JP4561432B2 - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高い生産性及び製造歩留まりで低酸素量のR−T−B系焼結磁石を製造する方法を提供することを目的とする。
はじめに本発明の特徴である、有機液体を用いた顆粒化技術について説明する。
本発明は、有機液体により合金粒子を付着させることにより顆粒を構成する。有機液体が合金粒子間に存在することにより、液体架橋が生じ合金粒子同士を付着させているものと解される。有機液体による付着力は、従来のPVA等のバインダによる付着力に比べて極めて弱い。したがって、本発明により得られる顆粒は、磁場中成形時に印加される磁場によって容易に崩壊し合金粒子に分離する。そのため、高い配高度を得ることができる。これまで、バインダを用いることが顆粒作製の前提として考えられてきたが、本発明のように有機液体を用いた場合でも、流動性の高い顆粒が得られることを見出した価値は大きい。しかも、有機液体が顆粒に存在しているため、金型への顆粒の付着も防止される。加えて、この顆粒は、磁場印加により崩壊するため、磁場中成形を行うR−T−B系焼結磁石にとって好適である。さらに、有機液体は、従来のバインダであるPVA等の樹脂に比べて、成形体からの除去が極めて容易であり、従来の顆粒技術を用いた場合には必須とされていた脱バインダ工程を省くことが可能であり、工程的な利点をも含んでいる。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板又は薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R2T14B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
本発明は有機液体を用いて顆粒を作製する。すなわち、本発明では、微粉砕粉末(合金粒子)を、有機液体による付着力で付着させ、顆粒を形成する。このような液体(本発明では有機液体)による付着力は、液体架橋力と称されている。なおここで、有機液体は、一般に有機溶媒と呼ばれている物質を包含するが、本発明では溶媒として機能しないことから有機液体と呼んでいる。
もちろん、ここに挙げた有機液体に限るものではなく、これ以外にも、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等や、グリセリン等、他の有機液体を用いることも可能である。
また、本発明に用いる有機液体は、室温では気化しないよう、沸点が50℃以上、より好ましくは100℃以上であるのが好ましい。
加熱温度が高すぎると顆粒を構成する合金粒子に酸化が生じ磁気特性の劣化を招くおそれがある。したがって加熱する場合には、加熱温度を40〜80℃とすることが好ましい。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3t/cm2の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増又は漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
印加する磁場は、12〜20kOe程度とすればよい。この程度の磁場を印加することにより、顆粒は崩壊して合金粒子に分解される。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
本発明は、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが好ましい。このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR2T14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2T14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。好ましいRの量は28〜35wt%、さらに好ましいRの量は29〜33wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを2wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1wt%、さらに望ましくは0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが好ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を2500ppm以下、さらには2000ppm以下とすることが好ましい。より好ましくは、1500ppm以下である。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
ストリップキャスト法により、23.2wt%Nd−5.75wt%Dy−0.55wt%Pr−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−0.23wt%Zr−1wt%B−Bal.Feの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行う水素粉砕処理を行った。なお、この水素粉砕処理の工程から後述する焼結の工程までは、酸素量が200ppm以下の雰囲気下で工程が実施された。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行う程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5μmの微粉砕粉末を得た。
この混練物から以下のようにして顆粒を作製した。所定の間隔を隔てて、50メッシュの篩(第1篩)と83メッシュの篩(第2篩)を上下方向に配置した。なお、第1篩が上側に位置している。第1篩の上に、得られた混練物を載せた後に、第1篩及び第2篩をともに所定時間振動させた。振動終了後に、第2篩上に残存した顆粒を採取した。この顆粒は、第1篩及び第2篩の目開き寸法より、180〜300μmの粒径を有していることになる。
