JP4606208B2 - 流体噴射シミュレーション方法 - Google Patents
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Description
通常、これらを製作して、槽や容器として納入するにあたって、各部分の製作は分業されており、鏡板は鏡板製作の専門メーカーに、パイプはパイプメーカーに、フランジ等はフランジメーカーによって製作され、これらを製缶業と呼称されるメーカーによって、溶接等により接合され、完成品として納入される。
図20(a)において、固定式洗浄ノズル12は、固定式スプレーノズル用洗浄液供給管11から、洗浄液が供給され、固定式洗浄ノズル12に設けられた洗浄液噴射穴13から洗浄液14を噴射する。
図20(b)において、二次元回転式スプレーノズル22は、二次元回転式スプレーノズル用洗浄液供給管21から、洗浄液が供給され、二次元回転式スプレーノズル22に設けられた洗浄液噴射スリット23から洗浄液24を噴射する。
なお、洗浄液噴射スリット23は、通常、鉛直方向に切られており、洗浄液24は、縦に広げられた扇のような形状で水平に回転しながら槽の内壁を洗浄して行く。
図21は、円錐噴出小形固定ノズルを複数個有するスプレーノズルを示す図である。
図21において、スプレーノズル4には、円錐噴出小形固定ノズル42が複数個設けられている。
図22は、三次元回転形スプレーノズルを示す図である。
図22において、スプレーノズル4は、軸部43と回転部44を有し、回転部44には、洗浄液31を広がらないように直線状に噴射するノズル部45が複数個設けられている。洗浄液31の回転軌道が、回転部44の回転によるノズル部45の回転毎に少しずつずれていき、最終的に槽の内壁の全面を洗浄する。
図23において、スプレーノズル4から洗浄液31が一定の初速と方向ベクトルを持って噴射されている。なお、この洗浄液31は、実際には直線ではなく、重力などにより下向きの曲線を描く。
図24は、スプレーノズルから噴射され、槽の内壁面で反射された洗浄液を示す図である。
図24において、スプレーノズルから噴射された洗浄液31が、槽の内壁面で反射された洗浄液61を示している。
図25において、スプレーノズル4は曲げられ、その平面位置が変更されている。
図26は、槽の死角部専用に設けられたスプレーノズルを示す図である。
図26において、通常のスプレーノズルとは別に死角部専用のスプレーノズル41が設けられ、このスプレーノズル41から洗浄液32が噴射されている。
図27において、配管接続ノズル5と配管接続ノズル6は、それぞれ垂直軸に対する傾斜角A、Cを有し、パイプ部を角度B、Dのテーパー管にしている。
スプレーノズル4から噴射された洗浄液は、重力・槽内部気体の抵抗を受けつつも、図23のように、槽内各部に噴射される。スプレーノズル4は、通常、槽1基あたり、1〜3個設置され、槽の大きさに合せて、実用上充分な速度で洗浄液を噴射できる能力を持つように選定される。
なお、このような洗浄装置は、例えば特許文献1にも示されている。特許文献1では、攪拌槽の内部に回転可能に支持された回転軸の外周面に、複数のスプレーノズルが取付けられ、この複数のスプレーノズルにより攪拌槽の内壁が洗浄されるものが、示されている。
通常、スプレーノズルを用いて槽を洗浄する場合、スプレーノズルが平面的に移動することがないため、特に上鏡板に取付けられる各ノズル(凹凸部)に死角が発生し、洗浄できない部分ができてしまう。三次元回転や上下昇降するスプレーノズルにあっても、平面的にはほとんど移動することがなく、上下方向の移動が上鏡板の死角排除に寄与する効果は小さい。このため、槽に取付けられる各ノズルの形状そのものを死角のない、洗浄され易い形状にする必要があるが、スプレーノズルが平面的に大きく移動可能であれば、その必要はないことになる。
このため、マニピュレーターのような構造で、スプレーノズルを自由に移動できる方法が各種考案されているが、構造が複雑となり、経済性・信頼性の面で普及していない。
なお、上下昇降式以外のスプレーノズルでは、一般的に槽の内部液面との関係で、その取付位置を限りなく低くすることはできない。
しかしながら、紙の図面や二次元CADによる形状設計(二次元設計)では、実際には三次元形状である槽等の形状を把握しきれず、どの部分がスプレーノズルから見て「かげ(死角)」となるかを特定することは難しい。仮に設計者が素晴らしいイマジネーションを働かせて、「かげ」のない形状設計を実現させたとしても、重力等により下向きの曲線を描く洗浄液の軌道を反映させることは、不可能に近い。
また、洗浄液は、スプレーノズルから一定の初速をもって噴射されるのであるが、槽壁の洗浄度は、洗浄液の到達時の速度と分布密度により変化する。スプレーノズルから遠いほど、またスプレーノズルより上方向に位置する場所ほど、重力等により初速が減速され、また洗浄液が広がることにより密度が低くなり、洗浄度が低下する。
この場合、図24に示すような洗浄液の反射による洗浄を期待することになるが、洗浄液は、その軌道と被洗浄部との衝突角度、洗浄液の衝突時の速度などにより、新たな軌道を描いて反射される。また、実験データによれば、洗浄液は、衝突時に大きく減速されてしまい、かつ衝突面に沿って広がって流れてしまい、反射後に空中を飛翔する範囲と量は、わずかであるので、反射洗浄の有効域を特定するのは、非常に難しい上に、その有効性は低い。
なお、特許文献2には、 ノズルから高圧水を噴出して対象物の表面層を剥離すると共に、この噴出した高圧水の進行方法を変更する方向変更装置が設けられているものが、記載されている。
しかし、この特許文献2のものでは、対象物の表面層の形状に沿うように高圧水の進行方向を変更するものであり、このためには方向変更装置の設置を精度よく行う必要があり、人間の作業による調整ミスや操作不良の発生を排除することが難しかった。
