JP4599603B2 - トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランジスタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、アクティブマトリクス型の液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))やイメージセンサ等を駆動させるために、薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))が広く用いられている。特に最近は、高速動作の必要性から、非晶質シリコンを活性層に用いた非晶質シリコンTFTに代わって、より電界効果移動度の高い多結晶シリコンTFT(p−Si TFT(Poly-Silicone TFT))が開発されている。
【0003】
多結晶シリコンTFTを用いて液晶表示装置を製造する場合、多結晶シリコンTFTは高速動作が可能であることから、画素スイッチング用として用いる以外に、駆動回路用としても用いることができる。これにより、表示装置と駆動回路とを一体形成することが可能となるため、駆動用IC(Integrated Circuit)が不要になるとともに、表示装置と駆動用ICとの接続が不要になるという利点がある。
【0004】
このため、近年、駆動回路以外の機能を有する回路をもLCDに集積するべく、多結晶シリコンTFTの高性能化を達成するための開発が盛んに行われている。
【0005】
多結晶シリコンTFTの高性能化を達成する方法の1つとして、ゲート絶縁膜を薄膜化する薄膜トランジスタの製造方法がある。以下、従来の薄膜トランジスタの製造方法の一例について図3(a)〜(e)を参照しながら説明する。
【0006】
図3(a)に示すように、基板50上にベースコート51と50nmの半導体層52とを形成し、パターニングをする。次に図3(b)に示すように、半導体層52上に、50nmのゲート絶縁膜53と400nmの導電層54とを形成した後に、導電層54上にフォトレジストを塗布し、所望の領域を露光、現像することによってレジスト55を形成する。
【0007】
次に、図3(c)に示すように、レジスト55をマスクとして導電層54をエッチングし、ゲート電極56を形成する。このとき、レジスト55で覆われていない領域のゲート絶縁膜53の膜厚は、ゲート電極形成時に行われるエッチングのオーバーエッチングによって薄くなり、薄膜化されたゲート絶縁膜53aとなる。
【0008】
次に図3(d)に示すように、半導体52層に不純物を注入して高キャリア濃度ソース領域(以下、ソース領域という)57および高キャリア濃度ドレイン領域(以下、ドレイン領域という)58を形成する。ゲート電極56に覆われている領域は、不純物が注入されずにチャネル領域59となる。そして、ソース領域57およびドレイン領域58の不純物を電気的に活性化させる。
【0009】
その後、図3(e)に示すように、層間絶縁膜60、コンタクトホール61・62、配線(図示せず)、ソース電極63、ドレイン電極64を形成し、最後にパッシベーション膜65を形成することによって薄膜トランジスタが形成される。
【0010】
ここで、ゲート電極形成時に行われるドライエッチングのオーバーエッチングによるゲート絶縁膜53のエッチング量について一例を挙げて説明する。
【0011】
ゲート電極形成時のドライエッチングの条件を、エッチレートが5nm/sec、導電層54とゲート絶縁膜53とのエッチングの選択比が4、オーバーエッチングが10%、導電層54の膜厚が360〜440nmであるとする。
【0012】
導電層54の最大膜厚440nmをエッチングするために必要な時間は、440÷5=88(sec)であり、オーバーエッチングが10%であるから、ゲート電極形成時のエッチング時間は、88×1.1=97(sec)となる。従って、導電層54の最大膜厚をエッチングするためのエッチング時間は、97secである。
【0013】
一方、導電層54の最小膜厚360nmをエッチングするために必要な時間は、360÷5=72(sec)である。従って、導電層54の最小膜厚部分においては、導電層54の最大膜厚をエッチングするための時間97secから最小膜厚をエッチングするための時間72secを引いた残りの時間25secだけ、ゲート絶縁膜53がエッチングされる。
【0014】
