JP4580689B2 - 音像定位装置、音像定位方法及び音像定位プログラム - Google Patents

音像定位装置、音像定位方法及び音像定位プログラム Download PDF

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Description

本発明は音像定位装置に関し、例えばヘッドホンで再生される音像を任意の位置に定位させる場合に適用して好適なものである。
従来、映画等の映像に伴う音声として多チャンネルオーディオ信号が数多く用いられている。かかる多チャンネルオーディオ信号は、スクリーン等の映像表示面の両側及びセンターに配置されたスピーカと、リスナの後方あるいは両横に置かれたスピーカ等とによって再生されることを想定して記録されており、このような所定位置に配置したスピーカ群を用いて再生することにより、映像中における音源位置と実際に聞こえる再生音の音像位置とが一致した自然な広がりを有する音場を確立することができる。
ところが、このようなオーディオ信号をヘッドホン装置で再生した場合、再生音の音像はリスナの頭内に定位する。このため、映像中の音源位置と再生音の音像位置とが一致せず、極めて不自然な音場を構成してしまう。また、各チャンネルのオーディオ信号の定位位置を分離独立して再生することもできず、このためオーケストラのような複数の楽音も一律に頭の中に定位して不自然な音場を構成してしまう。
このようなヘッドホン装置における音像定位の不自然さを改善するため、任意のスピーカ位置からリスナの両耳までのインパルス応答を測定あるいは計算しておき、ディジタルフィルタ等を用いて当該インパルス応答をオーディオ信号に畳み込んで再生することにより、あたかも実際のスピーカから再生したような自然な音像の頭外定位を得られるようにしたヘッドホン装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図10は、1チャンネルのオーディオ信号の音像を頭外定位させるヘッドホン装置100の構成を示す。ヘッドホン装置100は、入力端子1を介して入力された1チャンネルのアナログオーディオ信号SAをアナログディジタル変換回路2でディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDを生成し、これをディジタル処理回路3L及び3Rに供給する。ディジタル処理回路3L及び3Rは、ディジタルオーディオ信号SDに対して頭外定位のための信号処理を施す。
図11に示すように、定位させようとする音源SPがリスナMの前方に位置しているとすると、当該音源SPから出力された音は伝達関数HL及びHRを有する経路を介してリスナMの左耳及び右耳に到達する。このような伝達関数HL及びHRを時間軸に変換した、左チャンネル及び右チャンネルのインパルス応答をあらかじめ測定あるいは計算しておく。
ディジタル処理回路3L及び3Rは、ディジタルオーディオ信号SDに対してそれぞれ上述した左チャンネル及び右チャンネルのインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDL及びSDRとして出力する。ちなみに、ディジタル処理回路3L及び3Rは、例えば図12に示すようなFIR(Finite Impulse Response)フィルタで構成される。
ディジタルアナログ変換回路4L及び4Rは、それぞれディジタルオーディオ信号SDL及びSDRをアナログ変換してアナログオーディオ信号SAL及びSARを生成し、対応するアンプ5L及び5Rで増幅してヘッドホン6に供給する。そしてヘッドホン6の音響ユニット(電気・音響変換素子)6L及び6Rは、それぞれアナログオーディオ信号SAL及びSARを音に変換して出力する。
したがってヘッドホン6から出力される左右の再生音は、図11に示す音源SPから伝達関数HL、HRを有する経路をそれぞれ介して到達した音と同等となり、これによりリスナがヘッドホン6を装着してその再生音を聴くとき、その音像は図11に示す音源SPの位置に定位する(すなわち頭外定位)。
次に、多チャンネルのオーディオ信号の音像をそれぞれ頭外定位させるヘッドホン装置101を図13を用いて説明する。このヘッドホン装置101では、3チャンネルのオーディオ信号それぞれを図14に示す音源SPa、SPb及びSPcに対応する位置に頭外定位させる。なお、音源SPaからリスナMの両耳への伝達関数HaL及びHaR、音源SPbからリスナMの両耳への伝達関数HbL及びHbR、音源SPcからリスナMの両耳への伝達関数HcL及びHcRをそれぞれ時間軸に変換したインパルス応答を、あらかじめ測定あるいは計算しておく。
図13において、ヘッドホン装置101のアナログディジタル変換回路2aは、入力端子1aを介して入力されたアナログオーディオ信号SAaをディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDaを生成し、これを後段のディジタル処理回路3aL及び3aRに供給する。同様にアナログディジタル変換回路2bは、入力端子1bを介して入力されたアナログオーディオ信号SAbをディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDbを生成し、これを後段のディジタル処理回路3bL及び3bRに供給する。またアナログディジタル変換回路2cは、入力端子1cを介して入力されたアナログオーディオ信号SAcをディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDcを生成し、これを後段のディジタル処理回路3cL及び3cRに供給する。
ディジタル処理回路3aL、3bL及び3cLは、それぞれディジタルオーディオ信号SDa、SDb及びSDcに対して左耳へのインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDaL、SDbL及びSDcLとして加算回路7Lに供給する。同様にディジタル処理回路3aR、3bR及び3cRは、それぞれディジタルオーディオ信号SDa、SDb及びSDcに対して右耳へのインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDaR、SDbR及びSDcRとして加算回路7Rに供給する。各ディジタル処理回路3aL及び3aR、3bL及び3bR、3cL及び3cRは、いずれも図10に示すディジタル処理回路3L及び3Rと同様のFIRフィルタで構成される。
