、プリンタ1は、印刷時における印刷用紙Pの搬送量を決定する媒体搬送量決定処理を実行する。ステップS304において実行される媒体搬送量決定処理については、後で、図25乃至図28A、および、図28Bを参照して詳しく説明する。
ステップS304において、媒体搬送量決定処理が実行される理由について説明する。プリンタが、印刷用紙に印刷を実行する場合、複数のノズルを有するヘッドが移動し、ノズルからインクが吐出され、印刷用紙上にヘッド幅の帯状のパターン(以下、バンドパターンと表現する)が形成される。次に、搬送機構がヘッドの幅に相当する搬送量で印刷用紙を搬送方向に搬送する。その後、プリンタは、同様の吐出動作と搬送動作とを繰り返し、印刷用紙上に、搬送方向に順次バンドパターンを繋げて画像を形成する。ところが、搬送動作を実行する搬送機構は、モータや歯車などの構成要素を用いて印刷用紙を搬送するため、搬送量に誤差が発生することがある。搬送誤差のため、目標とする搬送量(目標搬送量)よりも多い搬送量で搬送機構が印刷用紙を搬送すると、バンドパターン間に隙間が生じ、印刷画像に部分的に薄い部分(「明バンディング」・「白バンディング」・「淡バンディング」とも呼ばれる)が生じる。また、搬送誤差のため、目標搬送量よりも少ない搬送量で搬送機構が印刷用紙を搬送すると、バンドパターン間に重なりが生じ、印刷画像に部分的に濃い部分(「暗バンディング」・「黒バンディング」・「濃バンディング」とも呼ばれる)が生じる。このような、バンディングの発生は、画質の低下の原因となる。したがって、本実施の形態においては、このような搬送誤差の影響を抑えるため、搬送動作の際に目標搬送量を補正して媒体搬送量が決定される。
ステップS304において、媒体搬送量決定処理が実行された後、画質を改善するための一連の処理は、終了する。
このように、ユーザーは、印刷画像の画質が低下した場合に、プリンタ1に画質の改善の指示を入力するだけで、プリンタ1は、画質を改善するための一連の処理を実行する。したがって、プリンタの機能にあまり詳しくないユーザーであっても、適切に画質の改善を行うことができるようになる。
次に、具体例について、画質の低下が、印刷画像に部分的に薄い部分が生じた場合を例にとって説明する。このような場合、プリンタの機能にあまり詳しくないユーザーは、印刷画像に部分的に薄い部分が生じた原因を特定することができない。すなわち、ユーザーは、印刷画像に部分的に薄い部分が生じた理由がノズルに目詰まりが発生したことに起因するのか、目標搬送量よりも多い搬送量で搬送機構が印刷用紙を搬送し、バンドパターン間に隙間が生じたことに起因するのか特定することができない。
しかしながら、本実施の形態においては、ユーザーが画質低下の原因を特定できなくとも、画質改善ボタン80を選択するのみで、プリンタに画質を改善する処理を実行させることができる。
次に、ステップS302において実行される吐出検査について、図15乃至図21A、図21B、および、図21Cを参照して順次説明する。
===吐出検査手順===
プリンタ1は、前述した各色の色インクがノズルから適正に吐出されているか否かを検査することができる。この吐出検査にあっては、実際にノズルから色インクを吐出して紙上に所定の検査用パターンを形成して行う。そして、検査の結果、ノズルに目詰まり等の吐出不良が発見された場合には、ノズルをクリーニングする処理を実行する。
図15は、吐出検査手順の一例を示したものである。
まず、検査用パターンを印刷する紙の種類を判断する。本実施形態では、紙の種類が普通紙なのか光沢紙なのかを判断する(S401)。検査用パターンを印刷する紙は、検査後に印刷される紙の種類と等しいことが望ましい。なお、紙の種類の判別方法は、後で詳しく説明する。
次に、媒体に向けて色インクを吐出して所定の検査用パターンを形成する(S402)。なお、ここで形成される検査用パターンについては、後で詳しく説明する。
次に、形成された検査用パターンを検査する(S403)。この検査においては、キャリッジに搭載された光学センサ55を用いて行われる。なお、光学センサ55を用いた検査用パターンの検査については、後で詳しく説明する。
このようにしてチェックを行った後、光学センサ55からの検出結果に基づき色インクの有無を判定する(S404)。ここで、吐出不良があると判定された場合には、ノズルクリーニングを実行する(S405)。このノズルクリーニングについて説明する。ノズルクリーニングの一例としては、ノズルが印刷用紙と対向しない位置へ吐出ヘッドを移動させた状態で、ノズルからインクを吐出させて、ノズルの目詰まりを除去する方法(フラッシング処理)があげられる。また、ノズル内部に負圧をかけることにより、ノズルの目詰まりを吸引する方法等もあげられる。一方、吐出不良が発見されなかった場合には、吐出検査処理を終了する。
<紙の種類の判別方法>
紙の種類の判別方法として、以下の2種類が考えられる。但し、紙の種類の判別方法は、これらに限られるものではなく、他の方法であっても良い。要するに、プリンタが、検査用パターンを紙に印刷するときに、その紙の種類に関する情報を取得していればよいのである。
<外部装置から紙種情報を取得する方法について>
前述のプリンタドライバの設定において説明したとおり、ユーザーは、プリンタドライバの設定画面上から、印刷に用いられる印刷用紙を選択することができる。そして、プリンタドライバの設定の際に、ユーザーが普通紙を選択していれば、通常、プリンタが給紙する紙の種類は、普通紙である。また、プリンタドライバの設定の際に、ユーザーが光沢紙を選択していれば、通常、プリンタが給紙する紙の種類は、光沢紙である。そして、プリンタドライバで設定された紙の種類に関する情報(紙種情報)は、コンピュータからプリンタへ印刷データが送信される際に、印刷データと共に送信される。プリンタは、コンピュータから送信された情報により、紙種情報を取得することができる。
<光学センサが紙種を判別する方法について>
紙の種類が異なれば、光の反射率が異なる。例えば、普通紙と光沢紙とでは、同じ光量の光が表面に入射しても、反射光の光量が異なる。そのため、プリンタは、光学センサ55の位置まで紙を搬送し、光学センサ55を用いて、紙に反射された反射光の光量に基づいて、紙の種類を判別することができる。この場合、プリンタは、光学センサ55の出力結果と紙の種類との関係を示す参照テーブルを予めメモリに記憶し、光学センサ55の出力結果をキーとして参照テーブルを参照し、紙の種類を判別する。
