JP4666459B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、機械強度及び透明性に優れ、さらには意匠性に富んだ色相を備えたポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂成形品は、透明かつ、耐熱性や耐衝撃性等の機械強度に優れており、工業用の透明材料として、電気、機械、自動車分野等に広く用いられている。また、光学材料用のプラスチックとして、レンズや光学ディスク等にも使用されている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂成形品は、機械強度に優れているとはいえ、ガラスやセラミックスに比べれば低いため、機械強度が必要とされる場合は、ガラスフィラー等を添加して強化を図っている。
このようなガラスフィラーとして、従来Eガラスと呼ばれるガラス繊維が主に使用されているが、ポリカーボネート樹脂の屈折率(ナトリウムD線における屈折率:nD)は1.580〜1.590であるのに対し、Eガラスの屈折率は1.555程度であるため、両者の屈折率差によって、Eガラスで補強したポリカーボネート樹脂成形品は透明性が低下するという問題があった。
これに対して、ガラスフィラーの組成を変更することによりガラスフィラーの屈折率をポリカーボネート樹脂の屈折率に近づけ、又は実質的に同一の屈折率にすることにより、ポリカーボネート樹脂成形品の透明性を維持することが検討されている。
例えば、下記の特許文献1には、質量%で、SiOが50〜65%、Alが0〜6%、MgOが0〜5%、CaOが3〜10%、BaOが2〜10%、ZnOが0〜7%、SrOが0〜5%、NaOが3〜8%、KOが3から8%、LiOが0〜5%、ZrOが3〜10%、TiOが5.3〜10%からなる、ポリカーボネート樹脂の強化ガラス繊維用の組成物が開示されている。
また、下記の特許文献2には、質量%で、SiO2:54.0〜62.0%、Al23:8.0〜12.0%、MgO:0〜5.0%、CaO:18.0〜22.0%、BaO:0〜5.0%、ZnO:0〜5.0%、Na2O+K2O+Li2O:0〜1.0%、ZrO2:0.6〜5.0%、TiO2:0.5〜1.9%からなり、屈折率が1.5700〜1.6000であり、ポリカーボネート樹脂の強化に用いられるガラス組成物が開示されている。
また、市販のガラス繊維を用いてポリカーボネート樹脂を改良することが検討されており、例えば、下記の特許文献3には、末端停止剤としてヒドロキシアラルキルアルコールとラクトンとの反応生成物を用いた芳香族ポリカーボネート樹脂と、該芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が0.01以下であるガラス系充填剤とを含む樹脂組成物が開示されている。
下記の特許文献4には、芳香族ポリカーボネート樹脂と、該芳香族ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が0.015以下であるガラス繊維と、ポリカプロラクトンとを含む樹脂組成物が開示されている。
一方、干渉色のような色相を有するポリカーボネート樹脂成形品も知られており、例えば下記特許文献5には、酸化チタンとCaとMgを含有する金属酸化物で被覆されたガラスフレークを添加した樹脂成形品が開示されている。
特開昭58−60641号公報 特開平5−155638号公報 特開平7−118514号公報 特開平9−165506号公報 特開平10−279828号公報
上記特許文献1、2のガラス組成物を用いた、ポリカーボネート樹脂成形品は、透明性及び機械物性に優れたものとすることができるが、意匠性に関してなんら工夫がなされていないものであった。
また、特許文献3の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物や、特許文献4の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物においても、透明性は改善されるものの、それらの組成物を用いた成形品における意匠性に関しては何ら工夫がなされていなかった。
ポリカプロラクトンを含むために、成形品の耐熱性や機械的な物性が低下し易くなるという問題がある。
一方、特許文献5のように、金属層で被覆されたガラスフィラーを用いることで、干渉色のような色相を有するポリカーボネート樹脂成形品とすることができるが、ガラスフィラーに金属層をコーティングする作業は煩雑さを有するものであるため、このようなガラスフィラーは高価なものとなりがちであり、得られる成形品が高価になってしまう。また、充分な透明性を保持しにくいものであった。
本発明の目的は、機械強度及び透明性に優れ、かつ、干渉色調の意匠性に富んだ色相を有するポリカーボネート樹脂成形品を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーとを含有するポリカーボネート樹脂成形品において、前記ガラスフィラーと前記ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が、波長486nmの光に対して0.004〜0.015、波長589nmの光に対して0.002以下、波長656nmの光に対して0.002以下であり、前記ガラスフィラーの含有率が2〜40質量%であり、該成形品を平板状に成形した際の全光線透過率が75%以上、かつ、ヘイズが35%以下であることを特徴とする。
