JP4672041B2 - アルカリ電池及びアルカリ電池の封口ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、電池内圧が異常上昇したときに作動する安全弁を備えたアルカリ電池に関し、特に、電池ケースの開口部を密閉する封口ユニットの構造に関する。
一般に、円筒型アルカリ電池は、図4(a)に示すように、有底円筒形の電池ケース101内に、正極合剤102、ゲル状負極103及びセパレータ104が、アルカリ電解液とともに充填され、電池ケース101の開口部は、負極端子板105、負極集電子106及びガスケット107が一体化された封口ユニットで密閉されている。
また、ガスケット107は、負極集電子106を貫通するボス部107aと、電池ケース101の開口部に接する外周部107bと、ボス部107aと外周部107bとの間に位置する環状部107cとを備え、環状部107cの一部には、薄肉部108からなる安全弁が形成されている。そして、電池内圧が異常上昇したとき、薄肉部108が破断することによって、電池内の発生ガスを、負極端子板105に形成したガス抜き孔109から電池外へ逃がすことができ、これにより、電池の破裂が防止される。
しかしながら、例えば、複数個の電池を直列に接続した状態で回路が短絡した場合、短絡電流により電池自体の温度が急激に上昇すると、樹脂からなるガスケットが高温により軟化して、電池内部で発生したガス圧により変形する。このとき、ガスケットの環状部107cが、図4(b)に示すように、負極端子板105に接するまで湾曲して伸びきってしまうと、薄肉部108が破断されず、安全弁が有効に作動しないおそれがある。
そこで、負極集電子106の周縁に、薄肉部108に対向する刃突起を設けることによって、電池の温度上昇により環状部107cが伸びきっても、薄肉部108を確実に破断させることのできる技術が特許文献1に記載されている。
しかしながら、この技術は、薄肉部108を確実に破断させて、安全弁を有効に作動させる効果はあるが、負極集電子106の構造が複雑となり、量産性に乏しく、また、コスト高にもなる。
そこで、図4(c)に示すように、ボス部107aの長さを長くして、環状部107cと負極端子板105との間を、環状部107cが伸びきっても、薄肉部108が破断されるような距離まで予め離しておくことによって、たとえ環状部107cが伸びきっても、薄肉部108を容易に破断させるようにすることができる。これにより、負極集電子106及びガスケット107の構造を複雑にしなくても、安全弁が有効に作動するアルカリ電池を得ることができる。
特開平9−7572号公報
アルカリ電池の低コスト化を図るには、アルカリ電池を構成する部品や材料のコストを低減することが必要である。
電池ケースの開口部を密閉する封口ユニットは、負極端子板、負極集電子、及びガスケットが一体化された部品として構成されているが、その中で、負極集電子は、負極端子板やガスケットとは異なり、その胴径寸法は、電池ケースの外径に制限されないため、負極集電子の胴径寸法をさらに細くすることができれば、低コスト化に有効である。
そこで、本願発明者は、低コスト化の効果の大きい単1形及び単2形のアルカリ電池について、従来よりも負極集電子の胴径寸法を細くしたアルカリ電池を作製して、電池特性の検討を行っていたところ、直列に接続した電池の短絡試験において、電池内のガス圧が上昇しても、薄肉部が破断せず、安全弁が有効に作動しないものがあった。
薄肉部が破断しなかった電池を詳しく調べたところ、図5に示すように、負極集電子106の鍔部106a(負極集電子106の端部に設けられた平坦部)に当接していたガスケットのボス部107aの一部が、鍔部106aに埋め込まれていることが分かった。
すなわち、ガスケットの薄肉部108が破断しなかった原因は、鍔部106aがボス部107aに埋め込まれてしまった結果、負極端子板105とガスケットの環状部107cとの距離を予め設定していた値に維持できなくなってしまい、薄肉部108が破断する前に、環状部107cが負極端子板105に接するまで湾曲して伸びきってしまったためと考えられる。
