JP4600860B2 - 永久磁石形同期電動機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コギングトルク、速度リプルの小さいことが要求されるダイレクトドライブモータとして好適な、コギングトルク低減を講じた永久磁石形同期電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コギングトルク、速度リプルの小さいことが要求されるダイレクトドライブモータとして好適な、コギングトルク低減を講じた永久磁石形同期電動機は、図11、図12のようになっている(例えば、特表平10−511837号公報、特開平06−070524号公報)。
図11は、第1の従来技術を示す永久磁石形同期電動機の正面図である。
この永久磁石形同期電動機は、毎極毎相のスロット数q=1/2、スロット数S=30、極数Pa=20で構成されたものである。
固定子21は、電機子コア22、電機子コア22に形成されたスロット23に巻装された電機子巻線24、電機子コア22の外周を覆うフレーム25によって構成されている。
電機子コア22は、そこに発生するヒステリシス損、渦電流損を低減する目的で、主に薄板の珪素鋼板を積層して円筒状に構成される。スロット23の形状は、予め高密度に巻装した電機子巻線4を挿入できるように、その開口部が開いた凹状に形成されている。回転子10は、Pa=20の磁極を構成する20個の永久磁石11、永久磁石11の磁束を通すためのヨーク12、ヨーク12の内周に設けた負荷(図示せず)と連結されるシャフト13から構成されている。20個の永久磁石11はPa=20の磁極を作るために、回転子10表面の磁極がN、S、N、S…となるように、つまり隣と異極になるように配置されている。また、スロットピッチτe(電気角)とτm(機械角)は、次のような関係式から求められる。
Figure 0004600860
このように構成された永久磁石形同期電動機は、スロット33内の導体の占積率が非常に高いため、小さな電流で大きなトルクを得ることができるものである。しかし、一般にはスロット開口部の大きいものは、パーミアンス変化が大きいため、コギングトルクが大きくなることで知られている。そこで、スロット23の幅を特表平10−511837号に開示される適当な幅で設定することにより、コギングトルクを低減する方策が採られている。よって、従来技術でもダイレクトドライブに必要な滑らかな回転が可能となっている。
また、図12は第2の従来技術を示す永久磁石形同期電動機の正面図である。
この永久磁石形同期電動機が、毎極毎相のスロット数q=1/2、スロット数S=30、極数Pa=20で構成される点は、第1の従来技術と同じである。第1の従来技術と異なる点は、電機子コアを、周方向に複数分割してなる電機子コア26に替えた点である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術では、次のような問題があった。
第1の従来技術における永久磁石形電動機の問題は、電機子コア22の歩留まりが非常に悪いことであった。つまり、多極のダイレクトドライブモータとして構成した場合、一般に回転子10の外径(電機子コア22の内径)が大きいため、中空状の電機子コア22内側の珪素鋼板が大量に無駄になってしまった。
この問題を解決するものとして第2の従来技術を示したが、分割された電機子コア26間における周方向のクリアランスのばらつきにより、特表平10−511837号に開示される最適なスロット3の幅に設定したとしても、大きなコギングトルクが発生した。回転子10の回転角とコギングトルクとの関係を図13に示す。この原因によって起こるコギングトルクは、極数Paに依存し、回転子1回転あたり20周期(1周期を機械角18°、電気角180°)である。クリアランスのばらつきを抑えるため、電機子コア2の寸法精度を向上させたり組み立て精度を向上すると、かえって大きなコスト高を招いた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電機子コアの歩留まりを向上させると共に、コギングトルクを低減することができる永久磁石形同期電動機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1の本発明は、電機子コアのスロットに電機子巻線を巻装して構成された固定子と、極数Pa(Paは偶数)の磁極を有する回転子から成る3相の永久磁石形同期電動機において、前記固定子は、前記電機子コアを周方向に120°間隔に分割すると共にスロット数Sから成る電機子ユニットを3個配置して構成してあり、前記電機子ユニットの毎極毎相のスロット数qを、q=1/2、1/4、2/5、2/7、3/8、3/10のいずれかに設定し、かつ、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係を、S/q=2n および Pa=(S/q)+2 (但し、nは自然数)の式に設定したものである。
