JP4673802B2 - 放射状羽根及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、360度型歯ブラシのブラシヘッドの如き円筒状ブラシの作製等に使用されるディスク型の放射状羽根及びその製造方法に関する。
歯ブラシの一種として、特許文献1に記載されるような360度型歯ブラシが知られている。この歯ブラシは、ブラシハンドルの先端部に円筒形状のブラシヘッドを有している。円筒形状のブラシヘッドは、ディスク型の放射状羽根を中心線方向に積層することより構成されている。ディスク型放射状羽根の構造を図5に示す。
ディスク型の放射状羽根10は、内側をブラシハンドルの先端部が貫通するディスク状で環状の溶着コア部11と、溶着コア部11の周方向全域から多数本の糸材が外周側へ延出して形成された放射状の羽根部12とからなる。図5中の13は環状コア部11の内側に形成された貫通孔、14は環状コア部11の両面又は片面に一体的に形成されたスペーサー用の環状凸部である。そして、この放射状羽根は、例えば特許文献2に記載された方法により製造される。特許文献2に記載された放射状羽根の製造方法を図6〜図10により説明する。
特許第3646118号公報 特開2003−220080号公報
放射状羽根の製造装置は、図6に示すように、加工ベッドbの上に配置された糸開き治具d、糸押さえe、溶着ヘッドf及び押し切りポンチgを具備している。加工ベッドbは、所定本数の糸材を束ねて形成された糸束aが貫通する糸束供給孔を有しており、その下に糸上げチャックcを装備している。糸開き治具dは、環状の糸押さえeの内側に同心状に組み合わされており、糸開き治具d及び糸押さえe、溶着ヘッドf、並びに押し切りポンチgは、図示されない駆動機構により、加工ベッドbの貫通孔の真上に選択的に搬送される。
製造作業では、まず第1ステップとして、加工ベッドbの供給孔に下から差し通された糸束aを、加工ベッドbの下方に設けられた糸上げチャックcにより押し上げて、加工ベッドbの上に所定長突出させる。
第2ステップとして、図7に示すように、糸束aの突出部分の中心部に、下端面が円錐状に形成された糸開き治具dを押し付けることにより、その突出部分を周囲に開く。第3ステップとして、図8に示すように、糸開き治具dの外側に組み合わされた環状の糸押さえeを下降させて、途中まで開いた糸材を加工ベッドbの貫通孔周囲に押し付け、糸束aの露出部分を周囲へ完全に開く。
第4ステップとして、図9に示すように、糸束aの露出部分を糸押さえeで放射状に開いたまま、糸開き治具dを上昇させて側方へ退避させ、代わりに溶着ヘッドfを貫通孔の真上へ移動させて下降させ、放射状に開いた糸材の中心部周囲を環状に溶着する。最後に第5ステップとして、図10に示すように、溶着ヘッドfを上昇させて側方へ退避させ、代わりに押し切りポンチgを貫通孔の真上へ移動させて下降させ、環状溶着部の内側を打ち抜くことにより糸束aを分離する。
こうして製造されるディスク型の放射状羽根10は、前述したとおり、内側が貫通孔13とされたディスク状で環状の溶着コア部11と、溶着コア部11の周方向全域から外周側へ多数本の糸材21が延出して形成された放射状の羽根部12とからなり、これをブラシハンドルの先端部に複数枚重ね合わせて嵌め込み固定することにより、360度型歯ブラシの円筒形状のブラシヘッドが構成される。
ところで、このような放射状羽根は、360度型歯ブラシの円筒形状のブラシヘッド以外にも、工業用の各種円筒状ブラシに使用することが可能である。その場合、円筒状の芯部から外周側へ放射状に延出する糸材の密度を用途に応じて広範囲に変更することが要求されることになり、その要求に応えるためには、個々の放射状羽根の羽根部における糸材の密度を広範囲に変更することが必要となる。
しかしながら、これまでの放射状羽根においては、糸束aの外径、より厳密には加工ベッドbの供給孔の孔径によって羽根部における糸材の密度が画一的に決定されるという制約があった。その理由は次のとおりである。放射状羽根の製造装置の側からいえば、糸束aを加工ベッドb上に供給するために当該ベッドに設けられた供給孔の内径は、容易には変えることができない。供給孔の内径は、糸束aの直径(すなわち品種)だけでなく、加工ベッドbの上に配置された糸開き治具d、糸押さえe、溶着ヘッドf及び押し切りポンチgなどの全ての構造に影響を与えるからである。このため、加工ベッドbの供給孔を通過可能という点から糸材の上限本数が決まり、糸束aの上限外径が決まる。その結果、糸束aを構成する糸材の太さによって糸材の本数が一義的に固定されることになる。