加算回路7Lは、インパルス応答が畳み込まれたディジタルオーディオ信号SDaL、SDbL及びSDcLを加算して左チャンネルのディジタルオーディオ信号SDLを生成する。同様に加算回路7Rは、インパルス応答が畳み込まれたディジタルオーディオ信号SDaR、SDbR及びSDcRを加算して右チャンネルのディジタルオーディオ信号SDRを生成する。
ディジタルアナログ変換回路4L及び4Rは、それぞれディジタルオーディオ信号SDL及びSDRをアナログ変換してアナログオーディオ信号SAL及びSARを生成し、対応するアンプ5L及び5Rで増幅してヘッドホン6に供給する。そしてヘッドホン6の音響ユニット6L及び6Rは、それぞれアナログオーディオ信号SAL及びSARを音に変換して出力する。
このときヘッドホン6から出力される左右の再生音は、図14に示す音源SPa、SPb、SPcからそれぞれ伝達関数HaL及びHaR、HbL及びHbR、HcL及びHcRを有する経路を介して到達した音と同等となり、これによりリスナがヘッドホン6を装着してその再生音を聴くとき、その音像は図14に示す音源SPa、SPb、SPcの位置に定位する。なお、4チャンネル以上のオーディオ信号を扱う場合でも同様の方法で音像を頭外に定位させることができる。
一方、多チャンネルオーディオ信号をスピーカで再生する場合において、リスニングルームの面積的制約等の理由によって、各チャンネルに対応する多数のスピーカを配置できないことがあるという問題がある。このような問題を解決するため、限られた数のスピーカを用いて、多数の音像をリスナの周囲に構成しようとする試みがある。
図15は、2個のスピーカ9L及び9Rを用いて任意の位置に音像を定位させるスピーカ装置200を示し、入力端子1を介して入力されたアナログオーディオ信号SAをアナログディジタル変換回路2でディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDを生成し、これをディジタル処理回路8L及び8Rに供給する。
ディジタル処理回路8L及び8Rは、ディジタルオーディオ信号SDに対してそれぞれ音像定位のためのインパルス応答(後述する)を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDL及びSDRとして出力する。なおディジタル処理回路8L及び8Rは、いずれも図10に示すディジタル処理回路3L及び3Rと同様のFIRフィルタで構成される。
ディジタルアナログ変換回路4L及び4Rは、それぞれディジタルオーディオ信号SDL及びSDRをアナログ変換してアナログオーディオ信号SAL及びSARを生成し、対応するアンプ5L及び5Rで増幅してスピーカ9L及び9Rに供給する。そしてスピーカ9L及び9Rは、それぞれアナログオーディオ信号SAL及びSARを音に変換して出力する。
次に、ディジタル処理回路8L及び8Rにおける音像定位処理の概念を説明する。図16に示すように、リスナMの左前方及び右前方にそれぞれ音源SPL及び音源SPRを配置し、これら音源SPL及びSPRによって、任意の位置に仮想音源SPxを等価的に再現する(定位させる)場合を考える。
ここで、伝達関数を
HLL:音源SPLからリスナMの左耳に至る伝達関数
HLR:音源SPLからリスナMの右耳に至る伝達関数
HRL:音源SPRからリスナMの左耳に至る伝達関数
HRR:音源SPRからリスナMの右耳に至る伝達関数
HXL:仮想音源SPXからリスナMの左耳に至る伝達関数
HXR:仮想音源SPXからリスナMの右耳に至る伝達関数
とすると、音源SPL及びSPRは次式のように表すことができる。
SPL=(HXL×HRR−HXR×HRL)/(HLL×HRR−HLR×HRL)×SPX ……(1)
SPR=(HXR×HLL−HXL×HLR)/(HLL×HRR−HLR×HRL)×SPX ……(2)
したがって、ディジタルオーディオ信号SDに対し、ディジタル処理回路8L及び8Rでそれぞれ(1)式及び(2)式と同様の伝達関数を時間軸に変換したインパルス応答を畳み込むことにより、音像を仮想音源SPxの位置に定位させることができる。
以上は1チャンネルオーディオ信号の音声を2個のスピーカ9L及び9Rで任意の位置に定位させる場合について述べたが、図13に示した多チャンネル対応のヘッドホン装置101と同様の構成を用いることで、複数チャンネルのオーディオ信号それぞれの音声を2個のスピーカで任意の位置に定位させることができる。
特開2000−227350公報
上述したヘッドホン装置やスピーカ装置では、オーディオ信号に対して伝達関数に基づくインパルス応答を畳み込むことにより、音像を任意の位置に定位させることができる。しかしながら、多チャンネルのオーディオ信号それぞれを任意の位置に明瞭な定位感を有する音像として再生しようとした場合、各音源毎に十分な長さのインパルス応答を畳み込む必要があり、このためディジタル処理回路での演算量が膨大になり、これにより装置の構成が複雑になってしまうという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、音像定位のための演算量を従来に比して格段に低減した音像定位装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて左チャンネル及び右チャンネルの定位用オーディオ信号を生成し再生することにより、再生音像を音源定位位置に定位させる音像定位装置において、リスナ前方の音源定位位置に定位させる前方ディジタルオーディオ信号に対し、リスナ前方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、前方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第1の信号処理手段と、リスナ後方の音源定位位置に定位させる後方ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングを行うダウンサンプリング手段と、ダウンサンプリング手段によってダウンサンプリングされた後方ディジタルオーディオ信号に対し、リスナ後方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第2の信号処理手段と、第2の信号処理手段で生成される後方定位用ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートをn倍にアップサンプリングを行うアップサンプリング手段と、第1の信号処理手段からの前方定位用ディジタルオーディオ信号とアップサンプリング手段からの後方定位用ディジタルオーディオ信号とを合成して出力する合成手段とを設けた。
