JP4586314B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱延鋼板の製造工程では、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚さに圧延して粗バーとし、次いで、この粗バーを複数基の圧延スタンドからなる仕上圧延機において仕上圧延して所定厚さの熱延鋼帯とし、この熱延鋼帯をランナウトテーブル上の冷却装置において冷却した後、コイラーで巻取ることにより熱延コイルが得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようにして製造される熱延鋼板は、鋼板幅方向の板厚分布に波形様のバラツキを生じる傾向があり、長らくその原因が判らず、適切な対策を講じることができなかった。
【0004】
したがって本発明の目的は、熱延鋼板の板幅方向での波形様の板厚分布を解消し、板幅方向で均一な板厚を有する熱延鋼板を製造することができる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した熱延鋼板の形状不良、すなわち板幅方向で波形様の板厚分布を生じる原因と、その防止対策について検討を行った。その結果、上記のような板幅方向で波形様の板厚分布は冷却ムラが原因で発生していること、したがって、熱延鋼板を板幅方向に均一冷却となるように冷却することにより解消できることを見出した。
【0006】
熱間仕上圧延機では、圧延ロールの肌荒れやスケール性欠陥の防止などを目的として、圧延ロール直前に冷却装置を設けるのが一般的であり、この冷却装置としては、図6に示すようなヘッダー管7aに多数の噴射ノズル7bが取付けられた装置が一般に用いられている。本発明者等は、この冷却装置で冷却される熱延鋼板表面の板幅方向での冷却能分布を調べた。その結果を模式的に示すと図9のようになり、ノズル7bの直下で最も冷却能が高く、隣り合ったノズルの間では冷却水が干渉しあって冷却能が低くなる。このような板幅方向での冷却能の高低に応じて熱延鋼板表面には熱伝達率の分布が生じており、図9において最高熱伝達率と最低熱伝達率との差はΔhとなる。その結果、噴射ノズル7bの直下と、隣り合ったノズル7bとの間では、圧延材5の冷却のされ方が異なって、噴射ノズル7bの直下のほうがノズル7bの間よりも圧延材5の温度が下がり、変形抵抗が高くなる。
【0007】
また、図7に示すような冷却装置7を用いて熱間仕上圧延機ロールバイト直前で圧延材を冷却した場合には、冷却水の一部が圧延ロール3に直接当たり、圧延材冷却装置7のノズルの位置に対応して、圧延ロール3の軸方向に図8に示したような波形の温度分布(温度ムラ)が発生することが判った。そして、このような温度分布に対応して発生した、圧延ロール3のヒートクラウンは、噴射ノズル7bの直下で凹状のクラウンとなることが判った。したがって、圧延材の変形抵抗の高い部分は前記凹状のクラウン部分で圧延され、変形抵抗の低い部分はそれ以外の部分で圧延され、その結果、仕上板厚の幅方向分布は図8に示すように、噴射ノズル7bの配置に対応して波型になってしまうことが判った。
【0008】
このような問題に対して、本発明者等はノズルピッチが異なる種々の冷却装置を用い、冷却後の熱延鋼板の板幅方向における温度分布と熱伝達率を調査した。
【0009】
本発明者等は、従来型の噴射ノズルを備えた冷却装置(実験装置)(図6,7の冷却装置7参照)を用い、ノズルピッチや流量を変えて、ノズル冷却水直下と、隣り合ったノズルの間における熱伝達率を求める実験を行った。熱電対を埋め込んだ鋼材を加熱したのち、熱電対のある場所がノズルの直下または隣り合ったノズルの間を通過するように搬送して鋼材を冷却した。このときの温度変化から逆算して、熱伝達率を算出した。次に、上記実験で用いたノズルおよびノズルヘッダーと同一の型式で同一ノズルピッチのものを実機に取付けて、ヘッダー圧(または水量密度)を同一にして、熱間仕上圧延機ロールバイトの直前で圧延材の表面を冷却してから圧延を行う、実機での圧延試験を繰り返した。その結果、仕上板厚の板幅方向でのバラツキ(Δt)は、実験で求めた圧延材の幅方向における最高熱伝達率と最低熱伝達率との差(Δh)(図9参照)に依存していることが明らかになった。実験で求めた圧延材の幅方向における最高熱伝達率と最低熱伝達率との差Δhを横軸、それに対応した実機試験で求めた仕上板厚の板幅方向でのバラツキΔtを縦軸にプロットしたのが図2である。これにより、Δhが200kcal/m2/℃/hr以下であれば、仕上板厚の板幅方向でのバラツキはほとんど発生しないことが判った。
