JP4646236B2 - 偏光子の製造方法及び偏光板の製造方法 - Google Patents

偏光子の製造方法及び偏光板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高透過率で且つ高偏光度を有する偏光子及び偏光板の製造方法に関する

液晶表示装置等の画像表示装置は、携帯電話、テレビ、パーソナルコンビュータ等、様々な用途に用いられるディスプレイとして広く使用されている。このような液晶表示装置の普及に伴い、液晶の配向変化を可視化するための偏光板の需要が急増している。偏光板は、液晶表示装置の表示特性に極めて大きな影響を及ぼすものである。
偏光板としては、一般的に、偏光能を有する偏光子の両面或いは片面に、接着剤層を介して保護フィルムを貼り合わせたものが用いられている。上記の偏光子としては、一般的に、一軸延伸したポリビニルアルコール系フィルム等にヨウ素や有機染料等の二色性物質を吸着配向させたものが用いられている。また、保護フィルムとしては、光学的に透明で複屈折が小さいことから、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが好適に用いられている。
近年、この偏光板が用いられる液晶表示装置の高性能化が進んでおり、高い視認性を得るために、液晶表示装置を構成する液晶パネルのコントラスト向上が求められている。つまり、黒はより黒く、白はより白く明るく表示されることが望まれており、これに伴って、偏光板にも光学特性の更なる向上が求められている。換言すれば、偏光板の光学性能として、高透過率で且つ高偏光度を有することが非常に重要となっている。
上記のような偏光板を得るために、これまでにも多くの方法が提案されている。例えば、高重合度のポリビニルアルコールを用いたフィルムを一軸延伸してなる偏光子が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。また、シンジオタクティシティー45モル%以上50モル%未満、重合度が1000〜30000のポリビニルアルコールを用いたフィルムを一軸延伸してなる偏光子が提案されている(特許文献3参照)。また、ポリビニルアルコール系フィルムのホウ素化合物中での処理工程中に二段延伸を行う方法が提案されている(特許文献4参照)。また、ポリビニルアルコール系フィルムの染色工程又はそれ以前の工程での延伸倍率とホウ素化合物処理工程中での延伸倍率とが特定の関係になるように二段延伸を行う方法が提案されている(特許文献5参照)。さらには、二段延伸の提案に加えて、一浴目の浴温度を二浴目の浴温度よりも高くする方法が提案されている(特許文献6参照)。
特許第2543748号公報 特許第2631403号公報 特許第3317494号公報 特許第2512408号公報 特許第3392196号公報 特開2003−240945号公報
前記方法の中で、高重合度のポリビニルアルコールを用いる方法は、光学特性の向上に最も効果的であるが、重合度の高いポリビニルアルコールやタクティシティーを備らせたポリビニルアルコールを用いる方法では、製膜前の溶液が室温放置下で不安定であったり、均一な製膜が難しかったりするため、実用的ではない。また、ホウ素化合物中において二段延伸を行う方法も効果があるが、通常用いられている偏光子に比べて、光学特性を向上させるには限界があった。
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、高透過率で且つ高偏光度を有する偏光子及び偏光板の実用的な製造方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは鋭意検討した結果、染色処理工程及び一軸延伸処理工程を施した後のポリビニルアルコール系フィルムに対して電子線を照射すれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに対して、ヨウ素溶液に浸漬することによって行われる染色処理工程及び一軸延伸処理工程を少なくとも施す偏光子の製造方法であって、前記染色処理工程及び前記一軸延伸処理工程を施した後のポリビニルアルコール系フィルムに対して、電子線を照射する電子線照射工程を更に含むことを特徴とする偏光子の製造方法を提供するものである。
斯かる発明によれば、染色処理工程及び一軸延伸処理工程を施した後のポリビニルアルコール系フィルムに電子線を照射することにより、一軸配向されたポリビニルアルコール系フィルムの応力が緩和されて配向の乱れが抑えられると推測され、これにより製造される偏光子は、高透過率及び高偏光度の双方を満足することが可能である。
好ましくは、前記電子線照射工程における電子線照射量は10〜500kGyとされ、より好ましくは20〜100kGyとされ、さらに好ましくは40〜80kGyとされる。これは、電子線照射量が10kGy未満であると、ポリビニルアルコール系フィルムを通過する際に電子線が減衰して偏光子の光学特性(透過率・偏光度)の向上が乏しくなる一方、500kGyを超えると、フィルムの崩壊や色相の変化が生じる虞があるからである。
好ましくは、前記電子線照射工程において電子線を照射する際のポリビニルアルコール系フィルムの水分率は5〜50重量%とされ、より好ましくは10〜40重量%とされる。これは、水分率が5重量%未満であると、フィルムの物理的強度が弱まり搬送困難となったり、電子線を照射する際にフィルムが切れたり、或いは透明保護フィルムを貼り合わせて得られる偏光板の外観特性が悪化する虞があるからである。一方、水分率が50重量%を超えると、透明保護フィルムを貼り合わせて得られる偏光板に水分が残留し、偏光板の光学特性劣化に通じる虞があるからである。
また、本発明は、前記製造方法によって製造された偏光子の少なくとも片面に透明保護層を設ける工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法としても提供される。換言すれば、この製造方法では、染色処理工程及び一軸延伸処理工程を施した後に、且つ透明保護層を設ける工程を施す前に、ポリビニルアルコール系フィルムに電子線を照射することになる。
