JP4673636B2 - 制振性に優れた管状垂直立設部材 - Google Patents

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Description

本発明は、制振装置及び制振性に優れた立設部材に関する。詳細には、道路や橋梁などに立設される、照明柱、標識柱、信号柱などの立設部材に用いられる制振装置及び制振性に優れた立設部材に関する。
道路や橋梁などに立設された、照明柱、標識柱、信号柱などの立設部材は、風、地震や車両走行に伴う路面振動などに起因する共振現象によって、揺れが生じることがある。これらの立設部材に揺れが生じると、揺れによって立設部材の損傷が起きやすく、また、その損傷が促進される。また、発生する振動により、立設部材に取り付けられた器具の寿命が短くなる問題があり、さらに、照明柱の場合には、照明光が揺れて人に違和感を与える問題もある。
このような共振現象に起因する立設部材の揺れを防止するために、
(a)立設部材の重量、形状及び剛性を変更して、その固有振動数を変更する方法、
(b)立設部材の内部に物理振り子及び当接具を設けて、振動時に物理振り子を当接具に衝突させることによって制振効果を持たせる方法、
が、それぞれ、すでに提案されている。
しかしながら、上記(a)の方法では、特定の振動数に対しては制振効果があるものの、風による揺れのように、励振周期や振動数が様々に変動する揺れには対応できないだけでなく、立設部材の材料設計の自由度を減じることになる。また、上記(b)の方法では、励振周期や振動数が様々に変動する揺れには対応できないことに加えて、制振効果を上げるためには、物理振り子及び当接具を一定以上の大きさにする必要がある。そのために収納スペースが必要となるが、これも、立設部材の装置設計の自由度を減じる結果となる。
特許文献1には、このような従来技術の問題点を踏まえて、振動数の変動に対応した制振装置が記載されている。
すなわち、垂直中空体の内部に、非固定の自由振動部を持たせて鋼製チェーンまたはワイヤーを吊り下げ、かつこの鋼製チェーンまたはワイヤーと垂直中空体の内壁との間隔を等価に維持してなる制振装置であり、この制振装置を垂直立設部材の外部又は内部に取り付けることによって、垂直立設部材に加えられた揺れによる振動を減衰させるものである。
図6に、特許文献1に記載の制振装置の一例を示す。(a)は制振装置の軸心を通る一つの縦断面図であり、(b)は(a)に対して90°回転した方向の縦断面図である。
制振装置1は、全長にわたって同一径の円形鋼管からなる垂直中空体10と、その内部に吊り下げられた鋼製チェーン11の吊り下げ部材からなる。この鋼製チェーン11の上端は、垂直中空体10の上部に設置された蓋板12に固定して取り付けられた固定フック15によって支持されている。したがって、鋼製チェーンは上端を除いて非固定の自由振動部を形成している。
ここで、鋼製チェーンは円形鋼管の中心部において垂直に吊り下げられているため、振動のない状態では、鋼製チェーン11の外面と垂直中空体10の内面との間隔dは、円形鋼管の内部において等価に維持されている。
この制振装置1に、風、地震や車両走行に伴う路面振動などに起因する共振現象によって生じた揺れが伝わり、励振が起こる。そのとき、垂直中空体10と鋼製チェーン11はともに振動するが、鋼製チェーン11の自由振動部は垂直中空体10とは異なった態様で振動するため、鋼製チェーン11の自由振動部が垂直中空体10の内壁面に衝突する。その結果、垂直中空体10の振動エネルギーが散逸するので、垂直中空体10の振動が急速に減衰し、振動が制止される。
このように、垂直中空体10の内部に鋼製チェーン11を吊り下げることで、垂直中空体に加わった振動を減衰し、制止することができる制振装置を形成することができる。
そして、立設部材が中空の垂直部材である場合には、この制振装置1をその垂直立設部材の外部又は内部に取り付けることによって、垂直立設部材に加えられた揺れによる振動を、制振装置を構成する垂直中空体に伝播させ、そして、その垂直中空体においてその振動を減衰させて、制止することができるのである。
他方、立設部材が中空体ではない場合や中空体であっても傾斜している場合には、上記の制振装置を、立設部材の外部に取り付けることによって、立設部材に制振性を付与することができる。
なお、立設部材自体が垂直中空体であるとき、すなわち、図6に示される垂直中空体10が、それ自体立設部材を構成するときは、立設部材となる垂直中空体の内部に直接鋼製チェーンを吊り下げることによって、立設部材そのものに制振性を付与することもできる。
特公平04−26004号公報
