JP4676448B2 - タンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤及びそれを含む皮膚の保水率改善剤 - Google Patents

タンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤及びそれを含む皮膚の保水率改善剤 Download PDF

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Description

本発明は、皮膚においてタンパク質分解酵素阻害因子を増加させ、またはタンパク質分解酵素阻害因子の発現を増強させることにより、タンパク質分解酵素とタンパク質分解酵素阻害因子のバランスを制御し、皮膚の保水率を改善させる組成物に関する。特に、本発明は、コラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物又はコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含む皮膚の保水率改善剤、又はシスタチン等のタンパク質分解酵素阻害因子を有効成分として含む皮膚の保水率改善剤に関する。
誰もが、いくつになっても元気に暮らしたいと願っている。しかし、老化に伴う生理的変化のアンバランスは、ホルモン分泌の低下、酸化ストレスや免疫力の低下によって引起され認知症や骨粗鬆症のような代表的な疾病を引起す。皮膚については加齢に伴う老化によって、皮膚のたるみ、しわ、乾燥などの変化を認め、紫外線を浴びることによってしわが形成されたり色素が沈着したりといった好ましくない変化が観察される。
皮膚の最外層は角層で形成され、その厚さが僅か20μmほどの構造で、表皮角化細胞から分化した角層細胞とその細胞間に充満する細胞間脂質からなる。その構造は、ブロックとモルタルにたとえられる。ブロックに相当する角層細胞は、表皮角化細胞の分化により形成される。その成分の大半(約80%)はケラチン繊維で、共存する水分により角層全体の物理化学的性質を左右している。一方、モルタルに相当する細胞間脂質は、コレステロール、コレステロールエステル、脂肪酸、セラミドを主成分とし、ラメラ構造(層状構造)を形成することで角層のバリア機能に深く関わっている。ブロックを包みモルタルとの界面を形成するコーニファイドエンベロープ(角化肥厚膜)も角層バリア機能の形成に重要な役割を担っていることが明らかにされてきている。
角層は表皮のターンオーバーによって絶えず生まれ変わっている。最外層の角層細胞は、通常感知されずに順次剥がれ落ちてゆく。剥がれ落ちるまでの角層細胞は、コーネオデスモゾーム(corneodesmosome)と呼ばれるタンパク質複合体からなる接着装置を介して、お互いに接着している。従って、皮膚を擦っても角層が剥がれ落ちてしまうことはない。角層の最外層にかけて、コーネオデスモソームを構成するタンパク質(デスモグレイン、デスモコリン、コーネオデスモシンなど)が幾つかのプロテアーゼによって消化されることが、円滑な角層の剥離に重要であると考えられている。
角層の水分を維持するメカニズムとして、皮脂層の閉塞効果、細胞間脂質のバリア機能、天然保湿因子による水分保持を挙げることができる。
コーニファイドエンベロープ(cornified envelope: CE)は、インボルクリン、ロリクリンなどの前駆タンパク質がトランスグルタミナーゼにより架橋されて形成される非常に堅牢な膜状のアセンブリーで、更に脂質による修飾を受けて疎水性を獲得し、それを足場として細胞間脂質が整然と配向することによってきちんとした角層バリア機能が形成される。
CEを構成する前駆体タンパク質には、インボルクリン、ロリクリン、small proline rich protein(SPR、cornifin)、シスタチンA、エラフィン、フィラグリン、ケラチン、エンボプラキン、デスモソーム構成タンパク質、スキエリン、アネキシンI、PAI−2などが挙げられる。これらは、表皮ケラチノサイトの分化に従って有棘層上層から顆粒層にかけて発現する。そして角層に到る過程で、これらのタンパク質のリシン残基とグルタミン残基との間にイソペプチド結合が形成されることによって、架橋・不溶化し、CEができあがる。また、グルタミン残基同士がポリアミンの介在によって形成されるシュードイソペプチド結合の存在も知られている。これらの結合の形成は、表皮ケラチノサイトの分化に伴って産生される酵素トランスグルタミナーゼ(TGase)により触媒される(非特許文献1を参照)。
シスタチンのサブタイプのひとつCst6のnullノックアウトマウスは、皮膚においてケラチナイゼーションが不全となるヒトのハーレクインイクチオーシスという遺伝病のマウスモデルichqマウスとして報告されている(非特許文献2を参照)。該モデルマウスのフェノタイプの解析により、システインプロテアーゼ阻害因子シスタチンM/E(Cst6の遺伝子産物)を欠損させることによって角層不全が起こり、バリアー機能が低下して脱水死することが判っている。シスタチンM/Eのnullノックアウトマウスは、皮膚蒸散量をTEWL(Transepidermal Water Loss)によって測定した結果、出生9日目までTEWLが増加し続け、3g/m2/hに到達した。6〜9日目あたりから体重は急激に減少し、11日目に脱水が原因で死亡した。従って、シスタチンが皮膚における角層の健全な形成に重要である可能性が示唆されている。非特許文献2においては、皮膚においてタンパク質分解酵素とその阻害因子の絶妙なバランスが健康な角層に必須であり、ちょうど、外界と生体の境界域で非特異的免疫機能を担うタンパク質分解酵素と、過剰な非特異的免疫のブレーキ役であるタンパク質分解酵素阻害因子がせめぎあっていると表現されている。