また、導電層54とゲート絶縁膜53のエッチングの選択比は4であることから、ゲート絶縁膜53のエッチングレートは、5÷4=1.25nm/secとなり、ゲート絶縁膜53は、1.25×25=31.3nmエッチングされる。従って、図3(c)に示すゲート電極形成後の薄膜化されたゲート絶縁膜53aの膜厚は、最も薄い部分で50−31.3=18.7nmとなる。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−217413号公報(公開日:平成13年8月10日)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶表示装置に用いられる大型のガラス基板の上で行われるエッチングでは、エッチングの異方性や低温プロセスの要求等を満足するために、エッチング条件が制限され、例えばゲート電極をエッチングする工程での導電層とゲート絶縁膜との選択比を小さくする必要がある。このように、導電層とゲート絶縁膜との選択比が小さい場合、ゲート電極のドライエッチング時にゲート絶縁膜がエッチングされすぎて薄くなってしまったり、なくなってしまったりするという問題点がある。
【0017】
従来の薄膜トランジスタの製造方法では、上記問題点を有することによって、以下のさらなる問題点をも招来してしまう。
【0018】
例えば、上述の薄膜トランジスタの製造方法において、ゲート絶縁膜の膜厚に応じた加速エネルギーを設定して、ソース領域およびドレイン領域に不純物を注入した場合に、ゲート絶縁膜の最も薄い部分の膜厚が18.7nmでは薄すぎるため、不純物濃度が最も高いピーク濃度の位置が半導体層中の基板側にずれてしまい、半導体層へのダメージが大きくなってしまう。
【0019】
このため、後の活性化工程において半導体層のダメージを回復することができず、不純物が十分活性化されていない領域が、ソース領域およびドレイン領域内に存在してしまう。その結果、不純物が十分活性化されていない領域における抵抗が大きくなり、不良TFTが基板内に多く現れ、トランジスタの性能が著しく低下するという問題点がある。
【0020】
本発明は、上記問題点を解決するために提案されたものであり、ゲート電極形成時に行われるドライエッチングのオーバーエッチングによりゲート絶縁膜がエッチングされすぎることを低減することにより、性能の著しい低下を回避し、高い性能を維持したトランジスタおよびその製造方法、並びに該トランジスタを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるトランジスタの製造方法は、上記課題を解決するために、ガラス基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、該半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、該ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、該半導体層に不純物を注入する不純物注入工程とを含むトランジスタの製造方法において、上記ゲート電極形成工程は、複数の導電層を形成する導電層形成工程と、上記複数の導電層を互いに異なる条件でエッチングするエッチング工程とを含むことを特徴としている。
【0022】
また、本発明にかかるトランジスタの製造方法は、上記構成に加え、上記ゲート電極形成工程は、ゲート絶縁層上に形成される第1導電層と該第1導電層上に形成される第2導電層を形成する導電層形成工程と、上記第2導電層をエッチングする第1のエッチング工程と、上記第1導電層をエッチングする第2のエッチング工程とを含み、上記導電層形成工程において形成される上記第1導電層の最小膜厚部分の膜厚が45nm、最大膜厚部分の膜厚が55nmであり、上記導電層形成工程において形成される上記第2導電層の最小膜厚部分の膜厚が315nm、最大膜厚部分の膜厚が385nmであり、上記第1のエッチング工程における第2導電層と第1導電層の選択比が20となるように設定し、上記第2のエッチング工程における第1導電層とゲート絶縁層の選択比が4となるように設定したことを特徴とする。
【0023】
上記方法によれば、基板上に半導体層とゲート絶縁層とが形成され、ゲート絶縁層上に、ゲート電極を形成するための複数の導電層が形成される。そして、該複数の導電層を互いに異なるエッチング条件でエッチングすることによりゲート電極が形成される。
【0024】
上記エッチングは、例えば、エッチングレートや選択比といったエッチング条件を複数の導電層毎に互いに異ならせて行うため、複数形成された導電層のうち、最下層の導電層をエッチングする時間を、他の導電層をエッチングする時間よりも短くなるようにエッチング条件を設定した場合、最下層の導電層をエッチングする際のオーバーエッチング時間をも短くすることができる。その結果、オーバーエッチングによりゲート絶縁層をエッチングしすぎてしまい、ゲート絶縁層が薄くなることを防止することができる。
【0025】
ゲート絶縁層が薄い場合には、半導体層に不純物を注入する際に、半導体層へのダメージが大きくなり、半導体の抵抗が高くなるため、トランジスタの性能が著しく低下してしまう。しかしながら、上記方法によれば、ゲート絶縁層が薄くなることを防止することができることから、半導体層へのダメージを低減することが可能となり、トランジスタの性能の著しい低下を回避することができる。その結果、高い性能を維持したトランジスタの製造方法を提供することができる。
