JP4565663B2 - 液滴の形状計測方法及び装置 - Google Patents

液滴の形状計測方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、回折パターンを用いて基板上に配置した微小な液滴の、形状を正確に計測するための形状計測方法及び装置に関するものである。
通常、接触角計を用いて液滴の形状を計測する場合、まず対象となる基板上に液体を滴下し、1mm程度の直径をもつ液滴を形成する。そののちに形成した液滴を、基板に対して平行な方向から撮像し、撮像した液滴の画像から接触角および液滴などの液滴の形状を測定する方法がとられていた。100μm角以下の領域を対象とした濡れ性評価のためには、100μm以下の直径をもつ液滴を基板上に形成し、その形状を計測する必要がある。
従来の接触角計を用いて、直径が100μm以下の微小な液滴の形状を計測すると、通常の場合と比べ測定対象物である液滴が格段に小さいため、接触角計の撮像装置に非常に高い解像度が要求される。したがって、そのような高い機能を有する撮像装置を備えるのはコストの面から実用的ではなかった。
一方で100μm以下の微小な物体の形状を測定する有力な方法としては、光の干渉現象を利用した干渉計を用いた形状計測技術が従来から知られている。
干渉計を用いた形状計測技術は、光の干渉現象を利用するため、光の波長、すなわちサブミクロン以下の精度で物体の形状を計測することが可能である。このため干渉計をもちいた形状計測技術は半導体微細加工の分野などで、加工物の形状評価手法として広く利用されている。
従来の干渉計のなかで、表面形状を評価する方法として主なものを挙げる。
特許文献1に記載の反射型干渉計によると、まず規則的に配置されたパターンを備える基板に対して、レーザー光を斜めに入射させる。そして、入射した際に発生する回折パターンを解析することによって、基板上に形成された規則的に配置されたパターンの膜厚を測定することができる。
この技術では、発生する回折パターンをあらかじめ光学理論に基づいて計算して判定テーブルとし、膜厚の測定時には判定テーブルを検索して回折強度と最も近い場合の膜厚を抽出する。
また、特許文献2に記載の反射型干渉計では、偏光を利用した方法が提案されている。これは、試料の手前におかれた透明平行板に、例えば光線のS偏光成分を反射し、P偏光成分を透過するようなコーティングを施すことで試料に入射させるレーザー光を参照光と試料光に分割し、互いに干渉させることで回折パターンを得るものである。
特許文献3には透過型干渉計が記載されている。透明領域の透過光に対し、位相差が生じるような位相領域を有するパターンが形成されたものについて、透過光が作る回折パターンから位相領域の位相差を求める方法が提案されている。ここでは、直線偏光を複屈折プリズムとコンデンサレンズに透過させ、異なる偏光方向の2光束に分離し、試料に照射する。試料を透過した2光束は再度複屈折プリズムで再結合され、結像面に干渉像を生成する。干渉像の明暗は2光束の位相差によって変化するため、回折パターンを評価することで試料上の位相差を検出することができる。
特開2002−277216号公報 特開2001−41724号公報 特開平8−94444号公報
ところが、上記に挙げた光の回折パターンを利用した微細加工物の表面形状の測定技術は、液滴に用いた際に、下記のような点について問題がある。
特許文献1の技術は、レーザーを斜めから照射するので、測定対象物が液滴の場合、レーザー光が照射されない部分が生じてしまう。
したがって、特許文献1に記載の光学系を液滴の形状計測に適用すると、正確に形状を求めることはできない。
特許文献2に掲載されている反射光学系を用いた位相シフト法を用いる測定方法では、形状を計測するために、測定対象物を移動させるか、物体に入射する光の位相を変更し、少なくとも2種類以上の干渉縞を計測する必要があった。このため測定に時間がかかってしまう。
したがって、数秒で蒸発してしまう微小な液滴の形状を計測することは困難である。
また、測定対象物を移動させる機構が必要であったり、光の位相を変更したりする機構が必要で、コストや装置構成の複雑さも問題である。
特許文献3に掲載されている透過光学系を用いた位相シフト法では、膜厚を位相差によって測定することが可能であるが、基板に対して急峻に高さが変化する液滴などの形状を測定することは困難である。
