JP4606191B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
メッキ法によると、導電性を有する基材の上に、比較的容易に金属薄膜を形成することが可能であるが、絶縁基材の上に形成する場合には、導電層をはじめに形成する必要があるため、そのプロセスは煩雑なものになるという問題がある。また、メッキ法は溶液中での反応を利用するため、大量の廃液が副生し、この廃液処理に多大な手間とコストがかかるという問題があると共に、得られる金属薄膜の基板への密着性が充分ではない。
一方、金属フィラーの粒径を低減することによって、金属ペーストの焼成温度を低減する技術は公知であり、例えば、特許文献1には、粒径100nm以下の金属微粒子を分散した分散体を用いて金属薄膜を直接、絶縁基板上に形成する方法が開示されている。しかしながら、この方法で作成した金属薄膜の絶縁基板への密着性は充分ではない。さらに、ここで用いられている100nm以下の金属粒子の製造方法は、低圧雰囲気で揮発した金属蒸気を急速冷却する方法であるために、大量生産が難しく、したがって、金属フィラーのコストが高くなるという問題を有している。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1.絶縁基板上に非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤および脱水縮合反応のための熱処理を行って前記前駆体の一部を非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させて、非熱可塑性ポリイミド系樹脂と非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体とからなる層を絶縁基板上に形成させる工程(1)と、前記の層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を塗布し、加熱処理することによって、残りの前記前駆体を非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させると共に、前記非熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層の上に金属薄膜層を形成させる工程(2)とを含む積層体の製造方法であって、
前記金属薄膜前駆体微粒子が、酸化第一銅微粒子であり、前記分散体が、多価アルコールおよび一つの末端がアルキル基であり、もう一方の末端が水酸基である直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含み、
前記加熱処理を不活性雰囲気中で行うことを特徴とする積層体の製造方法。
2.上記工程(2)の加熱処理を、非熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度以上で行うことを特徴とする項1.記載の積層体の製造方法。
3.上記直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の末端アルキル基の長さが、炭素数1〜4であることを特徴とする項1.又は2.に記載の積層体の製造方法。
4.上記多価アルコールが分散体総量に対して5〜70重量%であり、上記直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が分散体総量に対して0.1〜70重量%であり、さらに、金属薄膜前駆体微粒子に対する上記直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の重量比が0.01〜10であることを特徴とする項1.〜3.のいずれかに記載の積層体の製造方法。
本発明の積層体の製造方法によって、非熱可塑性ポリイミド系樹脂層を表面に有する絶縁基板上に、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属薄膜が積層された積層体が得られる。
本発明の積層体に用いられる絶縁基板は、電気配線回路基板に通常に用いられている程度の絶縁性を有するものであればよく、好ましくは、表面抵抗値として1013Ωcm以上を有するものである。
絶縁基板としては、有機材料および無機材料のいずれでもよいが、金属薄膜を形成する際に加熱処理を行うことから、耐熱性のものが好ましい。例えば、セラミックス、ガラス等の無機材料、ポリイミドフィルム等の耐熱性樹脂が好適に用いられる。
本発明では、このような基板をそのまま用いてもよいが、その上に形成する非熱可塑性ポリイミド系樹脂との接着性を向上させるために、脱脂処理、酸又はアルカリによる化学処理、熱処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等の表面処理を行ってもよい。
上記の方法により得られる積層体は、上記絶縁基板上に、非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体から形成された非熱可塑性ポリイミド系樹脂層が設けられ、さらにその上に粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属薄膜が積層された構造である。
樹脂の耐熱性や工業的な入手のし易さを考慮すると、非熱可塑性ポリイミド系樹脂の中で特に好ましいのは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンもしくはジイソシアナートの重縮合によって得られるポリイミド系樹脂である。このような樹脂の例として、テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジアミン成分として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等を用い、重縮合によって得られるポリイミド系樹脂樹脂等が挙げられる。
非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、工程(1)において、熱処理によってその一部が非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化される。工程(1)における転化率は限定されないが、70%以上、100%未満になるよう調整することが好ましい。工程(1)の転化で転化率をこのように調整することにより、次に形成される金属薄膜との接着性がさらに向上する。