具体的に説明すると、糸束aが通過する供給孔の内径Dを3.2mm、糸材の直径dを0.09mmとすると、供給孔を実際に通過できる糸材の本数は最大で600〜700本である。糸材の直径dが0.12mmの場合は、その本数は400〜500本である。これらの本数は、糸束aを構成する糸材の本数となる。この本数を一般化すると、糸材の直径dの一般的な範囲は0.07〜0.15mmであるから、供給孔の面積をS(mm2 )、糸材の断面積をK(mm2 )とすると、供給孔を通過できる本数は最も多い0.07mmの場合でも(S/K)・(2/3)本に達することはなく、通常は供給孔における糸束aのスムーズな通過のために(S/K)・(1/3〜1/2)本である。
したがって、糸束aを構成する糸材の最大本数も(S/K)・(2/3)本に達することはなく、通常は(S/K)・(1/3〜1/2)本であり、その結果として、放射状羽根10の羽根部12における糸材の本数も(S/K)・(2/3)本に達することはなく、通常は(S/K)・(1/3〜1/2)本となる。ちなみに、(S/K)は供給孔の面積を糸材の断面積で単純に除算した物理的な限界挿入本数(供給孔内で糸材が変形して隙間なく充填されたと仮定したときの本数)である。
このように、従来の放射状羽根10においては、加工ベッドbの糸束供給孔の面積Sによって、羽根部12における糸材の密度が画一的に決定されるという制約があった。すなわち、放射状羽根の用途は様々であり、それらの用途に応じて糸材の密度についても様々なものが要求されるところ、従来の放射状羽根はこのような要求に応えることができなかったのである。このため用途が制約を受ける結果になっていた。
また別の問題として、溶着コア部11の機械的強度が低く、製造過程でこの部分がしばしば破断し、このことが、製造歩留りを低下させる大きな原因になっていた。
本発明の目的は、製造装置による制約を受けることなく羽根部における糸材の密度を広範囲に増加させることができ、しかも溶着コア部の機械的強度を高めることができる放射状羽根を提供することにある。
本発明の別の目的は、そのような高密度、高強度の放射状羽根を簡単に製造できる放射状羽根の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは放射状羽根をコア部で一体化しつつ2重、3重に重ねて製造する手法を考えだした。すなわち、羽根部における糸材の密度を増やすために、本発明者らはテーブル上に突出させた糸束を周囲へ開き、中心部周囲を環状に溶着して糸束を切り離した後、形成された放射状羽根を製造位置に固定したまま、環状の溶着コア部の内側に形成された貫通孔を通して再度糸束を環状羽根の上に突出させ、その糸束を再度周囲へ開いて中心部周囲を環状に溶着し、溶着部内側を打ち抜いて糸束を切り離す手法を考えだした。
この手法によると、放射状羽根の製造位置において、溶着コア部で一体化した二重構造放射状羽根を製造でき、羽根部における糸束の密度を2倍に増加させることができる。更に、この操作を繰り返すならば、溶着コア部で一体化した三重構造、四重構造の放射状羽根も製造でき、羽根部における糸束の密度を何倍にも増加させることができる。すなわち、この手法によれば、従来は製造できなかった高糸密度の放射状羽根を何種類も簡単に製造することができるのである。
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものであり、その放射状羽根は、中心部に貫通孔が設けられたディスク状で環状の溶着コア部と、溶着コア部の周方向全域から多数本の糸材が外周側へ延出して形成された放射状の羽根部とを有する放射状羽根において、前記溶着コア部が複数の薄型コア部が積層一体化して形成されており、複数の薄型コア部の各周方向全域から外周側へ放射状に延出した多数本の糸材が合体して前記羽根部が形成されていることを構造上の特徴点とする。