また、市販されているコンピューターグラフィック系のソフトを用いれば、レイトレーシングといわれる照明光源の照度・かげを表現する機能により、ある程度、自動での設計支援が可能であるが、重力等による軌道や槽壁衝突時の洗浄液の速度を反映することはできない。
なお、上記の洗浄の目的に特化し、一般の槽類設計技術者にも簡易に扱えるシミュレーションソフトは市販されていない。
例えば、特許文献3には、光を擬似的に飛翔する液体に置き換えてシミュレーションを行うものが記載されているが、重力等による物理軌道を反映させる方法は、発光源の位置を上下したり、ある方向における屈折を擬似的に飛翔物理軌道に置きかえるものであり、この方法では、槽・浴槽・建造物等の発光源から様々な距離を有する三次元物体である被浴体には、適用することが出来ない。
また、特許文献4の、液体の形状などの時間的変化をシミュレーションして表示を行うものや、特許文献5の、インク放出のような液体の流れをシミュレーションするものでは、液体の飛翔状態・被浴体への衝突状態等を把握することはできても、限られた距離にて、限られた被浴体形状(平面等)に対して、主に液体粒の状況等を把握するものであり、広範囲に噴射される液体に被浴される被浴体の被浴状況を把握するものではなかった。
この広範囲に噴射される液体に被浴される被浴体の被浴状況の把握のためには、一定面積に対する噴射密度や被浴体各部に対する距離が個別に定義されなければならない。したがって、特許文献4及び特許文献5は、被浴体の三次元モデルを用い、スプレーノズルの三次元モデルとの相関位置を定義することにより、様々な形状を有する被浴体に対する被浴状況を把握するものではなかった。
また、特許文献6には、シミュレーションにより塗装明度分布を演算するものが、記載されているが、様々な形状を有する三次元モデルに対するものではなかった。
ところで、 洗浄性を問われるような槽の主要材質は、ステンレスであることが多く、これは切断・溶接など熱の加わる加工時に大きな歪を生じやすく、完成後の改造は、大きなコストと時間を要する。槽の納期の遅れは、その槽を使用するプラント設備全体の建設計画に大きな影響を与える場合が多い。
なお、一般的にこれら産業プラント設備に用いられる槽等は、製作のたびに個別に一品一葉に設計され、同一のものを大量・中量生産されることは、非常に少ない。
(1)死角がなくなるようにマンホール等当該部分の形状を改造する対策手段
前述と重複するが、バフ研磨施工済の槽などの場合、完成後の改造は、困難であったり、不可能であったりする場合が多い。
三次元設計が充分に成されている場合は、製作時の寸法違いを除いて、改造の余地がない筈であり、この面での対策は行われない。
(2)当初選定した市販スプレーノズルを機種変更して、大きな吐出量のものに替えたり、三次元回転型や上下昇降型に変える対策手段
この場合、スプレーノズルそのものが大きくなる場合が多いため、より大きな取付座を必要とすることになる。従って、槽の改造となり、上述のように変更不可となる場合が多い。
また、必要供給洗浄液量が増大し、そのために洗浄液供給システム全体の見直しが必要になったり、回転駆動のための電気配線や空圧配管が必要となる場合もある。
(3)内部の洗浄スプレーに連結するパイプを曲げて、スプレー噴射位置を変更する
図25に示すようにスプレーノズルの平面位置を変更する。この場合、現在、死角となっている部分を洗浄できるようにスプレー位置を変更するのであるが、このために現在、死角となっていない部分が、死角になってしまう恐れがある。
(4)スプレーノズルの数を増やす
例えば、二次元回転ノズルを2個使用して死角が残ってしまう場合、これを3個にして死角を消してしまう方法である。この場合、洗浄液の必要量が単純に1.5倍となり、洗浄液供給量の見直しが必要となる場合がある。しかも、配管レイアウトや、洗浄ノズル以外の一般ノズルの取付数量によっては、スプレーノズルを増設する余地が無い場合も、大いにあり得る。
図26に示すように、主たるスプレーノズルとは別に、死角部専用にノズルを追加する。
これが、一番一般的に施工される対策である。効果も確実で、追加されるスプレーも小型であるが故に洗浄液量も少なく、洗浄システム全体に対するインパクトも小さい。
しかし、小型といえども洗浄液配管の増設が必要であり、例えば数十基の槽が使用されるプラントにおいて、各1〜3個程度これを増設する場合、決してインパクトが小さいとは言えない。
洗浄性・殺菌性を問われることが多い食品や医薬プラントにおいては、槽内部をできるだけ洗浄性の高い凹凸のないスッキリした形状にすることが肝要であるが、追加小形ノズル自体が、槽内部の形状を複雑化し、雑菌発生等の原因となってしまいかねない。このため、追加小形ノズルは、最小限とすることが望ましい。
(6)完全洗浄をあきらめて、死角の部分は人間による手洗浄を行う
人間の手が加わることにより、洗浄性がその度毎に異なる可能性があるうえに、当初完全洗浄を予定して設備の全体計画を立てていた場合、生産計画・運転プログラムの変更も含めた大きな影響を与えかねない。第一、自動洗浄を指向する上で手洗浄工程を取り入れることは、本末転倒となる。
しかし、洗浄性向上を目的に槽の形状を最適化した場合、これらとは異なる理由で、寸法精度を要求されることになる。傾き等の誤差により、洗浄死角の有無・程度が大きく変わる可能性があるためである。
斜めに取付けられたり、テーパー化されたノズルは、一般的な直立したノズルに比べ、製作時に寸法精度を出すことも、その寸法精度を確認するために検査することも、煩雑で難しくなる。また、精度要求の目的が死角の排除であるため、一般製缶品のように、一律に何mmと規定してもあまり意味がない。しかし、製品の要求仕様が完全な死角のない洗浄を目的とする場合、目的の完遂度確認が製品完成時の噴射試験に拠らなければならないのであれば、製作者・発注者ともに工程全体に大きな不安を抱えての製作進行となる。