<色インクの検査用パターンの形成方法>
<検査用パターンについて>
図16は、色インクを吐出するノズルの吐出検査に用いる検査用パターン群70の全体概念図である。図17Aは、検査用パターン群70を構成する検査用パターン71の説明図である。図17Bは、色インクを吐出しないノズルが存在する場合の検査用パターンの一例である。図18は、色インクの検査用パターン71の構成の説明図である。図19は、検査用パターン71を構成するブロックパターンBLの説明図である。
検査用パターン群70は、複数の検査用パターン71から構成される。この複数の検査用パターン71は、キャリッジ移動方向に沿って隣接して形成されている。各検査用パターンは、色インク毎に区分されて構成されている。例えば、図16に「Y」と記載されている検査用パターン71は、イエローインクのみによって構成されている。すなわち、同図において、「Y」と記載されている検査用パターン71は、イエローインクを吐出するノズルによって形成されている。そして、後述するように、この検査用パターン71は、イエローインクを吐出するノズルの吐出検査に用いられる。他の色の検査用パターン71も同様に構成されている。
一つの検査用パターン71は、検査対象領域72と、非検査対象領域73とから構成される。検査対象領域72は、キャリッジ移動方向に9個のブロックパターンBL、搬送方向に20個のブロックパターンBLが配列され、計180個のブロックパターンBLから構成される。後述するとおり、一つのブロックパターンBLは、一つのノズルに対応している。そのため、検査対象領域72の180個のブロックパターンBLは、180個のノズルを検査するためのパターンとなる。非検査対象領域73は、検査対象領域72を囲むように形成される。この非検査対象領域73は、搬送方向上部検査マージン731と、搬送方向下部検査マージン732と、キャリッジ移動方向左部検査マージン733と、キャリッジ移動方向右部検査マージン734とから構成される。各検査マージンは、検査対象領域72内のブロックパターンBLを光学センサ55が検出する際の誤検出を防止するために設けられている。すなわち、検査対象領域72の周りに非検査対象領域がない場合、検査対象領域の内側に形成され他のブロックパターンによって囲まれているブロックパターンと、検査対象領域の外縁に形成され他のブロックパターンに囲まれていないブロックパターンとでは、検出結果に差が生じてしまうため、検出対象領域72の外側にもブロックパターンを形成しているのである。
各ブロックパターンBLは、キャリッジ移動方向に沿って1/720インチ間隔にて56ドット、搬送方向に沿って1/360インチ間隔にて18ドット、から構成される長方形のパターンである。同じブロックパターンBL内のドットは、同じノズルから吐出されたインク滴によって形成される。例えば、図18において「♯1」と記載されているブロックパターンBLは、ノズル♯1から吐出されたインク滴のみによって形成される。これにより、各ブロックパターンBLは、そのブロックパターンBLを形成するノズルと対応づけられる。仮に、インク不吐出ノズル(インクが吐出されないノズル)が存在した場合、図17Bに示すように、検査用パターン71に長方形の空白のパターンが発生する。つまり、空白のパターンの有無を検出することにより、インク不吐出ノズルが存在するか否かを検査することができる。また、空白のパターンの位置を検出できれば、インク不吐出ノズルを特定することもできる。
<検査用パターンの形成方法について>
図20は、検査用パターン71の1行目の11個のブロックパターンの形成方法の説明図である。同図は、1回のドット形成処理(S103:図9参照)にて形成されるドット列(図19のキャリッジ移動方向に並ぶ56個のドット列)を示している。また、同図の左側の番号はノズル番号を示しており、ノズル番号の位置は、ブロックパターンBLに対する各ノズルの位置を示している。
まず、検査対象領域72の搬送方向下流側の先端位置がノズル♯9と対向するように、紙が給紙される。その後、プリンタは1回目のドット形成処理を実行し、キャリッジ31が所定の位置に達した位置にてノズル♯9からインクを間欠的に吐出する。これにより、ノズル♯9に対応するブロックパターンの下流側位置にドット列が形成される。
次に、プリンタは、ノズルピッチの半分(1/360インチ)だけ紙を搬送ユニットにより搬送する。そして、プリンタは2回目のドット形成処理を実行し、キャリッジが所定の位置に達した位置にてノズル♯9からインクを間欠的に吐出する。これにより、1回目のドット形成処理により形成されたドット列の搬送方向上流側に隣接して、ドット列が形成される。
次に、プリンタは、ノズルピッチの半分だけ紙を搬送ユニットにより搬送する。そして、プリンタは、3回目のドット形成処理を実行する。3回目のドット形成処理では、プリンタは、ノズル♯9とノズル♯8からインクを間欠的に吐出する。2回目のドット形成処理により形成されたドット列の搬送方向上流側に隣接して、ノズル♯9から吐出されたインクによって、ドット列が形成される。また、ノズル♯8から吐出されたインクによって、ノズル♯8に対応するブロックパターンBLの下流側位置にドット列が形成される。
次に、プリンタは、ノズルピッチの半分だけ紙を搬送ユニットにより搬送する。そして、プリンタは、4回目のドット形成処理を実行する。4回目のドット形成処理でも、プリンタは、ノズル♯9とノズル♯8からインクを間欠的に吐出し、3回目のドット形成処理により形成されたドット列の搬送方向上流側に隣接して、ドット列が形成される。このように、ドット形成処理と搬送処理とを実行してドット列を2回形成するとともに、2回のドット形成処理毎にインクを吐出させるノズルを搬送方向上流側から1つずつ増やしていく。
18回目のドット形成処理にて、ノズル♯9に対応するブロックパターンが完成する。このため、19回目のドット形成処理では、ノズル♯9からのインクの吐出を停止する。その後、2回のドット形成処理毎に搬送方向上流側に位置するノズルから順次1つずつインクの吐出を停止させていく。