リスナ後方の音源定位位置に定位させる後方オーディオ信号について、ダウンサンプリングを行った後にインパルス応答に基づく信号処理を行って後方定位用オーディオ信号を生成するようにしたことにより、信号処理手段の演算量を、音像の定位感を損なうことなく低減することができる。
また本発明においては、後方オーディオ信号を前方オーディオ信号から生成するようにした。
リスナ後方の音源位置に定位させる後方オーディオ信号を前方オーディオ信号から生成し、これをダウンサンプリングした後に信号処理を行って後方定位用オーディオ信号を生成するようにしたことにより、信号処理手段の演算量を、音像の定位感を損なうことなく低減することができる
さらに信号処理手段は、リスナ後方の第1の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいてダウンサンプリング後の後方オーディオ信号に対して信号処理することにより、当該第1の音源定位位置に音像が定位する第1の後方定位用オーディオ信号を生成するとともに、当該第1の後方定位用オーディオ信号を反転させることにより、リスナ頭部の正中面を介して当該第1の音源位置の対称位置にある第2の音源定位位置に音像が定位する第2の後方定位用オーディオ信号を生成するようにした。
第1の後方定位用オーディオ信号を反転させて第2の後方定位用オーディオ信号を生成することにより、信号処理手段の演算量を格段に低減することができる。
本発明によれば、音像をリスナの後方に定位させるためインパルス応答に基づく信号処理を行う前に、後方ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングを行うと共に、当該インパルス応答に基づく信号処理を行うことにより得られた後方定位用ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートをn倍にアップサンプリングを行うようにしたことにより、音像を後方に定位させるために必要な演算量を大幅に削減して、音像定位装置の構成を簡素化することができる。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)ヘッドホン装置の全体構成
図10及び図13との共通部分に同一符号を付して示す図1において、10は本発明の第1の実施の形態の音像定位装置としてのヘッドホン装置を示し、入力される2チャンネルのオーディオ信号SAa及びSAbを、それぞれ図2に示す音源SPa及びSPbの位置に頭外定位させるようになされている。なお、音源SPaからリスナMの両耳への伝達関数HaL及びHaR、及び音源SPbからリスナMの両耳への伝達関数HbL及びHbRをそれぞれ時間軸に変換したインパルス応答を、あらかじめ測定あるいは計算しておく。
ここで、人間の後方から耳への伝達周波数特性(図3(A))は、頭部や耳介の影響によって、前方から耳への伝達周波数特性(図3(B))に比べて、高域の周波数特性が劣化したものになることが知られている(すなわち、後方からの音は高域が低下するということ)。これにより後方定位させるためのインパルス応答は、前方定位させるためのインパルス応答に比べて高域成分を省いたものを用いることができる。
ヘッドホン装置10はこのことを考慮し、後方定位させるための処理を行うディジタル処理回路12bL及び12bRを、前方定位させるための処理を行うディジタル処理回路12aL及び12aRに比べて低いサンプリングレートで動作させるようになされている。
すなわち図1において、音像定位装置としてのヘッドホン装置10のアナログディジタル変換回路2aは、入力端子1aを介して入力されたアナログオーディオ信号SAaを所定のサンプリングレートでディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDaを生成し、これを前方定位用のディジタル処理回路12aL及び12aRに供給する。
ディジタル処理回路12aLはディジタルオーディオ信号SDaに対し、音源SPaからリスナMの左耳への伝達関数HaL(図2)を時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDaLとして左チャンネル用の加算回路7Lに供給する。同様にディジタル処理回路12aRはディジタルオーディオ信号SDaに対し、音源SPaからリスナMの右耳への伝達関数HaRを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDaRとして右チャンネル用の加算回路7Rに供給する。
これに対してアナログディジタル変換回路2bは、入力端子1bを介して入力されたアナログオーディオ信号SAbをアナログディジタル変換回路2aと同じサンプリングレートでディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDbを生成し、これをデシメーションフィルタ11に供給する。サンプリングレート変換手段としてのデシメーションフィルタ11は、ディジタルオーディオ信号SDbのサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングし、後方定位用のディジタル処理回路12bL及び12bRに供給する。
信号処理手段としてのディジタル処理回路12bLはディジタルオーディオ信号SDbに対し、音源SPbからリスナMの左耳への伝達関数HbL(図2)を時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDbLとしてインターポレーションフィルタ13Lに供給する。インターポレーションフィルタ13Lは、ディジタルオーディオ信号SDbLのサンプリングレートをn倍にアップサンプリングすることにより元のディジタルオーディオ信号SDbと同じサンプリングレートに戻し、左チャンネル用の加算回路7Lに供給する。
同様に信号処理手段としてのディジタル処理回路12bRはディジタルオーディオ信号SDbに対し、音源SPbからリスナMの右耳への伝達関数HbRを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDbRとしてインターポレーションフィルタ13Rに供給する。インターポレーションフィルタ13Rは、ディジタルオーディオ信号SDbRのサンプリングレートをn倍にアップサンプリングすることにより元のディジタルオーディオ信号SDbと同じサンプリングレートに戻し、右チャンネル用の加算回路7Rに供給する。
