以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本実施形態のホログラム記録装置によってホログラム記録が行われるホログラム記録媒体(メディア)には、そのメディアがもつ基板の複屈折による影響を緩和するために、その媒体に対して最適なホログラム記録条件があらかじめ記録されている。このホログラム記録条件は、たとえばディスク型の媒体の場合には、ディスク最内周の領域などにヘッダ情報として記録される。
ホログラム記録条件は多重記録の方式によって異なる。
メディアをディスクとした場合、角度多重方式のホログラム記録条件には、
・ディスクのR方向(半径方向)の各位置における2光波の入射平面角、
・ディスクのR方向の各位置における記録角度範囲(多重数)、
・ディスクのR方向の各位置において、各記録角度(各ホログラムの記録)における記録時間などの記録パワーなどがある。
回転多重方式のホログラム記録条件には、
・ディスクのR方向の各位置における多重記録する2光波の入射平面角、
・ディスクのR方向の各位置において、各入射平面角(回転多重)の各記録角度(角度多重)における記録時間などの記録パワー、
・ディスクのR方向の各位置において、各入射平面角(回転多重)の各記録角度(角度多重)における記録角度範囲などがある。
コリニア方式のホログラム記録条件には、
・ディスクのR方向の各位置における空間光変調器上のパターンの各円周方向に与える強度変調情報、
・ディスクのR方向の各位置における空間光変調器上に与える円周方向の信号光および参照光各々のパターンの大きさの情報、
・ディスクのR方向の各位置における記録時間などの記録パワーなどがある。
上記のディスクのR方向(半径方向)の位置とは、ディスクの領域を、複屈折率の値のある範囲ごとに半径方向の位置で区切った領域の位置を意味する。よって基板の複屈折率が大きいほど1枚のディスクにおいて区切る領域の数は多くなる。
上記のホログラム記録条件は、ディスクの内外周の位置に対するディスク表面、垂直方向に対する屈折率情報nx,ny,nzや、おのおのの方向に対する複屈折の情報(Δnxy,Δnxz,Δnyz)、さらに各複屈折の軸の向き(角度など)などを実際に観測し、その観測結果から求めることができる。複屈折の測定方法としては、例えばセナルモンの方法、プリズムカプラ方式、エリプソメータでの測定などがある。
次に、上記ヘッダ情報に基づいてメディアへのホログラム記録を行う、角度多重方式、回転多重方式、コリニア方式それぞれのホログラム記録装置について説明する。
1.角度多重方式
(2光波の入射平面角)
上記したように、一般的に複屈折の影響は、ディスク表面方向(nx,ny)とディスク表面に対して垂直方向(nz)とに分類される。ここで、ディスク型とカード型各々のメディアについて、複屈折の影響を考慮した信号波および参照波の2光波の入射方向について説明する。
図2を用いてディスク型のメディアの場合から説明する。メディア1は、記録層2の両面にプラスチック製の基板3,4を貼り合わせたものである。よって、光が入射される前側のプラスチック製の基板3の複屈折による影響が考えられる。図中符号5の屈折率楕円体に示すように、ディスク型のメディア1の場合、射出条件にもよるが、一般的にはメディア1の中心から放射線方向に平面方向(nx,ny)の複屈折の軸が存在する。したがって、その複屈折の軸と入射光の偏光方向が一致するときに最も複屈折の影響が少なくなるので、メディア1の放射線方向に対して水平に、信号光と参照光の2光波の入射平面6を持ってくるか、もしくはメディア1の放射線方向に対して垂直に上記2光波の入射平面7を持ってくるかのいずれかによって、メディア1の内外周の複屈折の差や、垂直複屈折の影響を最小に抑えることができる。
次に、図3を用いてカード型のメディアの場合を説明する。カード型のメディア8の場合、射出条件にもよるが、一般的にはカード型メディア8の表面に対して水平または垂直方向に屈折率楕円体9の軸があると考えてよい。このカード型メディア8の場合も、上記ディスク型のメディア1と同様、複屈折の軸と入射光の偏光方向が一致するときに最も複屈折の影響が少なくなるため、複屈折の軸と水平に2光波の入射平面10を持ってくるか、もしくは複屈折の軸に対して垂直に2光波の入射平面11を持ってくるかのいずれかによって、垂直複屈折の影響などを抑えることができる。
ただし、メディアによって平面方向の複屈折の軸の向きは必ずしも一定でない。そこで、メディアに上記2光波の入射平面角をヘッダ情報として記録しておき、記録時にこのヘッダ情報を読み込んで2光波の入射平面角を設定することが有効である。さらに、ディスク型のメディア1ではR方向の位置によって複屈折の軸の向きが異なる場合があるので、ヘッダ情報にR方向の各位置における2光波の入射平面角の情報を記述しておき、このヘッダ情報に基づきR方向(半径方向)の記録位置に対して最適な入射平面角を設定するようにすればよい。
