JP4677973B2 - エンジン冷却系の故障診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン冷却系の故障診断装置に関する。
従来から、ラジエータとサーモスタットとを備えたエンジンの冷却系が知られている。このサーモスタットは、冷却水が循環する循環流路を冷却水温度に応じて開閉して、冷却水の流れを制御する。エンジンの冷却水が所定温度以上である場合にはサーモスタットは開弁し、冷却水はラジエータを循環するように流れてラジエータで放熱する。また、冷却水が所定温度よりも低い場合にはサーモスタットは閉弁し、冷却水はラジエータをバイパスして流れ、冷却水温度が上昇してエンジンの暖機が図られる。
このようなエンジンの冷却系において、サーモスタットが開弁したまま固着(以下「開固着」という。)して故障すると、エンジン冷機時であっても冷却水がラジエータを循環するために、冷却水の温度上昇を速やかに行うことができず、エンジンの暖機が遅れて燃費悪化やエミッション増加を招いてしまう。
そのため、ラジエータからの放熱量とエンジンから冷却水への受熱量との割合である熱量比を用いてサーモスタットの故障を診断する故障診断装置が知られている(特許文献1参照)。
特開2001−73773号公報
ところで、上記した故障診断装置によってサーモスタットなど、ラジエータへの冷却水の流れを制御する弁機構の故障を診断する場合には、算出した熱量比に基づいて間接的に弁機構の開固着による故障を判定するために診断精度が劣るという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、エンジン冷却系の弁機構の故障を直接的に診断するとともに診断精度を向上できる故障診断装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、冷却水温度を感知してラジエータに流れる冷却水を制御する弁機構を備えるエンジン冷却系の故障診断装置である。このエンジン冷却系の故障診断装置は、エンジンを冷却する冷却水を循環させる循環手段と、循環手段によって循環する冷却水の流量を車両運転状態に基づいて増加させる流量増加手段と、エンジンの冷却水温度を、エンジンの発熱量と、エンジンのシリンダブロックの放熱量と、ラジエータの放熱量と、車室内の暖房に使用されるヒータの放熱量とから冷却水温度を推定する温度推定手段と、流量増加手段によって冷却水流量を増加させるときは、ヒータで放熱する放熱量を大きく算出するヒータ放熱量算出手段と、エンジンの冷却水の実温度を検出する実温度検出手段と、弁機構閉弁時に冷却水温度が上昇する温度範囲で、推定した冷却水温度が弁機構開故障時の冷却水温度に基づいて設定された基準温度以上となった後に、検出した実温度が基準温度よりも低い場合には弁機構が故障していると判定する故障判定手段と、を備える。
本発明によれば、冷却水の推定温度が基準温度を越えてから、すなわち弁機構が正常に作動しているならば実際の冷却水温度が十分に上昇している状態において、冷却水温度の実測値が基準温度よりも低い場合に弁機構が故障していると診断する。そのため、弁機構の故障を直接的に診断することができるとともに診断精度の向上を図ることができる。
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。
図1は、エンジンの冷却系の循環流路を示す図である。
循環流路1は、エンジンを冷却する冷却水が循環する流路である。循環流路1は、第1循環流路10aと第2循環流路10bとから構成される。第1循環流路10aは、エンジン20のシリンダブロック21に形成されるジャケット22を流れた冷却水をラジエータ11に流し、再びエンジン20に戻す。第2循環流路10bは、第1循環流路10aから分岐した冷却水をヒータ15に流してエンジン20に戻す。なお、本実施形態では説明の便宜上、冷却水がエンジン20から流出する側を上流とし、エンジン20に冷却水が流入する側を下流とする。
第1循環流路10aには、上流から順に第1ポンプ12、ラジエータ11、サーモスタット13が設置される。また、第1循環流路10aには、ラジエータ11をバイパスするバイパス流路10cが設けられる。
