本発明は、上記事実を考慮し、巻取アシスト機構とプリテンショナ機構に要求される互いに相反する性能を単一のモータにより両立できると共に、切替機構が不要で装置の小型化を図ることが可能なモータリトラクタを得ることを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明のモータリトラクタは、乗員拘束用のウエビングが巻取り引出し可能に巻き回されたスプールと、モータと、前記モータの出力軸の回転の速さを少なくとも第1速さ及び前記第1速さよりも速い第2速さの2段階に切り替え可能な制御手段と、前記スプールと前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸の前記第1速さでの回転を所定の減速比で減速して前記スプールに伝達し、前記スプールを巻取方向へ回転させると共に、前記出力軸の前記第2速さでの回転を前記スプールに伝達しない第1駆動力伝達手段と、前記スプールと前記出力軸との間に前記第1駆動力伝達手段とは独立して設けられ、前記出力軸の前記第2速さでの回転を前記第1駆動力伝達手段の前記所定の減速比よりも高い減速比で減速して前記スプールに伝達し、前記スプールを巻取方向へ回転させると共に、前記出力軸の前記第1速さでの回転を前記スプールに伝達しない第2駆動力伝達手段と、を備えたことを特徴としている。
請求項1記載のモータリトラクタは、モータと、このモータの出力軸の回転力をスプールに伝達する第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段を備えており、モータの出力軸の回転力を2つの異なる伝達経路を介してスプールに伝達することができる。
すなわち、制御手段がモータの出力軸を第1速さで回転させると、当該回転が第1駆動力伝達手段によって減速されてスプールに伝達され、これにより、スプールが巻取方向へ回転される。これに対し、制御手段がモータの出力軸を第1速さよりも速い第2速さで回転させると、当該回転が第2駆動力伝達手段により減速されてスプールに伝達され、これにより、スプールが巻取方向へ回転される。
しかもこの場合、第2駆動力伝達手段の減速比は、第1駆動力伝達手段の減速比よりも高く設定されており、第2駆動力伝達手段を介してスプールが巻取方向へ回転された場合には、スプールは低速・高トルクで回転される。これに対し、第1駆動力伝達手段を介してスプールが巻取方向へ回転された場合には、スプールは高速・低トルクで回転される。
したがって、通常は、乗員がウエビングの装着を解除した時などに、制御手段がモータの出力軸を第1速さで回転させれば、第1駆動力伝達手段を介してスプールが高速・低トルクで巻取方向へ回転され、ウエビングがスプールに巻き取られる。これにより、例えば、スプールを巻取方向へ付勢する付勢部材の付勢力を低減してウエビング装着時における乗員の圧迫感を緩和した場合でも、この付勢力低減によるスプールへのウエビング巻取力の低下をモータの駆動力で補うことができ、ウエビングを最後までスプールに巻き取って格納することができる(所謂「巻取アシスト機構」)。
一方、例えば、ウエビング装着状態において車両衝突の危険を検知した時などに、制御手段がモータの出力軸を第2速さで回転させれば、第2駆動力伝達手段を介してスプールが低速・高トルクで巻取方向へ回転される。これにより、ウエビングを強制的にスプールに巻き取ることができるので、装着状態におけるウエビングの僅かな弛み(所謂「スラック」)が解消され、ウエビングによる乗員の拘束力を上昇させることができる(所謂「プリテンショナ機構」)。
このように、請求項1記載のモータリトラクタでは、巻取アシスト機構とプリテンショナ機構に要求される互いに相反する性能を単一のモータにより両立できる。
しかも、請求項1記載のモータリトラクタでは、上述の如く、制御手段がモータの出力軸の回転の速さを第1速さ又は第2速さに切り替えることで、モータからスプールへの回転力の伝達経路が、第1駆動力伝達手段又は第2駆動力伝達手段に切り替えられる。したがって、従来のモータリトラクタに適用されているソレノイドを含む複雑な切替機構が不要であり、これにより、装置の小型化を図ることができる。
請求項2に係る発明のモータリトラクタは、請求項1記載のモータリトラクタにおいて、前記制御手段は、前記モータを駆動する際に前記出力軸を常に一方向へ回転させると共に、前記出力軸が前記第1速さで前記一方向へ回転した際には第1駆動力伝達手段が前記出力軸の回転を前記スプールに伝達し、前記出力軸が前記第2速さで前記一方向へ回転した際には第2駆動力伝達手段が前記出力軸の回転を前記スプールに伝達する、ことを特徴としている。
請求項2記載のモータリトラクタでは、制御手段がモータの出力軸を第1速さで一方向へ回転させると、当該回転が第1駆動力伝達手段を介してスプールに伝達され、これにより、スプールが巻取方向へ回転される。一方、制御手段がモータの出力軸を第2速さで一方向へ回転させると、当該回転が第2駆動力伝達手段を介してスプールに伝達され、これにより、スプールが巻取方向へ回転される。
このように、制御手段はモータの出力軸を常に一方向へ回転させるが、出力軸の回転の速さを第1速さ又は第2速さに切り替えることで、モータからスプールへの回転力の伝達経路が第1駆動力伝達手段又は第2駆動力伝達手段に切り替えられる構成である。したがって、制御手段によるモータの駆動制御をシンプルなものにすることができる。
請求項3に係る発明のモータリトラクタは、請求項1記載又は請求項2記載のモータリトラクタにおいて、前記第1駆動力伝達手段は、前記モータの前記出力軸が回転した際に前記スプールと前記出力軸とを連結し、両者の間の回転の伝達を可能とする第1クラッチと、前記第1クラッチの前記連結状態で前記スプールに第1設定値以上のトルクが作用した際には当該トルクによって前記スプールと前記出力軸との間の回転の伝達を切り離し、両者を相対的に空転可能とする第1空転機構と、ことを特徴としている。
請求項3記載のモータリトラクタでは、制御手段がモータの出力軸を第1速さで回転させると、第1クラッチがスプールと出力軸とを連結する。これにより、出力軸の第1速さでの回転がスプールに伝達され、スプールが巻取方向へ回転される。
また、上記第1クラッチによるスプールと出力軸との連結状態(ウエビングがスプールに巻き取られている状態)で、スプールに第1設定値以上のトルクが作用した際(例えば、異物がウエビングに引っ掛かった際など)には、第1空転機構が前記トルクによってスプールと出力軸との間の回転の伝達を切り離し、両者を相対的に空転可能とする。これにより、ウエビングが異物に干渉した状態で強引にスプールに巻き取られることを防止できる。
請求項4に係る発明のモータリトラクタは、請求項3記載のモータリトラクタにおいて、前記第1クラッチは、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記第1クラッチは、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記出力軸が正転した際に前記スプールに直接的又は間接的に噛合うことで前記出力軸の正転を前記スプールに伝達し、前記出力軸が停止又は逆転した際に前記噛合い状態を解除される正転用パウルを有する噛合いクラッチとされ、前記第1空転機構は、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記スプールに対して摩擦力により直接的又は間接的に連結され、前記スプールを回転可能とされると共に、前記スプールに前記第1設定値以上のトルクが作用した際に前記摩擦力に抗して前記スプールに対してスリップする第1スリップ部材を有するスリップ機構とされる、ことを特徴としている。
請求項4記載のモータリトラクタでは、モータの出力軸が正転すると、噛合いクラッチの正転用パウルがスプールに直接的又は間接的に噛合うことで出力軸の回転がスプールに伝達されてスプールが巻取方向へ回転され、ウエビングがスプールに巻き取られる。
しかも、このようにウエビングがスプールに巻き取られている状態で、例えば、ウエビングが異物に引っ掛かり、スプールに第1設定値以上のトルクが作用した際には、スプールに対して摩擦力により直接的又は間接的に連結されたスリップ機構の第1スリップ部材が、前記摩擦力に抗してスプールに対してスリップすることで、スプールと出力軸との間の回転の伝達が切り離され、スプールと出力軸とが相対的に空転する。
一方、モータの出力軸が停止又は逆転すると、噛合いクラッチの正転用パウルがスプールに対する噛合い状態を解除され、これにより、出力軸からスプールへの回転の伝達が解除される。
請求項5に係る発明のモータリトラクタは、請求項4記載のモータリトラクタにおいて、前記噛合クラッチの前記正転用パウルは、前記出力軸が停止した際に前記噛合い状態を解除され、前記噛合いクラッチは、前記出力軸が逆転した際に前記スプールに直接的又は間接的に噛合うことで前記出力軸の逆転を前記スプールに伝達して前記スプールを引出方向へ回転させると共に、前記出力軸が停止した際に前記噛合い状態を解除される逆転用パウルを有することを特徴としている。
請求項5記載のモータリトラクタでは、モータの出力軸が逆転すると、噛合いクラッチの逆転用パウルがスプールに直接的又は間接的に噛合うことで出力軸の回転がスプールに伝達されてスプールが引出方向へ回転される。したがって、例えば、乗員が本モータリトラクタに収納されたウエビングを引き出そうとした際にモータの出力軸を逆転させれば、ウエビングの引き出しがアシストされ、乗員は軽い力でウエビングを引き出すことができる(所謂「引出アシスト機構」)。また、モータの出力軸が停止すると、逆転用パウルとスプールとの噛合い状態が解除される。