請求項2の本発明は、電機子コアのスロットに電機子巻線を巻装して構成された固定子と、極数Pa(Paは偶数)の磁極を有する回転子から成る3相の永久磁石形同期電動機において、前記固定子は、前記電機子コアを周方向に120°間隔に分割すると共にスロット数Sから成る電機子ユニットを3個配置して構成してあり、前記電機子ユニットの毎極毎相のスロット数qを、q=2/5、2/7のいずれかに設定し、かつ、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係を、S/q=2n+1 および Pa=(S/q)+1 (但し、nは自然数)の式で表したものである。
上記手段により、電機子コア2を構成する珪素鋼板の歩留まりを大幅に向上することができる。しかもこの構造では、120度位相をずらすことが可能となるので、120度位相の3つの電機子コア2両端で発生するコギングトルクが相殺でき、全体で発生するコギングトルクを無くすことができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発面の実施例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図である。なお、回転子10の構成については、従来技術と基本的に同じなので説明を省略し、本発明の構成要素が従来技術と異なる点のみ説明する。
図において、1は固定子、2は電機子コア、3はロット、4は電機子巻線、5はフレーム、6、7、9は電機子ユニットである。
すなわち、固定子1は、従来の円筒状に積層された電機子コアを、周方向に機械角βm=120°間隔に分割すると共にスロット数Sから成る電機子ユニット6、7、8を3個配置して構成してあり、各電機子ユニット6、7、8をフレーム5の内面に沿って固定している。
さらに具体的には、この電機子ユニット6、7、8は、それぞれ毎極毎相のスロット数q=1/2となるように、電機子コア2にスロット数S=9のスロット3が施されている。そして、このように構成された電機子ユニットにおいて、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係は、
S/q=9/(1/2)=18、
Pa=(S/q)+2=(9/(1/2))+2=20、
に設定されている。ここで、電機子ユニット6、7、8の周方向ずれ角βe(電気角)は、
βe=Pa×180°×(120°/360°)=1200°=120°
となる。つまり、3つの電機子ユニット6、7、8は機械的にも電気的にも120°ずれている。3つの電機子ユニット6、7、8が互いに電気角120°ずれているため、各電機子ユニット6、7、8の電機子巻線4も120°ずらして巻装されている。つまり、第1の電機子ユニット6に巻装された電機子巻線4を構成するコイルがU、V、W相の順に並んでいるとすれば、第2、第3の電機子ユニット7、8に巻装される電機子巻線4のコイルはV、W、U相の順、W、U、V相の順に並べられている。
【0006】
また、スロットピッチτe(電気角)とτm(機械角)、電機子ユニット6、7、8間の隙間δe(電気角)とδm(機械角)は次のような関係式から求められる。
Figure 0004600860
【0007】
このように構成された永久磁石形同期電動機における回転子の回転角とコギングトルクとの関係を図2示す。
第1の電機子ユニット6と回転子10によって引き起こるコギングトルクT1は、回転子1回転あたり20周期(1周期を機械角18°、電気角180°)とする振幅の大きなものである。この発生原因は、電機子ユニット6両端の大きなパーミアンス変化によるものである。しかし、第2、第3の電機子ユニット7、8と電気的に120°ずれているので、各々に発生するコギングトルクT2、T3も120°ずれていることになる。その結果、全体で発生するコギングトルクTは相殺され、ほとんどゼロになる。
また、電機子コア2の形状は、電機子コア2内側の珪素鋼板を大量に無駄にしていた従来の中空状と違い、円弧状で構成されるため、この円弧状の型によって同一方向に珪素鋼板をプレスしていくことにより、従来無駄にしていた中空部分の珪素鋼板を無くすことができるため、電機子コア2を構成する珪素鋼板の歩留まりを大幅に向上することができる。
【0008】
次に、第2の実施例〜第6の実施例について説明する。
表1は、第2の実施例〜第6の実施例における電機子ユニットの仕様を比較したものである。
【0009】
【表1】
Figure 0004600860
【0010】
図3は本発明の第2の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図、図4は第3の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図、図5は第4の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図、図6は第5の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図、図7は第6の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図である。