加算回路7Lは、ディジタルオーディオ信号SDaL及びSDbLを加算して左チャンネルのディジタルオーディオ信号SDLを生成する。同様に加算回路7Rは、ディジタルオーディオ信号SDaR及びSDbRを加算して右チャンネルのディジタルオーディオ信号SDRを生成する。
ディジタルアナログ変換回路4L及び4Rは、それぞれディジタルオーディオ信号SDL及びSDRをアナログ変換してアナログオーディオ信号SAL及びSARを生成し、対応するアンプ5L及び5Rで増幅してヘッドホン6に供給する。そしてヘッドホン6の音響ユニット6L及び6Rは、それぞれアナログオーディオ信号SAL及びSARを音に変換して出力する。
このときヘッドホン6から出力される左右の再生音は、アナログオーディオ信号SAa及びSAbが音源SPa及びSPbの位置(図2)に設置されたスピーカに供給されたときとほぼ同等の音場を構成し、再生音の音像はリスナMの頭外に定位する。
(1−2)ヘッドホン装置における演算量の削減
ここで、ディジタル処理回路12bL及び12bR、並びに12aL及び12aRは、いずれも図4に示すようなFIRフィルタで構成される。そして、後方定位用のディジタル処理回路12bL及び12bRは、前方定位用のディジタル処理回路12aL及び12aRに比べて1/nのサンプリングレートで動作している。
例えばn=2とし、ディジタル処理回路12bL及び12bRのタップ数をTとすると、当該ディジタル処理回路12bL及び12bRはディジタルオーディオ信号SDbの2サンプルにつき2T(=2×T)タップの畳み込み演算を行うことになり、これにより1サンプル当たりではTタップの畳み込み演算を行うことになる。これに対して、もしもダウンサンプリングを行わないとすると、ディジタル処理回路12bL及び12bRのタップ数は2倍の2Tとなり、当該ディジタル処理回路12bL及び12bRはディジタルオーディオ信号SDbの1サンプルにつき4T(=2×2T)タップの畳み込み演算を行うことになる。
このようにヘッドホン装置10は、後方定位用のディジタル処理回路12bL及び12bRを1/nのサンプリングレートで動作させることにより、その演算量をダウンサンプリングしない場合の1/nに低減することができる。
ここで、ディジタル処理回路12bL及び12bRを低サンプリングレートで動作させるためには、上述したようにダウンサンプリングのためのデシメーションフィルタ11及びアップサンプリングのためのインターポレーションフィルタ13L、13Rが必要であり、ヘッドホン装置10の演算量はこれらの分だけ増大することになる。
ところが実際上、デシメーションフィルタ11及びインターポレーションフィルタ13L、13Rはいずれも図5に示すようなIIR(Infinite Impulse Response)フィルタで構成することができる。そして当該デシメーションフィルタ11及びインターポレーションフィルタ13L、13Rは、十分な長さのインパルス応答の畳み込みを行うFIRフィルタ構成のディジタル処理回路12aL、12aR、12bL、12bRに比べて、無視できるほど少ない演算量しか要しない。これによりヘッドホン装置10は、装置全体の演算量を格段に削減することができる。
以上の構成によれば、後方定位用のディジタル処理回路12bL及び12bRを1/nのサンプリングレートで動作させることにより、音像の定位感を損なうことなく演算量を削減して、ヘッドホン装置10の構成を簡素化することができる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)ヘッドホン装置の全体構成
図1との共通部分に同一符号を付して示す図6において、20は本発明の第2の実施の形態の音像定位装置としてのヘッドホン装置を示し、入力される2チャンネルのオーディオ信号SAa及びSAbをそれぞれ図7に示すリスナMの前方左右の音源SPa及びSPbの位置に頭外定位させるとともに、当該オーディオ信号SAa及びSAbから後方用のオーディオ信号SAc及びSAdを生成し、これらをリスナMの後方左右の音源SPc及びSPdの位置にそれぞれ頭外定位させるようになされている。なお、音源SPaからリスナMの両耳への伝達関数HaL及びHaR、音源SPbからリスナMの両耳への伝達関数HbL及びHbR、音源SPcからリスナMの両耳への伝達関数HcL及びHcR、音源SPdからリスナMの両耳への伝達関数HdL及びHdRをそれぞれ時間軸に変換したインパルス応答を、あらかじめ測定あるいは計算しておく。
ここでこのヘッドホン装置20は、上述したヘッドホン装置10と同様に、オーディオ信号SAc及びSAdを後方定位させるための処理を行うディジタル処理回路12cL、12cR、12dL、12dRを、前方定位させるための処理を行うディジタル処理回路12aL、12aR、12bL、12bRに比べて低いサンプリングレートで動作させることにより、装置全体の演算量を削減するようになされている。
すなわち音像定位装置としてのヘッドホン装置20のアナログディジタル変換回路2aは、入力端子1aを介して入力されたアナログオーディオ信号SAaをディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDaを生成し、これをディジタル処理回路12aL及び12aR並びに加算回路14c及び14dに供給する。ディジタル処理回路12aLはディジタルオーディオ信号SDaに対し、音源SPaからリスナMの左耳への伝達関数HaL(図7)を時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDaLとして左チャンネル用の加算回路7Lに供給する。同様にディジタル処理回路12aRはディジタルオーディオ信号SDaに対し、音源SPaからリスナMの右耳への伝達関数HaRを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDaRとして右チャンネル用の加算回路7Rに供給する。
またアナログディジタル変換回路2bは、入力端子1bを介して入力されたアナログオーディオ信号SAbをディジタル変換してディジタルオーディオ信号SDbを生成し、これをディジタル処理回路12bL及び12bR並びに加算回路14c及び14dに供給する。ディジタル処理回路12bLはディジタルオーディオ信号SDbに対し、音源SPbからリスナMの左耳への伝達関数HbLを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDbLとして左チャンネル用の加算回路7Lに供給する。同様にディジタル処理回路12bRはディジタルオーディオ信号SDbに対し、音源SPbからリスナMの右耳への伝達関数HbRを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDbRとして右チャンネル用の加算回路7Rに供給する。