請求項6に係る発明のモータリトラクタは、請求項4記載のモータリトラクタにおいて、前記噛合いクラッチは、前記モータの前記出力軸に接続され、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記正転用パウルを回動可能に支持するドライブギヤと、前記ドライブギヤに対して回転自在に支持されると共に、前記第1スリップ部材に連結されたラチェットと、前記スプールを支持するフレームに直接的又は間接的に係合すると共に前記正転用パウルに連結され、前記出力軸の正転に伴って前記ドライブギヤが一方向へ回転した際に前記正転用パウルを前記ラチェットに噛合わせると共に、前記出力軸の停止又は逆転に伴って前記ドライブギヤが停止又は他方向へ回転した際に前記正転用パウルを前記ラチェットから離間させるフリクションスプリングと、を備え、前記スリップ機構は、前記ラチェットに対して回転自在に支持されると共に前記スプールに接続され、前記スプールを回転可能とされると共に、前記第1スリップ部材を前記摩擦力により保持するドラムを備えた、ことを特徴としている。
請求項6記載のモータリトラクタでは、モータの出力軸が正転すると、出力軸に接続されたドライブギヤが一方向へ回転する。ドライブギヤが一方向へ回転すると、スプールを支持するフレームに係合したフリクションスプリングが、ドライブギヤに支持された正転用パウルをラチェットに噛合わせる。これにより、ドライブギヤとラチェットが連結されて、ラチェットが回転する。ラチェットの回転は、第1スリップ部材を介してドラムに伝達され、ドラムが回転する。ドラムはスプールに接続されているため、当該ドラムを介してスプールが巻取方向へ回転される。これにより、ウエビングがスプールに巻き取られる。
しかも、このようにウエビングがスプールに巻き取られている状態で、例えば、ウエビングが異物に引っ掛かり、スプールに第1設定値以上のトルクが作用した際には、ドラムに摩擦力により保持された第1スリップ部材が前記摩擦力に抗してドラムに対してスリップすることで、ドラム(スプール)とラチェットとの間の回転の伝達が切り離され、両者が相対的に空転する。これにより、ウエビングが異物に干渉した状態で強引にスプールに巻き取られることを防止できる。
また、モータの出力軸の停止又は逆転に伴ってドライブギヤが停止又は他方向へ回転すると、フレームに係合したフリクションスプリングが、ドライブギヤに支持された正転用パウルをラチェットから離間させる。これにより、正転用パウルを介したドライブギヤとラチェットとの連結状態が解除され、出力軸からスプールへの回転の伝達が解除される。
請求項7に係る発明のモータリトラクタは、請求項5記載のモータリトラクタにおいて、前記噛合いクラッチは、前記モータの前記出力軸に接続され、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記正転用パウル及び前記逆転用パウルを回動可能に支持するドライブギヤと、前記ドライブギヤに対して回転自在に支持されると共に、前記第1スリップ部材に連結されたラチェットと、前記ドライブギヤに対して回転可能に支持されると共に、自らに作用する付勢力によって前記ドライブギヤに対し所定の中立位置に保持され、前記出力軸の正転に伴って前記ドライブギヤが一方向へ回転した際には前記付勢力に抗して前記ドライブギヤに対し他方向へ相対回転することで前記正転用パウルを前記ラチェットに噛合わせると共に、前記出力軸の逆転に伴って前記ドライブギヤが他方向へ回転した際には前記付勢力に抗して前記ドライブギヤに対し一方向へ相対回転することで前記逆転用パウルを前記ラチェットに噛合わせる慣性部材と、を備え、前記スリップ機構は、前記ラチェットに対して回転自在に支持されると共に前記スプールに接続され、前記スプールを回転可能とされると共に、前記第1スリップ部材を前記摩擦力により保持するドラムを備えた、ことを特徴としている。
請求項7記載のモータリトラクタでは、モータの出力軸が正転すると、出力軸に接続されたドライブギヤが一方向へ回転する。ドライブギヤが一方向へ回転すると、慣性部材が付勢力に抗してドライブギヤに対し他方向へ相対回転し、正転用パウルをラチェットに噛合わせる。これにより、ドライブギヤとラチェットが連結されて、ラチェットが回転する。ラチェットの回転は、第1スリップ部材を介してドラムに伝達され、ドラムが回転する。ドラムはスプールに接続されているため、当該ドラムを介してスプールが巻取方向へ回転される。また、モータの出力軸が停止すると、慣性部材が付勢力によって中立位置に保持され、正転用パウルとラチェットとの噛合い状態が解除される。
一方、モータの出力軸が逆転すると、出力軸に接続されたドライブギヤが他方向へ回転する。ドライブギヤが他方向へ回転すると、慣性部材が付勢力に抗してドライブギヤに対し一方向へ相対回転し、逆転用パウルをラチェットに噛合わせる。これにより、ドライブギヤとラチェットが連結されて、ラチェットが回転する。ラチェットの回転は、第1スリップ部材を介してドラムに伝達され、ドラムが回転する。ドラムはスプールに接続されているため、当該ドラムを介してスプールが引出方向へ回転される。また、モータの出力軸が停止すると、慣性部材が付勢力によって中立位置に保持され、逆転用パウルとラチェットとの噛合い状態が解除される。
さらに、例えば、出力軸の回転力がドライブギヤ、正転用パウル、ラチェット、第1スリップ部材、及びドラムを介してスプールに伝達され、スプールがウエビング巻取方向へ回転されている状態で、ウエビングが異物に引っ掛かり、スプールに第1設定値以上のトルクが作用した際には、ドラムに摩擦力により保持された第1スリップ部材が前記摩擦力に抗してドラムに対してスリップすることで、ドラム(スプール)とラチェットとの間の回転の伝達が切り離され、両者が相対的に空転する。これにより、ウエビングが異物に干渉した状態で強引にスプールに巻き取られることを防止できる。
請求項8に係る発明のモータリトラクタは、請求項1乃至請求項7の何れか1項記載のモータリトラクタにおいて、前記第2駆動力伝達手段は、前記モータの前記出力軸が前記第2速さで回転した際に前記スプールと前記出力軸とを連結し、両者の間の回転の伝達を可能とする第2クラッチを備えたことを特徴としている。
請求項8記載のモータリトラクタでは、制御手段がモータの出力軸を第2速さで回転させると、第2クラッチがスプールと出力軸とを連結する。これにより、出力軸の第2速さでの回転がスプールに伝達され、スプールが巻取方向へ回転される。
請求項9に係る発明のモータリトラクタは、請求項8記載のモータリトラクタにおいて、前記第2クラッチは、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記出力軸が前記第2速さ以上で回転しているときには自らに作用する遠心力により移動されて前記スプールに直接的又は間接的に係合し前記出力軸と前記スプールとを連結すると共に、前記出力軸が停止または前記第2速さ未満で回転しているときには前記スプールとの前記係合状態を解除されるウェイトを有する遠心クラッチとされることを特徴としている。
請求項9記載のモータリトラクタでは、モータの出力軸が第2速さ以上で回転すると、遠心クラッチのウェイトが自らに作用する遠心力により移動されてスプールに直接的又は間接的に係合し出力軸とスプールとが連結される。これにより、出力軸の回転がスプールに伝達されてスプールが巻取方向へ回転され、ウエビングがスプールに巻き取られる。
請求項10に係る発明のモータリトラクタは、請求項1乃至請求項9の何れか1項記載のモータリトラクタにおいて、前記第2駆動力伝達手段は、前記出力軸の回転が前記スプールに伝達されている状態で前記スプールに第2設定値以上のトルクが作用した際には当該トルクによって前記スプールと前記出力軸との間の回転の伝達を切り離し、両者を相対的に空転可能とする第2空転機構を備えたことを特徴としている。
請求項10記載のモータリトラクタでは、例えば、出力軸の回転力が第2駆動力伝達手段を介してスプールに伝達され、スプールが巻取方向へ回転されている状態で、スプールに第2設定値以上のトルクが作用した際(例えば、所謂「スラック」が解消され、乗員の身体が障害となり基本的にそれ以上のウエビングの巻き取りができなくなった際など)には、第2空転機構が前記トルクによってスプールと出力軸との間の回転の伝達を切り離し、両者を相対的に空転可能とする。これにより、スプールがモータの駆動力によって必要以上の力で巻取方向へ回転されることを防止でき、ウエビングが必要以上の力で乗員の身体を締め付けることを防止できる。
請求項11に係る発明のモータリトラクタは、請求項10記載のモータリトラクタにおいて、前記第2空転機構は、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記スプールに対して摩擦力により直接的又は間接的に連結され、前記スプールを回転可能とされると共に、前記スプールに前記第2設定値以上のトルクが作用した際に前記摩擦力に抗して前記スプールに対してスリップする第2スリップ部材を有するオーバーロード機構とされることを特徴としている。
請求項11記載のモータリトラクタでは、例えば、出力軸の回転力が第2駆動力伝達手段を介してスプールに伝達され、スプールが巻取方向へ回転されている状態で、スプールに第2設定値以上のトルクが作用した際(例えば、所謂「スラック」が解消され、乗員の身体が障害となり基本的にそれ以上のウエビングの巻き取りができなくなった際など)には、スプールに対して摩擦力により直接的又は間接的に連結されたオーバーロード機構の第2スリップ部材が、前記摩擦力に抗してスプールに対してスリップすることで、スプールと出力軸との間の回転の伝達が切り離され、スプールと出力軸とが相対的に空転する。これにより、スプールが、モータの駆動力によって必要以上の力で巻取方向へ回転されることを防止でき、ウエビングが必要以上の力で乗員の身体を締め付けることを防止できる。
