JP4632191B2 - 光触媒含有層を有するel素子とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、特にディスプレイ装置に使用される有機薄膜EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
EL素子は自発光の面状表示素子としての使用が注目されている。その中でも、有機物質を発光材料として用いた有機薄膜ELディスプレイは、印加電圧が10V弱であっても高輝度な発光が実現するなど発光効率が高く、単純な素子構造で発光が可能で、特定のパターンを発光表示させる広告その他低価格の簡易表示用ディスプレイへの応用が期待されている。
【0003】
しかしながら、EL素子を用いたディスプレイを実際に製造するにあたっては、電極や有機EL層のパターニングが必要であって、典型的にはフォトリソ工程や複雑なパターン成膜装置によるパターニング工程を要し、工程の複雑化やコストの上昇を招く。また有機EL材料をマスク蒸着によりパターニングする方法では、高価格の真空装置が必要となり、歩留まりや、高価なEL材料の利用効率が悪くコストが問題となる。一方、インクジェット法によりパターン形成する方法は、工程は比較的簡便ではあるが、歩留まりや膜厚均一性の点で問題がある。また、広告用EL素子等多様な形状や大面積化が要求される場合には、生産性が著しく低下する問題がある。
【0004】
このように、EL素子、特に有機ELディスプレイの製造においては、電極、有機EL層および絶縁層等のパターニングを行うために、工程数が非常に多くなり、歩留まり、生産性、コストの面で大きな課題を抱えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より簡便に製造できるEL素子とその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光触媒含有層にパターン露光することで濡れ性の違いによるパターンを形成し、そのパターンを利用して発光層を形成することにより前記課題を解決できることを見出し本発明を完成させた。
【0007】
したがって、本発明のEL素子は、基体と、前記基体上に形成された透明な第1電極と、前記第1電極上に形成された正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に形成された光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された発光層と、前記発光層上に形成された第2電極から少なくともなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
EL素子
本発明のEL素子は、前記のように、少なくとも基体と、透明な第1電極と、正孔輸送層と、光触媒含有層と、発光層と、第2電極とが積層されているものである。本発明のEL素子は通常EL素子に用いることのある任意の層を含むことができる。また、EL素子が微細な画素をパターニングするフルカラー表示のディスプレイであると、本発明の効果が大きく好ましい。
【0009】
光触媒含有層
(光触媒含有層)
本発明において光触媒含有層とは、広く光照射によって濡れ性が今後変化し得る層および既に変化した層を意味する。また、光触媒とは、このような変化を引き起こすものであれば、どのような物質であってもよい。光触媒含有層はパターン状に露光することにより、濡れ性の変化によるパターンを形成することができる。典型的には光照射しない部位は撥水性であるが、光照射した部位は高親水性となる。本発明においては、光触媒含有層の表面の濡れ性の違いによるパターンを利用して光触媒含有層上に設けられる発光層のパターンを簡便に、品質良く形成することができる。
【0010】
本発明の光触媒含有層は、好ましくは照射する光の量に応じ仕事関数が変化するものとする。このような光触媒含有層は、光照射量を調節することにより、仕事関数を適切に変化できるので、光照射量の調節により光触媒含有層の仕事関数を正孔輸送層より大きく、発光層より小さな値に合わせ込むことにより、電荷の注入を促進させ、ひいてはEL素子の発光効率を高めることができる。
【0011】
また、正孔輸送層には紫外線に弱い材料が多く、そのような正孔輸送層を用いる場合には、好ましくは光触媒含有層に紫外線吸収剤を含有させ、正孔輸送層を紫外線照射から保護することができる。
【0012】
光触媒含有層の膜厚は、薄すぎると濡れ性の違いが明確には発現しなくなりパターニングが困難になること、厚すぎると正孔または電子の輸送を阻害しEL素子の発光に悪影響を及ぼすため、好ましくは50〜2000Å、より好ましくは300〜1000Åとする。
【0013】
(濡れ性変化の原理)
本発明においては、光の照射によって近傍の物質(バインダーなど)に化学変化を起こすことが可能な光触媒を用いて、光照射を受けた部分に濡れ性の違いによるパターンを形成する。光触媒による作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって光触媒に生成したキャリアが、バインダーなどの化学構造を直接変化させ、あるいは酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によってバインダーなどの化学構造を変化させることにより、表面の濡れ性が変化すると考えられる。
【0014】
(光触媒材料)