加算回路14cは、ディジタルオーディオ信号SDbからディジタルオーディオ信号SDaを減算することにより、図7に示す後方左側の音源SPcに定位させるディジタルオーディオ信号SDcを生成し、デシメーションフィルタ11cに供給する。サンプリングレート変換手段としてのデシメーションフィルタ11cは、ディジタルオーディオ信号SDcのサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングし、後方定位用のディジタル処理回路12cL及び12cRに供給する。
信号処理手段としてのディジタル処理回路12cLはディジタルオーディオ信号SDcに対し、音源SPcからリスナMの左耳への伝達関数HcLを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDcLとして加算回路14Lに供給する。同様に信号処理手段としてのディジタル処理回路12cRはディジタルオーディオ信号SDcに対し、音源SPcからリスナMの右耳への伝達関数HcRを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDcRとして加算回路14Rに供給する。
また加算回路14dは、ディジタルオーディオ信号SDaからディジタルオーディオ信号SDbを減算することにより、右後方の音源SPdに定位させるディジタルオーディオ信号SDdを生成し、デシメーションフィルタ11dに供給する。サンプリングレート変換手段としてのデシメーションフィルタ11dは、ディジタルオーディオ信号SDdのサンプリングレートを1/nにダウンサンプリングし、後方定位用のディジタル処理回路12dL及び12dRに供給する。
信号処理手段としてのディジタル処理回路12dLはディジタルオーディオ信号SDdに対し、音源SPdからリスナMの左耳への伝達関数HdLを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDdLとして加算回路14Lに供給する。同様に信号処理手段としてのディジタル処理回路12dRはディジタルオーディオ信号SDdに対し、音源SPdからリスナMの右耳への伝達関数HdRを時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、ディジタルオーディオ信号SDdRとして加算回路14Rに供給する。
加算回路14Lは、ディジタルオーディオ信号SDcL及びSDdLを加算することにより、後方の2つの音源SPc及びSPdから左耳への成分であるディジタルオーディオ信号SDrLを生成し、インターポレーションフィルタ13Lに供給する。インターポレーションフィルタ13Lは、ディジタルオーディオ信号SDrLのサンプリングレートをn倍にアップサンプリングし、左チャンネル用の加算回路7Lに供給する。
同様に加算回路14Rは、ディジタルオーディオ信号SDcR及びSDdRを加算することにより、後方の2つの音源SPc及びSPdから右耳への成分であるディジタルオーディオ信号SDrRを生成し、インターポレーションフィルタ13Rに供給する。インターポレーションフィルタ13Rは、ディジタルオーディオ信号SDrRのサンプリングレートをn倍にアップサンプリングし、右チャンネル用の加算回路7Rに供給する。
そして加算回路7Lは、ディジタルオーディオ信号SDaL及びSDbL並びにSDrLを加算して左チャンネルのディジタルオーディオ信号SDLを生成する。同様に加算回路7Rは、ディジタルオーディオ信号SDaR及びSDbR並びにSDrRを加算して右チャンネルのディジタルオーディオ信号SDRを生成する。
ディジタルアナログ変換回路4L及び4Rは、それぞれディジタルオーディオ信号SDL及びSDRをアナログ変換してアナログオーディオ信号SAL及びSARを生成し、対応するアンプ5L及び5Rで増幅してヘッドホン6に供給する。そしてヘッドホン6の音響ユニット6L及び6Rは、それぞれアナログオーディオ信号SAL及びSARを音に変換して出力する。
このときヘッドホン6から出力される左右の再生音は、図7に示す音源SPa〜SPdに設置されたスピーカとほぼ同等の音場を構成し、再生音の各音像はリスナMの頭外に定位する。
(2−2)ヘッドホン装置における演算量の削減
上述したように後方定位用のディジタル処理回路12cL、12cR、12dL、12dRは、前方定位用のディジタル処理回路12aL、12aR、12bL、12bRに比べて1/nのサンプリングレートで動作している。
このためヘッドホン装置20は第1の実施の形態のヘッドホン装置10と同様に、後方定位用のディジタル処理回路12cL、12cR、12dL、12dRの演算量を、ダウンサンプリングしない場合の1/nに低減することができる。そして、ダウンサンプリングのためのデシメーションフィルタ11c及び11d並びにアップサンプリングのためのインターポレーションフィルタ13L、13Rは、いずれもIIRフィルタで構成することができ、その演算量は無視できるほど少ないものである。
以上の構成によれば、後方定位用のディジタル処理回路12cL、12cR、12dL、12dRを1/nのサンプリングレートで動作させることにより、音像の定位感を損なうことなく演算量を削減して、ヘッドホン装置20の構成を簡素化することができる。
(3)第3の実施の形態
上述した第2の実施の形態のヘッドホン装置20では、入力されたオーディオ信号SAa及びSAbから後方用のオーディオ信号SAc及びSAdを生成するようにしたが、当該後方用のオーディオ信号SAc及びSAdを定位させる音源SPc及びSPdの位置(図7)を、リスナMの頭部の正中面に対して左右対称とした場合、後方定位用のディジタル処理回路(図6に示す12cL、12cR、12dL、12dR)をさらに簡略化することができる。
すなわち図6において、インターポレーションフィルタ13Lから左チャンネル用の加算回路7Lに供給されるディジタルオーディオ信号SDrLは次式で表される。
SDrL=SDcL+SDdL
=SDc×HcL+SDd×HdL
=(SDb−SDa)HcL+(SDa−SDb)HdL
=(SDa−SDb)×(HdL−HcL) ……(3)
一方、インターポレーションフィルタ13Rから右チャンネル用の加算回路7Rに供給されるディジタルオーディオ信号SDrRは次式で表される。