かかる構成上の特徴点により、本発明の放射状羽根は、多数本の糸材を束ねて構成された糸束を加工ベッドの供給孔からベッド上へ突出させ、その突出部を周囲へ放射状に押し開いて中心部周囲を環状に溶着すると共に、糸束を分離するべく溶着部の内側を環状に切断することにより製造される放射状羽根において、前記供給孔の面積をS(mm2 )、前記糸材の断面積をK(mm2 )として、糸材の本数が(S/K)・(2/3)以上である高糸密度構造を可能とする。
また、本発明の放射状羽根の製造方法は、糸束の端部を周囲へ放射状に押し開いてその中心部周囲を環状に溶着した後、糸束を分離するべく溶着部の内側を環状に切断することにより、環状の溶着部から多数本の糸材が外周側へ放射状に延出した第1の放射状羽根を形成する放射状羽根の一次形成工程と、形成された放射状羽根の溶着部内側に形成された貫通孔に糸束を刺し通して突出させる糸束挿入工程と、糸束の突出端部を周囲へ放射状に押し開いてその中心部周囲を環状に溶着した後、糸束を分離するべく溶着部の内側を環状に切断することにより、前記溶着部に一体化された環状の溶着部から多数本の糸材が外周側へ放射状に延出した第2の放射状羽根を形成する放射状羽根の再形成工程とを包含している。
本発明の製造方法においては、溶着コア部で一体化した2重構造の放射状羽根が製造され、従来の一重構造の放射状羽根に比して羽根部における糸材の密度を2倍に増加させることができる。糸束挿入工程と放射状羽根の再形成工程とを複数回繰り返すならば、コア部で一体化した3重構造、4重構造・・・の放射状羽根が製造され、羽根部における糸材の密度を何倍にも増加させることができる。
溶着部の内側を環状に切断する際にその切断孔径を糸束の直径より若干大きくすることが望まれる。この孔径は溶着コア部の面積を確保するために小さい方がよいが、糸束分離のために糸束の直径より小さくすることはできない。そこで孔径を糸束の直径より若干大きくする。これにより、溶着コア部の機械的強度を低下させることなく、コア部内側の貫通孔に糸束を通す操作が容易となる。
本発明の放射状羽根は、環状の溶着コア部の外側に形成される放射状の羽根部における糸材が従来の製造限界より高密度であり、しかも、その糸材の密度を何段階にも高めることができる。したがって、用途に応じた糸材密度を選択でき、その用途を飛躍的に拡大することができる。また、その放射状羽根を中心線方向に重ねて円筒形状の360度型ブラシを製造する場合に放射状羽根の重ね合わせ枚数を減らせることができ、その分、製造能率を上げることができる。
また、本発明の放射状羽根の製造方法は、羽根部における糸材が高密度の放射状羽根を定位置で簡単かつ効率的に製造することができる。また、その密度を何段階にも簡単に変更することができる。したがって、用途に適した糸材密度の放射状羽根を経済的に製造でき、市場に安価に提供することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す放射状羽根の平面図(a)及び縦断側面図(b)である
本実施形態の放射状羽根10は、ディスク状で環状の溶着コア部11と、溶着コア部11の周方向全域から多数本の糸材が外周側へ延出して形成された放射状の羽根部12とからなる。この放射状羽根10は、基本となる薄型の放射状羽根10’を2枚重ね合わせることにより構成されており、放射状羽根10における糸材の本数は、薄型の放射状羽根10’における糸材の本数の2倍である。
より具体的に説明すると、放射状羽根10の溶着コア部11は、2枚の放射状羽根10’,10’の溶着コア部11’,11’を2枚重ねて全体を溶着し一体化することにより構成されており、また放射状羽根10の羽根部12は、2枚の放射状羽根10’,10’の羽根部12’,12’、すなわち2枚の環状コア部11’,11’の周方向全域から外周側へ延出したそれそれの放射状の糸材集合体が合体することにより構成されている。
環状の溶着コア部11の内側には、円形の貫通孔13が形成されている。溶着コア部11の両面には、貫通孔13を包囲するように円形の凸部14,14が一体的に形成されている。凸部14,14は、放射状羽根10を軸方向に重ねたときのスペーサであり、その断面形状はここでは半円形とされている。
本実施形態の放射状羽根10は、基本となる薄型の放射状羽根10’を2枚重ね合わせた2重構造であるが、3枚以上重ねあわせた3重構造、4重構造、更にはそれ以上の多重構造も可能である。重合数が増加するにしたがって、放射状羽根10の羽根部12における糸材の本数は3倍、4倍と増加する。
