JP4614869B2 - Cip−gmr素子、cip−gmr再生ヘッド、cip−gmr再生ヘッドの製造方法、ならびにcip−gmr素子におけるフリー層の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層面と直交する方向に検出電流を流すように構成された面直交電流型の巨大磁気抵抗効果(CIP−GMR)再生ヘッドおよびその製造方法、CIP−GMR素子、ならびにそのようなCIP−GMR素子におけるフリー層の形成方法に関する。
現在、一般的に使用されている磁気再生ヘッドの多くは、磁界の存在下における磁性材料の抵抗変化(すなわち磁気抵抗効果[Magneto-Resistance]による電気抵抗の変化)を利用するものである。この磁気抵抗効果は、スピンバルブ(SpinValve;SV)構造によって著しく高めることができる。なかでも高記録密度化した記録媒体の読出を行う場合には、巨大磁気抵抗効果(GMR;GiantMagneto-Resistance)型のSV構造を有する磁気抵抗効果素子(以下、GMR素子という。)を備えた磁気再生ヘッド(以下、GMRヘッドという。)が好適である。この巨大磁気抵抗効果とは、磁化された固体中を電子が通過する際に、その固体自体の(電子スピン方向によって決まる)磁化ベクトルの方向と外部磁界方向との関係に応じて格子での通過電子散乱度が変化し、抵抗値が変動する現象である。具体的には、固体自体の磁化ベクトルの方向と外部磁界方向とが平行(反平行ではない。)ならば、通過電子はほとんど散乱されず、抵抗値が低くなる。
GMRヘッドのひとつとして、CIP(Current flowing in the plane)型と言われるヘッド(CIP−GMRヘッド)がある。このCIP−GMRヘッドでは、GMR素子の両側に配置したリード層によって、主にフリー層を面内方向に流れるようにGMR素子にセンス電流が供給される。CIP型のGMRヘッドにおけるGMR素子は、一般的に、複数の導電性薄膜からなる積層構造をなしているが、その積層構造には、磁気的な作用を持たず、抵抗変化の供給において全く機能しない導電層が含まれている。その結果、センシング電流の一部が分岐して、GMR素子のうちの検出動作が行われない部分を通過してしまうことから、GMR素子全体としての感度が低下する。
このような問題を回避するため、CPP(Current flowing perpendicular to the plane)型のGMRヘッド(CPP−GMRヘッド)が開発された。このCPP−GMRヘッドでは、積層体からなるセンサ部分としてのGMR素子を上下方向(積層方向)に挟むように上部導電層および下部導電層が設けられ、GMR素子に対して、その積層方向(すなわち、積層面と直交する方向)にセンス電流が流れるようになっている。
図2は、従来のCPP−GMRヘッドの主要部を表すものである。このCPP−GMRヘッドでは、GMR素子101が導電性の下部リード層110と上部リード層118との間に挟まれるように設けられている。下部リード層110および上部リード層118は、GMR素子101にセンス電流を供給する電流経路である。GMR素子101は、下部リード層110の側から順に、シード層111、反強磁性層112、磁化固定層(ピンド層)140、非磁性のスペーサ層116および磁化自由層(フリー層)117を順に積層して構成されている。反強磁性層112は、ピンド層140の磁化方向を規定するように作用するピンニング層である。ピンド層140は、シンセティック構造を有する。具体的には、互いに反平行(反対向き)に磁化された2つの強磁性層113(AP2)および強磁性層115(AP1)と、それらに挟まれた反強磁性の結合層114とを有している。ピンド層140の上に形成されたスペーサ層116は、例えば銅(Cu)などの非磁性導電性材料により構成される。フリー層117は、低保磁力を示す強磁性材料により形成されている。このフリー層117は保護層としてのキャップ層119によって覆われ、さらにその上面と接するようにコンタクト層としての上部リード層118が設けられている。
