JP4601878B2 - シールドトンネルの構築方法と開口部用セグメント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルに交叉する方向に、他のトンネルとの接続や新たなトンネルの構築が予定されているシールドトンネルを構築する方法と、上記トンネルの接続予定箇所に用いられる開口部用セグメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シールドトンネルは、地表面から発進立坑を形成して、この立坑内にシールド掘進機を投入して発進させ、掘進作業を行って形成されるもので、詳細には、シールド掘進機本体の前面に設けられたメインカッターで地山を掘削するとともに、後部において順次セグメントを組立てながら上記シールド掘進機を推進させて、シールドトンネルを構築する。
ところで、シールドトンネルにおいては、上記トンネルに交叉する方向に構築されたトンネルあるいは構築予定のトンネルと上記トンネルとを接続する場合や、上記トンネルに新たに枝線を設けたりする場合が多くみられる。
従来、このような工事を行う場合には、まず、シールドトンネルの接続部となる開口予定部周辺のセグメントリングの内側(坑内側)を形鋼材と鉄筋コンクリートとで補強し、その後、上記セグメントリングの開口予定部を撤去する方法が採られている。具体的には、図5に示すように、まず、シールドトンネル50の枝線50Lとの接続部となる開口予定部50Pに隣接する、開口径の長さと略同じ長さの領域(ここでは、開口予定部50Pとなるセグメントリング51a,51bと、このセグメントリング51a,51bに隣接するセグメントリング52,53)に複数の補強リング54を配設して、上記開口予定部50P近傍のセグメントリング51a,51b,52,53の剛性を高める補強を行う。次に、上記開口予定部50P周辺に複数の梁部材55を設置するとともに、上記開口予定部50Pの両側に、上記梁部材55を支持する柱部材56を設置し、更に、上記梁部材55と柱部材56の間に、開口部に相当する部分が切り取られた欠損リング57を設置して上記開口予定部50Pの補強を行い、開口予定部50P周辺に場所打ち鉄筋コンクリートを施工した後、上記開口予定部50Pを撤去する。このとき、上記欠損リング57に作用する軸力を上記柱部材56に支持された梁部材55によって受けることにより、上記開口予定部50Pが撤去された後の開口部の強度を確保するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、シールドトンネル50内に構築された上記梁部材55,柱部材56,欠損リング57等の形鋼材は、開口部形成工事後もそのまま上記トンネル50内に残される。これらの部材は、二次覆工の厚さ以内に納まるようにしているが、二次覆工を省略するトンネルにおいては、この接続部周辺のトンネルの内径が狭くなってしまう。そこで、シールドトンネル50に交叉する方向にトンネルの構築あるいは接続が予定されている場合には、予め、径の大きなトンネルを構築する必要があり、そのため、トンネルの利用効率も悪く、また工期が長くかかってしまうといった問題点があった。
また、従来の工法においては、二次覆工が必要なだけでなく、通常セグメントとして使用されているRCセグメントあるいはスチールセグメントは強度が高いため、上記開口予定部50Pを撤去する際の作業性も悪かった。
【0004】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、二次覆工を省略し、短期間にかつ容易に開口部を形成することのできるシールドトンネルの構築方法と、上記トンネルの開口予定部に用いられる開口部用セグメントを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の発明は、トンネル内に開口予定部が設けられたシールドトンネルを構築する方法であって、上記開口予定部に配設されるセグメントとして、当該セグメントにおける開口予定部である撤去予定箇所を除く部分の鉄筋コンクリートの内部に補強用鋼板が埋設された開口部用セグメントを用いたことを特徴とするものである。これにより、補強構造部材が内空を犯さず、開口部の補強工事を簡素化して、直ちに開口部のセグメントを撤去することが可能となる。
