JP4632603B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などのプリンターに使用されている。しかし、これらの実用化されている従来の記録媒体はいずれも不可逆的な発色であり、一度記録した画像を消去して繰り返して使用することはできない。
【0003】
一方、発色と消色を可逆的に行なうことができる記録媒体も提案されており、例えば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールを組合せを用いるものが特開昭60−193691号公報、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるものが特開昭61−237684号公報、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するものが特開昭62−138556号公報、特開昭62−138568号公報および特開昭62−140881号公報、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたものが特開昭63−173684号公報、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるものが特開平2−188293号公報および特開平2−188294号公報などが開示されている。
【0004】
さらに本発明者らは、先に特開平5−124360号公報において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料と組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。またその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造の使用が提案されている(特開平6−210954号公報)。
【0005】
これらの材料を用いて作製された可逆性感熱記録媒体はサーマルヘッドによる発色や、ホットスタンプなどによる消去ができ、繰り返しての発色/消色が可能なものである。しかし近年、記録媒体の書き換え時間の短縮化さらにはサーマルヘッドを用いての画像の消去が求められており、これらの可逆性感熱記録媒体ではそれら高速での消去に対応できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて、高速での消去性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該可逆性感熱記録層中に消色制御剤として下記式(1)の化合物を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体;
【0008】
【化5】
(R1は置換基を有してもよい炭素数6〜12の2価の炭化水素基を表わし、R2〜R5は同一の置換基を有してもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。X、Yは、
【0009】
【化6】
のいずれかを示す)」、(2)「可逆性感熱記録媒体が、熱可逆性記録部と情報記憶部とを有することを特徴とする前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(3)「情報記憶部が、磁気記録層またはICであることを特徴とする前記第(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(4)「可逆性感熱記録媒体が、カード状またはシート状に加工されていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(5)「可逆性感熱記録媒体が、ロール状に形成されて用いられることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(6)「可逆性感熱記録媒体が、印刷部分を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体」により達成される。
【0010】
また、上記課題は、本発明の(7)「下記式(1)で表わされる化合物からなる可逆性感熱発色記録組成物の消色制御剤;
【0011】
【化7】
(R1は置換基を有してもよい炭素数6〜12の2価の炭化水素基を表わし、R2〜R5は同一の置換基を有してもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。X、Yは、
【0012】
【化8】
のいずれかを示す)」により達成される。
【0013】
本発明者らは可逆性感熱記録媒体の高速消去性に関して種々の検討を行なったところ、消色制御剤として炭素数8〜22の炭化水素基を両末端にそれぞれ2つずつ有する構造の化合物を用いることにより、記録媒体の高速消去性が向上することがわかった。詳細な理由は定かではないが、発色状態を形成するロイコ染料および顕色剤と本発明の下記式(1)で示される消色制御剤からなる凝集構造中において、これらの消色制御剤は末端に2つずつの炭素数8〜22炭化水素基を有するためアルキル鎖の凝集力が非常に高く、溶融状態からの急冷条件では発色状態を取るが徐冷条件あるいは溶融温度以下の熱が加えられると顕色剤の長鎖アルキル基との相互作用により容易に消色状態になると考えられる。
【0014】
【化9】
(R1は置換基を有してもよい炭素数1〜22の2価の炭化水素基を表わし、R2〜R5は置換基を有してもよい炭素数8〜22の炭化水素基を表わす。X、Yはヘテロ原子を含む3価の結合基を示す。)
【0015】
すなわち、本発明においては、支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態、すなわち発色状態と消色状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該可逆性感熱記録層中に消色制御剤として上記式(1)の化合物を用いることを特徴とするものである。
【0016】
以下に本発明で用いる消色制御剤を説明する。式(1)中のR1は炭素数1〜22の2価の炭化水素基を表わし前記炭化水素基は置換基を有していてもよいが、好ましくは炭素数1〜18の2価の炭化水素基が用いられる。R2〜R5はそれぞれ独立に炭素数8以上の飽和あるいは不飽和の炭化水素基を表わし、前記炭化水素基は置換基を有していてもよいが、好ましくは炭素数12から22の鎖状炭化水素基が用いられる。またR2とR3及びR4とR5の炭素数が等しいことが好ましく、R2からR5すべてが等しいことが特に好ましい。
【0017】
表1にR1の好ましい構造の例を挙げるが,特にこれらに限られるものではない。(表1中n,n”、n”’は0以上の整数を表わす)
【0018】
【表1】
R2〜R5として好ましい基は、アルキル基であるが、該アルキル基は長鎖のものが好ましく、また、水酸基、アルコキシ基、置換あるいは非置換のフェニル基又はシクルアルキル基等で置換されていてもよい。
表2にR2〜R5の構造の例を挙げるが,特にこれらに限られるものではない。(表2中mは1〜3のいずれかであり、n,n”、n”’は0以上の整数を表わすが、それぞれの構造において総炭素数は8以上とする)
【0019】
【表2】
【0020】
また、式(1)中のX、Yはヘテロ原子を含む3価の結合基であるが、結合基X、Yの例としては表3の構造を含む基が挙げられる。
【0021】
【表3】
【0022】
結合基X、Yとしては上記表3の構造を1つ以上有していれば良いが、本発明で用いられる消色制御剤に好ましく用いられる結合基の具体的な例としては表4の基が挙げられる。
【0023】
【表4】
また、特に好ましくは、
【0024】
【化10】
である。
【0025】
以下に、本発明で用いられる消色制御剤の具体例を表5に挙げる。しかしながら、本発明はこれらに限られるわけではない。
【0026】
【表5】
【0027】
本発明において用いられるロイコ染料としては、この種の可逆性感熱記録媒体に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0028】
また、記録層中に用いられるは顕色剤としては、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載の記録層である。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能を持つ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上持つ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていても良い。このような可逆性顕色剤の具体例は例えば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載にされている。
【0029】
