JP4554568B2 - 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体 Download PDF

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Description

本発明は、熱安定性の改良された固体高分子電解質膜であって、詳しくは高温条件下でのスルホン酸基の安定性を向上させ、燃料電池のプロトン伝導膜に用いた際の高温発電耐久性を向上させた、高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体に関する。
燃料電池は、水素ガスや各種の炭化水素系燃料(天然ガス,メタンなど)を改質して得られる水素と、空気中の酸素とを電気化学的に反応させて直接電気を取り出す発電装置であり、燃料の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに高効率で直接変換できる無公害な発電方式として注目を集めている。
このような燃料電池は、触媒を担持した一対の電極膜(燃料極と空気極)と該電極膜に挟持されたプロトン伝導性の電解質膜(固体高分子電解質膜という)とから構成される、固体高分子電解質膜−電極構造体(MEA)を備えている。燃料極の触媒によって、水素イオンと電子に分けられ、水素イオンは固体高分子電解質膜を通って、空気極で酸素と反応して水になる仕組みである。
近年この燃料電池には、高い発電性能が求められるようになっている。発電出力を高めるためには、発電時に高温で使用されることが求められ、このため燃料電池に使用される固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体には、幅広い環境下で、特に高温下で高いプロトン伝導性を示す膜が求められていた。
上記の要請を充たす固体高分子電解質膜として、通常、スルホン酸基を有するポリマーが使用されていた。また、本出願人も高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導膜として、スルホン酸基を有する特定の重合体を提案している(特許文献1から3参照)。
特開2004−345997号公報 特開2004−346163号公報 特開2004−346164号公報
しかしながら、従来より使用されていたスルホン酸基を有するポリマーからなる固体高分子電解質膜では、高温下ではスルホン酸基の可逆的な脱離反応やスルホン酸が関与する架橋反応が発生することがあり、また、高温下では、酸化劣化による膜の分解が促進されるという問題があった。これにより、プロトン伝導性が低下したり、膜の脆化等が生じたりして、燃料電池の発電出力の低下や、膜が破断することにより発電不能に至る問題があった。また、このような問題をできるだけ回避するために、現状、燃料電池発電時の上限温度を限定し使用しており、発電出力に制限があった。
このため、従来と同様にプロトン伝導性を具備するとともに、耐熱性にも優れた固体高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体が望まれていた。
本発明者らは、上記問題点を鑑み鋭意検討した結果、スルホン酸基を含有するポリマーに、含窒素複素環式芳香族基を導入した高分子電解質膜とすることで、高温条件下でのスルホン酸基の安定性を向上させるとともに、発電時の酸化による膜の分解を抑制し、上記問題を解決しうることを見出した。
本発明は以下のように構成される。
(1) 固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、前記固体高分子電解質膜は、主鎖がポリフェニレン構造であり、スルホン酸基を有する側鎖と、含窒素複素環基を有する側鎖と、を有する構造を含む固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
(2) 前記含窒素複素環基を有する側鎖が下記一般式(D)で表される構造である(1)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
Figure 0004554568
(式中、Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R20は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pは0〜4の整数を示す。)
(3) 前記含窒素複素環基がピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基である(1)または(2)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
(4) 前記スルホン酸基を有する側鎖が下記一般式(E)で表される(1)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
Figure 0004554568
(式中、Yは−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SOHまたは−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基を示す。hは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
(5) 下記一般式(C)で表される構造単位および下記一般式(A)で表される構造単位を含む(1)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
Figure 0004554568
(式中、Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R20は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pは0〜4の整数を示す。)
Figure 0004554568
(式中、Yは−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SOHまたは−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基を示す。hは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
(6) さらに下記一般式(B)で表される構造を有する(5)記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
Figure 0004554568
(式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
本発明によれば、本来、耐熱水性が高く、高いスルホン酸濃度を有し、優れたプロトン伝導性を示すポリマー中に、含窒素複素環式芳香族基を導入することで、プロトン伝導性を損なうことなく、高温下で高いスルホン酸の安定性および高分子分解耐性を有する固体高分子電解質膜が得られる。このため、燃料電池用の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体に使用した際は、広範囲な温度、湿度、特に高温下でも発電可能になり、発電出力を向上することができる。また、高温下で使用しても、スルホン酸基が高い安定性を有し、高分子主鎖の分解耐性も向上することから、電池寿命を大幅に向上させた燃料電池を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。すなわち本発明に係る固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体は、スルホン酸基を有するポリマーに、含窒素複素環式芳香族基を導入した固体高分子電解質膜を有する電極構造体である。
[重合体]
本発明のMEAに用いる重合体は、主鎖がポリフェニレン構造であり、スルホン酸基を有する側鎖と含窒素複素環基を有する側鎖とを有する構造を含むものである。
主鎖となるポリフェニレン構造とは、下記のような構造を示し、側鎖とは、下記構造における置換基Rを示すものである。
Figure 0004554568
<側鎖>
本発明においては、含窒素複素環基を有する側鎖は下記一般式(D)で表される。
Figure 0004554568
式中、Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、好ましくは−CO−である。
20は含窒素複素環基を示す。含窒素複素環基としては、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物およびこれらの誘導体の炭素または窒素に結合する水素原子が引き抜かれてなる構造の基である。これらの含窒素複素環基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基、シアノ基、フッ素原子などがあげられる。
qは1〜5の整数を示し、好ましくは、1または2である。pは0〜4の整数を示し、好ましくは、0または1である。
また、スルホン酸基を有する側鎖は、下記一般式(E)で表される。
Figure 0004554568
一般式(E)において、Yは−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−C(CF−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO−が好ましい。