本発明によれば、高透過率で且つ高偏光度を有する偏光子及び偏光板を製造することが可能である。そして、この偏光子や偏光板を画像表示装置に用いることにより、さらにはこの偏光板等に位相差板、反射板、半透過反射板、視覚補償フィルム、輝度向上フィルム等を積層した光学フィルムを画像表示装置に用いることにより、該画像表示装置の光学特性を向上可能である。特に、液晶表示装置に適用すれば、液晶パネルのコントラストが向上するとともに、透過率が高いために同じ電力量での輝度が大幅に向上する。或いは、これまでと同様の輝度に設定するならば、消費電力を抑えることが可能である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板の製造方法における各工程を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る偏光板の製造方法では、ポリビニルアルコール系フィルムが用いられる。このポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコール又はその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等が挙げられる他、エチレン、プロピレン等のオレフイン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸、そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールの重合度は1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般的に用いられる。
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には、可塑剤等の添加剤を含有してもよい。可塑剤としては、ポリオール及びその縮合物等が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないが、ポリビニルアルコール系フィルム中に20重量%以下とするのが好適である。
前記ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)には、常法に従って、少なくとも染色処理工程(図1のS2)及び一軸延伸処理工程(図1のS3)が施されるが、本発明では、これら染色処理工程及び一軸延伸処理工程を施した後(好ましくは、透明保護層形成工程(図1のS8)を施す前)のポリビニルアルコール系フィルムに対して、電子線を照射する電子線照射工程(図1のS7)を含むことを特徴としている。
以下、図1に示す各工程S1〜S8について順次説明する。
図1に示すように、まず、ポリビニルアルコール系フィルムには、必要に応じて、膨潤処理工程(図1のS1)が施される。膨潤処理は、ポリビニルアルコール系フィルムを浴液に浸漬することによって行われ、該フィルムが膨潤することにより、染色のムラなどの不均一を防止する効果が得られる。なお、膨潤処理に用いられる浴液としては、純水等の水が一般的に用いられるが、ヨウ化物や架橋剤等の添加剤を含有する溶液としても良い。
次に、ポリビニルアルコール系フィルムには、染色処理工程(図1のS2)が施される。染色処理は、一般的に前記フィルムをヨウ素溶液に浸漬することによって行われる。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液には、ヨウ素の他に、溶解助剤として例えばヨウ化カリウム等によってヨウ素イオンを含有させた水溶液等が用いられる。
ヨウ素溶液のヨウ素濃度は、好ましくは0.01〜1重量%程度とされ、より好ましくは0.02〜0.5重量%とされる。ヨウ化カリウム濃度は、好ましくは0.01〜10重量%程度とされ、より好ましくは0.02〜8重量%とされる。また、ヨウ素溶液の温度は、通常は20〜50℃程度とされ、好ましくは25〜40℃とされる。フィルムの浸漬時間は、通常は10〜300秒間程度とされ、好ましくは20〜240秒間とされる。
次に、染色処理を行ったポリビニルアルコール系フィルムには、一軸延伸処理工程(図1のS3)が施される。一軸延伸処理における延伸方法は特に制限されるもではなく、湿式延伸法又は乾式延伸法の何れも採用可能である。乾式延伸法としては、例えば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等が挙げられる。乾式延伸法において、未延伸フィルムは、通常、加熱状態とされる。湿式延伸法としては、例えば、フィルムを延伸した後の、水溶液中でのロール間延伸方法等があげられる。延伸は多段で行うことも可能である。未延伸フィルムとしては、通常、厚み30〜150μm程度のものが用いられる。延伸フィルムの延伸倍率は目的に応じて適宜に設定できるが、総延伸倍率は、好ましくは2〜7倍程度とされ、より好ましくは3〜6.5倍、さらに好ましくは3.5〜6倍とされる。延伸フィルムの厚みは、好ましくは5〜40μm程度とされる。
なお、本実施形態では、染色処理工程の後に一軸延伸処理工程を施す態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、一軸延伸処理は、染色処理前、染色処理中、染色処理後の何れの段階で行ってもよい。また、一軸延伸処理は、複数の工程で施すこともでき、例えば、染色処理前、染色処理中、染色処理後の2段階又は3段階の工程で施すことが可能である。
次に、一軸延伸処理を行ったポリビニルアルコール系フィルムには、固定化(架橋)処理工程(図1のS3)が施される。固定化処理は、ホウ酸水溶液に前記フィルムを浸漬することによって行われる。ホウ酸水溶液中のホウ酸濃度は、好ましくは2〜15重量%程度とされ、より好ましくは3〜10重量%とされる。ホウ酸水溶液中には、ヨウ化カリウムによってカリウムイオン及びヨウ素イオンを含有させてもよい。ホウ酸水溶液中のヨウ化カリウム濃度は、好ましくは0.5〜10重量%程度とされ、より好ましくは1〜8重量%とされる。ヨウ化カリウムを含有するホウ酸水溶液を用いれば、着色の少ない偏光子、すなわち可視光のほぼ全波長域に亘って吸光度がほぼ一定のいわゆるニュートラルグレーの偏光子を得ることができる。