現状の製缶業界では、製缶業者は、企業規模が小さく、比較的企業規模の大きな会社から、競争見積により発注されるのが一般的である。膨大な製缶品全体の生産量に比べれば、洗浄性を要求され、スプレーノズル等が取付けられる製缶品の発注量は大きくない。各製缶業者は、様々な製缶品を複数の顧客から不定期に競争見積により受注する中で、一部を洗浄性が必要な機器の製作に当てることになり易い。
熟練度その他を鑑みれば、一定の限られた業者により製作された方が理想的ではあるが、それでは競争原理が働かず、洗浄性向上に最適化された製缶品の価格全体が高止りしてしまう危険性がある。また、大きなプラント建設が国内で重複し、その多くで洗浄性向上の要求があった場合など、一定の業者では、製作が追いつかない状況も考えられる。
これに対して、胴板や下鏡板に取付けられるノズルは、スプレーノズルより下に位置するため、重力による洗浄噴射速度の低下がなく、しかも洗浄部分に衝突した後は、洗浄液がその面に沿って流下していくので、洗浄されやすい。死角であるか否かに関わらず、洗浄される可能性が高いのである。
特許文献1は、上鏡板のノズルの洗浄には何ら配慮されていない。
また、例え死角を無くすことが出来たとしても、噴射流体と被浴体との距離や衝突角度によっては、当該被浴体に対して充分な被浴密度や被浴速度が得られるかどうかを検討しなくては、充分な設計とはいえない。
これは、現在の国内・国外の状況では、槽の被浴性を向上させるための設計手段として、三次元CADやコンピュータグラフィック系のソフトは、2〜3の例を除いてほとんど使用されておらず、また使用されたとしても、重力などによる洗浄液の軌道を反映させることはできない。さらには、噴射流体の密度・速度を反映して把握することもできない。このことは、噴射の目的を塗装スプレーや消火に置き換えても同様である。このため、何らかのこれに特化した設計手法が必要と考えられる。これには電算処理の技術が不可欠と思われる。
このため、噴射状況モデルを簡素化・抽象化し、しかも並列演算処理が可能なプログラムを開発することにより、経済的なシミュレーションを行えるようにする必要がある。複数のコンピュータによる並列演算処理が可能なプログラム構造とすれば、昨今のパソコンの価格下落状況を鑑みれば、安価に稼動し、実用的な時間内でシミュレートできるシステムとなる。
なお、並列演算処理は必須のものではなく、並列演算処理を行わない場合でも、シミュレート時間が長くなるだけで、従来の手法では実現がむずかしい被浴状況の把握を行うことができる。
このため、すでに述べたように様々な対策手段がとられるのであるが、それぞれに問題点がある。完成後の改造を伴わず、洗浄液総量の増加の必要がなく、コンタミネーションの原因となりにくい死角排除対策が必要である。
このため、目的達成の可否を判定する、なんらかの検査方法を採択するか、または開発する必要がある。
例えば、接触センサー、レーザー光線、電磁波、CCD受光などにより、実体を立体的に形状把握し、これを三次元電子データ化するシステムが多種開発されているが、これらは現状、非常に高価であり、製缶業者が洗浄性向上を問われる製缶品の製作のためだけに、これを導入するのは、現実的ではない。
また、製品完成後に実際にスプレーノズルをセットしての噴射試験を行う場合にあっても、これを行うためにポンプ・流量計・圧力計・仮配管等を用意しなければならず、非常にコストがかかり、時間的にも工程を圧迫している。
大多数の製缶業者は、中小企業である上に、受注に当っては競争見積を前提にしており、受注量の安定化のためには、熱交換器・攪拌機付機器・ジャケット付機器など様々に製作ノウハウを必要とする広汎な種類の製品を手がけなければならない。しかも、使用される材質も、一般炭素鋼・低合金鋼・ステンレス等の鋼合金鋼・非鉄金属と様々である。
さらにこれらは、原則的に一品一葉生産で、同じものを大量・中量生産することがないため、単純に大量生産品で培われた高度な生産管理システムを導入することが難しい状態にある。
また、噴射流体の被浴密度や噴射流体の被浴体への衝突速度を把握することができる流体噴射シミュレーション方法を得ることを第二の目的としている。
実施の形態1は、本発明によるシミュレーション方法を用いて、洗浄液の物理軌道を反映して、直接に洗浄液が到達する部分を明らかにすることにより、槽の洗浄性を検証するものである。
図1は、この発明の実施の形態1による洗浄液のシミュレーション方法の流れを示す図である。
まず、槽の電子データ上のサーフェースモデル(厚みのない殻だけのモデル)を作成する(ステップS1)。データ形式は、微少な三角形とその各頂点座標で構成されるTINデータとする。次いで、マシン語、フォートラン、C++などの汎用言語で作成されたプログラムにこのTINデータを取り込み、スプレーノズルから各三角形の頂点までの距離を演算する(ステップS2)。当該プログラムは、一定の数式(重力軌道等)とスプレーノズルからの距離に基づいて、各三角形の頂点をわずかに下に下げる(ステップS3)。この結果、サーフェースモデルは、当初の形状と異なり、スプレーから遠い部分ほど下に垂れ下がった形状となる。
レイトレーシング実施後の、死角を陰として明示されたデータを、再び当該プログラムに取り込み(ステップS6)、レイトレーシングされた部分も含めて、数式と距離により下に下げたデータをもとに戻す(ステップS7)。
このデータを市販ソフトにもう一度取り込み、可視化して、スプレーノズルにより直接洗浄された部分が、重力等の物理軌道を反映した形で、確認できるようにする(ステップS8)。これにより、シミュレーション方法を用いて、洗浄液の噴射による洗浄部分を把握することができる。
実施の形態1では、洗浄液の反射・速度・密度は、考慮していないが、実施の形態2は、これらを考慮して洗浄液のシミュレーションを行うものである。