Zは直接結合または、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、−O−が好ましい。
Arは−SOHまたは−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基(hは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。
芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。芳香族基は前記した−SOHまたは−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基で、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組合せとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SOHを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SOHを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CHSOHを有するフェニル基である構造、
などを挙げることができる。
なお、側鎖(D)および(E)のYおよびZは、同一のものであって異なるものであってもよい。
<好ましい重合体>
本発明の重合体は、下記一般式(C)および(A)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 0004554568
一般式(C)において、Y、Z、R20、q、pは、一般式(D)で説明したものと同様である。
Figure 0004554568
一般式(A)において、Y、Z、Ar、m、n、kについは前記式(E)と同一である。
さらに重合体は、下記一般式(B)で表される構造単位を有していることが好ましい。
Figure 0004554568
一般式(B)において、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ここで、−CR’−で表される構造の具体的な例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
これらのうち、直接結合または、−CO−、−SO−、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
s、tは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
s、tの値と、A、B、D、R〜R16の構造についての好ましい組合せとしては、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO−であり、R〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO−であり、R〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、Bが酸素原子であり、R〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構造、
が挙げられる。
本発明に使用される重合体は、上記一般式(A)で表されるスルホン酸基を有する構造単位(スルホン酸ユニット)と、上記一般式(B)で表されるスルホン酸基を有さない構造単位(疎水性ユニット)と、上記一般式(C)で表される含窒素複素環基(含窒素複素環芳香族ユニット)を含むことが特徴であり、下記一般式(F)で表される重合体である。
Figure 0004554568
一般式(F)において、A、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、p、q、r、s、t、R20およびR〜R16は、それぞれ上記一般式(A)、(B)、(C)中のA、B、D、Y、Z、Ar、R20、k、m、n、p、q、r、s、tおよびR〜R16と同義である。x、y、zはx+y+z=100モル%とした場合のモル比を示す。
本発明に使用される重合体は、式(A)で表される繰り返し構成単位すなわちxのユニットを0.5〜99.9モル%、好ましくは10〜99.5モル%の割合で、式(C)で表される繰り返し構成単位すなわちzのユニットを0.1〜99.5モル%、好ましくは0.5〜89.5モル%を含有している。式(B)で表される繰り返し構成単位すなわちyのユニットは、任意であり、(A)と(C)以外の残りが(B)に相当し、含まれている場合には、99.4〜0.01モル%、好ましくは89.5〜0.5モル%の割合であることが望ましい。
また、式(A)で表される繰り返し構成単位すなわちxのユニットに対する、式(C)で表される繰り返し構成単位すなわちzのユニットの割合は、0.001モル%〜50モル%であり、好ましくは、0.1モル%〜30モル%であり、さらに好ましくは、1モル%〜25モル%である。
本発明に使用される重合体のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
上記のイオン交換容量は、構造単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)の種類、使用割合、組合せを変えることにより、調整することができる。したがって重合時に構成単位(A)〜(C)を誘導する前駆体(モノマー・オリゴマー)の仕込み量比、種類を変えれば調整することができる。
概して構造単位(A)が多くなるとイオン交換容量が増え、プロトン伝導性が高くなるが、耐水性が低下する。一方、構造単位(A)が少なくなると、イオン交換容量が小さくなり、耐水性が高まるが、プロトン伝導性が低下する。
構造単位(C)を含んでいると、高温条件下でのスルホン酸基の安定性が向上し、その結果耐熱性が向上する。含窒素複素環式芳香族化合物の窒素原子は、塩基性を有するため、スルホン酸基との間でイオン的な相互作用を形成する。これによって、スルホン酸基の安定性を高め、高温条件下でのスルホン酸基の脱離が抑制される。また、同様に高温条件下でスルホン酸基に由来するポリマー分子間の架橋反応をも抑制することができる。さらに、分解耐性が向上する理由は明確ではないが、以下の機構を推測している。含窒素複素環式芳香族化合物の導入により、スルホン酸基の安定性が向上した結果、側鎖と主鎖の親水・疎水の相分離構造がより促進される。このため、水を介して侵入し、主鎖を攻撃する過酸化水素または過酸化物ラジカルが主鎖に接近しづらくなり、よって分解耐性が向上するものと考えられる。もう一つとしては、含窒素複素環式芳香族化合物が、膜中に拡散してくる、あるいは膜中で生成する過酸化水素を効果的に分解する機能を有していると考えられる。含窒素複素環式芳香族化合物は、プロトン伝導性を損なわず、これらの効果を発現できる適度な強さの塩基性を有する化合物である。
構成単位(B)は任意成分であり、重合体中の(A)および(C)成分を除いた残りが構成単位(B)の量に相当する。また、(B)が含まれていなくともよい。この構成単位(B)を含んでいると、分子量の調整や、上記各構造単位の含有量の調整などを行いやすくなるとともに、熱的、化学的に安定な重合体を得ることができる。
本発明に使用される重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
<ポリマーの製造方法>
スルホン酸基を有する重合体の製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法):例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記一般式(A’)で表されるモノマー、下記一般式(B’)で表されるモノマーおよび下記一般式(C’)で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
Figure 0004554568
Xは塩素原子、臭素原子および−OSORb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。Y、Z、Ar、m、n、kは一般式(A)と同じであり、Rは炭素数4〜12のアルキル基を示す。
一般式(A’)で表される化合物の具体的な例としては、下記一般式で表される化合物、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 0004554568
Figure 0004554568
一般式(A’)で表される化合物において、スルホン酸エステル構造は、通常、芳香族環のメタ位に結合している。
Figure 0004554568
R’およびR”は塩素原子、臭素原子および−OSORb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。R〜R16、A、B、D、s、tおよびrは前記一般式(B)と同じである。
一般式(B’)で表される化合物の具体的な例としては、一般式(B’)におけるrが0の場合、例えば4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
また、一般式(B’)におけるrが1の場合、下記に挙げる化合物および特開2003−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
Figure 0004554568
一般式(B’)におけるrがr≧2の場合、例えば下記に示す構造の化合物を挙げることができる。
Figure 0004554568
Figure 0004554568