(記録角度範囲(多重数))
図4に示すように、あるメディアに対する屈折率楕円体12を想定すると、垂直複屈折の影響により、入射光の角度範囲(記録角度範囲)が制限される。角度多重方式の場合には、垂直複屈折の影響は入射光のメディア垂線からの角度が大きくなればなるほど大きくなるため、角度を固定する方の入射光13を複屈折の影響を受けない角度範囲14内のぎりぎりの角度で入射させることにより、他方の入射光15の複屈折の影響を受けない角度領域を増やすことができる。
図5の(a)および(b)は複屈折の影響を大きく受けない角度範囲14を示している。図5の(a)に示すように、信号光16を複屈折の影響を大きく受けない角度範囲14内のぎりぎりの角度で入射させた場合には、図5の(b)に示すそうでない場合と比べて参照光17を振ることのできる角度幅が広がっていることがわかる。
角度多重方式の場合、上記したように、複屈折の軸と水平または垂直の方向に入射平面をもたせることによって、平面方向の複屈折の影響は極力避けられる。しかし角度多重方式では記録時に参照光または信号光の角度を振るために垂直方向の複屈折の影響を受ける。このことから、記録角度範囲については垂直複屈折も考慮して変化させる必要がある。
具体的には、ホログラム記録媒体としてディスク型のメディアを想定した場合、メディアの内外周で複屈折率の値が異なることが考えられるので、内外周の間で入射光の角度範囲を変える必要がある。一般的には外周の方が複屈折率が大きくなり、回折効率に影響を与えるため、外周では入射光の角度を振る範囲を狭めて多重度を減らすことになる。
そこで本実施形態では、ディスクにR方向の各位置における記録角度範囲をヘッダ情報として記録しておき、記録時にこのヘッダ情報を読み込んで、R方向の記録位置に対して入射光の最適な記録角度範囲(多重数)を設定することによって、垂直複屈折による影響を抑えている。
(記録パワー)
上記のように、ディスク型のメディアの場合、ディスクの内外周で複屈折率の値が異なる(外周の方が複屈折率が大きい)ことがあるので、このようなメディアに対しては、R方向の記録位置に応じて記録パワーを変えることが有益である。また、入射光の角度が大きくなるにつれて複屈折の影響が大きくなるので、入射光の角度が大きくなるにつれて記録パワーを上げて行くことで、回折効率のばらつきの影響を小さく抑えつつ、記録角度の範囲を広げられるので、多重度を増やすことができる。記録パワーは、具体的には、ビーム強度、記録時間、パルス記録の場合のパルス数によって選定可能である。
ところで、ホログラムを多重記録する際には後に記録されたものほど記録材料(有機材料の場合にはポリマー)の残量が少なくなるので、メディアのポリマー残量に応じて徐々に記録パワーを上げて行くスケジューリング記録があるが、この方式に上記の複屈折の影響を考慮すると、入射角度が大きい(複屈折の影響が大きい)外周の方から記録していくと、ポリマー残量のスケジューリング記録と打ち消しあって、一定のパワーで記録できる可能性もある。
(角度多重方式のホログラム記録装置)
図6は角度多重方式のホログラム記録装置の構成を示す図である。
同図に示すように、この角度多重方式のホログラム記録装置は、ホログラム記録媒体であるディスク型メディア1への情報の記録、再生を行うものである。
このホログラム記録装置の光学ユニット100は、記録再生用光源21,コリメートレンズ22,アイソレータ23,半波長板24,メカニカルシャッター25,偏光ビームスプリッタ26,半波長板27,偏光ビームスプリッタ28,1/2波長板29,偏光ビームスプリッタ30,1/4波長板31,リレーレンズ32,ピンホール33,ダイクロイックミラー34,対物レンズ35,サーボ用駆動ユニット36,参照光用の1/4波長板37,参照光用のピンホール38,ガルバノミラー39,反射方液晶40,倍率調整用レンズ41,CCDカメラ42,サーボ用光源43,コリメートレンズ44、グレーティング45,ビームスプリッタ46,集光用レンズ47,シリンドリカルレンズ48,受光素子49を有する。
ディスク型メディア1は、保護層50,記録層51,グルーブ52,反射層53を有し、信号光と参照光による干渉縞を記録する記録媒体である。ここで、保護層50は、記録層51を外界から保護するための層である。記録層51は、干渉縞を屈折率(あるいは透過率)の変化として記録するものであり、光の強度に応じて屈折率(あるいは透過率)の変化が行われる材料であれば、有機材料、無機材料の別を問うことなく利用可能である。無機材料として、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)のような電気光学効果によって露光量に応じ屈折率が変化するフォトリフラクティブ材料を用いることができる。有機材料として、例えば、光重合型フォトポリマーを用いることができる。光重合型フォトポリマーは、その初期状態では、モノマーがマトリクスポリマに均一に分散している。これに光が照射されると、露光部でモノマーが重合する。なお、ポリマー化するにつれて周囲からモノマーが移動してモノマーの濃度が場所によって変化する。以上のように、記録層51の屈折率(あるいは透過率)が露光量に応じて変化することで、参照光と信号光との干渉によって生じる干渉縞を屈折率(あるいは透過率)の変化としてディスク型メディア1に記録できる。
