JP4624977B2 - 妊娠障害診断マーカーとしての血中mRNA - Google Patents
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Description
(関連出願)
本出願は、2003年1月17日に申請された米国仮出願第60,440,906号に対して優先権を主張する。その内容はこの参照により開示に含まれる。
絨毛生検(CVS)や羊水穿刺などの処置により胎児から分離された細胞を用いて出生前診断が日常的に行われている。しかしながら、これら従来の方法は侵襲性で、非常に慎重に処理しても母親と胎児両方にかなりの危険を伴う(非特許文献1)。
さまざまなタイプの胎児細胞を母体循環系から得ることができるという発見(非特許文献2)および、さらに重要なことに、血中遊離胎児DNAを母体血漿または血清中で検出できるという発見(非特許文献3)を受けて、これら侵襲的方法に代わるものが出生前スクリーニング(たとえば胎児異常の検出)のために開発された。胎児細胞の分離および濃縮に必要なステップと比較して、母体血中の胎児DNA量は、血漿や血清の複雑な処理をしなくとも、遺伝子分析には十分であることが示された。その後、胎児のRhD遺伝子型特定(非特許文献4)、胎児の性決定(非特許文献5)、および様々な胎児障害の診断(非特許文献6、非特許文献7、および非特許文献8)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を基本とした技術を用いて母体血中の胎児DNAを検出することにより達成されている。
さらに、母体血漿/血清中の胎児DNAの量的異常も、子癇前症(非特許文献9および非特許文献10)、胎児21トリソミー(非特許文献11および非特許文献12)および妊娠悪阻(非特許文献13)において報告されている。出生前遺伝子分析のための母体血中胎児核酸の検出も、特許文献1に開示されている。
胎児DNAを分析する際に、研究者はしばしば男性の胎児にのみ存在するY染色体マーカーを胎児特異的マーカーとして用いることがあった。この方法は、この技術の応用範囲を男性の胎児を妊娠している、妊婦の50%に狭めていた。さらに、他の遺伝的多型を利用することによって、胎児DNAに基づいた分析をより複雑にしていた。母体血漿中の胎児RNAの発見は、これら制限を回避する新しい方法を提供する(非特許文献14)。
さらに最近では、特許文献2が、母体血中胎児RNAの検出に基づいた非侵襲性の技術を開示する。本発明は初めて、母体血中に存在する特定のmRNA種(ヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモンβサブユニット(hCG−β)、ヒト副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(hCRH)、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、KiSS−1転移抑制遺伝子(KISS1)、組織因子経路インヒビター2(TPFI2)、胎盤特異的遺伝子1(PLAC1)、あるいはグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をコードするものを含んでいる)の量を、妊娠検出のためだけでなく、子癇前症、胎児の染色体
異常、および早期陣痛などの妊娠障害の監視、診断または予測用マーカーとして使用できることを開示する。
[0007]
本発明は、母体血に含まれる1つまたはそれ以上の血中mRNA種の定量により、子癇前症、胎児の染色体異常、および早期陣痛などの妊娠障害を監視、診断または予測する新しい方法を提供する。女性の妊娠を検出する方法も同じ方法論に基づいて提供する。該mRNAは、ヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモンβサブユニット(hCG−β)、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、ヒト副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(hCRH)、KiSS−1転移抑制遺伝子(KISS1)、組織因子経路インヒビター2(TPFI2)、胎盤特異的遺伝子1(PLAC1)、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)などの胎児または母体由来のタンパク質をコードしてもよい。本発明に基づいた、妊娠に関連する病気/妊娠用の、診断/検出キットも提供する。
本発明の一態様は、妊婦の子癇前症を診断、監視、または予測する方法に関する。この方法は複数のステップを備え、第1ステップでは、妊婦の血液中に存在する1つまたはそれ以上の特定のmRNA種の量を定量的に測定する。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードしてもよい。第2ステップでは、第1ステップから得られたmRNA量を、子癇前症ではない平均的女性の血液中の同一タンパク質をコードしているmRNA量を表す標準対照と比較する。該mRNAレベルの増加または減少により、子癇前症の存在や、その症状が現れる危険性が高いことが示される。
ある実施例では、この方法でマーカーとして用いられる該mRNAはhCRHまたはGAPDHをコードする。ある実施例では、該方法の第1ステップは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって行われる。しかし、他方では、この第1ステップはポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法または質量分析を用いて行われる。ある実施例では、妊婦は妊娠第1期であるのに対し、他方では、女性は妊娠第2期または妊娠第3期である。ある実施例では、該方法の第1ステップで用いられる前に、妊婦の血液は無細胞化される。ある実施例では、血漿または血清が該方法の第1ステップで用いられる。ある実施例では、標準対照からのmRNA量の増加は2倍をこえる。
本発明の方法は、子癇など、子癇前症よりも重症の臨床経過の診断、監視、あるいは予測にも使用できる。
同様に、本発明は、妊婦の子癇前症を監視、診断または予測するためのキットに関する。該キットは、妊婦の血液中の1つまたはそれ以上の特定のmRNA種の量を定量的に測定するためのPCRプライマーを備える。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードしてもよい。該キットは、さらに子癇前症ではない平均的妊婦の同一のタンパク質をコードするmRNA量を表す標準対照を備える。本発明のキットは、PCRプライマーに加えて、あるいはその代わりに、定量的にhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードするmRNA量を定量的に測定するために使用できる1つまたはそれ以上のプローブを備えてもよい。
本発明のもう1つの態様は、妊婦から染色体異常(18トリソミーまたは21トリソミーなど)を有する胎児を検出する方法に関する。この方法は複数のステップを備え、第1ステップでは、妊婦の血液中に存在する1つまたはそれ以上の特定のmRNA種の量を定量的に測定する。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードしてもよい。第2ステップでは、第1ステップから得られたmRNA量を、染色体正常胎児を妊娠している平均的妊婦の血液中の同一のタンパク質をコードするmRNA量を表す標準対照と比較する。該mRNAレベルの増加または減少は、異数体の胎児を妊娠している危険性が高いことを示す。
ある実施例では、該方法でマーカーとして用いられる該mRNAはhCG―βをコードする。ある実施例では、該方法の第1ステップはRT−PCRによって行われる。しかし、他方では、この第1ステップはポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法または質量分析法を用いて行われる。ある実施例では、妊婦は妊娠第1期である。しかし、他方では、女性は妊娠第2期または妊娠第3期である。ある実施例では、該方法の第1ステップで用いられる前に、妊婦の血液は無細胞化される。ある実施例では、血漿あるいは血清が該方法の第1ステップで用いられる。ある実施例では、増加は少なくとも2倍である。他の実施例では、減少は少なくとも50%である。
同様に、本発明は、妊婦から染色体異常(18トリソミーまたは21トリソミーなど)を有する胎児の存在を検出するためのキットに関する。該キットは、妊婦の血液中の1つまたはそれ以上の特定のmRNA種の量を定量的に測定するためのPCRプライマーを備
える。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードしてもよい。該キットは、染色体正常胎児を妊娠している平均的妊婦の同一のタンパク質をコードするmRNA量を表す標準対照も備える。本発明のキットは、PCRプライマーに加えて、あるいはその代わりに、定量的にhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードするmRNA量を定量的に測定するために使用できる1つまたはそれ以上のプローブを備えてもよい。
本発明のさらなる態様は、妊婦の早期陣痛を診断、監視、または予測する方法に関する。この方法は複数のステップを備え、第1ステップでは、妊婦の血液中に存在する1つまたはそれ以上の特定のmRNA種を定量的に測定する。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードしてもよい。第2ステップでは、第1ステップから得られたmRNA量を、満期分娩する(または満期分娩するであろう)平均的女性の血液中の同一たんぱく質をコードしているmRNA量を表す標準対照と比較する。該mRNAレベルの増加または減少は、早期陣痛であるか、早期陣痛の症状が現れる危険性が高いことを示す。