照明柱、標識柱、信号柱などの立設部材に、上記の特許文献1に記載の制振装置を組み込んでも、風、地震や車両走行に伴う路面振動などに起因する共振現象によって立設部材に揺れが生じることがあった。そして、これらの立設部材に揺れが生じると、発生する振動により、立設部材に取り付けられた器具の寿命が短くなり、さらに、照明柱の場合には、照明光が揺れて人に違和感を与える。
その原因は、風、地震や車両走行に伴う路面振動などに起因する振動の場合は、振動数範囲が広いために、垂直中空体の内部に単に鋼製チェーンを吊り下げるだけの制振装置では、全振動数範囲の振動に対応できないためであることが分かった。特に、2〜3Hzの低周波の振動に対する制振効果が不充分であることが判明した。
本発明の目的は、高周波から低周波まで広範囲に周波数が変動する振動にも高い減衰性能を有し、かつ振動の方向にも左右されない制振性に優れた管状垂直立設部材を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、高周波振動では吊り下げ部材が頻繁に垂直中空体に衝突することから、振動エネルギーを減衰させることができるが、低周波振動では、垂直中空管の振動周期と、吊り下げ部材における振動がその吊り下げ部材の支持点から先端まで伝播される時間とがともに大きくて、吊り下げ部材の振動モードと垂直中空体の振動モードとの間に有意差が生じないため、吊り下げ部材と垂直中空体の衝突頻度が少なくなり、吊り下げ部材が垂直中空部材の内壁に衝突することによる振動エネルギーの減衰がされにくいためであると考えた。
そして、低周波振動における制振性を高めるためには、吊り下げ部材と垂直中空体の衝突頻度を多くする代わりに、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を変えることによって、吊り下げ部材の外面が垂直中空体の内面に衝突する際の速度を大きくし、もって、低周波振動であっても吊り下げ部材が垂直中空部材の内壁に衝突する際のエネルギーを大きくできることに思い当たった。
その結果、高周波振動だけでなく低周波振動に対しても制振性を高めるためには、垂直中空体の下部内径を上部内径よりも大きくすることによって、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を部分的に大きくしてやれば、低周波振動の際には、その部分で吊り下げ部材の外面が垂直中空体の内面に衝突する際の速度を大きくでき、もって低周波振動であっても衝突時のエネルギーを大きくすることができるから、低周波振動の際にはその間隔を大きくした部分において制振性を発揮でき、高周波振動の際にはその間隔が小さい部分において制振性を発揮できるのではないかとの着想を得た。
そして、下部内径が上部内径よりも大きい垂直中空体としては、たとえば、(a)内径が異なる2種類の管をテーパー状の短管によって接続してなる垂直中空体、(b)全体を一つのテーパー管として形成してなる垂直中空体、が考えられる。
これによって、高周波振動の際には吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔が小さい部分においては従来と同様に振動エネルギーを減衰させることができるとともに、低周波振動の際には吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を大きくした部分において衝突エネルギーを大きくできるから、低周波振動においても振動エネルギーを減衰させることができるので、高周波から低周波まで広範囲に周波数が変動する振動にも高い減衰性能を有する制振装置を提供できる。
また、内部に吊り下げる吊り下げ部材の軸心と垂直中空体の軸心を一致させることによって、振動の方向にも左右されない制振装置を提供できる。
なお、低周波振動における制振性を高めるためには、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を大きくすることに加えて、吊り下げ部材の一部を質量の大きい部材に置き換えることによって、低周波振動の際にも制振性をさらに向上できることの着想を得た。
本発明にかかる制振装置および制振性に優れた立設部材は、これらの知見と着想に基づいて完成されたものである。なお、制振性に優れた立設部材には、制振装置を立設部材の外部又は内部に取り付けることによって制振性を付与する場合と、立設部材それ自体を制振装置の一部に用いる場合の両方がある。
そして、その要旨は、次の(1)〜(4)の制振性に優れた管状立設部材である。以下、これらを総称して本発明ということもある。