安息角測定方法:60mmφの円のテーブルの上に、一定高さからふるいを通して少しずつ顆粒を落下させた。顆粒の山が崩壊する直前で顆粒の供給を停止した。円テーブルの上にできた顆粒の山の底角を測定した。円テーブルを120°ずつ回転し、計3箇所について角度を測定し、その平均を安息角とした。
図2(a)に示すように、有機液体を用いて顆粒化された顆粒から形成された成形体は、微粉砕粉末を顆粒化することなく形成した成形体(図2(b)参照)と比較して、空孔が少なく、緻密なものとなっている。
なお、顆粒の残留量の調整はターピネオールを6.5wt%添加した後、10-3Torrの減圧雰囲気に顆粒を晒す時間を調整することで制御した。
さらに、有機液体の残留量が減ると安息角が増加する傾向も確認できる。これは、有機液体の残留量が少なくなると微粉砕粉末の接合力が弱くなり、その結果微粉の付着が発生したためと考えられる。
ストリップキャスト法により、23.2wt%Nd−5.75wt%Dy−0.55wt%Pr−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−0.23wt%Zr−1wt%B−Bal.Feの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。なお、この水素粉砕処理の工程から後述する焼結の工程までは、酸素量が200ppm以下の雰囲気下で工程が実施された。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5μmの微粉砕粉末を得た。
安息角測定方法:60mmφの円のテーブルの上に、一定高さからふるいを通して少しずつ顆粒を落下させた。顆粒の山が崩壊する直前で顆粒の供給を停止した。円テーブルの上にできた顆粒の山の底角を測定した。円テーブルを120°ずつ回転し、計3箇所について角度を測定し、その平均を安息角とした。
得られた成形体を真空中及びAr雰囲気中で1080℃まで昇温し4時間保持して焼結を行った。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と560℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
ストリップキャスト法により、23.2wt%Nd−5.75wt%Dy−0.55wt%Pr−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−0.23wt%Zr−1wt%B−Bal.Feの組成を有する原料合金を作製した。
次いで、室温にて原料合金に水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。なお、この水素粉砕処理の工程から後述する焼結の工程までは、酸素量が200ppm以下の雰囲気下で工程が実施された。
水素粉砕処理が施された合金に、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与する潤滑剤を0.05〜0.1%混合した。潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。その後、ジェットミルを用いて平均粒径が5μmの微粉砕粉末を得た。
◎:クラック、金型付着、割れ・欠けの発生が、全数の3%未満
○:クラック、金型付着、割れ・欠けの発生が、全数の3〜15%
×:クラック、金型付着、割れ・欠けの発生が、全数の15%超
Claims (7)
- R−T−B系焼結磁石(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを主体とする少なくとも1種以上の遷移金属元素)の製造方法であって、
原料合金を粉砕して原料合金粉末を得る工程(a)と、
前記原料合金粉末を構成する合金粒子を有機液体で付着して顆粒を得る工程(b)と、
前記顆粒を加圧成形して成形体を得る工程(c)と、
前記成形体を焼結する工程(d)と、を備え、
前記工程(a)から前記工程(d)までの工程を実施する雰囲気の酸素量を200ppm以下とするとともに、
前記有機液体は、トルエン、エタノール、ブチルセロソルブ、セロソルブ、カルビトール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ターピネオール、オクタノールから選択される1種又は2種であることを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。 - 前記有機液体は、複数の前記合金粒子の接点部分に少なくとも介在していることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記顆粒は、第1の有機液体と前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い液成分で付着していることを特徴とする請求項1又は2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記顆粒を減圧雰囲気に晒すことにより、前記第1の有機液体よりも優先的に前記液成分を除去する工程を備えることを特徴とする請求項3に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記液成分は、前記第1の有機液体よりも飽和蒸気圧の高い第2の有機液体であることを特徴とする請求項3に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記合金粒子に対して、前記第1の有機液体を6wt%以下(ただし、0を含まず)、前記第2の有機液体を15wt%以下(ただし、0を含まず)添加することを特徴とする請求項5に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記顆粒を減圧雰囲気に晒すことにより、前記第1の有機液体よりも優先的に前記第2の有機液体を除去する工程を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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