ディスク型メディア1は、図示しないスピンドルモータで回転される。ホログラム記録媒体1が回転することから、ホログラム記録媒体1上への記録・再生は移動方向に形成されたトラックに沿って行われる。
グルーブ52は、ディスク型メディア1へのトラッキング、フォーカス等のサーボ制御を行うために設けられる。即ち、ディスク型メディア1のトラックに沿ってグルーブ52が形成され、信号光の集光位置、集光深さをグルーブ52と対応するように制御することで、トラッキングサーボ、およびフォーカスサーボが行われる。
次に、この角度多重方式のホログラム記録装置の基本的な動作を説明する。
光学ユニット100において、記録再生用光源21は、レーザ光源であり、例えば、波長405[nm]のレーザダイオード(LD)や波長532[nm]のNd−YAGレーザーを用いることができる。
この記録再生用光源21から照射された光線は、コリメートレンズ22によって平行光になり、戻り光を防ぐためにアイソレータ23を通す。その後、半波長板24によってp偏光とs偏光の割合が調節され、偏光ビームスプリッタ26によってp波の信号光ライン61とs波の参照光ライン62とに分割される。
信号光は半波長板27によって強度が調節され、偏光ビームスプリッタ28を通じてp偏光成分のみが空間光変調器としての反射方液晶40に入射される。空間光変調器は、信号光を空間的に(ここでは、2次元的に)変調して、データを重畳する光学素子である。空間光変調器としては、反射方液晶のほか、DMD(Digital micro mirror)や、透過型の素子である透過型液晶素子を用いることができる。
反射方液晶40によって変調された光は、偏光が90°回転するために偏光ビームスプリッタ28によって反射する。偏光ビームスプリッタ28を反射した光は、1/2波長板29によって再びp偏光に戻され、偏光ビームスプリッタ30を透過して1/2波長板31に入る。この1/2波長板31は偏光方向を変えないような回転角になっており、入射してきたp偏光をそのまま透過する。その後リレーレンズ32を伝播される。このときピンホール33により、液晶からの高次の回折光がカットされる。
続いて、信号光はダイクロイックミラー34を通過する。ダイクロイックミラー34は、記録再生用の光とサーボに用いる光とを同一の光路にするための光学素子である。ダイクロイックミラー34の表面には、記録再生用光源21とサーボ用光源43とでレーザ光の波長が異なることに対応して、記録再生用光源21からの光を透過し、サーボ用光源43からの光を反射するような薄膜処理がなされている。
ダイクロイックミラー34を通過した光は、対物レンズ35によって集光されてディスク型メディア1に入射する。
一方、偏光ビームスプリッタ26によって分離された参照光は、1/2波長板37によってp偏光に戻され、ピンホール38によってビーム径を調節され、ガルバノミラー39によって角度が変調されて、信号光と干渉するようにディスク型メディア1の同一個所に入射される。その結果、ディスク型メディア1上に干渉縞が形成される。この際、反射方液晶40によって空間変調された情報がディスク型メディア1上にホログラムとして記録される。
ここで、角度多重を行う場合には、ガルバノミラー39の角度を変えることによってディスク型メディア1への入射角度が変わり、入射平面角の制御と、角度多重記録を行うことが可能となる。
また、半波長板24と偏光ビームスプリッタ26との間には記録時のビームの開閉を行うメカニカルシャッター25が配置されており、このメカニカルシャッター25の開閉により記録時間が可変できる。
再生時には信号光を遮断し、参照光のみをディスク型メディア1に入射させる。このとき、参照光の入射角度を記録時と同じにすることにより、同様の角度で参照光が入射されたときにディスク型メディア1に記録された信号が再生される。
ディスク型メディア1に参照光が入射すると、ディスク型メディア1に記録されたホログラムから回折光(再生光)が発生する。再生光は信号光と逆の光路をたどり、対物レンズ35を通り、ダイクロイックミラー34を透過してリレーレンズ32を通る。リレーレンズ32を通る途中でピンホール33によってノイズがカットされる。その後、再生光は1/2波長板31に入る。1/2波長板31は記録時とは異なり偏光方向を90度回転させてp偏光をs偏光にする。s偏光は偏光ビームスプリッタ30で反射されて、倍率調整用レンズ41にて倍率が調整され、CCDカメラ42で、反射方液晶40での空間的な2次元データに対応する電気信号に変換される。CCDカメラ42からの出力は、図示しない信号処理部によって2値化され、時系列2値化データに変換される。