また、本発明において、前記ガラスフィラーは、二酸化ケイ素(SiO)50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al)10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)15〜25質量%、酸化チタン(TiO)2〜10質量%、酸化ホウ素(B)2〜8質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜5質量%、酸化バリウム(BaO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO)0〜5質量%、酸化リチウム(LiO)0〜2質量%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2質量%、酸化カリウム(KO)0〜2質量%を含有し、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計が0〜2質量%となる組成、もしくは、二酸化ケイ素(SiO)50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al)10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)15〜25質量%、酸化チタン(TiO)2〜5質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜5質量%、酸化バリウム(BaO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO)2〜5質量%、酸化リチウム(LiO)0〜2質量%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2質量%、酸化カリウム(KO)0〜2質量%を含有し、酸化ホウ素(B)を実質的に含有せず、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計が0〜2質量%となる組成であることが好ましい。
そして、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、該樹脂組成物を板厚2mmの平板に成形し、透過光時の変角色差計の受光角度βを−20°〜20°の範囲で変動させて測定した色相(L)が、β=0°の時のa値は0よりも小さくかつb値は0よりも大きい値であり、0°<β≦20°及び−20°≦β<0°の時のa値は0よりも大きくかつb値は0よりも小さい値であることが好ましい。
一方、本発明のポリカーボネート樹脂成形品は、上記ポリカーボネート樹脂組成物を成形したものである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いたポリカーボネート樹脂成形品は、機械強度及び透明性に優れ、かつ、干渉色調の意匠性に富んだ色相を有するものであり、例えば、電気機器や電子機器の表示部のカバー等の透明性及び意匠性の要求される成形品として好適に使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ガラスフィラーと、ポリカーボネート樹脂とを含有する。そして、ポリカーボネート樹脂の屈折率とガラスフィラーの屈折率との差は波長486nmの光に対して0.004〜0.015、波長589nmの光に対して0.002以下、波長656nmの光に対して0.002以下とすることが必要であり、波長486nmの光に対するポリカーボネート樹脂の屈折率とガラスフィラーの屈折率との差は0.004〜0.010であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.010である。波長589nmの光に対するポリカーボネート樹脂の屈折率とガラスフィラーの屈折率との差は0.001以下であることが好ましい。波長656nmの光に対するポリカーボネート樹脂の屈折率とガラスフィラーの屈折率との差は0.001以下であることが好ましい。
前記ガラスフィラーと前記ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が、波長589nmの光の波長又は波長656nmの光の波長に対して0.002よりも大きくなると、成形品の透明性が不充分となりがちである。また、前記ガラスフィラーと前記ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が、波長486nmの光に対して0.004よりも小さくなると、透明な成形品とすることができるが、干渉色調の色相を備えることはできず、0.015よりも大きくなると、成形品の透明性が不充分となりがちである。