また、測定に時間がかかり、測定対象物を移動させる機構が必要であったり、光の位相を変更したりする機構が必要であり、測定時間およびコストや装置構成の複雑さにやはり難がある。
したがって、基板上に配置した直径が20〜100μm程度の液滴の形状を迅速かつ簡便に求めるのはやはり困難であった。
本発明の目的は、従来の技術では測定が困難であった基板上に配置された100μm以下の直径を持つ微小な液滴の形状を、できるだけ簡便な構成で、正確に測定ができる液滴形状計測方法及び装置を提供することである。
本発明の液滴形状計測方法は、基板上に配置された液滴に対して、レーザー光を前記基板に垂直に照射し、前記液滴に前記レーザー光が照射される際に発生する回折光同士が干渉することで生じる干渉縞(回折パターンを検出する第1の工程と、
前記液滴の屈折率、及び検出された前記干渉縞(回折パターンから、前記液滴表面の形状を求める第2の工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、接触径が100mm以下の液滴の形状を、簡便な構成で正確且つ迅速に計測することが可能である。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、位相状態が既知のレーザー光源1に対し、レーザー光Lのビーム径を調整することが可能な光学系2を設置する。基板3は光軸に対し垂直に設置し、基板3には予め液滴4が配置されている。レーザー光Lを基板3の裏面側から液滴4に照射し、得られる回折パターンを検出器5(スクリーン)上に結像させる。この回折パターンを撮像装置6によって撮像し、解析装置へ入力し、液滴4の形状を検出する。
本発明の液滴形状計測方法の流れを図8にしたがって説明する。
まず、S1の工程は基板3上に配置された液滴4に対して、レーザー光Lを照射する工程である。つづいてS2の工程として、照射したレーザー光Lによって発生する回折光同士が干渉することによって生じる回折パターンを検出器5に結像させる。S3の工程においては、撮像装置6などを用い、回折パターンの強度分布を記録する。なお、S2,S3の工程をエリアセンサなどを用いて一括して行っても良い。S4の工程では、S3の工程で記録した回折パターンを解析装置に入力し、数値データに変換する。S5の工程では、解析装置を用いて、予め計算によって用意しておいた接触径と接触角と屈折率ごとに作成された回折パターンのデータベースに記録された回折パターンと、S4の工程で変換した回折パターンの数値データとを比較し、最も一致するものを求める。S6の工程は、最も一致したデータベースの形状値を計測結果として出力する。
本発明による液滴形状計測方法は、レーザー光Lを基板3の上の液滴4に照射して発生させた回折パターンを検出する第1の工程と、前記液滴4の屈折率及び検出された回折パターンより液滴4の形状をもとめる第2の工程を有する。
次に、図9を用いて、解析装置について説明する。
解析装置7は、ビデオボード71、CPU72、メモリ74、記憶領域73から成るPCを利用する。但し、回折パターンを予め外部記憶域77に蓄えている場合は、ビデオボード71は必須ではない。この解析装置7には、回折パターンを取得するための撮像装置6、ユーザーインターフェースを表示するためのディスプレイ75、種々の入力を行なうキーボード76と、必要に応じて外部記憶域77が接続されている。
このような構成の解析装置7では以下のような処理が行なわれる。まず、解析装置7のビデオボード71と撮像装置6により回折パターンを取得する。この回折パターンは記憶領域73に保存される。記憶領域73に保存した画像データは、キーボード76などの入力手段により、適切な命令を受け、メモリ74に蓄えられ、CPU72によって解析に用いる形式の数値データに変換される。変換された数値データはメモリ74に書き出された後、記憶領域73に保存される。次に、メモリ74にデータベースを読み込む。
このとき、データベースは、解析装置7の内部の記憶領域73に保存されている場合と外部記憶域77に保存されている場合がある。読み込まれたデータベースはメモリ74に入力される。解析を行なう、数値データを記憶領域73よりメモリ74に読み込み、CPU72によってデータベースとの照合が行なわれる。最も一致する結果をディスプレイ75に表示する。解析装置7はこのような構成であるが、以上説明した場合に限定されないことは言うまでもない。