本発明に用いられる光触媒材料としては、例えば光半導体として知られている酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化すず(SnO2)・チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)・酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化鉄(Fe2O3)のような金属酸化物を挙げることができるが、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定であり、毒性もなく、入手も容易である点で有利である。
【0015】
光触媒としての酸化チタンにおいては、アナターゼ型とルチル型のいずれも使用することができるが、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。具体的には例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)、STS−02、平均結晶子径7nm)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学、TA−15、平均結晶子径12nm)を挙げることができる。
【0016】
光触媒含有層中の光触媒の量は、5〜60重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。
【0017】
(バインダー成分)
本発明の光触媒含有層に用いることのできるバインダーは、好ましくは主骨格が前記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであり、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、あるいは(2)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0018】
前記(1)の場合、一般式YnSiX4−n(n=1〜3)で表される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解化合物が主体であることができる。前記一般式では、Yは例えばアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基であることができ、Xは例えばハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、またはアセチル基であることができる。
【0019】
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0020】
また、バインダーとして、特に好ましくはフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランのの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、また、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用してもよい。
【0021】
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダーとして用いることにより、光触媒含有層の非光照射部の撥水性および撥油性が大きく向上する。
【0022】
前記(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格を持つ化合物を挙げることができる。
【0023】
−(Si(R1)(R2)O)n−
ただし、nは2以上の整数、R1、R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であることができる。好ましくは全体の40モル%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルであることができる。また、R1および/またはR2がメチル基であるものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、好ましくはメチル基が60モル%以上であり、鎖末端または側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基などの反応性基を有する。
【0024】
また、前記のオルガノポリシロキサンとともにジメチルポリシロキサンのような架橋反応を起こさない安定なオルガノシリコン化合物をバインダーに混合してもよい。
【0025】
(光触媒含有層に用いるその他の成分)
本発明に用いられる光触媒含有層には、未露光部の濡れ性を低下させるため界面活性剤を含有させることができる。この界面活性剤は光触媒により分解除去されるものであれば限定されないが、具体的には、好ましくは例えば日本サーファクタント工業製:NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系の界面活性剤、デュポン社製:ZONYL FSN、FSO、旭硝子製:サーフロンS−141、145、大日本インキ製:メガファックF−141、144、ネオス製:フタージェントF−200、F251、ダイキン工業製:ユニダインDS−401、402、スリーエム製:フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができる。また、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0026】