第1ポンプ12は、エンジン20とラジエータ11との間の上流側の第1循環流路10aに設置される。この第1ポンプ12はエンジン20によって駆動され、循環流路内の冷却水を循環させる。そのため、第1ポンプ12の吐出量は、エンジン回転速度に応じて変化する。
ラジエータ11は第1ポンプ12の下流に設置される。ラジエータ11は、流入した冷却水を走行風によって冷却し、冷却水温度を低下させて下流に流す。
サーモスタット13は、エンジン20とラジエータ11との間の下流側の第1循環流路10aに設置される。このサーモスタット13は冷却水温度を検知して、その冷却水温度に応じて第1循環流路10aを開閉する。エンジン始動時など、冷却水温度が所定温度より低い場合にはサーモスタット13は閉弁する。サーモスタット13が閉弁状態にあるときは、冷却水はラジエータ11を通らずにバイパス流路10cを流れる。また、エンジン20が暖機されて冷却水が所定温度以上になると、サーモスタット13は開弁する。サーモスタット13が開弁状態にあるときは、冷却水はラジエータ11を流れて放熱する。
一方、第2循環流路10bには、第2ポンプ14とヒータ15とが設置される。
ヒータ15は、図示しない空調装置の一部を構成する。このヒータ15はエンジン20を冷却した冷却水の熱を吸熱し、この熱を利用して空気を加熱する。この加熱された空気は、車室内の暖房として使用する。
第2ポンプ14は、ヒータ15の上流側の第2循環流路10bに設置される。この第2ポンプ14は、電動ポンプであって、駆動電圧に応じて作動する。第2ポンプ14は、運転者が図示しない空調装置を作動させた場合など、所定の運転状態において第1ポンプ12とは別に駆動され、循環流路内を循環する冷却水の流量を増加させる。
また、エンジン20のシリンダブロック21には、温度センサ23が設置される。この温度センサ23は、シリンダブロック内部に形成されるジャケット22を流れる冷却水の温度を検出し、その検出信号をコントローラ30に出力する。
コントローラ30は、第2ポンプ14などを制御するために設けられる。コントローラ30は、CPU、ROM、RAM及びI/Oインタフェースから構成される。コントローラ30には、温度センサ23の出力信号が入力するほか、吸気温度、エンジン回転速度、燃料噴射弁(図示しない)からの燃料噴射パルス幅、点火プラグ(図示しない)からの点火時期などの出力信号が入力する。
コントローラ30は、運転者が図示しない空調装置を操作して暖房を強めた場合など、所定の運転条件になったときに、循環流路内の冷却水流量を増加させる第2ポンプ14を駆動する。つまり、運転者が車室内への暖房を強めた場合などに、第1ポンプ12とは別に第2ポンプ14を駆動し、ヒータ15を流れる冷却水の流量を増加させて、ヒータ15からの放熱を促進する。ここで、第2ポンプ14を駆動させるか否かは、車速、エンジン回転速度、ヒータ15を流れる冷却水の冷却水温度、車室内への送風量を調整するブロアファンへの駆動電圧、暖房温度を調節するためにヒータ15を通過する風量を調整するエアミックスドアの開閉状態などに基づいて判断する。
上記したエンジン20の冷却系では、サーモスタット13は冷却水温度に応じて第1循環流路10aを開閉し、冷却水が流れる流路を切り換えて、冷却水温度を適正温度に維持する。つまり、エンジン冷間始動時には、エンジン20が冷機状態から暖機状態になるまで、サーモスタット13は閉弁して冷却水をバイパス流路10cに流す。これにより、冷却水温度を速やかに適正温度域に上昇させ、燃費向上、エミッション低減を図る。また、冷却水温度が適正温度域を越えたときには、サーモスタット13は開弁して、冷却水温度が上昇し続けないように冷却水をラジエータ11に流して冷却する。これにより、冷却水温度を適正温度域まで低下させ、エンジン20のオーバーヒートを防止する。
ところで、エンジン冷却系において、サーモスタット13が開固着して故障すると、冷却水は常にラジエータ11を循環して放熱する。そうすると、エンジン冷機時などエンジン20の暖機が必要な場合に、冷却水温度を速やかに上昇させることができず、エンジンの暖機が遅れて燃費悪化やエミッション増加の招くという問題が生じる。