そして、34回目のドット形成処理にて、検査対象領域72の1行目の11個のブロックパターンが完成する。
ここまでの説明は、検査対象領域72の最も搬送方向下流側に位置する1行目の11個のブロックパターンの形成方法について説明したが、1行目の11個のブロックパターンが形成されている間に、他の行の11個のブロックパターンも同時に形成されている。すなわち、ノズル♯1〜ノズル♯180までの180個のノズルを、連続する9個のノズルを一組とする20組のノズルグループとし、各ノズルグループ毎に11個のブロックパターンが同様の手順にて形成されている。例えば、ノズル♯9によりドット列が形成されているとき、ノズル♯9N(Nは整数)から同じタイミングにてインクが吐出されている。
隣接するブロックパターン間の間隔は、各ブロックパターンを構成するドット列のドット間隔と等しい。そのため、不吐出ノズルがなければ、検査用パターン71内の濃度は均一になり、検査用パターン71から個々のブロックパターンを肉眼で認識することは困難である。
<色インクの検査用パターンの検査について>
図21Aは、色インクの検査用パターン71の検査の説明図である。図21Bは、不吐出ノズルがない場合の光学センサ55の検査結果の説明図である。図21Cは、不吐出ノズルがある場合の光学センサ55の検査結果の説明図である。図中の丸印SPは、光学センサ55の検出スポットを示している。
色インクの検査用パターン71の検査では、光学センサ55の第1受光部552の出力に基づいて、検査が行われる。すなわち、色インクの検査用パターンの検査では、拡散反射光の光量に基づいて、検査が行われる。
光学センサ55の第1受光部552は、受光した光量が多いほど高い電圧を出力し、受光した光量が少ないと低い電圧を出力する。
光学センサ55の第1受光部552を用いて拡散反射光にて検査が行われるため、検出スポットSP内に色インクにより形成されたパターンが存在する場合、第1受光部552が受光する光量が減少し、光学センサ55の出力電圧が低くなる。一方、検出スポットSP内に色インクにより形成されたパターンがない場合、第1受光部552が受光する光量が増加し、光学センサ55の出力電圧が高くなる。
コントローラが検査用パターンを検査するとき、検出スポットSPは、キャリッジ移動方向に移動して、検査用パターン71を横切る。検出スポットSPの軌跡に空白のパターンがなければ、検出スポットSPが検査用パターン71を横切る間、光学センサ55は低い電圧を出力する。つまり、不吐出ノズルが存在しなければ、検出スポットSPが検査用パターン71を横切る間、光学センサ55は低い電圧を出力する(図21B参照)。
一方、検出スポットSPの軌跡に空白のパターンがあれば、空白のパターン上に検出スポットSPが位置するときに、光学センサ55は、比較的高い電圧を出力する。つまり、不吐出ノズルが存在すれば、不吐出ノズルに対応するブロックパターンBL上に検出スポットが位置するときに、光学センサ55は、比較的高い電圧を出力する(図21C)。
したがって、コントローラは、所定の閾値V1を予め設定し、検査用パターン71の検査中(検出スポットSPが検査用パターン71を横切る間)に光学センサ55の出力電圧が閾値V1を越えるか否かを検出できれば、不吐出ノズルの存在を検出することができる。なお、閾値V1に関する情報は、予めメモリに記憶されている。また、光学センサ55の出力電圧が閾値V1を何回越えたかをカウントすれば、不吐出ノズルが何個存在するかを検出することができる。
また、コントローラは、光学センサ55の出力電圧がV1を越えたときの検出スポットSPの位置に基づいて、不吐出ノズルを特定することができる。なお、検出スポットSPのキャリッジ移動方向の位置は、リニア式エンコーダ51の出力に基づいて検出できる。また、検出スポットSPの搬送方向の位置は、ロータリー式エンコーダ52の出力に基づいて検出できる。例えば、コントローラは、図21Cのような光学センサ55の検出結果に基づいて、不吐出ノズルがノズル♯112であることを特定することができる。なお、この場合、各ブロックパターンBLの位置とノズル番号とを関連付けた情報が、メモリに予め記憶されている。
次に、ステップS303において実行されるドット形成位置補正処理について、図22乃至図24を参照して順次説明する。
==キャリッジ移動方向のドット形成位置のずれを補正するためのテストパターン==
プリンタ1は、キャリッジ移動の往路におけるキャリッジ移動方向のドット形成位置と、復路におけるキャリッジ移動方向のドット形成位置とのずれを補正する目的で、ノズルからインクを吐出して印刷用紙にテストパターンTPを印刷する。
このテストパターンTPの概念図を図22に示す。なお、このようなテストパターンTPは、ノズル列毎に印刷され、つまり、前記ドット形成位置のずれ補正は、ノズル列毎になされる。ここでは、ブラックノズル列のドット形成位置のずれを補正する場合を例に説明するが、他の色のノズル列についても同様である。
図22に示すように、テストパターンTPは、キャリッジ移動方向に沿って、例えば15ヶの補正用パターンCPを備えている。なお、各補正用パターンCPの上に印刷された番号#1〜#7,#−1〜#−7は、それぞれに、その補正用パターンCPに対応付けられた補正量を示しており、また、同図中では、その補正量を前記番号の下に対応させて示している。
補正量は、各補正用パターンCPに対して異なる値が対応付けられており、当該補正量に応じて、各補正用パターンCPに係る後記第1ドット列群G1および後記第2ドット列群G2のキャリッジ移動方向における相対位置が、所定差分ずつずらされている。例えば、テストパターンTPの中央には、補正量を0inchにした補正用パターンCP(#0)が印刷されており、そこからキャリッジ移動方向に沿って右側または左側に離れるに従って、各補正用パターンCP(#1)〜CP(#7),CP(#−1)〜CP(#−7)の補正量が例えば1/1440inchの所定差分ずつ変化するように、各補正用パターンCPは印刷されている。なお、前記補正用パターンCP(#0)の右側にある補正用パターンCP(#1)〜CP(#7)と左側にある補正用パターンCP(#−1)〜CP(#−7)とでは、互いに逆向きに補正量を変化させている。