(1) 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる垂直中空体とその内部に吊り下げられている吊り下げ部材からなる管状垂直立設部材であって、吊り下げ部材が金属体を複数個つなぎ合わせたもの又は金属製のチェーンからなり、かつ、垂直中空体の軸心と吊り下げ部材の軸心が一致する制振装置が外部又は内部に取り付けられており、そして吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
(3) 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる垂直中空体とその内部に吊り下げられている吊り下げ部材からなる管状垂直立設部材であって、吊り下げ部材金属体を複数個つなぎ合わせてなる上部部材と金属製チェーンの下部部材からなり、かつ、垂直中空体の軸心と吊り下げ部材の軸心が一致する制振装置が外部又は内部に取り付けられており、そして吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
(3) 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる管状垂直立設部材であって、その内部に垂直立設部材の軸心と一致する軸心を有する吊り下げ部材が吊り下げられており、吊り下げ部材が金属体を複数個つなぎ合わせたもの又は金属製チェーンからなり、かつ、吊り下げ部材の外面と管状垂直立設部材の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
(4) 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる管状垂直立設部材であって、その内部に垂直立設部材の軸心と一致する軸心を有する吊り下げ部材が吊り下げられており、吊り下げ部材金属体を複数個つなぎ合わせてなる上部部材と金属製チェーンの下部部材からなり、かつ、吊り下げ部材の外面と管状垂直立設部材の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
本発明により、高周波から低周波まで広範囲に周波数が変動する振動にも有効に対応する制振性に優れた管状垂直立設部材を得ることができる。
また、下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる垂直中空体とその内部に吊り下げられている吊り下げ部材からなり、かつ、垂直中空体の軸心と吊り下げ部材の軸心が一致する制振装置が外部又は内部に取り付けられており、そして吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材であるから、振動の方向にも左右されないものが得られる。
さらに、下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる垂直立設部材であって、その内部に垂直立設部材の軸心と一致する軸心を有する吊り下げ部材が吊り下げられており、そして吊り下げ部材の外面と管状垂直立設部材の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材であるから、振動の方向にも左右されないものが得られる。
以下に、図面に基づいて、本発明を説明する。
図1及び図2に、吊り下げ部材として鋼製チェーンを用いた本発明に係る制振装置の一例を示す。
図1は、下部内径が上部内径よりも大きい垂直中空体として、内径が異なる2種類の断面円形状の鋼管をテーパー状の短管によって接続して形成した垂直中空体を用いた、本発明装置の一例であり、(a)は制振装置の軸心を通る一つの縦断面図を示し、(b)は(a)に対して90°回転した方向の縦断面図を示している。
制振装置1は、垂直中空体20と、その内部に吊り下げられた吊り下げ部材からなる。
垂直中空体20は、内径が異なる2種類の断面円形状の鋼管をテーパー状の短管によって接続して形成された垂直中空体が用いられている。この例における制振装置を構成する垂直中空体は、全長1.6m、重量13.0kgの断面円形の鋼管である。上部の鋼管が外径76.3mm、肉厚4.2mm、内径67.9mm、長さ0.8m、そして、下部の鋼管が外径89.1mm、肉厚4.2mm、内径80.7mm、長さ0.8mであり、さらに、上部と下部を接続するテーパー状の短管は上部外径76.3mm、下部外径89.1mm、肉厚4.2mm、上部内径67.9mm、下部内径80.7mm、長さ0.1mであった。
そして、吊り下げ部材としては鋼製チェーン11が用いられており、この鋼製チェーン11の上端は、垂直中空体20の上部に設置された蓋板12に固定して取り付けられた固定フック15によって支持されている。したがって、鋼製チェーン11は上端を除いて非固定の自由振動部を形成している。ここで用いた鋼製チェーンは、チェーン径16mm、1リンクの寸法として長さ80mm×幅56mmの鋼製リンクの29個からなる、全長142.4cm、全重量7846gであった。