そこで、本実施形態では、冷却水温度を推定し、その推定温度に基づいて故障診断条件が成立しているか否かを判定した後に、温度センサ23によって検出した冷却水温度の実測値に基づいてサーモスタット13の故障診断を実施する。また、第2ポンプの作動状態に応じて冷却水温度を推定することによって、サーモスタット13の故障診断の診断精度の向上を図る。
図2は、コントローラ40がサーモスタット13の故障診断を実施するときの制御を示すフローチャートである。この制御は、エンジン20の運転開始ともに実行され、一定周期、例えば10ミリ秒周期でサーモスタット13が故障していると診断されるまで実施される。なお、サーモスタット13の故障診断は、サーモスタット13の開固着による故障を診断するものであるので、サーモスタット13が正常であれば閉弁状態にある冷却水の温度範囲で実施される。
まず、ステップS10〜ステップS60において、エンジンの冷却系の循環流路1を流れる冷却水温度を推定する。
ステップS10では、コントローラ30は、エンジン20のシリンダ内で燃料が燃焼することによって発生するエンジン発熱量Qを算出する。エンジン発熱量算出処理の詳細については、図4を参照して後述する。
ステップS20では、コントローラ30は、ジャケット22を流れる冷却水がシリンダブロック21から放熱するときのシリンダブロック放熱量Q1を算出する。シリンダブロック放熱量算出処理の詳細については、図5を参照にして後述する。
ステップS30では、コントローラ30は、冷却水がラジエータ11に流入して放熱するときのラジエータ放熱量Q2を算出する。ラジエータ放熱量算出処理の詳細については、図6を参照して後述する。
ステップS40では、コントローラ30は、冷却水がヒータ15を通過して放熱したときのヒータ放熱量Q3を算出する。ヒータ放熱量算出処理の詳細については、図7を参照して後述する。
ステップS50では、コントローラ30は、ステップS10〜S40で算出した算出値に基づいて冷却水温度の上昇量ΔTを次式によって算出する。
ここで、ジャケット22を流れる冷却水の冷却水流量W1は、図3に示すように、予め実験などによって設定したエンジン回転速度‐冷却水流量特性に基づいて決定する。
図3は、第1ポンプ駆動時のエンジン回転速度と冷却水流量との関係を示す図である。横軸はエンジン回転速度を示し、縦軸は冷却水流量を示す。エンジン回転速度と冷却水流量との関係は、ジャケット22、ラジエータ11やヒータ15を流れる冷却水ごとに設定されている。第1ポンプ12はエンジン20の回転によって駆動されるので、冷却水流量はエンジン回転速度が大きくなるにしたがって大きくなる。なお、ラジエータ11、ヒータ15を流れる冷却水流量については後述するラジエータ放熱量算出処理(ステップS30)、ヒータ放熱量算出処理(ステップS40)において説明する。
そして、図2に示すように、ステップ60では、コントローラ30はステップS50で算出した冷却水温度上昇量ΔTに基づいて冷却水の推定温度Tを次式によって算出する。
ステップS71では、コントローラ30は、推定温度Tが基準温度Tc以上であるか否かを判定する。
サーモスタット13が開固着しているときには、冷却水は常にラジエータに流れて放熱するので、冷却水温度の実際の温度は推定温度Tからずれて上昇し、そのずれは時間の経過とともに大きくなっていく。そこで、基準温度Tcは、サーモスタット13が開弁する開弁温度Toよりも低い温度であって、開固着している場合に推定温度Tからのずれがある程度大きくなってサーモスタット13の故障診断がしやすい温度に設定される。
なお、サーモスタットが開固着している場合には、冷却水温度は一定温度(上限温度)までしか上昇しなくなるので、その上限温度に基づいて基準温度Tcを設定するようにしてもよい。
そして、推定温度Tが基準温度Tc以上(T≧Tc)となったときに、サーモスタット13の故障診断条件が成立していると判定してステップS72に移り、T<Tcの場合には故障診断条件が成立していないと判定して処理を一旦抜ける。