GMR素子101が外部磁場に晒されると、その外部磁場の方向に応じてフリー層117の磁化方向が自由に回転するようになっている。外部磁場が取り除かれると、フリー層117の磁化方向は、ある方向に維持される。その方向は、結晶構造、形状異方性、電流磁場、結合磁場および反磁場などによって決まる最小エネルギー状態によって定まる。フリー層117の磁化方向が強磁性層115の磁化方向と平行なときは、伝導電子があまり散乱を受けることなくフリー層117とピンド層140とを通過するので、抵抗値は相対的に低くなる。一方、フリー層117の磁化方向が強磁性層115の磁化方向と反平行である場合には、伝導電子が多くの散乱を受けながらフリー層117とピンド層140とを通過することとなり、抵抗値が相対的に高くなる。このような磁化方向の状態に基づく抵抗値の変化により、スピンバルブ構造のGMR素子では、一般的に8%〜20%の抵抗変化率(以下、GMR比ともいう。)を示す。GMR素子を有するCPP−GMRヘッドによれば、1平方インチあたり100ギガビットを超える記録密度を有する磁気メディアにも対応して、その磁気情報を読み出すことが可能である。
単層のフリー層に代えて多層のフリー層が磁気記録ヘッドで用いられるようになってきた。代表的な複合構造のフリー層として、互いに直接的に磁気結合した2つの層(第1のフリー層FL1および第2のフリー層FL2)からなるもの、例えば、Co90Fe10\Ni80Fe20が考えられる。第1のフリー層FL1は、通常、Co(コバルト)リッチな合金からなり、強いスピン依存散乱を生じさせる。一方、第2のフリー層FL2は、通常、NiFe(ニッケル鉄)タイプの材料からなり、軟磁性(すなわち、低い保持力)を発現する。
GMRヘッドに関連する従来技術を検索したところ、関連する以下の先行技術が見つかった。Horngらによる特許文献1および特許文献2には、従来のCoFe/NiFe構造のフリー層が開示されている。Gillらによる特許文献3には、CoFeおよびNiFeを交互に積層してフリー層を形成する技術が開示されている。Pinarbasiによる特許文献4には、Co/NiFeの複合型フリー層が開示され、Denによる特許文献5には、FeNiを含んだ強磁性層が開示されている。
Tanakaらによる特許文献6には、Co,Fe,Niをそれぞれ70:15:15という割合で含有するフリー層が開示されている。Kanaiらによる特許文献7には、FeNi/CoFeB(コバルト鉄ボロン)からなるフリー層が開示されているものの、鉄含有量については詳細が明示されていない。Kanaiによる特許文献8には、2つの副層を含むスピンバルブ構造が開示され、Saitoらによる特許文献9には、FeNiからなるフリー層が開示されているものの、鉄含有量については詳細が明示されていない。
米国特許第6614630号 米国特許第6517896号 米国特許第6466417号 米国特許第6038107号 米国特許第6611034号 米国特許第6608740号 米国特許第6123780号 米国特許第5896252号 米国特許第6352621号
上記のような複合型フリー層は、CoFe(コバルト鉄)単層からなるフリー層に比べて、次のような利点を有する。
1)良好な軟磁気特性によってノイズが減り、その結果、GMRセンサの感度が向上。
2)Co90Fe10層とNi80Fe20層の膜厚比を変化させることにより、磁歪を容易に調整可能。
その反面、従来および現状の複合型フリー層には、CIP構造に用いた場合に抵抗変化量dRやGMR比dR/Rが小さくなるという大きな欠点がある。なぜなら、Ni80Fe20層は比較的低いスピン分極と低い抵抗値とを有することから著しい分流現象(shuntingeffect)を引き起こす一方、このケースには、CoFe\Cu\Oxide(酸化物層)またはCoFe\Oxide等の上部スペキュラー構造(すなわち、スピンフィルタ構造)を適用できないからである。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、より高い性能のCIP−GMR素子およびCIP−GMR再生ヘッドを提供することにある。本発明の第2の目的は、そのような高性能のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、そのような高性能のCIP−GMR素子におけるフリー層を形成するために、従来の製造方法と互換性のある製造方法を提供することにある。
上記の目的は、従来のフリー層を少なくとも2つの層を含む複合型フリー層で置き換えることによって達成される。2つの層の一方は、コバルト鉄層であり、他方の層は、35μΩcm以上の比抵抗を有すると共に鉄を60原子%以上含有する強磁性層である。比抵抗値を最大にするために、フリー層に付加元素を添加するようにしてもよい。より具体的には、以下のようにして上記課題を解決することができる。
本発明のCIP−GMR素子のフリー層の形成方法は、少なくとも、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを連続的に形成するようにしたものである。