このように、負極集電子106の鍔部106aがガスケットのボス部107aの一部に埋め込まれてしまった原因は、次のように考えられる。
負極集電子106の鍔部106aは、負極集電子106の端部を負極端子板105に溶接する際に、負極集電子106を固定させる目的と、溶接の際のスパッタ粒子が電池ケース内に飛散するのを防止する目的で設けられている。そのため、鍔部106aの外径は、大きい方が好ましい。
しかしながら、通常、負極集電子106の鍔部106aは、図6(a)、(b)に示すように、ダイス111に固定した負極集電子106の端部をパンチ110で叩いて加工(据え込み加工)して形成されるため、負極集電子106の胴径が細くなると、必然的に鍔部106aの径も小さくなる。
ここで、据え込み率をz=(h0−h)/h0(h0は据え込み加工前の負極集電子106の長さ、hは据え込み加工後の鍔部106aの厚み)と定義すると、据え込み加工後の鍔部106aの外径(L)は、L=(1/1−z)1/2D(Dは、負極集電子106の胴径)となるが、例えば、据え込み率(z)を75%とすると、鍔部106aの外径(L)は、負極集電子106の胴径(D)の2倍程度にしかならない。
従って、電池内のガス圧が上昇すると、ガスケットの環状部107cだけでなく、ボス部107aにも圧力が加わるため、ボス部107aと鍔部106aとの接触面積が小さいと、接触面に大きな力が加わることになる。また、負極集電子106の胴径が細くなると、負極集電子106の抵抗が増加するため、短絡時の発熱量が増え、そのため、ガスケットの環状部107cが伸長するだけでなく、ボス部107a自体も軟化する。加えて、負極集電子106の胴径が細くなると、負極集電子106を貫通するボス部107aにおいて、ボス部107aの内周面と負極集電子106の外周面との嵌合面積が減少するため、負極集電子106とボス部107aとの摩擦力も小さくなる。さらに、単1形及び単2形のアルカリ電池は、活物質量が多いため、短絡時の発熱量も多なり、ボス部107aがより軟化しやすくなる。それ故、電池内のガス圧の上昇により、ボス部107aに圧力が加わると、ボス部107aと鍔部106aとの接触面に過剰な圧力が加わることによって、軟化したボス部107aが負極集電子との摩擦力に抗して負極端子板105側に押され、その結果、その一部(鍔部106aと当接していた部分)が鍔部106aに埋め込まれたものと考えられる。
なお、負極端子板105と環状部107cとの距離を確保する目的で、ボス部107aを負極集電子106の鍔部106aから離間して負極集電子に固定している場合においても、上記と同様のことは起こり得る。すなわち、上述したように、負極集電子106の胴径が細くなると、負極集電子106とボス部107aとの摩擦力が小さくなるため、電池内のガス圧の上昇により、ボス部107aに圧力が加わると、ボス部107aが負極集電子との摩擦力に抗して負極端子板105側に移動して鍔部106aに当接し、さらに、鍔部106aが軟化したボス部107aの一部に埋め込まれることは起こり得り、それ故、安全弁が有効に作動しないおそれがある。
本発明は、かかる知見に基づきなされたもので、その主な目的は、負極集電子の胴径を細くした場合でも、電池内圧が異常上昇したとき、ガスケットの薄肉部が確実に破断して、安全弁を有効に作動させることのできる、低コストで信頼性に優れた高いアルカリ電池を提供することにある。
本発明に係わるアルカリ電池は、電池ケースの開口部が、封口ユニットによって密閉されてなるアルカリ電池であって、封口ユニットは、負極端子板、負極端子板に接合された負極集電子、及びガスケットを備え、ガスケットは、負極集電子を貫通するボス部と、電池ケースの開口部に接する外周部と、ボス部と外周部との間に位置する環状部とを備え、環状部の一部には、薄肉部からなる安全弁が形成されており、負極集電子の胴径は1.8mm以下で、負極集電子の端部には鍔部が形成されており、鍔部の外径は2.7mm以上であって、ボス部の外径と鍔部の外径との比は4.0以下であることを特徴とする。
