JP4592207B2 - 超砥粒ホイール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超砥粒ホイール及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、結合剤としてポリイミド樹脂と軟化点温度の低いガラスとの混合物を用いたものであって、超砥粒の保持力に優れ、良好な切れ味を有する上、従来のレジンボンド超砥粒ホイールの製造設備で製作可能な超砥粒ホイール、及びこのものを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンドやcBN(立方晶窒化ホウ素)などを使用した超砥粒ホイールは、金属、セラミックス、ガラス、プラスチックス、ゴム、複合材料などの研削に広く用いられている。超砥粒ホイールは、一般に砥粒層部の結合剤の種類によって分類することができ、例えばレジノイド結合剤(Resinoid bond)を用いたレジンボンドホイール、メタル結合剤(Metal bond)を用いたメタルボンドホイール、ビトリファイド結合剤(Vitrified bond)を用いたビトリファイドボンドホイールなどがある。
これらの中で、メタルボンド超砥粒ホイールは、砥粒保持力と耐摩耗性に優れているが、切れ味は劣る。ビトリファイドボンド超砥粒ホイールは、一般に切れ味がよく、耐摩耗性も良好であるが、脆くて欠けやすいという欠点がある。
一方、レジンボンド超砥粒ホイールは、成形が容易であって適当な硬度を有し、耐衝撃性に優れる上、発熱も比較的少ないなどの特徴を有し、結合剤の種類に応じて、湿式研削、乾式研削、重研削加工などに用いられており、例えば粗研削から精密研削、やわらかい金属から硬い高速度鋼の研削まで、広い範囲にわたって利用されている。
特に、硬くて脆性破壊を起こしやすい超硬合金やサーメット、セラミックス、ガラスなどの研削加工には、一般にレジンボンド超砥粒ホイールが用いられる。その理由は、レジノイド結合剤は、圧縮弾性率が比較的小さく、弾性変形がある程度生じやすいために、研削時の食い込みが少なく、研削による被加工物のカケが発生しにくいからである。
このようなレジンボンド超砥粒ホイールにおいては、レジノイド結合剤として、主にフェノール樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が、機械的強度や耐熱性などの点から用いられている。そして、結合剤としてフェノール樹脂を用いたホイールは、通常湿式研削加工に用いられ、一方、ポリイミド樹脂を用いたホイールは、その耐熱性を生かして、通常乾式又は湿式重研削加工に用いられている。
しかしながら、結合剤としてフェノール樹脂を用いたレジンボンド超砥粒ホイールは、切れ味がよく、高硬度材を始め、広い用途に使用されているものの、メタルボンド超砥粒ホイールやビトリファイドボンド超砥粒ホイールに比べて耐摩耗性に劣り、研削比が低いという欠点を有している。一方、結合剤としてポリイミド樹脂を用いたレジンボンド超砥粒ホイールにおいては、該ポリイミド樹脂は、フェノール樹脂に比べて、高い耐熱性と機械的強度を有することから、前述のように重研削加工に適しているが、超砥粒に対する濡れ性が悪く、砥粒保持は実質上機械的な保持力のみに依存しており、しかも切れ味はフェノール樹脂を用いたホイールに比べて劣るなどの欠点がある。
このように、これまでのレジンボンド超砥粒ホイールにおいては、砥粒層の保持力が不十分で、砥粒層の摩耗が大きいため、被削材に所望の形状を付与する加工などには適用しにくい上、砥粒層の摩耗が速い分だけ、メタルボンド超砥粒ホイールなどに比べて、加工コストが高くつくのを免れないのが実状であった。
このようなレジンボンド超砥粒ホイールの特性を向上させる目的で、例えばフェノール樹脂を用いたレジンボンド超砥粒ホイールにおいて、ガラス質などの無機質充填剤を配合する技術が知られている。しかしながら、この場合、一般のフェノール樹脂の成形温度ではガラスは溶融せず、ボンドとしての機能が十分に発揮されていないのが実状である。また、充填剤の量を増やしていくと、結合に作用する成分が減少するため、成形が困難となるのを免れない上、砥粒の保持力が低下することもある。このため、フェノール樹脂を用いたレジンボンド超砥粒ホイールにおいては、無機充填剤の配合量は、容積比で50〜60%程度が限界であった。また、超砥粒の配合量を増やした場合も同様に成形が困難となったり、保持力が低下することがあった。一方、ガラスの成形温度(融点以上)では、樹脂成分が燃えてしまい、ボンドとして機能することができなくなるという問題があった。