図2は、この発明の実施の形態2による洗浄液のシミュレーション方法における洗浄液の代表的な軌道を示す図である。
図2において、2、4、6は図23におけるものと同一のものである。スプレーノズル4から噴射された洗浄液31は、実線のような軌道を描いて、槽の内壁面に衝突し、この槽の内壁面で反射され、反射された洗浄液61として、点線で示される軌道を描く。この洗浄液31の軌道は、例えば400万本ある。
図3において、槽の胴板1には、上鏡板2と、下鏡板3が取り付けられ、上鏡板2には、配管接続ノズル5と配管接続ノズル6とスプレーノズル座7が設けられている。洗浄液を噴射するスプレーノズル4は、スプレーノズル座7に取り付けられている。図3には、洗浄液の吹出し方向と吹出し範囲角度が示されている。吹出し範囲角度は例えば360°とすることもできる。360°の場合は、全方向へ噴出していることになる。
図4において、槽壁に入射角θ1(鉛直方向)θ2(水平方向)で衝突した洗浄液は、反射角θ1’(鉛直方向)θ2’(水平方向)で少量が反射され、大部分は、広がった洗浄液71のように槽壁面に沿って流れる。
図5は、この発明の実施の形態2による洗浄液のシミュレーション方法の流れを示すフローチャートである。
以下、実施の形態2のシミュレーション方法の概略の流れを説明する。
(1)(ステップS1、第一のステップ)まず、槽のモデルを作成する。これはサーフェースモデルであってもよいし、応力解析プログラム等に用いるために予め作成されたソリッドモデル(物質としての厚みを持ったモデル)であってもよい。また、データ形式は、TINデータであってもよいし、球体や円筒などの面としてのデータを持つ面データであってもよい。TINデータであれば、シミュレーション精度と演算時間で、少し劣り、面データであれば、面の各形状ごとの反射角度設定の幾何方程式が必要となり、プログラムが煩雑化するが、演算速度は速くなる。
(2)マシン語、フォートラン、C++、VBA、LISPなどの言語で作成されるプログラムにこのデータを取り込む。
(3)(ステップS2、第二のステップ)洗浄液は、スプレーノズルから一定のベクトルと初速を持つ点として概念化されている。この点が0.1度間隔などの任意の間隔にて、各方向に一定の数式軌道をもって発射される。例えば0.1度間隔で全球方向に発射された場合、洗浄液は約400万本となる。
プログラムは、この400万回を、順次、以下の流れで洗浄液の軌道を再現していく。
尚、このプログラムにおいては、「0.1度などの任意の間隔」は、「噴射流体の噴射密度」と同義である。
洗浄液をこのように概念化し、これら順次行う軌道計算を、複数のハードに分担させることで、演算の並列処理が簡易に可能となる。
(4)発射された洗浄液は、数式に応じた軌道を描いて槽壁に衝突することになる。
(5)(第三のステップ)衝突位置とそのスプレーノズルからの距離により、衝突時の洗浄液の速度を演算する。
(6)(第四のステップ)衝突時の洗浄液軌道と衝突部位の入射角を演算する。
入射角には単数または複数の閾値を設け、その角度により、その後の洗浄液の振る舞いが設定されている。ある閾値以下の洗浄液は、槽壁面に沿って流れたり、ある閾値以上の洗浄液は、槽壁で反射され、入射角に応じて一定の数式による角度で、再び空中に一定の物理軌道を描いて飛び出す。
いずれの場合でも、衝突時には、入射角と衝突速度に応じて速度が減速される。槽壁面に沿って流れる場合でも、そのベクトルに応じて重力や摩擦などの条件を反映した数式に基づいて減速されていく。
(7)槽壁面に沿って流れる洗浄液は、槽壁面の変化角に応じて、一定の閾値以上の変化角をもつ箇所から、その時に洗浄液の持っているベクトルで、再び空中に飛び出す場合がある。その時点で充分な速度を持っていれば、別の槽壁に衝突し、その部分を洗浄しつつ、最初の衝突と同じルールで軌道を描いていく。
(8)洗浄液は、最終的には徐々に速度を失い、槽下部に降下していき、重力により加速され、再度、反射されたりする。速度が、ゼロまたは一定の閾値を下回る時点で、洗浄液の軌道演算は終わり、次の洗浄液の軌道演算を行う。(9)重複するが、0.1度間隔でこれを全球方向に行う場合は、約400万回これを繰返すことになる。
ここで、演算される洗浄液の物理軌道は、実験値により補正することができる。また、この洗浄液の物理軌道は、洗浄液の噴射時に通過する気体の影響による減速や方向変化についても、実験値により補正することができる。この補正により、より正確な物理軌道の演算結果が得られる。
まず、槽のモデルを作成し、当該プログラムに取りこむ(ステップS1)。次いで、スプレーノズルの位置、吹出し方向、吹出し範囲角度、洗浄液の初速を入力する(データ入力ステップ)。これにより、スプレーノズル位置から、一定の軌道数式に基づいて洗浄液が発射される(ステップS2)。
やがて、洗浄液は、槽壁に衝突する。この衝突時の洗浄液の速度を演算する(ステップS3、第五のステップ)。衝突点は、その速度に応じたスペクトル色にて表示される。次いで、衝突時の洗浄軌道により、衝突部位(槽内壁)への入射角度を演算する(ステップS4)。この入射角によって、洗浄液のその後の振舞いが変わる。
閾値A以上の速度では、入射角・速度に基づいて演算された反射角・反射速度により槽壁から反射される。以後は、ステップS2と同じ軌道数式により以後が繰り返される(ステップS5)。閾値A未満の速度では、入射角・速度に基づいて演算されたベクトルにより、槽壁面に沿って流れる(第五のステップ)。この際、連続する面の角度が閾値B以上の場合は、ふたたび空中に飛び出し、ステップS2と同じ軌道数式により、以後が繰り返される(ステップS6)。
なお、速度が、ゼロまたは閾値Cを下回った時点で、その洗浄液の軌道演算は終了し、次の洗浄液の軌道演算に移る。