また、サーボ用光源43は、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ等のサーボ制御を行うための光源であり、記録再生用光源21とは波長の異なるレーザ光を出射する。サーボ用光源43は、例えば、レーザーダイオードであり、発振波長としてディスク型メディア1に対して感度が小さい、例えば、650nmが使用される。
サーボ用光源43より照射されたサーボ用の光は、コリメートレンズ44によって平行光に変換され、グレーティング45にて3つのビームに分割される。グレーティング45から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ46を透過してダイクロイックミラー34に達し、ダイクロイックミラー34にて記録再生用の光と同一の光路に乗せられ、対物レンズ35によりディスク型メディア1に入射される。
ディスク型メディア1から反射したサーボ光は、対物レンズ35を通してダイクロイックミラー34に戻り、ここで反射されてビームスプリッタ46に戻る。戻りサーボ光はビームスプリッタ46で反射されて集光用レンズ47に入射し、ここで集光された後、シリンドリカルレンズ48にてビーム形状が円形から楕円形に変換されて受光素子49にて受光される。受光素子49からは、戻り光に対してトラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号などが出力される。
サーボ駆動ユニット36は、受光素子49からのトラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号により対物レンズ35を2軸方向に駆動することによって、トラッキング制御およびフォーカス制御を行うための駆動機構であり、各々の軸方向に対物レンズ35を駆動するためのコイル36A,36Bを有する。
次に、このホログラム記録装置での上記のヘッダ情報に基づく処理の流れを図7のフローチャートにより説明する。
ホログラム記録装置は、CPUおよびメモリを有するシステムコントローラを備えている。システムコントローラは、ディスク型メディア1を回転させる図示せぬスピンドルモータや光学ユニット100の制御を行う制御手段である。
まず、システムコントローラは、ディスク型メディア1を回転させ、ディスク型メディア1の最内周に記録されているヘッダ情報を読み込み、その内容をメモリに保存する(ステップS1)。ここで、メモリに保存されるヘッダ情報には、ディスク型メディア1上の記録位置を管理するための情報のほかに、ホログラム記録条件として、ディスクのR方向(半径方向)の各位置における2光波の入射平面角、ディスクのR方向の各位置における記録角度範囲(多重数)、ディスクのR方向の各位置において、各記録角度(各ホログラムの記録)における記録時間などの記録パワーがある。
ディスク型メディア1の不感領域を取り払うためにLEDなどからのインコヒーレント光をディスク面に照射する(ステップS2)。
上記ヘッダ情報に含まれている記録位置を管理するための情報を基に記録位置を決定し、2光波の照射位置がその記録位置に来るようにスピンドルモータを回転させる(ステップS3)。次に、上記ヘッダ情報を基に入射平面角を決定する(ステップS4)。
続いて、記録用の2次元情報(SLMデータ)を反射方液晶40に表示させてSLMデータの転送を行う(ステップS5)。メモリに保存されたヘッダ情報中の記録位置における記録角度範囲を読み込み(ステップS6)、この記録角度範囲内に収まるようにガルバノミラー39を動かすことによって参照光の入射角度を設定する(ステップS7)。
次に、メモリに保存されたヘッダ情報の中の記録時間の情報を読み込み(ステップS8)、メカニカルシャッター25を上記記録時間の間だけ開放させることによってホログラム記録を行う(ステップS9)。
この後、1つの位置での角度多重記録が終了した場合には(ステップS10のYES)、ステップS2に戻って次の位置への角度多重記録を行い、終了していない場合には(ステップS10のNO)、ステップS5に戻って、同じ位置での異なる角度での記録を行う。
全ての位置での角度多重記録が終了した場合には(ステップS11のYES)、後処理としてインコヒーレント光をメディア全体に照射してモノマーをポリマーに変化させる(ステップS12)。これは、フォトポリマーを用いたホログラムメディアにおいては、未反応モノマーがあると再生時の参照光の照射によって追加記録となり、SNRの低下の原因となるためである。
以上のように、メディアの複屈折による影響を緩和するために、2光波の入射平面角、記録角度範囲(多重数)、記録時間などの記録パワーなど、メディアに対する角度多重方式での最適なホログラム記録条件をそのメディアに記録しておき、このホログラム記録条件に従って実際のホログラム記録を行うことによって、複屈折をもつメディアに対して角度多重方式で良好にホログラム記録を行うことが可能になる。