本発明に係るCIP−GMR再生ヘッドの製造方法は、シード層とピンニング層とを連続して形成する工程と、ピンニング層の上にピンド層を形成する工程と、ピンド層の上に非磁性スペーサ層を形成する工程と、非磁性スペーサ層の上に少なくともコバルト鉄層と35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを連続的に形成してフリー層を形成する工程と、フリー層の上にキャップ層を形成する工程とを含むものである。
本発明のCIP−GMR素子は、少なくとも、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを備えたものである。
本発明の第1のCIP−GMR再生ヘッドは、シード層の上に形成されたピンニング層と、ピンニング層の上に形成されたピンド層と、ピンド層の上に形成された非磁性スペーサ層と、非磁性スペーサ層の上に形成され、少なくとも、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを有するフリー層と、フリー層の上に形成されたキャップ層とを備えたものである。このようにボトム型スピンバルブ構造の場合には、強磁性層を形成する前にコバルト鉄層を形成することが好ましい。
本発明の第2のCIP−GMR再生ヘッドは、シード層の上に、少なくとも、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層と、コバルト鉄層とを連続的に形成して、フリー層を形成する工程と、フリー層の上に非磁性スペーサ層を形成する工程と、非磁性スペーサ層の上にピンド層を形成する工程と、ピンド層の上にピンニング層を形成する工程とを備えたものである。このようにトップ型スピンバルブ構造の場合には、コバルト鉄層を形成する前に強磁性層を形成することが好ましい。
ここで、コバルト鉄層は、例えば0.5nm〜3.0nmの厚さに形成するのが好ましく、強磁性層は、例えば1.0nm〜4.0nmの厚さに形成するのが好ましく、フリー層は、その総厚が例えば1.5nm〜7.0nmとなるように形成するのが好ましい。強磁性層は、鉄およびニッケルと、ボロンおよびバナジウムよりなる群から選択された少なくとも1つの比抵抗増加元素とを含有するように構成してもよい。ピンド層は、反強磁性結合層と、この反強磁性結合層を挟んで互いに対向配置された1対の強磁性層とを含むシンセティック構造の反強磁性層とするのが好ましい。フリー層の形成工程においては、コバルト鉄層を形成する前に強磁性層を形成してもよいし、強磁性層を形成する前にコバルト鉄層を形成してもよい。CIP−GMR素子の抵抗変化率は、14%以上となるようにすることも可能である。フリー層の磁歪は2×10-6以下となるようにするのが好ましい。
本発明では、フリー層を構成する2つの層のうちの強磁性層が、35μΩcm以上の比抵抗を有すると共に鉄を60原子%以上含有するようにしたので、フリー層の良好な軟磁性特性および妥当な値の磁歪定数と、比較的高い素子抵抗変化量とが確保される。
本発明のCIP−GMR素子およびCIP−GMR再生ヘッドによれば、フリー層が、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを備えるようにしたので、フリー層の軟磁性特性と妥当な磁歪定数とを確保しつつ、比較的高い抵抗変化量を確保することができ、検出精度が向上する。また、フリー層の軟磁気特性が良好(保磁力が低い)であることから、フリー層本来の機能を果たすことができる。さらに、妥当な大きさの磁歪定数をもつことから、ヘッドの磁気的安定性を良くすることができる。すなわち、より高い信号検出精度と安定した性能とを実現することができる。
また、本発明のCIP−GMR素子のフリー層の形成方法およびCIP−GMR再生ヘッドの製造方法によれば、少なくとも、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを連続的に形成するようにしたので、より高い信号検出精度と安定した性能とを有するCIP−GMR素子やCIP−GMR再生ヘッドを、特殊なプロセスを用いることなく既存の基本プロセスを用いて形成することができ、製造が容易である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態のCIP−GMR再生ヘッドの要部断面構成を表し、図2は図1の要部を表すものである。このCIP−GMR再生ヘッドは、積層面と平行にセンス電流が流れるように構成されたCIP−GMR構造のGMR素子1を有する。GMR素子1は、下層側から順に、シード層11、反強磁性層(ピンニング層)12、磁化固着構造(ピンド層)40、非磁性介在層(スペーサ層)16、フリー層23および保護層(キャップ層)18を積層して構成された、いわゆるボトム型スピンバルブ構造を有する。このGMR素子1は、電流経路としての一対のリード層(図示せず)によって両側(図の左右)から挟まれるように配置され、これらのリード層を介してセンス電流が供給されるようになっている。なお、これらのリード層の下側に縦バイアス層を配置してフリー層23にバイアス磁界を印加するようにしてもよい。