Xは塩素原子または臭素原子、−OSORb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。Y、Z、R20、pおよびqは前記一般式(C)と同じである。
一般式(C’)の具体例として、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 0004554568
Figure 0004554568
さらに、塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、塩素原子や臭素原子の結合位置の異なる異性体を挙げることができる。また−CO−結合が、−SO−結合に置き換わった化合物を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
一般式(C’)を合成する方法としては、例えば下記一般式(2)で表される化合物と、含窒素複素環化合物とを、求核置換反応させる方法を挙げることができる。
Figure 0004554568
式中、X、Y、pおよびqは、一般式(C’)で示した定義と同一である。
X’はハロゲン原子を示す。フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、フッ素原子がより好ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、2,4−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,5−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,6−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホンを挙げることができる。これらの化合物のうち2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノンが好ましい。
含窒素複素環化合物は、活性水素を有するものであり、この活性水素と一般式(2)で表される化合物のX’で表される基を置換反応させる。
活性水素を有する含窒素複素環化合物としては、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、2−ヒドロキシピリミジン、2−メルカプトピリジン、3−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンズチアゾールなどを挙げることができる。
これらの化合物のうち、ピロール、イミダゾール、インドール、カルバゾール、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾールが好ましい。
一般式(2)で表される化合物と活性水素を有する含窒素複素環化合物との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒を用いる。反応を促進するために、アルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを用いる。一般式(2)で表される化合物と、活性水素を有する含窒素複素環化合物との比率は、等モルもしくは活性水素を有する含窒素複素環化合物を過剰に加えて反応させる。具体的には、活性水素を有する含窒素複素環化合物は一般式(2)で表される化合物の1〜3倍モル、特に1〜1.5倍モル使用することが好ましい。
反応温度は0℃〜300℃で、10℃〜200℃が好ましい。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間である。
生成物は再結晶などの方法で精製して用いることが好ましい。
<重合>
本発明に使用される重合体を得るためはまず上記モノマー(A’)、モノマー(C’)および必要に応じてもモノマー(B’)を共重合させ、前駆体を得る。
この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物および条件を採用することができる。
例えば、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好適に使用され、また、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2,2’−ビピリジンなどが好適に使用される。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2’−ビピリジン)が好適に使用される。還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。「塩」としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。反応には重合溶媒を使用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどが好適に使用される。触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。この範囲にあれば、触媒活性が高く、また分子量も高く重合することが可能である。触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。かかる範囲であれば、重合速度を上げる効果が充分となる。重合溶媒中におけるモノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、本発明の重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
次いで、得られた重合体を加水分解して、構成単位中のスルホン酸エステル基(−SOR)をスルホン酸基(−SOH)に転換する。加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SOR)1モルに対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法などにより行うことができる。
(B法):例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A’)で表される骨格を有し、かつスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記モノマー(B’)と、上記モノマー(C’)を共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
(B法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法):一般式(A)において、Arが−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーと、上記一般式(C)で表される構造単位となるモノマーを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。具体的には、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンをあげることができる。またこれらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物をあげることができる。またヒドロキシル基がチオール基にかわったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子におきかわったものもあげることができる。
また、(C法)において前駆体の重合体がスルホン酸基を有さない場合には、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する。例えば、前駆体の重合体のヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトンなどを反応させることで導入することができる。
<プロトン伝導膜>
本発明に係るプロトン伝導膜は、上記スルホン酸基と上記含窒素複素環基を有する重合体からなる。
本発明に係るプロトン伝導膜を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、上記本発明の重合体を溶解する有機溶媒に溶解し、基体上にキャストし、溶媒を除去、乾燥させるキャスト法が主に用いられる。
このような製膜方法において用いられる基体としては、通常の溶液キャスト法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えば、プラスチック製または金属製などの基体が用いられ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基体が用いられる。
これらの製膜方法で用いられる溶媒としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶剤が挙げられる。これらの中では、溶解性および溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)が特に好ましい。上記非プロトン系極性溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記溶媒として、上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いてもよい。このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられる。これらの中では、幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があることから、メタノールが特に好ましい。アルコールは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記非プロトン系極性溶剤とアルコールとの混合物を用いる場合には、非プロトン系極性溶剤が95〜25重量%、好ましくは90〜25重量%であり、アルコールが5〜75重量%、好ましくは10〜75重量%である(ただし、合計は100重量%)。アルコールの量が上記範囲内にあることにより、溶液粘度を下げる効果に優れる。