各々の実施例において、電機子コア2のスロット3に電機子巻線4を巻装してなる電機子ユニットが周方向に3個配置される構成、スロット3の形状、電機子巻線4の巻装方法などは第1の実施例と基本的に同じである。
また、表1に示すように、各々の実施例における極数Pa、電機子ユニットのずれ角(電気角)βe、スロットピッチτe(電気角)とτm(機械角)、電機子ユニット間の隙間δe(電気角)とδm(機械角)は第1の実施例と同様に下式によって設定されているが、各実施例でその計算値となる仕様は異なる。
Pa=(S/q)+2
βe=Pa×180°×(120°/360°)
τe=180°/q/3
τm=τe×2/Pa
δe=(Pa×180°−3×S×τe)/3
δm=δe×2/Pa
このように3つの電機子ユニット6、7、8は、すべての実施例で機械的にも電気的にも120°ずれている。
したがって、第2の実施例〜第6の実施例は、第1の実施例と同様、各電機子ユニット6、7、8によって発生するコギングトルクは相殺され、全体で発生するコギングトルクをほぼゼロにすることができる。また、電機子コア2の形状も、第1の実施例同様、円弧状となっている。この円弧状の型によって同一方向に珪素鋼板をプレスしていくことにより、従来無駄にしていた中空部分の珪素鋼板を無くすことができるため、電機子コア2を構成する珪素鋼板の歩留まりを大幅に向上することができる。
【0011】
次に、第7の実施例〜第8の実施例について説明する。
表2は、第7の実施例〜第8の実施例における電機子ユニットの仕様を比較したものである。
【0012】
【表2】
Figure 0004600860
【0013】
図8は第7の実施例における永久磁石形同期電動機の正面図である。
回転子10は、従来技術と同様にして構成されるので、説明を省略する。固定子1は、3つの電機子ユニット6、7、8とそれらを覆うフレーム5から構成されている。3つの電機子ユニット6、7、8はフレーム5内面に沿って周方向機械角βm=120°間隔に配置されている。1個の電機子ユニットは、スロット数S=6、毎極毎相のスロット数q=2/5となるように、電機子コア2にスロット3が施され、スロット3には電機子巻線4が巻装されている。
このように構成された固定子1において、
S/q=6/(2/5)=15 (2n+1=15であるためn=7に設定)
Pa=(S/q)+1=(6/(2/5))+1=16
に設定されている。ここで、電機子ユニットのずれ角βe(電気角)は、
βe=Pa×180°×(120°/360°)=960°=240°
となる。つまり、3つの電機子ユニット6、7、8は機械的には120°、電気的には240°ずれていることになる。3つの電機子ユニット6、7、8が互いに電気角240°ずれていることから、各電機子ユニット6、7、8の電機子巻線4も240°ずらして巻装されている。つまり、第1の電機子ユニット6に巻装される電機子巻線4のコイルがU、V、W相の順に並べられているとすれば、第7の実施例では、第2、第3の電機子ユニット7、8に巻装される電機子巻線4のコイルはW、U、V相の順、V、W、U相の順に並べられている。
また、スロットピッチτe(電気角)とτm(機械角)、電機子ユニットの隙間δe(電気角)とδm(機械角)は次のような関係式から求められる。
Figure 0004600860
このように構成された永久磁石形同期電動機における回転子1の回転角とコギングトルクとの関係を図9に示す。第1の電機子ユニット6と回転子1によって引き起こるコギングトルクT1は、回転子1回転あたり16周期(1周期を機械角22.5°、電気角180°)とする振幅の大きなものである。この発生原因は、第1の実施例同様、電機子ユニット両端の大きなパーミアンス変化によるものである。しかし、第2、第3の電機子ユニット7、8と電気的に240°ずれているので、各々に発生するコギングトルクT2、T3も240°ずれていることになる。その結果、全体で発生するコギングトルクTは相殺され、ほとんどゼロになるのである。
また、電機子コア2の形状は、電機子コア2内側の珪素鋼板を大量に無駄にしていた中空の従来形状と違い、第1〜6の実施例同様円弧状となっている。この円弧状の型によって同一方向に珪素鋼板をプレスしていくことにより、従来無駄にしていた中空部分の珪素鋼板を無くすことができるため、電機子コア2を構成する珪素鋼板の歩留まりを大幅に向上することができる。
【0014】
図10は第8の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面面である。