また、本実施形態の放射状羽根10では、基本となる複数枚の放射状羽根10’,10’の羽根部12’,12’が中心線方向で「く」の字状に開いて分離しているが、これは放射状羽根10の積層構造を強調するためであり、溶着時の羽根部12’の押さえ量の加減により同一平面上に形成することもできるし、任意の角度で開かせることもできる。
図2〜図4は上記放射状羽根の製造方法及び製造装置の説明図である。
放射状羽根の製造装置は、図2〜図4に示すように、ナイロン樹脂系の糸材21を束ねて形成された糸束20から、放射状羽根10を製造する。この製造のために、製造装置は水平な加工ベッド30と、その上に設けられた円筒状の溶着ヘッド40、リング状の糸押さえ50及び切断刃60とを備えている。
加工ベッド30は、糸束20が通過する垂直な糸材供給孔を有すると共に、供給孔の周囲に供給孔に接して設けられた環状刃部を表面に有している。加工ベッド30の下には、糸束20を押し上げる押し上げチャック(図示せず)が設けられている。
円筒状の溶着ヘッド40は、加工ベッド30の貫通孔上に同心状に垂直配置されており、図示されない駆動機構により中心線方向に昇降駆動される。この溶着ヘッド40は超音波振動による溶着を行う溶着ホーンであり、図示されない振動子により駆動される。溶着ヘッド40の中心部に設けられた貫通孔は空気孔であり、糸束20を周囲へ開くのに使用される。溶着ヘッド40の先端部は熱切断ポンチを兼ねており、先端面の内周縁部は加工ベッド30の貫通孔周囲に形成された環状刃部と組み合わさって、糸束20を分離するための切断刃を形成する。
リング状の糸押さえ50は、溶着ヘッド40の外側に同心状に嵌合しており、中心線方向に溶着ヘッド40とは独立に昇降駆動される。切断刃60は、溶着ヘッド40が上方の退避位置にあるときにその下側を水平方向に移動する水平刃であり、糸束20の先端固着部を切断除去するのに使用される。
操業では、まず図2(a)に示すように、加工ベッド30上の溶着ヘッド40及び糸押さえ50が上方の退避位置にある状態で、加工ベッド30の供給孔に糸束20が下側(裏面側)から上側(表面側)へ刺し通され、加工ベッド30の下に設けられた押し上げチャックによる押し上げで、加工ベッド30の上に所定量突出する。突出量は製造する放射状羽根10の半径に応じて設定される。
ここで、糸束20はナイロン樹脂を主成分とする所定本数の糸材21を円形に束ねて構成されている。糸束20の直径dは加工ベッド30の供給孔Dの内径と同一かやや小であり、糸束20を構成する糸材21の本数は、供給孔の内径に応じて決まる。具体的には、前述したとおり、糸材の直径dが0.09mm、供給孔の内径Dが3.2mmの場合、糸材21の本数は約700本である。糸材21の直径dが0.12mmの場合は、その本数は約500本である。糸材の直径dは通常0.07〜0.15mmであり、用途に応じて選択される。
糸束20が加工ベッド30の上に所定量突出すると、図2(b)に示すように、その糸束20の先端部が切断刃60により切断除去される。糸束20の先端部除去が終わると、図2(c)に示すように、溶着ヘッド40が空気を下方へ吹き出し且つ振動しなががら下降すると共に、これに同期して外側の糸押さえ50も下降する。
溶着ヘッド40からの吹き出し空気は下方の糸束20の突出部分の中心部に衝突する。これにより、糸束20の突出部分における糸材21は周囲へ均等に開く。この状態で溶着ヘッド40及び糸押さえ50が下降を続け、周囲へ開いた糸材21を加工ベッド30の表面(供給孔の周囲)に押し付ける。これにより、糸束20の突出部分における糸材21は、図2(d)に示すように、周囲へ完全に開き放射状になる。溶着ヘッド40の振動は糸材21を周囲へ均等かつスムーズに開放するのに寄与する。
溶着ヘッド40による糸材21の開放が終わると、その開いた糸束21が環状の糸押さえ50により固定される。これと共に、溶着ヘッド40が、先端の環状溶着面にて、放射状に開いた糸材21の中心部周囲を、供給孔の周囲との間に挟んで加圧し、その中心部周囲を環状に溶着する。同時に、溶着ヘッド40の先端面の内周縁部が、加工ベッド30の貫通孔周囲に形成された環状刃部に向かって押圧されることにより、環状溶着部の内側が円形に切断除去され、糸束20が分離される。分離された糸束20は、先端部が加工ベッド30の供給孔に挿入された状態にある。