また、上記アルコールの他に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用してもよい。
製膜する際の溶液のポリマー濃度は、通常5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい傾向にある。一方、ポリマー濃度が40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、溶液粘度は、通常2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。溶液粘度が2,000mPa・s未満では、成膜中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがある。一方、溶液粘度が100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎるため、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記のようにして製膜した後、得られた未乾燥フィルムを水に浸漬すると、未乾燥フィルム中の有機溶剤を水と置換することができ、得られるプロトン伝導膜の残留溶媒量を低減することができる。なお、未乾燥フィルムを水に浸漬する前に、未乾燥フィルムを予備乾燥してもよい。予備乾燥は、未乾燥フィルムを、通常50〜150℃の温度で、0.1〜10時間保持することにより行われる。
未乾燥フィルム(予備乾燥後のフィルムも含む。以下同じ。)を水に浸漬する際は、枚葉を水に浸漬するバッチ方式でもよく、基板フィルム(例えば、PET)上に成膜された状態の積層フィルムのまま、または基板から分離した膜を水に浸漬させて、巻き取っていく連続方式でもよい。また、バッチ方式の場合は、処理後のフィルム表面に皺が形成されるのを抑制するために、未乾燥フィルムを枠にはめるなどの方法で、水に浸漬させることが好ましい。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の使用量は、未乾燥フィルム1重量部に対して、10重量部以上、好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以上の割合である。水の使用量が上記範囲であれば、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を少なくすることができる。また、浸漬に使用する水を交換したり、オーバーフローさせたりして、常に水中の有機溶媒濃度を一定濃度以下に維持しておくことも、得られるプロトン伝導膜の残存溶媒量を低減することに有効である。さらに、プロトン伝導膜中に残存する有機溶媒量の面内分布を小さく抑えるためには、水中の有機溶媒濃度を撹拌等によって均質化させることが効果的である。
未乾燥フィルムを水に浸漬する際の水の温度は、置換速度および取り扱いやすさの点から、通常5〜80℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。高温ほど、有機溶媒と水との置換速度は速くなるが、フィルムの吸水量も大きくなるので、乾燥後に得られるプロトン伝導膜の表面状態が悪化することがある。また、フィルムの浸漬時間は、初期の残存溶媒量、水の使用量および処理温度にもよるが、通常10分〜240時間、好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように未乾燥フィルムを水に浸漬した後、フィルムを30〜100℃、好ましくは50〜80℃で、10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下において、0.5〜24時間真空乾燥することにより、プロトン伝導膜を得ることができる。
上記のようにして得られたプロトン伝導膜の残存溶媒量は、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下にまで低減される。
本発明の方法により得られるプロトン伝導膜は、その乾燥膜厚が、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
<電極>
本発明において使用される触媒としては、細孔の発達したカーボン材料に白金または白金合金を担持させた担持触媒が好ましい。細孔の発達したカーボン材料としては、カーボンブラックや活性炭などが好ましく使用できる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられ、また活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化、賦活処理して得られる。
また、カーボン担体に白金または白金合金を担持させた触媒を用いるが、白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、コバルト、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛、およびスズからなる群から選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
白金または白金合金の担持率(担持触媒全質量に対する白金または白金合金の質量の割合)は、20〜80質量%、特に30〜55質量%が好ましい。この範囲であれば、高い出力を得られる。担持率が20質量%未満では、充分な出力を得られないおそれがあり、80質量%を超えると、白金または白金合金の粒子を分散性よく担体となるカーボン材料に担持できないおそれがある。
また、白金または白金合金の一次粒子径は、高活性なガス拡散電極を得るためには1〜20nmであることが好ましく、特には、反応活性の点で白金または白金合金の表面積を大きく確保できる2〜5nmであることが好ましい。
本発明における触媒層には、上述の担持触媒に加え、スルホン酸基を有するイオン伝導性高分子電解質(イオン伝導性バインダー)が含まれる。通常、担持触媒は当該電解質により被覆されており、この電解質の繋がっている経路を通ってプロトン(H)が移動する。
スルホン酸基をイオン伝導性高分子電解質としては、特に、Nafion(登録商標)やFlemion(登録商標)、Aciplex(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボン重合体が好適に用いられる。なおパーフルオロカーボン重合体だけでなく、本明細書で記載されている、スルホン化ポリアリーレンなどの芳香族系炭化水素化合物を主とするイオン伝導性高分子電解質を用いてもよい。
また、前記イオン伝導性バインダーは、触媒粒子に対し、質量比で0.1〜3.0の割合で含有することが好ましく、特に0.3〜2.0の割合で含有することが好ましい。イオン伝導性バインダー比が0.1未満であると、プロトンを電解膜に伝達することができず、充分な出力が得られないおそれがあり、また、3.0を超えると、イオン伝導性バインダーが触媒粒子を完全に被覆してしまい、ガスが白金に到達できず、充分な出力が得られないおそれがある。
本発明における膜・電極接合体は、アノードの触媒層、プロトン伝導膜およびカソードの触媒層のみからなってもよいが、アノード、カソードともに触媒層の外側にカーボンペーパーやカーボンクロスのような導電性多孔質基材からなるガス拡散層が配置されるとさらに好ましい。ガス拡散層は集電体としても機能するので、本明細書ではガス拡散層を有する場合はガス拡散層と触媒層とを合わせて電極というものとする。
本発明の膜−電極接合体を備える固体高分子型燃料電池では、カソードには酸素を含むガス、アノードには水素を含むガスが供給される。具体的には、例えばガスの流路となる溝が形成されたセパレータを膜−電極接合体の両方の電極の外側に配置し、ガスの流路にガスを流すことにより膜・電極接合体に燃料となるガスを供給する。上述したように、本発明の膜・電極接合体は、特に低加湿運転のときに効果が高い。
本発明の膜−電極接合体を製造する方法としては、イオン交換膜の上に触媒層を直接形成し必要に応じガス拡散層で挟み込む方法、カーボンペーパー等のガス拡散層となる基材上に触媒層を形成しこれをイオン交換膜と接合する方法、および平板上に触媒層を形成しこれをイオン交換膜に転写した後平板を剥離し、さらに必要に応じガス拡散層で挟み込む方法等の各種の方法が採用できる。
触媒層の形成方法としては、担持触媒とスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体とを分散媒に分散させた分散液を用いて(必要に応じて撥水剤、造孔剤、増粘剤、希釈溶媒等を加え)、イオン交換膜、ガス拡散層、または平板上に噴霧、塗布、ろ過等により形成させる公知の方法が採用できる。触媒層をイオン交換膜上に直接形成しない場合は、触媒層とイオン交換膜とは、ホットプレス法、接着法(特開平7−220741参照)等により接合することが好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、プロトン伝導膜ならびに膜−電極構造体の評価は以下の記載にして行った。