ある実施例では、該方法の第1ステップはRT−PCRによって行われる。しかし、他方では、この第1ステップはポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法または質量分析法を用いて行われる。ある実施例では、妊婦は妊娠第1期である。しかし、他方では、女性は妊娠第2期または妊娠第3期である。ある実施例では、該方法の第1ステップで用いられる前に、妊婦の血液は無細胞化される。ある実施例では、血漿または血清が該方法の第1ステップで用いられる。ある実施例では、標準対照からのmRNA量の増加は2倍をこえる。他の実施例では、減少は少なくとも50%である。
同様に、本発明は、妊婦の早期陣痛を監視、診断または予測するためのキットに関する。該キットは、妊婦の血液中の1つまたはそれ以上の特定のmRNA種の量を定量的に測定するためのPCRプライマーを備える。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードしてもよい。該キットは、満期分娩する(または満期分娩するであろう)平均的妊婦の同一のタンパク質をコードするmRNA量を表す標準対照も備える。本発明のキットは、PCRプライマーに加えて、あるいはその代わりに、定量的にhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードするmRNA量を定量的に測定するために使用できる1つまたはそれ以上のプローブを備えてもよい。
本発明のさらなる態様は、女性の妊娠を検出する方法に関する。この方法は複数のステップを備え、第1ステップでは、女性の血液中に存在する1つまたはそれ以上の特定のmRNA種を定量的に測定する。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、あるいはPLAC1をコードしてもよい。第2ステップでは、第1ステップから得られたmRNA量を、健康な平均的非妊娠女性の血液中の同一タンパク質をコードしているmRNA量を表す標準対照と比較する。該mRNAレベルの増加は妊娠を示す。
ある実施例では、該方法の第1ステップはRT−PCRによって行われる。しかし、他方では、この第1ステップはポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法または質量分
析法を用いて行われる。ある実施例では、該方法の第1ステップで用いられる前に、女性の血液は無細胞化される。ある実施例では、血漿または血清が該方法の第1ステップで用いられる。ある実施例では、標準対照からのmRNA量の増加は2倍をこえる。他の実施例では、減少は少なくとも50%である。
同様に、本発明は、女性の妊娠を検出するためのキットに関する。該キットは、妊婦の血液中の1つまたはそれ以上の特定のmRNA種の量を定量的に測定するためのPCRプライマーを備える。該mRNAはhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、あるいはPLAC1をコードしてもよい。該キットは、健康な平均的非妊娠女性の同一のタンパク質をコードするmRNA量を表す標準対照も備える。本発明のキットは、PCRプライマーに加えて、あるいはその代わりに、定量的にhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、あるいはPLAC1をコードするmRNA量を定量的に測定するために使用できる1つまたはそれ以上のプローブを備えてもよい。
[0030]
本明細書で用いられる「子癇前症」という用語は、妊娠中に生じる病気を指す。その主な症状は、尿中のタンパク質の存在および浮腫(膨潤)をしばしば伴う、様々な型の高血圧である。子癇前症、は時に妊娠中毒症と呼ばれ、発作を伴う子癇前症であり「子癇」と呼ばれる、より重症の障害と関係がある。これらの症状は出産直後または妊娠20週以前に現れることがあるが、通常、妊娠後半(20週以降)に現れる。
本明細書で用いられる「染色体異常」という用語は、染色体数が通常のハプロイドの染色体数の正確な倍数でない染色体異常の状態を指し、しばしば、染色体が増えたり、1つ欠損していたりする。染色体異常の最も一般的な症例は、追加の染色体が1つ存在するトリソミーである。例えば、18トリソミーは、3つめの第18染色体が細胞中に見出される染色体異常であり、21トリソミー患者の細胞中には3つめの第21染色体が存在する。
異数性とは対照的に、「染色体正常」とは、染色体の数が、ハプロイドに含まれる染色体の数の2倍であるなど、ハプロイドの染色体数の正確な倍数であり、各染色体が同数存在する(性染色体、例えば、2つの異なる性染色体XおよびYが1コピーずつ存在するヒト男性の場合性染色体は除く)状態をあらわす。
本明細書で用いられる「早期陣痛」あるいは「早産の陣痛」という用語は、約40週の十分な妊娠期間の3週間以上前に陣痛が始まり、治療をしなければしばしば早産を引き起こす状態を指す。対照的に、本願で用いられる「満期分娩する(または満期分娩するであろう)」妊婦は、早期陣痛を起こすことなく十分な妊娠期間まで胎児を妊娠している妊婦を指す。
本明細書で用いられる「血液」という用語は、妊婦または妊娠の可能性を検査しようとしている女性からの血液サンプルまたは調製物を指す。該用語は、全血、または、造血性細胞または任意の母体もしくは胎児由来の他のタイプの血小板などの細胞を基本的に含んでいない任意の血液画分を包含する。「血液」は、通常、母体または胎児由来のRNAを
含む可能性のある特定の物質を含まない。「血液」の具体例には血漿および血清が挙げられる。基本的に細胞を含まない血液サンプルは「無細胞の」とも呼ばれ、この場合血小板は通常存在しない。
子癇前症ではない、染色体正常胎児を妊娠している、または早期陣痛の症状が現れない(であろう)妊婦を表す文脈で用いた「平均」という用語は、ある特性、例えば、子癇前症ではない、染色体正常胎児を妊娠している、または早期陣痛の症状が現れない(であろう)任意に選ばれた女性グループを表す、母体血中に含まれる1つまたはそれ以上の特定の胎児タンパク質をコードするmRNAレベルなどを指す。この選択されたグループは、これらの女性の胎児の特定のタンパク質をコードするmRNAの平均レベルが、健康な胎児を妊娠している健康な妊婦の母集団のmRNAレベルを適切な精度で反映するように、十分な人数の女性で構成されなければならない。さらに、上記選択されたグループの女性の妊娠期間は、子癇前症、胎児の染色体異常、あるいは早期陣痛の徴候のために血液を検査する女性の妊娠期間と同様でなければならない。本発明を実施するための好ましい妊娠期間は、検査する障害により変えてもよい。例えば、好ましくは妊娠第2期に、妊婦の子癇前症の危険性を検査する。一方、胎児の染色体異常はできるだけ早くスクリーニングして診断することが好ましい。さらに、検査に好ましい妊娠時期は、検査に用いられるmRNAマーカーによって変えてもよい。例えば、hPL mRNAは3つの妊娠3半期すべてを通じて検出できる。一方、hCRH mRNAは妊娠の経過に伴い漸増的に検出できるようになる。
用語「平均」は、特定のmRNA種の量であって任意に選ばれた健康な非妊娠女性のグループの血液中に含まれる量を表すmRNA量を指すために用いてもよい。
本明細書で用いられるヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモンβサブユニット(hCG―β)、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、ヒト副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(hCRH)、KiSS−1転移抑制遺伝子(KISS1)、組織因子経路インヒビター2(TPFI2)、胎盤特異的遺伝子1(PLAC1)、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は、GenBank受入番号NM_000737.2、NM_022640、NM_000756、U43527、NM_006528、BC022335、およびBC014085などにそれぞれ記述された配列などの遺伝子(そのバリアントと突然変異体を含む)および、そのポリヌクレオチド転写物を指す。文脈によっては、これら用語は、これら遺伝子によってコードされたタンパク質を指してもよい。
本明細書で用いられる「標準対照」は、特定のタンパク質(例えばhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDH)をコードするmRNA量を定量的に測定するための本発明の方法の使用に適しているサンプルを指す。そのようなサンプルは、先に述べたように、子癇前症ではない、染色体正常胎児を妊娠する、または早期陣痛の症状が現れない(であろう)平均的妊婦のmRNAの平均レベルを厳密に反映する、特定のタンパク質をコードするmRNAの既知量を含んでいる。同様に、「標準対照」は、健康な平均的非妊娠女性から得てもよい。
本明細書で用いられる「標準対照に比べてmRNA量が増加あるいは減少」とは、標準対照に比べて量がプラスまたはマイナスに変化することを指す。増加は、好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、最も好ましくは少なくとも10倍である。
同じく、減少は、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。
本明細書で用いられる「ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法」は、適切なハイブリダイゼーション条件下で、既知の配列のポリヌクレオチドプローブとワトソン−クリック型塩基対を形成する能力に基づき、ポリヌクレオチドの存在および/または量を検出する方法を指す。そのようなハイブリダイゼーション法の具体例にはサザンブロッティングおよびノーザンブロッティングが挙げられる。
本明細書で用いられる「PCRプライマー」は、hCG‐β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、またはGAPDHなどの目的のタンパク質をコードするmRNA由来のヌクレオチド配列を増幅するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で使用できるオリゴヌクレオチドを指す。上記で指定したタンパク質をコードするヌクレオチド配列を増幅するためのPCRプライマーのうち少なくとも1つは、タンパク質に対して配列特異的でなければならない。