前記ガラスフィラーと前記ポリカーボネート樹脂との屈折率の差を上記範囲内にすることで、充分な透明性を保持しつつ、干渉色調の色相を備えることができる。
ここで、本発明における干渉色調の色相とは、光の干渉色作用により微妙に変色する色相であって、観察角度により変化する多色性を示すものである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いることのできるガラスフィラーの好ましい1つの例は、二酸化ケイ素(SiO)50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al)10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)15〜25質量%、酸化チタン(TiO)2〜10質量%、酸化ホウ素(B)2〜8質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜5質量%、酸化バリウム(BaO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO)0〜5質量%、酸化リチウム(LiO)0〜2質量%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2質量%、酸化カリウム(KO)0〜2質量%を含有し、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計が0〜2質量%である組成からなっている。
また、本発明に用いるガラスフィラーの好ましいもう1つの例は、二酸化ケイ素(SiO)50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al)10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)15〜25質量%、酸化チタン(TiO)2〜5質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜5質量%、酸化バリウム(BaO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO)2〜5質量%、酸化リチウム(LiO)0〜2質量%、酸化ナトリウム(NaO)0〜2質量%、酸化カリウム(KO)0〜2質量%を含有し、酸化ホウ素(B)を実質的に含有せず、かつ、前記酸化リチウム(LiO)と前記酸化ナトリウム(NaO)と前記酸化カリウム(KO)との合計が0〜2質量%である組成からなっている。
上記のガラスフィラーの組成において、二酸化ケイ素(SiO)は50〜60質量%であることが好ましい。SiOが50質量%未満であると、ガラスフィラーの強度が低下する虞れがあり、また、60質量%を超えるとガラスとしての溶解性が低下することがある。
酸化アルミニウム(Al)は10〜15質量%であることが好ましい。Alが10質量%未満であると、耐水性等の化学的耐久性が低下する虞れがあり、また、15質量%を超えると溶解性が低下し、得られるガラスフィラーが不均質になり易くなる。
酸化ホウ素(B)の含有量は2〜8質量%であるか、又は実質的に含有しないことが好ましい。すなわち、Eガラスのような標準的にBを2〜8%含有する場合にも適用できる。この場合、Bの含有量が8%を超えるとガラスフィラーとしての強度が低下する虞れがある。また、耐酸性や耐アルカリ性に優れるECRガラス組成のようにBを実質的に含有しない場合にも適用できる。なお、本発明においてBを実質的に含有しないとは、Bの含有量が0.1質量%以下であることを意味する。
酸化カルシウム(CaO)は15〜25質量%であることが好ましい。CaOが15質量%未満であると、ガラスとしての溶解性が低下する虞れがあり、また、25質量%を超えると結晶化し易くなり透明性が低下する虞れがある。
酸化マグネシウム(MgO)は任意成分であり、0〜5質量%含有できる。MgOを含有させることにより、上記のCaOのCaの一部をMgに置き換えることができ、引っ張り強度等の耐久性を向上できる。MgOの含有量が5質量%を超えるとガラスとしての溶解性が低下する虞れがある。
酸化ホウ素(B)2〜8質量%含む場合には、酸化チタン(TiO)の含有量は、2〜10質量%であることが好ましい。この範囲の含有量とすることで、後述するアルカリ成分が1%以下であっても屈折率を充分に向上できる。TiOが2質量%未満であると、屈折率の向上が不充分であり、10質量%を超えるとガラスとして失透し易くなり、ガラスフィラーの強度が低下する虞れがある。また、ガラスフィラーが黄変しがちである。TiOの含有量は、ガラスフィラーの黄色味を抑えることから、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
を実質的に含まない場合には、TiOが2〜5%であることが好ましい。これは、Bは屈折率を下げる成分であり、屈折率を上げる成分であるTiOの含量が少なくてすむためである。TiOが2%未満であると、屈折率を上げることが不充分である。また、5質量%を超えると屈折率が上がり過ぎて、ポリカーボネート樹脂の屈折率との差が大きくなってしまう。