そして、これら補正用パターンCPの中から、前記第1ドット列群G1と第2ドット列群G2との互いの相対位置が最も揃った補正用パターンCPが選択され、当該選択された補正用パターンCPに対応付けられた補正量に基づき、これに相当するタイミング補正値が双方向印刷時の補正値として前記駆動信号補正部230に入力される。なお、図示例にあっては、この「最も揃った補正用パターン」は補正用パターンCP(#0)であり、この場合には、0inchに相当するタイミング補正値が前記駆動信号補正部230に入力される。
図22中に一部拡大して示すように、各補正用パターンCPは、前記キャリッジ移動方向に、例えば1/180inchの所定ピッチP1で形成された5本のドット列R1を有する第1ドット列群G1と、この第1ドット列群G1のドット列R1と同じピッチで形成された複数のドット列R2を有する第2ドット列群G2とを有し、第2ドット列群G2は、第1ドット列群G1の搬送方向の上流側に配置されている。なお、各ドット列Rは、搬送方向に1/180inchのノズルピッチk・Dで形成された複数のドットから構成されており、これら各ドットは、前記ブラックノズル列の各ノズルからインクを同時に吐出することによって形成される。
ここで、同図中に一部拡大して示すように、この第1ドット列群G1における搬送方向の上流側部分と、第2ドット列群G2における搬送方向の下流側部分とは、搬送方向に関して互いに重なって配置されており、これによって重なり部分Lapが形成されている。
そして、この重なり部分Lapにおける第1ドット列群G1のドット列R1と第2ドット列群G2のドット列R2とのずれ量の大きさを参照することによって、前記15ヶの補正用パターンCPの中から、前記「最も揃った補正用パターンCP」が一つ選択される。
この重なり部分Lapにおけるドット列R1,R2同士のずれ量の大きさの評価は、前記光学センサ55にて前記重なり部分Lapの濃度を測定することによってなされる。
すなわち、光学センサ55にて測定される濃度が最も薄い補正用パターンCPを選択することによって、前記「最も揃った補正用パターンCP」を特定する。
この重なり部分Lapの濃度によって、前記ずれ量の大きさを評価できる理由は、次の通りである。例えば、前記ずれ量が最も大きい補正用パターンCP(#4)では、ドット列R1,R2同士が、互いに相手方のドット列Rの中間に位置している。このため、光学センサ55のスポット中に占める、ドット列R1,R2同士の間の空白部分の面積の割合は小さく、もって、前記スポットの反射光の強さも弱くなって、前記重なり部分Lapの濃度は濃く測定される。一方、前記ずれ量が最も小さい補正用パターンCP(#0)では、図22に示すようにドット列R1,R2同士の位置がキャリッジ移動方向に関して揃っている。このため、光学センサ55のスポット中に占める、ドット列R1,R2同士の間に存在する空白部分の面積の割合は大きく、もって、前記スポットの反射光の強さも強くなって、前記重なり部分Lapの濃度は薄く測定される。
このようなテストパターンTPの印刷は、前記キャリッジ移動の往路において、ブラックノズル列からインクが吐出されて第1ドット列群G1が形成され、次に、搬送方向に印刷用紙を紙送りした後で、復路において同じブラックノズル列からインクが吐出されて第2ドット列群G2が形成されることによって行われる。なお、復路において第2ドット列群G2を形成する際には、各補正用パターンCPに対応付けられた補正量に基づいて、往路に対するインクの吐出タイミングを変化させており、これによって、各補正用パターンCPは、第1ドット列群G1に対する第2ドット列群G2のキャリッジ移動方向の相対位置が、前記所定差分ずつずらされて印刷される。
===テストパターンを用いた補正量の決定手順===
このようなテストパターンTPを用いて前記補正量を決定する手順を、図23に示すフロー図、および、図24に示す参考例のテストパターンの概念図を参照しつつ説明する。
図23に示すように、前記補正量の決定は、粗調整および微調整の2段階で行われる。その理由は、所定差分を大きく振って粗く補正量を絞り込み、その後で所定差分を小さくして精細に絞り込む方が、短時間で高精度に補正量を追い込めるからである。このため、図24に示すように、テストパターンTPとしては、粗調整用と微調整用の二種類が用いられる。
詳細に手順を説明すると、まず、1段階目の粗調整では、プリンタ1は、図24に示されているように、ノズルの吐出検査に用いる検査用パターン群70の下部に前記補正量の所定差分を大きく設定して粗調整用テストパターンTPrを印刷する(S501)。そして、プリンタ1は、この粗調整用テストパターンTPrの複数の補正用パターンCPを比較して、前記「最も揃った補正用パターンCP」を選択し、その補正量を仮の補正量として決定する(S502)。図示例では、1/720inchの所定差分ずつ補正量を変化させて15ヶの補正用パターンCPが形成されている。そして、その中で、「最も揃った補正用パターンCP」として、補正用パターンCP(#0)が選択され、これによって仮の補正量は0inchとなる。
次に、2段階目の微調整では、プリンタ1は、粗調整用テストパターンTPrの下部に前記補正量の所定差分を小さく設定して微調整用テストパターンTPdを印刷する(S503)。なお、ここで、このテストパターンTPdに係る複数の補正量は、これら補正量の中央値が、前記粗調整で求められた仮の補正量となるように設定される。そして、プリンタ1は、この微調整用テストパターンTPdの複数の補正用パターンCPを比較して、前記「最も揃った補正用パターンCP」を選択し、その補正量を、最終の補正量として決定する(S504)。図示例では、1/1440inchの所定差分ずつ補正量を変化させて15ヶの補正用パターンCPが形成されている。そして、その中で、「最も揃った補正用パターンCP」として補正用パターンCP(#0)が選択され、これによって最終の補正量は0inchとなる。
そして、プリンタ1は、この最終の補正量に基づいて、これに相当するタイミング補正値を前記駆動信号補正部230に入力する。
次に、ステップS304において実行される媒体搬送量決定処理について、図25乃至図28A、および、図28Bを参照して順次説明する。