I. はじめに
[0042]
本発明は、1つまたはそれ以上のさまざまなmRNA種(つまり、女性の血液中にあるhCG‐β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHなどをコードするmRNA種)のレベルを分析することにより、女性の妊娠検出だけでなく妊婦の子癇前症、胎児の染色体異常(18トリソミーと21トリソミーなど)、および早期陣痛を診断、監視、または予測するための方法およびキットを初めて提供する。
本発明によれば、母体血サンプル中のhCG‐β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードするmRNA量を、好ましくは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)などの増幅方法に続いて定量的に測定することができる。その後、上記で指定した1つまたはそれ以上のmRNA種の量を、同様の妊娠期間で妊娠障害のない平均的妊婦について表す同種のmRNAレベルの標準対照と比較する。該mRNAレベルの増加または減少は、障害の存在や、障害が現れる危険性が高いことを示す。それにより、本発明は、非侵襲性で性別や多型性に依存しない子癇前症、胎児の染色体異常、および早期陣痛の診断のための新奇な方法を提供する。
同様の方法を活用し、女性の血液中のhCG‐β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、あるいはPLAC1をコードする該mRNA種の1つまたはそれ以上のレベルを、平均的非妊娠女性から得て設定した対照値と比較することにより、本発明を妊娠検出に用いてもよい。
A. 血液サンプルの採取
[0045]
本発明を実施する第1のステップは、本発明にかかる方法を用いて検査するのに適した妊娠期間の妊婦または、妊娠の可能性を検査しようとしている女性から血液サンプルを得ることである。先に述べたように、検査した障害および用いた該mRNAマーカーによって、適切な妊娠期間に変えてもよい。女性からの採血は、病院あるいは診療所で通常用い
られる標準的なプロトコールに従って行われる。末梢血の適正量(例えば、5〜20ml)を、次の調製に先立って標準操作法に従って集め、貯蔵してもよい。
[0046]
本発明に適切な女性の血液の血清または血漿は、周知の方法で採取することができる。例えば、女性の血液をEDTA入りチューブ、あるいは血液凝固を防ぐVacutainer(登録商標)SST(ベクトン・ディキンソン、フランクリンレイクス、ニュージャージー)などの特殊な商品で採取し、そして血漿を、遠心分離により全血から採取する。一方、血清は血液凝固に続く遠心分離によって得られる。遠心分離は通常、冷却し(例えば、約4〜10℃で)、適切な速度(例えば、1,500〜3,000×g)で行う。RNA抽出用の新しいチューブに移す前に、血漿または血清を再度遠心分離ステップにかけてもよい。
A. mRNAの抽出
[0047]
生体試料からmRNAを抽出する方法が数多くある。同様に、一般的なmRNA調製法は(例えば、サンブルックおよびラッセル、分子クローニング、実験手引書第3版、2001年記述)、以下のTrizol(商品名)試薬(インビトロジェン、カールスバード、カリフォルニア)、Oligotex(商標)ダイレクトmRNAキット(キアゲン、バレンシア、カリフォルニア)、RNeasy(登録商標)ミニ・キット(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)、およびPolyATtract(登録商標)シリーズ9600(商標)(プロメガ、マディソン、ウィスコンシン)など、様々な市販の試薬あるいはキットを、女性の血液サンプルからmRNAを得るために用いてもよい。これら方法を2つ以上組み合わせて用いてもよい。
RNA調製の際、混入DNAをすべて除去することが重要である。したがって、増幅および定量ステップでは、注意深くサンプルを取扱い、DNA分解酵素により完全に処理し、適切な陰性対照を用いるべきである。
[0049]
一旦、mRNAを女性の血液サンプルから抽出すれば、目的のタンパク質をコードするmRNA(例えば、hCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDH)を定量してもよい。該mRNAレベルを測定する好ましい方法は増幅に基づいた方法(例えばPCR)である。
増幅ステップの前に、目的の該mRNAのDNAコピー(cDNA)を合成しなければならない。これは、別々のステップとして逆転写により行われてもよいし、RNAを増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応の変法である、同種の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)として行ってもよい。リボ核酸のPCR増幅に適している方法は、ロメオとロトバルト、診断分子生物学:原理と応用、pp.401−406;パーシンガーら編集、メイヨー基金、ロチェスター、ミネソタ、1993年;エッガーら、臨床微生物学33:1442−1447、1995年および米国特許第5,075,212号に記載されている。
PCRの一般法は当技術分野で周知であるため、ここでは詳細に説明しない。PCR法の評価、実験計画、およびプライマー設計における原則について、例えば、イニスら、PCR実験計画:方法および応用の手引、アカデミックプレス、ニューヨーク、1990年を参照すること。同様に、PCR試薬および実験計画は、ロッシュ・モレキュラー・システムズなどの商用ベンダーから入手可能である。
通常PCRは、熱安定酵素により自動プロセスとしてよく行われる。このプロセスでは、変性領域、プライマーアニーリング領域、および伸張反応領域を通じて、反応液の温度が自動的に繰り返される。この目的に特に適した機械は市販で入手可能である。
本発明を実施するのに目的mRNAのPCR増幅が通常用いられる。しかしながら、任意の既知の方法で母体血サンプル中のこれらmRNA種を、リガーゼ連鎖反応(LCR)、TMA(Transcription Mediated Amplification)法、および3SR(self−sustained sequence replication)法もしくはNASBA(nucleic acid sequence−based amplification)法など、各々十分に増幅する既知の任意の方法で増幅してもよいと当業者は認識するであろう。さらに最近高度に発展した分岐鎖DNA法を母体血中のmRNAマーカー量の定量に用いてもよい。臨床サンプル中の核酸配列を直接計量するための分岐鎖DNAシグナル増幅法の評価については、ノルテ、応用臨床化学33:201−235、1998年を参照のこと。
[0054]
当業者に周知のように、他の標準的技法でも目的の該mRNAを検出できる。増幅ステップは通常、検出ステップより先に行うが、増幅は本発明の該方法に必須ではない。例えば、増幅ステップにより始められたか否かにかかわらず、該mRNAをサイズ分画(例えば、ゲル電気泳動法)により同定しもよい。周知技術(上述のサンブルックおよびラッセルの文献)に従い、アガロースまたはポリアクリルアミドゲルにサンプルを流し、臭化エチジウムでラベルした後に標準対照と同じ大きさのバンドがあれば、目的mRNAが存在することを示しており、目的mRNA量をバンドの強度に基づいて対照と比較してもよい。あるいは、プローブのシグナル強度に基づき、hCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、またはGAPDHなどをコードするmRNAに特異的なオリゴヌクレオチド・プローブを、同様のmRNA種の存在を検出するためおよび、標準対照と比較してmRNAを定量するために使用できる。
配列特異的プローブハイブリダイゼーションは、他種の核酸を含んでなる特定の核酸を検出する周知の方法である。十分に厳格な(ストリンジェントな)ハイブリダイゼーション条件下では、プローブは、実質的に相補的な配列にのみ限定的にハイブリダイズする。配列ミスマッチ量を変えるため、ハイブリダイゼーション条件を緩和してもよい。
当技術分野において周知の多くのハイブリダイゼーション・フォーマットは、液相、固相、あるいは混合相ハイブリダイゼーション分析を含み、これらに限定されない。以下の文献は、様々なハイブリダイゼーション分析フォーマットの概観を提供する(シンガーら、生物技術4:230、1986年;ハーゼら、ウイルス学の方法論、pp.189−226、1984年;ウィルキンソン、in situハイブリダイゼーション、ウィルキンソン編集、IRL出版、オックスフォード大学出版、オクスフォード;およびハメスと
ヒギンズ編集、核酸ハイブリダイゼーション:実践的な研究方法、IRL出版、1987年)。
ハイブリダイゼーション複合体は周知の技術によって検出される。また、該検出は本発明の重大な態様ではない。ハイブリダイズされた核酸の存在を検出するために通常用いられるいくつかの方法のうちのいずれかにより、目的核酸に限定的にハイブリダイズすることができる核酸プローブ(つまり、該目的核酸のmRNAあるいは増幅されたDNA)をラベル化することができる。通常の検出方法の1つは、3H、125I、35S、14C、あるいは32Pでラベル化したプローブ等を用いて、オートラジオグラフィーを使用する方法である。選択したアイソトープの合成し易さ、安定性および半減期を考慮した研究優先度により、放射性同位体を選択する。他のラベルは、合成物(例えば、ビオチンおよびジゴキシゲニン)を含んでおり、その合成物は、蛍光体、化学発光剤、および酵素でラベル化したアンチリガンド(antiligand)あるいは抗体に結合する。また、プローブを蛍光体、化学発光剤あるいは酵素などのラベルと直接結合することができる。要求感度、プローブとの結合のし易さ、安定性要件、および入手可能な機器により、ラベルを選択する。