全球方向に噴射される回転ノズルの場合、例えばこれを0.1度間隔でスプレーノズルから発射される点として概念化し、この点の数だけ演算を行う。全球方向で0.1度間隔の場合は、約400万本分の演算を行うことになる。
なお、この密度は、槽(被浴体)各部の一定表面積あたりの洗浄液(流体)との交点の数を算出することにより、スプレーノズルの噴出し総量と槽一定面積あたりの交点の数との関係から、槽各部の洗浄液の被浴密度を把握することができる。槽(被浴体)の各部の一定面積あたりの衝突点の平均速度と衝突点の数を算出すれば、その部分の洗浄強度を数値的に把握することができる。
また、例えば、二次元回転形のスプレーノズルが、槽に複数個設置される場合は、スプレーノズルの数だけシミュレーションを行い、全てのシミュレーション結果を合成することにより、あたかも複数個の二次元回転ノズルが同時に個別の場所から噴出されたかのような状態を可視化できる。
洗浄液を運動する点の概念に置きかえることにより、洗浄液の速度と密度が可視化され、洗浄強度が簡易に可視化される。
例えば、円錐噴出小形固定ノズルを複数個組込んで市販されている図21のようなタイプのスプレーノズルについても、対応が可能である。この場合、小型固定ノズルの数だけシミュレーションを行い、全てのシミュレーション結果を合成して一つのモデルを完成させることにより、複数個のノズルがあたかも同時に噴出して、槽を洗浄したかのような状態を可視化できる。
また、実施の形態2では、吹出し範囲角度を狭くしてレーザービームのような直線に近い噴出形態をとり、さらに噴出開始位置と吹出し方向を予め設定された軌道で移動させるようにすれば、図22のような三次元回転形スプレーノズルや、上下昇降形スプレーノズルに対応することも可能である。
実施の形態2では、洗浄液を移動する点として概念化しているので、衝突時のこれらの諸条件を演算して、広がりにより洗浄効果のある部分を点や面として可視化することができる。どのように広がるかの条件として、衝突面の表面粗さや硬度といったものも厳密には影響するが、これらは本プログラムの目的からして無視できるものである。
パソコン単独かパソコン並列か、または並列台数及び各ハードの処理能力とシミュレーション時間とのバランスを考えて、例えば衝突時に洗浄液が、槽壁面に沿って広がる演算等は省略してもかまわない。また、逆に、槽壁面に沿って広がる演算のみを行うものであってもかまわない。これらは、槽の洗浄性向上という目的を達成するためのツールとして、必要機能が判断されることとなる。
このように、実施の形態2では実現の難しい反射・速度・密度をもシミュレーションすることができ、洗浄性をより明確に表現することができる。但し、このためのプログラムは、大きなものとなるため、シミュレーション時間は、実施の形態1よりもかかることになる。
実施の形態3は、槽壁の一部の形状を変形し特化させた形状特化部で、洗浄液の軌道を変えて、被洗浄部に洗浄液を供給することにより、スプレーノズルによる槽の洗浄性を高めるようにしたものである。
図6は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた槽を示す図であり、図6(a)は、槽の水平切断面を示す図、図6(b)は、槽の垂直切断面を示す図である。
図6において、2、6、31は図23におけるものと同一のものである。配管接続ノズル6には、形状特化され、洗浄液の軌道を変えて、被洗浄部に洗浄液を供給するように形成されたディンプル10(形状特化部)が設けられている。
図7は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分で反射された洗浄液を示す図である。
図7において、2、6、10、31は図6におけるものと同一のものである。槽の壁面で反射された洗浄液61の軌道を点線で示している。
図8において、2、6、10、31は図6におけるものと同一のものである。洗浄液31がディンプル10で反射された洗浄液61により、配管接続ノズル6の死角部分が洗浄される。
図9は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分を示す拡大図である。
図9において、ディンプル10は、直線区間101と曲線区間102から構成されている。
図10は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分で反射される洗浄液の挙動を示す拡大図である。
図10において、2、6、10、31は図6におけるものと同一のものである。衝突速度が速いときに、ディンプル10で反射された洗浄液61が示されている。
図11は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分で反射される洗浄液の別の挙動を示す拡大図である。
図11において、2、6、10、31は図6におけるものと同一のものである。衝突速度が遅いときに、ディンプル10で反射された洗浄液61が示されている。
図12は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分に設けられたスリットを示す図である。
図12において、ディンプル10に溝103が設けられている。
図13は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分に設けられたフィンを示す図である。
図13において、ディンプル10にフィン104が設けられている。
図14において、2、6は図6におけるものと同一のものである。凸状曲面部11(形状特化部)は、洗浄液31の軌道を変えるように設けられている。
図15は、この発明の実施の形態3による槽壁の一部の形状を変形し特化させた部分で、洗浄液が広かる様子を示す図である。
図15において、6、10、31は図6におけるものと同一のものである。