アンチエージングシリーズ、皮膚の抗老化最前線'06年、(有)ブッカーズ Human Molecular Genetics '04, 13, 10, 1069-1079
本発明は、皮膚におけるタンパク質分解酵素の阻害因子を増加させる組成物の提供を目的とし、該組成物は皮膚の保水率の改善をもたらす。
上記のように、遺伝子のnull欠損マウスの解析結果よりタンパク質分解酵素の阻害因子が皮膚における角層の形成において重要であることが示唆されていた。しかし、皮膚におけるこれらの阻害因子の増加が本当に皮膚の保水率の改善をもたらすのかは明確ではなかった。
本発明者らは、シスタチン等のタンパク質分解酵素の阻害因子と皮膚の保水率の変動について鋭意検討を行なった。その結果、シスタチン等のタンパク質分解酵素の阻害因子を経口投与することにより、皮膚の保水性が改善されることを見出した。
本発明者らは、さらにシスタチンA遺伝子の転写調節部位がAP2配列やPKC(プロテインキナーゼC)に応答する配列を有し、このうちPKCはコラーゲン繊維によって活性化されるという報告(JCB '97, 136, 2, 473-483)に鑑み、コラーゲンとシスタチンとの関連に注目した。本発明者等は、ウエスタンブロッティングによるタンパク質レベルにおいて、また、ジーンチップの解析によるRNAレベルにおいて、コラーゲンの摂取がシスタチンAの発現を増強し、皮膚の保水率を改善することを見出した。本発明者等は、コラーゲンの摂取によって皮膚に基質的な何らかの変化が引き起こされ、皮膚コラーゲンの3次元構造がリジッドとなるなど繊維状態が改善され、これによってPKCの活性化が惹起されて、シスタチン遺伝子の転写が活発になり、さらにシスタチンタンパク質の増加が引き起こされたと考えた。すなわち、コラーゲンが皮膚における非特異的防御機構とその阻害因子のバランスに対し、阻害因子(シスタチン)を補強することによって保水率を増加させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] コラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含むタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤。
[2] グリシン30〜40%、プロリン10〜20%、ヒドロキシプロリン7.5〜15%、アラニン7.5〜15%を含むアミノ酸組成からなる組成物を有効成分として含む[1]のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤。
[3] タンパク質分解酵素阻害因子が、ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチンN(6)、シスタチンS、シスタチンTE-1、シスタチン8、シスタチン11、シスタチンB、シスタチン関連2、CSTA、シスタチンA、シスタチンM/E、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、C1阻害剤(SERPING1)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型5)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー6)(SERPINB6)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)、プロテアーゼ阻害剤(KladeB[オボアルブミン])(メンバー9)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2C(Cdkn2c)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2A(Cdkn2a)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE)(メンバー2)(SERPINE2)、メタロプロテアーゼ2組織阻害因子(Timp2)、メタロプロテアーゼ1組織阻害因子(Timp1)、組織因子経路阻害剤(TFPI)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)及びカテプシンF(CTSF)からなる群から選択される[1]又は[2]のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤。
[4] タンパク質分解酵素阻害因子が、ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチンN(6)、シスタチンS、シスタチンTE-1、シスタチン8、シスタチン11、シスタチンB、シスタチン関連2、CSTA、シスタチンA及びシスタチンM/Eからなる群から選択されるタンパク質分解酵素阻害因子である[3]のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤。
[5] [1]〜[4]のいずれかのタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤を含む皮膚の保水率改善剤。
[6] [1]〜[4]のいずれかのタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤を含む食品。
[7] 皮膚の保水率を改善するものである旨の表示を付した、[6]の食品。
[8] [1]〜[4]のいずれかのタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤を含む化粧品。