本発明の実施に必要なプローブおよびプライマーは、周知の技術を用いて合成およびラベル化することができる。プローブおよびプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、ニーダム−バンデバンターら、核酸研究12:6159−6168、1984年に記載された自動シンセサイザーを用い、ビューケージとカルタース、四面体レター、22:1859−1862、1981年で初めて記載された固相ホスホアミダイトトリエステル法によって化学的に合成してもよい。従来のアクリルアミドゲル電気泳動またはピアソンとレニエ、染色体ジャーナル、255:137−149、1983年に記載された陰イオン交換HPLCによりオリゴヌクレオチドを精製する。
[0059]
標準対照を設定するために、健康な胎児を妊娠している健康な妊婦のグループを最初に選ばなければならない。これら女性は妊娠期間が同じで、その妊娠期間は本発明の方法を用いる子癇前症、胎児の染色体異常、および早期陣痛などの病気の検査に適していなければならない。同様に、標準対照は健康な非妊娠女性のグループのサンプルを用いて設定される。
選ばれた妊婦、および妊婦が妊娠している胎児の健康状態は、日常使用され、よく確立した方法によって確認するべきである。その方法は、女性の血圧の監視、分娩開始の記録、およびCVSもしくは羊水穿刺による胎児の遺伝子分析を含み、これらに限定されない。
さらに、健康な胎児を妊娠している健康な妊婦あるいは健康な非妊娠女性の選択されたグループは、グループから計算されたhCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードするmRNAの平均値が、健康な胎児を妊娠している健康な女性、または健康な非妊娠女性の母集団の間の正常値または平均値の典型であると合理的に見なせるように、適切な体格でなければならない。望ましくは、選択されるグループは少なくとも10人の女性を含む。
選ばれたグループの各女性の個々の値に基づき、任意の1つのタンパク質をコードするmRNA量の平均値が設定されれば、この値を該mRNA種の標準とみなす。したがって、同種同量のmRNAを含むどの血液サンプルも標準対照として使用できる。同種mRNAについて設定された平均濃度により、hCG―β、hCRH、hPL、KISS1、TPFI2、PLAC1、あるいはGAPDHをコードするmRNAを含む溶液を人為的に作成し、標準対照として使用できる。
以下の実施例は、限定されるものではなく、単に例示として提供される。当業者は、本質的に同様の結果を得るために変更または修正し得る様々な重要ではないパラメーターを容易に認識するものと思われる。
A. 方法
(被験者)
[0064]
末梢血サンプルは、香港英国皇太子病院(Prince of Wales Hospital)産婦人科に通う妊婦から、告知に基づく同意および研究倫理委員会の承認を得て集めた。
この研究の第1部では、血液サンプルは妊娠第3期の10人の健康な妊婦から得られた。同プロジェクトの第2部では、合併症を伴わない4人の妊婦を選択的帝王切開術直前に募集した。末梢血サンプルは、分娩直前、および出産2時間後にこれら被験者から得た。研究の第3部では、2つの患者群:(a)12人の子癇前症の女性および(b)10人の対照妊婦を調査した。子癇前症および対照群の妊娠期間の中央値は、それぞれ37週および38週であった。子癇前症は、持続性拡張期血圧上昇が、1回目が>110mmHgまたは、少なくとも4時間間隔で2回目以降が>90mmHgで、高血圧症の履歴のない女性が著しいタンパク尿を呈することを基準にして定義した。タンパク尿が>0.3g/日、または少なくとも4時間ごとに集めた2つの無菌採取した中間尿標本について尿検査(ディップスティック)を行い、≧2+であれば著しいタンパク尿と定義した。対照群は、先在内科疾患または産前合併症のない妊婦を含む。
[0066]
血液サンプルは、以前報告した実験計画(ンら、臨床化学48:1212−1217、2002年)によって処理した。手短に言えば、血液サンプル10mLをEDTA入りチューブに集め、4℃、1600×gで10分間遠心分離した。その後、血漿を普通のポリプロピレン・チューブへ慎重に移した。血液サンプル10mLをEDTA入りチューブに集め、4℃、16000×gで10分間遠心分離し、上澄みを新しいポリプロピレン・チューブへ集めた。
[0067]
上述のンらの文献に記載されたように、血漿1.6mLを、Trizol(商品名)LS試薬(インビトロジェン、カールスバード、カリフォルニア)2mLおよびクロロホルム0.4mLと混合した。その混合物を4℃、11,900×gで15分間遠心分離し、水層を新しいチューブに移した。1容量の70%エタノールを1容量の水層に加えた。そ
の後、その混合物をRNeasyミニ・カラム(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)にかけ、メーカーの推奨に従って処理した。RNA分解酵素を含まない水30μLで全RNAを溶離し、−80℃で貯蔵した。混入DNAをすべて除去するため、DNA分解酵素処理(RNA分解酵素を含まないDNA分解酵素セット、キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を行った。
[0068]
上述のンらの文献による実験計画に従い、ワンステップ・リアルタイム定量RT−PCRを全mRNAの定量に用いた。CRHプライマー配列は5’−GCCTCCCATCTCCCTGGAT−3’(フォワード)(配列番号1)および5’−TGTGAGCTTGCTGTGCTAACTG−3’(リバース)(配列番号2)であった。また、二重ラベル化した蛍光プローブは5’−(FAM)TCCTCCGGGAAGTCTTGGAAATGGC(TAMRA)−3’(配列番号3)であった。89bp CRHアンプリコン(ジェンバンク受入番号NM_000756)を特定する高速液体クロマトグラフィーで精製された単鎖合成DNAオリゴヌクレオチド(ジェンセット・オリゴ、シンガポール)の連続希釈により、1×107コピーから1×101コピーまでの濃度範囲でCRH mRNA定量用較正曲線を作成した。CRH mRNAの絶対濃度をコピー/mL(血漿)と表す。CRHの較正のための合成DNAオリゴヌクレオチドの配列は5’−GGAGCCTCCCATCTCCCTGGATCTCACCTTCCACCTCCTCCGGGAAGTCTTGGAAATGGCCAGGGCCGAGCAGTTAGCACAGCAAGCTCACAGCA−3’(配列番号4)であった。先に述べたようにしてGAPDH定量用較正曲線を作成し、結果をpg/ml(血漿)と表した(ンら、上記)。
メーカーの説明書(EZ rTth RNA PCR試薬セット、アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア)に従い、RT−PCR反応を反応量25μLに設定した。蛍光プローブ(ジェンセット・オリゴ)は100nMの濃度で用いた。PCRプライマー(ジェンセット・オリゴ)は濃度200nMでCRH系およびGAPDH系の両方に用いた。抽出した血漿RNA5μLを増幅に用いた。各サンプルを二連で分析し、対応する較正曲線を各分析と平行して作成した。さらに、rTthポリメラーゼの代わりにAmpliTaq Gold(登録商標)酵素(アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア)を用いることにより、サンプルがDNAに対して陰性であることを確認するテストを実施した。この対照分析では増幅は認められず、それぞれのmRNA分析の特異性を示した。すべての分析に複数の陰性の水ブランクも含めた。
CRHおよびGAPDH分析に用いた温度特性は以下のとおりである、ウラシルN−グリコシラーゼが作用するように、50℃で2分間反応が始まり、その後60℃で30分間逆転写が続く。95℃で5分間変性した後、94℃で20秒間変性しCRHとGAPDH系用にそれぞれ58℃と62℃で1分間アニーリング/伸張を行うPCRを40サイクル行った。
[0071]
統計分析はシグマ・スタット2.03ソフトウェア(SPSS)を用いて行った。
(リアルタイム定量RT−PCRの設定)
[0072]
CRH RT−PCR分析の定量性能を測定するために、我々は、CRH配列に基づいた合成DNAオリゴヌクレオチドの連続希釈キャリブレータを増幅するためにこの系を用いた。先のデータにより、同様の単鎖オリゴヌクレオチドが逆転写ステップの生産物を確実に模倣し、T7転写RNAを用いて得られたものと同一の較正曲線を作成することが示されている(バスティン、分子内分泌学ジャーナル25:169−193、2000年)。CRH増幅系の較正曲線は2.5×101から1×106コピーまでのダイナミックレンジを示し、相関係数は0.983であった。これら分析の増幅ステップの感度はCRHのターゲットの25コピーを検出するのに十分であった。RNA抽出、逆転写および増幅ステップに関するすべての分析操作法の精度を測定するため、我々は健康な妊婦(妊娠期間:38週)の血漿サンプルから10回分のRNAを抽出し、抽出されたRNAサンプルをRT−PCR分析にかけた。CRH mRNAに対するこれら複製分析のCt値の変動係数は、2.8%であった。リアルタイム定量GAPDH RT−PCR分析の開発および性能は、ンらの上記文献にすでに記載されている。
[0073]
CRH mRNA転写物が母体血漿中で検出できたか検査するため、妊娠第3期(妊娠期間37〜41週間)の10人の妊婦の血漿サンプルをCRH RT−PCR分析により分析した。検査したサンプルすべてCRH mRNAが検出され、血漿CRH mRNAの濃度の中央値は73コピー/mL(四分位範囲:51〜177)であった。陽性対照として、GAPDH mRNAがこれらすべての血漿サンプルから検出された。
[0074]
母体血漿CRH mRNAが胎子胎盤系に由来することを実証するために、我々は、4人の女性の出産前および出産2時間後の血漿をCRH mRNA用に分析した。それにより、CRH mRNAが4つすべての分娩前の母体血漿サンプルから検出された。対照的に、CRH mRNAは出産後のサンプルのいずれからも検出されなかった。GAPDH
mRNAはすべての血漿サンプル中で検出でき、それによりサンプルの品質を実証している。該データは図1のAおよびBで示される。
[0075]