===媒体搬送量決定処理について===
図25は、媒体搬送量の決定手順を説明するためのフロー図である。以下に説明されるプリンタの各種の動作は、プリンタ内のメモリ63に格納されたプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
プリンタは、搬送量補正用のテストパターンを印刷する(S601)。指示信号を受信したプリンタは、メモリ63内にあるテストパターンのうち、搬送量補正用のテストパターンに関する情報を検索する。そして、プリンタは、搬送量補正用のテストパターンに関する情報に従って、印刷用紙Pにテストパターンを印刷する。なお、搬送量補正用のテストパターンの印刷方法については、後で図26を参照して詳しく説明する。
搬送量補正用のテストパターンの印刷後、光学センサ55の搬送量補正用のテストパターンの検出結果に基づき、媒体搬送量を決定する(S602)。光学センサ55の搬送量補正用のテストパターンの検出方法については、後で図28を参照して詳しく説明する。ステップS602において、媒体搬送量が決定した後、プリンタ1は、画質を改善するための一連の処理を終了する。
<搬送量補正用のテストパターンの印刷方法について>
図26は、前述のS601における搬送量補正用のテストパターンの印刷方法の説明図である。但し、図中の左側に描かれた長方形は、印刷用紙Pに対するヘッド41の相対的な位置を示すものであって、印刷用紙Pに印刷されるものではない。また、ヘッド41を表す長方形の中の数字は、何回目のパスにおけるヘッドの相対位置かを示している。例えば、図中のヘッド41Cは、3回目のパスにおけるヘッドの相対位置を示している。なお、「パス」とは、ヘッド41がキャリッジ移動方向に沿って移動してインクを吐出する動作(ドット形成処理)を意味する。この図ではヘッド41が印刷用紙Pに対して移動しているように見えるが、この図はヘッド41と印刷用紙Pとの相対位置を示したものであって、実際には印刷用紙Pが搬送方向に搬送されることによって両者の相対位置が移動している。
また、図27は、上記の印刷方法によって印刷された搬送量補正用のテストパターンの説明図である。以下、図26、および、図27を用いて、本実施形態の搬送量補正用のテストパターン、および、搬送量補正用のテストパターンの印刷方法について説明する。
各補正用パターンは、2つの帯状のパターン(バンドパターン)から構成されている。2つのバンドパターンのうちの紙先端側(図中上側)のバンドパターン(第1バンドパターン)は、搬送方向に上流側(ノズル♯n側)のノズルによって形成されている。一方、2つのバンドパターンのうちの紙後端側(図中下側)のバンドパターン(第2バンドパターン)は、搬送方向に下流側(ノズル♯1側)のノズルによって形成されている。そして、この第1バンドパターンと第2バンドパターンとは互いに搬送方向に隣接して形成され、この2つのバンドパターンによって境界部が構成される。なお、境界部において、第1バンドパターンにおけるノズル♯nが形成したドット列は、第2パターンにおけるノズル♯1が形成したドット列と、隣接している。このように、第1バンドパターンが形成されてから第2バンドパターンが形成されるまでの間に、印刷用紙Pは、ほぼヘッドの幅(ノズル♯1からノズル♯nまでの距離)の分だけ搬送される。また、2つのバンドパターンは、2つのバンドパターンによって構成される境界部の位置が明確になるように、キャリッジ移動方向にずらして形成されている。なお、図中のバンドパターンを表す長方形内の数字は、何回目のパスによって形成されたかを示している。
それぞれの補正用パターンは段階的に搬送量を変化させて形成されているので、それぞれの補正用パターンのバンドパターン間の境界部の状態は異なっている。つまり、境界部におけるノズル♯nが形成した第1パターン内のドット列とノズル♯1が形成した第2パターン内のドット列との間隔は、補正用パターンによって(境界部によって)異なっている。そのため、それぞれの補正用パターン(または境界部)は、異なる補正量に対応することになる。本実施形態では、以下に説明される通り、C(=1/5760インチ)ずつ段階的に搬送量を変化させて、複数の補正用パターン(つまり境界部)を形成している。なお、以下に説明されるプリンタの各種の動作は、プリンタ内のメモリ63に格納されたプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
まず、ヘッド41が印刷用紙Pに対してヘッド41Aの位置になるように、印刷用紙Pを搬送する。そして、1回目の印刷動作(パス1)が行われ、番号=1が付される補正用パターンP1の第1バンドパターンP1aが印刷される。
次に、印刷用紙Pが搬送量F+2Cにて搬送され、ヘッド41が印刷用紙Pに対して図中のヘッド41Bの位置になる。ここで、搬送量Fは、ヘッド41の幅のほぼ半分(ノズル♯1からノズル♯nまでの距離のほぼ半分)になる。例えば、ヘッド41に180個のノズルが180dpiの間隔で配列されている場合、搬送量Fは、1/2インチになる。そして、2回目の印刷動作(パス2)が行われ、番号=2が付される補正用パターンP2の第1バンドパターンP2aが印刷される。
次に、印刷用紙Pが搬送量F+2Cにて搬送され、ヘッド41が印刷用紙Pに対して図中のヘッド41Cの位置になる。そして、3回目の印刷動作(パス3)が行われ、番号=1が付される補正用パターンP1の第2バンドパターンP1bが印刷される。これにより、番号=1が付される補正用パターンP1が完成する。補正用パターンP1の第1バンドパターンP1aが印刷されてから補正用パターンP1の第2バンドパターンP1bが印刷されるまでの間に、2F+4Cの搬送量にて、印刷用紙Pが搬送される。
3回目の印刷動作(パス3)が行われるとき、第2バンドパターンP1bが印刷されるとともに、番号=3が付される補正用パターンP3の第1バンドパターンP3aが印刷される。つまり、3回目の印刷動作では、2つのバンドパターン(P1bとP3a)が印刷される。この2つのバンドパターンは、余白を空けて形成されている。これは、検査者が補正用パターンP1と補正用パターンP3とを見比べやすいようにするためである。