【0026】
本発明にかかるトランジスタの製造方法は、上記構成に加え、上記導電層形成工程において、上記第1導電層と上記第2導電層との間、又は上記第2導電層の上に1層以上の導電層を形成する工程を有することを特徴とする。
【0027】
本発明に関連するトランジスタの製造方法は、上記構成に加え、上記導電層形成工程は、複数の導電層のうち最下層の導電層の層厚を、他の導電層の層厚よりも薄く形成することを特徴としている。
【0028】
本発明にかかるトランジスタの製造方法は、上記構成に加え、上記導電層形成工程において、ゲート絶縁層上に形成される第1導電層の層厚を、他の導電層の層厚よりも薄く形成することを特徴とする。
【0029】
上記方法によれば、複数形成された導電層のうち、最下層の導電層の層厚を、他の導電層の層厚よりも薄くしているため、最下層の導電層をエッチングする時間を、他の導電層をエッチングする時間よりも短くすることが容易にできる。
【0030】
その結果、ゲート絶縁層が薄くなることを容易に防止することができるため、トランジスタの性能の著しい低下を容易に回避することができる。
【0031】
本発明に関連するトランジスタの製造方法は、上記構成に加え、上記複数の導電層は、互いに異なる材料からなることを特徴としている。
【0032】
本発明にかかるトランジスタの製造方法は、上記構成に加え、上記導電層形成工程において形成される複数の導電層は、互いに異なる材料からなることを特徴とする。
【0033】
上記方法によれば、導電層毎のエッチング条件を、材料に応じたエッチング条件とすることができるため、エッチング条件の自由度が増し、例えば最下層の導電層をエッチングする時間を、他の導電層をエッチングする時間よりも短くすることが容易にできる。
【0034】
その結果、さらに容易にゲート絶縁層が薄くなることを防止することができるため、トランジスタの性能の著しい低下を容易に回避することができる。
【0035】
本発明に関連するトランジスタは、上記課題を解決するために、基板上に半導体層を備え、該半導体層上にゲート絶縁層を備え、該ゲート絶縁層上にゲート電極を備えているトランジスタにおいて、上記ゲート電極は、複数の導電層からなっていることを特徴としている。
【0036】
本発明に関連するトランジスタは、上記構成に加えて、上記ゲート電極は、上記ゲート絶縁層上に形成された第1導電層と、該第1導電層上に形成された第2導電層から形成され、上記第2導電層と上記第1導電層はエッチングにおける選択比が20であるように選ばれており、上記第1導電層と上記ゲート絶縁層は、エッチングにおける選択比が4であるように選ばれていることを特徴とする。
【0037】
上記構成によれば、ゲート電極が複数の導電層から形成されていることから、導電層が単層では膜応力が大きい場合や下層との密着性が弱い場合に、導電層が剥がれてしまうことを回避することができるとともに、例えば熱処理工程でヒロックが発生し、配線がショートしてしまうことを回避することができる。また、ゲート電極の導電層を別の材質に変更することを希望する場合に、元の材質を下層のゲート電極とし、所望の材質を上層のゲート電極とすることにより、トランジスタの特性および信頼性が変化してしまうことを回避することができる。また、ゲート電極を特殊な形状とする場合に、複数の導電層とすれば各々のエッチングレートの差を利用することにより所望の形状を形成することができる。
【0038】
また、上記構成によれば、ゲート電極が複数の導電層から形成されていることから、導電層のエッチング条件を導電層毎に設定することができ、最下層の導電層をエッチングする際に、オーバーエッチングによりゲート絶縁層がエッチングされすぎることを低減することができる。すなわち、層厚が十分確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを得ることができる。
【0039】
これにより、例えば、半導体層に不純物を注入する際に、半導体層へのダメージを低減することが可能となり、低抵抗の半導体を得ることができるため、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持したトランジスタを提供することができる。
【0040】
本発明に関連するトランジスタは、上記構成に加え、上記複数の導電層のうち最下層の導電層の層厚は、他の導電層の層厚よりも薄いことを特徴としている。
【0041】
本発明に関連するトランジスタは、上記構成に加え、上記第1導電層の層厚は、上記第2導電層の層厚よりも薄いことを特徴とする。
【0042】
上記構成によれば、例えば、導電層のエッチング時において、最下層の導電層のエッチング時間を短くすることが可能となり、オーバーエッチング時間を短くすることができる。これにより、ゲート絶縁層がエッチングされすぎることを低減することができるので、層厚が十分に確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを得ることが可能となり、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持したトランジスタを容易に得ることができる。