未転化の非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、工程(2)において非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化される。製造された積層体中に未転化の前駆体が残ると吸水等により、絶縁信頼性が低下しやすくなるので、非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を100%転化させることが好ましい。
工程(1)及び工程(2)における非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の非熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化は、熱処理における加熱温度と加熱時間を調整することで、その転化率を調整することがでる。その条件は用いる非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の種類に応じて適宜定めればよいが、通常、工程(1)は150℃〜250℃の温度域での加熱、工程(2)は300〜400℃の温度域での加熱により転化がなされる。
上記の転化率とは、非熱可塑性ポリイミド系樹脂層中のイミド結合を形成する縮合性官能基のうち、縮合している割合を表す指標である。すべての縮合性官能基が縮合し、イミド結合に転化された場合を転化率100%と定義する。通常、この転化率は、転化処理後のイミド結合の量を、赤外線吸収測定により測定して見積もることが可能である。具体的には1780cm−1付近のイミド基の赤外線吸収ピークの相対強度を、転化率100%のサンプルと比較することにより見積もることができる。
絶縁基板上に前駆体溶液を塗布する方法は限定されるものではなく、例えば、ディップコート、バーコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート等が用いられる。
前記溶液の濃度は、非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の重合度にもよるが、通常5〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。ポリマー濃度が5重量%よりも低いと1回の塗工で十分な膜厚が得られない場合があり、30重量%よりも高くなると溶液粘度が高くなって塗工が困難になる場合がある。
本発明の積層体における非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体層の厚さは、加熱による転化反応後、すなわち、非熱可塑性ポリイミド系樹脂層として、0.1〜5μmの範囲が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。膜厚が0.1μmより薄くなるように塗布すると、均一な非熱可塑性ポリイミド系樹脂層が形成されにくく、絶縁基板と金属薄膜層との接着強度の向上効果が十分に発揮されない場合がある。膜厚が5μmを越えても本発明の効果を妨げるものではないが、積層基板の膜厚が必要以上に厚くなる上、経済的でない場合が多い。
加熱処理によって互いに融着する金属薄膜前駆体微粒子とは、この前駆体微粒子を含む分散体を膜状に塗布し、加熱することによって金属微粒子同士が相互に接合して、見かけ上、連続した金属層で形成された薄膜を形成する微粒子である。この金属層表面を顕微鏡で観察すると、各金属間の界面が観察される箇所と、連続層として観察される箇所が混在する。
本発明で用いられる金属薄膜前駆体微粒子としては、加熱処理によって金属薄膜を形成する限り制限は無く、好ましくは、金属微粒子、金属酸化物微粒子および金属水酸化物微粒子が挙げられる。
金属微粒子としては、湿式法やガス中蒸発法等の手法により形成される銅微粒子は好ましい。
金属水酸化物微粒子としては、水酸化銅、水酸化ニッケル、水酸化コバルト等の化合物からなる微粒子を例示できるが、特に銅薄膜を与える水酸化銅微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子は、分散媒中への分散性や、加熱処理による金属薄膜形成の容易性から、特に好ましい。金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化銅、酸化銀、酸化パラジウム、酸化ニッケル等が挙げられる。加熱処理によって銅を与えることが可能な酸化銅としては、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅のいずれも使用可能である。酸化第一銅微粒子は、容易に還元が可能であるので特に好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法を用いて合成することも可能である。例えば、粒子径が100nm未満の酸化第一銅超微粒子の合成方法としては、アセチルアセトナト銅錯体をポリオール溶媒中で200℃程度で加熱して合成する方法が公知である(アンゲバンテ ケミ インターナショナル エディション、40号、2巻、p.359、2001年)。
塗布する分散体の膜厚を調整することによって、最終的に得られる金属薄膜の膜厚を調整することが可能である。通常は、塗布する分散体の膜厚は0.1〜100μmであり、得られる金属薄膜の膜厚は0.05〜50μmである。
加熱処理の目的は、[1]未転化の非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させること、および[2]粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属薄膜層を形成させることである。[1]および[2]は、通常、同時に行われるが、逐次的に行ってもよい。
加熱温度は、非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体が完全にイミド化される温度以上が好ましく、通常300℃以上450℃以下、好ましくは、300℃以上400℃以下である。非熱可塑性ポリイミド系樹脂がガラス転移温度を有する場合には、ガラス転移温度以上の温度で加熱処理を行うことにより、さらに高い接着強度を得ることができる。