2.回転多重方式
次に、回転多重方式のホログラム記録装置について説明する。
図8は回転多重方式のホログラム記録装置の光学ユニットの構成を示す模式図である。
この回転多重方式のホログラム記録装置の光学ユニット200において、記録再生用光源21から照射された光線は、図示せぬコリメートレンズによって平行光になり、さらに図示せぬ半波長板によってp偏光とs偏光の割合が調節され、偏光ビームスプリッタ26によってp波の信号光ラインとs波の参照光ラインとに分割される。
信号光は、偏光ビームスプリッタ28を通じてp偏光成分のみが空間光変調器としての反射方液晶40に入射される。反射方液晶40によって変調された光は、偏光ビームスプリッタ28によって反射する。偏光ビームスプリッタ28を反射した光は、1/2波長板29によって再びp偏光に戻され、ミラー70により反射してメディア1に垂直に入射する。
一方、偏光ビームスプリッタ26によって分離された参照光は、1/2波長板37によってp偏光に戻され、ガルバノミラー39によって角度が変調されて、3次元的な曲率面を有するミラー71に入射され、ミラー71の上記曲率面で反射して、信号光と干渉するようにメディア1の同一個所に入射される。その結果、ディスク型メディア1上に干渉縞が形成される。この際、反射方液晶40によって空間変調された情報がメディア1上にホログラムとして記録される。
ここで、ガルバノミラー39はアクチュエータ72によって角度が変更されることで、ミラー71への入射位置が変化し、これに伴ってメディア1への信号光の入射方向が変化することにより、回転多重と角度多重が行われるようになっている。
次に、この回転多重方式のホログラム記録装置でのヘッダ情報に基づく処理の流れを図9のフローチャートにより説明する。
回転多重方式のホログラム記録条件には、ディスクのR方向の各位置における多重記録する2光波の入射平面角、ディスクのR方向の各位置において、各入射平面角(回転多重)の各記録角度(角度多重)における記録時間などの記録パワー、ディスクのR方向の各位置において、各入射平面角(回転多重)の各記録角度(角度多重)における記録角度範囲などがある。
この回転多重方式のホログラム記録装置は、CPUおよびメモリを有するシステムコントローラを備えている。システムコントローラは、ディスク型メディア1を回転させる図示せぬスピンドルモータや光学ユニット200の制御を行う制御手段である。
まず、システムコントローラは、ディスク型メディア1を回転させ、ディスク型メディア1の最内周に記録されているヘッダ情報を読み込み、その内容をメモリに保存する(ステップS21)。ディスク型メディア1の不感領域を取り払うためにLEDなどからのインコヒーレント光をディスク面に照射する(ステップS22)。
上記ヘッダ情報中のメディア1上の記録位置を管理するための情報を基に記録位置を決定し、レーザの照射位置がその記録位置に来るようにスピンドルモータを回転させる(ステップS23)。次に、上記ヘッダ情報を基に、その記録位置での2光波の入射平面角を決定する(ステップS24)。
続いて、記録用の2次元情報(SLMデータ)を反射方液晶40に表示させてSLMデータの転送を行う(ステップS25)。メモリに保存されたヘッダ情報中の現記録位置における当該入射平面角に対する記録角度範囲を読み込み(ステップS26)、これを基にガルバノミラー39を動かすことによって信号光の入射角度を設定する(ステップS27)。
次に、メモリに保存されたヘッダ情報中の現記録位置における当該入射平面角に対する記録時間の情報を読み込み(ステップS28)、メカニカルシャッター25を上記記録時間の間だけ開放させることによってホログラム記録を行う(ステップS29)。
この後、1つの記録位置での角度多重記録が終了したかどうかを判定し(ステップS30)、終了した場合には、次のステップS31へ進み、終了していない場合には、ステップS25に戻って、同じ記録位置での異なる角度での多重記録を行う。
ステップS31では、一つの記録位置での回転多重記録が終了したかどうかを判定し、終了していなければ、ステップS24に戻って次の入射平面角を決定し、同じ位置での異なる回転角度による回転多重記録を行う。一つの位置での回転多重記録が終了すると(ステップS31のYES)、ステップS32に進む。
ステップS22では、全ての位置での回転多重記録が終了したかどうかを判定し、終了していない場合には(ステップS32のNO)、ステップS32に戻って再びインコヒーレント光をディスク面に照射した後、上記ヘッダ情報を基に次の記録位置を決定し、2光波の照射位置がその記録位置に来るようにスピンドルモータを回転させ、その位置での角度多重と回転多重による記録を行う。