また、本発明に好適に用いられる光触媒含有層には、他の成分、例えば、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマーを含むことができる。
【0027】
さらに、本発明に用いられる光触媒含有層には、光触媒の光活性を増感させる成分である増感色素を含んでいてもよい。このような増感色素の添加により、低い露光量で濡れ性を変化させるあるいは異なる波長の露光で濡れ性を変化させることができる。また、光触媒含有層には、EL材料を添加することもでき、例えば、電荷注入材料、電荷輸送材料または発光材料を混合することによりEL素子の発光特性を向上させることができる。
【0028】
(紫外線吸収剤)
本発明に用いられる光触媒含有層には紫外線吸収剤を用いることができる。このようなものとしては、ベンゾフェノン系としてBASF(株)製のUVINUL D−49、UVINUL D−50、ケミプロ化成(株)製のKemisorb1011、Kemisorb1001、ベンゾトリアゾール系として、アデカアーガス化学(株)製のMARK LA−31、住友化学(株)製のSumisorb250、アリールエステル、オギザニリド、ホルムアミジンなどが挙げられる。
【0029】
(光触媒含有層の形成方法)
光触媒含有層の形成方法は特に限定されないが、例えば光触媒を含んだ塗布液を、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコートなどの方法により基材に塗布して形成することができる。
【0030】
光触媒等を含む塗布液を用いる場合に、塗布液に使用することができる溶剤としては、特に限定されないが、例えばエタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤を挙げることができる。
【0031】
(光触媒を作用させる照射光線)
光触媒を作用させるための照射光線は、光触媒を励起することができれば限定されない。このようなものとしては紫外線、可視光線、赤外線の他、これらの光線よりもさらに短波長または長波長の電磁波、放射線であることができる。
【0032】
例えば光触媒として、アナターゼ型チタニアを用いる場合は、励起波長が380nm以下にあるので、光触媒の励起は紫外線により行うことができる。このような紫外線を発するものとしては水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、その他の紫外線光源を使用することができる。
【0033】
EL層(正孔輸送層、発光層など)
本発明のEL素子に設けられるEL層は、その構成要素として、必須の層として発光層に正孔を輸送する正孔輸送層および発光層、任意の層として、電子を輸送する電子輸送層、ならびに、発光層または正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層および発光層または電子輸送層に電子を注入する電子注入層(これらはまとめて、電荷注入層とよぶことがある)を設けることができる。
【0034】
これらEL層を構成する材料としては例えば以下のものが挙げられる。
【0035】
(発光層)
<色素系>シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ビラゾリンダイマー
<金属錯体系>アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体、等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体。
【0036】
<高分子系>ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、ポリフルオレン誘導体
(ドーピング材料)
ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン
(正孔輸送層)
本発明のEL素子において正孔輸送層は、第1電極と光触媒含有層との間に設けられる。正孔輸送層に用いられる材料としては、例えば、トリフェニルアミン類、ビス類、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネート、スチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン、ポリシランが挙げられる。
【0037】
(電子輸送層)
本発明のEL素子において電子輸送層は、発光層と第2電極との間に設けることができる。電子輸送層に用いられる材料としては、例えばオキサジアゾール類、アルミニウムキノリノール錯体等、一般的に安定なラジカルアニオンを形成し、イオン化ポテンシャルの大きい物質が挙げられ、具体的には、1,3,4−オキサジアゾール誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体などが挙げられる。
【0038】
(正孔注入層(陽極バッファー材料))
本発明のEL素子において正孔注入層は、第1電極と正孔輸送層との間に設けることができる。正孔注入層に用いられる材料としては、以下のものが挙げられる。フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体
(電子注入層(陰極バッファー材料))
本発明のEL素子において電子注入層は、電子輸送層と第2電極との間に設けることができる。電子注入層に用いられる材料としては、以下のものが挙げられる。アルミリチウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
(EL層内の隔壁層材料)