請求項12に係る発明のモータリトラクタは、請求項1乃至請求項7の何れか1項記載のモータリトラクタにおいて、前記第2駆動力伝達手段は、前記モータの前記出力軸が前記第2速さで回転した際に前記スプールと前記出力軸とを連結し、両者の間の回転の伝達を可能とする第2クラッチと、前記第2クラッチの前記連結状態で前記スプールに第2設定値以上のトルクが作用した際には当該トルクによって前記スプールと前記出力軸との間の回転の伝達を切り離し、両者を相対的に空転可能とする第2空転機構と、を備え、前記第2クラッチは、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記出力軸が前記第2速さ以上で回転しているときには自らに作用する遠心力により移動されて前記スプールに直接的又は間接的に係合し前記出力軸と前記スプールとを連結すると共に、前記出力軸が停止または前記第2速さ未満で回転しているときには前記スプールとの前記係合状態を解除されるウェイトを有する遠心クラッチとされ、前記第2空転機構は、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記スプールに対して摩擦力により直接的又は間接的に連結され、前記スプールを回転可能とされると共に、前記スプールに前記第2設定値以上のトルクが作用した際に前記摩擦力に抗して前記スプールに対してスリップする第2スリップ部材を有するオーバーロード機構とされ、前記オーバーロード機構は、前記モータの前記出力軸に接続され、前記出力軸の回転が伝達されて回転すると共に、前記第2スリップ部材が係止された中間ギヤと、前記中間ギヤに対して相対回転可能に支持されると共に、前記第2スリップ部材を前記摩擦力により保持するアダプタと、を備え、前記遠心クラッチは、前記アダプタに接続され、前記アダプタを回転可能とされると共に、前記ウェイトを径方向に移動可能に支持するロータと、前記ウェイトを前記ロータの径方向内側へ付勢する付勢部材と、前記ロータ及び前記ウェイトに対して回転自在に支持されると共に、前記スプールに接続され、前記スプールを回転可能とされると共に、前記出力軸の前記第2速さ以上での回転に伴って前記ロータが回転した際には前記ウェイトが遠心力により前記付勢部材の付勢力に抗して前記ロータの径方向外側へ移動することで前記ウェイトを介して前記ロータと連結されるギヤと、を備えた、ことを特徴としている。
請求項12記載のモータリトラクタでは、モータの出力軸が第2速さ以上で回転すると、出力軸に接続された中間ギヤが回転する。中間ギヤの回転は第2スリップ部材を介してアダプタに伝達され、アダプタが回転すると共に、アダプタに接続されたロータが回転する。このため、ロータに対して径方向に移動可能に支持されたウェイトには遠心力が作用し、ウェイトが付勢部材の付勢力に抗してロータの径方向外側へ移動される。ウェイトがロータの径方向外側へ移動されると、ロータ及びウェイトに対して回転自在に支持されたギヤがウェイトを介してロータと連結される。このため、ロータの回転がギヤに伝達され、ギヤが回転する。ギヤはスプールに接続されているため、当該ギヤを介してスプールが巻取方向へ回転され、これにより、ウエビングがスプールに巻き取られる。
また、例えば、出力軸の回転力が中間ギヤ、第2スリップ部材、アダプタ、ロータ、ウェイト、及びギヤを介してスプールに伝達され、スプールが巻取方向へ回転されている状態で、スプールに第2設定値以上のトルクが作用した際(例えば、所謂「スラック」が解消され、乗員の身体が障害となり基本的にそれ以上のウエビングの巻き取りができなくなった際など)には、アダプタに対して摩擦力により保持された第2スリップ部材がアダプタに対してスリップすることで、中間ギヤ(出力軸)とアダプタとの間の回転の伝達が切り離され、両者が相対的に空転する。これにより、ロータ、ウェイト及びギヤを介してアダプタに接続されたスプールが、モータの駆動力によって必要以上の力で巻取方向へ回転されることを防止でき、ウエビングが必要以上の力で乗員の身体を締め付けることを防止できる。
一方、出力軸が停止又は第2速さ未満で回転しているときには、遠心クラッチのウェイトが付勢部材の付勢力によってロータの径方向内側に移動され、当該ウェイトを介したロータとギヤとの連結状態が解除される。これにより、ギヤに接続されたスプールへの出力軸からの回転の伝達が解除される。
以上説明したように、本発明のモータリトラクタによれば、巻取アシスト機構とプリテンショナ機構に要求される互いに相反する性能を単一のモータにより両立できると共に、切替機構が不要で装置の小型化が可能である。
<第1の実施の形態>
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10の全体構成の概略が正面図により示されている。また、図2には、このモータリトラクタ10の全体構成の概略が分解斜視図にて示されている。さらに、図3には、このモータリトラクタ10の主要部の構成が断面図にて示されており、図4には、このモータリトラクタ10の主要部の構成が分解斜視図にて示されている。
図1に示すように、本モータリトラクタ10は、フレーム12を備えている。フレーム12は略板状の背板14を備えており、この背板14がボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されることで、本モータリトラクタ10が車体に固定される構成となっている。背板14の幅方向両端からは一対の脚片16、18が互いに平行に延設されており、これらの脚片16、18間にダイカスト等によって製作されたスプール20が回転可能に配置されている。
スプール20には、長尺帯状に形成されたウエビング28の基端部が固定されており、スプール20をその軸線周り一方(以下、この方向を「巻取方向」という)へ回転させると、ウエビング28がその基端側からスプール20の外周部に層状に巻き取られる。また、ウエビング28をその先端側から引っ張れば、スプール20の外周部に巻き取られたウエビング28が引き出され、これに伴い、ウエビング28を巻き取る際の回転方向とは反対にスプール20が回転する(以下、ウエビング28を引き出す際のスプール20の回転方向を「引出方向」という)。
脚片18側のフレームの外側には、ケース22が固定されている。ケース22内には、図示しないロック機構などが収容されている。ロック機構は、通常はスプール20の巻取方向、引出方向の自由な回転を許容し、車両急減速時にスプール20の引出方向の回転を阻止するものである。
また、スプール20は、脚片16側の端部から同軸的に突出した連結部29を備えている。連結部29は、脚片16に形成された円孔を略同軸的に貫通してフレーム12の外部に突出している。脚片16側のフレーム12の外側には、ケース32が固定されている。ケース32には、フレーム12側に開口部が形成されており、この開口部はケース32にビス止めされたカバー34により閉塞されている。また、図2にも示すように、ケース32には、フレーム12と反対側にも開口部が形成されており、この開口部はケース32にビス止めされたカバー36によって閉塞されている。
図3にも示すように、ケース32内には、第1駆動力伝達手段及び第2駆動力伝達手段を構成する香箱38が収容されている。香箱38は、軸線方向両端部が閉塞された円筒状に形成されており、外周部には外歯40が形成されている。外歯40は、平歯車とされている。
図5に示すように、香箱38は、ケース32の側壁に突設された円柱状の支軸部42に回転可能に支持されると共に、カバー34に形成された円孔を貫通したスプール20の連結部29に同軸的かつ一体的に連結されており、スプール20と一体で回転する。
香箱38の内部には、渦巻きばね44が収容されている。渦巻きばね44は、その内端がケース32の支軸部42に係止されると共に、その外端が香箱38に係止されている。この渦巻きばね44は、香箱38を介してスプール20を巻取方向へ付勢している。
この渦巻きばね44の付勢力(に基づくウエビング28の巻取力)は、乗員が装着したウエビング28の弛みを解消する程度に、比較的弱く設定されている。換言すれば、渦巻きばね44の付勢力は、ウエビング28の装着状態で乗員非圧迫性に対応した強さとなるように設定され、スプール20から引き出されたウエビング28を摩擦力等に抗して最後まで巻き取る強さは要求されていない。
また、モータリトラクタ10は、モータ48を備えている。モータ48は、フレーム12の一対の脚片16、18間におけるスプール20の下方に配置されており、ケース32の側壁に固定されている。このモータ48の出力軸50は、ケース32の側壁を貫通してケース32内に配置されており、この出力軸50には平歯の出力ギヤ52が取り付けられている。
ケース32内には、第1駆動力伝達手段を構成する噛合いクラッチ54が設けられている。図4乃至図6に示すように、噛合いクラッチ54は、ドライブギヤ56を有している。ドライブギヤ56は、ケース32に取り付けられた支軸58が軸心部を貫通することでケース32に回転自在に支持されている。また、ドライブギヤ56の外周部には、平歯の外歯60が形成されており、この外歯60は上述した出力ギヤ52に噛合されている。このため、出力ギヤ52が軸線周り一方(矢印C方向)へ回転すると(モータ48の出力軸50が正転すると)、ドライブギヤ56が軸線周り一方(矢印E方向)へ回転し、出力ギヤ52が軸線周り他方(矢印D方向)へ回転すると(モータ48の出力軸50が逆転すると)、ドライブギヤ56が軸線周り他方(矢印F方向)へ回転するようになっている。
ドライブギヤ56の軸線方向一側(図4では矢印A方向側)には、円盤状に形成されて噛合いクラッチ54を構成するラチェット62が設けられている。ラチェット62は、軸心部を支軸58が貫通することで、ケース32に回転自在に支持されており、ドライブギヤ56に対して相対回転可能とされている。ラチェット62のドライブギヤ56側には、ラチェット歯64が形成されている。
ドライブギヤ56の軸線方向他側(図4では矢印B方向側)には、噛合いクラッチ54を構成する正転用パウル66が設けられている。正転用パウル66は、ドライブギヤ56の軸線方向他端部に突設された支持軸68に回動可能に支持されている。この正転用パウル66は、ドライブギヤ56の軸心部に同軸的に形成された有底円筒状のボス部70に対向する噛合部72を有しており、支持軸68周りに回動することで、噛合部72がボス部70に対して接離移動するようになっている。ボス部70の側壁には噛合部72に対向する位置に貫通孔が形成されている。