シード層11は、その上の層構造を成長させるための下地層である。ピンニング層12は、イリジウムマンガン合金(IrMn)等の適切な反強磁性材料からなり、例えば2.0nm〜10.0nm程度の厚さを有する。このピンニング層12は、ピンド層40の磁化方向を固定するように作用する。ピンド層40は、シンセティック反強磁性ピンド構造をなしている。具体的には、互いに逆平行(反対向きの)磁化を示す2つの強磁性層(AP2層)13,強磁性層(AP1層)15と、それらに挟まれた非磁性材料からなる反強磁性結合層14とを有している。強磁性層13,15は例えばコバルト鉄等で構成され、反強磁性結合層14は例えばルテニウム(Ru)等で構成される。
フリー層23は、図2に示したように、コバルト鉄層31と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層32とを積層した構造を有する。強磁性層32は鉄の他にニッケルを含むNiFe層とするのが好ましく、さらにこれらに加えて、比抵抗値を高めるためにボロン(B)やバナジウム(V)等の添加元素を1種類以上含むのがより好ましい。コバルト鉄層の厚さは0.5nm〜3.0nm、強磁性層32の厚さは1.0nm〜4.0nm、フリー層23の総厚は1.5nm〜7.0nmとするのが好ましい。
なお、本実施の形態のようにボトム型のスピンバルブ構造においては(図2)、下層側(スペーサ層16)から順にコバルト鉄層31と強磁性層32とを積層しているが、トップ型のスピンバルブ構造の場合には、それらの積層順序を上下逆にして強磁性層32とコバルト鉄層31とを順次積層する(すなわち、常にスペーサ層16に近い側にコバルト鉄層31を配置する)ことが好ましい。その理由は、もしもNiFe層からなる強磁性層32をスペーサ層16のすぐ隣に配置した場合には、NiFeのスピン分極度の低下や銅とニッケルとの間の相互拡散に起因してMR比が小さくなってしまうからである。
また、フリー層23は、コバルト鉄層31および強磁性層32の積層構造にのみ限定されるものではなく、これらに加えてさらに、別のコバルト鉄層または鉄リッチなニッケル鉄層の少なくとも一方を含むようにしてもよい。これにより、素子性能をさらに向上させることができる。
次に、このような構成のGMR素子1の作用を説明する。
GMR素子1が外部磁場(磁気メディアからの信号磁界)に晒されると、その外部磁場の方向に応じてフリー層23の磁化方向が回転する。外部磁場が取り除かれると、フリー層23の磁化方向は、ある方向に維持される。その方向は、結晶構造、形状異方性、電流磁場、結合磁場および反磁場などによって決まる最小エネルギー状態によって定まる。フリー層23の磁化方向がピンド層40の強磁性層15の磁化方向と平行なときは、伝導電子があまり散乱を受けることなくフリー層23とピンド層40とを通過するので、抵抗値は相対的に低くなる。一方、フリー層23の磁化方向が強磁性層15の磁化方向と反平行である場合には、伝導電子が多くの散乱を受けながらフリー層23とピンド層40とを通過することとなり、抵抗値が相対的に高くなる。このように、外部磁場に応じたフリー層23の磁化方向変化によりGMR素子1の抵抗値が変化する。この抵抗値変化を検出することにより、磁気メディアから磁気情報を読み出すことができる。
ところで、従来の標準的なCIP−GMRヘッドにおけるスピンバルブ構造では、フリー層として、Co90Fe10層とNi81Fe19層とを複合的に用いたものが知られている。これらのCo90Fe10層およびNi81Fe19層は、磁歪定数がほとんど零(例えば10-7程度)であると考えられる。CoFe層の磁歪定数は鉄の含有量の増加に伴って増加するが、NiFe層の磁歪定数は鉄の含有量が低い場合に負となる。本実施の形態では、このような特徴に注目して、フリー層23のうちの強磁性層32の鉄含有量を増加させると共にその比抵抗値を高めることにより、抵抗変化量の増大による検出精度の向上、フリー層23の良好な軟磁気特性と妥当な磁歪定数、および比較的高いGMR比を確保することを可能にしている。具体的には、本実施の形態のGMR素子によれば、14%以上の高いGMR比を発現すると共に、フリー層20の保磁力Hcを4×(250/π)A/m未満、フリー層20の磁歪定数λを2×10-6未満にすることも可能である。