<膜の調製>
得られたスルホン化重合体の15重量%溶液(溶媒はメタノール/NMP=50/50(容量比)の混合溶媒)からキャスト膜を調製した。これを大量の蒸留水に一晩浸漬し、膜中の残存NMPを希釈により取り除いた後、乾燥し、膜を得た(膜厚40μm)。
また、実施例中に記載の含窒素複素環芳香族化合物とスルホン化重合体からなるプロトン伝導膜の調製の際は、所定量の含窒素複素環芳香族化合物と得られたスルホン化アリーレンが溶液中15重量%になるように、メタノール/NMP=50/50(容量比)で溶解させ、ワニスを調製した。これを上記と同様にキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の膜を得た(膜厚40μm)。
<スルホン酸当量>
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点から、スルホン酸当量を求めた。
<分子量の測定>
スルホン酸基を有しない重合体重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
スルホン酸基を有する重合体の分子量、または耐熱試験後のスルホン酸基を有する重合体の分子量を、臭化リチウム7.83gとリン酸3.3mlとN−メチル−2−ピロリドン(NMP)2Lからなる混合溶液を溶離液として用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
<プロトン伝導度の測定>
交流抵抗は、5mm幅の短冊状膜試料の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導率を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
<耐熱性の評価>
膜厚約40μmの各フィルムを、160℃オーブン中に24時間入れた。耐熱試験前後のサンプルを、上記のNMP系のGPC溶離液99.8重量部に対し、0.2重量部のプロトン伝導膜を浸漬、溶解後、不溶分を除去し、GPC測定を行った。耐熱試験前後のGPCの溶出面積の比から不溶分含量を求めた。
<膜−電極構造体の作製>
1)触媒ペースト
平均径50nmのカーボンブラック(ファーネスブラック)に白金粒子を、カーボンブラック:白金=1:1の重量比で担持させ、触媒粒子を作製した。次に、イオン伝導性バインダーとしてのパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(DuPont社製Nafion(商品名))溶液に、前期触媒粒子を、イオン伝導性バインダー:触媒粒子=8:5の重量比で均一に分散させ、触媒ペーストを調製した。
2)ガス拡散層
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなるガス拡散層を2つ作製した。
3)電極塗布膜(CCM)の作製
本実施例で得られたプロトン伝導膜の両面に、前記触媒ペーストを、白金含有量が0.5mg/cmとなるようにバーコーター塗布し、乾燥させることにより電極塗布膜(CCM)を得た。前記乾燥は、100℃で15分間の乾燥を行った後、140℃で10分間の二次乾燥を行った。
4)膜・電極接合体の作製
前記CCMを前記ガス拡散層の下地層側で狭持し、ホットプレスを行なって膜−電極構造体を得た。前記ホットプレスは、80℃、5MPaで2分間の一次ホットプレスの後、160℃、4MPaで1分間の二次ホットプレスを行った。
また、本発明で得られた膜−電極構造体は、ガス拡散層の上にさらにガス通路を兼ねるセパレーターを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成することができる。
<発電特性の評価>
本発明の膜−電極構造体を用いて、温度70℃、燃料極側/酸素極側の相対湿度を60%/70%、電流密度を1A/cmとした発電条件により、発電性能を評価した。燃料極側には純水素を、酸素極側には空気をそれぞれ供給した。さらに、セル温度を113℃とし、電流密度0.2A/cmで燃料極側/酸素極側の相対湿度をともに44%とした発電条件で耐久テストを実施し、クロスリークに至るまでの時間を計測した。
[合成例1] 2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノンの合成
Figure 0004554568
撹拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた2L三口フラスコに、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン150.7g(0.560mol)、イミダゾール 114.4g(1.68mol)、炭酸カリウム100.6g(0.728mol)、N,N’−ジメチルアセトアミド 840mlを量りとった。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを用いて110℃で2時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を室温まで放冷した。その後、反応液を3Lの水に徐々に加え、生成物を凝固させ、ろ過した。ろ過により得られた生成物をTHF(1.2L)で溶かし、トルエン(4L)を加えた後、水層が中性になるまで食塩水により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量180gであった。
80℃に加熱したトルエン1Lとメタノール20mlの混合溶媒を用いて再結晶単離操作を行い、白色固体155gを収率87%で得た。得られた化合物のH−NMRスペクトルを図1に示す。
[合成例2] 2,5−ジクロロ−4’−(1−ピロリル)ベンゾフェノンの合成
Figure 0004554568
撹拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた2L三口フラスコに、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン134.6g(0.500mol)、ピロール50.3g(0.750mol)、炭酸カリウム76.0g(0.550mol)、脱水N,N’−ジメチルアセトアミド840mlを量りとった。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを用いて100℃で3時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を室温まで放冷した。その後、反応液を3Lの水に徐々に加え、生成物を凝固させ、ろ過した。ろ過により得られた生成物をトルエン2.5Lに溶解させた後、分液漏斗を用いて、水層が中性になるまで食塩水により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量は133.3gであった。ヘキサン、酢酸エチルの混合溶媒を用いて再結晶単離操作を行い、目的の精製物125.3g(0.396mol)を収率79.3%で得た。
[合成例3] 2,5−ジクロロ−4’−(2−ベンゾチアゾールチオキシ)ベンゾフェノンの合成
Figure 0004554568
撹拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた3L三口フラスコに、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン269.1g(1.000mol)、2−ベンゾチアゾールチオール175.6g(1.050mol)、炭酸カリウム152.0g(1.100mol)、脱水N,N’−ジメチルアセトアミド1,500mlを量りとった。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを用いて110℃で2時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を室温まで放冷した。その後、反応液を3Lの水に徐々に加え、生成物を凝固させ、ろ過した。ろ過により得られた生成物を、トルエン4Lに溶解した。この有機層を食塩水で中性になるまで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量350.3g。80℃に加熱したトルエン1.5Lを用いて再結晶単離操作を行い、精製物325.4g(0.782mol)、収率78.2%を得た。
[実施例1]
(1)含窒素複素環基含有スルホン化重合体A−N1の合成