【0006】
請求項2に記載の開口部用セグメントは、シールドトンネル内の開口予定部に配設されるセグメントであって、当該セグメントにおける開口予定部である撤去予定箇所を除く部分の鉄筋コンクリートの内部に補強用鋼板が埋設されていることを特徴とする。
請求項3に記載の開口部用セグメントは、上記請求項2のセグメントに、上記補強用鋼板の一部を露出させた接合箇所を設けたもので、これにより、上記セグメントを含む複数のセグメントを用いて開口予定部のセグメントリングを組立てる際に、上記接合箇所を溶接等で接合するだけで、上記セグメントリングの強度を更に向上させることが可能となる。
請求項4に記載の開口部用セグメントは、上記請求項2または請求項3に記載のセグメントの撤去予定箇所の周縁部に補強リングを埋設するとともに、上記補強リングと上記補強用鋼板とを接合したもので、上記リングにより、開口予定部の仕切りを形成するとともに、上記補強用鋼板と一体構造として補強効果を高めるようにしたものである。
【0007】
また、請求項5に記載の開口部用セグメントは、上記請求項2〜請求項4のいずれかに記載のセグメントの開口予定部を、一般に用いられているRCセグメントを構成する鉄筋コンクリートよりも撤去の容易な材料で構成したもので、これにより、開口予定部の撤去工事を容易にすることが可能となる。
請求項6に記載の開口部用セグメントは、上記開口予定部を、無筋コンクリートまたはファイバーコンクリートから構成したものである。
請求項7に記載の開口部用セグメントは、開口予定部の撤去工事を容易にするため、セグメントの開口予定部を空隙とし、上記空隙に着脱可能な蓋部材を取付けたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1〜図3は、本実施の形態に係わるシールドトンネルにおける開口予定部近傍の主要部の構成を示す縦断面図で、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。図1において、10,20及び30は、シールドトンネル40内に構築された、複数のセグメントを組立てて成るセグメントリングで、その内、互いに隣接する2つのセグメントリング10,20は開口予定部40Pを有する開口予定部のセグメントリングであり、30,30は上記セグメントリング10,20に隣接する通常のRCセグメントから成るセグメントリングである。
本例のシールドトンネル40においては、上記セグメントリング10,20の境界部側面に開口予定部40Pの中心が位置するようにした。
図2の正面断面図、及び図3の接続部(境界部)の正面断面図にも示すように、上記開口予定部のセグメントリング10は、その内部に補強用鋼板11S,12Sを有する開口部用セグメント11,12と、通常のRCセグメント13〜15とを組立てて構成される。
また、セグメントリング20は、上記セグメントリング10とその境界面に対して対称な構造であり、上記開口部用セグメント11,12と同様の開口部用セグメントと、通常のRCセグメントとを組立てて構成される。
上記開口部用セグメント11は、図4に示すように、鉄筋コンクリートから成るセグメント基材11a,11b間の撤去予定箇所11Pを除く部分に補強用鋼板11Sを埋設するとともに、上記撤去予定箇所11Pの周縁部に補強リング11Rを埋設して補強したもので、図1〜図3に示すように、上記補強用鋼板11Sと補強リング11Rの表,裏にシベル打ちをして取付けるとともに、上記補強用鋼板11Sと補強リング11Rとを溶接して、上記セグメント基材11a,11bに、補強部材である補強用鋼板11S及び補強リング11Rとを一体に構成する。これにより、上記開口予定部40P周辺の強度を更に高めることができる。また、上記補強リング11Rが仕切り部材となるので、上記開口予定部40Pを容易に撤去することができる。
また、開口部用セグメント11の開口部用セグメント21側、及び開口部用セグメント12側には、それぞれ、上記補強用鋼板11Sの一部を露出させた接合箇所11Z,11Yが設けられている。更に、上記開口部用セグメント11において、上記開口部用セグメント21側に位置する撤去予定箇所11Pを、無筋コンクリートから構成した。