SDrR=SDcR+SDdR
=SDc×HcR+SDd×HdR
=(SDb−SDa)HcR+(SDa−SDb)HdR
=(SDb−SDa)×(HcR−HdR) ……(4)
ここで、上述したように音源SPc及びSPdの位置をリスナMの頭部の正中面に対して左右対称とした場合、HcL=HdR、HcR=HdLとなり、これによりディジタルオーディオ信号SDrL及びSDrRは、次に示す式(5)及び式(6)で表すことができる。
SDrL=(SDa−SDb)×(HdL−HcL)
=(SDa−SDb)×(HcR−HcL) ……(5)
SDrR=(SDb−SDa)×(HcR−HdR)
=(SDb−SDa)×(HcR−HcL) ……(6)
そして、式(5)及び式(6)における伝達関数はいずれも(HcR−HcL)であるから、Hz=HcR−HcL、SDz=SDb−SDaとすると、ディジタルオーディオ信号SDrL及びSDrRは、次に示す式(7)及び式(8)で表すことができる。
SDrL=(SDa−SDb)×(HdL−HcL)
=−SDz×Hz ……(7)
SDrR=(SDb−SDa)×(HcR−HcL)
=SDz×Hz ……(8)
このため、ディジタルオーディオ信号SDrRを反転させることでディジタルオーディオ信号SDrRを生成することができ、これによりディジタルオーディオ信号SDrL及びSDrRは1つのディジタル処理回路から生成することができる。
すなわち図6との共通部分に同一符号を付して示す図8において、30は本発明の第3の実施の形態の音像定位装置としてのヘッドホン装置を示し、アナログディジタル変換回路2a及び2b、並びディジタル処理回路12aL、12aR、12bL、12bRの処理については図6に示すヘッドホン装置20と同一であるため説明を省略する。
加算回路14zは、ディジタルオーディオ信号SDbからディジタルオーディオ信号SDaを減算してディジタルオーディオ信号SDzを生成し、これをデシメーションフィルタ11zに供給する。サンプリングレート変換手段としてのデシメーションフィルタ11zは、ディジタルオーディオ信号SDzのサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングし、後方定位用のディジタル処理回路12zに供給する。
信号処理手段としてのディジタル処理回路12zはディジタルオーディオ信号SDzに対し、伝達関数Hz(=HcR−HcL)を時間軸に変換したインパルス応答を畳み込み、右後方のディジタルオーディオ信号SDrRとしてインターポレーションフィルタ13zに供給する。インターポレーションフィルタ13zは、ディジタルオーディオ信号SDrRのサンプリングレートをn倍にアップサンプリングし、右チャンネル用の加算回路7R及び反転回路15に供給する。反転回路15はディジタルオーディオ信号SDrRを反転させることにより左後方のディジタルオーディオ信号SDrLを生成し、左チャンネル用の加算回路7Lに供給する。
そして加算回路7Lは、ディジタルオーディオ信号SDaL及びSDbL並びにSDrLを加算して左チャンネルのディジタルオーディオ信号SDLを生成する。同様に加算回路7Rは、ディジタルオーディオ信号SDaR及びSDbR並びにSDrRを加算して右チャンネルのディジタルオーディオ信号SDRを生成する。
ディジタルアナログ変換回路4L及び4Rは、それぞれディジタルオーディオ信号SDL及びSDRをアナログ変換してアナログオーディオ信号SAL及びSARを生成し、対応するアンプ5L及び5Rで増幅してヘッドホン6に供給する。そしてヘッドホン6の音響ユニット6L及び6Rは、それぞれアナログオーディオ信号SAL及びSARを音に変換して出力する。
このときヘッドホン6から出力される左右の再生音は、図7に示す音源SPa〜SPdに設置されたスピーカとほぼ同等の音場を構成し、再生音の各音像はリスナMの頭外に定位する。
そしてこのヘッドホン装置30では、第2の実施の形態のヘッドホン装置20における信号処理手段としての4個のディジタル処理回路12cL、12cR、12dL、12dRと等価の処理を、1個のディジタル処理回路12zで行うことができ、これにより、音像の定位感を損なうことなく演算量を格段に削減して、ヘッドホン装置30の構成をさらに簡素化することができる。
(4)他の実施の形態
なお上述の第1乃至第3の実施の形態においては、いずれも音像を頭外定位させるヘッドホン装置に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図15に示すような、音像を任意の位置に定位させるスピーカ装置に適用することもできる。
また上述の第1乃至第3の実施の形態においては、いずれも後方定位用のディジタル処理回路のサンプリング周波数を整数分の1でダウンサンプリングするようにしたが、本発明はこれに限らず、後方定位用のディジタル処理回路のサンプリング周波数を任意の実数分の1でダウンサンプリングするようにしてもよい。
また上述の第2の実施の形態においては、ディジタルオーディオ信号SDbからディジタルオーディオ信号SDaを減算することにより、音源SPcに定位させるディジタルオーディオ信号SDcを生成するとともに、ディジタルオーディオ信号SDaからディジタルオーディオ信号SDbを減算することにより、音源SPdに定位させるディジタルオーディオ信号SDdを生成し、当該ディジタルオーディオ信号SDc及びディジタルオーディオ信号SDdそれぞれに対してダウンサンプリングした後インパルス応答の畳み込みを行うようにしたが、本発明はこれに限らず、ディジタルオーディオ信号SDcを反転させてディジタルオーディオ信号SDdを生成し、当該ディジタルオーディオ信号SDc及びディジタルオーディオ信号SDdそれぞれに対してダウンサンプリングした後インパルス応答の畳み込みを行うようにしてもよい。さらには、ディジタルオーディオ信号SDcをダウンサンプリングした後反転させ、当該反転させた信号を、ダウンサンプリング後のディジタルオーディオ信号SDdとしてインパルス応答の畳み込みを行うようにしてもよい。これにより、ヘッドホン装置20全体の演算量をさらに削減することができる。
さらに上述の第2及び第3の実施の形態においては、入力された複数のオーディオ信号を加減算することにより後方定位用のオーディオ信号を生成するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば入力されたオーディオ信号の一部帯域を抽出したものを後方定位用のオーディオ信号とする等、種々の方法で後方定位用のオーディオ信号を生成するようにしてもよい。
