JP4650971B2 - 薄膜太陽電池の裏面封止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体薄膜太陽電池に関し、特に、薄膜太陽電池の裏面封止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4と図5は、薄膜太陽電池における従来の裏面封止方法を図解する模式的な断面部分図である。なお、本願の各図において、厚さ、長さ、および幅などは図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表わしてはいない。また、各図において同一の参照符号は同一部分または相当する部分を表わしている。
【0003】
図4に示されているように、従来の薄膜太陽電池の製造においては、一般に厚さ4mm程度の透明なガラス基板1上に光電変換ユニット層2が形成される。光電変換ユニット層2は一般に数μm程度の非常に薄い厚さを有し、基板1上に順に積層された透明導電性酸化物の前面電極層、半導体光電変換層、および裏面金属電極層を含んでいる。さらに、1つの基板上に複数のサブモジュールを含む薄膜太陽電池では(特開2000−49369参照)、たとえば厚さ約0.2mm程度の銅箔などからなる電気的な内部配線5が配置される。この内部配線5と光電変換ユニット層2との間には、局所的な絶縁樹脂シート4が挿入される。このような絶縁シート4としては、たとえば厚さ約0.04mmのPVF(ポリフッ化ビニル)膜が用いられ得る。光電変換ユニット層2、絶縁樹脂シート4、および内部配線5のそれぞれの間には、第1と第2の局所的接合樹脂シート3aと3bが配置される。これらの接合樹脂シートとしては、たとえば厚さ約0.6mmで硬化剤を含むEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)シートが用いられ得る。さらに、内部配線5と光電変換ユニット層2の全領域を覆うように全域接合樹脂シート3cと複合保護フィルム6aが封止保護手段として重ねられる。全域接合樹脂シート3cも、局所的接合樹脂シート3a,3bと同様の材料が用いられ得る。
【0004】
こうして準備された図4の積層体は、真空ラミネータの熱板上に載せられ、そのラミネータは真空排気される。そして、接合樹脂シート3a,3b,3cの溶融後において、ラミネータ内のダイヤフラムによって複合保護フィルム6aが押圧される。そのとき、封止樹脂フィルム6aは柔軟性を有しているので、図5に示されているように、絶縁樹脂シート4と内部配線5が配置された近傍のわずかな凸部で少し湾曲してその凸部に馴染むことができる。
【0005】
この状態で、溶融した接合樹脂層3の硬化は、真空ラミネータ内で完全に行なわしめることも可能である。しかし、真空ラミネータは高価でありかつ同時に多数枚の薄膜太陽電池を処理できないので、接合樹脂層3が部分的に硬化した段階で薄膜太陽電池が真空ラミネータから取出され、接合樹脂層3の完全な硬化は複数枚の薄膜太陽電池を別途の硬化炉で同時に処理することによって行なわれるのが一般的である。
【0006】
なお、封止保護手段の形成のために真空ラミネータが利用される理由は、溶融させられた後に硬化させられる封止樹脂層3の境界や内部に気泡が混入することを防止するためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図4と図5に示されているような従来の封止方法による薄膜太陽電池において、保護フィルム6aとしては、一般にアルミ箔をPVF膜でサンドイッチした複合フィルムが用いられる。ここで、アルミ箔がサンドイッチされているのは、水分の透過を効果的に阻止するためである。ところが、このアルミ箔をサンドイッチしているPVF膜は薄いので、場合によってピンホールや傷が発生し、太陽電池の裏面においてアルミ箔を介するリーク電流を生じることがある。また、水分の存在下においてこのようなリーク電流が流れれば、アルミ箔の腐食が進行することがある。
【0008】
このような従来技術における課題に鑑み、本発明は、より信頼性の高い薄膜太陽電池の裏面封止方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの態様による薄膜太陽電池の裏面封止方法においては、ガラス基板上に形成された薄膜光電変換ユニット層の裏面上に、局所的な接合樹脂シート、その上の不織布からなる絶縁シート、その上の内部電気配線用金属箔、および薄膜光電変換ユニット層の裏面全域を覆う全域接合樹脂シートと封止ガラス板を順に重ねた積層体を用意し、この積層体を真空ラミネータの熱板の上に載せて真空排気し、接合樹脂シートの溶融後においてラミネータ内のダイヤフラムによって封止ガラス板を押圧し、最終的に接合樹脂を硬化させることを特徴としている。不織布としては、ガラス繊維または合成繊維が好ましく用いられ得る。