全ての位置での多重記録が終了した場合には(ステップS32のYES)、後処理としてインコヒーレント光をメディア全体に照射してモノマーをポリマーに変化させる(ステップS33)。
以上のように、メディアの複屈折による影響を緩和するために、回転多重方式での最適なホログラム記録条件をそのメディアに記録しておき、このホログラム記録条件に従って実際のホログラム記録を行うことによって、複屈折をもつメディアに対して回転多重方式で良好にホログラム記録を行うことが可能になる。
ところで、回転多重方式の光学系においては、たとえば、図10に示すように、参照光17をメディア1に対して垂直に入射させる。回転多重方式の光学系では、水平方向の複屈折のばらつきが大きく影響し、また、参照光17の角度が信号光16に対して大きくなれば、その分だけ垂直複屈折の影響も増加するので、なるべく信号光16と参照光17との角度を狭くする必要がある。
水平方向については、図11に示すように、信号光16の入射角が水平方向の複屈折の軸と一致するy軸からの角度が90*(n−1)[n=1,2,3,4]の時に最も影響が少なく、そこからy軸との角度が45°*(2n−1)[n=1,2,3,4]に近くなるにつれて徐々に複屈折の影響が強くなっていく。そこで、回転多重を行うときの回転記録角はなるべくx軸またはy軸付近のところから多重記録を行い、例えばN回の多重記録を行うときには、回転多重の回転角度選択性をあげるとすると、90*(n−1)±mα[N、m=1,2,3,4]のように軸に近いところから順に記録していくとよい。またこれらの軸から離れた角度で記録したホログラムほど回折効率は下がっていくので、この点を考慮に入れたスケジューリング記録方式を用いることも有効である。
3.コリニア方式
図12に示すように、参照光17が信号光16の回りを囲むようなコリニア方式において、複屈折の影響は2通り考えられる。その一つは、イメージエリアの外側にいくにつれて角度が急峻になるため垂直複屈折の影響が大きくなり、内外周でムラが生じやすい点、2つ目は、図13に示すように、平面方向の全ての方向が干渉に寄与するために上記複屈折の軸から45°*(2n−1)[n=1,2,3,4]の場所で複屈折の影響が大きくなるために、水平方向の角度によってもムラが生じやすい点である。
そこで、ヘッダ情報として、ディスクのR方向の各位置における反射方液晶上に与える円周方向の信号光および参照光各々のパターンの大きさの情報などを記録しておき、この情報に従ってディスクの内外周で信号光および参照光のイメージエリアを減らすことにより、ディスクの内外周での回折効率の差をなくすことが可能となる。
さらに、ヘッダ情報として、ディスクのR方向の各位置における反射方液晶上のパターンの各円周方向に与える強度変調情報を記録しておく。具体的には、水平方向において90*(n−1)の位置から45°*(2n−1)[n=1,2,3,4]の位置へと複屈折の影響が多くなる部分に行くにつれて参照光の強度を強くして行き、45°*(2n−1)で最大強度とする。このように、1周の中で屈折率の影響に応じて参照光の強度を変えることによって円周方向の複屈折の影響を軽減することができる。
また、ヘッダ情報として、ディスクのR方向の各位置における記録時間などの記録パワーの情報が記録されている。
(コリニア方式のホログラム記録装置)
図14はコリニア方式のホログラム記録装置の構成を示す図である。
同図に示すように、このコリニア方式のホログラム記録装置の光学ユニット200は、記録再生用光源21,コリメートレンズ22,アイソレータ23,メカニカルシャッター25,偏光ビームスプリッタ26,半波長板27,偏光ビームスプリッタ28,1/2波長板29,偏光ビームスプリッタ30,1/4波長板31,リレーレンズ32,ピンホール33,ダイクロイックミラー34,対物レンズ35,サーボ用駆動ユニット36,ピンホール55,反射方液晶40,倍率調整用レンズ41,CCDカメラ42,サーボ用光源43,コリメートレンズ44、グレーティング45,ビームスプリッタ46,集光用レンズ47,シリンドリカルレンズ48,受光素子49を有する。
ディスク型メディア1は、図示しないスピンドルモータで回転される。ホログラム記録媒体1が移動することから、ホログラム記録媒体1上への記録・再生は移動方向に形成されたトラックに沿って行われる。
次に、このホログラム記録装置の基本的な動作を説明する。
光学ユニット100において、記録再生用光源21は、レーザ光源であり、例えば、波長405[nm]のレーザダイオード(LD)や波長532[nm]のNd−YAGレーザーを用いることができる。
この記録再生用光源21から照射された光線は、コリメートレンズ22によって平行光になり、戻り光を防ぐためにアイソレータ23を通す。その後、半波長板24によって強度が調節され、偏光ビームスプリッタ28を通じてp偏光成分のみが空間光変調器としての反射方液晶40に入射される。空間光変調器は、信号光を空間的に(ここでは、2次元的に)変調して、データを重畳する光学素子である。空間光変調器としては、反射方液晶のほか、DMD(Digital micro mirror)や、透過型の素子である透過型液晶素子を用いることができる。