スプレーノズルから噴射され、飛翔する洗浄液は、相当に大きな速度を持たない限り、平面・円筒面・円錐面等の単純な形状に対して、例えばゴムボールのように充分には反射されず、衝突面に沿って広がってしまい、少量反射された洗浄液も衝突時にその速度を大きく減衰する。
しかしながら、洗浄液が反射面に対して正対せず、小さな入射角をもって斜めに衝突する場合には、衝突前のベクトルに応じて、大きな速度減衰なしに衝突面に沿って流れていく。この性質を利用して、洗浄液が小さな入射角で衝突し、さらに曲面を流すことでそのベクトルを変え、任意の部分に向けて再度空中に放つことが可能である。注意深く反射部分の形状をこのために特化すれば、これを利用して死角部分を洗浄することができる。
実施の形態3は、このように反射部分の形状を特化したものである。
図10及び図11は、洗浄液31の衝突時の速度により、反射された洗浄液61の挙動を示している。衝突時の速度が遅いほど、図11のように反射された洗浄液61は下降気味になる。
例えば、マンホール取付の角部の仕上げR(角を丸めるときの半径)を、通常1〜2mm程度であるところを、5mmとして大きな凸状曲面とし、洗浄軌道を変えて死角を少なくしたり、排除することに寄与させることができる。
通常、スリット式二次元回転スプレーノズルのスリットは、鉛直方向に切られており、立てた扇が水平回転するような形で槽内の洗浄を行う。スリットではなく、専用のスプレー噴射口を用いて扇形に噴射する形式のスプレーノズルもあるが、この場合も扇の向きは鉛直方向である。この場合も同様であるが、以下スリットにて説明する。
鉛直方向にスリットが切られている場合、水平回転して噴出される洗浄液は、ディンプル断面の上部と下部にほぼ同時に達する。上部に衝突した洗浄液は、衝突面に沿って上下左右に広がる。
ディンプル断面下部に当った洗浄液は、ディンプルの形状の意図に従って面に沿って流れ、移動方向を上に、さらには目的の方向に変えながら進む。ディンプル断面上部に当った洗浄液は、面に対して正対に近いベクトルで衝突するため、上下左右に面に沿って流れようとする。このうち、下向きの流れがディンプル断面下部に当って上向きに流れようとする洗浄液と衝突し、進行を阻害する。(図15参照)
ディンプルを利用しない場合でも、スリットを斜めにすることにより、洗浄液をお互い阻害することなく、自由に反射させたり、面に沿って広がったりすることで、死角部分の洗浄を期待する場合に効果がある。しかし、ディンプルを使って積極的に液反射を利用することで、スリットを斜めにする効用が高まる。また、二次元スプレーノズルのスリットを斜めに切る場合、スプレーノズルの水平回転速度が遅いものほど、その効用は高い。
このように、槽内の一部形状を変形特化することで、積極的に既定のノズルの洗浄液反射を利用し、洗浄の死角部をなくすので、小形スプレーノズルの追加などコンタミネーション発生源を増加させることなく、また新たな洗浄液配管等の追加を必要とせず、衛生的で洗浄性の高い槽の製作を実現することができる。
実施の形態4は、攪拌軸により回転する反射板により洗浄液を反射させて被洗浄部を洗浄するようにしたものである。
図16は、この発明の実施の形態4による中空攪拌軸と反射板を利用した槽の洗浄を示す図であり、図16(a)は、槽の水平切断面を示す図、図16(b)は、槽の垂直切断面を示す図である。
図16において、2、6、31は図2におけるものと同一のものである。中空の攪拌軸12には、反射板13が連結され、反射板13の上方に攪拌軸12に連結された小形固定噴射スプレーノズル47が、反射板13と対をなすように設けられている。
市販のロータリージョイント(メカニカルシール等を用いて、回転する軸の中空部に圧力を持つ流体を送り込める機構を持った装置)等を用いて、攪拌軸12に注入された洗浄液31は、槽内攪拌軸12上部に設けられた小型固定噴射スプレーノズル47から槽内に噴射される。
噴射された洗浄液31は、攪拌軸12に連結され、攪拌軸12と同位相にて回転する反射板13に衝突し、衝突時に洗浄液31の持つ速度・ベクトル・衝突入射角に応じて、反射板13によりベクトル・速度を変えて再び中空に進行する。
反射板13は、図16に示すように、前述の形状特化部と同様に、目的に特化した面形状をもち、効率よく、目標に向って洗浄液31を反射するように設計されている。また、反射板13の位置・形状・傾き等は、机上の類推及び実験によっても決定することができるが、実施の形態2に示すシミュレーション方法を用いれば、経済的に正確にその形状を決定することができる。
噴射された洗浄液31は、攪拌軸12に連結され、攪拌軸12と同位相にて回転する反射板13で反射され、被洗浄部に供給される。この小型固定噴射スプレーノズル47と反射板13とは、最低2対の組み合わせで、用いる必要がある。
槽内全体の洗浄を期するには、別途二次元回転形などのスプレーを取付けるか、または特許文献1に示されているように、攪拌軸下端までを中空化し、各部に小型固定スプレーノズルを設ける必要がある。
したがって、攪拌機を有する槽においては、上鏡板の各ノズルをテーパー管化などの複雑な形状としてコストをかけることなく、死角をなくし、洗浄性を向上させることが可能である。
図17は、製缶品における一般的な発注形態を示す図である。
図17において、プラント設備保有者のエンドユーザー14が、エンジニアリング会社15にプラントを発注する。これを受けてエンジニアリング会社15は、製缶メーカー16に槽を発注する。製缶メーカー16は、鏡板メーカー17に鏡板を発注し、鏡板メーカー17から鏡板を納品される。あるいは、エンドユーザー14から直接、製缶メーカー16に槽が発注される。
図18において、14〜17は図17と同一のものである。図18では、エンドユーザー14やエンジニアリング会社15または製缶メーカー16からの発注を受けて、槽全体の設計や上鏡板のみの設計を行い、製缶メーカー16または鏡板メーカー17に発注を行う実施権者18が示されている。