ホウ酸水溶液の温度は、好ましくは30℃以上とされ、より好ましくは40〜85℃とされる。フィルムの浸漬時間は、通常は1〜1200秒間とされ、好ましくは10〜600秒間、より好ましくは20〜500秒間程度とされる。なお、本実施形態では、一軸延伸処理工程の後に固定化処理工程を施す態様について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、染色処理の後であれば、一軸延伸処理中に固定化処理を行ってもよい。また、固定化処理は、複数回行なってもよい。
次に、固定化処理を行ったポリビニルアルコール系フィルムには、洗浄工程(図1のS5)が施される。洗浄工程は、例えば、水を用いて行うことができる。この水洗浄工程は、通常、純水にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することによって行われる。水洗浄温度は、通常は5〜50℃とされ、好ましくは10〜45℃とされ、より好ましくは15〜40℃とされる。フィルムの浸漬時間は、通常は10〜300秒間とされ、好ましくは20〜240秒間程度とされる。
また、洗浄工程においては、ヨウ化カリウム等によるヨウ素イオン処理を行うことも可能である。ヨウ素イオン処理には、例えば、ヨウ化カリウム等によってヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いる。ヨウ化カリウム濃度は、好ましくは0.5〜10重量%程度とされ、より好ましくは1〜8重量%とされる。水溶液の温度は、通常は15〜60℃程度とされ、好ましくは25〜40℃とされる。フィルムの浸漬時間は、通常は1〜120秒間程度とされ、好ましくは3〜90秒間とされる。なお、ヨウ素イオン処理の段階は、後述する乾燥工程前であれば特に制限はない。ヨウ素イオン処理は、水洗浄と組み合わせて行うことが可能であり、水洗浄の前又は後に行うことができる。また、洗浄工程には、前記のヨウ化カリウムの他、ホウ酸、亜鉛塩等の金属塩を含有した溶液を用いることも可能である。
次に、洗浄工程を施したポリビニルアルコール系フィルムには、乾燥工程(図1のS6)が施される。乾燥工程は、通常は20〜75℃、好ましくは25〜70℃で、1〜5分間程度乾燥させることによって行われる。この乾燥工程は、フィルムの変形が生じたり、色相が著しく変化しない条件で実施することができる。また、後述するように、電子線照射工程におけるフィルムの水分率を調整する役割も果たす。
さらに、乾燥工程を施したポリビニルアルコール系フィルムには、電子線照射工程(図1のS7)が施される。電子線照射は、フィルムの搬送経路に電子線照射装置を配置し、フィルムに電子線を直接照射することによって行われる。電子線照射量は、好ましくは10〜500kGyとされ、より好ましくは20〜100kGyとされ、さらに好ましくは40〜80kGyとされる。これは、電子線照射量が10kGy未満であると、ポリビニルアルコール系フィルムを通過する際に電子線が減衰して偏光子の光学特性(透過率・偏光度)の向上が乏しくなる一方、500kGyを超えると、フィルムの崩壊や色相の変化が生じる虞があるからである。
また、電子線照射工程において電子線を照射する際のポリビニルアルコール系フィルムの水分率は、好ましくは5〜50重量%とされ、より好ましくは10〜40重量%とされる。これは、水分率が5重量%未満であると、フィルムの物理的強度が弱まり搬送困難となったり、電子線を照射する際にフィルムが切れたり、或いは透明保護フィルムを貼り合わせて得られる偏光板の外観特性が悪化する虞があるからである。一方、水分率が50重量%を超えると、透明保護フィルムを貼り合わせて得られる偏光板に水分が残留し、偏光板の光学特性劣化に通じる虞があるからである。
以上に説明した各工程S1〜S7を施すことにより、偏光子が製造される。
次に、上記のようにして製造された偏光子に透明保護層形成工程(図1のS8)を施すことにより、偏光板が製造される。透明保護層形成工程では、偏光子の少なくとも片面に透明保護層が設けられる。透明保護層は、ポリマーによる塗布層として、或いは、フィルムを貼り合わせたラミネート層等として設けることができる。透明保護層を形成するポリマー又はフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いることができるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性等に優れるものが好ましく用いられる。以下、ラミネート層として設けられる透明保護フィルムを中心に説明する。
透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース(トリアセチルセルロース)等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系乃至ノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、或いは前記ポリマーのブレンド物なども、前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げることができる。
また、透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
さらに、特開2001−343529号公報(WO0l/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換及び/又は非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換及び/又は非置換フェニル並びにニトリル基を有する熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物を挙げることもできる。具体例としては、イソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物が挙げられる。そして、これら樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを透明保護フィルムとして用いることができる。これらのフィルムは、位相差が小さく、光弾性係数が小さいため、偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができる。また、透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