開口部用セグメント12も上記開口部用セグメント11と同様の構造であり、開口部用セグメント21,22は、上記開口部用セグメント11と同様な構成で、上記境界面に対して対称な構造を有する。なお、撤去予定箇所11P,12P,21P,22Pにより、上記開口予定部40Pが構成される。
【0009】
次に、シールドトンネル40における開口部の形成方法について説明する。
本実施の形態のシールドトンネル40を構築する際には、上記トンネル40に交叉する方向に構築されたトンネルあるいは構築予定のトンネルと上記トンネル40との接続箇所、あるいは、上記トンネル40に新たに枝線40Lを設ける箇所において、上記開口部用セグメント11,12を用いたセグメントリング10及び上記開口部用セグメント21,22を用いたセグメントリング20を、断面が円形の開口予定部40Pが形成されるように隣接して組立てる。詳細には、まず、下部のセグメントである開口部用セグメント12から順に、側部セグメントであるセグメント13、開口部用セグメント11、及びセグメント14を組立て、最後に、天井部のセグメントであるKセグメント15を上記セグメント14と開口部用セグメント11との間に挿入してセグメントリング10を組立て、その後、同様な方法でセグメントリング20を組立てる。
【0010】
次に、開口部用セグメント11の接合箇所11Yと開口部用セグメント12の接合箇所12Y、及び開口部用セグメント21の接合箇所21Yと開口部用セグメント22の接合箇所22Yとをそれぞれ溶接等で接続して、セグメントリング10,20を補強し、更に、開口部用セグメント11の接合箇所11Zと開口部用セグメント21の接合箇所21Z、及び開口部用セグメント12の接合箇所12Zと開口部用セグメント22の接合箇所22Zとを溶接等で接続して、セグメントリング10とセグメントリング20とを結合させ、開口予定部のセグメントリング10,20を補強する。
その後、開口予定部40P周辺の地盤を改良し、開口予定部40P(開口部用セグメント11,12の撤去予定箇所11P,12P、及び、開口部用セグメント21,22の撤去予定箇所21P,22P)を撤去して、上記セグメントリング10,20の側面側に開口部を形成する。本実施の形態では、上記開口予定部40Pを構成する材料を、鉄筋コンクリートよりも撤去の容易な無筋コンクリートとしたので、撤去作業を容易に行うことができる。
これにより、二次覆工を行うことなく、簡便な方法で開口部を補強することができるので、従来に比べ、補強作業の効率を著しく向上させることができるとともに、作業の安全性及び工期の大幅な短縮を図ることができる。
更に、シールドトンネル40内部に形鋼材などを構築することがないので、必要断面より大きなトンネルを作る必要がない。したがって、シールドトンネル40の外径を縮小することが可能となり、シールドトンネル40を効率よく構築することができる。
【0011】
なお、上記実施の形態では、セグメント基材11a,11b間に補強用鋼板11Sを埋設して一体化した開口部用セグメント11を用いたが、上記補強用鋼板11Sに代えて、補強リングを埋設するようにしてもよい。また、補強リングと補強用鋼板とを併用してもよい。
あるいは、開口部用セグメント11として、トンネル内周側に補強用鋼板11Sを張り付けあるいはボルト締めにより取付けたものを用いてもよい。
また、セグメントの開口予定部40Pを構成する材料としては、上記無筋コンクリートに限るものではなく、例えば、ファイバー(鋼繊維補強)コンクリートのような、通常の鉄筋コンクリートよりも撤去の容易な材料であればよい。
あるいは、セグメントの開口予定部40Pを空隙とし、上記空隙に着脱可能な蓋部材を取付けるような構成としてもよい。なお、上記蓋部材は、例えば、上述した補強リング11Rにボルトなどで接合して、開口部用セグメント11に取付ける。
また、上記例では、開口予定部のセグメントリング10,20のセグメント同士を継手位置をそろえて組立てている(いも継ぎ)が、これに限るものではなく、補強部材で補強された開口予定部のセグメントリング10,20により開口予定部40Pが形成される構造であればよく、継手構造も継手位置をずらして組む千鳥組みとしてもよい。なお、開口予定部のセグメントリング10,20と隣接するセグメントリング30との継ぎ手構造は、強度の関係から、通常、千鳥組みにする。