【0010】
本発明のもう一つの態様による薄膜太陽電池の裏面封止方法においては、ガラス基板上に形成された薄膜光電変換ユニット層の裏面上に、両面が接合樹脂でコーティングされた局所的な絶縁樹脂シート、その上の内部電気配線用金属箔、および薄膜光電変換ユニット層の裏面全域を覆う全域接合樹脂シートと封止ガラス板を順に重ねた積層体を用意し、この積層体を真空ラミネータの熱板上に載せて真空排気し、接合樹脂の溶融後においてラミネータ内のダイヤフラムによって封止ガラス板を押圧し、最終的に接合樹脂を硬化させることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
アルミ箔をPVF膜でサンドイッチした複合保護フィルム6aを利用して薄膜太陽電池の裏面を封止する従来の方法における前述の課題に鑑み、本発明者は、その複合保護フィルム6aの代わりに厚さ3〜4mm程度の保護ガラス板を利用する封止方法を検討した。なぜならば、ガラス板は複合保護フィルム6aに比べてはるかに丈夫であり、水分の透過に対しても優れた阻止能力を有しているからである。
【0012】
そこで本発明者は、まず、模式的な断面部分図である図1に図解されているような薄膜太陽電池の裏面封止方法を試みた。この図1の封止方法においては、複合保護フィルム6aの代わりに厚さ3mmの封止ガラス板6bが用いられたことのみにおいて、図4の方法と異なっていた。
【0013】
すなわち、図1の場合において、厚さ4mmのガラス基板1上に形成された厚さ数μmの薄膜光電変換ユニット層2上に、厚さ0.6mmの第1の局所的接合EVAシート3a、厚さ0.04mmの絶縁PVFシート4、厚さ0.6mmの第2の局所的接合EVAシート3b、厚さ0.2mmの内部配線用銅箔5、厚さ0.6mmの全域接合EVAシート3c、そして保護フィルム6aに代わる保護ガラス板6bが順次に積層された。
【0014】
ところが、薄膜太陽電池の裏面封止のために保護フィルム6aの代わりに保護ガラス板6bを利用した場合には、別の付随的な問題が生じることが判明した。これは、保護ガラス板6bが保護フィルム6aに比べて剛性が高いことから生じる問題である。
【0015】
すなわち、図4の場合と同様に真空ラミネータを利用して図1の積層体を封止した場合、封止ガラス板6bは、複合保護フィルム6aに比べて剛性が高いので、第1と第2の局所的接合樹脂シート3aと3bとともに絶縁シート4と内部配線5が配置されたわずかな凸部に馴染んで湾曲することが困難である。その結果として、図2に示されているように、わずかな凸部を形成する絶縁シート4と内部配線5との近傍において、硬化された接合樹脂層3中に気泡7が残留しやすくなることがわかった。
【0016】
そこで本発明者は、図1において各々が比較的大きな厚さを有する第1と第2の局所的接合EVAシート3aと3bを用いることなく、絶縁PVFシートの代わりに厚さ0.08mmの絶縁PET(ポリエチレンテレフタレート)シート4を用いて薄膜太陽電池の裏面封止を試みた。その結果、図3に示されているように、絶縁シート4と内部配線5との配置に伴うわずかな凸状態が低減され、その凸部近傍であっても接合樹脂層3中に残留気泡は観察されなかった。しかし、この場合には、薄膜光電変換ユニット層2、絶縁シート4、および内部配線用金属箔のそれぞれの間に接合樹脂3が含浸せず、それぞれの間の接合が達成されなくて不安定になるという問題が生じた。
【0017】
上述のように従来の封止複合保護フィルム6aの代わりに封止保護ガラス板6bを用いることに伴って生ずる付随的な問題に鑑みて、本発明者がさらに検討した結果、以下のような工夫を施すことによってそれらの付随的問題をも解消し得ることを見出した。
【0018】
まず本発明者は、第1の工夫として、図1において第1の局所的接合樹脂シート3aとして厚さ0.4mmのEVAシートを用いるとともに、絶縁シート4として厚さ0.2mmのガラス繊維不織布が用いられた。そして、第2の局所的接合樹脂シート3bが省略された。
【0019】