2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン185.3g(540mmol)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン15.1g(60mmol)、合成例2で得られた2,5−ジクロロ−4’−(1−ピロリル)ベンゾフェノン7.1g(24mmol)、ヨウ化ナトリウム11.7g(78mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド11.8g(18mmol)、トリフェニルホスフィン63.0g(240mmol)、亜鉛94.1g(1.44mol)を冷却管、三方コックを取り付けた三口フラスコに入れ、70℃のオイルバスにつけ、窒素置換後、窒素雰囲気下にN−メチル−2−ピロリドン1000mlを加え、反応を開始した。20時間反応後、N−メチル−2−ピロリドン500mlで希釈し、1:10塩酸/メタノール溶液に重合反応液を注ぎ、ポリマーを析出、洗浄後、ろ過、真空乾燥後、白色の粉末を得た。収量は、148gであった。また、重量平均分子量は、154000であった。このポリマー150gに対し、濃硫酸1500mlを加え室温で24時間、撹拌しスルホン化反応を行った。反応後、大量の純水中に注ぎ、スルホン化ポリマーを析出させた。pH7になるまでポリマーを純水によって洗浄し、ろ過後、スルホン化ポリマーを回収し、90℃で真空乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は159gであった。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/g、重量平均分子量は185,000であった。このようにして得られたポリマーは、構造式(A−N1)で表される。スルホン酸基を有する重合体を、ポリマーA−N1とする。
Figure 0004554568
(2)含窒素複素環基含有スルホン化重合体A−N1の物性および発電特性評価
上記で得られた含窒素複素環基含有スルホン化重合体A―N1を、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
(1)疎水性ユニットBの合成
撹拌機、温度計、Dean−stark管、窒素導入管、冷却管を取り付けた1Lの三口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン29.8g(104mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン37.4g(111mmol)、炭酸カリウム20.0g(145mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン168mL、トルエン84mLを加えて撹拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean−stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、5時間撹拌を続けた後、4,4’−ジクロロベンゾフェノン7.5g(30mmol)を加え、さらに8時間反応させた。反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩をろ過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末をろ過、乾燥し、疎水性ユニットB56gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は10,500であった。得られた化合物は、構造式(B−1)で表される。
Figure 0004554568
(2)含窒素複素環基含有スルホン化重合体B−N1の合成
撹拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル141.6g(338mmol)、上記で得られたMn10,500の疎水性ユニットB44.5g(4.2mmol)、合成例1で得られた2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノン5.4g(16.9mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mmol)、亜鉛53.7g(820mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間撹拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。得られた溶液を撹拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れ、115℃に加熱撹拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間撹拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥して目的のスルホン化ポリマー124gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は166,000であった。得られた重合体は、式(II)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。このようにして得られたスルホン酸基を有する重合体は構造式(B−N1)で表され、ポリマーB−N1とする。
Figure 0004554568
(3)含窒素複素環基含有スルホン化重合体B−N1の物性および発電特性評価
上記で得られた含窒素複素環基含有スルホン化重合体B―N1を、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
(1)疎水性ユニットCの合成
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三口フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン67.3g(0.20mol)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン(4,4’−DCBP)60.3g(0.24mol)、炭酸カリウム71.9g(0.52mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げた。その後、反応温度を徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150℃で10時間反応を続けた後、4,4’−DCBP10.0g(0.040mol)を加え、さらに5時間反応した。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物をろ過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は11,200であった。得られた化合物は構造式(C−1)で表されるオリゴマーであった。
Figure 0004554568
(2)含窒素複素環基含有スルホン化重合体C−N1の合成
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100mLを下記構造式C−2で表される化合物モノマーC27.21g(38.6mmol)と、(1)で合成した疎水性ユニット16.13g(1.44mmol)、合成例3で得られた2,5−ジクロロ−4’−(2−ベンゾチアゾールチオキシ)ベンゾフェノン0.80g(1.93mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド0.79g(1.2mmol)、トリフェニルホスフィン4.20g(16.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.18g(1.20mmol)、亜鉛6.28g(96.1mmol)の混合物中に窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc425mLで希釈し、30分撹拌し、セライトをろ過助剤に用い、ろ過した。
濾液の一部をメタノールに注ぎ、凝固させた。ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体のGPCによる分子量は、Mn=57,500、Mw=175,300であった。
前記濾液はエバポレーターで344gまで濃縮し、濾液に臭化リチウム10.1g(0.116mol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン4Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N塩酸1500mLで撹拌しながら洗浄を行った。ろ過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄後、80℃で一晩乾燥し、目的のスルホン化ポリマー23.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=63000、Mw=194000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.0meq/gであった。得られたスルホン酸基を有する重合体は構造式(C−N1)で表され、ポリマーCN−1とする。
Figure 0004554568
Figure 0004554568
(3)含窒素複素環基含有スルホン化重合体C−N1の物性および発電特性評価
上記で得られた含窒素複素環基含有スルホン化重合体C―N1を、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
(1)疎水性ユニットDの合成
撹拌機、温度計、冷却管、Dean−Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル49.4g(0.29mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン88.4g(0.26mol)、炭酸カリウム47.3g(0.34mol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346ml、トルエン173mlを加えて撹拌した。フラスコをオイルバスにつけ、150℃に加熱還流させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean−Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。反応温度を徐々に上げながら大部分のトルエンを除去した後、200℃で3時間反応を続けた。次に、2,6−ジクロロベンゾニトリル12.3g(0.072mol)を加え、さらに5時間反応した。