次に、図1を参照して、GMR素子1を有する薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。
本実施の形態における薄膜磁気ヘッドの製造方法では、まず、図示しない基体上に、シード層11と、ピンニング層12と、強磁性層13と、反強磁性結合層14と、強磁性層15と、スペーサ層16と、コバルト鉄層31と、強磁性層32と、キャップ層18とを順に形成する。ピンニング層12の材料や膜厚、強磁性層13,15および反強磁性結合層14の材料、コバルト鉄層31の膜厚、強磁性層32の組成や膜厚、ならびにフリー層23の総厚は上記の通りである。最後に、フリー層23の上にキャップ層18を形成する。これにより、例えば14%を越える高いGMR比を発現するCIP−GMRヘッドを完成させることができる。
このように、本実施の形態による薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、フリー層23が、コバルト鉄層31と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層32とを含む積層構造を形成し、これをフリー層23とするようにしたので、高いGMR比を発現するCIP−GMRヘッドを、特殊なプロセスを用いることなく、既存の基本プロセスを用いて形成することができ、製造が容易である。
次に、実施例について以下に説明する。
本発明の効果を確認するため、次のような構造を有するCIP−GMR素子のサンプルA,Bを作製し、評価実験を行った。ここで、サンプルAは比較例のCIP−GMR素子の構造を示し、サンプルBは本実施例のCIP−GMR素子の構造を示す。
サンプルA ; シード層\反強磁性層(ピンニング層)\CoFe\Ru\CoFe
\Cu\CoFe\Ni80Fe20\キャップ層
サンプルB ; シード層\反強磁性層(ピンニング層)\CoFe\Ru\CoFe
\Cu\CoFe\Fe68Ni32\キャップ層
ここで、CoFe\Ru\CoFeは、ピンド層40を構成する強磁性層13\反強磁性結合層14\強磁性層13に相当し、Cuはスペーサ層16に相当し、CoFe\Ni80Fe20およびCoFe\Fe68Ni32は、それぞれ、フリー層23を構成するコバルト鉄層31および強磁性層32に相当する。両者の違いは、下線で示したように、フリー層23の強磁性層32に相当するNiFe層が、比較例サンプルAではNi80Fe20というニッケルリッチな組成であるのに対し、本実施例サンプルBではFe68Ni32という鉄リッチな組成である点にある。
本実施例サンプルBのように強磁性層32の組成を鉄リッチなFe68Ni32にした場合には、膜厚20nmの場合で35.5μΩcm、膜厚1.0〜3.0nmの場合で60μΩcmに達する比抵抗値が得られた。この実験から次の表1のような結果を得た。評価項目は、GMR積層膜のシート抵抗値R、GMR比dR/R、抵抗変化量dR、フリー層23の保磁力Hc、フリー層23の飽和磁化膜厚Ms・t(Msは飽和磁化,tは膜厚)、スペーサ層16を横切ってフリー層23に作用する結合磁界He、およびフリー層23の磁歪定数λである。
Figure 0004614869
上記したように、比較例サンプルAでは、フリー層における強磁性層32(Ni80Fe20)の比抵抗値が35μΩcm未満(具体的には、膜厚200nmの場合で20〜25μΩcm程度)であるのに対し、実施例サンプルBでは、NiFe層をFe 68 Ni 32 という鉄リッチな組成にしたことにより、強磁性層32の比抵抗値が60μΩcmに達するものとなった。これにより、実施例サンプルBの抵抗変化量dRとして、3.54Ωという(比較例サンプルAの抵抗変化量3.13Ωよりも大きい)値が得られた。また、実施例サンプルBでは、フリー層の保磁力Hcが比較例サンプルAに比べて1/4程度まで小さくなった。さらに、実施例サンプルBでは、磁歪定数λが比較例サンプルAに比べて1桁程度小さくなった。GMR比(DR/R)については、両サンプルともに14.6%という良好な値が得られた。なお、結合磁界Heは比較例サンプルAに比べて実施例サンプルBが僅かに増加しているものの、これは許容範囲内である。