ステップS72では、コントローラ30は、故障診断条件が成立してからの経過時間Dが基準時間Dc以上となっているか否かを判定する。つまり、故障診断条件が成立(T≧Tc)した後に、基準時間を経過させることによって冷却水温度を上昇させて、後述するサーモスタット13の故障診断の誤診断を防止する。そして、D<Dcの場合には基準時間を経過していないので一旦処理を抜け、基準時間が経過するまで待機する。D≧Dcの場合には基準時間が経過しているので、ステップS73に移る。なお、基準時間Dcは1分以下を目安とするのが望ましい。
そして、ステップS73〜S75において、サーモスタット13の故障診断を実施する。
ステップS73では、コントローラ30は、シリンダブロック21に設置された温度センサ23によってジャケット22を流れる冷却水温度を検出し、その実測値Trが基準温度Tc以上となっているか否かを判定する。
つまり、サーモスタット13が正常に作動している場合には、サーモスタット13は閉弁状態にあるので、冷却水はバイパス流路10cを流れており、基準時間の経過とともに冷却水温度の実測値Trは上昇し、基準温度Tc以上となる。一方、サーモスタット13が開固着して故障している場合には、冷却水はラジエータ11に流入して放熱するため基準時間を経過しても冷却水温度の実測値Trは上昇せず、基準温度Tcよりも小さくなる。このように本実施形態では、冷却水温度の実測値Trが基準温度Tc以上になっているか否か判定することでサーモスタット13の開固着による故障を診断する。そして、Tr≧Tcの場合にはステップS74に移り、Tr<Tcの場合にはステップS75に移る。
ステップS74では、コントローラ30は、サーモスタット13は閉弁しており、正常に作動しているとして正常(OK)判定し、処理を終了する。
ステップS75では、コントローラ30は、サーモスタット13が開固着しており、正常に作動していないとして、故障(NG)判定する。そして、故障(NG)判定の場合には、図示しない警告装置によってサーモスタット13が故障していることを運転者に警告し、処理を終了する。
図4は、エンジン発熱量算出処理を示すフローチャートである。
ステップS11では、コントローラ30はエンジン20のエンジン回転速度を読み込む。
ステップS12では、コントローラ30は燃料噴射量を制御する燃料噴射パルス幅を読み込む。
ステップS13では、コントローラ30は読み込んだエンジン回転速度と燃料噴射パルス幅とから発熱量推定値qを決定する。この発熱量推定値qは、図5に示すような予め記憶したエンジン回転速度‐燃料噴射パルス幅特性から決定する。
図5は、エンジン回転速度と燃料噴射パルス幅とから求められる発熱量推定値qを示す図である。横軸はエンジン回転速度を示し、縦軸は燃料噴射パルス幅を示す。図5に示すように、エンジン回転速度及び燃料噴射パルス幅が大きくなるにしたがってエンジン20からの発熱量推定値qは大きくなる。
ステップS14では、エンジン20からの発熱量は燃料の点火時期によって変化するため、コントローラ30はROMに格納された特性マップに基づいて点火時期から点火時期補正係数Kaを設定する。なお、この点火時期補正係数Kaの特性マップは、予め実験を通じて設定される。
ステップS15では、コントローラ30は、点火時期補正係数Kaと発熱量推定値qとからエンジン20からの発熱量であるエンジン発熱量Qを次式によって算出する。
図6は、シリンダブロック放熱量算出処理を示すフローチャートである。
ステップS21では、コントローラ30は、ジャケット22を流れる冷却水のジャケット冷却水流量W1を決定する。ジャケット冷却水流量W1は、図3に示したように予め実験などによって設定した第1ポンプ駆動時のエンジン回転速度‐冷却水流量特性に基づいて、エンジン回転速度に応じて決定する。
ステップS22では、コントローラ30は、エンジン20のシリンダブロック21に設置された温度センサ23によって、ジャケット内を流れる冷却水の冷却水温度T1を読み込む。
ステップS23では、コントローラ30は、図示しない吸気温度センサからの信号に基づいて吸気温度TANを読み込む。