また、ドライブギヤ56の軸線方向他側(図4では矢印B方向側)には、金属の線材を屈曲して形成され、噛合いクラッチ54を構成するフリクションスプリング74が設けられている。フリクションスプリング74は、カバー36に突設された円筒状の保持部76(図5参照)の外周を自らの弾性力で挟み込むことで、カバー36に対して摩擦力により保持されており、一端部が正転用パウル66に係止されている。なお、保持部76は、支軸58と同軸的に形成されている。
このフリクションスプリング74は、ドライブギヤ56が軸線周り一方(矢印E方向)へ回転すると、正転用パウル66の噛合部72をドライブギヤ56のボス部70側へ回動させる。このため、正転用パウル66の噛合部72は、ボス部70に形成された貫通孔を貫通してラチェット62のラチェット歯64に噛合する構成となっている。これにより、ドライブギヤ56とラチェットとが正転用パウル66を介して一体的に連結され、ラチェット62がドライブギヤ56及び正転用パウル66と一体で軸線周り一方(矢印E方向)へ回転する。
また、フリクションスプリング74は、ドライブギヤ56が軸線周り他方(矢印F方向)へ回転すると、正転用パウル66の噛合部72をドライブギヤ56のボス部70とは反対側へ回動させる。このため、正転用パウル66の噛合部72は、ラチェット62のラチェット歯64から離間し、正転用パウル66を介したドライブギヤ56とラチェット62との連結状態が解除される。これにより、ドライブギヤ56とラチェット62とは相対的に空転する。
ラチェット62の軸線方向一側(図4の矢印A方向側)には、有底円筒状に形成されてスリップ機構78を構成するドラム80が設けられている。ドラム80は、軸心部を支軸58が貫通することでケース32に回転自在に支持されており、ラチェット62に対して相対回転可能とされている。また、ドラム80の外周部には平歯の外歯82が形成されている。この外歯82は、香箱38の外歯40に噛合っており、ドラム80がその軸線周り一方(矢印E方向)へ回転すると、香箱38が巻取方向(矢印G方向)へ回転し、ドラム80がその軸線周り他方(矢印F方向)へ回転すると、香箱38が引出方向(矢印H方向)へ回転する構成となっている。
ドラム80の内側には、金属の線材により螺旋状に形成され、スリップ機構78を構成する第1スリップ部材としての第1クラッチスプリング84が設けられている。第1クラッチスプリング84は、その外径寸法がドラム80の内径寸法よりも僅かに大きく形成されており、自らの弾性力で自らの外周部をドラム80の内周面に密着させている。このため、第1クラッチスプリング84は、ドラム80に対して摩擦力により連結(保持)されており、基本的にドラム80と一体で回転する。
また、この第1クラッチスプリング84は、巻き方向一端部がラチェット62に係止されている。このため、ラチェット62とドラム80とは第1クラッチスプリング84を介して連結されており、ラチェット62が回転すると第1クラッチスプリング84およびドラム80が回転する。但し、上述の如く第1クラッチスプリング84は、ドラム80に対して摩擦力により保持された構成であるため、ラチェット62とドラム80との間に、この摩擦力を上回る相対的な回転力が作用すると、第1クラッチスプリング84がドラム80に対してスリップすることで、ラチェット62及び第1クラッチスプリング84とドラム80とが相対的に空転する構成となっている。
一方、本モータリトラクタ10は、第2駆動力伝達手段を構成するオーバーロード機構86を備えている。図4、図7及び図8に示すように、オーバーロード機構86は、有底円筒状に形成された中間ギヤ88を有している。中間ギヤ88は、ケース32に取り付けられた支軸90(図7参照)が軸心部を貫通することでケース32に回転自在に支持されている。また、中間ギヤ88の外周部には、平歯の外歯92が形成されており、この外歯92は上述した出力ギヤ52に噛合されている。このため、出力ギヤ52が軸線周り一方(矢印C方向)へ回転すると(モータ48の出力軸50が正転すると)、中間ギヤ88が軸線周り一方(矢印I方向)へ回転し、出力ギヤ52が軸線周り他方(矢印D方向)へ回転すると(モータ48の出力軸50が逆転すると)、中間ギヤ88が軸線周り他方(矢印J方向)へ回転するようになっている。
中間ギヤ88の軸線方向一側(図4の矢印A方向側)には、オーバーロード機構86を構成するアダプタ94が設けられている。アダプタ94は、円盤状に形成されて中間ギヤ88の開口部に回転自在に嵌合したフランジ部96を有している。また、フランジ部96の軸線方向一側(図4の矢印B方向側)には、円柱状に形成されたギヤ部98が同軸的に突出形成されている。ギヤ部98の外周には平歯の外歯100が形成されている。さらに、フランジ部96の軸線方向他側(図4の矢印A方向側)には、円柱状に形成されて中間ギヤ88の内側に収容された保持部102が同軸的に突出形成されている。
保持部102の外周面と中間ギヤ88の内周面との間には、環状の隙間が形成されており、この隙間には金属の線材により螺旋状に形成され、オーバーロード機構86を構成する第2スリップ部材としての第2クラッチスプリング104が収容されている。第2クラッチスプリング104は、その内径寸法が保持部102の外径寸法よりも僅かに小さく形成されており、自らの弾性力で自らの内周部を保持部102の外周面に密着させることで、保持部102に摩擦力により連結(保持)されている。このため、第2クラッチスプリング104は、基本的に中間ギヤ88と一体で回転する。
また、この第2クラッチスプリング104は、巻き方向両端部が中間ギヤ88に干渉するようになっており、中間ギヤ88に対する相対回転が規制されている。このため、中間ギヤ88とアダプタ94とは第2クラッチスプリング104を介して連結されており、中間ギヤ88が回転すると第2クラッチスプリング104およびアダプタ94が回転する。但し、上述の如く第2クラッチスプリング104は、アダプタ94に対して摩擦力により保持された構成であるため、中間ギヤ88とアダプタ94との間に、上記摩擦力を上回る相対的な回転力が作用すると、第2クラッチスプリング104がアダプタ94に対してスリップすることで、中間ギヤ88及び第2クラッチスプリング104とアダプタ94とが相対的に空転する構成となっている。
さらに、本モータリトラクタ10は、第2駆動力伝達手段を構成する遠心クラッチ106を備えている。遠心クラッチ106は、有底円筒状に形成されたロータ108を備えている。ロータ108は、ケース32に取り付けられた支軸110が底壁の軸心部を貫通することでケース32に回転自在に支持されている。また、ロータ108の開口部には、金属の板材により円盤状に形成されたカバー112がビスにより取り付けられている。また、ロータ108の外周部には、平歯の外歯114が形成されており、この外歯114は上述したアダプタ94のギヤ部98の外歯100に噛合されている。このため、アダプタ94が軸線周り一方(矢印I方向)へ回転すると、ロータ108が軸線周り一方(矢印K方向)へ回転し、アダプタ94が軸線周り他方(矢印J方向)へ回転すると、ロータ108が軸線周り他方(矢印L方向)へ回転するようになっている。
ロータ108の軸線方向一側(図4の矢印A方向側)には、円柱状に形成されて遠心クラッチ106を構成するギヤ116が設けられている。ギヤ116は、支軸110が軸心部を貫通することでケース32に回転自在に支持されており、ロータ108に対して相対回転可能とされている。ギヤ116の軸線方向一端側(図4では矢印A方向側)の外周部には、平歯の外歯118が形成されており、この外歯118は、前述した香箱38の外歯40に噛合されている。このため、ギヤ116がその軸線周り一方(矢印K方向)へ回転すると、香箱38が引出方向(矢印H方向)へ回転し、ギヤ116がその軸線周り他方(矢印L方向)へ回転すると、香箱38が巻取方向(矢印G方向)へ回転するようになっている。
また、ギヤ116の軸線方向他端側(図4では矢印B方向側)の外周部には、ラチェット歯120が形成されている。このラチェット歯120は、カバー112の軸心部に形成された円孔122を介してロータ108の内側に配置されている。
ロータ108の内側には、それぞれ鉄などの金属材料によって略半円形の板状に形成されて遠心クラッチ106を構成する一対のウェイト124が配置されている。これら一対のウェイト124は、同じ重量に形成されており、互いにロータ108の周方向に沿った反対側(180度反対側)に配置されている。これら一対のウェイト124の各周方向一端部には、円形の軸受孔126が形成されており、これらの軸受孔126にはロータ108の底壁に突設された円柱状の軸部128(図8参照)が回転自在に嵌合している。これにより、一対のウェイト124は、それぞれ軸部126周りにロータ108の径方向へ回動可能にロータ108に支持されている。
また、一対のウェイト124は、それぞれロータ108の底壁に取り付けられた一対の捩りコイルスプリング130によってロータ108の径方向内側に付勢されており、通常はロータ108の径方向内側に保持されている。さらに、一対のウェイト124には、上述したギヤ116のラチェット歯118に対向する位置に噛合い突起132が形成されている。これらの噛合い突起132は、一対のウェイト124がロータ108の径方向内側に保持された状態では、ラチェット歯120から離間している。
なお、一対のウェイト124とカバー112との間には、樹脂材料の板材によりリング状に形成されたシート134が配置されており、一対のウェイト124がカバー112と直接擦れ合うことが防止されている。
ここで、ロータ108がその軸線周り他方(矢印L方向)へ回転すると、ロータ108に支持された一対のウェイト124が、ロータ108に追従してロータ108の軸線周りに回転する。このとき、一対のウェイト124には遠心力が作用する。したがって、一対のウェイト124に作用する遠心力が所定値以上になると(ロータ108の回転速度が所定値以上になると)、一対のウェイト124は、一対の捩りコイルスプリング130の付勢力に抗してロータ108の径方向外側へ回動するようになっている。このように、一対のウェイト124がロータ108の径方向外側へ回動すると、一対のウェイト124に設けられた一対の噛合い突起132が、ギヤ116のラチェット歯120に噛合うようになっている。一対の噛合い突起132がラチェット歯120に噛合った状態では、一対のウェイト124を介してロータ108とギヤ116とが一体的に連結され、ロータ108、一対のウェイト124及びギヤ116が一体で回転する構成となっている。