なお、鋼製チェーン11の軸心と垂直中空体20の軸心を一致させているため、鋼製チェーン11の外面と垂直中空体20の内面との間隔は、上部の間隔d1よりも下部の間隔d2の方が大きいが、振動のない状態では、同じ高さにおいては円形鋼管の内部において等価に維持されている。ここでは、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面との間隔は、上部の間隔d1は5.95mm、下部の間隔d2は12.35mmであった。
図2は、下部内径が上部内径よりも大きい垂直中空体として、全体を一つのテーパー管として形成してなる断面円形状の垂直中空体を用いた、本発明装置の一例であり、(a)は制振装置の軸心を通る一つの縦断面図を示し、(b)は(a)に対して90°回転した方向の縦断面図を示している。
制振装置1は、垂直中空体30と、その内部に吊り下げられた吊り下げ部材からなる。ここでは、吊り下げ部材として図1に示したものと同じ鋼製チェーン11が用いられており、この鋼製チェーン11の上端は、垂直中空体の上部に設置された蓋板12に固定して取り付けられた固定フック15によって支持されている点も、図1と同じである。
垂直中空体30は、全体を一つのテーパー管として形成してなる断面円形状の垂直中空体が用いられている点で、図1に示された垂直中空体20とは異なる。このテーパー状垂直中空体は、全長1.6m、重量11.6kgの断面円形の鋼管である。この鋼管は、上部外径76.3mm、下部外径89.1mm、肉厚4.2mm、上部内径67.9mm、下部内径80.7mmであった。
なお、鋼製チェーン11の軸心と垂直中空体30の軸心を一致させているため、鋼製チェーン11の外面と垂直中空体30の内面との間隔は、上部の間隔d1よりも下部の間隔d2の方が大きいが、振動のない状態では、同じ高さにおいては円形鋼管の内部において等価に維持されている。ここでは、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面との間隔は、上部の間隔d1は5.95mm、下部の間隔d2は12.35mmであった。
このように、垂直中空体の内径が上部と下部とで異なっている場合には、高周波振動の場合の高い制振性能を保持した上で、低周波振動であっても衝突1回当たりの減衰エネルギーが大きくなることから、振動方向に関わりなく、高周波から低周波までの広範囲に振動数が変動する振動にも高い減衰性能を有する制振装置を提供することができる。
垂直中空体の形状は、例示した形状に限定されるものではなく、垂直中空体の内径が上部と下部とで異なっている形状であれば構わない。そして、その寸法も例示した寸法に限定されるものではない。
垂直中空体の材料としては、鋼管のほか、ステンレス鋼管、アルミニウム管などの金属管や樹脂管を用いてもよい。強度及び耐久性の観点からは鋼管が好ましい。防錆性の観点からはステンレス鋼管を用いるか、又は、鋼管に溶融亜鉛めっきや塗装等の防錆処理を施して用いるのが好ましい。
また、垂直中空体の断面形状は、特に限定するものではなく、円形のほか、八角形や六角形などの多角形でもよい。すべての方向の揺れに対しても制振効果が必要な場合には、円形の断面を採用するのが好ましい。
吊り下げ部材の重量は、上記の数値に限定するものではなく、600〜31000g程度であればよい。
吊り下げ部材は、上記の鋼製チェーンの形状に限定するものではなく、チェーン径6〜25mm、1リンクの寸法として長さ30〜125mm×幅21〜88mm、全長80〜220cm、全重量600〜31000gの鋼製チェーンを用いることができる。なお、鋼製チェーンのほか、ステンレス鋼チェーンを用いても良い。強度及び耐久性の観点からは、鋼製チェーンが好ましい。防錆性の観点からはステンレス鋼チェーンを用いるか、又は、鋼製チェーンに溶融亜鉛めっき等の防錆処理を施して用いるのが好ましい。
また、チェーンに限定するものではなく、金属体を複数個つなぎ合わせたものを用いることができる。例えば、直径21〜99mmの金属球の2〜61個を、長さ15〜74mm、外径2.6〜9mmの鋼線材でつなぎ合わせることで形成することができる。金属体の材料としては、鋼のほか、ステンレス鋼やアルミニウムが用いられる。
金属製の垂直中空体と金属製の吊り下げ部材を用いると、相互の衝撃音が大きくなるが、この衝撃音を抑制したいときは垂直中空体及び/又は吊り下げ部材の表面をゴム等の弾性体でライニング又は被覆するのが好ましい。
吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面との上部間隔d1と下部間隔d2は、上記の数値に限定するものではなく、それぞれ、3〜15mm程度及び6〜22mm程度であればよい。また、上部間隔d1と下部間隔d2の差は、3〜13mm程度あればよい。
次に、図3及び図4に、吊り下げ部材として、上部部材が鋼球を複数個つなぎ合わせたものからなり、そして、下部部材が鋼製チェーンからなるものを用いた本発明に係る制振装置の一例を示す。
図3は、下部内径が上部内径よりも大きい垂直中空体として、内径が異なる2種類の断面円形状の鋼管をテーパー状の短管によって接続して形成した垂直中空体を用いた、本発明装置の一例であり、(a)は制振装置の軸心を通る一つの縦断面図を示し、(b)は(a)に対して90°回転した方向の縦断面図を示している。
制振装置1は、垂直中空体20と、その内部に吊り下げられたの吊り下げ部材からなる。
垂直中空体20は、内径が異なる2種類の断面円形状の鋼管をテーパー状の短管によって接続して形成された垂直中空体が用いられている。この例における制振装置を構成する垂直中空体は、全長1.6m、重量11.6kgの断面円形の鋼管である。上部の鋼管が外径76.3mm、肉厚4.2mm、内径67.9mm、長さ0.8m、そして、下部の鋼管が外径89.1mm、肉厚4.2mm、内径80.7mm、長さ0.8mであり、さらに、上部と下部を接続するテーパー状の短管は上部外径76.3mm、下部外径89.1mm、肉厚4.2mm、上部内径67.9mm、下部内径80.7mm、長さ0.1mであった。
吊り下げ部材は、上部吊り下げ部材と下部吊り下げ部材が別種の部材からなる点で、図1に示された吊り下げ部材とは異なる。この吊り下げ部材は、上部部材が金属球8を5個つなぎ合わせたものからなり、そして、下部吊り下げ部材が鋼製チェーン11からなる。この上部吊り下げ部材の上端は、垂直中空体10の上部に設置された蓋板12に取り付けられた固定フック15によって、支持されている。
上部吊り下げ部材は、直径56mmの721gからなる鋼球の7個を、長さ42mm、外径4mmの鋼線材でつなぎ合わせて用いた。そして、下部吊り下げ部材は、チェーン径16mm、1リンクの寸法として長さ80mm×幅56mmの鋼製リンクの18個からなる、全長70.4cm、全重量3879gの鋼製チェーンを用いた。吊り下げ部材の単位長さ当たりの質量は、それぞれ、上部部材が7.51g/mm、そして、下部吊り下げ部材が5.56g/mmであった。
なお、吊り下げ部材の軸心と垂直中空体20の軸心を一致させているため、吊り下げ部材の外面と垂直中空体20の内面との間隔は、最上部の間隔d1よりも最下部の間隔d2の方が大きいが、振動のない状態では、同じ高さにおいては円形鋼管の内部において等価に維持されている。ここでは、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面との間隔は、最上部の間隔d1は5.95mm、最下部の間隔d2は12.35mmであった。
図4は、下部内径が上部内径よりも大きい垂直中空体として、全体を一つのテーパー管として形成してなる断面円形状の垂直中空体を用いた、本発明装置の一例であり、(a)は制振装置の軸心を通る一つの縦断面図を示し、(b)は(a)に対して90°回転した方向の縦断面図を示している。
制振装置1は、垂直中空体30と、その内部に吊り下げられた吊り下げ部材からなる。ここでは、吊り下げ部材として図3に示したものと同じもの、すなわち、上部部材が金属球8を5個つなぎ合わせたものからなり、そして、下部吊り下げ部材が鋼製チェーン11からなる吊り下げ部材が用いられている。この吊り下げ部材の上端は、垂直中空体の上部に設置された蓋板12に固定して取り付けられた固定フック15によって支持されている点も、図3と同じである。
垂直中空体30は、全体を一つのテーパー管として形成してなる断面円形状の垂直中空体が用いられている点で、図3に示された垂直中空体20とは異なる。このテーパー状垂直中空体は、全長1.6m、重量11.6kgの断面円形の鋼管である。この鋼管は、上部外径76.3mm、下部外径89.1mm、肉厚4.2mm、上部内径67.9mm、下部内径80.7mmであった。
なお、吊り下げ部材の軸心と垂直中空体30の軸心を一致させているため、吊り下げ部材の外面と垂直中空体30の内面との間隔は、最上部の間隔d1よりも最下部の間隔d2の方が大きいが、振動のない状態では、同じ高さにおいては円形鋼管の内部において等価に維持されている。ここでは、吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面との間隔は、最上部の間隔d1は5.95mm、最下部の間隔d2は12.35mmであった。