【0043】
本発明に関連するトランジスタは、上記構成に加え、上記複数の導電層は、互いに異なる材料からなることを特徴としている。
【0044】
上記構成によれば、複数の導電層は、互いに異なる材料から形成されているため、導電層のエッチング時において、導電層の材料に応じてエッチング条件を設定することが可能となる。例えば、最下層の導電層を、エッチング時間が短くなるような材料を用いれば、オーバーエッチング時間を短くすることができるため、ゲート絶縁層がエッチングされすぎることを低減することができる。これにより、層厚が十分に確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを得ることが可能となり、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持したトランジスタを容易に得ることができる。
【0045】
本発明に関連する液晶表示装置は、上記記載のトランジスタを用いてなることを特徴としている。
【0046】
上記構成によれば、上記記載のトランジスタを用いている。すなわち、層厚が十分確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを用いているため、低抵抗の半導体を得ることが可能となり、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持した液晶表示装置を提供することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態、及び参考の実施の形態について図1および図2に基づいて以下に説明する。
【0048】
図2(c)に示すように、本発明にかかる薄膜トランジスタ(トランジスタ)は、基板1、ベースコート2、半導体層3、ゲート絶縁膜(ゲート絶縁層)4、ゲート電極5、層間絶縁膜6、コンタクトホール7・8、ソース電極9、ドレイン電極10およびパッシベーション膜11から形成されている。
【0049】
上記基板1は、ガラスからなる透明の基板であり、基板1上には基板1からの不純物の拡散を防止するためのベースコート2が形成されている。ベースコート2の上には半導体層3が形成されている。
【0050】
半導体層3は、不純物が注入されている高キャリア濃度ソース領域(以下ソース領域という)12および高キャリア濃度ドレイン領域(以下ドレイン領域という)13と、不純物が注入されていないチャネル領域14とから構成されている。半導体層3上には、半導体層3を覆うようにしてゲート絶縁膜4が形成されている。
【0051】
ゲート絶縁膜4上には、半導体層3のチャネル領域14の位置にゲート電極5が形成されている。ゲート電極5と、ゲート電極5が形成されていない部分のゲート絶縁膜4とを覆うように層間絶縁膜6が形成されている。また、ゲート電極5は、互いに異なる材料からなる2層のゲート電極層5a・5bによって形成されており、図示しないゲート信号線と電気的に接続されている。
【0052】
ゲート絶縁膜4および層間絶縁膜6には、ソース領域12およびドレイン領域13に達するようになっているコンタクトホール7・8が形成されている。コンタクトホール7・8は、ゲート電極5とゲート信号線とを電気的に接続させ、コンタクトホール7は、ソース電極9とソース領域12とを電気的に接続させ、コンタクトホール8は、ドレイン電極10とドレイン領域13とを電気的に接続させるためのものである。
【0053】
層間絶縁膜6上にはソース電極9およびドレイン電極10が形成されている。ソース電極9は、コンタクトホール7を介してソース領域12と電気的に接続されており、ドレイン電極10は、コンタクトホール8を介してドレイン領域13と電気的に接続されている。
【0054】
層間絶縁膜6、ソース電極9およびドレイン電極10上にはパッシベーション膜11が形成されている。
【0055】
次に、上記薄膜トランジスタの製造方法の一例について説明する。
【0056】
まず、図1(a)に示すように、ガラスからなる基板1上に、厚み300nmのSiOを製膜してベースコート2を形成する。その後に、半導体層形成工程を行う。すなわち、ベースコート2上に厚み50nmのシリコン膜を形成した後に、所定の形状に加工することにより半導体層3を形成する。
【0057】
次に、ゲート絶縁層形成工程を行う。すなわち、図1(b)に示すように、ベースコート2および半導体層3上に、絶縁層として例えばSiOを厚み50nmにて製膜して、ゲート絶縁膜4を形成する。
【0058】