また、上記例では、開口予定部40Pの中心をセグメントリング10,20の境界面に位置するようにしたが、これに限るものではなく、開口予定部40Pの位置は、開口径とセグメント幅との関係から、補強範囲やセグメントの製作性等を考慮して適宜決定されるものである。したがって、開口予定部40Pの位置を、例えば、セグメントリングの中心に位置するようにしてもよく、また、補強範囲も、開口予定部40Pを有するセグメントだけでなく、隣接するセグメントに及んでもよい。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シールドトンネルの開口予定部に、セグメントにおける開口予定部である撤去予定箇所を除く部分の鉄筋コンクリートの内部に補強用鋼板を埋設して補強したセグメントを含むセグメントリングを配設するようにしたので、簡便な方法で開口部を補強することができる。したがって、二次覆工を行うことなく、開口部を形成することができ、作業の安全性及び工期の大幅な短縮を図ることができる。更に、トンネル内空が狭くなることがないので、トンネル外径を縮小でき、経済性も高い。
また、セグメントの開口予定部を、鉄筋コンクリートよりも撤去の容易な、無筋コンクリートあるいはファイバーコンクリートから構成したり、開口予定部を空隙とし、上記空隙に着脱可能な蓋部材を取付けたりすれば、撤去作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わるシールドトンネルの開口部近傍の主要部の構成を示す縦断面図である。
【図2】 本実施の形態に係わる開口部用のセグメントリングの正面断面図である。
【図3】 本実施の形態に係わる開口部用のセグメントリングの接続部分を示す正面断面図である。
【図4】 開口部用セグメントの概要を示す図である。
【図5】 従来の開口部の形成方法を示す図である。
【符号の説明】
10,20 開口予定部のセグメントリング、
11P,12P,21P,22P 撤去予定箇所、
11S,12S,21S,22S 補強用鋼板、
11R,12R,21R,22R 補強リング、
11a,11b セグメント基材、
11Y,12Y,21Y,22Y 接合箇所(同一リング用)、
11Z,12Z,21Z,22Z 接合箇所(隣接リング用)、
13〜15,23〜25 RCセグメント、
30 セグメントリング、
40 シールドトンネル、
40P 開口予定部。
Claims (7)
- トンネル内に開口予定部が設けられたシールドトンネルを構築する方法であって、上記開口予定部に配設されるセグメントとして、当該セグメントにおける開口予定部である撤去予定箇所を除く部分の鉄筋コンクリートの内部に補強用鋼板が埋設された開口部用セグメントを用いたことを特徴とするシールドトンネルの構築方法。
- シールドトンネル内の開口予定部に配設されるセグメントであって、当該セグメントにおける開口予定部である撤去予定箇所を除く部分の鉄筋コンクリートの内部に補強用鋼板が埋設されていることを特徴とする開口部用セグメント。
- 上記セグメントに上記補強用鋼板の一部を露出させた接合箇所を設けたことを特徴とする請求項2に記載の開口部用セグメント。
- 上記撤去予定箇所の周縁部に補強リングを埋設するとともに、上記補強リングと上記補強用鋼板とを接合したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の開口部用セグメント。
- セグメントの開口予定部を、鉄筋コンクリートよりも撤去の容易な材料で構成したことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の開口部用セグメント。
- 上記開口予定部を、無筋コンクリートまたはファイバーコンクリートから構成したことを特徴とする請求項5に記載の開口部用セグメント。
- セグメントの開口予定部を空隙とし、上記空隙に着脱可能な蓋部材を取付けたことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の開口部用セグメント。
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