EL層には隔壁を設けることもでき、この隔壁は、異なる色を発光するEL層を組み合わせるときに特に有用である。このような材料としては、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、他、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、撥水性樹脂などが挙げられる。
【0039】
第1電極および第2電極
本明細書においては、基体上に先に設ける電極を第1電極、その後EL層上に設ける電極を第2電極として呼ぶ。第1電極は透明または、半透明とする。これらの電極は、特に限定されないが、好ましくは、電極は陽極と陰極からなり、この場合第1電極は陽極、陰極のいずれであってもよい。陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましく、逆に陰極としては、電子が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料が好ましい。また、複数の材料を混合させてもよい。いずれの電極も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0040】
具体的には好ましい陽極材料は、ITO、酸化インジウム、金、ポリアニリン、陰極材料としては、マグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、金属カルシウムが挙げられる。
【0041】
基体
本発明において基体とは、その上に電極やEL層が設けられるものであり、所望により透明材料からなることができるが、不透明材料であってもよい。本発明のEL素子においては、基体は第1電極そのものであってもよいが、通常は強度を保持する基体の表面に第1電極が、直接または中間層を介して設けられる。
【0042】
屈折率変化材料層
本発明のEL素子においては基体と光触媒含有層の間のいずれかの位置に少なくとも1層、光照射による屈折率変化材料層を設けることができる。
【0043】
本発明のEL素子に用いられる、光照射による屈折率変化材料層は、感光により光の屈折率が変化しうる材料および/または変化した材料(変化後に固定化処理をしたものを含む)の層であれば限定されない。
【0044】
(屈折率変化材料層の作用)
EL素子の発光層からは、全方位に光が発散されるが、そのうち表示光として有効に視認されるものは、発光層からEL素子の表示面へ放射された一部の光にすぎず、その他は非発光領域へもれてしまう。また、表示面に向かって放射されても表示面表面と角度の小さい放射光は、表示の視認性にあまり寄与していない場合がある。この屈折率変化材料層は、光照射によって屈折率が変化した部分と変化しなかった部分との界面で起こるEL光の全反射(場合によっては屈折の作用も加わる)により、発光層から放射した光の横方向への逃げを減らしたり、表示面の法線方向の成分を増加させることができEL表示光の強度を増加させて視認性を向上させる作用を有する層とすることができる。
【0045】
図1は、このような屈折率変化材料層を有するEL素子の断面を模式的に例示する図である。このEL素子では、基体1上に、順次屈折率変化材料層2と3、第1電極4、正孔輸送層5、光触媒含有層6、発光層7、第2電極8が設けられている。屈折率変化材料層のうち符号2で示される部分は光照射により屈折率を高めた部分、符号3で示される部分は光照射をしていない屈折率の低い部分である。本発明のEL素子の発光層7から放射された光は、光線aやbのように直接発光領域に達するものもあるが、従来発光領域に達しなかった光線cであっても屈折率変化材料層2と屈折率変化材料層3との界面で反射されることによりEL素子発光領域に達し、有効に視認される光として放射される。また、フルカラー表示の場合に隣接する色の発光領域へ届いて混色を起こし、色味を狂わせる光線cも屈折率変化材料層2と屈折率変化材料層3との界面で反射されることにより隣接する領域に届かなくなり、コントラスト、視野角、視認性が向上する。
【0046】
このように、EL素子の発光領域の屈折率変化材料層と非発光領域の屈折率変化材料層との屈折率の差により、EL素子の発光のうち非発光領域への漏れる光が発光領域に反射され、EL素子の輝度が向上する。この反射光の割合は、屈折率差が大きいほど大きく、また入射角Xが大きいほど大きくなり、全反射条件を満たせばなおよい。したがって、屈折率変化材料層2と3の屈折率差が大きいほど好ましい。さらに、屈折率変化材料層2と3の界面を図1のように表示面方向に広がるように斜めに形成することは、入射角Xの大きな光線を増加させることになり、反射光を増加させるので好ましい。また、好ましくは、基体1、屈折率変化材料層2、第1電極4、正孔輸送層5、光触媒含有層6、発光層7を形成する材料の屈折率を近づけ、それらの界面での反射を防ぐことが好ましい。さらに、第1電極4や正孔輸送層5、光触媒含有層6の厚みに比べ屈折率変化材料層2の厚みを大きくすることは、非発光領域へ向かう光を反射により発光領域に集める比率が高めることができ好ましい。
【0047】
(屈折率変化材料層の形状、配置)
本発明のEL素子において、異なる屈折率を有する屈折率変化材料層の界面は、表示面に対し垂直であってもよいが、好ましくは屈折率を変化させる光を角度をつけて照射することにより、前述したように界面が発光層から表示面に向かって広がるようにすることが好ましい。このようにすることで、反射する光が多くなるため、さらに光の取り出し効率を向上し、光の漏れが低減できる。
【0048】