透明保護フィルムの厚みは、適宜に決定すればよいが、一般的には、強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より、1〜500μm程度とされる。より好ましくは1〜300μmとされ、さらに好ましくは5〜200μmとされる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。斯かる厚み方向の位相差値Rthが−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、より好ましくは−80nm〜+60nmとされ、さらに好ましくは−70nm〜+45nmとされる。
透明保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましく用いられる。特に、トリアセチルセルロースフィルムが好適である。一方、トリアセチルセルロースなどの透明保護フィルムは、厚み方向の位相差値Rthが大きく、色付きがやや問題となるが、イソプチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物等は、厚み方向の位相差値Rthが30nm以下のものを使用可能であり、色付きをほぼ解消することができる。
なお、偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合、各透明保護フィルムとして、同じポリマー材料からなるフィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料からなるフィルムを用いてもよい。
透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散乃至アンチグレア層を設けることも可能である。
ハードコート層は、偏光板表面の傷付き防止などを目的にして設けられるものであり、例えば、アクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などによって形成することができる。
反射防止層は、偏光板表面での外光の反射防止を目的にして設けられるものであり、従来に準じた反射防止膜などによって形成することができる。また、スティッキング防止層は、隣接層との密着防止を目的に設けられる。
アンチグレア層は、偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に設けられるものである。アンチグレア層は、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式によって、透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造を形成するために含有させる微粒子としては、例えば、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度とされ、好ましくは5〜25重量部とされる。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層は、透明保護フィルム自体に設けることができる他、透明保護フィルムとは別体の光学層として設けることも可能である。
偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせる際の接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系接着剤、ラテックス系接着剤、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有する。接着剤には、架橋剤を含有させることができる。また、他の添加剤や、酸等の触媒を配合することも可能である。接着剤としては、ポリビニルアルコール系フィルムとの接着性が良好なポリビニルアルコール系接着剤が好適である。ポリビニルアルコール系接着剤に好適な架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸などを用いることができる。
接着剤の塗布は、透明保護フィルム又は偏光子の何れに行ってもよく、両者に行ってもよい。偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせた後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムとの貼り合わせは、ロールラミネータ等によって行うことができる。接着層の厚みは、特に制限されないが、通常1〜500nm程度とされ、好ましくは10〜300nm、より好ましくは20〜100nmとされる。
以上のようにして製造された偏光板又は偏光子は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。積層する光学層について特に限定はないが、例えば、反射板、半透過板、位相差板(1/2波長板や1/4波長板を含む)、視角補償フィルムなど、液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層又は2層以上用いることができる。特に、本実施形態に係る偏光板に反射板(又は半透過反射板)が積層された反射型偏光板(又は半透過型偏光板)、本実施形態に係る偏光板に位相差板が積層された楕円偏光板又は円偏光板、本実施形態に係る偏光板に視角補償フィルムが積層された広視野角偏光板、或いは、本実施形態に係る偏光板に輝度向上フィルムが積層された偏光板が、光学フィルムとして好適に用いられる。
反射型偏光板は、偏光板に反射板(反射層)を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置等を形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすい等の利点を有する。反射型偏光板は、必要に応じ、透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式等の適宜な方式によって形成できる。