これらのロイコ染料および顕色剤を用いた可逆性記録層は図1に示すプロセスで発色・消色する。初期の消色状態(A)を加熱すると温度T1以上でロイコ染料と顕色剤が溶融混合して発色し(B)、この状態を急冷すると発色状態が固定される。発色状態(C)を加熱すると、発色温度より低い温度T2で消色し、冷却すれば初期と同様の消色状態となる。このように記録層は加熱温度および加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。この記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。また、保存安定性や印字消去の繰り返し耐久性にも優れ、本発明の文書用書き替え型記録媒体として特に適している。この記録層を用いた可逆性記録媒体の印字は通常の感熱記録と同様にサーマルヘッドで行なうことができ、消去は温度制御されたヒートローラ、セラミックヒータ等の発熱体およびサーマルヘッドなどによってできるため、小型で簡易な書き替え記録装置で使用できる。
【0030】
本発明において、上記消色制御剤は、ロイコ染料、顕色剤および樹脂等とともに可逆性感熱記録媒体における記録層を形成する。このとき用いられる樹脂は支持体上にこれらの材料を結着できれば良く、従来公知の樹脂が広く用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂が特に好ましく用いられる。
【0031】
また、本発明においては発色感度の向上、耐久性の向上、耐光性の向上等のためにアンダー層や保護層、バック層などを設けても良く、これらの層中には樹脂とともに、有機/無機フィラー、紫外線吸収剤、滑材、着色顔料などを用いることができる。
【0032】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては、記録層を保持できればよく、好ましくは、紙、合成紙、PETフィルム等が用いられる。また、これらの支持体を介して他のものに貼付けて用いても良い。
【0033】
前記式(1)の発色消色制御剤を用いた本発明の可逆性感熱記録媒体を有する熱可逆性記録部と情報記録部の両方を設けることにより、情報記憶部に記憶された情報を熱可逆性記録部に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。その際に用いられる記憶部は磁気記録層やIC記録部などが好ましく用いられる。
【0034】
また、これらのものはその用途に応じた形に加工することができ、カード状、シート状、ロール状などに加工される。カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカードさらにはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、また、シート状に加工されたものは、A4サイズなど一般文書サイズに加工された場合、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。さらに、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板・掲示板または電子黒板に用いることができる。このような表示装置は塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はいずれも重量を基準とするものである。
【0036】
(参考例1)
[記録層の作成]
1)2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン 2部
2)下記の構造の顕色剤 10部
【0037】
【化11】
3)下記の構造の消色制御剤 4部
【0038】
【化12】
4)アクリルポリオール樹脂の15%テトラヒドロフラン(THF)溶液
170部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)20部を加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。
上記組成の記録層塗布液を、厚さ250μmの白色ポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの記録層を設けた。
【0039】
[保護層の作成]
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157) 15部
2)酢酸エチル 85部
上記組成物を、よく溶解攪拌し保護層塗布液を調製した。上記組成の保護層塗布液を、上記記録層上にワイヤーバーを用いて塗工し90℃1分で乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化して膜厚3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0040】
(実施例1)
参考例1の消色制御剤を下記の構造の化合物に代えた以外は参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
【0041】
【化13】
【0042】
(実施例2)
参考例1の顕色剤と消色制御剤を下記の構造の化合物に代えた以外は参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
顕色剤
【0043】
【化14】
発色消色制御剤
【0044】
【化15】
【0045】
(実施例3)
参考例1の分散液の組成を以下のように代えた以外は参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
1)2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン 2部
2)下記の構造の顕色剤 10部
【0046】
【化16】
3)下記の構造の消色制御剤 3部
【0047】
【化17】
4)下記の構造の消色制御剤 1部
【0048】
【化18】
5)アクリルポリオール樹脂の15%テトラヒドロフラン(THF)溶液
170部
【0049】
(比較例1)
参考例1中の消色制御剤を除いた以外は参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0050】
(比較例2)
参考例1中の消色制御剤を下記の化合物に変えた以外は参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0051】
【化19】
【0052】
試験1 発色濃度
作製した記録媒体を大倉電機社製感熱印字装置にて、電圧13.3V、パルス幅1.2ミリsecで印字し、得られた発色画像をマクベス濃度計RD−914で測定した。
【0053】
試験2 画像消去率
試験1にして作製した各記録媒体を大倉電機社製感熱印字装置にて、印加電圧1.3V、印加パルス幅1.2ミリsecで印字し発色画像を得た。この発色画像の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定した。次に、この発色した記録媒体を印可電圧4〜13V、印可パルス幅2ミリsecの条件で消去し消色画像を得た。この消色画像の光学濃度も同様にマクベス濃度計RD−914を用いて測定した。このようにして得られた発色及び消色濃度を用いて下記式数1、数2から消し残り濃度及び画像消去率を算出した。
【0054】
【数1】
消し残り濃度=消去後画像濃度−地肌濃度
【0055】
【数2】
画像消去率(%)=〔1−{(消し残り濃度)/(発色濃度−地肌濃度)}〕×100
以上の結果を表6に示した。
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、高速消去性に優れる可逆感熱記録媒体を提供できるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性を示す図である。
Claims (7)
- 可逆性感熱記録媒体が、熱可逆性記録部と情報記憶部とを有することを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 情報記憶部が、磁気記録層またはICであることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 可逆性感熱記録媒体が、カード状またはシート状に加工されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 可逆性感熱記録媒体が、ロール状に形成されて用いられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 可逆性感熱記録媒体が、印刷部分を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
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