本発明のEL素子において、屈折率変化材料層は、第1電極の外側、第1電極と正孔輸送層との間、正孔輸送層とEL層との間、EL層が複数層からなる場合はそれらのEL層の間、EL層と第2電極の間、第2電極の外側、第1または第2電極の外側に基体を設ける場合は基体としてまたは基体の外側などの任意の位置に設けることができる。好ましくは、EL層を構成する発光層と前記透明電極(第1電極および/または第2電極)との間または前記透明電極の外側のいずれかの部位に屈折率変化材料層を設けることにより、本発明の前記の光学作用を効率的に得ることができる。また、電極より外側に屈折率変化材料層を設ける場合は、屈折率変化材料層の材料の電気的特性の制約がなく、幅広い材料を選択できる点で好ましい。
【0049】
(屈折率変化材料)
屈折率変化材料は、光照射の前後での屈折率の変化が大きいものが反射する光の量が多くなり好ましい。特にフルカラーのEL素子においては、この比率が大きいほど隣接する異なる色の光が漏れることによる色のにじみも低減できる。
【0050】
また屈折率変化材料は、オーブンでベークするなどで熱処理する、または、紫外線照射後に熱処理するなどの方法によって、屈折率のパターンを固定でき、その後光照射を行っても屈折率が変化しない材料とすることが好ましい。
【0051】
このような屈折率変化材料は、特に限定されるものではないが、例えば従来からホログラム記録用のフォトポリマーとして知られているものが使用できる。ホログラム記録用フォトポリマーは、モノマー、光重合開始剤・増感剤、バインダーを主成分とするもので、これらの材料としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0052】
モノマーとしては、1分子中に少なくともエチレン性不飽和二重結合を1個有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びそれらの混合物であり、モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物のアミド等があげられる。
【0053】
光重合開始剤・増感剤としては、一般的なものが挙げられる。
【0054】
また、バインダーとしては、ポリメタクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドンまたはその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはその半エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等の共重合可能なモノマー群から選択されるモノマーを重合成分とする共重合体等を用いることができる。
【0055】
(屈折率を変化させる照射光線)
屈折率を変化させるための照射光線は、その材料の屈折率を変化できれば特に限定されないが、例えば紫外線、可視光線、赤外線の他、これらの光線よりもさらに短波長または長波長の電磁波、放射線であることができる。
【0056】
本発明のEL素子は、前記光照射による屈折率変化材料と、光触媒含有層中の光触媒材料が、同一波長の光で反応させることができるものの組み合わせとすることができる。このような組み合わせでは、屈折率変化材料層の屈折率を変化させる光照射によって光触媒含有層の濡れ性も変化させることができる点で工程の簡便化などにつながり、好ましい。
【0057】
一方、本発明のEL素子は、前記光照射による屈折率変化材料と、後述の光触媒含有層中の光触媒材料が、同一波長の光で反応しないものの組み合わせとすることもできる。このような組み合わせとすることで、屈折率の変化したパターンと光触媒含有層の濡れ性変化とを関係させずに、所望の範囲で屈折率を変化させることができる。
【0058】
(屈折率変化材料層の形成方法)
屈折率変化材料層の形成方法は特に限定されないが、例えば屈折率変化材料を含んだ塗布液を、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート、スピンコート、グラビアコート、ブレードコート、ダイコートなどの方法により塗布して形成することができる。
【0059】
屈折率変化材料等を含む塗布液を用いる場合に、塗布液に使用することができる溶剤としては、特に限定されないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を挙げることができる。
【0060】
光照射による光分解性色素含有層
本発明のEL素子においては正孔輸送層および/または光触媒含有層が、光照射により分解する色素を含む光分解性色素含有層であることができる。
【0061】
本発明のEL素子に用いられる、光分解性色素含有層は、感光により色素材料が分解し、それにより色素の色が劣化する、典型的には退色し、好ましくは無色となりうる色素および/または変化した色素(変化後に固定化処理をしたものを含む)を含む層であれば限定されない。
【0062】
光触媒含有層に光分解性色素を添加した場合、さらに光触媒と光分解性色素をともに反応させることができる光でパターン露光をすると、光触媒反応による濡れ性向上部分と色素分解部分が一致して、例えば濡れ性向上部分に形成する発光層と光分解による透明部分が一致したEL素子が簡便に製造できる点で好ましい。
【0063】
(光分解性色素含有層の作用)
本発明においては、光分解性色素含有層に遮光層としての機能をもたせること、すなわち、ブラックマトリクスまたは特定波長の光のみを遮光するものとすることができる。このような遮光層は、例えば、光分解性色素含有層の遮光部分以外(EL素子発光領域に対応する部分)を光照射して分解させることにより簡便に形成することができ、隣接する発光層からの異なる色の光との混色、にじみを防止することができる。