加熱処理には、遠赤外線、赤外線、マイクロ波、電子線等の放射線加熱炉や、電気炉、オーブン等の加熱手段を適宜選択して使用すればよい。
本発明の方法によって、絶縁基板層と金属層との接着性が著しく向上する理由は必ずしも明確ではないが、絶縁性樹脂中のイミド基と、金属薄膜前駆体またはその薄膜形成物との間で何らかの化学結合を形成するからではないかと考えられる。
本発明の金属薄膜前駆体微粒子分散体に用いる分散媒は、微粒子を均一に分散できるものであれば制限は無い。
分散体が多価アルコールおよび/または直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有すると、加熱処理して、金属薄膜前駆体微粒子から、金属薄膜を得るときの成膜性を向上させるので、さらに好ましい。
分散体が直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有すると、金属薄膜形成時の成膜性を向上させる効果に加えて、加熱処理して得られる金属薄膜の抵抗値が低減するので好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が成膜性を向上させ、かつ抵抗値を低減させる理由は、直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が易分解・易焼失性バインダーとして加熱処理中の金属薄膜前駆体微粒子の局所的な造粒を防ぐためと考えられる。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物は、繰り返し単位が炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物、2元以上のポリエーテルコポリマーやポリエーテルブロックコポリマーであってもよい。
分散体中の金属薄膜前駆体微粒子の割合に制限はないが、分散体総量に対して、重量%で、好ましくは5〜90%、より好ましくは20〜80%である。分散体中の微粒子の重量がこれらの範囲にある場合には、微粒子の分散状態が良好であり、また、1回の塗布・加熱処理によって適度な厚さの金属薄膜が得られるので好ましい。
分散体中の多価アルコールの割合は、分散体総量に対して、重量%で、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。
金属薄膜前駆体微粒子に対するポリエーテル化合物の好ましい重量比は、用いる微粒子の種類とポリエーテル化合物の種類により異なるが、通常は0.01〜10の範囲である。この範囲にあると得られる金属薄膜の緻密性が向上し、その体積抵抗値がさらに低下する。
上記分散体の製造には、粉体を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、金属薄膜前駆体微粒子と分散媒と直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物等の構成原料を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。金属薄膜前駆体微粒子以外の構成物が固体である場合には、これらを液状になる温度に加熱しながら微粒子を加え、上記操作を行うことが好ましい。分散体が流動可能な固体となる場合には、ずり応力を加えながら分散を行うことが好ましく、3本ロール法、ミキサー法等が好ましい。
金属薄膜前駆体微粒子の粒子径、金属薄膜の体積抵抗率、接着性・接着強度、およびイミド化転化率は以下の方法にしたがって測定する。
(1)金属薄膜前駆体微粒子の粒子径
カーボン蒸着された銅メッシュ上に、溶解・希釈した微粒子分散体を1滴たらし、減圧乾燥したサンプルを作成する。(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡(JEM−4000FX)を用いて観察し、視野の中から、粒子径が比較的そろっている個所を3ヶ所選択し、被測定物の粒子径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を3点選択し、その直径をものさしで測り、倍率をかけて一次粒子径を算出する。これらの値の平均値を粒子径とする。
(2)金属薄膜の体積抵抗率
低抵抗率計「ロレスター(登録商標)」GP(三菱化学株式会社製)を用いて測定した。
(3)テープ剥離試験及び接着強度測定(90度剥離試験)
テープ剥離試験は、得られた金属薄膜上にスコッチテープ(登録商標、住友スリーエム株式会社製)を貼り、これを剥がす際に、金属薄膜がスコッチテープに付着して基板から剥がれたか否かで判定する。
接着強度測定のための試料は、次のようにして作成する。得られた金属薄膜上に電気メッキにより金属膜を厚付けし、金属部分の総厚みを約15μmにした後、カッターナイフで幅10mm、長さ50mmの切れ込みを入れる。90度剥離試験は、幅10mmの側面の一方を少し剥離してアルミテープを貼り、このテープ部分を剥離試験機に固定し、90℃方向に引き上げて、剥離するときに必要な力を測定して、接着強度(kgf/cm)とする。
(4)イミド化転化率
1780cm−1付近のイミド基の赤外線吸収ピークの相対強度を、転化率100%のサンプルと比較することにより見積もる。具体的には、加熱処理後において表面の赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近のイミド基ピーク強度(A1)とイミド化反応によって変化しない1500cm−1付近のピーク強度(B1)を計算し、これらからイミド基の相対強度C1=A1/B1を導出する。次に、比較試料として、350℃で4時間加熱処理を行い、100%イミド化転化を行った試料を準備し、1780cm−1及び1500cm−1のピーク強度(A0,B0)を測定し、相対強度C0=A0/B0を導出する。このときの相対強度C0を100とし、C1と比較することで、加熱処理によるイミド化転化率は、(100×C1/C0)%と計算して求める。
(金属薄膜前駆体微粒子および分散体の調整)
無水酢酸銅(和光純薬工業株式会社製)8gに精製水70mlを加えた。25℃で攪拌しながら、ヒドラジン対酢酸銅のモル比が1.2になるように64重量%のヒドラジン抱水物2.6mlを加えて反応させ、粒子径20nmの酸化第一銅微粒子を得た。得られた酸化第一銅3gに対し、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量350、アルドリッチ製)2.5gと、ジエチレングリコール8gを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散体を得た。