子癇前症と対照妊婦の母体血漿中のCRH mRNA濃度を比較するため、妊娠期間が一致した12人の子癇前症の女性および10人の対照妊婦から血漿サンプルを得た。図2は、子癇前症の女性および対照妊婦の血漿中のCRH mRNA濃度の中央値がそれぞれ1070コピー/mL(四分位範囲、535〜1468)および102コピー/mL(四分位範囲、51〜158)であったことを示す。血漿CRH mRNA濃度の中央値は子癇前症のほうが対照妊婦より10.5倍高かった(マン−ホイットニー検定、P<0.001)。
[0076]
血漿CRH mRNAは、子癇前症の新しい分子マーカーである。母体血漿胎児DNA分析と比較して、血漿RNA分析は性別や多型性に依存していないという利点がある。血漿RNA分析により、究極的に、まだ生まれない胎児の非侵襲性遺伝子形質発現プロファイリングが可能になるものと思われる。
A. 方法
(被験者)
[0077]
血液サンプル15mlは、香港英国皇太子病院(Prince of Wales Hospital)産婦人科に通い、告知に基づく同意および研究倫理委員会の承認を得ている、合併症のない単生児妊娠をしている健康な女性から集めた。
[0078]
血液サンプルをEDTA入りおよび普通のチューブに集め、4℃、1600×gで10分間遠心分離した。その後、血漿および血清を普通のポリプロピレン・チューブへ慎重に移した。血清サンプルはhPLおよびhCG―β・タンパク質用免疫測定のために−20℃で貯蔵した。血漿サンプル10mLをEDTA入りチューブに集め、4℃、16000×gで10分間遠心分離し、上澄みを新しいポリプロピレン・チューブへ集めた。胎盤組織サンプルはすべて、RNAlater(登録商標)安定化溶液(アンビオン、オースティン、テキサス)中に直ちに貯蔵し、RNA抽出まで−80℃で保存した。濾過実験用に、血漿サンプルを3部に分割した:2つは0.45μmまたは5μmのいずれかの細孔径のフィルタ(Millex−GV;ミリポア中国リミテッド、香港)に別々に通過させた。3つめの分割物は濾過しなかった。
[0079]
血漿サンプルのために、上述のンらの実験計画に従い、血漿1.6mLを、Trizol(商品名)LS試薬(インビトロジェン、カールスバード、カリフォルニア)2mLおよびクロロホルム0.4mLと混合した。胎盤組織については、Trizol(商品名)試薬(インビトロジェン)でサンプルを均質化し、その後メーカーの推奨に従ってクロロホルムを加えた。その混合物を4℃、11,900×gで15分間遠心分離し、水層を新しいチューブに移した。1容量の70%エタノールを1容量の水層に加えた。その後、その混合物をRNeasyミニ・カラム(RNeasyミニ・キット、キアゲン、ヒルデン、ドイツ)にかけ、メーカーの推奨に従って処理した。RNA分解酵素を含まない水30μLで全RNAを溶離し、−80℃で貯蔵した。混入DNAをすべて除去するため、DNA分解酵素処理を行った(RNA分解酵素を含まないDNA分解酵素セット、キアゲン、ヒルデン、ドイツ)。
[0080]
上述のンらの文献に記載されたように、ワンステップ・リアルタイム定量RT−PCRを全mRNAの定量に用いた。hPL、hCG‐βおよびGAPDH RT−PCR分析用プライマーはイントロンにわたるものとした。hPLプライマー配列は5’−CATGACTCCCAGACCTCCTTC−3’(センス)(配列番号5)および5’−TGCGGAGCAGCTCTAGATTG−3’(アンチセンス)(配列番号6)であった
。また、二重ラベル化した蛍光プローブは5’−(FAM)TTCTGTTGCGTTTCCTCCATGTTGG(TAMRA)−3’(配列番号7)であった。hCG‐β・プライマー配列は5’−CTACTGCCCCACCATGACCC−3’(センス)(配列番号9)および5’−TGGACTCGAAGCGCACATC−3’(アンチセンス)(配列番号10)であった。また、二重ラベル化した蛍光プローブは5’−(FAM)CCTGCCTCAGGTGGTGTGCAACTAC(TAMRA)−3’(配列番号11)であった。hPLおよびhCG‐βアンプリコンを特定する高速液体クロマトグラフィーで精製された単鎖合成DNAオリゴヌクレオチド(ジェンセット・オリゴ、シンガポール)の連続希釈法により、1×107コピーから1×101コピーまでの濃度範囲でhPLおよびhCG‐β定量用較正曲線を作成した。これら分析は、それぞれ100コピーのキャリブレータ・ターゲットを検出することができた。hPLおよびhCG‐βRNAの絶対濃度をコピー/ml(血漿)と表した。上記データは、同様の単鎖オリゴヌクレオチドが逆転写ステップの生産物を確実に模倣し、T7転写RNAを用いて得られたもの(バスティン、スープラ)と同一の較正曲線を作成することを示した。hPLおよびhCG‐β較正のための合成DNAオリゴヌクレオチドの配列は、それぞれ5’−TGCGGAGCAGCTCTAGATTGGATTTCTGTTGCGTTTCCTCCATGTTGGAGGGTGTCGGAATAGAGTCTGAGAAGCAGAAGGAGGTCTGGGAGTCATGC−3’(配列番号8)および5’−GATGGACTCGAAGCGCACATCGCGGTAGTTGCACACCACCTGAGGCAGGGCCGGCAGGACCCCCTGCAGCACGCGGGTCATGGTGGGGCAGTAGCC−3’(配列番号12)であった。先に上述のンらの文献に記載されたように、GAPDH定量用較正曲線を作成し、結果をpg/ml(血漿)と表した。
メーカーの説明書(EZ rTth RNA PCR試薬セット、アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア)に従い、RT−PCR反応の反応量を50μLに設定した。蛍光プローブ(ジェンセット・オリゴ)は100nMの濃度で用いた。PCRプライマー(ジェンセット・オリゴ)はhPL用に300nMおよびhCG‐βとGAPDH用に200nMの濃度で用いた。抽出された血漿RNA5μlおよび抽出された全胎盤RNA0.1ngを増幅に用いた。各サンプルを二連で分析した。また、各分析と平行して対応する較正曲線を作成した。さらに、それらがDNAに対して陰性であることを確認するため、rTthポリメラーゼの代わりにAmpliTaq Gold(登録商標)酵素(アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア)を用いることにより、サンプルをテストした。この対照分析では増幅は認められず、各mRNA分析の特異性を示した。すべての分析に複数の陰性の水ブランクも含めた。
hPL、hCG‐βおよびGAPDH分析に用いた温度特性は以下のとおりである、ウラシルN−グリコシラーゼが作用するように、50℃で2分間反応が始まり、その後60℃で30分間逆転写が続く。95℃で5分間変性した後、94℃で20秒間変性し、hPL、hCG―βおよびGAPDH用にそれぞれ56℃、58℃および60℃で1分間アニーリング/伸張を行うPCRを40サイクル行った。
反復してRNAを抽出しRT−PCR分析することにより、hPLおよびhCG―β mRNAに対する分析システムのCt値の変動係数がそれぞれ2.3%および3.2%であることが示された。
[0084]
放射免疫定量法(ダイアグノスティック・プロダクツ、ロサンジェルス、カリフォルニア)および電気化学発光免疫測定法(ロッシュ・モジュールE170)により母体血清のhPLおよびhCGタンパク質濃度をそれぞれ測定した。
(母体血中の胎盤mRNAの検出率および安定性)
[0085]
我々は、10人の妊婦(妊娠期間7〜14週間)から末梢血サンプルを得た。各被験者の血液サンプルの半分について、研究室到着と同時に直ちに血漿採取およびRNA抽出を行った(瀉血後1時間以内)。hPLおよびhCG―β mRNA転写物が母体血漿中で
検出可能か調べるために、我々はそれぞれリアルタイムRT−PCR分析で、抽出されたRNAを分析した。我々は、10個すべての血漿サンプルのhPLおよびhCG―β mRNAシグナルを観察した。これら結果は、胎盤のmRNAが妊婦の血漿中で実際に検出できることを実証した。陽性対照として、GAPDH mRNAもこれらすべての血清サンプルから検出された。
母体血中の胎盤mRNAの安定性を調査するため、これら各母体血サンプルの残りのアリコートを室温で24時間放置した。その後、我々はこれらサンプルからRNAを抽出し、hPL、hCG―β、およびGAPDH転写物のレベルを測定した。hPLおよびhCG―β mRNA転写物のレベルにおいて有意差は観察されなかったが、一方、24時間室温で放置されていたサンプルは、すぐに処理したものよりもGAPDH mRNAが著しく高かった(ウィルコクソン検定:P=0.770(hPL調査用);P=0.275(hCG―β調査用);P<0.05(GAPDH調査用))。これら結果は、血漿中のhPLおよびhCG―β mRNAが室温で24時間以内では安定していたことを示す。
[0087]
我々は妊娠段階の異なる39人の妊婦から血漿サンプルを得た。妊娠第3期に検査した100%(39/39)のすべての血漿においてhPL mRNAを検出した。hCG―β mRNAについて、妊娠第1期(妊娠期間:7週から14週)のサンプルの検出率は100%(14/14)、妊娠第2期(妊娠期間:15週から23週)のサンプルの検出率は42%(5/12)、および妊娠第3期(妊娠期間:35週から41週)のサンプルの検出率は7.7%(1/ 13)であった。妊娠第1期の血漿サンプル、では、hPLおよびhCG―β mRNAレベルの中央値は、それぞれ2671(四分位範囲:375〜6217)および1205コピー/ml(四分位範囲:566〜1927)であった(図3Aおよび3B)。妊娠第2期の血漿hPLおよびhCG―β mRNAレベルの中央値は、それぞれ4784(四分位範囲:2679〜10139)および0コピー/mL(四分位範囲:0から125)であった。妊娠第3期の血漿サンプルでは、血漿hPLおよびhCG―β mRNAレベルの中央値は、それぞれ13869(四分位範囲:7829〜27434)および0コピー/mL(四分位範囲:0から0)であった。全般的に、血中hPLおよびhCG−β mRNAレベルは、それぞれ妊娠期間とともに増加および減少傾向を示す。対応するhPLおよびhCG―βタンパク質レベルも測定した(図3Aおよび3B)。血中hPLおよびhCG―β mRNAの妊娠期間全体における変化は、対応するタンパク質が示した傾向との類似点を示す(ピアソン相関分析、r=0.622;P<0.001(hPL用)、およびr=0.784;P<0.001(hCG―β用)、図3Cおよび3D)。