【0064】
本発明においては、光照射後の光分解性色素含有層にアライメントマークとしての機能をもたせること、すなわち、EL層などを例えばインクジェット、電界ジェット、マスク蒸着などの方法で形成するときに必要となることがある位置あわせの印とすることができる。このようなアライメントマークは目視またはCCDなどのモニターにより簡単に見分けができる。また、必要に応じ後工程で再度光照射して消去することもできる。
【0065】
(光分解性色素)
本発明に用いることのできる光分解性色素は感光により色素材料が分解し、それにより色素の色が分解する、典型的には退色し、好ましくは無色となりうる色素および/または変化した色素(変化後に固定化処理をしたものを含む)であれば限定されない。
【0066】
色素の色は、着色の目的に応じて任意に選択することができる。例えば、光分解性色素を用いてアライメントマークを形成する場合は、好ましくは黒色で露光部は無色とし、コントラストが高いものとすることができる。
【0067】
また、光分解性色素を用いて遮光層を形成する場合は、黒色の他、発光層の発光色を吸収する色とすることができる。
【0068】
このような光分解性色素は、例えばジ置換およびモノ置換パラフェニレンジアミン類、アミノハイドロキノンエーテル誘導体、アミノジフェニル、アミノジフェニルアミン類、ヘテロ環アミン類、具体的には、(4−ジアゾ−N,Nジメチルアニリン)、(4−ジアゾ−N,Nジエチルアニリン)、(4−ジアゾ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン)、(4−ジアゾ−2,5−ジエトキシベンゾイルアニリン誘導体)が挙げられる。
【0069】
また光分解性色素は、好ましくは熱処理、100〜150℃のオーブン、ホットプレート乾燥などによって、色素が分解されないものを用いることが好ましい。このような色素としては赤色ならローダミン6Gが挙げられる。
(光分解性色素含有層の形成方法)
光分解性色素含有層の形成方法は特に限定されないが、例えば光分解性色素を含んだ塗布液を、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート、スピンコート、グラビアコート、ブレードコート、ダイコートなどの方法により塗布して形成することができる。
【0070】
光分解性色素等を含む塗布液を用いる場合に、塗布液に使用することができる溶剤としては、特に限定されないが、例えば塗布液に使用することができる溶剤としては、特に限定されないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を挙げることができる。
【0071】
光分解性色素は熱によっても劣化する場合が多いので、光分解性色素含有層形成過程に熱乾燥を用いる場合は、色素に応じ色素が劣化しない程度の熱で乾燥する。
【0072】
(色素を分解させる照射光線)
本発明において色素を分解させる照射光線は、光分解性色素を分解できれば特に限定されない。このようなものとしては紫外線(UV)、可視光線、赤外線の他、これらの光線よりもさらに短波長または長波長の電磁波、放射線であることができる。また、光触媒含有層の反応波長帯と、光分解性色素含有層の反応波長帯が少なくとも一部重なるものであり、その重なる部分の波長の光を用いて、1度の光照射で光触媒含有層と光分解性色素含有層の双方を反応させることが好ましい。また、好ましくはこの照射光線が他のEL層例えば正孔輸送層を反応させないこと、換言すればEL層を分解させない光で反応する光分解性色素と光触媒を用いることが好ましい。
【0073】
製造方法
本発明のEL素子の製造方法は、少なくとも前記基体上に前記第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に、正孔輸送層を形成する工程と、前記正孔輸送層上に、光触媒含有層を形成する工程と、前記光触媒含有層をパターン状に露光して、濡れ性の違いによるパターンを形成する工程と、前記光触媒含有層の露光部上に、発光層形成液を塗布してパターニングされた前記発光層を形成する工程と、前記発光層上に前記第2電極を形成する工程を含むEL素子の製造方法である。
【0074】
また、本発明の好適態様において設けられる層は、通常のEL素子の製造法によることができる。
【0075】
塗布液の溶媒
光触媒含有層上に発光層を形成するために塗布される発光層形成液(これらは塗布液と呼ぶ)は、溶媒が、水などの極性溶媒であることが好ましい。このような極性溶媒を用いた塗布液は、光触媒含有層の露光部との濡れ性が高く、かつ未露光部とははじきあう傾向が強く、塗布液をパターニングする上で有利である。
【0076】
塗布方法
光触媒含有層への塗布液の塗布は、スピン塗布法、インクジェット法、ディップ塗布法、ブレードコート法および光触媒含有層への滴下が挙げられる。
【0077】
パターニング方法
光触媒含有層上に形成される発光層のパターニングは、固化前の塗布液の状態でパターニングを行う方法の他、固化後の層形成された状態で濡れ性の低い部分のみを剥離して行うこともできる。具体的には例えば、固形化後に粘着テープを貼って剥がす方法などが挙げられる。
【0078】
濡れ性パターンと画素
本発明のEL素子が、フルカラー表示のディスプレイである場合には、好ましくは、光触媒含有層の濡れ性の違いによるパターンに対応させてディスプレイの画素を形成させる。