ビス(4−アミノフェニル)エーテル20.2g(0.10モル)をN−メチルピロリドン(NMP)250gに溶解した。この溶液に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.1g(0.10モル)の粉末を添加し、5℃で8h攪拌することによって、ポリアミック酸のNMP溶液を得た。さらに本ポリアミック溶液10gに、NMPを7g加えて10重量パーセント濃度に希釈した。
10cm角のガラス基板上に同サイズで切り出したポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンフィルム、膜厚50μm)を両面テープで貼り合わせた後、ミカサ株式会社製スピンコーター(1H−D7型)にセットした。希釈した上記ポリアミック酸を滴下し、500rpm×5秒のプレスピンの後、2000rpm×10秒の条件でスピンコートを行なった。スピンコート塗布した基板を、ホットプレート上で120℃×30分、200℃×30分の条件で加熱し、ポリイミド膜を形成したポリイミド基板を得た。このポリイミド膜のイミド化転化率R1は90%であった。
上記ポリイミド基板を再びスピンコーターにセットし、前述の酸化第一銅分散体を2mL滴下した後、500rpm×15秒の条件でスピンコートして塗布を行った。次にこの塗布膜を、ホットプレートで350℃×1hの条件で窒素フローさせながら(熱硬化後の上記ポリイミド膜のTg(278℃)よりも高い温度で)焼成した。すると、粒子径20nm以下の銅微粒子が互いに融着し、大きな銅グレインとなった構造の薄膜が得られた。
また、ポリイミド膜中のイミド化転化率R2を分析すると100%であった。銅薄膜の体積抵抗値は、3.9×10−6Ωcmであり、テープ剥離試験でまったく剥がれは観察されなかった。また、90度剥離試験による接着強度は、0.7kgf/cmと非常に高かった。
絶縁性樹脂層として用いるポリイミド膜として、ビス(4−アミノフェニル)エーテルと無水ピロメリト酸から得られるポリアミック酸を用いる以外は、実施例1と同様の手法で、ポリイミドフィルム上にポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜のイミド化転化率R1は90%であった。
実施例1と同様の酸化第一銅分散体をスピンコート塗布したのち、ホットプレートで350℃×1hの条件で窒素フローさせながら(熱硬化後の上記ポリイミド膜のTg(417℃)よりも低い温度で)焼成した。実施例1と同様に、融着した構造の銅薄膜が得られた。また、ポリイミド膜中のイミド化転化率R2を分析すると100%であった。得られた銅薄膜の体積抵抗値は、3.7×10−6Ωcmであり、テープ剥離試験でまったく剥がれは観察されなかった。また、90度剥離試験による接着強度は、0.2kgf/cmであった。
ポリイミド膜を形成しないポリイミド基板に対して、実施例1と同様の手法で銅薄膜を形成したが、形成した銅薄膜はテープ剥離試験ですべて剥がれた。
[比較例2]
市販の酸化第一銅(和光純薬工業株式会社製)を粉砕して得た平均一次粒子径1.2μmの酸化第一銅を用いる以外は、実施例1と同様の手法でポリイミド膜を有するポリイミド基板上に酸化第一銅分散体を塗布し、加熱処理を行ったが、銅表面には多数の亀裂が発生し、銅薄膜としては不完全なものしか得られなかった。
Claims (4)
- 絶縁基板上に非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤および脱水縮合反応のための熱処理を行って前記前駆体の一部を非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させて、非熱可塑性ポリイミド系樹脂と非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体とからなる層を絶縁基板上に形成させる工程(1)と、前記の層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を塗布し、加熱処理することによって、残りの前記前駆体を非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させると共に、前記非熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層の上に金属薄膜層を形成させる工程(2)とを含む積層体の製造方法であって、
前記金属薄膜前駆体微粒子が、酸化第一銅微粒子であり、前記分散体が、多価アルコールおよび一つの末端がアルキル基であり、もう一方の末端が水酸基である直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含み、
前記加熱処理を不活性雰囲気中で行うことを特徴とする積層体の製造方法。 - 上記工程(2)の加熱処理を、非熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度以上で行うことを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
- 上記直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の末端アルキル基の長さが、炭素数1〜4であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 上記多価アルコールが分散体総量に対して5〜70重量%であり、上記直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が分散体総量に対して0.1〜70重量%であり、さらに、金属薄膜前駆体微粒子に対する上記直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の重量比が0.01〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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