このように、本実施例では、GMR比DR/Rを良好に保ちつつ、フリー層に要求される諸特性(抵抗変化量dR,保磁力Hc,磁歪定数λ)を改善することができた。特に、CIP構造においては、直列抵抗を考慮する必要があるので、抵抗変化量dRの増大は感度の向上に大きく寄与する。また、保磁力Hcの低減により、フリー層の軟磁性特性が向上する。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されず、種々の変形が可能である。すなわち、当業者であれば理解できるように、上記実施の形態および実施例は本発明の一具体例であり、本発明は上記の内容に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に合致する限り、製造方法、材料、構造および膜厚などについての修正および変更がなされてもよい。例えば、本実施の形態では、GMR素子をボトムスピンバルブ型としたが、トップスピンバルブ型としてもよい。その場合には、シード層の上にフリー層、スペーサ層を積層し、さらにその上にピンド層およびピンニング層という順で積層すればよい。
本発明の一実施の形態に係るCIP−GMR素子の主要部構成を表す断面図である。 図1のCIP−GMR素子の要部を表す断面図である。 従来のCPP−GMR素子の主要部構成例を表す断面図である。
符号の説明
1…GMR素子、11…シード層、12…ピンニング層、13,15…強磁性層、14…反強磁性結合層、16…スペーサ層、18…キャップ層、23…フリー層、31…コバルト鉄層、32…強磁性層、40…ピンド層。

Claims (30)

  1. CIP−GMR素子のフリー層を形成する方法であって、
    少なくとも、コバルト鉄(CoFe)層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄(Fe)を60原子%以上含有する強磁性層とを連続的に形成する
    ことを特徴とするCIP−GMR素子のフリー層の形成方法。
  2. 前記コバルト鉄層を0.5nm〜3.0nmの厚さに形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のCIP−GMR素子のフリー層の形成方法。
  3. 前記強磁性層を1.0nm〜4.0nmの厚さに形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のCIP−GMR素子のフリー層の形成方法。
  4. 前記フリー層を、その総厚が1.5nm〜7.0nmとなるように形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のCIP−GMR素子のフリー層の形成方法。
  5. 前記強磁性層が、鉄およびニッケル(Ni)と、ボロン(B)およびバナジウム(V)よりなる群から選択された少なくとも1つの比抵抗増加元素とを含有するようにした
    ことを特徴とする請求項1に記載のCIP−GMR素子のフリー層の形成方法。
  6. シード層とピンニング層とを連続して形成する工程と、
    前記ピンニング層の上にピンド層を形成する工程と、
    前記ピンド層の上に非磁性スペーサ層を形成する工程と、
    前記非磁性スペーサ層の上に、少なくとも、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを連続的に形成して、フリー層を形成する工程と、
    前記フリー層の上にキャップ層を形成する工程と
    を含むことを特徴とするCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  7. 前記コバルト鉄層を0.5nm〜3.0nmの厚さに形成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  8. 前記強磁性層を1.0nm〜4.0nmの厚さに形成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  9. 前記フリー層を、その総厚が1.5nm〜7.0nmとなるように形成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  10. 前記強磁性層が、鉄およびニッケルと、ボロンおよびバナジウムよりなる群から選択された少なくとも1つの比抵抗増加元素とを含有するようにした
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  11. 前記強磁性層を形成する前に前記コバルト鉄層を形成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  12. 抵抗変化率が14%以上となるようにする
