JP4572576B2 - 微粒αアルミナの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は微粒αアルミナの製造方法に関し、詳しくはネッキングしている粒子が少なく、高α化率で、BET比表面積の大きな微粒αアルミナの製造方法に関する。
微粒αアルミナは、主結晶相がα相であるアルミナ〔Al23〕の微細な粒子であって、例えば透光管などのような焼結体を製造するための原材料として広く用いられている。かかる微粒αアルミナには、強度に優れた焼結体が得られる点で、α化率が高く、BET比表面積が大きいと共に、ネッキングしている粒子が少ないものが求められている。
高α化率でBET比表面積の大きな微粒αアルミナを製造する方法として、非特許文献1〔Key Engineering Materials, Vol.53-55(1991), 462-468〕には、αアルミナ前駆体および種晶粒子を含み、硝酸イオン(NO3 -)含有量がアルミニウム分1モルあたり2.7モルの水性混合物から水分を除去し、得られた粉末混合物を焼成する方法が開示されている。
Key Engineering Materials, Vol.53-55(1991), 462-468
しかし、かかる従来の製造方法で得られた微粒αアルミナには、粒子同士のネッキングが未だ多いという問題があった。
そこで本発明者は、粒子同士のネッキングが少なく、高α化率で、大きなBET比表面積を示す微粒αアルミナを製造する方法を開発すべく鋭意検討した結果、アルミニウム分1モルあたり2.8〜3.3モルの硝酸イオンを含む水性混合物から水を除去し、得られた粉末混合物を焼成すると、ネッキングの少ない微粒αアルミナが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、αアルミナ前駆体および種晶粒子を含み金属換算のアルミニウム分1モルあたり2.8モル以上3.3モル以下の硝酸イオンを含む水性混合物から水を除去し、得られた粉末混合物を焼成することを特徴とする微粒αアルミナの製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、粒子同士のネッキングが少なく、高α化率で大きなBET比表面積の微粒αアルミナを得ることができる。
本発明の製造方法では、αアルミナ前駆体および種晶粒子を含む水性混合物を用いる。
水性混合物に含まれるαアルミナ前駆体は、焼成することによってαアルミナとなる化合物であって、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、遷移アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミニウム加水分解生成物などが挙げられる。
アルミニウム塩として通常は、アルミニウムの無機塩が挙げられ、具体的には硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム硝酸塩、アルミニウム明礬、炭酸アルミニウム、炭酸アンモニウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウムなどが挙げられる。また、アルミニウムの有機塩も挙げられ、具体的には、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えばアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシドなどが挙げられる。
遷移アルミナとしては、例えば結晶相がγ相、χ相、θ相、ρ相、κ相などであるγアルミナ、χアルミナ、θアルミナ、ρアルミナ、κアルミナなどが挙げられる。
水酸化アルミニウムとしては、例えばギブサイト、ベーマイト、擬ベーマイト、バイヤライト、ノルストランダイド、ダイアスポアなどのような結晶質の水酸化アルミニウムのほか、非晶質の水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウム加水分解生成物としては、例えば水溶性のアルミニウム化合物を水と反応させて得られるものが挙げられ、ここで水溶性アルミニウム化合物としては、上記したと同様のアルミニウム無機塩、アルミニウム有機塩、アルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
かかるアルミニウム化合物としては、アルミニウム塩、さらにはアルミニウム無機塩、特にはアルミニウム硝酸塩が好ましい。
かかるアルミニウム化合物は、水性混合物中で溶解して存在していることが好ましいが、不溶物となって存在していてもよい。不溶物となっている場合には、微細な粒子となって分散している状態であってもよく、例えばゾル状またはゲル状で分散していることが好ましい。
種晶粒子としては通常、金属の化合物が用いられ、具体的には、例えばアルミナ、酸化鉄、酸化クロムなどのような金属酸化物の粒子が用いられる。金属酸化物は、結晶型がコランダム型であるコランダム型金属酸化物であることが好ましい。コランダム型金属酸化物としては、例えばαアルミナ、α酸化鉄、α酸化クロムなどのような結晶水の無いものが挙げられ、目的とする微粒αアルミナと同じ金属成分である点で、αアルミナが好ましい。かかる種晶粒子の粒子径は通常0.01μm以上0.5μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上である。種晶粒子のBET比表面積は、好ましくは12m2/g以上150m2/g以下程度、さらに好ましくはは15m2/g以上である。
種晶粒子の使用量は、酸化物換算で、αアルミナ前駆体および種晶粒子の合計使用量100質量部あたり5質量部以上50質量部以下、好ましくは10質量部以上30質量部以下程度である。