次に、印刷用紙Pが搬送量F+Cにて搬送され、ヘッド41が印刷用紙Pに対して図中のヘッド41Dの位置になる。そして、4回目の印刷動作(パス4)が行われ、番号=2が付される補正用パターンP2の第2バンドパターンP2bが印刷される。これにより、番号=2が付される補正用パターンP1が完成する。補正用パターンP2の第1バンドパターンP2aが印刷されてから補正用パターンP2の第2バンドパターンP2bが印刷されるまでの間に、2F+3Cの搬送量にて、印刷用紙Pが搬送される。つまり、補正用パターンP2を印刷するときの搬送量(2F+3C)は、補正用パターンP1を印刷するときの搬送量(2F+4C)と比較して、Cだけ変化している。
4回目の印刷動作(パス4)が行われるとき、第2バンドパターンP2bが印刷されるとともに、番号=4が付される補正用パターンP4の第1バンドパターンP4aが印刷される。つまり、4回目の印刷動作では、2つのバンドパターン(P2bとP4a)が印刷される。この2つのバンドパターンも、前述の2つのバンドパターン(P1bとP3a)の場合と同様に、余白をあけて形成されている。
そして、以上説明した動作とほぼ同様の動作によって、他の補正用パターンP3〜P9が印刷用紙Pに印刷される。但し、搬送動作における印刷用紙Pの搬送量は、印刷用紙Pがヘッド41の幅の分だけ搬送される毎に、C(=1/5760インチ)ずつ段階的に変化する。これにより、第1バンドパターンと第2バンドパターンとの間隔が、各補正用パターンによって異なるように印刷される。本実施形態では、ヘッドの幅が1インチなので、1インチの搬送量にて印刷用紙Pが搬送される毎に、搬送量が1/5760インチずつ段階的に減っていく。
なお、本実施形態において、搬送量Fは、ヘッド41の幅のほぼ半分(ノズル♯1からノズル♯nまでの距離のほぼ半分)になる。例えば、ヘッド41に180個のノズルが180dpiの間隔で配列されている場合、搬送量Fは、1/2インチになる。また、本実施形態において、搬送量Cは、搬送量を補正する補正量の基準となる基準補正量を意味し、ロータリー式エンコーダの解像度に対応する搬送量である1/5760インチに相当する。
テストパターンを印刷するとき、印刷用紙Pは、間欠的に搬送方向に搬送され、逆方向に搬送されることはない。そして、印刷用紙Pが搬送方向に間欠的に搬送されながら、複数の補正用パターン(つまり複数の境界部)が順次完成される。そのため、複数の補正用パターンは、搬送方向における位置が異なっている。補正用パターンは、キャリッジ移動方向における位置が交互に現れるように、順次完成される。
このように形成されたテストパターンは、複数の補正用パターンが補正量の順に千鳥列状に(ジグザグに)配置されたものとなる。すなわち、奇数の番号が付された補正用パターン(第1パターン群)は印刷用紙Pの左側に搬送方向に沿って印刷され、キャリッジ移動方向における位置がほぼ同じである。また、偶数の番号が付された補正用パターン(第2パターン群)は印刷用紙Pの右側に搬送方向に沿って印刷され、キャリッジ移動方向における位置がほぼ同じである。そして、番号が隣り合う補正用パターンは、キャリッジ移動方向における位置が異なる。また、複数の補正用パターンは、対応する補正量が番号の順に段階的に変化し、搬送方向に関して、番号の順(補正量の順)に並んでいる。なお、搬送方向における補正用パターンの間隔は、ヘッド41の幅のほぼ半分になる。本実施形態では、ヘッドの幅が1インチなので、搬送方向における補正用パターンの間隔は1/2インチになる。例えば、補正用パターンP1と補正用パターンP2との搬送方向における間隔は、1/2インチになる。また、例えば、補正用パターンP2と補正用パターンP3との搬送方向における間隔は、1/2インチになる。
上記の通り、複数の補正用パターンは、それぞれ異なる搬送量にて形成されている。その結果、補正用パターンの2つのバンドパターンの間隔は、それぞれの補正用パターンにより異なっている。そのため、白スジ(白いバンディング)が発生する補正用パターンや、黒スジ(黒いバンディング)が発生する補正用パターンや、スジが発生しない補正用パターン(最適なパターン)が印刷される。
本実施形態のテストパターンの印刷方法によれば、ある補正用パターン(または一の境界部)と他の補正用パターン(または他の境界部)との間隔(F)が、第1バンドパターンを形成してから第2バンドパターンを形成するまでの間の媒体の搬送量(2F)よりも短い。そのため、本実施形態のテストパターンの印刷方法によれば、1枚の印刷用紙に多くの補正用パターンを形成することができる。そして、多くの補正用パターンを形成することができるため、多くの補正値に対応した補正用パターンを形成することができるので、最適な補正値の決定が短時間に行われ、作業の効率化を図ることができる。
また、本実施形態のテストパターンの印刷方法によれば、ある補正用パターンの第1バンドパターンを形成してからその補正用パターンの第2バンドパターンを形成するまでの間に、次の補正用パターンの第1バンドパターンが形成される。そのため、補正用パターンの搬送方向における間隔を短くできるので、印刷用紙に多くの補正用パターンを形成することができる。
また、本実施形態のテストパターンの印刷方法によれば、ある補正用パターン(例えば番号=1が付される補正用パターン)の第2バンドパターンを形成するときに、他の補正用パターン(例えば番号=3が付される補正用パターン)の第1バンドパターンが同じパスにおいて同時に形成される。そのため、印刷用紙に多くの補正用パターンを形成することができると共に、短時間にテストパターンを作成することが可能になる。
<搬送量補正用のテストパターンの検出方法について>
次に、図28A、および、図28Bを参照して、光学センサ55が搬送量補正用のテストパターンを検出する方法について説明する。図28Aは、光学センサ55が図27に示される左側の搬送量補正用のテストパターンを検出する方法について説明するための説明図である。図28Bは、光学センサ55が図27に示される右側の搬送量補正用のテストパターンを検出する方法について説明するための説明図である。
搬送量補正用のテストパターンの検出では、光学センサ55の第1受光部552の出力に基づいて、検出が行われる。すなわち、搬送量補正用のテストパターンの検出では、拡散反射光の光量に基づいて、検出が行われる。