第8の実施例において、3つの電機子ユニット6、7、8が機械的には120°電気的には240°ずれている点は第7の実施例と同様であり、1個の電機子ユニットがスロット数S=6、毎極毎相のスロット数q=2/7で構成されているものである。第7の実施例と合わせて、各部の角度を表2に示す。第8の実施例も第7の実施例同様の効果を得ることができる。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の各々の実施例における永久磁石形同期電動機は、 従来技術の電機子コアを120°間隔に分割してなる電機子ユニットを3個配置し、電機子ユニットの毎極毎相のスロット数qを、q=1/2、1/4、2/5、2/7、3/8、3/10のいずれかに設定し、かつ、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係を、S/q=2nおよびPa=(S/q)+2、あるいは、電機子ユニットの毎極毎相のスロット数qを、q=2/5、2/7のいずれかに設定し、かつ、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係を、S/q=2n+1 および Pa=(S/q)+1 (但し、nは自然数)とした構成にしたため、コギングトルクを相殺し、全体のコギングトルクをほぼゼロにすることができる。
また、本発明の電機子ユニットは、電機子コア内側の珪素鋼板を大量に無駄にしていた従来技術とは異なり、円弧状に形成された型によって同一方向に珪素鋼板をプレスしていくことにより、電機子コア2を構成する珪素鋼板の歩留まりを大幅に向上することができる。つまり、電機子コアの歩留まりを向上させつつ、コギングトルクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図2】本発明の第1の実施例におけるコギングトルク波形を示す図
【図3】本発明の第2の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図4】本発明の第3の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図5】本発明の第4の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図6】本発明の第5の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図7】本発明の第6の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図8】本発明の第7の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図9】本発明の第7の実施例におけるコギングトルク波形を示す図
【図10】本発明の第8の実施例を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図11】第1の従来技術を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図12】第2の従来技術を示す永久磁石形同期電動機の正面図
【図13】第2の従来技術におけるコギングトルク波形を示す図
【符号の説明】
1 固定子
2 電機子コア
3 スロット
4 電機子巻線
5 フレーム
6、7、8 電機子ユニット
10 回転子
11 永久磁石
12 ヨーク
13 シャフト

Claims (2)

  1. 電機子コアのスロットに電機子巻線を巻装して構成された固定子と、極数Pa(Paは偶数)の磁極を有する回転子から成る3相の永久磁石形同期電動機において、
    前記固定子は、前記電機子コアを周方向に120°間隔に分割すると共にスロット数Sから成る電機子ユニットを3個配置して構成してあり、
    前記電機子ユニットの毎極毎相のスロット数qを、
    q=1/2、1/4、2/5、2/7、3/8、3/10
    のいずれかに設定し、かつ、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係を,
    S/q=2n および Pa=(S/q)+2 (但し、nは自然数)
    の式で表したことを特徴とする永久磁石形同期電動機。
  2. 電機子コアのスロットに電機子巻線を巻装して構成された固定子と、極数Pa(Paは偶数)の磁極を有する回転子から成る3相の永久磁石形同期電動機において、
    前記固定子は、前記電機子コアを周方向に120°間隔に分割すると共にスロット数Sから成る電機子ユニットを3個配置して構成してあり、
    前記電機子ユニットの毎極毎相のスロット数qを、
    q=2/5、2/7
    のいずれかに設定し、かつ、スロット数S、毎極毎相のスロット数q、極数Paの関係を、
    S/q=2n+1 および Pa=(S/q)+1 (但し、nは自然数)
    の式で表したことを特徴とする永久磁石形同期電動機。
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