次に、ゲート電極形成工程を行う。まず、導電層形成工程として、図1(c)に示すように、ゲート絶縁膜4上に、スパッタリング法を用いて窒化タンタルを堆積させ、厚みが約50nmとなるように第1導電層(導電層)15を形成する。そして、第1導電層15上に、スパッタリング法を用いてタングステンを堆積させ、厚みが約350nmとなるように第2導電層(導電層)16を形成する。
【0059】
その後、第2導電層16上に感光剤としてのフォトレジストを塗布し、フォトレジスト上にゲート電極の形状に形成された所定のパターンを有するマスクを載せ、紫外線等の光照射により、マスクに形成されたパターンをフォトレジストに露光する。そして、現像を行い露光されていないフォトレジストを除去することによって、ゲート電極を形成するためのレジスト17を形成する。
【0060】
次に、エッチング工程として、図2(a)に示すように、レジスト17をマスクとしてドライエッチング等のエッチングを行い、レジスト17に覆われた部分以外の第2導電層16を除去することによって第2ゲート電極層5bを形成する。このとき、第2導電層16をエッチングする条件を、次にエッチングする第1導電層15との選択比が大きくなるような条件とすれば、オーバーエッチングによる第1導電層15のエッチングを低減することができる。
【0061】
例えば、第2導電層16の膜厚が315〜385nmであるときに、エッチングの条件を、第2導電層16のエッチングレートを5nm/sec、オーバーエッチングを10%、第2導電層16と第1導電層15との選択比を20とする。
【0062】
上記条件下において、第2導電層16の最大膜厚部分をエッチングするための時間は、385÷5=77(sec)となり、オーバーエッチングが10%であるから、全エッチング時間は77×1.1=85(sec)となる。一方、第2導電層16の最小膜厚部分のエッチング時間は、315÷5=63(sec)であるため、第2導電層16の最小膜厚部分の下に形成されている第1導電層15は、85−63=22(sec)だけエッチングされることになる。
【0063】
第2導電層16と第1導電層15との選択比が20であることから、第1導電層15のエッチングレートは、5÷20=0.25nm/secとなる。従って、第1導電層15は、最大で0.25×22=5.5nmエッチングされる。
【0064】
次に、図2(b)に示すように、レジスト17および第2ゲート電極層5bをマスクとしてドライエッチング等のエッチングを行い、レジスト17および第2ゲート電極層5bに覆われた部分以外の第1導電層15を除去することによって第1ゲート電極層5aを形成する。これにより、第1ゲート電極層5aおよび第2ゲート電極層5bからなるゲート電極5が形成される。
【0065】
上記第1導電層15のエッチングにおいて、例えば、第1導電層15の製膜時の膜厚が45〜55nmであるときに、エッチングの条件を、第1導電層15のエッチングレートを3nm/sec、オーバーエッチングを10%、第1導電層15とゲート絶縁膜4との選択比を4とする。また、第1導電層15は、上記第2導電層16のエッチングによって最大で5.5nmエッチングされているため、第1導電層15の膜厚は、39.5〜55nmとなっている。
【0066】
上記条件下において、第1導電層15の最大膜厚部分をエッチングするための時間は、55÷3=18(sec)となり、オーバーエッチングが10%であるから、全エッチング時間は、18×1.1=20(sec)となる。一方、第1導電層15の最小膜厚部分をエッチングする時間は、39.5÷3=13(sec)であるため、第1導電層15の最小膜厚部分のゲート絶縁膜4は、20−13=7(sec)だけエッチングされることになる。
【0067】
第1導電層15とゲート絶縁膜4との選択比が4であるから、ゲート絶縁膜4のエッチングレートは、3÷4=0.75nm/secとなる。従って、ゲート絶縁膜4は、最大で0.75×7=5.3nmエッチングされ、エッチング後のゲート絶縁膜4の最小膜厚は、50−5.3=44.7nmとなる。
【0068】
すなわち、上記のように、第1導電層15の膜厚は薄いため、第1導電層15のエッチング時間は短くてすみ、その結果オーバーエッチング時間も短くてすむ。このため、第1導電層15とゲート絶縁膜4との選択比が小さい場合であっても、ゲート電極5に覆われていない領域のゲート絶縁膜4は、エッチングにより膜厚18が薄くなることはほとんどない。
【0069】
以上により、導電層形成工程により2層からなる導電層を形成した後に、一度のパターニングによるレジスト形成を行い、2種類のエッチング条件を用いたエッチング工程を行うことによって、ゲート電極5が形成され、ゲート電極形成工程が完了する。
【0070】
次に、不純物注入工程を行う。図2(b)に示すように、半導体層3に、ゲート電極5をマスクとして不純物を注入する。これにより、ソース領域12およびドレイン領域13が形成される。不純物の注入は、例えば、不純物としてリンを用いて、加速エネルギー5〜100keV、ドーズ量5×1016ions/cmの条件下でイオン注入することができる。また、上にゲート電極5が形成されている半導体層3の領域は、ゲート電極5がマスクとなっているため不純物が注入されず、チャネル領域14となる。