【0010】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
【0011】
(1)熱間仕上圧延機ロールバイトの直前で圧延材の表面を冷却してから圧延を行う熱延鋼板の製造方法において、前記冷却を圧延材の幅方向における最高熱伝達率と最低熱伝達率との差が200kcal/m2/℃/hr以下となるように実施することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
【0012】
(2)熱間仕上圧延機ロールバイトの直前での圧延材の冷却をスリットラミナーで行うことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板の製造方法。
【0013】
(3)熱間仕上圧延機ロールバイトの直前での圧延材の冷却をミスト冷却で行うことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施に供すべき、熱間仕上圧延機のロールバイト直前で圧延材5を冷却するための圧延材冷却装置1を示している。
【0015】
この圧延材冷却装置1は、圧延材5の幅方向における最高熱伝達率と最低熱伝達率との差Δhが200kcal/m2/℃/hr以下となるように圧延材を冷却することができる冷却手段を有している。
【0016】
このような冷却手段としては、例えば▲1▼スリットラミナーで冷却する手段、▲2▼ミスト冷却で冷却する手段、▲3▼ロール冷却で冷却する手段、▲4▼過熱液体噴流冷却で冷却する手段、▲5▼強制風冷で冷却する手段などが考えられる。
【0017】
図1において、圧延ロール冷却装置2は圧延ロール3を冷却するためのもので、この例では圧延ロールに面してその軸方向に沿って配置されたヘッダーとこのヘッダーの長手方向に沿って適当な間隔で設けられる複数のノズルとから構成される。その他に、ロール冷却水の水切りワイパー4、サイドガイドやストリッパーガイド、熱間潤滑装置(図示せず)などの、圧延ロール3の前後で通常用いられている構成要素を本発明の実施を妨げない範囲で併用することは、全く差し支えない。ただし、ロール冷却水の水切りワイパー4は常に圧延材5の板幅以上をカバーする幅を有することが必要である。
【0018】
上記▲1▼のスリットラミナー冷却手段を用いる場合を図3に示す。図3は図1のA―A線に沿う矢視図である。この冷却手段は、熱間仕上圧延機のロールバイト直前位置において圧延材5の幅方向に沿って配置されたヘッダー1aとこのヘッダー1aの長手方向に沿って設けられた、スリットノズル1bから構成され、そのスリットノズル1bからスリットラミナー1cを噴出する。
【0019】
スリットノズルから吐出されるスリットラミナー1cは元々圧延材5の幅方向に冷却能分布を持たないから、圧延材5や圧延ロール3の幅方向に、波型の温度分布を生じることなく圧延材5を圧延することができる。流体としては、水または温水が使われる。
【0020】
上記▲2▼のミスト冷却手段を用いる場合、ミスト冷却は、高速空気流とともに、水をノズルから噴射して冷却する方法である。液滴を加速して冷却能力を高める目的で空気を用いる場合と、液滴を極く微細化し、あまり大きな運動量を与えず、冷却能力を微細制御する目的で空気を用いる場合がある。後者はフォグ冷却と呼ばれることもあるが、本発明のミスト冷却に含まれるものとする。ノズル間の干渉がほとんどないため、本発明の冷却手段に適している。また、ミストをスリットから噴出するスリットミストノズルといった技術も知られており、本発明の冷却手段として用いることができる。
【0021】
上記▲3▼のロール冷却手段を用いる場合を図4および図5に示す。図4は側面図、図5は図4のA−A線に沿う矢視図である。
【0022】
熱間仕上圧延機のロールバイト直前で、圧延材5に内部が水冷された水冷ロール6を押し付けることにより、圧延材5の表面を冷却するロール冷却を用いた水冷ロール6を有する。
【0023】
図4および図5の冷却方法では、圧延材5の幅方向に、冷却による特定の温度分布が発生しにくい。圧延ロール3も水冷ロール6と接触していないため、従来技術のように幅方向に波型の温度分布が発生することはない。圧延ロール冷却装置2、ロール冷却水の水切りワイパー4等の実施形態は図1に示すものと同様である。
【0024】
上記▲4▼の過熱液体噴流冷却手段を用いる場合、過熱液体噴流冷却は、廃熱から過熱水を製造し、これを冷却に利用する方法である。過熱水をノズルから噴出すると、突発的な減圧沸騰により、一部が自己蒸発して液体は微細化され、広範囲に広がる高速の蒸気液滴二相流となる。この冷却方法は、高速の二相流を高温の圧延材に衝突させ冷却を行うものである。空気を用いるミスト冷却に比べて動力の低減が図れると共に、広範囲な噴射と、より均一な冷却が可能である。