[9] [1]〜[4]のいずれかのタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤を含む医薬組成物。
[10] ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチンN(6)、シスタチンS、シスタチンTE-1、シスタチン8、シスタチン11、シスタチンB、シスタチン関連2、CSTA、シスタチンA、シスタチンM/E、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、C1阻害剤(SERPING1)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型5)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー6)(SERPINB6)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)、プロテアーゼ阻害剤(KladeB[オボアルブミン])(メンバー9)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2C(Cdkn2c)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2A(Cdkn2a)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE)(メンバー2)(SERPINE2)、メタロプロテアーゼ2組織阻害因子(Timp2)、メタロプロテアーゼ1組織阻害因子(Timp1)、組織因子経路阻害剤(TFPI)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)及びカテプシンF(CTSF)からなる群から選択されるタンパク質分解酵素阻害因子を有効成分として含む皮膚の保水率改善剤。
[11] ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチンN(6)、シスタチンS、シスタチンTE-1、シスタチン8、シスタチン11、シスタチンB、シスタチン関連2、CSTA、シスタチンA及びシスタチンM/Eからなる群から選択されるタンパク質分解酵素阻害因子を含む[10]の皮膚の保水率改善剤。
[12] [10]又は[11]の皮膚の保水率改善剤を含む食品。
[13] 皮膚の保水率を改善するものである旨の表示を付した、[12]の食品。
[14] [10]又は[11]の皮膚の保水率改善剤を含む化粧品。
[15] [10]又は[11]の皮膚の保水率改善剤を含む医薬組成物。
コラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物又はコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含むタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤、あるいはシスタチン等のタンパク質分解酵素阻害因子をヒトに投与することにより、皮膚におけるタンパク質分解酵素阻害因子の存在量が増大し、皮膚のタンパク質分解酵素とその阻害因子のバランスが制御され、皮膚の各層の形成が良好になり、皮膚の保水率が改善される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用い得るコラーゲンの種類に限定はなく、I型コラーゲンからVIII型コラーゲンまで広く用いることができる。ここで、I型コラーゲンは、骨や皮膚の真皮に大量に含まれる線維性コラーゲンをいう。I型コラーゲンは、α1鎖(I型)2本とα2鎖(I型)1本が集まって形成される。II型コラーゲンは、軟骨に主に含まれる線維性コラーゲンをいい、3本のα1(II型)鎖から構成される。III型コラーゲンは、細胞などの足場を形成している線維性コラーゲンをいう。IV型コラーゲンは、基底膜に多く含まれる非線維性コラーゲンをいう。V型コラーゲンは、α1(V型)鎖、α2(V型)鎖、α3(V型)鎖が様々な割合で混合した三量体の混合物である線維性コラーゲンである。VI型コラーゲンは、α鎖が2本逆向きに会合したものが2つ集まった四量体を形成する非線維性コラーゲンである。VII型コラーゲンは、IV型コラーゲン同様、基底膜の構成成分であり、三量体を形成する非線維性コラーゲンである。VIII型コラーゲンは、血管内皮細胞を形成する非線維性コラーゲンである。
本発明においてコラーゲン源としては、コラーゲンの原料として使用できるものであれば特に限定はしないが、例えば哺乳動物の皮、骨、鳥類の軟骨や骨、魚類の軟骨や骨、皮、鱗などを使用することができる。この中でも特に、魚類の軟骨、骨、皮及び鱗等の魚類原料が好ましい。また、本発明においては、一度抽出されたコラーゲン含有物や市販のコラーゲンも含まれる。
前抽出や前処理の方法は特に限定はないが、単なる水洗、焙煎、蒸しなどを通常の方法に従って行ってもよく、プロテアーゼ処理を行ってもよく、また、これらを組み合わせて行うこともできる。前処理後のコラーゲン源の形状としては特に限定はないが、粉状、フレーク状、細状、薄片、角切り、又はそのままで使用すればよい。