【0071】
不純物として注入されたイオンのうちのいくつかは、半導体層3中の原子と衝突し、衝突した原子のうちのいくつかは、はじき飛ばされるものがある。はじき飛ばされた原子が多いときに、結晶であった半導体層3が非晶質に変化してしまい、半導体層3のダメージとなる。一般に、半導体層上に形成されたゲート絶縁膜が薄い場合に、半導体層のダメージは多くなり、このときソース領域およびドレイン領域を形成するための、後の活性化工程における活性化がうまく出来ない。一方、ゲート絶縁膜が厚い場合には半導体層への不純物の注入量が不足し、十分低抵抗なソース領域およびドレイン領域を形成することができない。また、活性化工程(特に、炉、RTAを使用した場合)においては、半導体層の下層部に結晶領域を残しておいた方が再結晶化しやすくなるため、ダメージの比較的多くなる不純物濃度の高い領域が、ゲート絶縁膜と半導体層との界面付近となるように不純物注入条件を設定することが好ましい。
【0072】
なお、例えば、ゲート電極5を第1導電層15だけ、または第2導電層16だけで形成した場合、従来の薄膜トランジスタを形成する場合と同様に、ゲート絶縁膜4が本実施の形態の半分以下の約19nmしか残らないため、不純物注入時における半導体層3へのダメージが大きくなり、活性化工程において不純物を十分活性化させることができず、ソース領域12およびドレイン領域13の抵抗が大きくなってしまう。
【0073】
しかしながら、上述したように、第1導電層15および第2導電層16のエッチングによっても、ゲート絶縁膜4が44.7nm残る。従って、ゲート絶縁膜の膜厚を十分確保することができるため、不純物注入時の半導体層3へのダメージを低減することが可能となり、次の活性化工程において半導体層3のダメージが回復し、十分抵抗の小さいソース領域12およびドレイン領域13を得ることができる。
【0074】
そして、次に熱処理を行い、ソース領域12およびドレイン領域13に注入された不純物を電気的に活性化させる。熱処理は、例えば、窒素雰囲気中で400〜640℃、1〜240分の条件下で行うことができる。
【0075】
次に、図2(c)に示すように、例えば、TEOSを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、SiOを堆積させることによって、層間絶縁膜6を形成する。そして、層間絶縁膜6、ゲート絶縁膜4の一部を除去し、ソース領域12に達するようなコンタクトホール7と、ソース領域13に達するようなコンタクトホール8とを開口する。
【0076】
層間絶縁膜6上のコンタクトホール7・8の開口部に、アルミニウムからなるゲート信号線(図示せず)、ソース電極9およびドレイン電極10形成する。ゲート信号線はコンタクトホール7・8のいずれかを介してゲート電極5と電気的に接続され、ソース電極9はコンタクトホール7を介してソース領域12と電気的に接続され、ドレイン電極10はコンタクトホール8を介してドレイン領域13と電気的に接続される。そして、層間絶縁膜6上に保護膜としてのパッシベーション膜11を形成する。
【0077】
以上より、本発明にかかる薄膜トランジスタを製造することができる。また、上記薄膜トランジスタを用いることにより液晶表示装置を得ることができる。
【0078】
また、本実施の形態においては、ゲート電極を窒化タンタルからなる第1導電層15とタングステンからなる第2導電層16との2層の積層構造としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、3層以上の積層構造としてもよい。この場合、本実施の形態での第1導電層15が最下層となり、第2導電層16が最下層以外の層、すなわち最上層または最上層と最下層とに挟まれた中間層となる。
【0079】
また、本実施の形態においては、ソース領域12およびドレイン領域13を形成するために不純物としてリンを注入し、N型薄膜トランジスタとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、P型薄膜トランジスタとしても同様に実施可能である。また、不純物としてB、Asを用いても同様に実施可能である。
【0080】