半透過型偏光板は、上記の反射層を、光を反射し且つ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることによって形成できる。半透過型偏光板は、通常は液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい環境で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示する一方、比較的暗い環境で使用する場合には、半透過型偏光板の裏面側に内蔵されているバックライト等の光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等を形成可能である。換言すれば、半透過型偏光板は、明るい環境下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約できる一方、比較的暗い環境下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
位相差板は、直線偏光を楕円偏光又は円偏光に変えたり、楕円偏光又は円偏光を直線偏光に変えたり、或いは直線偏光の偏光面を変える場合に用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板ともいう)が用いられる。1/2波長板(λ/2板ともいう)は、通常、直線偏光の偏光面を変える場合に用いられる。
楕円偏光板は、スーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示をする場合等に有効に用いられる。さらに、3次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色をも補償(防止)することができる点で好ましい。円偏光板は、例えば、画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合等に有効に用いられる他、反射防止の機能も有する。
上記の積層する位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理した複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したもの等を挙げることができる。位相差板は、例えば、各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたもの等、使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものであってもよい。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直ではなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明に見えるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償フィルムとしては、例えば、位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや、透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したもの等を挙げることができる。通常の位相差板には、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムや、面方向に一軸に延伸されると共に厚み方向にも延伸された厚み方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーフィルムや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルム等が用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えば、ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたもの等が挙げられる。視角補償フィルムとして用いられる位相差板の素材原料ポリマーは、先の通常の位相差板について説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大等を目的とした適宜なものを用いることができる。
また、良視認の広い視野角を達成する観点より、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムによって支持した光学補償位相差板を好ましく用いることができる。
本実施形態に係る偏光板と輝度向上フィルムとを貼り合わせた偏光板は、通常は液晶セルの裏側に設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置等のバックライトや裏側からの反射などによって自然光が入射すると、所定偏光軸の直線偏光又は所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すものである。斯かる輝度向上フィルムを本実施形態に係る偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光が入射されれば所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を、更にその裏側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルム面に再入射させれば、その一部又は全部が所定偏光状態の光として透過するため、偏光板を透過する光量を増加させると共に、偏光子に吸収され難い偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用できる光量を増大させることができ、これにより輝度を向上させることが可能である。
以上に説明した各種の光学層を偏光板に積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程において順次別個に積層する方式によっても形成可能であるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れるため、液晶表示装置等の製造効率を向上可能であるという利点がある。なお、積層には、粘着層等の適宜な接着手段を用いることができる。偏光板やその他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は、目的とする位相差特性等に応じて適宜な配置角度とすればよい。