【0025】
上記▲5▼の強制風冷手段を用いる場合、強制風冷は、圧延材の表面に気体を噴射して冷却する方法である。衝風冷却、強制空冷と呼ばれることもある。製鉄工程で幅広く用いられている技術である。スリットノズルから噴射すれば、圧延材を幅方向に均一に冷却することができる。吹き付ける気体としては、空気だけでなく、窒素ガスなどの、スケール生成を抑制するガス種を用いることもできる。
【0026】
本発明では、以上に述べた▲1▼〜▲5▼までの冷却方法を、任意に組み合わせて用いることができる。また、圧延材5の幅方向に均一な冷却能分布を持っていれば、どのような冷却装置も本発明に用いることは差し支えない。
【0027】
本発明の熱間圧延方法では、熱間仕上圧延機のロールバイト直前で圧延材5の表面の冷却を行った際の圧延ロール3のヒートクラウンの発生を防止し、圧延材5の板幅方向での仕上板厚を均一化する基本的な効果があり、さらに熱間仕上圧延機のロールバイト直前で圧延材5を冷却してその表面温度を下げるため圧延ロール3の肌荒れが低減する。また、2次スケールの成長が抑制され、デスケーリングの効果も加わってスケール性欠陥が減少する。
【0028】
【実施例】
本発明を熱間仕上圧延機に適用した例について述べる。本実施例の熱間仕上圧延機は圧延機7台からなる仕上圧延機群を備え、板厚30〜40mmの粗バーを仕上圧延機で仕上圧延して、仕上圧延が1.2〜10mmの熱延鋼鈑を製造している。仕上圧延機の1段目から5段目のロールバイト直前に図6および図7に示すような圧延材冷却装置7を設置した。
【0029】
この設備で圧延を行ったところ、圧延材冷却装置7のノズル7bの配置に対応して、圧延材板幅方向の仕上板厚が波形になった。ここで、圧延材冷却装置7のノズル7bの幅方向ノズル配置ピッチは130mm、ノズル数は15である。仕上板厚が3mmの熱延鋼板の場合、仕上板厚の板幅方向でのバラツキは、最大で15μmにも達した。
【0030】
そこで、図1および図3に示すように、スリットラミナーで圧延材を冷却するようにしたところ、熱延鋼板板幅方向の仕上板厚から波形のパターンが消滅した。
【0031】
【発明の効果】
本発明を適用すれば、圧延材の表面を熱間仕上圧延機ロールバイトの直前で、圧延材の幅方向に均一に冷却することにより、圧延ロールの肌荒れやスケール性欠陥を低減できるだけでなく、圧延材の板幅方向での仕上板厚を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供すべき、熱間仕上圧延機のロールバイト直前で圧延材を冷却するための圧延材冷却装置を示す側面図
【図2】仕上板厚の板幅方向でのバラツキ(Δt)と、圧延材の幅方向における最高熱伝達率と最低熱伝達率との差(Δh)との関係の一例を示すグラフ
【図3】本発明のスリットラミナー冷却手段を用いる場合の図1のA―A線に沿う矢視図
【図4】本発明のロール冷却手段による圧延材冷却装置を示す側面図
【図5】図4のA−A線に沿う矢視図
【図6】一般的な冷却装置を示す側面図
【図7】従来技術の熱間仕上圧延機のロールバイト直前で圧延材を冷却するための圧延材冷却装置を示す側面図
【図8】圧延材の冷却で発生する圧延ロールの軸方向温度分布と圧延材の板幅方向の仕上板厚分布を示す図
【図9】一般的な冷却装置で発生する熱伝達率(冷却能)の分布を示す図
【符号の説明】
1 圧延材冷却装置
1a 圧延材冷却ヘッダー
1b 圧延材冷却ノズル
1c スリットラミナー
2 圧延ロール冷却装置
3 圧延ロール
4 水切りワイパー
5 圧延材
6 水冷ロール
7 圧延材冷却装置
7a 圧延材冷却ヘッダー
7b 圧延材冷却ノズル
Claims (3)
- 熱間仕上圧延機ロールバイトの直前で圧延材の表面を冷却してから圧延を行う熱延鋼板の製造方法において、前記冷却を圧延材の幅方向における最高熱伝達率と最低熱伝達率との差が200kcal/m2/℃/hr以下となるように実施することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
- 熱間仕上圧延機ロールバイトの直前での圧延材の冷却をスリットラミナーで行うことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
- 熱間仕上圧延機ロールバイトの直前での圧延材の冷却をミスト冷却で行うことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
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