本発明で用いる水性混合物は、かかるαアルミナ前駆体および種晶粒子を含む混合物であって、これらと水との混合物である。水性混合物における水の含有量は、αアルミナ前駆体および種晶粒子の合計量1質量部あたり通常0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上であり、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
水性混合物は、硝酸イオンを含んでいる。硝酸イオンは、αアルミナ前駆体として硝酸イオンを含む化合物、例えばアルミニウム硝酸塩などを用いた場合には、このαアルミナ前駆体が水に溶解することで生成したものであってもよい。また、硝酸非金属塩、例えば硝酸アンモニウム、硝酸尿素、硝酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸プロピル、硝酸エステル、硝酸エタノール、硝酸エチル、硝酸エチレンなどを添加し、これが水に溶解することで生成したものであってもよい。
硝酸イオンの含有量は、ネッキングの少ない微粒αアルミナが得られる点で、水性混合物に含まれる金属換算のアルミニウム分1モルあたり2.8モル以上3.3モル以下である。ここでアルミニウム分には、αアルミナ前駆体に含まれるアルミニウム分のほか、種晶粒子としてαアルミニウム粒子を用いた場合になどには、種晶粒子に含まれるアルミニウム分があり、これらαアルミナ前駆体中のアルミニウム分と種晶粒子中のアルミニウム分との合計量である。
本発明の製造方法では、かかる水性混合物から水を除去する。水性混合物から水を除去するには、例えば水を揮発させて蒸発乾固すればよい。水は通常の方法、例えば凍結乾燥法、真空乾燥法などの通常の方法で揮発させることができる。水を揮発させる際の温度は通常100℃以下である。
また、通常の濾過操作によって水を濾別したのち濾過残渣を乾燥する方法により、水を除去してもよい。濾過温度は通常100℃以下である。濾過後の濾過残渣は風乾により乾燥してもよいし、加熱して乾燥してもよい。乾燥温度は通常100℃以下である。乾燥は大気中で行なわれてもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス中で行なわれてもよいし、減圧下に行なわれてもよい。
かくして水性混合物から水を除去することで、αアルミナ前駆体がそのままで、あるいは水と反応しながら析出して、種晶粒子を含む粉末混合物が得られる。αアルミナ前駆体や、硝酸非金属塩を用いた場合にはその種類によっては、αアルミナ前駆体が硝酸非金属塩と反応品がら析出することもある。
本発明の製造方法では、かくして得られた粉末混合物を焼成する。焼成温度は、α化率が高くなり易い点で通常は600℃以上、好ましくは700℃以上であり、ネッキングが少なくなったり、BET比表面積が大きくなり易いの点で、通常は1000℃以下、好ましくは950℃以下である。焼成時間は、α化率の点で通常は10分以上、好ましくは30分以上であり、通常は24時間以下、好ましくは10時間以下である。
焼成は、大気中で行なわれてもよいし、窒素ガス、アルゴンガスなどのような不活性なガス雰囲気下に行なわれてもよい。また、雰囲気中の水蒸気分圧を低く維持しながら行なわれてもよい。
焼成は、例えば管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なうことができる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また静置式で行なってもよいし、流動式で行ってもよい。
かくして得られる微粒αアルミナは、粒子径が0.01μm以上0.1μm以下程度であり、高いα化率であると共に大きなBET比表面積を示し、例えばα化率90%以上、好ましくは95%以上で、BET比表面積は15m2/g以上50m2/g以下、好ましくは17m2/g以上40m2/g以下である。
得られた微粒αアルミナは、粉砕されてもよい。微粒αアルミナを粉砕するには、例えば振動ミル、ボールミル、ジェットミルなどをの媒体粉砕機を用いることができる。また、得られた微粒αアルミナは分級してもよい。
かくして得られたαアルミナは、例えばαアルミナ焼結体を製造するための原材料として有用である。αアルミナ焼結体は、例えば切削工具、バイオセラミクス、防弾板などの高強度を要求されるものが挙げられる。ウェハーハンドラーなどの半導体製造用装置部品、酸素センサーなどの電子部品も挙げられる。ナトリウムランプ、メタルハライドランプなどの透光管も挙げられる。排ガスなどの気体に含まれる固形分除去、アルミニウム溶湯の濾過、ビールなどの食品の濾過等に用いられるセラミクスフィルターも挙げられる。セラミクスフィルターとしては、燃料電池において水素を選択的に透過させたり、石油精製時に生じるガス成分、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素などを選択的に透過させるための選択透過フィルターも挙げられ、これらの選択透過フィルターはその表面に触媒成分を担持させる触媒担体として用いてもよい。得られた微粒αアルミナを原材料の一つとして用いて、化粧品の添加剤、ブレーキライニングの添加剤、触媒担体として使用され、また導電性焼結体、熱伝導性焼結体などの材料として使用される。
得られた微粒αアルミナは、粉末のままで、通常のαアルミナ粉末と同様に、塗布型磁気メディアの塗布層に添加されてヘッドクリーニング性、耐磨耗性を向上させるための添加剤として用いることができる。トナーとして用いることもできる。樹脂に添加するフィラーとして用いることもできる。また、研磨材として用いることもでき、例えば水などの溶媒に分散させたスラリーとし、半導体CMP研磨、ハードディスク基板などの研磨などに用いることができるし、テープ表面にコーティングして研磨テープとして、ハードディスク、磁気ヘッドなどの精密研磨などに用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