光学センサ55の第1受光部552を用いて拡散反射光にて検査が行われるため、検出スポットSP内にテストパターンが存在する場合、第1受光部552が受光する光量が減少し、光学センサ55の出力電圧が低くなる。さらに、検出スポットSP内にテストパターンが重なり合った部分が存在する場合、第1受光部552が受光する光量はさらに減少し、光学センサ55の出力電圧はさらに低くなる。検出スポットSP内にテストパターンが重なり合った部分が存在する場合の方が、検出スポットSP内にテストパターンが存在する場合よりも、光学センサ55の出力電圧がさらに低くなる理由は、テストパターンが重なり合った部分はインクの濃度が濃いため光をより拡散し易く、第1受光部552が受光する光量がさらに減少するからである。一方、検出スポットSP内にテストパターンがない場合、第1受光部552が受光する光量が増加し、光学センサ55の出力電圧が高くなる。
光学センサ55がテストパターンを検出するとき、キャリッジ31は、光学センサ55が図27に示される左側のテストパターンを検出できる位置まで移動する。この状態から、搬送ローラ23は、印刷用紙Pを搬送方向に搬送する。印刷用紙Pが搬送されると、検出スポットSPが検出する位置は、搬送方向にずれることになる。すなわち、印刷用紙Pが搬送されると、検出スポットSPは、図27に示される左側のテストパターンを検出することになる。検出スポットSPが検出する位置にテストパターンがなければ、光学センサ55は、比較的高い電圧を出力する。比較的高い電圧とは、本実施の形態においては、例えば、図28A、および、図28Bに示されるV3のことである。検出スポットSPが検出する位置にテストパターンがあれば、光学センサ55は、比較的低い電圧を出力する。比較的低い電圧とは、本実施の形態においては、例えば、図28A、および、図28Bに示されるV2のことである。検出スポットSPが検出する位置にテストパターンが重なり合った部分があれば、光学センサ55は、低い電圧を出力する。低い電圧とは、本実施の形態においては、例えば、図28A、および、図28に示されるV1のことである。
以上のようにして、光学センサ55が図27に示される左側のテストパターンを検出すると、検出スポットSPの搬送方向の位置と光学センサ55の出力値との関係は、図28Aに示されるようになる。
次に、搬送ローラ23は、印刷用紙Pを搬送方向と逆方向に搬送する。そして、キャリッジ31は、光学センサ55が図27に示される右側のテストパターンを検出できる位置まで移動する。この状態から、搬送ローラ23は、印刷用紙Pを搬送方向に搬送する。印刷用紙Pが搬送されると、検出スポットSPは、図27に示される右側のテストパターンを検出することになる。そして、光学センサ55が図27に示される右側のテストパターンを検出すると、検出スポットSPの搬送方向の位置と光学センサ55の出力値との関係は、図28Bに示されるようになる。
次に、図25のステップS602において、光学センサ55の搬送量補正用のテストパターンの検出結果に基づく、媒体搬送量決定処理について説明する。
プリンタ1は、図28A、および、図28Bの光学センサ55の出力値がV2である状態が比較的長く継続している部分を検出する。光学センサ55の出力値がV2である状態が比較的長く継続している部分は、図28BのX1〜X2の部分である。図28BのX1〜X2の部分は、光学センサ55が図27に示される右側のテストパターンの番号=4(補正値+C)で表されるテストパターンを検出したときの出力値に対応する。
そして、図25のステップS602において、プリンタ1は、媒体搬送量の補正値を+Cとして、媒体搬送量を決定する。媒体搬送量が決定した後、画質を改善するための一連の処理は、終了する。
ここで、画質を改善するための一連の処理において、吐出検査処理が一番先に実行される理由について説明する。吐出検査処理が一番先に実行される理由は、続いて実行されるドット形成位置補正処理、および、媒体搬送量決定処理が実行されるときに形成されるテストパターンの信頼性を高くするためである。
仮に、インクを吐出できないノズルがあるにもかかわらず、ドット形成位置補正処理が実行された場合を例にとって説明する。インクを吐出できないノズルがあるにもかかわらず、ドット形成位置を補正するためのテストパターンが作成された場合、テスタパターンには、本来インクが吐出されるべきであるのに、インクが吐出されない場所が存在することになる。そして、光学センサが、もしこの場所を検出した場合、ドット形成位置を補正するためのテストパターンを正確に検出できないことになる。なぜなら、テストパターンに、本来インクが吐出されるべきであるのに、インクが吐出されない場所が存在すると、その部分のテストパターンは、薄く形成されてしまう。そして、光学センサは、テストパターンの薄く形成された部分を検出することができない場合があり得るからである。光学センサが、テストパターンを正確に検出できなかった場合、プリンタは、ドット形成位置を正確に補正することができなくなってしまう。
次に、インクを吐出できないノズルがあるにもかかわらず、媒体搬送量決定処理が実行された場合を例にとって説明する。例えば、インクを吐出できないノズルが♯180のノズルであるとする。この場合、媒体搬送量を決定するために形成される第1バンドパターンと第2バンドパターンの間隔は、♯180のノズルの分だけ広くなってしまう。したがって、光学センサが媒体搬送量を決定するために検出するバンドパターンの間隔がずれてしまうので、プリンタは、媒体搬送量を正確に決定することができなくなってしまう。
したがって、本実施の形態においては、ドット形成位置補正処理、および、媒体搬送量決定処理を実行する前に、吐出検査を行い、すべてのノズルからインクが吐出されるか否かを確認する。そして、インクを吐出できないノズルがある場合には、クリーニング処理が実行され、すべてのノズルからインクが吐出されるようになってから、次の処理が実行される。したがって、ドット形成位置補正処理、および、媒体搬送量決定処理が実行されるときに、テストパターンは正確に形成される。よって、プリンタは、ドット形成位置を正確に補正することができ、また、媒体搬送量を正確に決定することができる。