本発明のレーザー光源1としては、物体への入射位置で光軸に対して垂直な位相面をもつなど、位相状態が既知であるレーザー光源を用いることが好ましい。
レーザーの種類として、ガスレーザーや固体レーザー、レーザーダイオードなどレーザー媒質により様々なものがあるが、波長や波長の幅、射出時のビーム形状、ビーム強度などについて、液滴4の吸収スペクトルや検出方法に応じて最適なものを選択する。特にビーム形状が真円でビーム品質の良いガスレーザーを用いるのが好ましい。
レーザービーム形状は液滴4の形状にもよるが、測定や解析の容易さから真円である方が好ましい。またビーム径は液滴4の代表長さより大きい方が好ましい。レーザー光の位相状態は液滴4への入射位置で光軸に対し垂直な面を有すれば良いので、ビームを平行光束にするコリメート光学系でも、基板3上でビームが最も細くなる集光光学系のどちらでも利用可能である。従ってレーザー光を調整する光学系2としては、レーザー光が基板3上で任意の径で等位相面を持つようにするものであれば良い。
レーザー光の状態や検出方法によってはレーザー光を調整する光学系2を用いなくても良い。
基板3の材質は透過光学系を用いるか、反射光学系を用いるかで決まる。基板3の背面よりレーザー光を垂直に入射し、レーザー光が液滴4を透過する透過光学系の場合は、基板3は使用するレーザー光に対し透明である必要がある。基板3の表面の状態としては、使用するレーザー光の波長以下の厚みでかつ透明であれば、表面に薄膜やパターンがあっても問題はない。
また、図5に示すように、液滴4に対して、レーザー光源21から光学系22を経てレーザー光を直接照射する反射光学系を用いる場合は、表面の荒さが波長に対して小さく、極端にレーザー光を吸収することがなければ、基板の種類や材質に特に制限はない。
ただし、基板表面に金属膜などによるパターンがある場合や、基板そのものに段差があり、波長より大きな構造を持つ場合は発生する回折パターンの形状に影響するため、予め基板の構造を把握しておく必要がある。
液滴4は、少なくとも1種類以上の組成からなる液体、ソフトマテリアルなどからなる。
本発明による形状計測方法が特に効果を発揮する液滴4の大きさは、接触径が100μm以下であり、屈折率が既知であれば良い。
なお、本発明における測定対象物としては、液滴だけでなく、基板の法線方向に対して軸対象な形状であれば測定することができる。例えばマイクロレンズなどを基板上に配置して、測定対象物としても形状を計測することは可能である。
さて、光源や測定対象物について詳細に述べたので、次に本発明に特徴的な光学系について以下に説明する。
本願発明者らは、本発明による光学系2は、測定対象物が液滴4であることから、その基本構成として、レーザー光Lを液滴4を配置した基板3に対し、垂直であればよいことを見出した。
この理由としては以下のことが挙げられる。
まず、透過型の光学系2について述べる。透過型の光学系2では、液滴4の設置された基板3に対し、斜めにレーザー光Lを入射させた場合、液滴4での回折光に加えて、基板3をレーザー光Lが透過する際の屈折や散乱を考慮しなくてはならない。そのため垂直に入射する場合に比べ、解析に用いるパラメータが増加する。また、観察される回折パターンの強度分布も同心円ではなく、複雑になるため計算すべきデータの数も増加する。これらの理由から、透過型の光学系2に対してレーザー光Lを斜に入射させることは、計測及び解析時間の増加や工程の複雑化を招き、実用には適さなくなってしまう。
次に、反射型の光学系2について述べる。反射型の場合、レーザー光Lを斜めに入射させた場合、液滴4の形状のため、レーザー光Lが当たらない部分が発生する場合がある。また、入射光の角度が液滴4の接触角よりも大きくないと、入射側の液滴表面での反射光が、検出器5に到達しない。
したがって、反射型において、レーザー光Lを斜めに入射させると、液滴表面からの回折光を正確に検出することが困難になる。そのため高精度な計測はできない。さらには、透過型の場合と同様に、回折パターンの強度分布が複雑になるため、解析やデータベースの計算に多大な時間がかかってしまうという問題がある。