コラーゲンの分解物として、コラーゲンの酸分解物、アルカリ分解物、熱分解物、酵素分解物等があり、ゼラチン及びコラーゲンペプチドが挙げられる。コラーゲンペプチドとは、コラーゲンを加水分解して得られるペプチドであり、本発明の組成物に用い得るコラーゲンペプチドの平均分子量は例えばゲルクロマトグラフィーにより測定した場合200〜15,000、好ましくは200〜1500、さらに、好ましくは500〜1000である。また、これより分子量の小さいジペプチドなどの低分子量成分が一部に含まれていてもよい。好ましくは、上記の分子量のコラーゲンペプチドが70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上含まれる。ゼラチンは、コラーゲンを加熱し、又は塩酸や硫酸等の無機酸や石灰等のアルカリを用いて処理することにより得られる。コラーゲンペプチドは、コラーゲン又はゼラチンをコラゲナーゼ、システインプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素で処理することにより得られる。
本発明の組成物はさらに、アミノ酸組成物でもよく、コラーゲンのアミノ酸組成に近似したアミノ酸組成物である。コラーゲンのアミノ酸組成はグリシンが約34%、プロリンが約13%、ヒドロキシプロリンが約9%、アラニンが約11%、その他のアミノ酸が約33%であり、トリプトファンを含まない。従って、本発明のアミノ酸からなる組成物は、グリシンが30〜40%、好ましくは33〜35%、さらに好ましくは34%、プロリンが10〜20%、好ましくは12〜14%、さらに好ましくは13%、ヒドロキシプロリンが7.5〜15%、好ましくは8〜10%、さらに好ましくは9%、アラニンが7.5〜15%、好ましくは10〜12%、さらに好ましくは11%含まれるアミノ酸組成物であり、トリプトファン含有量は少ない。また、アルギニンはコラーゲン合成を促進するので、アルギニンを含んでいてもよい。
また、コラーゲンに特徴的なアミノ酸であるヒドロキシプロリンは、プロリンのヒドロキシル化によっても生成される。プロリンのヒドロキシル化は、還元剤としてビタミンCが必要で、ビタミンCが欠乏するとコラーゲン合成に異常をきたす。従って、本発明の組成物はビタミンC又はその誘導体を含んでいてもよい。ビタミンC誘導体としてアスコルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明のコラーゲン又はコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を摂取することにより、生体内でコラーゲンの合成が促進され、タンパク質分解酵素阻害因子の発現を促進する。この結果、皮膚における保水率を改善することができる。ここで、皮膚における保水率の改善とは、皮膚表面からの水分蒸発を防ぎ、皮膚における水分存在量を高め一定に保つようにすることをいう。皮膚における保水率は、例えば経皮的水分散逸量(TEWL)や皮膚のキャパシタンスにより評価することができる。TEWLは、例えばテバメーター(インテグラル)により測定することができ、キャパシタンスはコルネオメーター(皮膚水分量測定器)により測定することができる。本発明の保水率が改善された皮膚の保水率は、コルネオメーターで測定した場合、キャパシタンス値が10以上、好ましくは30以上である。
本発明のコラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含むタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤は、ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチンN(6)、シスタチンS、シスタチンTE-1、シスタチン8、シスタチン11、シスタチンB、シスタチン関連2、CSTA、シスタチンA、シスタチンM/E、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、C1阻害剤(SERPING1)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型5)、セリンプロテアーゼ阻害剤(Kazal型4)(SPINK4)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー6)(SERPINB6)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー7)(SERPINB7)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー5)(SERPINB5)、プロテアーゼ阻害剤(KladeB[オボアルブミン])(メンバー9)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2C(Cdkn2c)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2A(Cdkn2a)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE)(メンバー2)(SERPINE2)、メタロプロテアーゼ2組織阻害因子(Timp2)、メタロプロテアーゼ1組織阻害因子(Timp1)、組織因子経路阻害剤(TFPI)、組織因子経路阻害剤2(TFPI2)及びカテプシンF(CTSF)からなる群から選択されるタンパク質分解酵素阻害因子の発現を増強し得る。この中でも特に皮膚のシスタチンの発現増強に効果がある。
本発明はさらに上記のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤を含む皮膚の保水率改善剤を包含する。上記の中でも特にシスタチンが好ましい。
上記のタンパク質分解酵素阻害因子は、植物等の天然の原料から抽出し、さらに精製して用いることができる。例えば、シスタチンは、アボガドやメロン等の植物原料から得ることができる。また、化学合成により又は遺伝子工学的に合成することもできる。