このような工夫を施した積層体から真空ラミネータを利用して裏面封止された薄膜太陽電池を作製したところ、図3に示されているように、絶縁シート4と内部配線5との配置に伴うわずかな凸状態が低減され、その凸部近傍であっても接合樹脂層3中に残留気泡は観察されなかった。しかも、この場合には、第1の局所的接合EVAシート3aが溶融したときにガラス繊維不織布4内に含浸し、その局所的EVAシート3aの厚さの影響が低減するとともに、薄膜光電変換ユニット層2と不織布絶縁シート4との間のみならず不織布絶縁シート4と金属箔5との間の安定な接合をも実現することができた。
【0020】
第2の工夫としては、図1において絶縁シート4として両面がEVAコーティングされたPET絶縁シートが用いられ、それは0.2mmの厚さを有していた。そして、第1と第2の局所的接合樹脂シート3aと3bが省略された。
【0021】
このような第2の工夫を施した積層体から真空ラミネータを利用して裏面封止された薄膜太陽電池においても、図3に示されているように、絶縁シート4と内部配線5との配置に伴うわずかな凸状態が低減され、その凸部近傍であっても接合樹脂層3中に残留気泡は観察されなかった。しかも、この場合には、PET絶縁シート4の両面がEVAによってコーティングされていたので、薄膜光電変換ユニット層2と絶縁シート4との間のみならずその絶縁シート4と金属箔5との間の安定な接合をも実現することができた。
【0022】
なお、上述の第1の工夫においては不織布4としてガラス不織布を用いた例が説明されたが、その他の合成繊維の不織布を用いても同様な効果を得ることができることは言うまでもない。
【0023】
また、以上において接合樹脂シートとして硬化剤を含むEVAシートを用いた例が説明されたが、たとえば硬化剤を含むPVB(ポリビニルブチラール)シートのように他の適当な接合樹脂シートをも用いることができる。
【0024】
さらに、上述の局所的接合シートの大きさは、望まれる場合には、光電変換ユニット層の裏面全域を覆う大きさであってもよいことは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、従来に比べて信頼性の高い薄膜太陽電池の裏面封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 保護ガラス板を用いて薄膜太陽電池の裏面を封止する方法を図解する模式的な断面部分図である。
【図2】 図1に示された積層体を真空ラミネータを用いて封止した結果の一例を示す模式的な断面部分図である。
【図3】 図1中の局所的接合樹脂シート3aと3bの少なくとも一方を省略して薄膜太陽電池の裏面を封止した結果を示す模式的な断面部分図である。
【図4】 従来の薄膜太陽電池の裏面封止方法を図解する模式的な断面部分図である。
【図5】 図4に示された積層体を真空ラミネータで封止した結果を示す模式的な断面部分図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板、2 光電変換ユニット層、3 接合樹脂層、3a,3b 局所的接合樹脂シート、3c 全域接合樹脂シート、4 局所的絶縁シート、5 電気配線用金属箔、6a 複合保護フィルム、6b 保護ガラス板。
Claims (3)
- ガラス基板上に形成された薄膜光電変換ユニット層の裏面上に、局所的な接合樹脂シート、その上の不織布からなる絶縁シート、その上の内部電気配線用金属箔、および前記薄膜光電変換ユニット層の裏面全域を覆う全域接合樹脂シートと封止ガラス板を順に重ねた積層体を用意し、
前記積層体を真空ラミネータの熱板の上に載せて真空排気し、
前記接合樹脂シートの溶融後において前記ラミネータ内のダイヤフラムによって前記封止ガラス板を押圧し、
最終的に前記接合樹脂を硬化させることを特徴とする薄膜太陽電池の裏面封止方法。 - 前記不織布はガラス繊維または合成繊維からなる請求項1に記載の薄膜太陽電池の裏面封止方法。
- ガラス基板上に形成された薄膜光電変換ユニット層の裏面上に、両面が接合樹脂でコーティングされた局所的な絶縁樹脂シート、その上の内部電気配線用金属箔、および前記薄膜光電変換ユニット層の裏面全域を覆う全域接合樹脂シートと封止ガラス板を順に重ねた積層体を用意し、
前記積層体を真空ラミネータの熱板上に載せて真空排気し、
前記接合樹脂の溶融後において前記ラミネータ内のダイヤフラムによって前記封止ガラス板を押圧し、
最終的に前記接合樹脂を硬化させることを特徴とする薄膜太陽電池の裏面封止方法。
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