さらに上述の第1乃至第3の実施の形態においては、後方定位させるオーディオ信号のダウンサンプリング、インパルス応答の畳み込み及びアップサンプリングといった一連の信号処理を、デシメーションフィルタ、ディジタル処理回路及びインターポレーションフィルタ等のハードウェアで処理するようにしたが、本発明はこれに限らず、これらの一連の音像定位処理を、DSP(Digital Signal Processor)のような情報処理手段上で実行される信号処理プログラムによって処理するようにしてもよい。
このような処理をおこなう音像定位処理プログラムを、図9に示すフローチャートを用いて説明する。ヘッドホン装置の情報処理手段は、音像定位処理手順ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1に移り、後方定位させるディジタルオーディオ信号をダウンサンプリングして次のステップSP2に移る。
ステップSP2においてヘッドホン装置の情報処理手段は、予め測定あるいは計算しておいた伝達関数を時間軸に変換したインパルス応答を、ダウンサンプリング後のディジタルオーディオ信号に畳み込み、次のステップSP3に移る。ステップSP3においてヘッドホン装置の情報処理手段は、インパルス応答を畳み込み後のディジタルオーディオ信号を元のサンプリングレートにアップサンプリングして後段の加算回路(図示せず)に出力し、ステップSP1に戻る。
このように、後方定位させるオーディオ信号に対する信号処理を音像定位処理プログラムで行う場合でも、当該後方定位させるオーディオ信号をダウンサンプリングした後にインパルス応答を畳み込むようにすることにより、情報処理手段の処理負荷を低減することができる。
本発明は、オーディオ信号の音像を任意の位置に定位させる用途に適用できる。
第1の実施の形態のヘッドホン装置の全体構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態における音像定位の説明に供する略線図である。 伝達周波数特性の特性曲線図である。 FIRフィルタの構成を示すブロック図である。 IIRフィルタの構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態のヘッドホン装置の全体構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態における音像定位の説明に供する略線図である。 第3の実施の形態のヘッドホン装置の全体構成を示すブロック図である。 オーディオ信号を後方定位させる信号処理手順のフローチャートである。 従来のヘッドホン装置の全体構成を示すブロック図である。 ヘッドホン装置における音像定位の説明に供する略線図である。 FIRフィルタの構成を示すブロック図である。 多チャンネル対応のヘッドホン装置の構成を示すブロック図である。 多チャンネルの場合の伝達関数の説明に供する略線図である。 従来のスピーカ装置の全体構成を示すブロック図である。 スピーカ装置における伝達関数の説明に供する略線図である。
符号の説明
10、20、30、100、101……ヘッドホン装置、11……デシメーションフィルタ、3、12……ディジタル処理回路、13……インターポレーションフィルタ、200……スピーカ装置。

Claims (12)

  1. 音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて左チャンネル及び右チャンネルの定位用オーディオ信号を生成し再生することにより、再生音像を上記音源定位位置に定位させる音像定位装置において、
    リスナ前方の音源定位位置に定位させる前方ディジタルオーディオ信号に対し、上記リスナ前方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、前方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第1の信号処理手段と、
    リスナ後方の音源定位位置に定位させる後方ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングを行うダウンサンプリング手段と、
    上記ダウンサンプリング手段によってダウンサンプリングされた上記後方ディジタルオーディオ信号に対し、上記リスナ後方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第2の信号処理手段と、
    上記第2の信号処理手段で生成される上記後方定位用ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートをn倍にアップサンプリングを行うアップサンプリング手段と、
    上記第1の信号処理手段からの前方定位用ディジタルオーディオ信号と上記アップサンプリング手段からの後方定位用ディジタルオーディオ信号とを合成して出力する合成手段と
    を具えることを特徴とする音像定位装置。
  2. 上記後方ディジタルオーディオ信号を上記前方ディジタルオーディオ信号から生成する後方オーディオ信号生成手段
    を具えることを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
  3. 上記後方オーディオ信号生成手段は、複数の上記前方ディジタルオーディオ信号から、リスナ後方のそれぞれ異なる音源位置に定位させる複数の上記後方ディジタルオーディオ信号を生成し、
    上記第2の信号処理手段は、ダウンサンプリング後の複数の上記後方ディジタルオーディオ信号それぞれに対して対応する上記インパルス応答に基づいて信号処理を行い上記後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の音像定位装置。
  4. 上記第2の信号処理手段は、リスナ後方の第1の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいてダウンサンプリング後の上記後方ディジタルオーディオ信号に対して信号処理することにより、当該第1の音源定位位置に音像が定位する第1の後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成するとともに、当該第1の後方定位用ディジタルオーディオ信号を反転させることにより、リスナ頭部の正中面を介して当該第1の音源定位位置の対称位置にある第2の音源定位位置に音像が定位する第2の後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する