また、一対のウェイト124に作用する遠心力が所定値未満になると(ロータ108の回転速度が所定値未満になると)、一対のウェイト124は、一対の捩りコイルスプリング130の付勢力によってロータ108の径方向内側へ回動され、一対の噛合い突起132とギヤ116のラチェット歯120との噛合い状態が解除される。この状態では、ロータ108とギヤ116との相対的に空転が可能となる構成である。
ここで、本モータリトラクタ10では、出力ギヤ52、ドライブギヤ56の外歯60、ドラム80の外歯82、及び香箱38の外歯40(第1駆動力伝達手段)による減速比は、出力ギヤ52、中間ギヤ88の外歯92、アダプタ94のギヤ部98の外歯100、ロータ108の外歯114、ギヤ116の外歯118、香箱38の外歯40(第2駆動力伝達手段)によるトータルの減速比に比べて充分に低く設定されている。
一方、図1に示す如く、本モータリトラクタ10では、制御装置138によってモータ48への給電制御が為されるようになっている。制御装置138は、ドライバ140とECU142とから構成されている。モータ48は、ドライバ140を介して車両に搭載されたバッテリーに電気的に接続されており、バッテリーからの電流がドライバ140を介して供給されるようになっている。ドライバ140は、ECU142に接続されており、このドライバ140を介したモータ48への給電の有無、供給電流の方向、及び大きさがECU142によって制御される構成である。
また、ECU142は、乗員のウエビング28装着有無に応じた信号を出力するバックルスイッチ146、及び車両と車両前方の障害物との距離に応じて信号を出力する前方監視装置148にそれぞれ接続されている。
バックルスイッチ146は、ウエビング28に設けられたタングプレートがバックル装置(何れも図示省略)に連結されているときにON信号をECU142に出力し、タングプレートのバックル装置への連結状態が解除されているときにOFF信号をECU142に出力するようになっている。すなわち、バックルスイッチ146は、乗員によるウエビング28の装着有無に対応したタングプレートとバックル装置との連結の有無に対応して上記ON信号及びOFF信号の何れか一方をECU142に出力する構成である。
前方監視装置148は、車両前端部近傍に設けられた赤外線センサ150を備えている。赤外線センサ150は赤外線を車両前方に発すると共に、車両の前方で走行若しくは停止している他の車両や障害物(以下、走行若しくは停止している他の車両も含めて便宜上「障害物」と称する)で反射した赤外線を受ける。
さらに、前方監視装置148は演算部152を備えている。演算部152は赤外線センサ150から赤外線が発せられてから、障害物で反射して赤外線センサ150に戻るまでに要する時間に基づき障害物までの距離を演算する。また、演算部152は、この演算結果に基づき障害物検出信号OsをECU142に対して出力する。この障害物検出信号Osは、障害物までの距離が所定値以上であればLowレベルとされ、障害物までの距離が所定値未満であればHighレベルとされる。
ここで、本モータリトラクタ10では、ECU142及びドライバ140は、モータ48の出力軸50の回転の速さを第1速さ及び当該第1速さよりも速い第2速さの2段階に切り替え可能な構成とされている。
具体的には、ECU142は、バックルスイッチ146から入力される信号がON信号からOFF信号に変わると、モータ48への給電を開始させる制御信号をドライバ140に出力する。制御信号が入力されたドライバ140は、バッテリーから電流値I1の電流Fをモータ48に供給する。この場合、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)は、第1速さで正方向(矢印C方向)へ回転する。
また、本モータリトラクタ10では、ECU142は、演算部152から入力される障害物検出信号OsがLowレベルからHighレベルに変わると、モータ48への給電を開始させる操作信号をドライバ140に出力する。操作信号が入力されたドライバ140は、バッテリーから電流値I2の電流Rをモータ48に供給する。この場合、電流Rの電流値I2は、上記電流Fの電流値I1よりも大きく設定されており、また、電流Rの方向は、電流Fの方向と逆方向に設定されている。したがって、この場合、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)は、上記第1速さよりも速い第2速さで逆方向(矢印D方向)へ回転する。
次に、本第1の実施の形態の作用を説明する。
上記構成のモータリトラクタ10では、スプール20にウエビング28が層状に巻き取られた収納状態で、図示しないタングプレートを引っ張りつつウエビング28を引っ張ると、スプール20を巻取方向に付勢する渦巻きばね44の付勢力に抗してスプール20を引出方向へ回転させながらウエビング28が引き出される。
このように、ウエビング28が引き出された状態で、ウエビング28を座席に着座した乗員の身体の前方に掛け回しつつタングプレートをバックル装置に差し込み、バックル装置にタングプレートを保持させることで乗員の身体に対するウエビング28の装着状態となる。
このように、乗員がウエビング28を装着した状態では、該ウエビング28は渦巻きばね44の付勢力によって比較的弱く乗員を拘束している。また、この状態でECU142には、バックルスイッチ146からのON信号が入力されている。
一方、乗員が車両を停車してバックル装置からタングプレートを外すと、スプール20は渦巻きばね44の付勢力により巻取方向へ回転する。但し、この渦巻きばね44の付勢力は比較的弱く設定されているため、スプール20は、この渦巻きばね44の付勢力に対応した比較的弱い回転力で巻取方向へ回転する。
またこのとき、ECU142には、バックルスイッチ146からOFF信号が入力される。OFF信号が入力されたECU142は、モータ48への給電を開始させる制御信号をドライバ140に出力し、この制御信号が入力されたドライバ140は、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)を第1速さで正方向(軸線周り一方、矢印C方向)へ回転させる。出力ギヤ52が軸線周り一方(矢印C方向)へ回転すると、出力ギヤ52に外歯92が噛合されたオーバーロード機構86の中間ギヤ88が軸線周り一方(矢印I方向)へ回転する。
中間ギヤ88の回転は、第2クラッチスプリング104を介してアダプタ94に伝達され、アダプタ94が軸線周り一方(矢印I方向)へ回転する。このため、アダプタ94のギヤ部98の外歯100に外歯114が噛合された遠心クラッチ106のロータ108が軸線周り一方(矢印K方向)へ回転され、ロータ110に支持された一対のウェイト124に遠心力が作用する。この場合、一対のウェイト124に作用する遠心力は、一対のウェイト124を一対の捩りコイルスプリング130の付勢力に抗してロータ108の径方向外側へ回動させる程には増加せず、したがって、一対のウェイト124は一対の捩りコイルスプリング130の付勢力によってロータ108の径方向内側に保持される。この状態では、一対の噛合い突起132は、ギヤ116のラチェット歯120から離間しており、ロータ108は、一対のウェイト124、一対の捩りコイルスプリング130、シート134、カバー112と共にギヤ116に対して相対的に空転する。
一方、上述の如く、出力ギヤ52が第1速さで軸線周り一方(矢印C方向)へ回転すると、出力ギヤ52に外歯60が噛合された噛合いクラッチ54のドライブギヤ56が軸線周り一方(矢印E方向)へ回転する。
このため、フリクションスプリング74が正転用パウル66を回動させ、正転用パウル66の噛合部72をラチェット62のラチェット歯64に噛合わせる。これにより、ドライブギヤ56の回転が正転用パウル66を介してラチェット62に伝達され、ラチェット62が軸線周り一方(矢印E方向)へ回転する。ラチェット62の回転は、第1クラッチスプリング84を介してドラム80に伝達され、ドラム80が第1クラッチスプリング84及びラチェット62と一体で軸線周り一方(矢印E方向)へ回転する。このため、ドラム80の外歯82に外歯40が噛合された香箱38が巻取方向(矢印G方向)へ回転され、ひいてはスプール20が巻取方向へ回転される。このスプール20の回転により、渦巻きばね44の付勢力不足が補われ、ウエビング28がスプール20に層状に巻き取られて収納される(所謂「巻取アシスト機構」)。
しかもこの場合、第1駆動力伝達手段(出力ギヤ52、ドライブギヤ56の外歯60、ドラム80の外歯82、及び香箱38の外歯40)の減速比は、第2駆動力伝達手段(出力ギヤ52、中間ギヤ88の外歯92、アダプタ94のギヤ部98の外歯100、ロータ108の外歯114、ギヤ116の外歯118、香箱38の外歯40)の減速比に比べて充分に低く設定されており、スプール20は低トルクで回転されるので、ウエビング28を安全にスプール20に巻き取って収納することができる。
また、第1駆動力伝達手段を介してウエビング28のスプール20への巻取りがアシストされている状態で、スプール20に第1設定値以上のトルクが作用した場合(例えば、異物がウエビング28に引っ掛かった場合)には、スプール20及び香箱38を介してスリップ機構78のドラム80に所定値以上のトルクが作用する。この場合、ドラム80に摩擦力により保持された第1クラッチスプリング84が、ドラム80に対して相対的に空転(スリップ)することで、ドラム80に対するラチェット62の相対回転が可能となる。これにより、ウエビング28が異物に干渉した状態で強引にスプール20に巻き取られることを防止できると共に、ラチェット62以降の各部品(正転用パウル66、ドライブギヤ56、出力ギヤ52等、出力軸50へ向けての構成)に過大なトルクが作用することを防止でき、前記各部品の損傷及びモータ48の焼損等を防止できる。