このようなことから、レジンボンド超砥粒ホイールとビトリファイドボンド超砥粒ホイールの中間的な性質をもつ超砥粒ホイールが求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、超砥粒の保持力に優れ、良好な切れ味を有する上、従来のレジンボンド超砥粒ホイールの製造設備で製作可能な超砥粒ホイール及びその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、レジンボンド超砥粒ホイールとビトリファイドボンド超砥粒ホイールの中間的な性質をもつ超砥粒ホイールについて鋭意研究を重ねた結果、超砥粒と、特定の割合のポリイミド樹脂と低融点ガラスとの混合物からなる結合剤と、場合により充填剤を含有する超砥粒ホイールが前記目的に適合し得ること、そしてこのものは、上記各成分を含む粉体混合物を、ある範囲の温度で成形し、台金の作用部に砥粒層を設けることにより、製造し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ニッケルコートダイヤモンド超砥粒と、結合剤粉末と、場合により充填剤粉体を含む粉体混合物を350〜500℃の温度及び50〜150MPaの圧力で焼成成形した砥粒層を有する超砥粒ホイールにおいて、前記結合剤粉末が、直鎖型ポリイミド樹脂粉末20〜55体積%と、JIS R 3104に定める試験方法で測定された軟化点が250〜450℃の範囲にある低融点ガラス粉末80〜45体積%との粉末混合物からなり、直鎖型ポリイミド樹脂と低融点ガラスの両方が結合剤として機能することを特徴とする超砥粒ホイール、及び
(2)ポリイミド樹脂粉末20〜55体積%とJIS R 3104に定める試験方法で測定された軟化点が250〜450℃の範囲にあるガラス粉末80〜45体積%とからなる粉末結合剤と、ニッケルコートダイヤモンド超砥粒と、場合により充填剤を含む粉体混合物を、350〜500℃の温度及び50〜150MPaの圧力で焼成成形し、台金の作用部に砥粒層を設けることを特徴とする第1項記載の超砥粒ホイールの製造方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の超砥粒ホイールは、超砥粒が、ポリイミド樹脂と低融点ガラスとの混合物からなる結合剤で保持され、場合により充填剤を含む砥粒層を有するホイールである。
本発明の超砥粒ホイールにおいて、砥粒層に用いる超砥粒としては、ダイヤモンド砥粒及びcBN(立方晶窒化ホウ素)砥粒を挙げることができる。ダイヤモンド砥粒及びcBN砥粒は、それぞれ1種を単独で用いることができ、あるいは、ダイヤモンド砥粒とcBN砥粒を併用した混合砥粒として用いることもできる。
一方、結合剤におけるポリイミド樹脂としては、特に制限はなく、従来ポリイミド樹脂を用いたレジンボンド超砥粒ホイールにおいて慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができるが、特に直鎖型ポリイミド樹脂が好適である。この直鎖型ポリイミド樹脂には、直鎖熱可塑型及び直鎖非熱可塑型があり、本発明においてはいずれも用いることができる。
また、結合剤におけるもう1つの成分である低融点ガラスとしては、JIS R 3104に定める試験方法で測定された軟化点が250〜450℃の範囲にあるものが用いられる。この低融点ガラスの好ましい軟化点は300〜450℃、より好ましい軟化点は350〜450℃の範囲である。このような低融点ガラスとしては、例えば鉛ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩系ガラス、ケイ酸塩ガラスなどの中から選択することができる。この低融点ガラスは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる結合剤は、ポリイミド樹脂10〜60体積%と前記低融点ガラス90〜40体積%との混合物からなるものである。この割合が上記範囲を逸脱すると、目的とするレジンボンド超砥粒ホイールとビトリファイドボンド超砥粒ホイールの中間的な性質をもつ超砥粒ホイールである、超砥粒の保持力に優れ、良好な切れ味を有するホイールが得られず、本発明の目的が達せられない。両成分の好ましい割合は、ポリイミド樹脂が20〜55体積%で、低融点ガラスが80〜45体積%である。
【0006】