実施権者18(第一の企業)には、計算機A19(第一の計算機)が配置されて、上鏡部(上鏡板とこれに取付けられる各ノズル一式)の設計を行い、この設計された上鏡部について実体モデル(第一の槽のモデル)を作成し、これを実施の形態1,2で述べた洗浄シミュレーション方法で洗浄性の検証を行う。
鏡板メーカー17(第二の企業)には、計算機A19とネットワーク21を介して接続された計算機B20(第二の計算機)が配置され、計算機A19から実体モデルをデータ転送して、これから上鏡部製作用のNCデータを作成して、このNCデータを用いて上鏡部を製作する。この製作した上鏡部について、計算機B20により、実体立体把握を行い、この立体把握に基づき、実体モデル(第二の槽のモデル)を作成して、実施の形態1,2で述べた洗浄シミュレーション方法により洗浄性を検証する。
図17中、エンドユーザー14とは、プラント設備の保有者を示し、各種製品を製造する。製薬会社、食品製造会社、化粧品製造会社、化学品製造会社などがこれにあたる。一般的には生産設備に関する専門部署を抱える大企業である場合が多い。槽などの必要機器は、エンドユーザー14が直接、製缶メーカー16に発注する場合や、プラント建設一括でエンジニアリング会社15に発注する場合がある。
エンジニアリング会社15とは、各種プラントの設計・必要機器調達・建設のノウハウを有し、原則的に製造工場を持たず、各種プラントの建設や改造・保守を請け負う企業の総称である。プラント建設を一括受注したエンジニアリング会社15が、さらにこれを各パートごとに分割して他のエンジニアリング会社に下請発注する場合もある。一括受注するエンジニアリング会社は、一般的に上場されている大企業である場合が多い。また、化学品製造会社の子会社として成立している場合や、造船重機大手の一部門として成立している例も多い。
なお、一部の数社の鏡板メーカー17では、プラズマ切断やレーザー切断のNC工作機械を導入して、発注者側の設計に基づいてノズル取付用の穴あけを施工し、製缶メーカーの穴あけ作業(製缶メーカーにおいては、穴あけはほとんど自動化されていない。)を省く有償サービスを実施している。また、素材鋼板の大きさの限界から、大径の鏡板については,一枚板ではなく,溶接により接合された板を成形して製作することになる関係から、自社内に溶接技術者と溶接設備を擁する鏡板メーカーが多い。自社内または子会社に製缶部門を持ち、槽の製造そのものに乗り出している事例も見受けられる。
(1)実施権者18は、エンドユーザー14やエンジニアリング会社15及び製缶メーカー16から、高い洗浄性を要求される機器の上鏡板とこれに取付けられる各ノズル一式(以下、上鏡部と称する。)を槽のパーツとして受注する。
(2)実施権者は、発注者とよく協議し、例えば本発明における実施の形態1〜3のような技術を駆使して、洗浄製の高い上鏡部を設計し、鏡板メーカー17にこの製作を発注する。
(3)鏡板メーカー17は、実施権者18の設計に基づいて、自社製作の鏡板とパイプ・フランジ等のパーツを購入してこれを溶接接合等により製作する。
(4)鏡板メーカー17は、接触センサー、レーザー光線、電磁波、CCD受光等による立体形状把握システムを実施権者18から無償または有償貸与され、あるいは自社購入し、溶接仮付時等の中間工程や完成時にこれを用いて実体を測定しての電子データモデルを作成する。
(5)鏡板メーカー17は、作成された実体モデルに対して、実施の形態1、2のようなシミュレーションを行い、上鏡部実体の洗浄性を確認する。
(6)これにより、中間段階や完成時に製作寸法精度を簡易に確認することができ、鏡板メーカー17は、安心して実施権者18やエンドユーザー14の立会検査に望むことができる。中間で不具合があった場合は、予め改善を施すことが可能である。
(7)鏡板メーカー17は、上鏡部をパーツとして、槽全体を製作する製缶メーカー16に引き渡す。
(8)上鏡部を受け取った製缶メーカー16は、これを自社製品に組込み、槽を完成させる。
洗浄性を要求される上鏡部は、複雑な形状になることが多く、このためその穴も単純な円形とはならない。人間によるケガキ等の寸法出し手法では、精度を出すことは非常に難しい。
穴あけが正確であれば、上鏡部全体の寸法精度は飛躍的に向上する。三次元モデルデータとNC加工データのデータ交換には相性があり、不特定多数の組合せでは、効率が悪かったり、実質的に変換不可能な場合もあり得る。いざ、データ交換を行う段になっての不具合は、工期に重大な影響を与えかねない。
実施の形態5のように、モデル作成者と製作メーカーの組合せが常に同じであれば、このような問題は起こらない。
2〜3社での多すぎない体制とすれば、競争原理も作用する。
実施の形態5においては、洗浄性の要求とシミュレーション及び立体把握システムを組合せることにより、経済的利得を見出し、さらには品質の向上を実現することができる。
通常は、実際にスプレーノズルを槽にセットして、実噴射試験(洗浄試運転)が施行される。これは、現在、各製缶メーカーにて納入前に行われているが、ポンプ・仮配管その他、準備及び施行に大きなコストを要する。最大のコスト要因は、一般の製缶メーカー16の場合、このような試運転の頻度が少なく、必要となるたび毎にこれらの用意をゼロから行う必要があるからである。また、これを施行する時期は、納入の直前であり、問題が発生した場合は、各方面に大きな影響を与える。
例えば、鏡板メーカー17にて上鏡部に特化して製作を施工する場合に、専用のエリアを設けて試運転装置を定置し、大きなコストをかけずに試運転を施工することができる。
また、中間段階にて実体モデルの作成とこれに対するシミュレーションを施行しておれば、完成検査の試運転時に問題の発生する可能性は低い。