このような構成により、負極集電子の胴径を1.8mm以下に細くしても、鍔部の外径が2.7mm以上で、ボス部の外径と鍔部の外径との比が4.0以下に設定されているため、電池内圧が異常上昇してボス部に圧力が加わっても、ボス部と鍔部との接触面に過剰な圧力が加わることはない。それ故、軟化したボス部が鍔部に埋め込まれるのを防止することができ、その結果、負極端子板とガスケットの環状部との距離が維持されるため、薄肉部を確実に破断させることができる。
ある好適な実施形態において、上記ガスケットは、ボス部が負極集電子の鍔部に当接した状態で負極集電子に嵌合されている。
ある好適な実施形態において、上記鍔部は、負極集電子の端部を据え込み加工により形成されたものである。
ここで、上記負極集電子の胴径は1.1mm以上であることが好ましい。
また、上記ボス部の外径と鍔部の外径との比は3.1以上であることが好ましい。
さらに、上記負極集電子を貫通するボス部において、ボス部の内周面と負極集電子の外周面との嵌合面積が、28〜38mmの範囲にあることが好ましい。
ある好適な実施形態において、上記負極集電子の表面には、メッキ層が形成されていない。この場合、負極集電子の表面粗さ(Rmax)は、0.3〜3.0μmの範囲にある。また、負極集電子は真鍮からなり、真鍮の銅含有率が50〜60%の範囲にある。
ある好意な実施形態において、アルカリ電池は、単1形または単2形の大きさである。
本発明に係わるアルカリ電池の封口ユニットは、電池ケースの開口部を密閉するアルカリ電池の封口ユニットであって、負極端子板、負極端子板に接合された負極集電子、及びガスケットとを備え、ガスケットは、負極集電子を貫通するボス部と、電池ケースの開口部に接する外周部と、ボス部と外周部との間に位置する環状部とを備え、環状部の一部には、薄肉部からなる安全弁が形成されており、負極集電子の胴径は1.8mm以下で、負極集電子の端部には鍔部が形成されており、鍔部の外径は2.7mm以上であって、ボス部の外径と鍔部の外径との比は4.0以下であることを特徴とする。
ある好意な実施形態において、上記ガスケットは、ボス部が負極集電子の鍔部に当接した状態で、負極集電子に嵌合されている。
本発明によれば、負極集電子の胴径を1.8mm以下に細くしても、鍔部の外径が2.7mm以上で、ボス部の外径と鍔部の外径との比が4.0以下に設定されているため、電池内圧が異常上昇しても、ボス部と鍔部との接触面に過剰な圧力が加わらないため、鍔部が軟化したボス部に埋め込まれるのを防止することができる。これにより、薄肉部を確実に破断させて、安全弁を有効に作動させることができるため、低コストで信頼性に優れたアルカリ電池を実現することができる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
負極集電子の胴径を細くした場合に、電池内圧が異常上昇したとき、ガスケットの安全弁(薄肉部)が有効に作動しなかった原因は、上述したように、ガスケットのボス部と負極集電子の鍔部との接触面に過剰な圧力が加わったことによって、鍔部が軟化したボス部の一部に埋め込まれたことに起因する。
これは、負極集電子の胴径を細くしたとき、鍔部の外径も必然的に小さくなったことに加え、単1形または単2形のアルカリ電池を直列に接続したとき、短絡時の発熱量が大きくなったことによって顕在化した問題と考えられる。
一方、ガスケットのボス部については、従来、負極集電子に貫通させて固定する際に、漏液が生じない程度の締め付け度や、ボス部のワレが生じない程度の厚みについては考慮されていたが、ボス部の外径と鍔部の外径との関係は何ら考慮されていなかった。
本願発明者は、負極集電子の胴径を細くしたときに、安全弁が有効に作動しなかった原因に着目して、ボス部の底面(負極端子板と反対側の面)の面積(S)と、ボス部の上面(負極端子板側の面)と鍔部との接触面積(S)との比(S/S)を一定の値以下にすれば、ボス部と鍔部との接触面に過剰な圧力が加わるのを回避することができることに思い至った。
なお、ボス部の外径をR、鍔部の外径をRとしたとき、負極集電子の胴径が細いことを考慮すれば、S/S≒R /R >R/Rの関係が成り立つことから、ボス部の外径と鍔部の外径との比(R/R)を、ボス部と鍔部との接触面に過剰な圧力が加わらないための条件の指標値とすることができる。