本発明の超砥粒ホイールにおける砥粒層には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により従来超砥粒ホイールの砥粒層に慣用されている添加成分、例えば充填剤を始め、潤滑剤などを適宜含有させることができる。ここで、充填剤としては、例えば炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステンなどの炭化物、窒化ケイ素、窒化チタンなどの窒化物、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロムなどの酸化物、銅、タングステン、ニッケル、銀、亜鉛などの金属などの粉末を挙げることができる。これらの充填剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、潤滑剤としては、例えば六方晶窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、二硫化タンタル、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、フタロシアニン、雲母などの層状固体、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化バリウム、フッ化ランタン、フッ化イットリウムなどのフッ化物、硫化鉄などの硫化物、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ケイ素などの酸化物、ガリウム、インジウム、錫、銀、銅、金などの軟質金属、タングステン、モリブデンなどの硬質金属などを挙げることができる。これらの中で、六方晶窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、フッ化カルシウム及びフッ化バリウムは、潤滑効果が大きいので特に好適に使用することができる。この潤滑剤は、微粉末状として使用することが好ましい。これらの潤滑剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
砥粒層における超砥粒、結合剤及び気孔などの占める割合としては特に制限はなく、ホイールの使用目的やその他様々な状況に応じて適宜選択することができる。
【0007】
本発明の超砥粒ホイールの形状としては特に制限はなく、例えば、カップ型の超砥粒ホイールとすることができ、あるいは、ストレート型の超砥粒ホイールとすることもできる。図1は、カップ型の超砥粒ホイールの平面図(a)及び断面図(b)であり、図2は、ストレート型の超砥粒ホイールの平面図(a)及び断面図(b)である。カップ型の超砥粒ホイールにおいては、台金1の中心軸と直交する平面上に砥粒層2が存在し、ストレート型の超砥粒ホイールにおいては、台金1の外周に砥粒層2が存在する。
次に、この超砥粒ホイールは、本発明方法によれば、以下のようにして製造することができる。
本発明方法においては、まず、所定の割合のポリイミド樹脂粉末と前記低融点ガラス粉末とからなる結合剤と、超砥粒と、必要に応じ用いられる充填剤や潤滑剤などの添加剤粉末を、それぞれ所定の割合で均質に混合して粉体混合物を調製する。次いで、この粉体混合物を金型内に充填し、20〜200MPaの圧力で冷間加圧したのち、炉中で250〜500℃の温度にて無加圧成形するか、あるいは、該粉体混合物を金型内に充填し、温度250〜500℃、圧力20〜200MPaの条件でホットプレス成形する方法などにより、所望形状、例えばリング状などの砥粒層を形成したのち、この砥粒層をエポキシ系接着剤などにより、適当な台金の作用部に接着し、超砥粒ホイールを作製する。あるいは、金型内の適当な台金の作用面に、上記粉体混合物を載置し、温度250〜500℃、圧力20〜200MPaの条件でホットプレス成形することにより、超砥粒ホイールを作製する。
【0008】
焼成時の温度が250℃未満であったり、圧力が20MPa未満であったりすると、所望の性能を有する超砥粒ホイールが得られにくい。一方、温度が500℃を超えると樹脂が劣化するおそれがあるし、また圧力は200MPa以下で十分であり、それより高い圧力は必要でない。好ましい温度は300〜500℃の範囲であり、また好ましい圧力は30〜170MPaの範囲である。特に好ましい温度は350〜500℃の範囲であり、特に好ましい圧力は50〜150MPaの範囲である。
このようにして得られた本発明の超砥粒ホイールは、ポリイミド樹脂と低融点ガラスの両方が結合剤として機能するので、超砥粒の保持力に優れ、切れ味の良好なホイールが得られる。また、ポリイミド樹脂と低融点ガラスの含有割合は広い範囲で選定することができ、低融点ガラスの量がかなり増えても成形が可能で、超砥粒の保持力が低下しない。
さらに、本発明の超砥粒ホイールは、従来のポリイミド系レジンボンド超砥粒ホイールの製造設備をそのまま利用することができ、特別の設備を必要とせず、したがって、安価に製造することができる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