酸化亜鉛(ZnO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ジルコニウム(ZrO)も任意成分であり、それぞれ0〜5質量%含有できる。
ZnO、BaOを含有することにより、屈折率を上げることができ、また、失透を抑制することができる。それぞれの含有量が5質量%を超えると、液相温度が上昇し、失透し易くなってしまう。
ZrOも0〜5質量%含有でき、Bを実質的に含有しない場合には、2〜5質量%含有することが好ましい。ZrOを含有することにより、屈折率を上げることができ、また、化学的耐久性を向上できる。含有量が5質量%を超えると、ガラスとしての溶解性が低下し、また、失透し易くなってしまう。
なお、Bを2〜8質量%含む場合には、上記のZnOとBaOとZrOとの合計が、ガラスフィラー全体に対して0〜5質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。また、Bを実質的に含まない場合には、上記のZnOとBaOとZrOとの合計が、ガラスフィラー全体に対して2〜5質量%であることが好ましい。これらの成分は重元素であるZnやBaやZrを含むので、合計で5質量%を超えるとガラスの比重が増加して成形品の重量が増加してしまう。
アルカリ成分である、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)は、それぞれ0〜2質量%含有でき、かつ、これらの合計がガラスフィラー全体に対して0〜2質量%以下であることが好ましい。
アルカリ成分の合計含有量が、2質量%を超えると、ガラスの耐水性が低下して、アルカリが溶出し易くなる。そして、その溶出したアルカリ成分によってポリカーボネート樹脂の分子量が低下する虞れがあり、成形品の物性低下の要因となる。
このようにアルカリ成分の含有量が低くても、上記のようにBを2〜8質量%含む場合にはTiOを2〜10質量%含有することにより、また、Bを実質的に含まない場合にはTiOを2〜5質量%含有することにより、本発明においては屈折率を充分に向上できる。そして、アルカリ成分を低減することで、ポリカーボネート樹脂の分解による分子量低下を防止でき、成形品の強度等の物性低下を防止できる。
そして、本発明に用いることのできるガラスフィラーは、上記の組成からなるガラスフィラーの成形性や耐水性等に悪影響を及ぼさない範囲で、更に下記成分を含んでもよい。例えば、ガラスフィラーの屈折率を上げる成分として、ランタン(La)、Y(イットリウム)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)又はタングステン(W)等の元素を含む酸化物を含有させてもよい。また、ガラスの黄色を消色する成分として、コバルト(Co)、銅(Cu)又はネオジウム(Nd)等の元素を含む酸化物を含有させてもよい。
また、ガラスフィラーを得るのに必要なガラス原料には、着色を抑えることから、原料中の不純物として、酸化物基準でFe含有量が、ガラス全体に対して0.01質量%未満であることが好ましい。
本発明では、ガラスフィラーを、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ミルドファイバー又はガラスビーズなど様々な形態で用いることができるが、補強効果の点からガラス繊維として用いることが好ましい。
ガラス繊維は、従来公知のガラス長繊維の紡糸方法を用いて得ることができる。例えば、溶融炉でガラス原料を連続的にガラス化してフォアハースに導き、フォアハースの底部にブッシングを取り付けて紡糸するダイレクトメルト(DM)法、又は、溶融したガラスをマーブル、カレット、棒状に加工してから再溶融して紡糸する再溶融法等の各種の方法を用いてガラスを繊維化することができる。ガラス繊維の平均径は、特に限定されないが、3〜25μmのものが好ましく用いられる。3μmよりも細い場合には、ガラス繊維と樹脂との接触面積が増大して乱反射の原因となり、成形品の透明性が低下する場合がある。25μmよりも太い場合には、ガラス繊維の強度が弱くなり、結果として成形品の強度が低下する場合がある。
ガラスパウダーは、従来公知の製造方法で得られる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液を水中に投入して水砕したり、冷却ロールでシート状に成形して、そのシートを粉砕したりして、所望する粒径のパウダーにすることができる。ガラスパウダーの粒径は特に限定されないが、1〜100μmのものが好ましく用いられる。
ガラスフレークは、従来公知の製造方法で得られる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液をチューブ状に引き出し、ガラスの膜厚を一定にした後、ロールで粉砕することにより、特定の膜厚のフリットを得て、そのフリットを粉砕して所望するアスペクト比を有するフレークにすることができる。ガラスフレークの厚み及びアスペクト比は特に限定されないが、厚み0.1〜10μmでアスペクト比が5〜150のものが好ましく用いられる。