本実施形態に係る偏光板や、この偏光板を少なくとも1枚積層した光学フィルムには、液晶セル等の他の部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤としては特に制限されないが、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤のように、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましく用いられる。
また、上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層を用いることが好ましい。
粘着層は、例えば、天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加される添加剤を含有していてもよい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等であってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行うことができる。例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%軽度の粘着剤溶液を調製し、これを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上又は光学フィルム上に直接付設する方式、或いは前記に準じてセパレータ上に粘着層を形成し、これを偏光板上又は光学フィルム上に移着する方式などが挙げられる。
粘着層は、異なる組成や種類や厚みの粘着層の重畳層として、偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また、両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏で異なる組成や種類や厚みの粘着層とすることも可能である。粘着層の厚みは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般的には1〜500μmとされ、好ましくは5〜200μmとされ、より好ましくは10〜100μmとされる。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的としてセパレータを仮着すればよい。これにより、通例の取扱状態で、粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、例えば、プラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シート、金属箔、これらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じてシリコーン系、長鏡アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなど、従来に準じた適宜なものを用いることができる。
なお、偏光板を形成する偏光子、透明保護フィルム、光学フィルム、粘着層などの各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、べンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式等により、紫外線吸収能をもたせてもよい。
以上に説明した偏光子、偏光板又は光学フィルムは、液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。液晶表示装置は、従来方法に準じて形成することが可能である。すなわち、液晶表示装置は、一般的に、液晶セルと偏光子、偏光板又は光学フィルムと、必要に応じての照明システム等の構成部品とを適宜に組立てて駆動回路を組込むこと等により形成されるが、本実施形態に係る偏光子、偏光板又は光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来方法に準じた方法で形成すればよい。液晶セルについても、例えば、TN型、STN型、π型等の任意のタイプの液晶セルを用いることができる。
液晶セルの片側又は両側に、本実施形態に係る偏光子、偏光板又は光学フィルムを配置した液晶表示装置や、さらに照明システムとしてのバックライト或いは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。液晶セルの両側に偏光子、偏光板又は光学フィルムを設ける場合、これらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
また、本実施形態に係る偏光子、偏光板又は光学フィルムは、画像表示装置としての有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)にも用いることが可能である。一般的に、有機EL表示装置では、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順次積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、或いは、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、さらにはこれらの正孔注入層、発光層及び電子注入層の積層体など、種々の組み合わせを有する構成が知られている。