[0088]
我々は次に、分娩により母体血漿から胎盤mRNAのクリアランスが生じるか調べた。妊娠第3期(調査された被験者の妊娠期間:38〜42週)の母体血漿中hPL mRNAが比較的豊富であるため、我々はターゲットとしてhPL mRNAを選んだ。8つの分娩前血漿サンプルでは、hPL mRNA転写物レベルの中央値は50004コピー/mlであった。hPL mRNAは分娩24時間後の分娩後のサンプルのいずれにおいても検出されなかった(図4A)。対照として、GAPDH mRNAが出産前および出産後の血漿サンプルすべてにおいて検出された(図4B)。母体血漿GAPDH mRNAレベルの系統的な変化は観察されなかった(ウィルコクソン検定、P=0.313)。我々は次に、さらに短い分娩後の時点(2時間)を調べた場合、血中hPL mRNAのクリアランスを観察できるか調べた。この2番目の調査のために募集された13人の被験者
では、分娩前のhPL mRNAレベルの中央値は24499コピー/mlであった(図4C)。13人の女性のうち9人は、分娩2時間後で検出可能な血漿胎盤RNAがなかった。残りの被験者は、分娩後2時間以内に母体血漿中胎児RNAの約66−97%が消失した。我々はすべての血漿サンプル中でGAPDH mRNAを検出し、それによりサンプルの品質を実証した(図4D)。母体血漿GAPDH mRNAレベルの系統的な変化は観察されなかった(ウィルコクソン検定、P=1.000)。
[0089]
英国皇太子病院で産婦人科に通う妊婦を、告知に基づく同意を得て募集した。実施例1で示すような基準を用いて子癇前症を診断した。
[0090]
実施例1に示すように、母体血サンプルをヘパリン処理したチューブに集め、処理した。実施例1に示すように、血漿RNAを抽出し、GAPDH mRNAレベルを定量した。B.結果
[0091]
対照群と比較した場合、子癇前症グループで母体血漿GAPDH mRNA濃度の増加が観察された。対照および子癇前症の被験者の母体血漿GAPDH mRNA濃度の中央値は、それぞれ70pg/mlおよび281pg/mlであった。違いは統計的に有意である(マン−ホイットニー検定、p<0.005)(図5)。
[0092]
血漿CRH mRNAは、新しい非侵襲性の子癇前症マーカーである。
A.方法
[0093]
2003年1月から8月に調査した141人の妊婦から集めた妊娠第1期の血清サンプルのβhCG mRNA濃度を、リアルタイム定量RT−PCRにより測定した。調査した被験者全員について、胎児の染色体分析のために絨毛生検(CVS)を実施した。母体血サンプルはすべてCVS直前に採取した。血液サンプルを普通のチューブに集め、4℃、1600×gで10分間遠心分離した。その後、血清を普通のポリプロピレン・チューブに移した。直ちに血清3.2mLを4mLのTrizol中に貯蔵し、RNA抽出まで−80℃で保存した。先に記述されたように(ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年)、遺伝子組換RNeasy RNAミニ・キット(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を用いて血清RNAを1.6mLの血清から抽出した。RNA分解酵素を含まない水30μLで全RNAを溶離し、−80℃で貯蔵した。混入DNAをすべて除去するため、DNA分解酵素処理を行った(RNA分解酵素を含まないDNA分解酵素セット、キアゲン、ヒルデン、ドイツ)。
ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年に記載されるように、ワンステップ・リアルタイム定量RT−PCRをβhCG mRNAの定量に用いた。RT−PCR反応は反応量25μLに設定した。プライマーと蛍光プローブは、それぞれ300nMおよび100nMの濃度で用いた。抽出した血清RNA6μLを増幅に用いた。分析に用いた温度特性は以下のとおりである:ウラシルN−グリコシラーゼが作用するように50℃で2分間反応を開始し、その後60℃で30分間逆転写を行った。
95℃で5分間変性した後、94℃で20秒間変性し、57℃で1分間アニーリング/伸張を行うPCRを40サイクル行った。分析の精度、直線性、および精度は、ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年で設定された。合成オリゴヌクレオチドが100コピー程度反応液中で検出できた。血清hCGβ mRNAの濃度をコピー/mL(血清)と表した。回収実験を行わなかったので、報告された濃度(コピー/mL)は最小推定値であった。
募集した149人の妊婦中、15人の女性が、21トリソミーの胎児を妊娠し、11人が18トリソミーの胎児を妊娠していた。残る123人は正倍数性の胎児を妊娠しており、対照となった。対照の妊娠期間中央値は12.5週(範囲:11.2〜14.3週)であった。21トリソミーおよび18トリソミーの妊娠期間中央値は、それぞれ12.5週(範囲:12.1〜14.2週)および12.3週(範囲:11.4〜14.1週)であった。妊娠期間の有意差は、3つの同齢集団中で観察されなかった(クラスカル−ヴァリス、P=0.706)。
[0096]
調査する149人の母体血清サンプルについてhCGβ mRNAを定量した。149人のうち140人の妊婦(94%)の母体血清中hCGβ mRNAを検出することができた。対照の同齢集団では、hCGβ mRNAの検出率は96.7%(123人中119人)であった。21トリソミーおよび18トリソミー同齢集団に関しては、検出率はそれぞれ93.3%(15人中14人)および63.6%(11人中7人)であった。3つの同齢集団の血清hCGβ mRNA濃度の中央値は、対照同齢集団が6108コピー/mL(四分位範囲:2867〜19249コピー/mL)、21トリソミー同齢集団が13165コピー/mL(四分位範囲:4403〜25265コピー/mL)、および18トリソミー同齢集団が652コピー/mL(四分位範囲:0〜11662コピー/mL)であった(図6)。3つの同齢集団の間のhCGβ mRNA濃度の中央値の差は、統計的に有意である(クラスカル−ヴァリス、P=0.024)。多重対比較を行い、18トリソミーと対照例の間(ダン検定、P<0.05)および18トリソミーと21トリソミー(ダン検定、P<0.05)の間で有意差が観察されることを示した。標本数が制限されているので、21トリソミーおよび対照例(ダン検定、P<0.05)の血清hCGβ
mRNA濃度の間で統計的有意差は観察されなかった。しかしながら、標本数がもっと多ければ、統計的有意性の違いを確立するだろう。
[0097]
本研究は、血中hCGβmRNAが妊娠第1期の妊婦の血清中で容易かつ確実に94%の検出率で検出できることを確認した。これらデータは、18トリソミー妊娠の血清hCG βmRNA濃度の中央値が対照妊娠の濃度の中央値の約10%であり、統計的有意差が観察されたことを証明する。一方、これらデータは、21トリソミー妊娠の血清hCGβ mRNA濃度の中央値が対照妊娠の濃度の中央値の2.2の倍だったが、統計的有意差は標本数の制限により観察されなかった。そのような統計的有意差はより大規模の研究に期待される。これらデータは、18トリソミー妊娠の妊娠第1期血清中の血中hCGβ
mRNA濃度は著しく減少するが、21トリソミー妊娠の血中hCGβ mRNA濃度は上昇することを初めて証明する。
これらデータは、異数体(例えば、18トリソミー、21トリソミー妊娠)予測用マーカーとしての血中hCGβ mRNAが診断に役立つことを示す。hCGβ mRNA濃
度は18トリソミーと対照症例との間で重なることがこの研究で観察された。これは、18トリソミー妊娠の唯一の予測因子として母体血清hCGβmRNAを測定する場合、感度および特異性が比較的低い可能性があることを示唆する。診断感度および特異性を高めるため、マーカー(hPL、hCRH、KiSS−1、TPFI2、およびPLAC1など)を追加してhCGβと併用することができる。
A.方法
[0099]
研究は2段階で行った。最初に、オリゴヌクレオチド・マイクロアレイを用いて、妊娠第1期および妊娠第3期両方の胎盤組織遺伝子の発現プロファイルを系統的に同定した。この後、同定した6つの母体血漿中胎盤発現遺伝子を検出するため、リアルタイム定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(QRT−PCR)に基づいて多くの分析を行った。調査したRNA転写物について、母体血漿中における検出率および血漿と胎盤組織とのRNA転写物レベルの相関両方を評価した。この研究で用いる胎盤と血液サンプルはすべて、香港英国皇太子病院の産婦人科に通う、合併症を伴わない健康な女性から告知に基づく同意を得て集めた。
[0100]
妊娠第1期(妊娠期間:9〜12週)および妊娠第3期(妊娠期間:38〜40週)の各々5つの胎盤組織サンプルを、それぞれ中絶前または選択的帝王切開分娩直後の絨毛生検(CVS)によって妊婦から得た。胎盤組織サンプルはすべて、RNAlater(商標)(アンビオン(登録商標)、オースティン、テキサス)中に直ちに貯蔵し、RNA抽出まで−80℃で保存した。末梢血6mLを組織収集と同時に集め、PAXgene(商標)血液RNAチューブ(プレアナリティクス、ホンブレチコン、スイス)中に貯蔵した。
胎盤組織の全RNAをTrizol試薬(インビトロジェン、カールスバード、カリフォルニア)と共に抽出し、RNeasyミニ・キット(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)のメーカーの実験計画書に従い精製した。末梢血の全RNAは、メーカーの説明書に従って、PAXgene(商標)血液RNAキット(プレアナリティクス、ホンブレチコン、スイス)により同梱されたDNA分解酵素処理剤(RNA分解酵素なしのDNA分解酵素セット、キアゲン、ヒルデン、ドイツ)と共に抽出した。