以上のことから、基板上に配置した液滴を、簡便な手段をもって、高速かつ高精度にその形状を計測するためには、本発明のように、レーザー光を垂直に入射する必要がある。
検出器5の材質としては、回折パターンを投影できるものであれば特に制限はない。光を散乱する材質を用いたスクリーンに回折パターンを投影し、投影したパターンを、撮像装置6を用いて撮像するか、またはフォトダイオードなどの光学センサーを用いて、回折パターンの任意の領域を直接検出する方法などが考えられる。スクリーンの材料としてはトレーシングペーパーや、拡散板、オパールガラスなどが考えられる。
撮像装置6を用いて回折パターンを撮像する際は、レーザー光源1と、液滴4と検出器5との位置関係が重要である。図1の(a)に示したように、液滴4に対して垂直にレーザー光Lを入射させ、レーザー光Lを入射させることで発生した回折光による回折パターンを精度良く撮影するためには、検出器5(スクリーン)に投影し、撮像装置6を垂直に設置するとよい。
検出器5が透過型のスクリーンであれば、スクリーンの背面より撮影が可能であるので、光軸に対し撮像装置6を垂直に設置可能である。正面から撮影する場合は、ハーフミラーを用いて撮影することで、光軸に垂直な画像を撮影可能である。しかしながら、それ以外では垂直に設置することが困難である。撮像装置6を垂直以外に設置する場合は、撮像装置6の傾きや距離に基づき、回折パターンから液滴の形状を求める際に補正する必要がある。
撮像装置6の種類としては、デジタル一眼レフカメラや、CMOS、CCDカメラなど、輝度に対するダイナミックレンジが大きく、シャッタースピードが可変なものが好ましい。またフレームレートの高いカメラを撮像手段として使うと、本発明の測定対象としている100μm以下の接触径をもつ微小な液滴の蒸発過程などの、非常に短い時間に起きる液滴の経時変化を捉えることもできる。
解析装置7においては、撮像装置6から回折パターンのデータを入力し、回折パターンから物体形状を計測可能であれば、一般的なPCで問題はない。
検出器5又は撮像装置6で検出した回折パターンから基板3上の物体の形状を決定するためには、回折パターンの解析結果から光学理論に基づいて測定対象物の形状を決定する必要がある。
回折パターンから形状を特定する方法としては、以下のようなものが考えられる。
第1の方法は、予想しうる全ての形状を抽出し、それぞれその形状をもつ物体を実際に用意して、上記の光学系2によって回折パターンを検出し、データベース化したのち、液滴4から得られた回折パターンと比較する方法である。
第2の方法は、予想しうる全ての形状を抽出し、上記の光学系2によって発生する回折パターンを光学理論に基づいて算出し、データベースを作成し、得られた回折パターンと比較する方法である。
第3の方法は、検出した回折パターンごとに光学理論に基づく計算によって、液滴4の形状を算出する方法である。
このような方法の中から、物体の形状や解析装置の性能に応じて最適なものを選べば良い。
第一の方法は、容易に実施できる。本実施形態では、以下に第2の方法を例に挙げて、得られた回折パターンから液滴の形状を決定する方法を説明する。
まず、上記で説明した本発明の光学系2による形状測定を行なう前に、あらかじめデータベースの作成を行なう。このデータベースは、液滴4に対して光学理論に基づいた数値計算によって、液滴4の屈折率及び液滴4と検出器5(スクリーン)までの距離などの実際の測定と同じ条件にした場合の、液滴の形状と回折パターンとを関係づけた数値データを記録したものである。本測定では、測定対象物は全て液滴形状であるものとして、接触径と接触角に対応した数値データを複数保持したものが、屈折率ごとに用意されていることが望ましい。このデータベース作成の工程は、図8のS0の工程に当たる。
以上のように、本発明の液滴形状計測方法は、簡便な装置構成で迅速に形状計測を行なうため、100μm以下の微小な液滴の形状計測に好適に利用可能である。
また、測定対象物が蒸発しやすい液体からなるものであれば、回折パターンが逐次で経時変化する。したがって、適当な時間間隔で決められた時刻での測定対象物の形状を決定すれば、蒸発しやすい測定対象物の形状の経時変化を観測することも可能である。