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  13. 前記フリー層の保磁力が103/π(=4Oe)未満となるようにする
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  14. 前記フリー層の磁歪が2×10-6以下となるようにする
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  15. 前記ピンド層として、反強磁性結合層と、この反強磁性結合層を挟んで互いに対向配置された1対の強磁性層とを含むシンセティック構造の反強磁性層を形成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  16. 少なくとも、
    コバルト鉄層と、
    35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層と
    を備えたことを特徴とするCIP−GMR素子。
  17. 前記コバルト鉄層の厚さが0.5nm〜3.0nmである
    ことを特徴とする請求項16に記載のCIP−GMR素子。
  18. 前記強磁性層の厚さが1.0nm〜4.0nmである
    ことを特徴とする請求項16に記載のCIP−GMR素子。
  19. 前記フリー層の総厚が1.5nm〜7.0nmである
    ことを特徴とする請求項16に記載のCIP−GMR素子。
  20. 前記強磁性層が、鉄およびニッケルと、ボロンおよびバナジウムよりなる群から選択された少なくとも1つの比抵抗増加元素とを含有する
    ことを特徴とする請求項16に記載のCIP−GMR素子。
  21. シード層の上に形成されたピンニング層と、
    前記ピンニング層の上に形成されたピンド層と、
    前記ピンド層の上に形成された非磁性スペーサ層と、
    前記非磁性スペーサ層の上に形成され、少なくとも、コバルト鉄層と、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層とを有するフリー層と、
    前記フリー層の上に形成されたキャップ層と
    を備えたことを特徴とするCIP−GMR再生ヘッド。
  22. 前記コバルト鉄層の厚さが0.5nm〜3.0nmである
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド。
  23. 前記強磁性層の厚さが1.0nm〜4.0nmである
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド。
  24. 前記フリー層の総厚が1.5nm〜7.0nmである
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド。
  25. 前記強磁性層が、鉄およびニッケルと、ボロンおよびバナジウムよりなる群から選択された少なくとも1つの比抵抗増加元素とを含有する
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド。
  26. 抵抗変化率が14%以上である
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド
  27. 前記フリー層の保磁力が103/π(=4Oe)未満である
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド。
  28. 前記フリー層の磁歪が2×10-6以下である
    ことを特徴とする請求項21に記載のCIP−GMR再生ヘッド。
  29. シード層の上に、少なくとも、35μΩcm以上の比抵抗を有し鉄を60原子%以上含有する強磁性層と、コバルト鉄層とを連続的に形成して、フリー層を形成する工程と、
    前記フリー層の上に非磁性スペーサ層を形成する工程と、
    前記非磁性スペーサ層の上にピンド層を形成する工程と、
    前記ピンド層の上にピンニング層を形成する工程と
    を含むことを特徴とするCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
  30. 前記コバルト鉄層を形成する前に前記強磁性層を形成する
    ことを特徴とする請求項29に記載のCIP−GMR再生ヘッドの製造方法。
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