ミルドファイバーは、従来公知のミルドファイバーの製造方法を用いて得ることができる。例えば、ガラス繊維のストランドをハンマーミルやボールミルで粉砕することにより、ミルドファイバーにすることができる。ミルドファイバーの繊維径及びアスペクト比は特に限定されないが、繊維径は3〜25μm、アスペクト比は2〜150のものが好ましく用いられる。
ガラスビーズは、従来公知の製造方法で得られる。例えば、溶融炉でガラス原料を溶融し、この融液をバーナーで噴霧して、所望する粒径のガラスビーズにすることができる。ガラスビーズの粒径は特に限定されないが、5〜300μmのものが好ましく用いられる。
そして、ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーとの親和性を増し、密着性を増大して空隙形成による成形品の透明性低下を抑制するために、ガラスフィラーを、カップリング剤を含む処理剤で表面処理することが好ましい。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤又はチタネート系カップリング剤等を使用することができる。特に、ポリカーボネート系樹脂とガラスとの接着性が良好である点からシラン系カップリング剤を用いるのが好ましい。上記シラン系カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、アクリルシラン系カップリング剤等を使用することができる。それらのシラン系カップリング剤の中でも、アミノシラン系カップリング剤を用いるのが最も好ましい。
また、処理剤に含まれるカップリング剤以外の成分としては、フィルムフォーマー、潤滑剤及び帯電防止剤等が挙げられ、これらを単独で用いても複数の成分を併用してもよい。前記フィルムフォーマーとしては、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂又はポリオレフィン樹脂等のポリマー、もしくはそれらの変性物を使用することができる。前記潤滑剤としては、脂肪族エステル系、脂肪族エーテル系、芳香族エステル系又は芳香族エーテル系の界面活性剤を使用することができる。前記帯電防止剤としては、塩化リチウム、ヨウ化カリウム等の無機塩又はアンモニウムクロライド型、アンモニウムエトサルフェート型等の4級アンモニウム塩を使用できる。
本発明において使用できるポリカーボネート樹脂は、特に限定されず、例えばビスフェノールAとホスゲンを反応させて得られるものが使用できる。その粘度平均分子量としては12000〜35000であることが好ましい。
そして、ポリカーボネート樹脂中に含まれるガラスフィラーの含有量は2〜40質量%であることを必須とし、好ましくは5〜35質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。2質量%未満では機械物性の向上効果が充分得られず、また、40質量%を超えると、樹脂とガラスとの接触界面が増大して成形品の透明性が低下し、また、成形性が低下してしまう。ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるガラスフィラーの量を上記の範囲にすることにより、高い透明性と良好な機械的物性とを兼ね備えた干渉色調の色相を有する成形品が得られる。
更に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、屈折率等の特性を損なわない範囲で、周知の添加剤を用いることができる。例えば、酸化防止剤は、ポリカーボネート樹脂組成物の製造時や成形時の樹脂の分解を抑制することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は従来公知の方法を用いて製造することができる。例えば、上記ポリカーボネート樹脂と上記ガラスフィラーと任意の添加物とを混合機等を用いて混合し、押出し機で溶融混練してペレット化する方法が好ましく用いることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、従来公知の成形方法、例えば、ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形等により成形して、成形品を得ることができる。また、樹脂フィルムもしくは樹脂シートで内部の覆われた金型を用いて成形してもよい。
その際成形品の厚さは用途に応じて任意に設定することができ、特に成形品の透明性が要求される場合には、0.5〜4.0mmが好ましい。成形品の厚みが0.5mm未満であると、反りが生じやすく、また、機械強度の弱いものとなってしまう。また、4.0mmより大きいと、透明性が損なわれてしまう。
そして、成形品には、ハードコート膜、防曇膜、帯電防止膜、反射防止膜の被膜が形成されていることが好ましく、2種類以上の複合被膜としてもよい。
なかでも、耐候性が良好で、経時的な成形品表面の摩耗を防ぐことができることから、ハードコート膜の被膜が形成されていることが特に好ましい。ハードコート膜の材質は特に限定されず、アクリレート系ハードコート剤、シリコーン系ハードコート剤、無機系ハードコート剤等の公知の材料を用いることができる。