また、図27に示される搬送量補正用のテストパターンの説明図においては、ノズルの吐出検査に用いる検査用パターン群70の下部に、粗調整用テストパターンTPrが印刷されている。粗調整用テストパターンTPrの下部には、微調整用テストパターンTPdが印刷されている。微調整用テストパターンTPdの下部には、搬送量補正用のテストパターンが印刷されている。このように、それぞれのテストパターンが印刷用紙Pに順次印刷されるので、本実施の形態においては、画質を改善するための一連の処理を実行するための各テストパターンが、1枚の印刷用紙に全て印刷されている。したがって、画質を改善するための各調整処理を実行するための各テストパターンを、それぞれ別の印刷用紙に印刷する必要はなく、印刷用紙を有効に利用することができる。
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、本発明に係るプリンタ等の印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る印刷装置に含まれるものである。
また、本実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部または全部をソフトウェアによって置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアによって置き換えてもよい。
また、被印刷体は、印刷用紙Pの他に、布やフィルムなどであってもよい。
<液体について>
本発明の液体としては、前述したインク、例えば染料インクや顔料インクに限定されるものではなく、例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液等を含む(水も含む)を適用することもできる。また、液体の成分については、溶媒として水の他に溶剤など、液体を構成するものを含む。
<媒体について>
媒体については、前述した用紙として、普通紙やマット紙、カット紙、光沢紙、ロール紙、用紙、写真用紙、ロールタイプ写真用紙等をはじめ、これらの他に、OHPフィルムや光沢フィルム等のフィルム材や布材、金属板材などであっても構わない。すなわち、印刷対象となり得るものであれば、どのような媒体であっても構わない。
プリンタにおいて、様々の原因により、印刷画像の画質が低下する場合がある。そのような場合、ユーザーは、ユーザーインターフェイスからプリンタに調整を実行させるための適切な指示を入力し、画質の低下を改善させることができる。しかしながら、ユーザーが、プリンタの機能にあまり詳しくない場合、ユーザーは、何が原因で印刷画像の画質が低下したのか理由が分からず、ユーザーインターフェイスからプリンタに調整を実行させるための適切な指示を入力することができず、うまく画質の改善を行うことができないという虞があった。
そこで、本実施の形態では、ユーザーインターフェイスを介してユーザーから指示が入力されたとき、インク吐出部は、互いに異なる複数の対象を調整するためのパターンをそれぞれ形成し、センサによりパターンをそれぞれ検出し、各パターンの検出結果に基づいて、複数の対象をそれぞれ調整した。そして、本実施の形態においては、複数の対象は、ノズルの目詰まり、インクの吐出タイミング、および、媒体搬送量であった。しかしながら、調整の対象は、ノズルの目詰まり、インクの吐出タイミング、および、媒体搬送量に限られるものではない。調整の対象は、画質の改善に貢献する要因であれば、他のものであってもよいことはいうまでもない。例えば、キャリッジが一方向に移動する場合において、あるノズル列が形成するドットの位置と他のノズル列が形成するドットの位置とを調整するものであってもよい。
また、本実施の形態では、ユーザーインターフェイスを介してユーザーから指示が入力されたとき、インク吐出部は、互いに異なる複数の対象を調整するためのパターンをそれぞれ形成し、センサによりパターンをそれぞれ検出し、各パターンの検出結果に基づいて、複数の対象をそれぞれ調整した。そして、本実施の形態においては、センサは、媒体に吐出されたインクにより形成されるパターンに光を照射する発光部と、パターンからの反射光を検出する受光部とを備えた光学センサであった。しかしながら、センサは、光学センサに限られるものではない。センサは、媒体に形成されるパターンを検出できるのであれば、光学センサ以外のセンサであってもよいことはいうまでもない。
また、本実施の形態では、互いに異なる複数の対象を調整するためのパターンをそれぞれ形成した。
そして、調整の対象がノズルの目詰まりである場合、パターンは、複数のブロックから形成され、各ブロックは、ノズルのうち特定のノズルから吐出されるインクによって形成されていた。しかしながら、ノズルの目詰まりを調整できるのであれば、パターンは、上述した形態に限るものではない。
また、調整の対象がインク吐出部からインクを吐出するタイミングである場合、パターンは、複数の補正用パターンから形成され、各補正用パターンは、移動するインク吐出部が往路において吐出したインクによって形成される第1ドット列群と、移動するインク吐出部が復路において吐出したインクによって形成される第2ドット列群とを備え、第1ドット列群は、インク吐出部の移動方向に所定ピッチで形成された複数のドット列を有し、第2ドット列群は、第1ドット列群のドット列と同じピッチで形成された複数のドット列を有し、各補正用パターンの第1ドット列群と、第2ドット列群とのずれ量は、所定差分ずつであった。しかしながら、インクを吐出するタイミングを調整できるのであれば、パターンは、上述した形態に限るものではない。
また、調整の対象が媒体を搬送する搬送量である場合、パターンは、インク吐出部の搬送方向上流側の部分から吐出されるインクによって形成される第1パターンと、インク吐出部の搬送方向下流側の部分から吐出されるインクによって第1パターンの搬送方向上流側に隣接して形成される第2パターンとから構成される境界部を複数有し、複数の境界部は、それぞれの第1パターンと第2パターンとの間隔が異なるように形成されていた。しかしながら、媒体の搬送量を調整できるのであれば、パターンは、上述した形態に限るものではない。