図1は、本発明の実施形態におけるアルカリ電池の構成を示した半断面図である。有底円筒状の電池ケース1内に、セパレータ4を介して正極2とゲル状負極3が収納されている。そして、電池ケース1の開口部は、負極端子板5、負極集電子6及びガスケット7が一体化された封口ユニット9で密閉されている。また、電池ケース1の外周面は、外装ラベル10が被覆されている。
また、図2は、本発明の実施形態におけるアルカリ電池の封口ユニット9の構成を示した部分断面図である。ガスケット7は、負極集電子6を貫通するボス部7aと、電池ケース1の開口部に接する外周部7bと、ボス部7aと外周部7bとの間に位置する環状部7cとを備え、環状部7cの一部には、薄肉部8からなる安全弁が形成されている。また、負極集電子6の端部には鍔部6aが形成されており、鍔部6aは負極端子板5に溶接で接合されている。
本発明の実施形態において採用する負極集電子6の胴径は1.8mm以下である。そして、負極集電子6の鍔部6aを、負極集電子6の端部を据え込み加工により形成した場合、電池内圧が異常上昇したとき、薄肉部8が確実に破断して、安全弁を有効に作動させるためには、ボス部7aの外径と鍔部6aの外径との比を4.0以下にする必要がある。
また、集電効果の低下を考慮すれば、負極集電子6の胴径は、1.1mm以上であることが好ましい。さらに、ボス部7aのワレを考慮すれば、ボス部7aの外径と鍔部6aの外径との比は3.1以上であることが好ましい。
なお、負極集電子6の胴径を細くすると、負極集電子6を貫通するボス部7aにおいて、ボス部7aの内周面と負極集電子6の外周面との嵌合面積が減少するため、ボス部7aの締め付けが弱くなり、負極集電子6とボス部7aとの界面において、電解液クリープによる漏液が生じるおそれがある。また、ボス部7aの長さを長くすることによって、嵌合面積の減少を抑制することができるが、その分、電池内容積が減少するため、電池容量の低下を招く。従って、漏液が生ぜず、電池容量を低下させないためには、嵌合面積は28〜38mmの範囲にあることが好ましい。
ところで、本発明は、ガスケット7のボス部7aが負極集電子6鍔部6aに当接した状態で負極集電子6に嵌合されている場合だけでなく、ボス部7aが負極集電子6の鍔部6aから離間した状態で負極集電子6に嵌合されている場合にも、同様の効果を発揮することができる。すなわち、負極集電子6の胴径を1.8mm以下に細くすると、負極集電子6とボス部7aとの摩擦力が小さくなるため、電池内のガス圧の上昇により、ボス部7aに圧力が加わると、ボス部7aが負極集電子との摩擦力に抗して負極端子板5側に移動するおそれがある。しかし、ボス部7aが移動して鍔部6aに当接しても、鍔部6aが軟化したボス部7aに埋め込まれるのを防止することができるため、安全弁の作動を確保することができる。
また、負極集電子6の表面にメッキ層を形成しなければ、材料コストを低減することができるが、メッキ層がないと、負極集電子6の表面粗さ(Rmax)が小さくなって、負極集電子6とボス部7aとの摩擦力が低下するが、本願発明は、このような場合により顕著な効果を発揮し得る。なお、負極集電子6の表面加工を考慮すれば、表面粗さ(Rmax)は、0.3〜3.0μmの範囲にあることが好ましい。
また、負極集電子6を構成する真鍮の銅の含有率を少なくできれば、材料コストを低減することができるが、負極集電子6の電気伝導度が低下するため、短絡時に負極集電子の発熱が増大し、負極集電子6の鍔部6aが軟化したボス部7aに埋め込まれ易くなるが、本願発明は、このような場合により顕著な効果を発揮し得る。
以下、図1に示したアルカリ電池の各構成要素の具体的な構成について説明する。
電池ケース1は、例えば、ニッケルめっき鋼板を用いて所定の寸法、形状にプレス成型して得られる。電池ケース1の内面には、導電性被膜を形成してもよい。
正極2には、例えば、二酸化マンガン粉末およびオキシ水酸化ニッケル粉末の少なくとも一方を含む正極活物質、黒鉛粉末などの導電剤、およびアルカリ電解液の混合物が用いられる。また、ポリエチレン粉末等の結着剤やステアリン酸塩等の滑沢剤を添加してもよい。