なお、ポリカーボネート樹脂組成物の製造条件、及びポリカーボネート樹脂成形品の成形条件は、適宜選択可能であり、特に限定されないが、溶融混練時の加熱温度や射出成形時の樹脂の温度は、樹脂の分解を抑制することから、通常220℃〜300℃の範囲から適宜選ぶのが好ましい。
成形品の最表面に、ガラスフィラーの少なくとも一部分が存在することで、成形品の表面粗さが大きくなり、成形品表面での乱反射が多くなり、結果として成形品の透明性を悪化する場合がある。このため、成形品の表面粗さを小さくする方法として、成形品の最表面に樹脂の存在比率が高い層(スキン層)を形成させることにより、成形品の表面粗さを小さくする方法等がある。このスキン層を形成させる方法として、射出成形の場合には金型の温度を一般的な条件よりも高い温度にすることで、金型に接する樹脂が流動し易くし、成形品の最表面の表面粗さを小さくすることができる。また、プレス成形の場合には、成形時の圧力を一般的な条件よりも高い圧力にすることにより、成形品の最表面の表面粗さを小さくすることができる。前述の方法を用いて、成形品の表面粗さを小さくすることにより、成形品表面での乱反射が少なくなり、ヘイズが小さくなり、結果として成形品の透明性を改善することができる。
そして、このようにして得られたポリカーボネート樹脂成形品は、平板に成形した際、可視光に対する全光線透過率は75%以上、かつ、ヘイズは35%以下であることが必要である。全光線透過率は80%以上が好ましく83%以上が特に好ましい。また、ヘイズは30%以下が好ましく、25%以下が特に好ましい。前記光学物性を備えたポリカーボネート樹脂成形品は透明性に優れたものであるので、高い透明性を要求される用途において使用することができる。なお、可視光に対する全光線透過率はJIS−K7361に準じて測定し、ヘイズはJIS−K7105に準じて測定することができる。
また、前記ポリカーボネート樹脂成形品は、板厚2mmの平板に成形した際、透過光時の変角色差計の受光角度βを−20°〜20°の範囲で変動させて測定した色相(L)が、β=0°の時のa値は0よりも小さくかつb値は0よりも大きい値であり、0°<β≦20°及び−20°≦β<0°の時のa値は0よりも大きくかつb値は0よりも小さい値であることが好ましい。
β=0°の時のa値は、より好ましくは−5よりも小さく、さらに好ましくは−10よりも小さい値である。また、b値は、より好ましくは5よりも大きく、さらに好ましくは10よりも大きい値である。
0°<β≦20°及び−20°≦β<0°の時のa値は、より好ましくは0.05よりも大きく、さらに好ましくは0.1よりも大きい値である。また、b値は、より好ましくは−0.05よりも小さく、さらに好ましくは−0.1よりも小さい値である。
ここで変角色差計とは、投光器と受光器との角度の変化による試料の透過・反射分布を測定する装置であり、例えばマイカ塗料などの、見る方向が変わると色が変化して見える物体の光学的性質を測定するのに用いられる。投光器の投光角度αは一般的に0〜80°の範囲で任意に選ぶことができる。
そして、本発明のポリカーボネート樹脂成形品は、透明性及び意匠性が必要とされる部材、例えば、1)テレビ、ラジオカセット、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、オーディオプレーヤ、DVDプレーヤー、電話器、ディスプレイ、コンピュータ、レジスター、複写機、プリンター、ファクシミリ等の各種部品、外板およびハウジングの各部品等の電気機器用部品、2)携帯電話、PDA、カメラ、スライドプロジェクター、時計、電卓、計測器、表示器機等の精密機械等のケース及びカバー類等の精密機器用部品などに好適の用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[ガラス繊維の製造]
表1に示す組成(質量%)で、製造例1〜4のガラス繊維を製造した。
なお、ガラス繊維は、従来公知の方法により繊維径15μmで紡糸し、バインダーとしてアミノシラン+ウレタンを0.5質量%となるように付着させた。上記ガラス繊維の波長486nmの光に対する屈折率(nF)、波長589nmの光に対する屈折率(nD)、波長656nmの光に対する屈折率(nC)及び比重を併せて表1に示す。ここで、ガラス繊維の屈折率は試験片をJIS−K7142のB法による浸液法によって測定した値であり、比重はアルキメデス法によって測定した値である。
[ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂成形品の製造]
製造例1〜4のガラス繊維を用いて、以下の条件でコンパウンドを行い、実施例1〜6及び比較例1〜4のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂成形品を製造した。
(コンパウンド条件)
ポリカーボネート樹脂:レキサン121R(日本ジーイープラスチックス社製、分子量21000、nD=1.585)
ガラス繊維:15μm径、3mm長のチョップトストランド、集束本数400本
押し出し機:TEM−35B(東芝機械社製)
押し出し温度:280℃
(射出条件)
成形機:IS−80G(東芝機械社製)
シリンダー温度:300℃
金型温度:120℃