このように、垂直中空体の内径が上部と下部とで異なっている上に、さらに、吊り下げ部材の一部を質量の大きい部材に置き換えると、低周波振動であっても衝突1回当たりの減衰エネルギーが大きくなることから、振動方向に関わりなく、高周波から低周波までの広範囲に振動数が変動する振動にも高い減衰性能を有する制振装置を提供することができる。
垂直中空体の形状は、例示した形状に限定されるものではなく、垂直中空体の内径が上部と下部とで異なっている形状であれば構わない。そして、その寸法も例示した寸法に限定されるものではない。
垂直中空体の材料としては、鋼管のほか、ステンレス鋼管、アルミニウム管などの金属管や樹脂管を用いてもよい。強度及び耐久性の観点からは鋼管が好ましい。防錆性の観点からはステンレス鋼管を用いるか、又は、鋼管に溶融亜鉛めっきや塗装等の防錆処理を施して用いるのが好ましい。
また、垂直中空体の断面形状は、特に限定するものではなく、円形のほか、八角形や六角形などの多角形でもよい。すべての方向の揺れに対しても制振効果が必要な場合には、円形の断面を採用するのが好ましい。
吊り下げ部材の単位長さ当たりの質量は、上記の数値に限定するものではなく、それぞれ、上部部材が1.0〜27g/mm程度、そして、下部吊り下げ部材が0.7〜14g/mm程度であればよい。
吊り下げ部材は、例示したものは、上部部材が金属球8を複数個つなぎ合わせたものからなり、そして、下部吊り下げ部材が鋼製チェーン11からなる吊り下げ部材であるが、上部部材として金属体を複数個つなぎ合わせたものを用いることができる。例えば、直径21〜99mmの金属球の2〜20個を、長さ15〜74mm、外径2.6〜9mmの鋼線材でつなぎ合わせることで形成することができる。金属体の材料としては、鋼のほか、ステンレス鋼やアルミニウムが用いられる。
また、下部部材として、上記の鋼製チェーンの形状に限定するものではなく、チェーン径6〜25mm、1リンクの寸法として長さ30〜125mm×幅21〜88mm、全長40〜110cm、全重量300〜15000gの鋼製チェーンを用いることができる。なお、鋼製チェーンのほか、ステンレス鋼チェーンを用いても良い。強度及び耐久性の観点からは、鋼製チェーンが好ましい。防錆性の観点からはステンレス鋼チェーンを用いるか、又は、鋼製チェーンに溶融亜鉛めっき等の防錆処理を施して用いるのが好ましい。
金属製の垂直中空体と金属製の吊り下げ部材を用いると、相互の衝撃音が大きくなるが、この衝撃音を抑制したいときは垂直中空体及び/又は吊り下げ部材の表面をゴム等の弾性体でライニング又は被覆するのが好ましい。
吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面との最上部間隔d1と最下部間隔d2は、上記の数値に限定するものではなく、それぞれ、3〜15mm程度及び6〜22mm程度であればよい。また、最上部間隔d1と最下部間隔d2の差は、3〜13mm程度あればよい。
以上、制振装置自体の説明をしてきたが、立設部材が垂直中空体であるとき、すなわち、図1〜4に示される垂直中空体10が、それ自体立設部材の一部を構成するときは、立設部材たる垂直中空体の内部に直接吊り下げ部材を吊り下げることによって、立設部材そのものに制振性を付与することができる。
これに対して、立設部材が中空体ではない場合や中空体であっても傾斜している場合には、上記の制振装置を、立設部材の外部又は内部に取り付けることによって、立設部材に制振性を付与することができる。もちろん、立設部材が垂直中空体の場合であっても、立設部材の外部又は内部に別途制振装置を取り付けることによって、立設部材に制振性を付与することができることは言うまでもない。
立設部材に大きな制振性を付与するためには、立設部材が最大変位振幅を示す部位に制振装置を取り付けるか、又は、立設部材が垂直中空体であるときは立設部材自体を制振装置の一部として構成することによって、制振性を付与するのが良い。また、各次振動モードに対処するためには、制振装置を立設部材の複数位置に取り付けることが好ましい。
本発明に係る制振装置を取り付ける適用対象は、振動によって揺れが生じる立設部材であり、照明柱、標識柱、信号柱のほか、吊り橋における吊り塔部材にも適用することができる。
図5は、本発明に係る制振装置1を立設部材の外部の2個所に取り付けたときの一例を示す。
この立設部材は、照明灯7を張出部材5の先端に取り付けてなる照明柱2であり、基礎3の上に断面円形の鋼管4が立設され、鋼管4の最上部からほぼ水平に張出部材5が張り出しており、その張出部材を支える補強ステー6が設けられている。そして、上記の制振装置1が鋼管4の外周の上部と中部の2個所にボルト(図示せず)によって取り付けられている。