得られた反応液を放冷後、トルエン100mlを加えて希釈した。副生した無機化合物の沈殿物をろ過除去し、濾液を2Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン250mlに溶解した。これをメタノール2Lに再沈殿し、目的の化合物107gを得た。
得られた目的の化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は7300であった。得られた化合物は構造式(D−1)で表されるオリゴマーであった。
Figure 0004554568
(2)含窒素複素環基含有スルホン化重合体D−N1の合成
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)540mLを、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.0g(336mmol)と、(1)で合成した疎水性ユニットD40.7g(5.6mmol)、合成例2で得られた2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノン6.71g(16.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、亜鉛53.7g(821mmol)の混合物中に窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc730mLで希釈し、30分撹拌し、セライトをろ過助剤に用い、ろ過した。
濾液の一部をメタノールに注ぎ、凝固させた。ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体のGPCによる分子量は、Mn=58,000、Mw=135,300であった。
前記濾液をエバポレーターで濃縮し、濾液に臭化リチウム43.8g(505mol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン4Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N塩酸1,500mLで撹拌しながら洗浄を行った。ろ過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄後、80℃で一晩乾燥し、目的のスルホン化ポリマー23.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=60,000、Mw=175,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.4meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーD−N1は、構造式(D−N1)で表される化合物である。
Figure 0004554568
(3)含窒素複素環基含有スルホン化重合体D−N1の物性および発電特性評価
上記で得られた含窒素複素環基含有スルホン化重合体D−N1を、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)スルホン化重合体RAの合成
2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン185.3g(540mmol)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン15.1g(60mmol)、ヨウ化ナトリウム11.7g(78mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド11.8g(18mmol)、トリフェニルホスフィン63.0g(240mmol)、亜鉛94.1g(1.44mol)を冷却管、三方コックを取り付けた三口フラスコに入れ、70℃のオイルバスにつけ、窒素置換後、窒素雰囲気下にN−メチル−2−ピロリドン1,000mlを加え、反応を開始した。20時間反応後、N−メチル−2−ピロリドン500mlで希釈し、1:10塩酸/メタノール溶液に重合反応液を注ぎ、ポリマーを析出、洗浄後、ろ過、真空乾燥後、白色の粉末を得た。収量は、153gであった。また、重量平均分子量は、159,000であった。このポリマー150gに対し、濃硫酸1,500mlを加え室温で24時間、撹拌しスルホン化反応を行った。反応後、大量の純水中に注ぎ、スルホン化ポリマーを析出させた。pH7になるまでポリマーを純水によって洗浄し、ろ過後、スルホン化ポリマーを回収し、90℃で真空乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は179gであった。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/g、重量平均分子量は183,000であった。このようにして得られたポリマーは、構造式(RA)で表され、スルホン酸基を有する重合体を、ポリマーRAとする。
Figure 0004554568
(2)スルホン化重合体RAの物性および発電特性評価
上記で得られたスルホン化重合体RAを、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
(1)スルホン化重合体RBの合成
撹拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル141.5g(337mmol)、[実施例2](1)で得られたMn10,500の疎水性ユニットB48.5g(4.6mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mmol)、亜鉛53.7g(821mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間撹拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物をろ過した。
得られた溶液を撹拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れ、115℃に加熱撹拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間撹拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、乾燥して目的のスルホン化ポリマー124gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は170,000であった。得られた重合体は、式(II)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。このようにして得られたスルホン酸基を有する重合体は構造式(RB)で表され、ポリマー(RB)とする。
Figure 0004554568
(2)スルホン化重合体RBの物性および発電特性評価
上記で得られたスルホン化重合体RBを、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
(1)スルホン化重合体RCの合成
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)100mLを上記構造式C−2で表される化合物モノマーC27.18g(38.5mmol)と、[実施例3](1)で合成した疎水性ユニット16.58g(1.48mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド0.79g(1.2mmol)、トリフェニルホスフィン4.20g(16.0mmol)、ヨウ化ナトリウム0.18g(1.20mmol)、亜鉛6.28g(96.1mmol)の混合物中に窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc425mLで希釈し、30分撹拌し、セライトをろ過助剤に用い、ろ過した。
濾液の一部をメタノールに注ぎ、凝固させた。ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体のGPCによる分子量は、Mn=59,400、Mw=178,300であった。
前記濾液はエバポレーターで344gまで濃縮し、濾液に臭化リチウム10.0g(0.116mol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン4Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N塩酸1,500mLで撹拌しながら洗浄を行った。ろ過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄し80℃で一晩乾燥し、目的のスルホン化ポリマー23.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=65,500、Mw=197,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.0meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーRCは、構造式(RC)で表される化合物である。