ゲル状負極3は、例えば、アルカリ電解液に、ポリアクリル酸ナトリウム等のゲル化剤を添加してゲル状に加工し、負極活物質の亜鉛合金粉末を混合分散させたものが用いられる。耐食性を向上させるために、インジウムやビスマス等の水素過電圧の高い金属化合物や、リン酸エステル系の界面活性剤等を添加してもよい。また、亜鉛デンドライトの抑制のために、微量のケイ酸やその塩などのケイ素化合物を添加してもよい。
セパレータ4は、例えば、ポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体とする不織布が用いられる。
正極2、ゲル状負極3、及びセパレータ4には、アルカリ電解液が含まれている。アルカリ電解液は、例えば、水酸化カリウムを30〜40重量%、酸化亜鉛を1〜3重量%を含有する水溶液が用いられる。
負極端子板5は、例えば、ニッケルめっき鋼板やスズめっき鋼板などを所定の寸法、形状にプレス成型して得られる。また、その周縁部にガスケット7の安全弁8が作動した際の圧力を逃がす複数個のガス孔が設けられている。
負極集電子6は、銀、銅、真鍮等の線材を所定の寸法の釘型にプレス加工して得られる。なお、加工時の不純物の排除と隠蔽効果を得るために、その表面にスズやインジウムでめっきを施すことが好ましい。
ガスケット7は、例えば、6,6−ナイロンなどを所定の寸法、形状に射出成型して得られる。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明の構成及び効果をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1に示した構造の単1形のアルカリ電池を、負極集電子6の胴径が、それぞれ1.80mm、1.45mm、1.10mmのものを用いて、以下の手順により作製した。
(1)正極合剤の作製
平均粒径が35μmを有する電解二酸化マンガン粉末と、平均粒径が15μmを有する黒鉛粉末とを94:6の重量比で混合した。そして、この混合物とアルカリ電解液(35重量%の水酸化カリウム、および2重量%の酸化亜鉛を含有する水溶液)とを100:2の重量比で混合し、充分に攪拌した後、フレーク状に圧縮成形した。その後、フレーク状の正極合剤を粉砕して顆粒状とし、これを10〜100メッシュに分級したものを中空円筒状に加圧成形してペレット状の正極合剤2を得た。
(2)負極の調製
ゲル化剤(ポリアクリル酸ナトリウム粉末)と、アルカリ電解液(35重量%の水酸化カリウム、および2重量%の酸化亜鉛を含有する水溶液)と、亜鉛合金粉末とを0.8:33.6:65.6の重量比で混合し、ゲル状負極3を得た。なお、亜鉛合金粉末は、0.020重量%のインジウムと、0.010重量%のビスマスと、0.004重量%のアルミニウムとを含有し、平均粒子径が160μmで、75μm以下の粒子を35%含むものを用いた。
(3)発電要素の電池ケースへの収納
上記(1)で得られた正極合剤2を電池ケース1内に2個挿入し、加圧治具により正極合剤2を加圧して電池ケース1の内壁に密着させた。電池ケース1の内壁に密着させた正極合剤2の中央に有底円筒形のセパレータ4を配置した。なお、セパレータ4には、ポリビニルアルコール繊維およびレーヨン繊維を主体とする不織布を用いた。そして、セパレータ4内にアルカリ電解液(33重量%の水酸化カリウム、および1重量%の酸化亜鉛を含有する一定重量の水溶液)を注入した。所定時間経過した後、上記(2)で得られた一定重量のゲル状負極3をセパレータ4内に充填した。
(4)封口ユニットの作製
銅58%、亜鉛42%の真鍮を、全長が36mm、胴径が1.80mm、1.45mm、1.10mmにそれぞれなるように釘状にプレス加工した後、その端部を据え込み加工して、厚み0.4mm、外径の異なる鍔部6aを有する負極集電子6を作製した。
厚さ0.4mmのニッケルめっき鋼板を所定の寸法、形状にプレス加工して得た負極端子板5に、負極集電子6の鍔部6aを電気溶接した後、6,6−ナイロンを所定の寸法、形状に射出成型して得たボス部7aの貫通孔に負極集電子6を圧入して、封口ユニット9を作製した。ガスケット7は、長さ7.00mm、外径の異なるボス部7aを有する形状に成形したものを用いた。なお、負極集電子6の表面にはメッキ層を形成しておらず、その表面荒さ(Rmax)は2.50であった。