ウエビング28がスプール20に最後まで巻き取られると、ECU142及びドライバ140により、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)が所定量(所定時間)だけ逆方向(矢印D方向)に回転(逆転)される。このため、出力ギヤ52に外歯60が噛合されたドライブギヤ56が所定量だけ軸線周り他方(矢印F方向)へ回転し、フリクションスプリング74が、正転用パウル66の噛合部72をドライブギヤ56のボス部70とは反対側へ回動させる。このため、正転用パウル66の噛合部72は、ラチェット62のラチェット歯64から離間し、正転用パウル66を介したドライブギヤ56とラチェット62との連結状態が解除される。これにより、噛合いクラッチ54によるスプール20とモータの出力軸50と連結が解除され、スプール20に巻き取られたウエビング28の再度の引き出しが可能となる。
一方、車両の走行状態では、前方監視装置148の赤外線センサ150での検出結果に基づき、演算部152が車両前方の障害物までの距離を演算している。例えば、車両前方に障害物が存在しない場合、若しくは、障害物が存在するものの障害物から車両までも距離が所定値以上であれば、演算部152からはLowレベルの信号が出力される。これに対し、車両から前方の障害物までの距離が所定値未満になると、演算部152からはHighレベルの信号が出力される。
演算部152からHighレベルの信号がECU142に入力されると、ECU142はドライバ140に対して所定の操作信号を出力する。この状態での操作信号が入力されたドライバ140は、モータ48への給電を開始して出力軸50(出力ギヤ52)を第2速さで逆方向(軸線周り他方、矢印D方向)へ回転させる。
このため、出力ギヤ52に外歯60が噛合されたドライブギヤ56が軸線周り他方(矢印F方向)へ回転する。この場合、正転用パウル66の噛合部72は、フリクションスプリング74によってラチェット62のラチェット歯64から離間した状態を維持され、ドライブギヤ56とラチェット62との連結解除状態が維持される。
一方、上述の如く、出力ギヤ52が軸線周り他方(矢印D方向)へ第2速さで回転すると、出力ギヤ52に外歯92が噛合されたオーバーロード機構86の中間ギヤ88が軸線周り他方(矢印J方向)へ回転する。
中間ギヤ88の回転は、第2クラッチスプリング104を介してアダプタ94に伝達され、アダプタ94が軸線周り他方(矢印J方向)へ回転する。このため、アダプタ94のギヤ部98の外歯100に外歯114が噛合された遠心クラッチ106のロータ108が軸線周り他方(矢印L方向)へ回転され、ロータ110に支持された一対のウェイト124に所定値以上の遠心力が作用する。このため、一対のウェイト124は、一対の捩りコイルスプリング130の付勢力に抗してロータ108の径方向外側へ回動され、一対のウェイト124に設けられた噛合い突起132が、ギヤ116のラチェット歯120に噛合う。これにより、ロータ108の回転が一対のウェイト124を介してギヤ116に伝達され、ギヤ116が軸線周り他方(矢印L方向)へ回転する。
このため、ギヤ116の外歯118が外歯40に噛合されたスプール20が巻取方向(矢印G方向)へ回転される。このスプール20の巻取方向への回転によりウエビング28がスプール20に巻き取られ、これにより、ウエビング28の緩み、所謂「スラック」が解消されて、ウエビング28による乗員身体に対する拘束力が向上する(所謂「プリテンショナ機構」)。
しかもこの場合、モータ48の出力軸50の回転が、第1駆動力伝達手段(出力ギヤ52、ドライブギヤ56の外歯60、ドラム80の外歯82、及び香箱38の外歯40)よりも減速比の高い第2駆動力伝達手段(出力ギヤ52、中間ギヤ88の外歯92、アダプタ94のギヤ部98の外歯100、ロータ108の外歯114、ギヤ116の外歯118、香箱38の外歯40)を介してスプール20に伝達されるので、スプール20は、高トルクで巻取方向へ回転される。したがって、例えば、ウエビング28のスプール20への巻取時において、車両が急減速(急制動)し、これにより乗員が車両前方へ移動しようとしても、この乗員の慣性力に抗してウエビング28を強制的に巻き取ることができる。
また、第2駆動力伝達手段を介してウエビング28がスプール20に巻き取られている状態で、スプール20に第2設定値以上のトルクが作用した際(例えば、所謂「スラック」が解消され、乗員の身体が障害となり基本的にそれ以上のウエビング28の巻き取りができなくなった際など)には、アダプタ94の保持部102に対して摩擦力により保持された第2クラッチスプリング104がアダプタ94に対して相対的に空転(スリップ)することで、アダプタ94と中間ギヤ88(出力ギヤ52)との間の回転の伝達が切り離され、両者が相対的に空転する。これにより、ロータ108、一対のウェイト124及びギヤ116を介してアダプタ94に連結されたスプール20が、モータ48の駆動力によって必要以上の力で巻取方向へ回転されることを防止でき、ウエビング28が必要以上の力で乗員の身体を締め付けることを防止できる。
ウエビング28がスプール20に最後まで巻き取られると、ECU142及びドライバ140により、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)を停止させる。このため、中間ギヤ88、第2クラッチスプリング104、アダプタ94、及びロータ108の回転が停止され、一対のウェイト124に作用する遠心力がなくなる。これにより、一対のウェイト124は一対の捩りコイルスプリング130の付勢力によってロータ108の径方向内側へ回動され、一対の噛合い突起132とギヤ116のラチェット歯120との噛合い状態が解除される。このため、ロータ108とギヤ116との相対的に空転が可能となり、遠心クラッチ106によるスプール20とモータの出力軸50と連結が解除されるが、この状態では、ケース22内に設けられた図示しないロック機構により、スプール20の引出方向の回転が阻止され、ウエビング28の引き出しが阻止される。
ここで、本第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10では、上述の如く、ECU142及びドライバ140がモータ48の出力軸50の回転の速さを第1速さ又は第2速さに切り替えることで、モータ50からスプール20への回転力の伝達経路が、第1駆動力伝達手段(噛合いクラッチ54及びスリップ機構78を通る経路)又は第2駆動力伝達手段(オーバーロード機構86及び遠心クラッチ106を通る経路)に切り替えられる。したがって、従来のモータリトラクタに適用されているソレノイドを含む複雑な切替機構が不要であり、これにより、装置の小型化を図ることができる。
以上説明したように、本第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10によれば、巻取アシスト機構とプリテンショナ機構に要求される互いに相反する性能を単一のモータ48により両立できると共に、切替機構が不要で装置の小型化が可能である。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の構成・作用については前記第1の実施の形態と同符号を付してその説明を省略する。
図9には、本発明の第2の実施の形態に係るモータリトラクタ200の第1駆動力伝達手段の構成が展開図にて示されている。
モータリトラクタ200は、前記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10と基本的に同様の構成であるが、第1駆動力伝達手段を構成するドライブギヤ56と出力ギヤ52との間には、ギヤ202が設けられている。このギヤ202は、外周に形成された平歯の外歯204がドライブギヤ56の外歯60及び出力ギヤ52に噛合されている。
このため、このモータリトラクタ200では、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)が正転(矢印C方向へ回転)すると、ギヤ202が軸線周り一方(矢印M方向)へ回転され、ドライブギヤ56が軸線周り他方(矢印F方向)へ回転される。この場合、前述したように、正転用パウル66によるドライブギヤ56とラチェット62との連結状態は解除されたままとなり、ドライブギヤ56とラチェット62とは相対的に空転する。
一方、モータ48の出力軸50が(出力ギヤ52)が逆転(矢印D方向へ回転)すると、ギヤ202が軸線周り他方(矢印N方向)へ回転され、ドライブギヤ56が軸線周り一方(矢印E方向)へ回転される。この場合、前述したように、正転用パウル66によってドライブギヤ56とラチェット62とが連結され、噛合いクラッチ54が連結状態になる。出力軸50の回転が噛合いクラッチ54、スリップ機構78、及び香箱38(スプール20)が巻取方向(矢印G方向)へ回転される。
ここで、このモータリトラクタ200では、モータ48の出力軸50が(出力ギヤ52)が第1速さで逆転(矢印D方向へ回転)した場合には、上述のように、第1駆動力伝達手段の噛合いクラッチ54が連結状態になることで、出力軸50の回転が噛合いクラッチ54、スリップ機構78、及び香箱38を介してスプール20に伝達され、スプール20が巻取方向(矢印G方向)へ回転される。
これに対し、モータ48の出力軸50が(出力ギヤ52)が第2速さで逆転(矢印D方向へ回転)した場合には、第2駆動力伝達手段の遠心クラッチ106が連結状態になり、出力軸50の回転が第2駆動力伝達手段(オーバーロード機構86及び遠心クラッチ106)を介してスプール20に伝達される。この場合、第1駆動力伝達手段の噛合いクラッチ54も連結状態になっているが、スリップ機構78の第1クラッチスプリング84がドラム80に対して相対的に空転(スリップ)することで、第1駆動力伝達手段を介したモータ48からスプール20への回転力の伝達が遮断される構成となっている。