ステップS24では、コントローラ30は、ジャケット22を流れる冷却水がシリンダブロック21から放熱するときのシリンダブロック放熱量Q1を算出する。このシリンダブロック放熱量Q1は次式によって算出される。
図7は、ラジエータ放熱量算出処理を示すフローチャートである。
ステップS31では、コントローラ30は、ラジエータ11を流れる冷却水の冷却水流量W2を決定する。ここで、ラジエータ11を流れる冷却水の冷却水流量W2は、図3に示したように予め設定された第1ポンプ駆動時のエンジン回転速度‐冷却水流量特性に基づいて、エンジン回転速度に応じて決定する。サーモスタット13の故障診断は、サーモスタット13が正常であれば閉弁状態にある冷却水温度範囲で実施されるので、ラジエータ11に流入する冷却水の流量はジャケット22やヒータ15を流れる冷却水の流量と比較して小さい。
ステップS32では、コントローラ30は、ラジエータ内を流れる冷却水の冷却水温度T2を読み込む。この冷却水温度T2は、シリンダブロック21に設置された温度センサ23によって検出したジャケット内の冷却水温度を代用する。なお、ラジエータ11に温度センサを別途備え、その温度センサによってヒータ内を流れる冷却水温度を検出するようにしてもよい。
ステップS33では、コントローラ30は、図示しない吸気温度センサからの信号に基づいて吸気温度TANを読み込む。
ステップS34では、コントローラ30は、冷却水がラジエータ11で放熱するときのラジエータ放熱量Q2を算出する。このラジエータ放熱量Q2は、冷却水流量W2及び冷却水温度T2のほか、ラジエータ外面を構成する材料の熱貫流率K2とラジエータ内の冷却水流路長L2とに基づいて次式によって算出される。
図8は、ヒータ放熱量算出処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、運転者が図示しない空調装置を操作して暖房を強めた場合など、所定の運転条件になったときに第2ポンプ14を駆動して、循環流路内の冷却水流量を増加する。第2ポンプが駆動すると循環流路内を流れる冷却水の流量が変化するが、第2ポンプはヒータ15での放熱を促進するために駆動されるので、特に冷却水流量の変化によってヒータ15で放熱する放熱量に与える影響が大きい。そこで、本実施形態ではヒータ15によるヒータ放熱量Q3を算出する場合には、ステップS41〜S43において、第2ポンプの駆動状態に応じて冷却水流量を設定する。
ステップS41では、コントローラ30は、第2ポンプ14が駆動しているか否かを判定する。第2ポンプが駆動しているか否かは、第2ポンプ14への駆動電圧を検出して判定する。第2ポンプ14が駆動していない場合には、冷却水は第1ポンプ12のみによって循環していると判定し、ステップS42に移る。また、第2ポンプ14が駆動している場合には、冷却水は第1ポンプ12と第2ポンプ14とによって循環していると判定し、ステップS43に移る。
ステップS42では、コントローラ30は、第2ポンプ14が駆動していないときにヒータ15を流れる冷却水の冷却水流量W3を決定し、ステップS44に移る。ここで、第2ポンプ非駆動時の冷却水流量W3は、図3に示したように、第1ポンプ駆動時のエンジン回転速度‐冷却水流量マップに基づいて、エンジン回転速度に応じて決定する。
ステップS43では、コントローラ30は、第2ポンプ14が駆動しているときにヒータ15を流れる冷却水の冷却水流量W3を決定し、ステップS44に移る。ここで、第2ポンプ駆動時の冷却水流量W3は、図9に示すようなエンジン回転速度‐冷却水流量マップに基づいて、エンジン回転速度に応じて決定する。
図9は、第2ポンプ駆動時のエンジン回転速度と冷却水流量との関係を示す図である。横軸はエンジン回転速度を示す、縦軸はヒータ15を流れる冷却水の流量を示す。また、一点鎖線は第1ポンプ12のみによって冷却水を循環している場合を示し、実線は第2ポンプ14を駆動して、第1ポンプ12と第2ポンプ14とによって冷却水を循環している場合を示す。図9の実線に示すように、第2ポンプ14を駆動すると冷却水は第1ポンプ12と第2ポンプ14とによって循環するので、第1ポンプ12のみを駆動させた場合と比較して、同じエンジン回転速度における冷却水流量は大きくなるように設定されている。そして、第2ポンプ14を作動している場合には、図9の実線に基づいてヒータ15を流れるヒータ冷却水流量W3を決定する。