作製した封口ユニットを電池ケース1の開口端部に配置し、電池ケース1の開口部を内方へ折り曲げて封口し、外装ラベル10で電池ケース1の外表面を被覆して、単1形のアルカリ電池を得た。
上記の手順により作製したアルカリ電池について、以下の要領で短絡試験を行い、安全弁の作動について評価した。
(1)短絡試験
上記の手順により作製したアルカリ電池4本を端子が同方向になるように向け、側面が接するように固定したものを2セット作成する。作成した4本一組の各セットを端子が逆向きになるように隣り合わせ、隣同士になった正極端子と負極端子を幅5mm、厚み0.5mmのニッケルめっきリード線で、抵抗溶接により接続することで8個直列の状態とした。そして、8個直列の閉路状態で24時間放置し、その後、開路状態に戻して1週間放置した後、破裂の発生の有無を確認した。
(2)試験結果
表1は、負極集電子6の胴径をそれぞれ1.80mm、1.45mm、1.10mmにした場合の各アルカリ電池について行った短絡試験の結果を示した表である。なお、表1中の負極集電子及びガスケット(ボス部)の各部の寸法は、図3(a)、(b)に示した各部分の寸法を示したものである。
Figure 0004672041
表1に示すように、負極集電子6の胴径(D)が1.80mmの場合、鍔部の外径(L)及びボス部7aの外径(2R)を変化させて作製した各電池(実施例1〜4、比較例1)において、ボス部の外径/鍔部の外径(2R/L)が4.0以下のときは、短絡試験において破裂した電池はなかった(実施例1〜4)。それに対して、2R/Lが5.3のときは、短絡試験において破裂した電池があった。
同様に、負極集電子6の胴径(D)が1.45mm、及び1.10mmの場合についても、ボス部の外径/鍔部の外径(2R/L)が4.0以下のときは、短絡試験において破裂した電池はなかった(実施例5〜8、9〜12)。それに対して、2R/Lが5.9(比較例2)または5.6(比較例3)のときは、短絡試験において破裂した電池があった。なお、破裂した電池を観察したところ、ガスケットのボス部7aが負極集電子6の鍔部6aに埋め込まれており、ガスケットの薄肉部8は破断されていなかった。
このように、負極集電子6の胴径を1.80mm以下に細くしたときに、電池内圧が異常上昇しても、薄肉部8を確実に破断させて、安全弁を有効に作動させるためには、ボス部の外径と鍔部の外径との比(2R/L)を4.0以下にする必要があることが分かる。
なお、負極集電子6の胴径が細くなるに伴い、ボス部7aの内周面と負極集電子6の外周面との嵌合面積(πD・H)が減少するが、少なくとも、嵌合面積が24mm程度(実施例9〜12)あれば、ボス部7aが鍔部6aに埋め込まれることはなく、安全弁は有効に作動する。
一方、ボス部7aの内周面と負極集電子6の外周面との嵌合面積が減少すると、ボス部7aの締め付けが弱くなり、負極集電子6とボス部7aとの界面において、電解液クリープによる漏液が生じるおそれがある。
表2は、負極集電子6の胴径(D)が1.6mmの場合に、ガスケットのボス部7aの長さ(H)を変えて嵌合面積(πD・H)を変えたときに、電解液クリープによる漏液の発生を調べた結果を示した表である。なお、このときの鍔部の外径(L)は3.6mm、ボス部7aの外径(2R)は14.2mm、嵌合率(D/R)は1.05であった。また、負極集電子6の表面にはメッキ層が形成されておらず、その表面粗さ(Rmax)は2.5μmであった。
Figure 0004672041
表2に示すように、嵌合面積が26.6mmになると、集電子−ガスケット間にクリープ漏液が発生した。なお、嵌合面積が38.2mmになると、ボス部7aが長くなるため、電池内容積が減少し、電池の放電性能が低下する。このことから、クリープ漏液が生ぜず、電池容量も低下させないためには、嵌合面積は28〜38mmの範囲にあることが好ましい。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、単1形または単2形のアルカリ電池について説明したが、これに限定されず、例えば、単3形、単4形等のアルカリ電池にも勿論適用することができる。