ここで、反射方液晶40には、図12、図13に示されるように、参照光17のデータ領域が信号光16のデータ領域の回りを囲んだパターンが投影される。この実施形態では、信号光16と参照光17とを同一光路を伝播させる場合を示しているが、逆に信号光のデータ領域が参照光のデータ領域の回りを囲んだパターンであってもよい。また信号光のパターンの両脇から参照光を入射するというパターンでもかまわない。
反射方液晶40によって変調された光は、偏光が90°回転するために偏光ビームスプリッタ28によって反射する。偏光ビームスプリッタ28を反射した光は、1/2波長板29によって再びp偏光に戻され、偏光ビームスプリッタ30を透過し、1/4波長板31によって円偏光となって、リレーレンズ32を伝播される。このときピンホール33により、液晶からの高次の回折光がカットされる。
続いて、光はダイクロイックミラー34を通過する。ダイクロイックミラー34は、記録再生用の光とサーボに用いる光とを同一の光路にするための光学素子である。ダイクロイックミラー34の表面には、記録再生用光源21とサーボ用光源43とでレーザ光の波長が異なることに対応して、記録再生用光源21からの光を透過し、サーボ用光源43からの光を反射するような薄膜処理がなされている。
ダイクロイックミラー34を通過した光は、対物レンズ35によって集光されてディスク型メディア1に入射する。その結果、ディスク型メディア1上に干渉縞が形成される。この際、反射方液晶40によって空間変調された情報がディスク型メディア1上にホログラムとして記録される。
ここで参照光のパターンは、ある強度に変調されたものであり、そのパターンがメディア1内でスペックルを発生させ、そのスペックルの一致した部分のみから再生光が発生するために、スペックルサイズに依存した非常に細かいシフトピッチでの多重記録が可能となる。また、半波長板24と偏光ビームスプリッタ26との間には記録時のビームの開閉を行うメカニカルシャッター25が配置されており、このメカニカルシャッター25の開閉により記録時間が可変できる。
再生時には、反射方液晶40上で、参照光に相当するパターンのみを表示させ、その参照光成分のみをディスク型メディア1に入射させる。これにより、ディスク型メディア1に記録されたホログラムから回折光(再生光)が発生する。再生光は信号光と逆の光路をたどり、対物レンズ35を通り、ダイクロイックミラー34を透過してリレーレンズ32を通る。リレーレンズ32を通る途中でピンホール33によってノイズがカットされる。その後、再生光は1/4波長板31によってs偏光になり、偏光ビームスプリッタ30で反射されて、倍率調整用レンズ41にて倍率が調整され、CCDカメラ42で、反射方液晶40での空間的な2次元データに対応する電気信号に変換される。CCDカメラ42からの出力は、図示しない信号処理部によって2値化され、時系列2値化データに変換される。
また、サーボ用光源43は、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ等のサーボ制御を行うための光源であり、記録再生用光源21とは波長の異なるレーザ光を出射する。サーボ用光源43は、例えば、レーザーダイオードであり、発振波長としてディスク型メディア1に対して感度が小さい、例えば、650nmが使用される。
サーボ用光源43より照射されたサーボ用の光は、コリメートレンズ44によって平行光に変換され、グレーティング45にて3つのビームに分割される。グレーティング45から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ46を透過してダイクロイックミラー34に達し、ダイクロイックミラー34にて記録再生用の光と同一の光路に乗せられ、対物レンズ35によりディスク型メディア1に入射される。
ディスク型メディア1から反射したサーボ光は、対物レンズ35を通してダイクロイックミラー34に戻り、ここで反射されてビームスプリッタ46に戻る。戻りサーボ光はビームスプリッタ46で反射されて集光用レンズ47に入射し、ここで集光された後、シリンドリカルレンズ48にてビーム形状が円形から楕円形に変換されて受光素子49にて受光される。受光素子49からは、戻り光に対してトラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号などが出力される。
サーボ駆動ユニット36は、受光素子49からのトラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号により対物レンズ35を2軸方向に駆動することによって、トラッキング制御およびフォーカス制御を行うための駆動機構であり、各々の軸方向に対物レンズ35を駆動するためのコイル36A,36Bを有する。