ステップS44では、コントローラ30は、ヒータ内を流れる冷却水の冷却水温度T3を読み込む。この冷却水温度T3は、シリンダブロック21に設置された温度センサ23によって検出したジャケット内の冷却水温度を代用する。なお、ヒータ15に温度センサを別途備え、その温度センサによってヒータ内を流れる冷却水温度を検出するようにしてもよい。
ステップS45では、コントローラ30は、図示しない吸気温度センサからの信号に基づいて吸気温度TANを読み込む。
ステップS46では、コントローラ30は、冷却水がヒータ15で放熱するときのヒータ放熱量Q3を算出する。このヒータ放熱量Q3は、冷却水流量W3、冷却水温度T3及び吸気温度TANのほか、ヒータ表面と大気の間の熱貫流率K3とヒータ内部の冷却水流路長L3とに基づいて次式によって算出する。
図10は、本実施形態のサーモスタット13の故障診断を示すタイムチャートである。ここで、横軸は時間を示し、縦軸は冷却水温度を示す。実線は推定温度Tを示す。また、破線はサーモスタットが正常に作動している場合の冷却水温度の実測値Trを示し、一点鎖線はサーモスタットが開固着によって故障している場合の冷却水温度の実測値Trを示す。
エンジン20はエンジン始動と同時に発熱するので、温度センサ23によって検出される冷却水温度の実測値Trはエンジンの始動とともに上昇する。同時に、エンジン発熱量Q、シリンダブロック放熱量Q1、ラジエータ放熱量Q2及びヒータ放熱量Q3などから算出(ステップS10〜S60)される冷却水の推定温度Tも上昇する。
そして、時刻t1において、冷却水の推定温度Tが基準温度Tcに達すると、サーモスタット13の故障診断条件が成立したと判定する(ステップS71)。この故障診断条件成立後から基準時間Dcが経過するまでは冷却水の温度を上昇させる(ステップS72)。診断条件成立後から基準時間Dcが経過した時刻t2において、温度センサ23によって冷却水温度の実測値Trを検出する。
ここで、図10の破線に示すように、時刻t2において、冷却水温度の実測値Trが基準温度Tc以上になっている場合には、コントローラ30は、サーモスタット13が閉弁しており正常に作動しているとして正常(OK)判定する(ステップS74)。一方、図10の一点鎖線に示すように、時刻t2において、冷却水温度の実測値Trが基準温度Tcに達していない場合には、コントローラ30は、サーモスタット13が開固着しており、正常に作動していないとして故障(NG)判定する。
以上により、本実施形態のサーモスタット13の故障診断装置は下記の効果を得ることができる。
本実施形態では、冷却水の推定温度Tが基準温度Tcを越えてから、すなわちサーモスタット13が正常に作動しているならば実際の冷却水温度が十分に上昇している状態において、冷却水温度の実測値Trが基準温度Tcよりも低い場合にサーモスタット13が故障していると診断する。そのため、サーモスタット13の故障を直接的に診断することができるとともに診断精度の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、推定温度Tに基づいてサーモスタット13の故障診断を開始する。実際の冷却水温度が所定温度以上となったときにサーモスタット13の故障の診断を開始する方法も考えられるが、サーモスタット13が故障している場合にはそもそも冷却水温度が上昇しないので故障診断を開始できないおそれがある。これに対して本願発明では、必ず診断を開始することができ、診断精度が向上する。
さらに、推定温度Tが基準温度Tcに達して診断条件が成立してから基準時間Dcを経過した後にサーモスタット13の故障を診断する。そのため、サーモスタット13が正常に作動している場合に冷却水温度の実測値Trと推定温度Tとに僅かなずれがあった場合であっても、冷却水温度を基準温度Tcまで確実に上昇させることができるので、誤診断を防止することができる。