上記ポリカーボネート樹脂成形品の物性を表2にまとめて示す。ここで、成形品の光学物性である全光線透過率は、日本電色株式会社製NDHセンサーを用い、JIS−K7361に準じて厚さ2mmのサンプルを測定した値であり、ヘイズ値は日本電色株式会社製NDHセンサーを用い、JIS−K7105方法aに準じて厚さ2mmのサンプルを測定した値である。また、機械物性である曲げ強度及び曲げ弾性は、それぞれASTM D−790に準じて厚さ3mmのサンプルを用いて測定した値である。
また、実施例2、4、5、6、及び比較例2、4のポリカーボネート樹脂成形品を用い、厚さ2mmの平板状のサンプルを、透過光の投光角度αを0°で固定し、受光角度βを−20°〜20°の範囲で変動させて色相(L)を測定した。表3にそれぞれの受光角度で測定したa値、及びb値を示す。ここで、成形品の色相測定には、日本電色株式会社製変角色差計(商品名;「GC 5000」)を用いた。
表2の結果より、実施例の成形品は比較例と同程度もしくはそれ以上の機械物性を有し、かつ、ヘイズは比較例に比べて低く、透明性に優れたものであることがわかる。また、表3の結果より、実施例の成形品は、観察角度により色相が変化するものであることがわかる。
本発明のポリカーボネート樹脂成形品は、機械強度、透明性及び意匠性の要求される、例えば、電気機器や電子機器の表示部のカバー等の部品に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーとを含有するポリカーボネート樹脂組成物において、
    前記ガラスフィラーが、二酸化ケイ素(SiO )50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al )10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)15〜25質量%、酸化チタン(TiO )2〜10質量%、酸化ホウ素(B )2〜8質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜5質量%、酸化バリウム(BaO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO )0〜5質量%、酸化リチウム(Li O)0〜2質量%、酸化ナトリウム(Na O)0〜2質量%、酸化カリウム(K O)0〜2質量%を含有し、かつ、前記酸化リチウム(Li O)と前記酸化ナトリウム(Na O)と前記酸化カリウム(K O)との合計が0〜2質量%となる組成であり、
    前記ガラスフィラーと前記ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が、波長486nmの光に対して0.004〜0.015、波長589nmの光に対して0.002以下、波長656nmの光に対して0.002以下であり、
    前記ガラスフィラーの含有率が2〜40質量%であり、
    該組成物を平板状に成形した際の全光線透過率が75%以上、かつ、ヘイズが35%以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート樹脂とガラスフィラーとを含有するポリカーボネート樹脂組成物において、
    前記ガラスフィラーが、二酸化ケイ素(SiO )50〜60質量%、酸化アルミニウム(Al )10〜15質量%、酸化カルシウム(CaO)15〜25質量%、酸化チタン(TiO )2〜5質量%、酸化マグネシウム(MgO)0〜5質量%、酸化亜鉛(ZnO)0〜5質量%、酸化バリウム(BaO)0〜5質量%、酸化ジルコニウム(ZrO )2〜5質量%、酸化リチウム(Li O)0〜2質量%、酸化ナトリウム(Na O)0〜2質量%、酸化カリウム(K O)0〜2質量%を含有し、酸化ホウ素(B )を実質的に含有せず、かつ、前記酸化リチウム(Li O)と前記酸化ナトリウム(Na O)と前記酸化カリウム(K O)との合計が0〜2質量%となる組成であり、
    前記ガラスフィラーと前記ポリカーボネート樹脂との屈折率の差が、波長486nmの光に対して0.004〜0.015、波長589nmの光に対して0.002以下、波長656nmの光に対して0.002以下であり、
    前記ガラスフィラーの含有率が2〜40質量%であり、
    該組成物を平板状に成形した際の全光線透過率が75%以上、かつ、ヘイズが35%以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ポリカーボネート樹脂組成物を板厚2mmの平板に成形した際、透過光時の変角色差計の受光角度βを−20°〜20°の範囲で変動させて測定した色相(L)が、β=0°の時のa値は0よりも小さくかつb値は0よりも大きい値であり、0°<β≦20°及び−20°≦β<0°の時のa値は0よりも大きくかつb値は0よりも小さい値である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載のポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されたポリカーボネート樹脂成形品。
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