さらに、本発明は、コラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含むタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤を含む皮膚の保水率改善剤を含む。該保水率改善剤は、皮膚の保水率を改善するための医薬組成物として用いることができ、さらに、皮膚の保水率を改善するための食品及び飲料として用いることができる。食品及び飲料は健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント等を含む。ここで、特定保健用食品とは、食生活において特定の保健の目的で摂取をし、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品をいう。これらの飲料品には、皮膚の保水率を改善するために用いられるものである旨の表示や美容のために用いられるものである旨の表示が付されていてもよい。
食品及び飲料には、限定はないが、例えば穀物加工品(小麦粉加工品、でんぷん類加工品、プレミックス加工品、麺類、マカロニ類、パン類、あん類、そば類、麩、ビーフン、はるさめ、包装餅など)、油脂加工品(可塑性油脂、てんぷら油、サラダ油、マヨネーズ類、ドレッシングなど)、大豆加工品(豆腐類、味噌、納豆など)、食肉加工品(ハム、ベーコン、プレスハム、ソーセージなど)、水産製品(冷凍すり身、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、すじ、魚肉ハム、ソーセージ、かつお節、魚卵加工品、水産缶詰、つくだ煮など)、乳製品(原料乳、クリーム、ヨーグルト、バター、チーズ、練乳、粉乳、アイスクリームなど)、野菜・果実加工品(ペースト類、ジャム類、漬物類、果実飲料、野菜飲料、ミックス飲料など)、菓子類(チョコレート、ビスケット類、菓子パン類、ケーキ、餅菓子、米菓類、キャンディーなど)、アルコ−ル飲料(日本酒、中国酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウオッカ、ブランデー、ジン、ラム、酒、ビール、清涼アルコール飲料、果実酒、リキュールなど)、嗜好飲料(緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、乳酸飲料など)、調味料(しょうゆ、ソース、酢、みりん、ドレッシングタイプ調味料など)、缶詰・瓶詰・袋詰食品(牛飯、釜飯、赤飯、カレー、その他の各種調理済み食品)、半乾燥若しくは濃縮食品(レバーペースト、その他のスプレッド、そば・うどんの汁、濃縮スープ類など)、乾燥食品(即席麺類、即席カレー、インスタントコーヒー、粉末ジュース、粉末スープ、即席味噌汁、調理済み食品、調理済み飲料、調理済みスープなど)、冷凍食品(すき焼き、茶碗蒸し、うなぎ蒲焼、ハンバーグステーキ、シューマイ、餃子、各種スティック、フルーツカクテルなど)、固形食品・液状食品(スープなど)、香辛料などの農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品などが挙げられる。本発明の食品及び原料は食品原料として用いることもでき、食品原料としては、粉末を水に溶解して飲料の形態で使用してもよく、固形食品等の担体に添加して固形食品の形態で使用してもよく、この他、健康食品として粉末それ自体、あるいは他の有用成分と混合したタブレットや顆粒としても利用できる。より具体的には、液状の食品や嗜好品、例えば菓子類、粉末茶、アイスクリ−ム、ヨ−グルト、アルコール飲料、スポーツ飲料等の形態で使用してもよい。
上記の食品又は飲料にコラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物あるいは上記のタンパク質分解酵素阻害因子を混ぜればよい。また、天然状態で上記のタンパク質分解酵素阻害因子を含んでいる植物の抽出物も本発明の食品又は飲料に包含される。これらの抽出物として、例えば、アボガドエキスやメロンエキス等が挙げられる。これらの抽出物を上記食品又は飲料に混ぜてもよいし、また該抽出物自体を食品又は飲料として利用することもできる。
本発明のコラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含むタンパク質分解酵素因子発現増強剤、皮膚の保水率改善剤又は食品を経口摂取する際の摂取量は、限定されないが、1日当たりコラーゲン量に換算して約0.1g〜100gである。食品中の含有量は、限定されないが、1〜50%(w/v)である。また、本発明のタンパク質分解酵素阻害因子を有効成分として含む皮膚の保水率改善剤、皮膚の保水率改善剤又は食品を経口摂取する際の摂取量は、限定されないが、1日当たりタンパク質分解酵素阻害因子量で約0.1g〜100gである。食品中の含有量は、限定されないが、1〜50%(w/v)である。
本発明の皮膚の保水率を改善するための医薬組成物は、公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化すればよい。当該製剤の製造は一般的には、コラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物若しくはコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物あるいは上記のタンパク質分解酵素阻害因子等の皮膚シスタチンを増加させる作用を有する有効成分の治療上有効な量を薬理学的に許容できる液状又は固形状の担体と配合し、かつ、必要に応じて溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤などを加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤、軟膏剤、注射剤、塗布剤、経皮吸収剤、局所徐放剤等の液剤とすることができる。