直鎖型ポリイミド樹脂粉末[デュポン社製、商品名「ベスペルSP」]とリン酸錫ガラス粉末(軟化点350℃)とを、超砥粒層中のそれらの体積割合が50:50になるように混合して結合剤粉末を調製した。この結合剤粉末66重量部と粒度230のニッケルコート人造ダイヤモンド砥粒34重量部を混合して得た粉体混合物を金型に充填し、温度470℃、圧力100MPa、保持時間2時間の条件で加圧焼成し、リング状の超砥粒層を形成した。
次に、この超砥粒層を、寸法169D−6T−50.8Hのアルミニウム合金製台金の外周にエポキシ系接着剤で固着し、175D−6T−3X−50.8H(1A1)のストレート型ダイヤモンドホイールを製作した。
実施例2
実施例1において、直鎖型ポリイミド樹脂粉末とリン酸錫ガラス粉末とを、超砥粒層中のそれらの体積割合が25:75になるように混合してなる結合剤粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして、175D−6T−3X−50.8H(1A1)のストレート型ダイヤモンドホイールを製作した。
【0010】
比較例1
直鎖型ポリイミド樹脂粉末(前出)64重量部と粒度230のニッケルコート人造ダイヤモンド砥粒34重量部を混合して得た粉体混合物を用い、実施例1と同様にして、175D−6T−3X−50.8H(1A1)のストレート型ダイヤモンドホイールを製作した。
比較例2
実施例1において、直鎖型ポリイミド樹脂粉末とリン酸錫ガラス粉末とを、超砥粒層中のそれらの体積割合が75:25になるように混合してなる結合剤粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして、175D−6T−3X−50.8H(1A1)のストレート型ダイヤモンドホイールを製作した。
実施例1、2及び比較例1、2で製作したダイヤモンドホイールについて、平面研削盤を用い、下記の条件で超硬合金のトラバース研削試験を行い、法線研削抵抗を求めた。結果を第1表に示すと共に、図3に示す。
〈ドレッシング条件〉
加工方式:駆動方式20゜傾斜
ホイール回転数:1800min-1
砥石回転速度:400min-1
送り速度:1m/min
切込:15μm/pass
使用砥石:GC180−G
〈研削条件〉
試験機:岡本工作平面研削盤KSK−Z1(3.8kW)
加工方式:湿式トラバース研削
ホイール回転数:2800min-1
テーブル送り:10m/min
前後送り:2mm
切込:20μm/pass
総研削量:12cm3
【0011】
【表1】
Figure 0004592207
【0012】
第1表から分かるように、実施例1及び2のものは、比較例1及び2のものに比べて、法線研削抵抗がいずれも低く、切れ味に優れていた。
【0013】
【発明の効果】
本発明の超砥粒ホイールは、結合剤としてポリイミド樹脂と低融点ガラスとの混合物を用いたものであって、超砥粒の保持力に優れ、良好な切れ味を有する上、従来のレジンボンド超砥粒ホイールの製造設備で製作可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、カップ型のレジンボンド超砥粒ホイールの平面図(a)及び断面図(b)である。
【図2】図2は、ストレート型のレジンボンド超砥粒ホイールの平面図(a)及び断面図(b)である。
【図3】図3は、実施例1、2及び比較例1、2における研削量と法線研削抵抗との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 台金
2 砥粒層

Claims (2)

  1. ニッケルコートダイヤモンド超砥粒と、結合剤粉末と、場合により充填剤粉体を含む粉体混合物を350〜500℃の温度及び50〜150MPaの圧力で焼成成形した砥粒層を有する超砥粒ホイールにおいて、前記結合剤粉末が、直鎖型ポリイミド樹脂粉末20〜55体積%と、JIS R 3104に定める試験方法で測定された軟化点が250〜450℃の範囲にある低融点ガラス粉末80〜45体積%との粉末混合物からなり、直鎖型ポリイミド樹脂と低融点ガラスの両方が結合剤として機能することを特徴とする超砥粒ホイール。
  2. ポリイミド樹脂粉末20〜55体積%とJIS R 3104に定める試験方法で測定された軟化点が250〜450℃の範囲にあるガラス粉末80〜45体積%とからなる粉末結合剤と、ニッケルコートダイヤモンド超砥粒と、場合により充填剤を含む粉体混合物を、350〜500℃の温度及び50〜150MPaの圧力で焼成成形し、台金の作用部に砥粒層を設けることを特徴とする請求項1記載の超砥粒ホイールの製造方法。
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