各サンプルについては、抽出したRNA10マイクログラムをラベルし、メーカーの説明書に従って、GeneChip(登録商標)ヒトゲノムU133A配列(ヒトゲノムU133A配列)(アフィメトリックス、サンタクララ、カリフォルニア)とハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、各配列は、GeneChip(登録商標)フルイディクス・ステーション400(アフィメトリックス、サンタクララ、カリフォルニア)中で洗浄および染色した。チップを遺伝子配列スキャナ(アフィメトリックス、サンタクララ、カリフォルニア)で走査し、GeneChip(登録商標)マイクロアレイ・パッケージプログラム5.0(アフィメトリックス)で解析した。
[0103]
妊娠第1期および妊娠第3期の妊婦それぞれ10人から胎盤および母体全血サンプルを対にして集めた。分娩前後の10人の妊婦の末梢血サンプルも募集した。胎盤組織を上述
のように処理した。血液サンプル12mLをEDTAチューブに集め、4℃で10分間、1600×gで遠心分離した。その後、血漿を普通のポリプロピレン・チューブへ慎重に移した。血漿サンプルを4℃、1600×gで10分間再度遠心分離した。新たなポリプロピレン・チューブで上澄みを集めた。ンら、臨床化学48:1212−1217、2002年で先に述べられたように、母体血漿からRNAを抽出した。汚染DNAをすべて除去するため、DNA分解酵素処理(RNA分解酵素を含まないDNA分解酵素セット、キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を行った。
本研究は、胎盤マイクロアレイの遺伝子発現プロファイルから同定された、ヒト胎盤性ラクトーゲン(hPL)、ヒト絨毛膜性生殖腺刺激ホルモンβサブユニット(βhCG)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、組織因子経路インヒビター2(TFPI2)、KiSS−1転移抑制遺伝子(KISS1)および胎盤特異的遺伝子1(PLAC1)を含む6つの胎盤発現mRNA転写物の評価に注目した。2つの胎盤非特異的転写物、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびβヘモグロビン(βグロビン)mRNAの定量分析を対照として行った。
GAPDH、hPL、hCGβ、およびCRH mRNA検出のためのQRT−PCR分析は先に記載されている(ンら、臨床化学48:1212−1217、2002年;ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年;およびンら、臨床化学49:727−731、2003年)。TFPI2分析用プライマー配列は5’−ACAAATTTCTACACCTGGGAGGC−3’(センス)(配列番号13)および5’−CGGCAAACTTTGGGAACTTTT−3’(アンチセンス)(配列番号14)であった。また、2重ラベル化蛍光プローブは5’−(FAM)TGCGACGATGCTTGCTGGAGGA(TAMRA)−3’(配列番号15)であった。FAMとTAMRAはそれぞれ6−カルボキシフルオレセインおよび6−カルボキシテトラメチルローダミンである。KISS1定量用プライマー配列は5’−GCCCAGGCCAGGACTGA−3’(センス)(配列番号17)および5’−GCCAAGAAACCAGTGAGTTCATC−3’(アンチセンス)(配列番号18)であった。また、2重ラベル化蛍光プローブは5’−(FAM)CCTCAAGGCACTTCTAGGACCTGGCTCTTC(TAMRA)−3’(配列番号19)であった。PLAC1分析プライマー配列は5’−ATTATCCCCAGCTGCCAGAA−3’(センス)(配列番号21)および5’−GCAGCCAATCAGATAATGAACCA−3’(アンチセンス)(配列番号22)であった。また、2重ラベル化蛍光プローブは5’−(FAM)AAGAAATCCTCACTGGACGGCTTCCTG(TAMRA)−3’(配列番号23)であった。β‐グロビン分析用プライマー配列は5’−GCTGCACTGTGACAAGCTGC−3’(センス)(配列番号25)および5’GCACACAGACCAGCACGTTG−3’(アンチセンス)(配列番号26)であった
。また、蛍光プローブは5’−(FAM)CGTGGATCCTGAGAACTTCAGGCTC(TAMRA)−3’(配列番号27)であった。
バスティンら、分子内分泌学ジャーナル、25:169−193、2000年(ジェンセット・オリゴ、シンガポール)に記述されたように各アンプリコンに対して特異的で濃度が1×106コピーから10コピーの、高速液体クロマトグラフィー精製した単鎖合成DNAオリゴヌクレオチドの階段希釈により、hPL、βhCG、CRH、TFPI2、KISS1、PLAC1およびβ‐グロビンmRNA定量用較正曲線を作成した。hPL、βhCGおよびCRHの較正用合成DNAオリゴヌクレオチド配列が、先に述べられている(ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年およびンら、臨床化学49:727−731、2003年参照)。TFPI2、KISS1、PLAC1、およびβ‐グロビンキャリブレータ用合成DNAオリゴヌクレオチドの配列は、それぞれ5’−CGCCAACAATTTCTACACCTGGGAGGCTTGCGACGATGCTTGCTGGAGGATAGAAAAAGTTCCCAAAGTTTGCCGGCTG−3’(配列番号16)、5’−CTGCCCAGGCCAGGACTGAGGCAAGCCTCAAGGCACTTCTAGGACCTGGCTCTTCTCACCAAGATGAACTCACTGGTTTCTTGGCAG−3’(配列番号20)、5’−ACAAATTATCCCCAGCTGCCAGAAGAAGAAATCCTCACTGGACGGCTTCCTGTTTCCTGTGGTTCATTATCTGATTGGCTGCAGG−3’(配列番号24)および5−TGAGCTGCACTGTGACAAGCTGCACGTGGATCCTGAGAACTTCAGGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTCTGTGTGCTGG−3’(配列番号28)であった。GAPDH mRNAを除き、すべての転写物の絶対濃度は、胎盤組織および母体血漿それぞれについて、コピー/ng(全胎盤RNA)およびコピー/ml(血漿)と表した。GAPDH定量用の較正曲線は、ヒトの全RNAの階段希釈により作成した(ンら、臨床化学48:1212−1217、2002年)。
メーカーの説明書(EZ rTth RNA PCR試薬セット、アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア、アメリカ)に従い、QRT−PCR反応を反応量50μlに設定した。サーマルサイクラーおよび蛍光検出器(ABIプリズム7700、アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア、アメリカ)を組み合わせてQRT−PCR分析を行った。GAPDH、hPL、βhCGおよびCRH QRT−PCR分析用の反応条件は先に記載されている(ンら、臨床化学48:1212−1217、2002年;ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753の、2003年;およびンら、臨床化学49:727−731、2003年)。他の3つの転写物について、PCRプライマー(ジェンセット・オリゴ、シンガポール)は、TFPI2およびβ‐グロビンの場合200nM、KISS1の場合300nM、およびPLAC1の場合400nMの濃度で用いた。蛍光プローブ(アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、カリフォルニア、アメリカ)は、TFPI2の場合80nM、KISS1の場合150nM、PLAC1の場合200nMおよびβ‐グロビンの場合300nMの濃度で用いた。QRT−PCRを行う前に、抽出した胎盤組織RNA中の混入DNAをメーカーの推奨に従って、DNaseI(インビトロジェン、カールスバード、カリフォルニア)処理により除去した。抽出された胎盤RNA0.4ngおよび抽出した血漿RNA6μlを増幅に用いた。すべての分析に複数の陰性の水ブランクも含めた。
TFPI2、KISS1、PLAC1およびβ‐グロビンmRNAの分析に用いた温度特性は以下のとおりである:ウラシルN−グリコシラーゼが作用するように50℃で2分間反応が始まり、その後60℃で30分間逆転写が続く。95℃で5分間変性した後、92℃で15秒間変性し、PLAC1の場合56℃、TFPI2とKISS1の場合57℃およびβ‐グロビンの場合58℃で1分間アニーリング/伸張を行うPCRを40サイクル行った。
シグマ・スタット2.03ソフトウェア(SPSS)を用いて統計分析を行った。
B.結果
(対になった胎盤組織および母体血サンプルの高密度オリゴヌクレオチド・アレイ分析による胎盤特異的遺伝子の同定)
[0110]
各組織試料についてマイクロアレイ分析を行うことにより、5つの妊娠第1期CVSおよび5つの成熟胎盤の遺伝子発現プロファイルを得た。それぞれ合計7226および88