なお、各実施例で得た微粒αアルミナのα化率は、粉末X線回折装置を用いて得た微粒αアルミナの回折スペクトルから、2θ=25.6°の位置に現れるアルミナα相(012面)のピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、κ相、θ相およびδ相のピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率= I25.6 /(I25.6 + I46 )×100(%)・・・(1)
により算出した。
BET比表面積は、比表面積測定装置を用いて窒素吸着法により求めた。
平均一次粒子径は、微細αアルミナの透過電子顕微鏡写真に写った任意の粒子20個以上について、個々の一次粒子の定方向最大径を測定し、測定値の数平均値として求めた。
実施例1
〔種晶スラリーの製造〕
BET比表面積16.0m2/gで粒子径約0.1μmのαアルミナ粒子(種晶粒子)20質量部を硝酸水溶液(pH=4)80質量部に添加し分散させた後、アルミナビーズ(直径2mm)350gを充填したボールミルを用いて3時間かけて湿式分散させて、種晶スラリーを得た。
〔微粒αアルミナの製造〕
硝酸アルミニウム九水和物〔Al(NO3)3・9H2O〕(和光純薬工業製、特級、粉末状)375.13g(1モル)を純水に溶解させ、容積を1L(1000cm3)として硝酸アルミニウム水溶液(1155g)を得た。室温(約25℃)で、この硝酸アルミニウム水溶液100mL(100cm3)に上記で得た種晶スラリー2.83g(αアルミナ粒子含有量は0.57g)を添加し、さらに硝酸アンモニウム2.64gを加えて水性混合物を得た。この水性混合物には、金属成分の酸化物換算で10質量%の種晶粒子(αアルミナ粒子)が含まれており、硝酸アルミニウムおよび種晶粒子のアルミニウム換算の合計量1モルあたり3.0モルの硝酸イオン(NO3 -)が含まれている。
その後、この水性混合物をロータリーエバポレーターにより75℃に加熱し、撹拌しながら減圧乾燥して粉末混合物を得た。この加水分解析出物を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に入れ、箱型電気炉で大気中、890℃にて3時間焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナのα化率は97%であり、BET比表面積は14.1m2/gであり、平均一次粒子径は70nmであった。この微粒αアルミナを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、粒子間のネッキングは少なかった。
実施例2
〔微粒αアルミナの製造〕
硝酸アンモニウムの使用量を4.16gとした以外は実施例1と同様に操作して水性混合物を得た。この水性混合物には、金属成分の酸化物換算で10質量%の種晶粒子(αアルミナ)が含まれており、硝酸アルミニウムおよび種晶粒子のアルミニウム換算の合計量1モルあたり3.2モルの硝酸イオンが含まれている。
その後、実施例1と同様に操作して粉末混合物を得、焼成温度を930℃とした以外は実施例1と同様に操作して微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナのα化率は96%であり、BET比表面積は13.8m2/gであり、平均一次粒子径は84nmであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、粒子間のネッキングは少なかった。
比較例1
〔微粒αアルミナの製造〕
硝酸アンモニウムを加えなかった以外は実施例1と同様に操作して水性混合物を得た。この水性混合物には、金属成分の酸化物換算で10質量%の種晶粒子(αアルミナ粒子)が含まれており、硝酸アルミニウムおよび種晶粒子のアルミニウム換算の合計量1モルあたり2.7モルで硝酸イオンが含まれており、この硝酸イオンは硝酸アルミニウムに由来するものである。
その後、実施例1と同様に操作して粉末混合物を得、焼成温度を850℃とした以外は実施例1と同様に操作して微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナのα化率は95%であり、BET比表面積は15.9m2/gであり、平均一次粒子径は96nmであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、粒子間に多くのネッキングが見られた。
比較例2
〔微粒αアルミナの製造〕
硝酸アンモニウムの使用量を6.24gとした以外は実施例1と同様に操作して水性混合物を得た。この水性混合物には、金属成分の酸化物換算で10質量%の種晶粒子(αアルミナ)が含まれており、硝酸アルミニウムおよび種晶粒子のアルミニウム換算の合計量1モルあたり3.4モルの硝酸イオンが含まれている。
その後、実施例1と同様に操作して粉末混合物を得、焼成温度を930℃とした以外は実施例1と同様に操作して微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナのα化率は97%であり、BET比表面積は14.0m2/gであり、平均一次粒子径は115nmであった。この微粒αアルミナをTEMで観察したところ、粒子間に多くのネッキングが見られた。

Claims (5)

  1. 硝酸アルミニウムおよび種晶粒子を含み金属換算のアルミニウム成分1モルあたり2.8モル以上3.3モル以下の硝酸イオンを含む水性混合物から水を除去し、得られた粉末混合物を焼成することを特徴とする微粒αアルミナの製造方法。
  2. 種晶粒子がコランダム型金属酸化物の粒子である請求項1に記載の製造方法。
  3. 種晶粒子の使用量が、酸化物換算で、硝酸アルミニウムおよび種晶粒子の合計使用量100質量部あたり5質量部以上50質量部以下である請求項1に記載の製造方法。
  4. 水性混合物における水の含有量が硝酸アルミニウムおよび種晶粒子の合計量1質量部あたり0.5質量部以上10質量部以下である請求項1に記載の製造方法。
  5. 600℃以上1000℃以下で焼成する請求項1に記載の製造方法。
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