Figure 0004554568
(2)スルホン化重合体RCの物性および発電特性評価
上記で得られたスルホン化重合体RCを、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
(1)スルホン化重合体RDの合成
撹拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル134.6g(336mmol)と、[実施例4](1)で合成した疎水性ユニットD47.4g(6.5mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(136mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、亜鉛53.7g(820mmol)をはかりとった。これに、乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc730mLで希釈し、30分撹拌し、セライトをろ過助剤に用い、ろ過した。
濾液の一部をメタノールに注ぎ、凝固させた。ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体のGPCによる分子量は、Mn=59,400、Mw=138,000であった。
前記濾液はエバポレーターで濃縮し、これに臭化リチウム44.0g(506mmol)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン5Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N塩酸で撹拌しながら洗浄を行った。ろ過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄し80℃で一晩乾燥し、目的のスルホン化ポリマー122gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=68,000、Mw=140,000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.4meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーRDは、構造式(RD)で表される化合物であった。
Figure 0004554568
(2)スルホン化重合体RDの物性および発電特性評価
上記で得られたスルホン化重合体RDを、メタノール/NMP=50/50の混合溶媒に15重量%になるよう溶解し、ワニスを調製した。これをキャスト法により、キャスト膜を調製し、大量の蒸留水への浸漬により、膜中の残存NMPを希釈により除去し、目的の40μmの膜を得た。得られた膜を用いて、プロトン伝導性評価、耐熱性評価を行った。また、膜−電極構造体を作製し、発電性能および耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004554568
<発電特性の評価−2>
本発明の膜−電極構造体を用いて、セル温度を113℃、電流密度0.1A/cmで燃料極側/酸素極側の相対湿度をともに53%とした発電条件で240時間の耐久テストを実施し、膜の耐久性について調べた。膜の劣化状況は、強度残存率と分子量保持率により確認した。
<強度残存率の測定>
発電耐久テスト後の膜の強度残存率は以下のようにして求めた。本発明で得られた膜−電極構造体より、カーボンペーパーと下地層からなる拡散層を剥がし、CCMの状態とした。JIS K6251に記載の7号ダンベル形状に試料片を打ち抜き、JIS K7113に準じ、湿度23±2℃、相対湿度50±5%の条件下で48時間の状態調整を行い、破断強度の測定を行った(引張速度:50mm/min)。発電耐久テスト前後の値より、耐久テスト後の強度残存率を求めた。引張り試験測定装置は、島津製作所製AGS−J 500Nにより行った。
強度残存率(%)=耐久テスト後破断荷重(N)/初期破断荷重(N)×100
<分子量保持率の測定>
発電耐久テスト後の膜の分子量保持率は以下のようにして求めた。発電耐久テスト終了後の膜−電極構造体より、カーボンペーパーと下地層からなる拡散層を剥がし、CCMの状態とした。CCMより、スチームクリーナーを用いて電極を剥がし、電解膜の状態とした。得られた膜を1cmにカットし、50mlの0.5mol/L硫酸に10分浸漬し、酸処理を行った。次いでサンプルを純水で洗浄し、95℃のオーブンで1時間乾燥し、測定用サンプルとした。得られたサンプルを、臭化リチウムとリン酸とN−メチル−2−ピロリドンからなる混合溶液を溶離液として用い、GPCによって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。発電耐久テスト前後の値より、耐久テスト後の分子量保持率を求めた。
分子量保持率(%)=耐久テスト後分子量Mn/初期分子量Mn×100
本発明で得られた膜−電極構造体の発電耐久性の評価結果を表2に示す。
Figure 0004554568
本実施例によれば、含窒素複素環芳香族基を含むものは、プロトン伝導性ならびに耐熱性が高く、さらに、本発明によるプロトン伝導膜を使用することにより、優れた発電性能ならびに高温耐久性を有する膜−電極構造体が得られる。
合成例1で得られた化合物のH−NMRスペクトルを示す。

Claims (4)

  1. 固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、
    前記固体高分子電解質膜は、主鎖がポリフェニレン構造であり、スルホン酸基を有する側鎖と、含窒素複素環基を有する側鎖と、を有する構造を含み、
    前記含窒素複素環基を有する側鎖が下記一般式(D)で表され、前記スルホン酸基を有する側鎖が下記一般式(E)で表される固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
    Figure 0004554568
    (式中、Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは−CO−を示し、R 20 は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pは1を示す。)
    Figure 0004554568
    (式中、Yは−CO−を示し、Zは直接結合または、−(CH −(lは1〜10の整数である)、−C(CH −、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO H、−O(CH SO Hまたは−O(CF SO Hで表される置換基を有する芳香族基を示す。hは1〜12の整数を示し、mは0または1を示し、nは0を示し、kは1〜4の整数を示す。)
  2. 前記含窒素複素環基がピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基である請求項記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
  3. 固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極、他方の面にカソード電極を設けた固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体において、
    前記固体高分子電解質膜は、主鎖がポリフェニレン構造であり、スルホン酸基を有する側鎖と、含窒素複素環基を有する側鎖と、を有する構造を含み、
    下記一般式(C)で表される構造単位および下記一般式(A)で表される構造単位を含む固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
    Figure 0004554568
    (式中、Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは−CO−を示し、R20は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pはを示す。)
    Figure 0004554568
    (式中、Yは−CO−を示し、Zは直接結合または、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SOH、−O(CHSOHまたは−O(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基を示す。hは1〜12の整数を示し、mは0または1を示し、nはを示し、kは1〜4の整数を示す。)
  4. さらに下記一般式(B)で表される構造を有する請求項記載の固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体。
    Figure 0004554568
    (式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(lは1〜10の整数である)、−(CH−(lは1〜10の整数である)、−CR’−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
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