本発明のアルカリ電池は、低コストで信頼性に優れ、種々の電子機器の電源に有用である。
本発明の実施形態におけるアルカリ電池の構成を示した半断面図である。 本発明の実施形態におけるアルカリ電池の封口ユニットの構成を示した部分断面図である。 (a)、(b)は、本発明の実施例における負極集電子、及びガスケットの各部の寸法をそれぞれ示した図である。 (a)は、従来のアルカリ電池の構成を示した断面図、(b)は、従来のアルカリ電池の課題を説明した断面図、(c)は、従来のアルカリ電池の改良された構成を示した断面図である。 従来の改良されたアルカリ電池の課題を説明した断面図である。 (a)、(b)は、従来の負極集電子の鍔部の形成方法を示した図である。
符号の説明
1 電池ケース
2 正極
3 ゲル状負極
4 セパレータ
5 負極端子板
6 負極集電子
6a 鍔部
7 ガスケット
7a ボス部
7b 外周部
7c 環状部
8 薄肉部(安全弁)
9 封口ユニット
10 外装ラベル

Claims (12)

  1. 電池ケースの開口部が、封口ユニットによって密閉されてなるアルカリ電池であって、 前記封口ユニットは、負極端子板、該負極端子板に接合された負極集電子、及びガスケットを備え、
    前記ガスケットは、前記負極集電子を貫通するボス部と、前記電池ケースの開口部に接する外周部と、前記ボス部と前記外周部との間に位置する環状部とを備え、該環状部の一部には、薄肉部からなる安全弁が形成されており、
    前記負極集電子の胴径は1.8mm以下で、該負極集電子の端部には鍔部が形成されており、
    前記鍔部の外径は2.7mm以上であって、前記ボス部の外径と前記鍔部の外径との比は4.0以下である、アルカリ電池。
  2. 前記ガスケットは、前記ボス部が前記負極集電子の鍔部に当接した状態で、前記負極集電子に嵌合されている、請求項1に記載のアルカリ電池。
  3. 前記鍔部は、前記負極集電子の端部を据え込み加工により形成されたものである、請求項1に記載のアルカリ電池。
  4. 前記負極集電子の胴径が1.1mm以上である、請求項1に記載のアルカリ電池。
  5. 前記ボス部の外径と前記鍔部の外径との比が3.1以上である、請求項1に記載のアルカリ電池。
  6. 前記負極集電子を貫通するボス部において、前記ボス部の内周面と前記負極集電子の外周面との嵌合面積が、28〜38mmの範囲にある、請求項1に記載のアルカリ電池。
  7. 前記負極集電子の表面には、メッキ層が形成されていない、請求項1に記載のアルカリ電池。
  8. 前記負極集電子の表面粗さ(Rmax)が、0.3〜3.0μmの範囲にある、請求項7に記載のアルカリ電池。
  9. 前記負極集電子は真鍮からなり、該真鍮の銅含有率が50〜60%の範囲にある、請求項1に記載のアルカリ電池。
  10. 前記アルカリ電池は、単1形または単2形の大きさである、請求項1に記載のアルカリ電池。
  11. 電池ケースの開口部を密閉するアルカリ電池の封口ユニットであって、
    負極端子板、該負極端子板に接合された負極集電子、及びガスケットを備え、
    前記ガスケットは、前記負極集電子を貫通するボス部と、前記電池ケースの開口部に接する外周部と、前記ボス部と前記外周部との間に位置する環状部とを備え、該環状部の一部には、薄肉部からなる安全弁が形成されており、
    前記負極集電子の胴径は1.8mm以下で、該負極集電子の端部には鍔部が形成されており、
    前記鍔部の外径は2.7mm以上であって、前記ボス部の外径と前記鍔部の外径との比は4.0以下である、アルカリ電池の封口ユニット。
  12. 前記ガスケットは、前記ボス部が前記負極集電子の鍔部に当接した状態で、前記負極集電子に嵌合されている、請求項11に記載のアルカリ電池の封口ユニット。
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