図1の(a)は、実施例1による液滴形状計測装置を示す。この液滴形状計測装置は基板3上の液滴4の背面より、光学系2によってビーム径を調整したレーザー光Lを照射し、液滴4を透過することで生じる回折光による回折パターンを検出器5で検出する。検出器5には透過型のスクリーンを用い、検出器5の背面より光軸に垂直な像を得られるように撮像装置6を設置してある。撮像装置6で撮影した画像は解析装置7によって画像処理を行ない、液滴4の形状を測定する。
レーザー光源1には、波長632.8nmのHe−Neレーザーを用いた。射出径は0.8mmであった。
レーザービーム径は基板3上で約150μmになるように光学系2を調整した。ビーム径調整用の光学系はビームエキスパンダーと平凸レンズによって構成した。本実施例では、波長632.8nmに最適化された倍率3倍のビームエキスパンダーを用いた。平凸レンズは焦点距離400mmのものを使用した。この構成によってビーム径は基板3上の液滴4の位置で最も細くなり、位相面が光軸に対し水平面となるよう調整される。液滴4を配置する基板3には厚さ0.7mmのガラスを用いた。測定対象物として本実施例ではエチレングリコール液滴を用いた。
エチレングリコールの屈折率は常温で1,431である。
検出器5としては、トレーシングペーパーを透過型のスクリーンとして用いた。このときレーザー光源1の光軸とスクリーンが垂直となるように調整した。調整はスクリーン保持具にミラーを取り付け、レーザー光Lの戻り光がレーザー光射出部に戻るように保持具の角度を調整した。
検出器5であるスクリーンと基板3との距離は5cmとした。
撮影装置6は画素数1024×1024のCMOSカメラに焦点距離55mmのマクロレンズを装着した。これにより画角は約50×50mmとなり、解像度は約42μm/画素となった。
基板3上にインクジェット法を用いてエチレングリコールを1滴滴下した後、基板3を光軸上に設置した。エチレングリコール液滴にレーザー光Lが照射されるように基板3の位置を調整し、回折パターンがスクリーン上に写ることを目視で確認した後、カメラなどの撮像装置6で回折パターン撮影した。
図2は撮影した回折パターンの画像を示す。図2に示すように、回折パターンは同心円のパターンであった。
図1の(b)は図2の回折パターン画像における、同心円の中心付近の様子を模式化したものである。回折パターンの中心8を起点に中心から離れるにつれて、暗部9、明部10、暗部11と明暗が繰り返されている。
回折パターンを撮影する前に、エチレングリコール液滴を滴下せずに、レーザー光Lのみを基板3に照射し、検出器5(スクリーン)上の光軸位置を求めておいた。その位置を回折パターンの中心として半径方向(図1の(b)の矢印で例示した。同心円状の回折パターンの中心を始点とした任意の方向を選んでよい。)の輝度を計測した。回折パターンの暗部を縞位置と定義して、検出した回折パターンの縞位置を計測すると、中心から順に0.46mm、0.8mm、1.22mmとなった。
本実施例において用いたエチレングリコール液滴は、インクジェットによって吐出された数十plの液滴である。このサイズの液滴4は基板3上での接触径が100μm以下になる。接触径が100μm程度以下の液滴は重力の影響が極めて小さく、形状は基板3の表面張力と液滴4の内部圧力のみで決定される。このような場合、液滴形状は球の一部となる。球の一部であれば、液滴形状は接触径と接触角で記述可能である。
液滴4は接触径と接触角で記述可能であることから、液滴4のレーザー光Lを照射した際に得られる回折パターンの解析は容易である。
また、理論上、回折パターンは液滴の形状と屈折率に固有である。したがって1つの回折パターンからは1つの液滴形状のみが決定できる。
本発明では、理論的な計算結果に基づく液滴形状と回折パターンのデータベースを用いて形状を測定することが望ましい。
本実施例においては、図3に示すような縞位置と接触径、接触角の関係を記録したデータベースを用意し、エチレングリコール液滴の形状計測に利用する。
この図3は、本装置構成において得られる回折パターンの縞位置と接触径の関係を、光学理論にもとづき計算し、グラフ化したものである。理論的に、中心に近い縞位置は接触角や屈折率の影響が小さいことがわかっている。したがって、液滴径は屈折率によらず、この図を用いて求めることができる。
図3では、中心に最も近い暗部位置から順に1次縞位置、2次縞位置、としたとき、1次〜4次までの縞位置と接触径の関係をグラフにしている。