すなわち、このモータリトラクタ200では、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)は、ECU142によって常に一方向(矢印D方向)へ回転されるが、ECU142が出力軸50の回転の速さを第1速さ又は第2速さに切り替えることで、モータ48からスプール20への回転力の伝達経路が第1駆動力伝達手段又は第2駆動力伝達手段に切り替えられる構成である。したがって、ECU142によるモータ48の駆動制御をシンプルなものにすることができる。
なお、スリップ機構78の代わりに、出力軸50の回転の速さが第2速さに達するまでは出力軸50とスプール20との連結状態を維持し、出力軸50の回転の速さが第2速さになった際に出力軸50とスプール20との連結状態を解除するクラッチを適用して構成することもできる。この場合でも、本第2の実施の形態に係るモータリトラクタ200と基本的に同様の作用・効果を奏する。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の構成・作用については前記第1の実施の形態と同符号を付してその説明を省略する。
図10には、本発明の第3の実施の形態に係るモータリトラクタ300の第1駆動力伝達手段及び第2駆動力伝達手段の構成が分解斜視図にて示されている。また、図11には、このモータリトラクタ300の第1駆動力伝達手段の構成が断面図にて示されている。
モータリトラクタ300は、前記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10と基本的に同様の構成であるが、このモータリトラクタ300は、前記第1の実施の形態に係る噛合いクラッチ54及びスリップ機構78の代わりに、第1駆動力伝達手段を構成する噛合いクラッチ302及びスリップ機構304を備えている。
図12及び図13に示すように、噛合いクラッチ302は、ドライブギヤ306を有している。ドライブギヤ306は、ケース32に取り付けられた支軸58が軸心部を貫通することでケース32に回転自在に支持されている。また、ドライブギヤ306の外周部には、平歯の外歯60が形成されており、この外歯60は上述した出力ギヤ52に噛合されている。このため、出力ギヤ52が軸線周り一方(図10の矢印C方向)へ回転すると(モータ48の出力軸50が正転すると)、ドライブギヤ306が軸線周り一方(図10の矢印E方向)へ回転し、出力ギヤ52が軸線周り他方(図10の矢印D方向)へ回転すると(モータ48の出力軸50が逆転すると)、ドライブギヤ306が軸線周り他方(図10の矢印F方向)へ回転するようになっている。
ドライブギヤ306の軸線方向一側(図12及び図13の矢印A方向側)には、円盤状に形成されて噛合いクラッチ302を構成するラチェット308が設けられている。ラチェット308は、軸心部を支軸58が貫通することで、ケース32に回転自在に支持されており、ドライブギヤ56に対して相対回転可能とされている。ラチェット308のドライブギヤ306側には、外歯310が形成されている。この外歯310は、ドライブギヤ306の軸心部に形成された有底円筒状のボス部312の内側に配置されている。
ドライブギヤ56の軸線方向他側(図12及び図13の矢印B方向側)には、噛合いクラッチ302を構成する正転用パウル314と逆転用パウル316が設けられている。正転用パウル314と逆転用パウル316は、それぞれ本体部318と本体部320を備えており、これらの本体部318、320は、それぞれドライブギヤ306の軸線方向他端部に突設された支持軸322と支持軸324に回動可能に支持されている。また、正転用パウル314は、本体部318からドライブギヤ306の周方向一側(図12及び図13の矢印E方向側)へ向けて延出された噛合部326を備えており、逆転用パウル316は、本体部320からドライブギヤ306の周方向他側(図12及び図13の矢印F方向側)へ向けて延出された噛合部328を備えている。また、正転用パウル314は、本体部318からドライブギヤ306の周方向他側(図12及び図13の矢印F方向側)へ向けて延出された被駆動部327を備えており、逆転用パウル316は、本体部320からドライブギヤ306の周方向一側(図12及び図13の矢印E方向側)へ向けて延出された被駆動部329を備えている。
これらの正転用パウル314及び逆転用パウル316は、ドライブギヤ306のボス部312に対向して配置されており、支持軸322、324周りに回動することで、噛合部326、328がボス部312に対して接離移動するようになっている。ボス部312の側壁には正転用パウル314及び逆転用パウル316に対向する位置に貫通孔330、332が形成されており、正転用パウル314の噛合部326と逆転用パウル316の噛合部328とは、共にボス部312の内側に配置されたラチェット308の外歯310に係合(噛合)可能に対向している。
また、ドライブギヤ306の軸線方向他側(図12及び図13の矢印B方向側)には、噛合いクラッチ302を構成する慣性部材としてのウェイト334が設けられている。ウェイト334は、金属材料によって略半円形の板状に形成されており、軸心部には円孔336が形成されている。この円孔336には、ドライブギヤ306の軸心部に突設された円柱状の支軸338が回転可能に嵌合しており、これにより、ウェイト334はドライブギヤ306に対して回転可能に支持されている。
また、ウェイト334の円孔336の近傍には、係止孔340が形成されており、捩りコイルスプリング342の一端部が係止されている。この捩りコイルスプリング342の他端部は、ドライブギヤ306に突設された係止突起344に係止されており、ウェイト334は通常は捩りコイルスプリング342の付勢力によってドライブギヤ306に対し所定の中立位置に保持されている(図14図示状態)。
さらに、ウェイト334のドライブギヤ306側の端面には、正転用パウル314及び逆転用パウル316に当接する一対の駆動突起346、348が突設されている。これら一対の駆動突起346、348は、それぞれドライブギヤ306の貫通孔330、332内に配置されており、それぞれ正転用パウル314の噛合部326及び逆転用パウル316の噛合部328を、ラチェット308の外歯310から離間した状態に保持している。
ここで、この噛合いクラッチ302では、ドライブギヤ306が軸線周り一方(図14の矢印E方向)へ回転すると、ウェイト334は慣性によってその場に留まろうとする。このため、ドライブギヤ306はウェイト334に対して軸線周り一方(図14の矢印E方向)へ所定量相対回転する。そして、図15に示すように、駆動突起346、348がそれぞれ貫通孔330、332の内周部に当接すると、ウェイト334はドライブギヤ306に対する相対回転を規制され、ドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り他方へ所定量変位した状態で、ドライブギヤ306に追従して軸線周り一方へ回転する。
このように、ウェイト334がドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り他方へ所定量変位した状態では、ウェイト334の駆動突起346が正転用パウル314の被駆動部327に乗り上げることで、正転用パウル314の被駆動部327がドライブギヤ306の径方向外側へ移動されると共に、正転用パウル314の噛合部326がドライブギヤ306の径方向内側へ移動され、ラチェット308の外歯310に噛合う。これにより、ドライブギヤ306の軸線周り一方への回転が正転用パウル314を介してラチェット308に伝達され、ラチェット308が軸線周り一方へ回転される。
また、ドライブギヤ306が停止すると、ウェイト334は捩りコイルスプリング342の付勢力によってドライブギヤ306に対する中立位置へ戻される(図14図示状態)。このため、ウェイト334の駆動突起346が、正転用パウル314の被駆動部327から離間すると共に、正転用パウル314の噛合部326をラチェット308の外歯310から離間させる。これにより、ドライブギヤ306とラチェット308との間の正転用パウル314を介した回転の伝達が解除される。
一方、ドライブギヤ306が軸線周り他方(図14の矢印F方向)へ回転すると、ウェイト334は慣性によってその場に留まろうとする。このため、ドライブギヤ306はウェイト334に対して軸線周り他方へ所定量相対回転する。そして、図16に示すように、駆動突起346、348がそれぞれ貫通孔330、332の内周部に当接すると、ウェイト334はドライブギヤ306に対する相対回転を規制され、ドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り一方へ所定量変位した状態で、ドライブギヤ306に追従して軸線周り他方へ回転する。
このように、ウェイト334がドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り一方へ所定量変位した状態では、ウェイト334の駆動突起348が逆転用パウル316の被駆動部329に乗り上げることで、逆転用パウル316の被駆動部329がドライブギヤ306の径方向外側へ移動されると共に、逆転用パウル316の噛合部328がドライブギヤ306の径方向内側へ移動され、ラチェット308の外歯310に噛合う。これにより、ドライブギヤ306の軸線周り他方への回転が逆転用パウル316を介してラチェット308に伝達され、ラチェット308が軸線周り他方へ回転される。
また、ドライブギヤ306が停止すると、ウェイト334は捩りコイルスプリング342の付勢力によってドライブギヤ306に対する中立位置へ戻される(図14図示状態)。このため、ウェイト334の駆動突起348が、逆転用パウル316の被駆動部329から離間すると共に、逆転用パウル316の噛合部328をラチェット308の外歯310から離間させる。これにより、ドライブギヤ306とラチェット308との間の逆転用パウル316を介した回転の伝達が解除される。