【0079】
【実施例】
実施例1
イソプロピルアルコール3重量部とアナターゼ型チタニアゾル2重量部を混合し、90℃,10分間撹拌した後フルオロアルコキシラン0.14重量部を更に混合し、90℃,10分間撹拌した後、この溶液1をイソプロピルアルコールで4倍に希釈し溶液2とした。
【0080】
パターニングされたITOガラス基板上に洗浄処理と表面処理を施し(洗浄工程後の仕事関数が5.0eV)、その上に溶液2をスピンコーターで塗布した基板Aと、PEDOT(正孔輸送層、仕事関数5.2eV)を塗布した基板Bをそれぞれ用意した。乾燥条件はそれぞれ150℃のホットプレート上に10分間放置とした。両者ともスピンコートの回転数の制御により20〜100nmの薄膜を得た。次に基板BにはPEDOT層上に溶液2をスピンコートで塗布し、150℃、10分間乾燥を行った。
【0081】
次に開口マスクを用意し開口部のパターンで両基板の光触媒含有層上に水銀灯(主波長365nm,30mW/cm2)により10分間照射した。水銀灯照射前の光触媒含有層の仕事関数は、4.8eV、10分照射後は5.3eVであった。
【0082】
更にこの両基板上に、後述の発光層形成溶液をスピンコートにより塗布し、90℃で1時間ドライボックス中で乾燥、80nm程の発光層(仕事関数が5.7eV)の薄膜をパターン上に形成させた。最後にITOのパターンと直交するように電子注入層としてCaを200オングストローム、電極としてAgを2000オングストロームをマスク蒸着し、EL素子を得た。
【0083】
発光層形成溶液
ポリビニルカルバゾール 7重量部
発光色素(R、GまたはB) 0.1重量部
オキサジアゾール化合物 3重量部
トルエン 5050重量部
発光色素Gはクマリン6、発光色素Rはナイルレッド、発光色素Bはペリレン化合物を用いた。
【0084】
基板Aを用いて作製したEL素子Aと基板Bを用いて作製したEL素子BをそれぞれITO電極、上部Ag電極をアドレス電極として駆動させ発光特性を測定したところEL素子Bの方がEL素子Aと比べ、発光開始電圧が低く、高輝度の特性が得られた。
【0085】
【発明の効果】
本発明によって簡便に製造できるEL素子とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEL素子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基体
2 屈折率変化材料層(屈折率を変化させた部分)
3 屈折率変化材料層(屈折率を変化させていない部分)
4 第1電極
5 正孔輸送層
6 光触媒含有層
7 発光層
8 第2電極
Claims (12)
- 基体と、前記基体上に形成された透明な第1電極と、前記第1電極上に形成された正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に形成された光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された発光層と、前記発光層上に形成された第2電極から少なくともなることを特徴とする、EL素子。
- 前記発光層と前記第2電極の間に電子輸送層を有する、請求項1に記載のEL素子。
- 前記第1電極と前記正孔輸送層との間に正孔注入層を有する、請求項1または2に記載のEL素子。
- 前記電子輸送層と前記第2電極との間に電子注入層を有する、請求項2に記載のEL素子。
- 前記正孔輸送層が、ITOより大きく前記光触媒含有層よりも小さい仕事関数を有する、請求項1に記載のEL素子。
- 前記基体と前記光触媒含有層の間のいずれかの位置に、少なくとも1層の光照射による屈折率変化材料層を設ける、請求項1に記載のEL素子。
- 前記正孔輸送層および/または前記光触媒含有層が、光分解性色素を含むものである、請求項1に記載のEL素子。
- 前記光触媒含有層が、紫外線吸収材を含むものである、請求項1に記載のEL素子。
- 前記光触媒含有層の膜厚が50〜2000Åである、請求項1に記載のEL素子。
- 請求項1に記載のEL素子を用いてなる、フルカラー表示のディスプレイ。
- 基体と、前記基体上に形成された透明な第1電極と、前記第1電極上に形成された正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に形成された光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された発光層と、前記発光層上に形成された第2電極から少なくともなるEL素子の製造方法であって、
前記基体上に前記第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に、正孔輸送層を形成する工程と
前記正孔輸送層上に、光触媒含有層を形成する工程と、
前記光触媒含有層をパターン状に露光して、濡れ性の違いによるパターンを形成する工程と、
前記光触媒含有層の露光部上に、発光層形成液を塗布してパターニングされた前記発光層を形成する工程と、
前記発光層上に前記第2電極を形成する工程、
とを含むEL素子の製造方法。 - 前記EL素子が、フルカラー表示のディスプレイであって、前記光触媒含有層の濡れ性の違いによるパターンに対応させて、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光層をディスプレイの画素R、G、Bに対応する場所に形成する、請求項11に記載のEL素子の製造方法。
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