71の遺伝子転写物が、CVSサンプルおよび成熟胎盤で発現することが分かった。正常な人の血漿中DNAは、主に造血細胞に由来することが先に報告されている(リュイら、臨床化学48:421−427、2002年)。それにより、多くの母体血漿中のバックグラウンド母体核酸も造血区画から生じると仮定される。本研究の最終目的が母体血漿中RNA分子中の胎児特異的胎盤発現転写物を同定することだったので、本発明者はさらに、対になった母体全血の遺伝子発現プロファイルを得て、GeneChip(登録商標)マイクロアレイ・パッケージプログラム5.0ソフトウェア(アフィメトリックス)を用いて、これらプロファイルを対応する胎盤組織の遺伝子発現プロファイルと比較した。妊娠初期の胎児特異的胎盤発現転写物は、5つすべての比較において、対応する全血サンプルと比較した場合に、その発現レベルがCVS組織内で「増加した」転写物を選ぶことにより同定した。対になった母体の全血サンプルと比較した場合、妊娠後期の胎児の特異的な転写物も成熟胎盤から同様に同定された。これら手順の後、胎盤組織および母体血細胞の両方で高度に発現した転写物は除去され、結果として、第1および第3妊娠期間についてそれぞれ1245および1743の転写物パネルが同定された。次に、これら2枚のパネル上の転写物を、5つのCVSまたは5つの成熟胎盤組織マイクロアレイ形質発現シグナルの中央値に従って降順でソートした(妊娠初期および後期に高度に発現した転写物上位50を示す補足表AおよびBを参照)。結果として生じた2つのパネルには、胎児特異的マーカーとして母体血漿で検出可能な候補転写物が存在する。そのような胎児特異的マーカーの同定に用いる手法を図1に要約する。今まで母体血漿中で検出できることが分かっていた3つのmRNA転写物(すなわち、hPL、βhCG、およびCRH)が表中に存在するという事実は、この方法に独自の確証を与える。先の研究は、胎盤と母体血漿における遺伝子発現レベルについての情報を含んでいないため、表に同定した3つの新奇なマーカー(すなわち、TFPI2、KISS1、PLAC1)に加え、これら3つの転写物を次の分析に含めた。胎盤組織と母体血漿との間の相対的な遺伝子発現プロファイルを比較するために、表の種々の位置から転写物を選択した。これら6つの転写物のマイクロアレイ形質発現シグナル強度の中央値を表1に要約する。最初に各転写物のシグナル強度をすべてのアレイの全体的な強度の全体的な尺度構成にてらして目標強度値500とし、5つのCVSおよび5つの出産時胎盤組織について尺度調整した転写物強度の中央値を測定した。
[0111]
ワンステップ・リアルタイムQRT−PCR分析を6回行った。それぞれ10人の妊娠第1および第3期の妊婦からの対になった胎盤組織および血漿サンプルについて、6つの選択した胎盤mRNA転写物量をQRT−PCRにより定量した。すべての症例の胎盤組織から6つの転写物を検出できた。妊娠第1期および第3期両方の母体血漿中転写物の検出率および濃度の中央値を表1に要約する。これら結果は、マイクロアレイ分析で同定された、選択胎盤発現遺伝子転写物のうちかなりの割合を、確かに母体血漿中で検出できることを証明している。一般に、転写物のマイクロアレイ・シグナル強度の中央値が相対的に高ければ高いほど、母体血漿中でより容易に検出できる。一方、母体血漿濃度中央値が0コピーであれば、6つの調査した胎盤発現遺伝子の中で最も少ない転写物であることを示す(すなわち妊娠第1期のPLAC1および妊娠第3期のhCGβもしくはPLAC1)。従って、これらデータは、発現レベルがマイクロアレイ・シグナルのしきい値を越えれば、母体血漿中で確実に胎盤発現転写物を検出できることを示唆する。
[0112]
もし調査した転写物が妊娠に特異的ならば、それらが分娩後の母体血漿から消失するのではないかと予想されるだろう。先の研究で示すように(ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年;およびンら、臨床化学49:727−73
1、2003年)、hPLおよびCRH mRNA分子は分娩後の母体血漿から急速に消失した。母体血漿由来のTFPI2、KISS1、およびPLAC1 mRNAのクリアランスを調べるために、10人の妊婦から血漿サンプルを分娩前および分娩24時間後に採取した。分娩前の血漿サンプルでは、TFPI2およびKISS1 mRNA濃度の中央値はそれぞれ112コピー/mlおよび88コピー/mlであった。両方の転写物は、分娩後の血漿サンプルのいずれからも検出されなかった(TFPI2およびKISS1 mRNAについてはそれぞれ図8AおよびB)。PLAC1 mRNAについては、転写物は、10例中4例の分娩前血漿サンプルで検出された。一方、シグナルは、分娩後のサンプルのうちのいずれからも検出されなかった(図8C)。対照として、GAPDH mRNAが出産前および出産後の血漿サンプルすべてにおいて検出され、濃度の系統的な変化はない(ウィルコクソン検定、P=0.563)。
[0113]
母体血漿中の胎盤転写物レベルの測定により胎盤中の遺伝子発現レベルを間接的に測定できるという直接的な証拠を探求した。QRT−PCRにより、hPL、hCGβ、CRH、TFPI2、KISS1、およびPLAC1 mRNAについて、それぞれ10人の妊娠第1および第3期の妊婦からの対になった胎盤組織および血漿サンプルを解析した。これら母体血漿中転写物レベルが、実際に胎盤中のそれぞれのレベルを反映しているのであれば、胎盤および母体血漿のこれら転写物の相対濃度の間に正相関がなければならないと推論する。これら転写物の相対レベルを示す1つの実践的な方法は、通常の胎盤特異的転写物に関してそれらのレベルを標準化することだろう。妊娠中は終始hPL mRNAが検出できたので、hPL mRNAを基準に選んだ(ンら、米国科学アカデミー紀要、100:4748−4753、2003年)。各胎盤または血漿サンプル中の転写物レベルを対応する同一サンプル中のhPL mRNAレベルで割ることにより、各転写物の標準レベルを算出した。母体血漿中で検出できた転写物のみを比較した。PLAC1およびhCGβは、妊娠第1および第3期の一連の母体血漿サンプルで全く検出できなかったので、それらは各分析に含めなかった。図9Aおよび9Bは、対になった胎盤および母体血漿中のhCGβ、CRH、TFPI2、KISS1、およびPLAC1 mRNAの標準転写物レベルのプロットを示す。妊娠第1期(スピアマン相関分析、r=0.452、P<0.05)および第3期(スピアマン相関分析、r=0.661、P<0.05)両方の胎盤および母体血漿の結果の間で正相関があった。対照として、2つの胎盤非特異的mRNA転写物も分析した(妊娠第3期のβ‐グロビンおよび妊娠第1期および第3期両方のGAPDHサンプル)。図9Aおよび9Bを見て分かるように、これら胎盤非特異的転写物は、明らかに胎盤特異的転写物で示された相関的な傾向に従わなかった。これらデータは、胎盤の遺伝子発現を評価するために母体血漿から測定した胎盤特異的mRNAレベルを用いることができることを示唆する。
[0114]
母体血漿中の胎児特異的RNAマーカーの大規模パネルを系統的に同定できるようになる手法を開発した(図7)。この手法は、胎盤は母体血漿中の血中胎児RNAの重要な供給源であり、かつ正常な個体の血漿DNAの主な血液源であるという先の発見に基づいて考案した。胎盤発現転写物の大規模パネルを系統的に同定し、かつ母体血漿検出に関して胎児特異的である可能性のある転写物を選ぶため、潜在的なターゲットとして捨てられている血球で発現した遺伝子の高密度オリゴヌクレオチド・マイクロアレイを行った(補足表AおよびB)。先に同定された3つの血漿中胎盤特異的mRNAマーカー(hPL、hCGβ、およびCRHをコードしている)はターゲットリストに存在し、転写物選択手法に独自の確証を与えた。さらに、今まで非侵襲的な出生前監視が行われていなかった、表
に同定した3つのmRNAマーカー(すなわち、TFPI2、KISS1、およびPLAC1)も、それらの胎盤組織発現レベルが一定のしきい値より高ければ、QRT−PCRにより母体血漿中で検出できた。分娩後の母体血漿からそれらが急速に消失することは、胎盤特異性を裏づけている。これら研究結果は、母体血漿中の胎児特異的転写物の同定に用いた手法の有効性をさらに裏付ける。
胎盤特異的mRNA種とは対照的に、胎盤非特異的転写物(すなわち、GAPDH、β−グロビン)の血漿および胎盤の標準mRNAレベルの間には相関がなかった。胎盤特異的転写物と比較して、GAPDHおよびβ−グロビンmRNAは母体血漿中に相対的に多く存在した。それは、母体組織(例えば造血細胞)からの胎盤非特異的転写物が寄与していると解釈できるかもしれない。
結論として、母体血漿中の血中胎盤mRNAを、妊娠検出および非侵襲性の出生前遺伝子発現プロファイリングに利用できることを証明した。この研究はさらに、この目的に用いる新しい胎盤mRNAマーカーを迅速かつ系統的に同定するためのマイクロアレイに基づいた方法を概説した。この開発は、21トリソミーおよび子癇前症など胎盤病理学に関連していることが判明していた病気の研究および監視用の新しいマーカーの生成に特別な影響を及ぼす。さらに、この研究の結果は、妊娠に関連する病気以外に影響を及ぼす可能性がある。例えば、腫瘍関連mRNAが癌患者の血漿/血清中で検出されたので(ローら、臨床化学45:1292−1294、1999年;およびシルヴら、内臓、50:530−534、2002年などを参照)、新しい血漿、RNAに基づいた腫瘍マーカーを迅速に生成するために同様の方法を用いることができる。
本出願で引用されたすべての特許、特許出願、および他の刊行物は、参照により全体として開示に含まれる。
Claims (7)
- 妊婦の子癇前症を監視、診断または予測するためのキットであって、
(i)妊婦の血液中の1つまたはそれ以上のmRNA種の量を定量的に測定するためのPCRプライマーであって、該mRNA種はヒト副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(hCRH)をコードするmRNAであることを特徴とするPCRプライマーと、
(ii)子癇前症ではない妊婦の血液中のhCRHをコードする平均mRNA量を表す標準対照と
を備えるキット。 - 前記PCRは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)である請求項1に記載のキット。
- 妊婦は妊娠第1期であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 妊婦は妊娠第2期または第3期であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 妊婦の血液は無細胞であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 妊婦の血液は血漿であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 妊婦の血液は血清であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
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