また、本実施の形態において形成した各膜の材質や不純物の材質は、任意に選ぶことができ、トランジスタの構造についても各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態においては、基板1としてガラスを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の関連発明としては、シリコンウエハー、SOI、石英を用いても同様に実施可能である。また、本実施の形態においては、ゲート絶縁膜4としてSiOを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、SiO、SiN、SiON、Ta205、Al203、ZrO、HfO、La203、Pr203を用いても同様に実施可能である。また、本実施の形態においては、ゲート電極として、すなわち、第1導電層15として窒化タンタルを、第2導電層16としてタングステンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、W、Ta、TaN、Al、AlMo、Mo、AlSi、AiTi、Ti、TiN、Si、WSi、MoSi、TaSi、Cuを用いても同様に実施可能である。また、本実施の形態においては、層間絶縁膜6としてSiOを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、SiN、SiNO、Low−K膜、有機膜を用いても同様に実施可能である。
【0081】
また、本実施の形態におけるトランジスタの製造条件は、一例を示したにすぎず、本発明はこの数値に限定されるものではない。
【0082】
本発明のトランジスタの製造方法は、基板上にベースコート膜と半導体層とゲート絶縁膜とゲート電極とを、基板側からこの順に形成する工程と、該ゲート電極を2種類以上の材料から形成する工程と、最下層のゲート電極層の膜厚が上層のゲート電極層の膜厚よりも薄く、一度のパターニングでゲート電極形成のために2種類以上の条件でエッチングする工程とを含む構成としてもよい。
【0083】
本発明のトランジスタは、基板上にベースコート膜と半導体層とゲート絶縁膜とゲート電極とが基板側からこの順に形成されているトランジスタであって、該ゲート電極が2種類以上の材料から形成されていて、最下層のゲート電極層が上層のゲート電極層よりも膜厚が薄い構成としてもよい。
【0084】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるトランジスタの製造方法は、ゲート電極形成工程は、複数の導電層を形成する導電層形成工程と、上記複数の導電層を互いに異なる条件でエッチングするエッチング工程とを含む構成である。
【0085】
上記構成によれば、ガラス基板上に形成された半導体層およびゲート絶縁層上に、ゲート電極を形成するための複数の導電層が形成される。そして、該複数の導電層を互いに異なるエッチング条件でエッチングすることによりゲート電極が形成される。
【0086】
その結果、オーバーエッチングによりゲート絶縁層をエッチングしすぎてしまい、ゲート絶縁層が薄くなることを防止することができる。これにより、例えば、半導体層に不純物を注入する際の半導体層へのダメージを低減することが可能となり、トランジスタの性能の著しい低下を回避することができ、高い性能を維持したトランジスタを製造することができるという効果を奏する。
【0087】
上記のトランジスタの製造方法において、上記導電層形成工程は、複数の導電層のうち最下層の導電層の層厚を、他の導電層の層厚よりも薄く形成する構成としてもよい。
【0088】
上記構成によれば、複数形成された導電層のうち、最下層の導電層の層厚を、他の導電層の層厚よりも薄くしているため、最下層の導電層をエッチングする時間を、他の導電層をエッチングする時間よりも短くすることが容易にできる。
【0089】
その結果、ゲート絶縁層が薄くなることを容易に防止することができるため、トランジスタの性能の著しい低下を容易に回避することができるという効果を奏する。
【0090】
上記のトランジスタの製造方法において、上記複数の導電層は、互いに異なる材料からなる構成としてもよい。
【0091】
上記構成によれば、導電層毎のエッチング条件を、材料に応じたエッチング条件とすることができるため、エッチング条件の自由度が増し、例えば最下層の導電層をエッチングする時間を、他の導電層をエッチングする時間よりも短くすることが容易にできる。
【0092】
その結果、さらに容易にゲート絶縁層が薄くなることを防止することができるため、トランジスタの性能の著しい低下を容易に回避することができるという効果を奏する。
【0093】
以上のように、本発明に関連するトランジスタは、ゲート電極は、複数の導電層からなっている構成である。
【0094】
上記構成によれば、ゲート電極が複数の導電層から形成されていることから、導電層のエッチング条件を導電層毎に設定することができ、最下層の導電層をエッチングする際に、オーバーエッチングによりゲート絶縁層がエッチングされすぎることを低減することができるので、層厚が十分確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを得ることができる。
【0095】
これにより、例えば、半導体層に不純物を注入する際に、半導体層へのダメージを低減することが可能となり、低抵抗の半導体を得ることができるため、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持したトランジスタを得ることができるという効果を奏する。