なお、ウェイト334が中立位置に位置する状態では、一対の駆動突起346、348は、それぞれ正転用パウル314の被駆動部327及び逆転用パウル316の被駆動部329から所定距離離間して配置されており、ウェイト334がドライブギヤ306に対して僅かに回転しても正転用パウル314及び逆転用パウル316は回動されない構成となっている。
また一方、ラチェット308の軸線方向一側(図12及び図13のの矢印A方向側)には、有底円筒状に形成されてスリップ機構304を構成するドラム80が設けられている。このドラム80は、前記第1の実施の形態に係るドラム80と基本的に同様の構成とされており、図10及び図11に示すように、外周部に形成された外歯82が香箱38の外歯40に噛合されている。このため、ドラム80がその軸線周り一方(図10の矢印E方向)へ回転すると、香箱38が巻取方向(図10の矢印G方向)へ回転し、ドラム80がその軸線周り他方(図10の矢印F方向)へ回転すると、香箱38が引出方向(図10の矢印H方向)へ回転する構成となっている。
ドラム80の内側には、スリップ機構304を構成する第1スリップ部材としての第1クラッチスプリング350が設けられている。第1クラッチスプリング350は、金属の板材を略C字状に湾曲して形成されたものであり、前記第1の実施の形態に係る第1クラッチスプリング84と基本的に同様の機能を備えている。すなわち、第1クラッチスプリング350は、外周面がドラム80の内周面に密着され、湾曲方向一端部に形成された係止部352がラチェット308に係止されている。これにより、ドラム80は、第1クラッチスプリング350を介してラチェット308に連結されており、基本的にラチェット308と一体で回転するが、ラチェット308とドラム80との間に、所定値以上の回転力が作用すると、第1クラッチスプリング350がドラム80に対してスリップすることで、ラチェット308及び第1クラッチスプリング350とドラム80とが相対的に空転する構成となっている。
さらに、このモータリトラクタ300では、乗員がウエビング28を装着しようとした際(例えば、ウエビング28が本モータリトラクタ300に全格納された状態で、図示しない巻取量センサ等がスプール20の引出方向への回転を検出した際)には、ECU142及びドライバ140がモータ48の出力軸50を第1速さで逆方向(軸線周り他方、図10の矢印D方向)へ回転させる。そして、バックルスイッチ146からON信号が入力されると、ECU142及びドライバ140がモータ48の出力軸50を停止させる構成になっている。
なお、このモータリトラクタ300では、他の構成部品は前記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10と基本的に同様の構成とされている。
次に、本第3の実施の形態の作用について説明する。
上記構成のモータリトラクタ300では、前記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10と同様に、乗員がバックル装置からタングプレートを外すと、ECU142及びドライバ140が、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)を第1速さで正方向(軸線周り一方、図10の矢印C方向)へ回転させる。出力ギヤ52が軸線周り一方へ回転すると、出力ギヤ52に外歯60が噛合された噛合いクラッチ302のドライブギヤ306が軸線周り一方(図10の矢印E方向側)へ回転する。
ドライブギヤ306が軸線周り一方(図10の矢印E方向)へ回転すると、ウェイト334は慣性によってその場に留まろうとする。このため、ドライブギヤ306はウェイト334に対して軸線周り一方へ所定量相対回転する。そして、図15に示すように、駆動突起346、348がそれぞれ貫通孔330、332の内周部に当接すると、ウェイト334はドライブギヤ306に対する相対回転を規制され、ドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り他方へ所定量変位した状態で、ドライブギヤ306に追従して軸線周り一方へ回転する。
このように、ウェイト334がドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り他方へ所定量変位した状態では、ウェイト334の駆動突起346が正転用パウル314の被駆動部327に乗り上げることで、正転用パウル314の被駆動部327がドライブギヤ306の径方向外側へ移動されると共に、正転用パウル314の噛合部326がドライブギヤ306の径方向内側へ移動され、ラチェット308の外歯310に噛合う。これにより、ドライブギヤ306の軸線周り一方への回転が正転用パウル314を介してラチェット308に伝達され、ラチェット308が軸線周り一方(図10の矢印E方向)へ回転される。
ラチェット308の軸線周り一方への回転は、第1クラッチスプリング350を介してドラム80に伝達され、ドラム80が軸線周り一方へ回転されると共に、香箱38が巻取方向(図10の矢印G方向)へ回転され、ひいてはスプール20が巻取方向へ回転される。これにより、前記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ10と同様に、ウエビング28がスプール20に巻き取られて収納される(所謂「巻取アシスト機構」)。
ウエビング28がスプール20に最後まで巻き取られると、ECU142及びドライバ140によって、モータ48の出力軸50(出力ギヤ52)が停止され、ドライブギヤ306が停止する。ドライブギヤ306が停止すると、ウェイト334は捩りコイルスプリング342の付勢力によってドライブギヤ306に対する中立位置へ戻される(図14図示状態)。このため、ウェイト334の駆動突起346が、正転用パウル314の被駆動部327から離間すると共に、正転用パウル314の噛合部326をラチェット308の外歯310から離間させる。これにより、正転用パウル314を介したドライブギヤ306とラチェット308との連結状態が解除され、噛合いクラッチ302によるスプール20とモータ48の出力軸50との連結が解除される。これにより、スプール20に巻き取られたウエビング28の再度の引き出しが可能となる。
一方、乗員がウエビング28を装着しようとした際には、ECU142及びドライバ140がモータ48の出力軸50(出力ギヤ52)を第1速さで逆方向(軸線周り他方、図10の矢印D方向)へ回転させる。出力ギヤ52が軸線周り他方へ回転すると、出力ギヤ52に外歯60が噛合された噛合いクラッチ302のドライブギヤ306が軸線周り他方(図10の矢印F方向側)へ回転する。
ドライブギヤ306が軸線周り他方へ回転すると、ウェイト334は慣性によってその場に留まろうとする。このため、ドライブギヤ306はウェイト334に対して軸線周り他方へ所定量相対回転する。そして、図16に示すように、駆動突起346、348がそれぞれ貫通孔330、332の内周部に当接すると、ウェイト334はドライブギヤ306に対する相対回転を規制され、ドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り一方へ所定量変位した状態で、ドライブギヤ306に追従して軸線周り他方へ回転する。
このように、ウェイト334がドライブギヤ306に対し中立位置から軸線周り一方へ所定量変位した状態では、ウェイト334の駆動突起348が逆転用パウル316の被駆動部329に乗り上げることで、逆転用パウル316の被駆動部329がドライブギヤ306の径方向外側へ移動されると共に、逆転用パウル316の噛合部328がドライブギヤ306の径方向内側へ移動され、ラチェット308の外歯310に噛合う。これにより、ドライブギヤ306の軸線周り他方への回転が逆転用パウル316を介してラチェット308に伝達され、ラチェット308が軸線周り他方(図10の矢印F方向)へ回転される。
ラチェット308の軸線周り他方への回転は、第1クラッチスプリング350を介してドラム80に伝達され、ドラム80が軸線周り他方へ回転されると共に、香箱38が引出方向(図10の矢印H方向)へ回転され、ひいてはスプール20が引出方向へ回転される。これにより、乗員によるウエビング28の引き出しがアシストされるので、乗員は軽い力でウエビング28を引き出すことができる(所謂「引出アシスト機構」)。
そして、乗員がウエビング28に設けられたタングプレートをバックル装置に係合させると、ECU142及びドライバ140によって、モータ48の出力軸50が停止され、ドライブギヤ306が停止する。ドライブギヤ306が停止すると、ウェイト334は捩りコイルスプリング342の付勢力によってドライブギヤ306に対する中立位置へ戻される(図14図示状態)。このため、ウェイト334の駆動突起348が、逆転用パウル316の被駆動部329から離間すると共に、逆転用パウル316の噛合部328をラチェット308の外歯310から離間させる。これにより、逆転用パウル316を介したドライブギヤ306とラチェット308との連結状態が解除され、噛合いクラッチ302によるスプール20とモータ48の出力軸50との連結が解除される。このため、スプール20は、渦巻きばね44の付勢力に対応した比較的弱い回転力で巻取方向へ回転し、装着状態におけるウエビング28の弛みが除去される。
以上説明したように、本第3の実施の形態に係るモータリトラクタ300においても、前記第1の実施の形態に係るモータリトラクタ300と基本的に同様の作用効果を奏する。しかも、このモータリトラクタ300では、第1駆動力伝達手段を構成する噛合いクラッチ302が、モータ48の出力軸50の正転と逆転との両方向の回転をスプール20に伝達するため、上述の如く巻取アシスト機構と引出アシスト機構との両方の機構を成立させることができる。また、このように単一の噛合いクラッチ302によって両方向の回転伝達を成立させているため、噛合いクラッチ302の構造を簡素で小型にできる。これにより、本モータリトラクタ300の小型化及びコストの低減を図ることができる。