こうして、加工ベッド30上の定位置において、1枚目の薄い放射状羽根10’が製造される。放射状羽根10’は環状の溶着コア部と、その周囲全体から所定本数の糸材21が周囲全方向へ延出して形成された放射状の羽根部とからなる。羽根部における糸材21の本数は、前述したとおり、糸材の直径dが0.09mm、供給孔の内径Dが3.2mmの場合は約700本であり、糸材21の直径dが0.12mmの場合は約500本である。環状コア部の内側に形成される円形貫通孔の内径は、加工ベッド30における貫通孔の内径、すわち糸束20の直径と同じかこれより僅かに大となる。
加工ベッド30上の定位置において1枚目の薄い放射状羽根10’が製造されると、図3(a)に示すように、その放射状羽根10’を糸押さえ50で定位置に固定したまま、溶着ヘッド40のみが上方の退避位置へ向かって上昇する。溶着ヘッド40が上方の退避位置に戻ると、図3(b)に示すように、糸束20が再度上昇し、1枚目の放射状羽根10’の貫通孔を通って加工ベッド30の上に所定量突出し、その後、先端部(溶融固着部)が切断刃60により切断除去される。放射状羽根10’の貫通孔の内径は、加工ベッド30における貫通孔の内径、すわち糸束20の直径と同じかこれより僅かに大であるので、糸束20はその貫通孔をスムーズに通過する。
糸束20の先端部除去が終わると、図3(c)(d)に示すように、糸押さえ50が上方の退避位置に戻る。糸押さえ50が上方の退避位置に戻ると、図4(a)(b)に示すように、再度、溶着ヘッド40及び糸押さえ50が下降する。この下降により、溶着ヘッド40にて糸束20の突出部における糸材21が周囲へ開かれ、その中心部周囲が下方に押圧される。そして、周囲に開いた糸材21が糸押さえ50にて下方に押圧されて放射状に固定された状態で、中心部周囲が溶着ヘッド40にて環状に溶着される。また、環状溶着部の内側が円形に切断され、糸束20が分離されると共に、環状溶着部の内側に円形の貫通孔が形成される。
溶着及び切断が終わると、図4(c)(d)に示すように、溶着ヘッド40及び糸押さえ50が同期して上方の退避位置へ戻る。
これにより、加工ベッド30上の定位置において、1枚目の放射状羽根10’の上に2枚目の放射状羽根10’が重ねて固着され、製品である二重構造の放射状羽根10が製造される。すなわち、1枚目の放射状羽根10’の溶着コア部の上に2枚目の放射状羽根10’の溶着コア部が重なり溶着により一体化されることにより、放射状羽根10の環状コア部11が形成される。2枚目の放射状羽根10’の溶着コア部周囲の羽根部は、放射状羽根10’の溶着コア部周囲の羽根部と合体して、放射状羽根10の羽根部12を形成する。
羽根部12における糸材21の本数は従来の2倍であり、糸材の直径dが0.09mm、供給孔の内径Dが3.2mmの場合は約1300本前後となり、糸材21の直径dが0.12mmの場合は約900本前後となる。これは、糸材21の断面積をK(mm2 )、前記供給孔の面積をS(mm2 )とすると(S/K)・(2/3)以上となる。
加工ベッド30上の定位置において製造された放射状羽根10は加工ベッド30上から排出される。この排出を容易ならしめるために、糸束20が若干下がり、その放射状羽根10から分離する〔図4(d)〕。
以上の工程を繰り返すことにより、従来の2倍の糸材密度をもつ放射状羽根10が自動で連続的に製造される。図3(a)〜図4(b)の工程を更に繰り返すならば、製造される放射状羽根10は三重構造、四重構造となり、羽根部12における糸材21の本数は従来の3倍、4倍となり、用途に応じて自由に増加させることができる。ちなみに、三重構造の場合、糸材21の本数は糸材の直径dが0.09mm、供給孔の内径Dが3.2mmの場合は約2100本となり、糸材21の直径dが0.12mmの場合は約1500本となる。糸材21の断面積をK(mm2 )、前記供給孔の面積をS(mm2 )とすると、これも又(S/K)・(2/3)以上である。
また、放射状羽根10の溶着コア部11は、重ね合わせ溶着毎に厚くなり、機械的強度が向上し、同部破損による歩留り低下が激減する。ただ、溶着コア部11の厚みは加圧溶着で形成されるので、2枚重ねても2倍にはならず、その増加は僅かである。