また、上鏡部を製作する業者は、鏡板メーカー17である必要はなく、特定の少数の製缶メーカーであってもよい。初期投資に耐え、ある程度の市場独占を見込め、充分な施工技術を持ち、生産能力の全部または一部を上鏡部の製作に特化することにより、その部門に高度な生産管理システムの導入を期待できる体制にある企業であればよい。
このため、その体制下の企業で、ある程度のシェア独占を期待し、生産コスト低減と品質向上をはかり、最終的に業界全体の槽の洗浄性を向上させることができる。
また、洗浄シミュレーション方法と、例えば市販の実体形状把握システムの組合せにより、簡便で安価な中間検査の施行を可能にし、場合によっては実噴射試験を省略してコストを低減することが可能である。
また、洗浄性の問題が集中する上鏡板を特定の専門メーカーにより製作させることで、洗浄性向上に必要な製作/検査資材を集中し、設備投資費用を少なくすると共に、製作の熟練化や、高度な生産管理手法導入の容易化により、製作コスト低減と品質向上をさせることができる。
また、本明細書において「液体」とは、散布・噴霧・噴射される液相の物質を表し、例えば水においては可視できるミストはこれを含むが、完全に気化しているスチームはこれを含まない。例え微少な粒径であっても、液相にて噴出すものを表すものとする。
本明細書において「粉体」とは、散布・噴霧・噴射される粉状物質を表し、静電粉体塗装の塗料や、粉末状の消火剤などがこれに含まれる。
本明細書において「噴射流体」とは、スプレーノズルから噴射される物質で、前記の「液体」「粉体」「液体と気体の混合体」「紛体と気体の混合体」ならびに「粉体と液体が混合したスラリー状の物体」「前記スラリー状の物体に気体が混入したもの」を表す。
また、本明細書において「被浴体」とは、「噴射流体」を被浴する必要性を持つ三次元立体を示し、槽内部や外部、飲料水のビンの内部や外部、自動洗浄される浴槽・浴室、スプリンクラーにて消火又は延焼防止される建造物、水散布されるゴルフ場の芝生等を表すものとする。
さらに、本明細書において「槽 」とは、各種産業プラントに使用されるタンクや攪拌槽、浴槽及び浴室、タンカーの荷室などの閉鎖された内部を持つ容器状のものを示すものとする。
図19は、噴射される液体とこれを被浴する被浴体との関係において、代表的な事例であるスプレーノズルにより洗浄される槽を示す図である。
2 上鏡板
3 下鏡板
4 スプレーノズル
5 配管接続ノズル
6 配管接続ノズル
7 スプレーノズル座
10 ディンプル
11 凸状曲面部
12 攪拌軸
13 反射板
14 エンドユーザー
15 エンジニアリング会社
16 製缶メーカー
17 鏡板メーカー
18 実施権者
19 計算機A
20 計算機B
21 ネットワーク
31 洗浄液
47 小形固定噴射スプレーノズル
61 反射された洗浄液
71 広かった洗浄液
101 直線区間
102 曲線区間
103 溝
104 フィン
Claims (11)
- 洗浄用の流体をスプレーノズルから噴射して内部を洗浄するように設計された被浴体の洗浄性を検証する流体噴射シミュレーション方法において、上記被浴体の三次元形状データ及び上記スプレーノズルの位置及び上記スプレーノズルから噴射される流体の初速を入力するデータ入力ステップと、このデータ入力ステップで入力されたデータに基づいて上記スプレーノズルから各噴出し方向に噴射される流体の物理軌道を計算するステップと、求めた複数の流体の物理軌道と被浴体との交点の位置を計算するステップと、上記流体の物理軌道と上記被浴体との交点における上記流体の速度を計算するステップとを含み、上記被浴体の上記流体による被浴箇所を表すデータを出力することを特徴とする流体噴射シミュレーション方法。
- 上記流体の物理軌道を実験値により補正することを特徴とする請求項1記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記流体の噴射時に通過する気体の影響による上記流体の速度及び方向変化を実験値により補正することを特徴とする請求項1または請求項2記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記流体が上記被浴体に衝突する際の被浴面に対する入射角を算出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記流体の上記被浴体表面での反射と反射後の上記被浴体との交点を算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記データ入力ステップは、上記流体の噴出し密度の入力を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記被浴体各部の一定表面積あたりの上記流体との交点の数を算出することにより、上記スプレーノズルの噴出し総量と上記被浴体一定面積あたりの交点の数との関係から、上記被浴体各部の流体被浴密度を把握することを特徴とする請求項6記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記被浴体の三次元形状データは、実体の形状を測定して得ることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記流体は、液体であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記各ステップを並列処理することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
- 上記被浴体の上記流体による被浴個所を表すデータは、可視化されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の流体噴射シミュレーション方法。
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