図3に示すような接触径と縞位置の関係をもとに、図2の回折パターンの縞位置から想定される接触径を求めると、約90μmであった。この値を元に、エチレングリコールの屈折率に対し、接触角を変化させ回折パターンを計算した。計算された回折パターンと、検出した回折パターンと比較したところ、良く一致したものは44〜46度であった。
したがって、このエチレングリコール液滴の形状は、接触径が約90μmで、接触角が44〜46度と考えられた。
本実施例におけるエチレングリコール液滴は数秒で蒸発した。回折パターンの経時変化に沿って、適当な時間間隔でエチレングリコールの液滴の形状を測定したところ、接触径、接触角の経時変化を計測できた。したがって、本装置を用いて、液滴蒸発に伴う形状変化の過程を観察することもできるといえる。
[参考例1]
次に、実施例1と同じ光学系を用いて、マイクロレンズの形状計測を行なった。マイクロレンズは形状的に液滴と等価であり、同じ理論によって形状の測定が可能である。また、液滴と異なり経時変化がないため、別の測定方法によって計測が可能である。別の測定方法の測定結果と、本測定の測定結果を比較することで、測定の確からしさを証明することが可能である。
マイクロレンズの屈折率は、光学的な測定方法を用いて計測したところ、使用するレーザー波長に対し1.596であった。
基板上に形成されたこのマイクロレンズに対し、実施例1と同様の手順によって、回折パターンを獲得した。図4はこのマイクロレンズから得られた回折パターンである。図4より、縞位置を計測すると中心から順に、1.5mm、2.3mm、3.6mmであった。
図3を用いて、接触径を求めると、約30μmと測定された。また、マイクロレンズの屈折率に対して接触角を変化させた回折パターンを計算すると、図4と良く一致する回折パターンは、接触角が約29度か30度のものであった。
したがって、本参考例によって計測したマイクロレンズの形状は接触径約30μm、接触角29度または30度といえる。
測定結果の確からしさを確認するため、マイクロレンズの形状を共焦点顕微鏡によって計測したところ、接触径は31.2μm、接触角は28.1度であった。この値は、本参考例で計測した値と非常によく一致している。特に共焦点顕微鏡による形状測定と本参考例による形状測定結果を比較すると、接触径は約1μm、接触角は約2度の誤差内で計測可能と考えられる。
[参考例2]
図5は、反射光学系による回折パターンを計測する装置構成の例を示す。この形状計測装置は、レーザー光源21より射出されたレーザー光Lを、基板3上でレーザー光Lが光軸に水平な等位相面を持つように光学系22によって調整し、レーザー光Lを液滴形状の測定対象物24に垂直に入射させる。測定対象物24に入射したレーザー光Lは液滴形状の測定対象物24を透過し、基板3で反射され、液滴形状の測定対象物24から出射する。このときレーザー光Lは液滴形状の測定対象物24の形状に応じて位相がずれ、回折パターンが発生する。検出器5でこの回折パターンを観測し、撮像装置6で撮影する構成である。検出器5及び撮像装置6の組み合わせは、トレーシングペーパーなどからなる回折パターンを単に写しだすスクリーンとカメラなどの一般的な撮像装置を用いてよい。また検出器5としてエリアセンサなどを用いて、回折パターンを直接画像データとして記録してもよい。
検出器5のスクリーンを光軸に垂直に設置するため、中央にレーザー光Lが通る穴を設けてある。
レーザー光源21には波長632.8nmのHe−Neレーザーを用いた。
レーザービーム径は測定対象物24への入射位置で約150μmになるように光学系22を設定した。ビーム径調整用の光学系22はビームエキスパンダーと平凸レンズによって構成した。本参考例では、波長632.8nmに最適化された倍率3倍のビームエキスパンダーを用いた。平凸レンズは焦点距離400mmのものを使用した。この構成によってビーム径は基板3上の測定対象物24の位置で最も細くなり、位相面が光軸に対し水平面となるよう調整される。
本参考例における測定対象物24として参考例1で利用したものとは別のマイクロレンズを用いた。
検出器5としてトレーシングペーパーを透過型のスクリーンとして用いた。このときレーザー光源21の光軸とスクリーンは垂直になるように調整した。