風、地震や車両走行に伴う路面振動などに起因する共振現象によって、照明柱2の鋼管に揺れが生じると、その揺れが照明柱に取り付けられた制振装置1に伝わり、励振が起こる。そのとき、垂直中空体と吊り下げ部材からなる制振装置1が作動するが、単位長さ当たりの質量の大きい上部吊り下げ部材と小さい下部吊り下げ部材とは、低周波振動の際も高周波振動の際も、垂直中空体10の内壁面に衝突して、振動エネルギーを十分に減衰させることができる。したがって、垂直中空体の振動エネルギーが散逸し、立設部材である照明柱2の振動が制止される。
本発明により、高周波から低周波まで広範囲に周波数が変動する振動にも有効に対応する制振性に優れた立設部材を得ることができる。また、内部に吊り下げ部材が吊り下げられており、そして吊り下げ部材の外面と垂直中空体または管状垂直立設部材の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしているから、振動の方向にも左右されない制振性に優れた管状垂直立設部材が得られる。
本発明にかかる制振装置の一例を示す縦断面図である。 本発明にかかる制振装置の他の一例を示す縦断面図である。 本発明にかかる制振装置の他の一例を示す縦断面図である。 本発明にかかる制振装置の他の一例を示す縦断面図である。 本発明に係る制振装置1を立設部材の外部の2個所に取り付けたときの一例を示す図である。 特許文献1に記載の従来の制振装置の一例を示す縦断面図である。
符号の説明
1 制振装置
2 照明柱
3 基礎
4 断面円形の鋼管
5 張出部材
6 補強ステー
7 照明灯
8 金属球
10 全長にわたって同一径の垂直中空体
11 鋼製チェーン
12 蓋板
15 固定フック
20 本発明に用いる垂直中空体
30 本発明に用いる垂直中空体
40 本発明に用いる垂直中空体
50 本発明に用いる垂直中空体
d 吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔
1 最上部における吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔
2 最下部における吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔

Claims (4)

  1. 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる垂直中空体とその内部に吊り下げられている吊り下げ部材からなる管状垂直立設部材であって、吊り下げ部材が金属体を複数個つなぎ合わせたもの又は金属製のチェーンからなり、かつ、垂直中空体の軸心と吊り下げ部材の軸心が一致する制振装置が外部又は内部に取り付けられており、そして吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
  2. 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる垂直中空体とその内部に吊り下げられている吊り下げ部材からなる管状垂直立設部材であって、吊り下げ部材金属体を複数個つなぎ合わせてなる上部部材と金属製チェーンの下部部材からなり、かつ、垂直中空体の軸心と吊り下げ部材の軸心が一致する制振装置が外部又は内部に取り付けられており、そして吊り下げ部材の外面と垂直中空体の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
  3. 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる管状垂直立設部材であって、その内部に垂直立設部材の軸心と一致する軸心を有する吊り下げ部材が吊り下げられており、吊り下げ部材金属体を複数個つなぎ合わせたもの又は金属製チェーンからなり、かつ、吊り下げ部材の外面と管状垂直立設部材の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
  4. 下部内径が上部内径よりも大きい金属製の管からなる管状垂直立設部材であって、その内部に垂直立設部材の軸心と一致する軸心を有する吊り下げ部材が吊り下げられており、吊り下げ部材が金属体を複数個つなぎ合わせてなる上部部材と金属製チェーンの下部部材からなり、かつ、吊り下げ部材の外面と管状垂直立設部材の内面の間隔を上部よりも下部を大きくしていることを特徴とする制振性に優れた管状垂直立設部材。
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