上記のような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚み10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出射するため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えてしまう。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えると共に、有機発光層の裏面側に金属電極を備えた有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に本実施形態に係る偏光板を設けると共に、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板及び偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光させる作用を有するため、この偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果が得られる。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、且つ偏光板と位相差板との偏光方向の成す角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。
<実施例>
厚み75μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルム(平均重合度2400、ケン化度99.7モル%)を速度比の異なるロール間で染色・延伸した。具体的には、30℃のヨウ素水溶液中にPVAフィルムを浸漬して染色しながらフィルム搬送方向に3倍に延伸し、次いで60℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%のホウ酸水溶液中にPVAフィルムを浸漬して固定化しながら総延伸倍率6倍に延伸し、最後に30℃のヨウ化カリウム濃度2重量%のヨウ化カリウム水溶液中にPVAフィルムを数秒間浸漬して洗浄した。
上記のようにして得られた延伸フィルムを60℃で2分間乾燥させ、次いで電子線照射装置によって、延伸フィルムに電子線を照射量80kGyで照射した。電子線照射装置としては、岩崎電気株式会社製の電子線照射装置(エレクトロビームCEC110/30/20mA)を使用した。電子線を照射する際の延伸フィルムの水分率は25重量%に調整した。
次いで、上記延伸フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて透明保護フィルムを貼り合わせ、60℃で4分間乾燥させて、偏光板を作製した。
ここで、染色処理に使用したヨウ素水溶液におけるヨウ素濃度の初期値は0.02重量%に調整(偏光板の単体透過率44〜45%に相当)する一方、約1分間毎に一定量のヨウ素を添加してヨウ素濃度を0.05重量%まで段階的に高めることにより、PVAフィルムの搬送方向の所定部位毎に、異なるヨウ素濃度で染色処理を施した。これにより、前記所定部位毎に単体透過率の異なる偏光板が作製されることになる。
<比較例>
電子線照射をしなかった点を除き、実施例と同様の方法により偏光板を作製した。
<評価>
実施例及び比較例によって作製した偏光板を前記所定部位毎に切り出し、該切り出した各偏光板の光学特性(単体透過率、偏光度)を以下の方法によって測定した。
(単体透過率)
分光光度計(村上色彩技術研究所製、DOT−3)を用いて測定し、JIS Z 8701の2度視野角(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
(偏光度)
同じ部位から切り出した2枚の偏光板を互いの偏光軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率Hと、直交するように重ね合わせた場合の透過率H90とを、上記の単体透過率の測定に準じて測定し、以下の式(1)によって偏光度(クロスニコル偏光度)を求めた。平行となるように重ね合わせた場合の透過率Hと、直交するように重ね合わせた場合の透過率H90とは、それぞれ視感度補正を行ったY値である。
偏光度(%)={(H−H90)/(H+H90)}1/2×100 ・・・(1)
図2は、実施例及び比較例によって作製した偏光板についての上記測定結果を示すグラフである。図2の横軸は単体透過率を、縦軸は偏光度を示す。同一のヨウ素濃度で染色処理を施した部位の偏光板については、電子線を照射することにより、概ね図2に矢符で示すように光学特性が変化した。そして、特に単体透過率が43.50〜44.00(%)の偏光板については、電子線照射により、偏光度が0.03%以上高まる結果が得られた。
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光板の製造方法における各工程を概略的に示すブロック図である。 図2は、本発明の実施例及び比較例によって作製した偏光板の光学特性を評価した結果の一例を示すグラフである。
符号の説明
S1・・・膨潤処理工程
S2・・・染色処理工程
S3・・・一軸延伸処理工程
S4・・・固定化処理工程
S5・・・洗浄工程
S6・・・乾燥工程
S7・・・電子線照射工程
S8・・・透明保護層形成工程
20・・・支持部

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムに対して、ヨウ素溶液に浸漬することによって行われる染色処理工程及び一軸延伸処理工程を少なくとも施す偏光子の製造方法であって、
    前記染色処理工程及び前記一軸延伸処理工程を施した後のポリビニルアルコール系フィルムに対して、電子線を照射する電子線照射工程を更に含むことを特徴とする偏光子の製造方法。
  2. 前記電子線照射工程における電子線照射量が10〜500kGyであることを特徴とする請求項1に記載の偏光子の製造方法。
  3. 前記電子線照射工程において電子線を照射する際のポリビニルアルコール系フィルムの水分率が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光子の製造方法。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の製造方法によって製造された偏光子の少なくとも片面に透明保護層を設ける工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
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