また、乾燥品でもよく、該乾燥品は使用前に適当な担体を添加することによって液状に復元することができる。本発明の医薬組成物の剤形は、投与方法によって適宜設定することができる。投与方法に特に制限はなく、経口、皮膚への直接塗布、散布、注射、噴霧または、皮膚(表皮、真皮)、皮下組織等の他の部位を介しての浸透ないし拡散に基づく物理的接触等の、公知の手段を用いることが可能である。好ましくは皮膚の保水率が低下している部位に局所的に投与する。治療上有効な量は限定されないが、望ましい用量及び投与形態を考慮に入れて決定される。例えば製剤中の有効な量は、約0.1mg/mL〜約1000mg/mLである。また、本発明の医薬組成物は、老人の乾皮症、小児の乾燥性皮膚、さめ肌、手指のあれ、ひじ、ひざ、かかと、くるぶし等の角化症の治療又は予防に用いることができる。
本発明の化粧料は公知の配合に準じて定法に従って製造することができる。本発明の化粧料としては、例えばローション類、乳液類、クリーム類、パック類、浴用剤、洗顔剤、浴用石鹸又は浴用洗剤などを含有するものである。本発明の化粧料をそれぞれの用途形態に応じて所望の量、例えばローション類であれば、例えばヒトの顔面全体に適用するような適用法が考えられる。また、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸等のムコ多糖類などの保湿剤を含んでいてもよい。本発明の化粧料は化粧品原料として用いることもでき、化粧品原料としては、溶液製剤(防腐剤、溶剤添加の溶液)としてシャンプー、リンス、ヘアトリートメントに配合、粉末で入浴剤に配合する等、インバス製品やヘアケアアウトバス製品へ利用することができる。
本発明の化粧品は、皮膚における保水率を改善し、皮膚の弾力やみずみずしさを保つ作用を発揮し得る。
本発明のコラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物又はコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分としてタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤、皮膚の保水率改善剤を化粧料として用いる場合の含有量は、限定されないが、例えば、0.1%〜50%(w/v)である。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 コラーゲン投与により発現が変動する遺伝子の検討
ヘアレスラット雄性HWY系(SPF、4週齢)を用い、飼育した。
フィッシュコラーゲンWP(マルハ(株))を5%となるようにラット用飼料CRF-1に配合した。試験飼料はオリエンタル酵母(株)に依頼して作成した(表1)。試験に用いた群構成を表2に示す。試験プロトコールを図1に示す。
Figure 0004676448
Figure 0004676448
皮膚の剥離
ネンブタール麻酔下(大日本製薬)、腹大動脈より採血したヘアレスラットの首周辺の背側皮膚を、速やかに外科用メスで3〜4cm四方の大きさに切り出した。皮膚に付着した筋肉を外科用メスで除去した後、6個に分割した。RNA安定化溶液(RNA later、Ambion)30mlを注いだファルコンチューブに皮膚切片を加え、冷蔵下で一晩安定化させた。翌日、個体毎にビニール袋に入替え-20℃で凍結保存した。作業はRNaseのコンタミを防ぐため、帽子、マスク、及びビニール手袋を着用した上、できる限り速やかに行った。
皮膚の破砕
皮膚の破砕はホモジナイザーAM-9(日本精機)を用い液体窒素で凍結しながら実施した。サンプルが触れるカップ内面とカッターはRNase洗浄剤(RNaseZAP、Ambion)を噴霧した後キムタオルで拭取った。液体窒素は(コンタミ源とならないよう、)サンプルと直接接触させないように注意した。30分程度のホモジナイズ中、サンプルカップの低温を保つため適宜液体窒素を補充した。ホモジナイズ操作は全てクリーンベンチ内でビニール手袋を着用して実施し、RNaseがコンタミしないように細心の注意をはらった。
IsogenとRNeasyミニカラム操作
皮膚粉末をエッペンドルフチューブに移し、Isogen(ニッポンジーン)1mlを加えたのち5分間かけてピペッティングとボルテックスによって充分攪拌した。クロロホルム0.2mlを加え15秒間ボルテックスで混合し2〜3分放置してから、4℃にて12,000rpmで15分間遠心分離した。水層(上層)を下層が混入しないように分取し、3/4倍量の75%エタノールを加え2本のRNeasyミニカラム(QIAGEN)で総RNAを精製した。RNeasyミニカラム操作はマニュアルに沿って実施したが、1本のRNeasyミニカラムにアプライするサンプル量が400μlを超えないよう、サンプル量が多い場合は2本のRNeasyミニカラムに分割した。
品質チェック
総RNAサンプルの品質を1本鎖を特異的に検出できるバイオアナライザーなどでチェックした。品質チェックはジーンフロンティア(株)、及びジーンフロンティア(株)が契約したNimbleGen Systems Iceland LLCに委託して実施した。品質基準値は、A260/280比>1.7、A260/230比>1.7、28S/18S>1.0、総RNA量>22μgなどであった。
フィッシュコラーゲンWP群6匹から得られた総RNAサンプルのうちの1サンプル、及びコントロール群6匹から得られた総RNAサンプルのうちの1サンプルの計2サンプルについて品質チェックを行なった。
cDNA合成とハイブリダイズ