次に、このコリニア方式のホログラム記録装置でのヘッダ情報に基づく処理の流れを図15のフローチャートにより説明する。
ホログラム記録装置は、CPUおよびメモリを有するシステムコントローラを備えている。システムコントローラは、ディスク型メディア1を回転させる図示せぬスピンドルモータや光学ユニット300の制御を行う制御手段である。
まず、システムコントローラは、ディスク型メディア1を回転させ、ディスク型メディア1の最内周に記録されているヘッダ情報を読み込み、その内容をメモリに保存する(ステップS41)。
ディスク型メディア1の不感領域を取り払うためにLEDなどからのインコヒーレント光をディスク面に照射する(ステップS42)。
上記ヘッダ情報に含まれている記録位置を管理するための情報を基に記録位置を決定し、2光波の照射位置がその記録位置に来るようにスピンドルモータを回転させる(ステップS43)。次に、上記メモリにヘッダ情報として保存されている、液晶上に与える円周方向の信号光および参照光各々のパターンの大きさの情報と強度の変調情報を基に、反射方液晶40に表示させるSLMデータのパターンを決定する(ステップS44)。次に、反射方液晶40に上記SLMデータのパターンを表示させてSLMデータの転送を行う(ステップS45)。続いて、メモリに保存されたヘッダ情報中の記録時間の情報を読み込み(ステップS46)、メカニカルシャッター25を上記記録時間の間だけ開けることによってホログラム記録を行う(ステップS47)。
1つの位置での多重記録が終了した場合には(ステップS48のYES)、ステップS42に戻って次の位置への記録を行い、終了していない場合には(ステップS48のNO)、ステップS5に戻って、同じ位置での多重記録を行う。
全ての位置での角度多重記録が終了した場合には(ステップS49のYES)、後処理としてインコヒーレント光をメディア全体に照射してモノマーをポリマーに変化させる(ステップS50)。
以上のように、メディアの複屈折による影響を緩和するために、コリニア方式での最適なホログラム記録条件をそのメディアに記録しておき、このホログラム記録条件に従って実際のホログラム記録を行うことによって、複屈折をもつメディアに対してコリニア方式で良好にホログラム記録を行うことが可能になる。
次に、波長板を用いて複屈折の影響を低減する方法について説明する。
図16は波長板を用いて複屈折の影響を低減する方法を示す図である。
これは、上記のヘッダ情報に基づいて、メディアに入射する信号光16と参照光17の2つの光の偏向方向を一致させるように、いずれか一方の光または両方の光を波長板59を通過させるようにしたものである。波長板59はメディア1と略水平な面内で回転可能とされ、ヘッダ情報に基づいて、その回転位置が可変設定される。
また、多重方式として角度多重を想定した場合には、記録角度によっても偏光方向が変化するため、記録角度に対しても波長板59を回転させる。さらに、ディスク1のR方向(半径方向)の位置によっても複屈折の値が異なるため、その位置によっても波長板59を最適な回転位置に変化させる。
回転多重方式の場合も同様に、上記複屈折の影響で入射光の偏光方向が変化する場合には、波長板59を回転させることによって補償することが可能となる。
さらに、多重方式として位相相関多重などのシフト多重方式を用いてホログラムを多重記録する場合を想定した場合には、基本的には入射光の角度は変わらないため、波長板59はディスク1のR方向(半径方向)の位置によって変化させるのみでよい。
次に、ホログラムROMディスクを作成する方法として、例えばアキシコンレンズを用いてROMメディアを作成する方式に本発明を適用したものを説明する。
図17に示すように、アキシコンレンズ60を介して参照光17をメディア1に入射させると、複数の参照光17がディスク1の放射線状にとび、図中のような環状の形状に並べられた複数のSLMを用いることにより、ある領域64のホログラムが一度に記録される。さらに、アキシコンレンズ60とディスク1との距離を変化させることによって異なる角度での多重が可能である。この方式においては、理想的にはディスク全面に一度に記録することも可能であるが、ここでは、図18に示すように、ディスク1をR方向の位置で複数の領域71,72,73,74,75に分割した。その理由としてはディスク型基板の成型条件によってディスク1の内外周での複屈折の差が大きいと思われるからである。よって図中のように複屈折の大きいポリカーボネートなどの基板のメディア1を用いる場合には、例えば、信号光16の光路に波長板59を入れて、メディアに入射する際には参照光17と同じ偏光方向になるように波長板59を回転させる。
なお、ここでは信号光16のみに波長板59を入れたが、参照光17のみに入れてもいいし、両方に入れてもよい。