【0096】
上記のトランジスタにおいて、上記複数の導電層のうち最下層の導電層の層厚は、他の導電層の層厚よりも薄い構成としてもよい。
【0097】
上記構成によれば、例えば、導電層のエッチング時において、最下層の導電層のエッチング時間を短くすることが可能となり、オーバーエッチング時間を短くすることができるため、ゲート絶縁層がエッチングされすぎることを低減することができる。これにより、層厚が十分に確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを得ることが可能となり、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持したトランジスタを容易に得ることができるという効果を奏する。
【0098】
上記のトランジスタにおいて、上記複数の導電層は、互いに異なる材料からなる構成としてもよい。
【0099】
上記構成によれば、複数の導電層は、互いに異なる材料から形成されているため、導電層のエッチング時において、導電層の材料に応じてエッチング条件を設定することが可能となる。これにより、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持したトランジスタを容易に得ることができるという効果を奏する。
【0100】
以上のように、本発明に関連する液晶表示装置は、上記記載のトランジスタを用いてなる構成である。
【0101】
上記構成によれば、上記記載のトランジスタを用いている。すなわち、層厚が十分確保されたゲート絶縁層を有するトランジスタを用いているため、低抵抗の半導体を得ることが可能となり、性能の著しい低下を回避して高い性能を維持した液晶表示装置を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の形態における薄膜トランジスタの製造工程の一部を示すものであり、(a)〜(c)は、薄膜トランジスタの断面図である。
【図2】 図2は、図1の製造工程の続きを示すものであり、(a)〜(c)は、薄膜トランジスタの断面図である。
【図3】 図3は、従来の薄膜トランジスタの製造工程を示すものであり、(a)〜(e)は、薄膜トランジスタの断面図である。
【符号の説明】
1 基板
3 半導体層
4 ゲート絶縁膜(ゲート絶縁層)
5 ゲート電極
5a 第1ゲート電極層
5b 第2ゲート電極層
6 層間絶縁膜
12 ソース領域
13 ドレイン領域
14 チャネル領域
15 第1導電層(導電層)
16 第2導電層(導電層)
17 レジスト

Claims (4)

  1. ガラス基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、該半導体層上にゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、該ゲート絶縁層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、該半導体層に不純物を注入する不純物注入工程とを含むトランジスタの製造方法において、
    上記ゲート電極形成工程は、ゲート絶縁層上に形成される第1導電層と該第1導電層上に形成される第2導電層を形成する導電層形成工程と、上記第2導電層をエッチングする第1のエッチング工程と、上記第1導電層をエッチングする第2のエッチング工程とを含み、
    上記導電層形成工程において形成される上記第1導電層の最小膜厚部分の膜厚が45nm、最大膜厚部分の膜厚が55nmであり、
    上記導電層形成工程において形成される上記第2導電層の最小膜厚部分の膜厚が315nm、最大膜厚部分の膜厚が385nmであり、
    上記第1のエッチング工程における第2導電層と第1導電層の選択比が20となるように設定し、上記第2のエッチング工程における第1導電層とゲート絶縁層の選択比が4となるように設定したことを特徴とするトランジスタの製造方法。
  2. 上記導電層形成工程において、上記第1導電層と上記第2導電層との間、又は上記第2導電層の上に1層以上の導電層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のトランジスタの製造方法。
  3. 上記導電層形成工程において、ゲート絶縁層上に形成される第1導電層の層厚を、他の導電層の層厚よりも薄く形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のトランジスタの製造方法。
  4. 上記導電層形成工程において形成される複数の導電層は、互いに異なる材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランジスタの製造方法。
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