検出器5(スクリーン)と基板3との距離は8cmとした。
撮像装置6は画素数3504×2336のデジタル一眼レフカメラを用いた。画角は約70×47mmとなり、解像度は約20μm/画素となった。
撮像装置6の設置角度は、光軸から約20度傾いている。
マイクロレンズが設置された基板3を光軸上に設置し、回折パターンが得られることを目視で確認した後、カメラで撮影した。
図6は撮影した回折パターンの画像の右半分である。この図に示すように、回折パターンは同心円のパターンであった。この時、中心からの縞位置を測定すると、0.28mm、0.44mm、0.74mmであった。予め、本装置構成用の縞位置と接触径のグラフを用意してある。測定した縞位置から求められた接触径は約49μmであった。また、透過光学系と同様に、求めた接触径49μmに対して、理論計算を用いて回折パターンを計算し、測定結果との比較を行なった。よく一致した回折パターンの接触角は約34〜37度であった。
マイクロレンズの形状を共焦点顕微鏡によって計測したところ接触径は51.3μmで接触角は35.5度であった。この値は本参考例で計測した値と非常に近い。
すなわち、反射光学系においても、共焦点顕微鏡と比較すると、接触径は約2μm、接触角は約2度の誤差で計測可能であることがわかった。
[参考例3]
反射光学系と透過光学系での計測結果を比較するため、参考例2で用いたマイクロレンズを実施例1と同じ透過光学系を用いて計測した。
図7は本参考例によって得られた回折パターンである。実施例1と同様に中心からの縞位置を求めると、0.83mm、1.33mm、2.12mmであった。これらの縞位置を用いて、グラフから接触径を求めると接触径は約50μmであった。また接触角については約35〜36度と測定された。この値は反射光学系の計測結果とほとんど同じであり、また共焦点顕微鏡の計測結果とも一致する。
実施例1による透過光学系を用いた液滴形状計測方法を説明するもので、(a)は形状計測装置の構成を示す図、(b)は回折パターンの中心部を示す模式図である。 液滴のパターン画像を示す図である。 物体の形状が法線に対し軸対称である場合の物体の代表長さ(接触径)と回折パターンの暗部位置の関係を示すグラフである。 参考例1によるマイクロレンズのパターン画像を示す図である。 参考例2による反射光学系を用いた液滴形状計測装置の構成を示す図である。 参考例2によるマイクロレンズのパターン画像を示す図である。 参考例3によるマイクロレンズのパターン画像を示す図である。 本発明の液滴形状計測方法の工程を示すフローチャートである。 本発明の液滴形状計測方法の実施に用いる解析装置を示すブロック図である。
符号の説明
1、21 レーザー光源
2、22 光学系
3 基板
4 液滴
5 検出器
6 撮像装置
7 解析装置

Claims (5)

  1. 基板上に配置された液滴に対して、レーザー光を前記基板に垂直に照射し、前記液滴に前記レーザー光が照射される際に発生する回折光同士が干渉することで生じる干渉縞を検出する第1の工程と、
    前記液滴の屈折率、及び検出された前記干渉縞から、前記液滴表面の形状を求める第2の工程と、を有することを特徴とする液滴形状計測方法。
  2. 前記液滴の接触径は、100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の液滴形状計測方法。
  3. 前記第2の工程は、前記液滴の形状と関係づけられた、前記第1の工程と同様の条件で干渉縞を発生させたときに得られる干渉縞と、検出された干渉縞と、を比較することで、前記液滴表面の形状を求めることを特徴とする請求項1記載の液滴形状計測方法。
  4. 前記第2の工程は、検出された前記干渉縞と液滴の形状とを光学理論に基づき関係づけることで前記液滴の形状をもとめることを特徴とする請求項1記載の液滴形状計測方法。
  5. 基板上に配置された液滴に対して、レーザー光を基板に対して垂直に照射し、前記液滴からの回折光から干渉縞を発生させる光学系と、
    発生した前記干渉縞を検出する検出器と、を有し、
    前記液滴の屈折率及び前記干渉縞から前記液滴表面の形状を決定することを特徴とする特徴とする形状計測装置。
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