さらに、第2ポンプ14の駆動状態に応じてヒータ15に流れる冷却水の流量W3を決定するので、ヒータ放熱量Q3を精度よく算出することができ、推定温度Tをより正確に算出することができる。そのため、故障診断開始条件の判定精度が向上し、診断精度の向上を図ることができる。
本発明は上記した実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。例えば、図1において、第2ポンプ14は第2循環流路10bに設置したが、第2ポンプを第1ポンプ12と直列にして第1循環流路10aに設置するようにしてもよい。
エンジンの冷却水を流す循環流路を示す図である。 サーモスタットの故障診断を実施する制御ルーチンを示すフローチャートである。 第1ポンプ駆動時のエンジン回転速度と冷却水流量との関係を示す図である。 エンジン発熱量算出処理を示すフローチャートである。 発熱量推定値qを決定するためのマップを示す図である。 シリンダブロック放熱量算出処理を示すフローチャートである。 ラジエータ放熱量算出処理を示すフローチャートである。 ヒータ放熱量算出処理を示すフローチャートである。 第2ポンプ駆動時のエンジン回転速度と冷却水流量との関係を示す図である。 サーモスタットの故障診断を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 循環流路
10a 第1循環流路
10b 第2循環流路
10c バイパス流路
11 ラジエータ
12 第1ポンプ(循環手段)
13 サーモスタット(弁機構)
14 第2ポンプ(流量増加手段)
15 ヒータ
20 エンジン
21 シリンダブロック
22 ジャケット
23 温度センサ(実温度検出手段)
30 コントローラ
ステップS40 ヒータ放熱量算出手段
ステップS60 温度推定手段
ステップS71〜S75 故障判定手段

Claims (4)

  1. 冷却水温度を感知してラジエータに流れる冷却水を制御する弁機構を備えるエンジン冷却系の故障診断装置であって、
    前記エンジンを冷却する冷却水を循環させる循環手段と、
    前記循環手段によって循環する冷却水の流量を車両運転状態に基づいて増加させる流量増加手段と、
    前記エンジンの冷却水温度を、前記エンジンの発熱量と、前記エンジンのシリンダブロックの放熱量と、前記ラジエータの放熱量と、車室内の暖房に使用されるヒータの放熱量とから冷却水温度を推定する温度推定手段と、
    前記流量増加手段によって冷却水流量を増加させるときは、前記ヒータで放熱する放熱量を大きく算出するヒータ放熱量算出手段と、
    前記エンジンの冷却水の実温度を検出する実温度検出手段と、
    前記弁機構閉弁時に冷却水温度が上昇する温度範囲で、前記推定した冷却水温度が弁機構開故障時の冷却水温度に基づいて設定された基準温度以上となった後に、前記検出した実温度が基準温度よりも低い場合には弁機構が故障していると判定する故障判定手段と、を備えることを特徴とするエンジン冷却系の故障診断装置。
  2. 前記流量増加手段は、車速と、エンジン回転速度と、冷却水温度と、車室内への送風量を調整するブロアファンへの駆動電圧と、暖房温度を調節するためにヒータを通過する風量を調整するエアミックスドアの開閉状態とに基づいて冷却水流量を増加させる、ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン冷却系の故障診断装置。
  3. 前記故障判定手段は、前記推定した冷却水温度が基準温度以上となってから基準時間経過後に前記実温度検出手段によって実温度を検出する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン冷却系の故障診断装置。
  4. 前記実温度検出手段は、前記エンジンのシリンダブロックに設置され、前記シリンダブロックに形成されるジャケット内の冷却水の実温度を検出する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のエンジン冷却系の故障診断装置。
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