    ことを特徴とする請求項2に記載の音像定位装置。
  5. 音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて左チャンネル及び右チャンネルの定位用オーディオ信号を生成し再生することにより、再生音像を上記音源定位位置に定位させる音像定位方法において、
    リスナ前方の音源定位位置に定位させる前方ディジタルオーディオ信号に対し、上記リスナ前方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、前方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第1の信号処理ステップと、
    リスナ後方の音源定位位置に定位させる後方ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングを行うダウンサンプリングステップと、
    上記ダウンサンプリングステップによってダウンサンプリングされた上記後方ディジタルオーディオ信号に対し、上記リスナ後方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第2の信号処理ステップと、
    上記第2の信号処理ステップで生成される上記後方定位用ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートをn倍にアップサンプリングを行うアップサンプリングステップと、
    上記第1の信号処理ステップで生成される前方定位用ディジタルオーディオ信号と上記アップサンプリングステップで生成される後方定位用ディジタルオーディオ信号とを合成して出力する合成ステップと
    を具えることを特徴とする音像定位方法。
  6. 上記後方ディジタルオーディオ信号を上記前方ディジタルオーディオ信号から生成する後方オーディオ信号生成ステップ
    を具えることを特徴とする請求項5に記載の音像定位方法。
  7. 上記後方オーディオ信号生成ステップは、複数の上記前方ディジタルオーディオ信号から、リスナ後方のそれぞれ異なる音源位置に定位させる複数の上記後方ディジタルオーディオ信号を生成する
    ことを特徴とする請求項6に記載の音像定位方法。
  8. 上記第2の信号処理ステップは、リスナ後方の第1の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいてダウンサンプリング後の上記後方ディジタルオーディオ信号に対して信号処理することにより、当該第1の音源定位位置に音像が定位する第1の後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成するとともに、当該第1の後方定位用ディジタルオーディオ信号を反転させることにより、リスナ頭部の正中面を介して当該第1の音源定位位置の対称位置にある第2の音源定位位置に音像が定位する第2の後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する
    ことを特徴とする請求項6に記載の音像定位方法。
  9. 音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて左チャンネル及び右チャンネルの定位用ディジタルオーディオ信号を生成し再生することにより、再生音像を上記音源定位位置に定位させる音像定位プログラムにおいて、
    リスナ前方の音源定位位置に定位させる前方ディジタルオーディオ信号に対し、上記リスナ前方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、前方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第1の信号処理ステップと、
    リスナ後方の音源定位位置に定位させる後方ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートを1/n(nは2以上の整数)にダウンサンプリングを行うダウンサンプリングステップと、
    上記ダウンサンプリングステップによってダウンサンプリングされた上記後方ディジタルオーディオ信号に対し、上記リスナ後方の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいて信号処理を行い、後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する第2の信号処理ステップと、
    上記第2の信号処理ステップで生成される上記後方定位用ディジタルオーディオ信号に対してIIRフィルタを用いてサンプリングレートをn倍にアップサンプリングを行うアップサンプリングステップと、
    上記第1の信号処理ステップで生成される前方定位用ディジタルオーディオ信号と上記アップサンプリングステップで生成される後方定位用ディジタルオーディオ信号とを合成して出力する合成ステップと
    を具えることを特徴とする音像定位プログラム。
  10. 上記後方ディジタルオーディオ信号を上記前方ディジタルオーディオ信号から生成する後方オーディオ信号生成ステップ
    を具えることを特徴とする請求項9に記載の音像定位プログラム。
  11. 上記後方オーディオ信号生成ステップは、複数の上記前方ディジタルオーディオ信号から、リスナ後方のそれぞれ異なる音源位置に定位させる複数の上記後方ディジタルオーディオ信号を生成する
    ことを特徴とする請求項10に記載の音像定位プログラム。
  12. 上記第2の信号処理ステップは、リスナ後方の第1の音源定位位置からリスナの左耳及び右耳までのインパルス応答に基づいてダウンサンプリング後の上記後方ディジタルオーディオ信号に対して信号処理することにより、当該第1の音源定位位置に音像が定位する第1の後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成するとともに、当該第1の後方定位用ディジタルオーディオ信号を反転させることにより、リスナ頭部の正中面を介して当該第1の音源定位位置の対称位置にある第2の音源定位位置に音像が定位する第2の後方定位用ディジタルオーディオ信号を生成する
    ことを特徴とする請求項10に記載の音像定位プログラム。
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