総RNAを鋳型としてTTTTT-T7 primerを使って一本鎖 cDNAに逆転写した上で発光標識cDNAを合成した。ラットの21,205遺伝子のジーンチップは1遺伝子につき18の異なるプローブを装填していて、計21,205×18=381,690種類のハイブリダイゼーションを行った。
解析
ハイブリダイゼーションの結果は解析用ソフト“Nandemo Analysis 1.0.0”を用いて解析した。有意差検定は多重性をBonferroni法によって考慮し、有意水準を5%とした。つまり、21,205回の検定を繰返すことになるので、t検定p値に21,205を乗じたBonferroni p値を算出し、Bonferroni p値が0.05より小さい場合に有意な変化と判断した。
結果
コントロールに対するフィッシュコラーゲンWPの発現比が8倍超の6遺伝子、4倍超8倍以下の27遺伝子、2倍超4倍以下の97遺伝子、1.5倍超2倍以下の46遺伝子、1.5倍以下の21遺伝子が有意な増加を示した(多重比較)。有意に低下した遺伝子を含めると計266遺伝子が変動した(表3)。
Figure 0004676448
表4にシスタチンの発現変動を、表5にシスタチン以外のタンパク質分解酵素の阻害因子の発現変動を示す。
Figure 0004676448
Figure 0004676448
実施例2 コラーゲン投与によるシスタチンAの発現
動物の皮膚の抽出は、沸騰水中で1時間インキュベートした上でウルトラディスパーサーにて懸濁させた。タンパク質はWCA Protein Assay Kit(テクノケミカル)で定量した。
SDS-PAGE
電気泳動槽(TEFCO社 Model T. C.-803)に14% SDS-PAGE mini(1.0mm、8well、Cat No. 01-080M)を装着し、Laemmli R. Buffer(Tris 3.0g + Gly 14.4g + SDS 1.0g/1l)を泳動槽に満たした。メルカプトエタノールを含んだ2×サンプルバッファーと皮膚懸濁液を等量混和し、沸騰浴上で5分間変性させた上でウェル内にアプライした。一枚のSDS-PAGEの各ウェルのタンパク質量が14μgと一致するようにサンプル量を調整してアプライした。
分子量マーカーはPrecision Plus Protein Standards(Bio-Rad社 #161-0373)を、陽性対照は卵白シスタチン(Sigma社)10μgを用いた。変圧器はAE-3131(ATTO社)を用い10mAの定電流で泳動した。
ウエスタンブロティング
ウエスタンブロッティングはMini Trans-Blot Cell(Bio-Rad)にBlotting Buffer(Tris 25mM + Gly 192mM)を満たし、PVDFメンブレンへタンパク質をトランスファーした。変圧器はModel 200/2.0 Power Supply(Bio-Rad)を使い20mAで冷却下2時間ブロッティングした。
免疫反応
定法に従い、スキムミルク10%を溶解したTBS[Tris 20mM + NaCl 150mM + NaN3 0.05%(pH7.5)]にPVDF膜を浸漬し、(非特異吸着を抑えるため)常温で2時間ゆっくりと振倒した。
Tween20 0.05%を溶解したTBS(TBS-T)で3回洗浄した後、抗シスタチンA抗体(ヒト由来 N末端ペプチドN-18でヤギを感作したポリクローナル抗体、Santa Cruz社 sc-33277)をゼラチン0.1%を溶解したTBSで1/200倍希釈し、(一次抗体として)常温で1時間ゆっくり振倒した。
TBS-Tで3回洗浄した後、抗ヤギIgG抗体(免疫動物ロバ、アルカリフォスファターゼ標識、sc-2022)をゼラチン0.1%/TBSにて1/100,000倍希釈し、(二次抗体として)常温で1時間ゆっくり振倒した。
TBS-Tで3回洗浄した後、発色試薬(蒸留水24ml + 25×濃縮液 1ml + 試薬A 50μl + 試薬B 50μl、Bio-Rad社 #170-6432)に浸し発色させた。
解析
フィッシュコラーゲンWP群におけるシグナル面積をコントロール群のそれに対してt検定で評価した。
結果
11KDaの分子量を持ったシスタチンAのシグナルが確認され(図2、lane 2〜8)、その強度はコントロール(lane 6〜8)と比較してフィッシュコラーゲンWP摂取群(lane 3〜5)で強かった。
シスタチンAのシグナル面積は、コントロール群6.7±5.1mm2と比較してフィッシュコラーゲンWP摂取群で21.0±3.2mm2と3.1倍になった(図3)。
実施例3 コラーゲン投与による皮膚保水率の経時的変動
実施例2で用いた動物の皮膚保水率を測定した。
摂取開始(ゼロ点)、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週及び8週にコルネオメーター(インテグラル)を用いて左右の肩甲骨の中間部分の皮膚保水率を午前8〜9時に測定した。水分計の小型静電容量センサーをラット背部に押しあて3秒間静止して皮膚保水率をキャパシタンス値(単位無)で測定した。図4に結果を示す。
実施例4 コラーゲン投与による皮膚保水率の改善
ヘアレスラット雄性HWY系(SPF、4週齢)を用い、飼育した。
様々な被験物質を5%となるようにラット用飼料CRF-1に配合した。試験飼料はオリエンタル酵母(株)に依頼して作成した(表1)。
群毎に各試験飼料を自由摂取させた。表6に群構成を示す。図5に試験プロトコールを示す。
Figure 0004676448
8週にコルネオメーター(インテグラル)を用いて左右の肩甲骨の中間部分の皮膚保水率を午前8〜9時に測定した。水分計の小型静電容量センサーをラット背部に押しあて3秒間静止して皮膚保水率を測定した。