溶着コア部11の両面(片面でもよい)に形成される円形の凸部14,14(図1)は溶着時に同時形成される。上の放射状羽根10’を溶着するとき、糸押さえ50による糸材の押さえ量を加減することにより、上の放射状羽根10’の羽根部を下の放射状羽根10’の羽根部と同一平面内に形成したり、中心線方向に「く」の字状に開いて形成することもできる。
製造された放射状羽根10を中心線方向に重ね合わせることにより円筒状ブラシが形成される。円筒状ブラシにおける糸材密度は、放射状羽根10における糸材本数を調節することにより、用途に応じて任意に選択することができる。重ねられた放射状羽根10のコア部内面を溶融させることにより、一体化された円筒状ブラシが製造される。
上述の実施形態では、先に製造された薄い放射状羽根10’の貫通孔に糸束20を通し、その放射状羽根10’の上で糸束20を周囲に開いて多段の放射状羽根10を製造したが、薄い放射状羽根10’を予め製造し、これらを同心状に重ねてそれぞれの溶着コア部11’を溶着により一体化することでも製造できる。
放射状羽根10における薄い放射状羽根10’の積層枚数は2枚以上である。積層枚数の上限は特に規定しない。前者の方法では、完成した放射状羽根10’の上に順番に放射状羽根10’を形成していくことになるので、多数枚の放射状羽根10’を積層一体化することができる。後者の方法の場合、すなわち、予め製造した放射状羽根10’を重ねる場合でも、一枚ずつ溶着整合していけば多数枚の放射状羽根10’を積層一体化することができる。
本発明の一実施形態を示す放射状羽根の平面図(a)及び縦断側面図(b)である。 (a)〜(d)は同放射状羽根の製造方法の工程説明図である。 (a)〜(d)は同放射状羽根の製造方法の工程説明図である。 (a)〜(d)は同放射状羽根の製造方法の工程説明図である。 従来の放射状羽根の平面図(a)及び縦断側面図(b)である。 従来の放射状羽根の製造装置の説明図である。 従来装置による製造方法の説明図で開放工程を示す。 従来装置による製造方法の説明図で開放工程を示す。 従来装置による製造方法の説明図で溶着工程を示す。 従来装置による製造方法の説明図で除去工程を示す。
符号の説明
10,10’ 放射状羽根
11 11’溶着コア部
12 12’羽根部
13 貫通孔
20 糸束
21 糸材
30 加工ベッド
40 溶着ヘッド
50 糸押さえ
60 切断刃

Claims (6)

  1. 中心部に貫通孔が設けられたディスク状で環状の溶着コア部と、溶着コア部の周方向全域から多数本の糸材が外周側へ延出して形成された放射状の羽根部とを有する放射状羽根において、前記溶着コア部が複数の薄型コア部が積層一体化して形成されており、複数の薄型コア部の各周方向全域から外周側へ放射状に延出した多数本の糸材が合体して前記羽根部が形成されていることを特徴とする放射状羽根。
  2. 多数本の糸材を束ねて構成された糸束を加工ベッドの供給孔からベッド上へ突出させ、その突出部を周囲へ放射状に押し開いて中心部周囲を環状に溶着すると共に、糸束を分離するべく溶着部の内側を環状に切断することにより製造されており、前記供給孔の面積をS(mm2 )、前記糸材の断面積をK(mm2 )として、糸材の本数が(S/K)・(2/3)以上である請求項1に記載の放射状羽根。
  3. 前記糸材の直径が0.07mm以上である請求項2に記載の放射状羽根。
  4. 糸束の端部を周囲へ放射状に押し開いてその中心部周囲を環状に溶着した後、糸束を分離するべく溶着部の内側を環状に切断することにより、環状の溶着部から多数本の糸材が外周側へ放射状に延出した第1の放射状羽根を形成する放射状羽根の一次形成工程と、形成された放射状羽根の溶着部内側に形成された貫通孔に糸束を刺し通して突出させる糸束挿入工程と、糸束の突出端部を周囲へ放射状に押し開いてその中心部周囲を環状に溶着した後、糸束を分離するべく溶着部の内側を環状に切断することにより、前記溶着部に一体化された環状の溶着部から多数本の糸材が外周側へ放射状に延出した第2の放射状羽根を形成する放射状羽根の再形成工程とを包含する放射状羽根の製造方法。
  5. 溶着部の内側を環状に切断する際にその切断孔径を糸束の直径より大きくする請求項4に記載の放射状羽根の製造方法。
  6. 糸束挿入工程と放射状羽根の再形成工程とを複数回繰り返す請求項4又は5に記載の放射状羽根の製造方法。
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