動物の皮膚の抽出は、沸騰水中で1時間インキュベートした上でウルトラディスパーサーにて懸濁させた。タンパク質はWCA Protein Assay Kit(テクノケミカル)で定量した。シスタチンの発現は抗シスタチンA抗体(ヒト由来N末端ペプチドN-18で感作、Santa Cruz社 sc-33277)を用いたウエスタンブロッティング法で比較した。表7に被験物質が皮膚の保水率及びシスタチンAの発現に及ぼす影響を示す。
Figure 0004676448
表7よりフィッシュコラーゲンWP、豚皮由来コラーゲン、アボガドエキス及びメロンエキスは、何れも経口的に摂取することによって皮膚シスタチンの発現を高め、皮膚保水率が改善されることが判る。
実施例5 ヒトにおけるコラーゲンによる皮膚保水率の改善
(1)食品
日頃、慢性的に肌が乾燥し、肌荒れに悩んでいる20〜40歳台の健常な女性を対象に二重盲検並行群間比較試験を実施した。
試験は39名を無作為に3群に分割し、フィッシュコラーゲンWP含有飲料50ml(高用量8%、低用量4%)を8週間摂取させ、フィッシュコラーゲンWPを含まない対照飲料(プラセボ)50mlを摂取させる群と比較した。図6に結果を示す。
検討の結果、4週及び8週において、フィッシュコラーゲンWPの用量に依存して皮膚保水率が改善された。
(2)化粧品
表8に記載の原料6及び7を原料5と混和し、精製水40mlを加え、85℃に加温、攪拌し、溶解した後、室温まで冷却した。表8に記載の原料1〜4を混和、60℃に加温溶解し、精製水40ml中に攪拌下に添加し乳濁液を作成し、これに先に調製した水溶液を混和し、精製水を加え、全量を100mlとしてフィッシュコラーゲンWP 0.5%を含有したローションを得た。
表8にローションの組成を示す。
Figure 0004676448
(3)医薬組成物
表9に記載の組成で、フィッシュコラーゲンWPを含有した経口投与用カプセルを作製した。
Figure 0004676448
本発明のコラーゲン又は生体内でコラーゲン合成が促進されるコラーゲンの分解物又はコラーゲンのアミノ酸組成に近いアミノ酸組成物を有効成分として含むタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤、並びにシスタチン等のタンパク質分解酵素阻害因子は、皮膚の保水率を改善するための食品、医薬組成物及び化粧品として利用することができる。
コラーゲン投与により発現が変動する遺伝子の検討の試験プロトコールを示す図である。 コラーゲン摂取によるシスタチンAの発現増強を示す電気泳動の結果を示す図である。 コラーゲン摂取によるシスタチンAの発現増強をシスタチンAシグナル面積で示す図である。 コラーゲン摂取による皮膚保水率の経時的変動を示す図である。 コラーゲン摂取による皮膚保水率の改善の検討の試験プロトコールを示す図である。 ヒトにおけるコラーゲン摂取による皮膚保水率の改善を示す図である。

Claims (4)

  1. コラーゲン又はコラーゲンペプチドを有効成分として含む、経口摂取用のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤であって、タンパク質分解酵素阻害因子が、ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチン8、シスタチン関連2、シスタチンA、シスタチンM/E、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー6)(SERPINB6)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2C(Cdkn2c)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)、メタロプロテアーゼ2組織阻害因子(Timp2)及び組織因子経路阻害剤(TFPI)からなる群から選択される、タンパク質分解酵素阻害因子である、経口摂取用のタンパク質分解因子発現増強剤。
  2. コラーゲン又はコラーゲンペプチドを有効成分として含む、経口摂取用のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤であって、タンパク質分解酵素阻害因子が、ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチン8、シスタチン関連2、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeB[オボアルブミン])(メンバー6)(SERPINB6)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2C(Cdkn2c)、セリン(またはシステイン)プロテアーゼ阻害剤(CladeE[ネキシン、1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤])(メンバー)(SERPINE1)、メタロプロテアーゼ2組織阻害因子(Timp2)及び組織因子経路阻害剤(TFPI)からなる群から選択される、タンパク質分解酵素阻害因子である、請求項1記載の経口摂取用のタンパク質分解因子発現増強剤。
  3. タンパク質分解酵素阻害因子が、ステフィンA1、シスタチンα、ステフィンA2、ステフィン2様、シスタチンC、シスタチン8、シスタチン関連2、シスタチンA及びシスタチンM/Eからなる群から選択されるタンパク質分解酵素阻害因子である、請求項1記載の経口摂取用のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤。
  4. タンパク質分解酵素阻害因子が、シスタチンAである請求項3記載の経口摂取用のタンパク質分解酵素阻害因子発現増強剤。
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