JP4679457B2 - サブクール低温装置 - Google Patents

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本発明は、超電導体を用いた機器を冷却する冷媒液をサブクール状態に冷却するサブクール低温装置に関する。
高温超電導体を用いた限流器、ケーブル、電力貯蔵装置、変圧器、モーター等の電力機器においては、冷媒である液体窒素をサブクール状態(その圧力における飽和温度以下に冷却された状態)にしておくことが、線材の特性と絶縁特性の向上につながりメリットがある(特許文献1)。その際、液体窒素を外部の冷却装置で冷却する必要がある。例えば液体窒素温度以下に冷却が可能な単段の蓄冷式冷凍機を用いる発明が開示されている(特許文献2)。
従来の低温装置は、図10に示すように冷凍機1の最下部の冷却ステージ1aから下側に冷却ヘッド4を接続しているため、冷媒液10を冷却する熱負荷がある場合、最も低い温度となる箇所は冷却ヘッド4の上部となる。一方、冷媒液10は、鉛直方向で上側ほど低密度の液体、つまり温度の高い液体となり、冷却ヘッド4の温度勾配とは逆方向となる。したがって図11に示すように液面に近いところで冷却ヘッド4と冷媒液10に大きな温度差がつき、冷却ヘッド4の下部では冷媒液10と冷却ヘッド4の温度差は小さくなる。冷却ヘッド4での熱流束は温度差に比例するため、冷却ヘッド4の全体にわたって冷媒液10を冷却することはできず、冷却ステージ1aに近い部分で集中的に冷却している。つまり冷却ヘッド4の下部は冷却にあまり寄与していない。
特開平10−325661号公報 特開2001−289546号公報
サブクール低温装置に求められる特性としては、冷却効率、液面の安定性および簡便性が挙げられる。冷却効率に関しては、冷凍機の性能を十分に生かして冷媒液を冷却する能力を持つことが要求される。一般的に冷凍機の冷凍効率は冷却ステージが低温になるほど低下するため、冷凍機と冷媒液の間を結ぶ伝熱部材で生じる温度差が大きいと、装置としての冷却効率が低下する。
液面の安定性に関しては、次のような課題がある。ガス相がない冷媒液のみが充填された容器では、液面がないため冷媒液全体を冷却、加圧することで温度一定のサブクール状態を安定して得ることができる。しかし、ガス相を有する容器では液面が存在し、ガスと冷媒液が同じ組成のものであるときには、液面温度はその圧力での飽和温度となる。例えば窒素の場合、容器内を大気圧に保った場合の温度は77Kとなる。冷媒液内部を外部冷却装置で冷却した場合、冷媒液の内部と液面には温度差が生じ、温度勾配をもつ層が液面近くにできる。重力下においては、低温ほど液体の密度は高くなるため低温の冷媒液は下方に下がり、高温の冷媒液は液面近くに上がり、安定する。そこで、冷媒液に擾乱(例えば熱負荷を与えて部分的に温度上昇させたり、動的に揺らす等)を与えた場合、安定した温度勾配層が乱され、液面に飽和温度以下のサブクールの冷媒液層が現われる。そのため、液面でガスの凝縮が起こり、容器内の圧力が低下する。
簡便性に関しては、冷凍機の設置について、開口部が広い容器にそのまま冷凍機を取り付ける構成と、密閉した容器の一部を冷却する構成、および冷凍機を容器の外部に設け、循環ポンプ、加圧等で冷媒液を容器に移送する構成がある。第1の構成は、冷凍機の取り付けおよび容器の構成が簡便であり、被冷却機器を容器の中に設けるのも容易である。しかし、液面が広くなり、前記温度勾配層の擾乱による影響や、開口部からの熱侵入量の問題がある。これに対してあとの2つの構成は、液面を持つ空間を擾乱の起きにくい、例えば圧力調整用の別容器の一箇所に集中させることが可能であるため、擾乱に対する圧力の安定性がよい。しかし、装置が複雑となり、被冷却体の取り付けも比較的複雑となる。
そこで本発明は、簡易な構成によって冷媒液のサブクール状態を容易に達成し安定的に維持することのできるサブクール低温装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のサブクール低温装置は、冷媒液を貯留する低温容器と、前記低温容器に取り付けられ前記低温容器内に貫入する冷却ステージを備えた冷凍機と、前記冷媒液の液面下において前記冷却ステージの下端に取り付けられ外側面が上方向に伸びる方向に接続され前記冷媒液の温度勾配と同じ方向の温度勾配を有する冷却ヘッドとを備えている構成とする。
また、本発明のサブクール低温装置は、冷媒液を貯留する冷媒保持容器と、前記冷媒保持容器を包囲する断熱真空容器と、前記断熱真空容器に取り付けられ断熱真空容器に貫入する冷却ステージを備えた冷凍機と、前記冷媒保持容器と前記断熱真空容器の間の空間において前記冷媒保持容器に接続され前記冷媒液を通流させて前記冷却ステージによって冷却される配管とを備え、前記配管の前記冷媒保持容器に接続された部分と前記冷却ステージに接続された部分の間に前記冷凍機の停止時に前記冷媒保持容器と冷却に関与する前記配管を切り離すために閉じられるバルブが設けられている構成とする。
さらにまた本発明のサブクール低温装置は、冷媒液を貯留する低温容器と、冷凍機の冷却ステージが貫入された断熱容器と、前記冷却ステージに取り付けられた熱交換部に接続されて前記断熱容器と前記低温容器の間に前記冷媒液よりも沸点の低い冷媒を循環させる冷媒配管と、前記低温容器内において前記冷媒配管に接続され前記冷媒液を冷却する熱交換部とを備えている構成とする。
本発明によれば、簡易な構成によって冷媒液のサブクール状態を容易に達成し安定的に維持することのできるサブクール低温装置を提供することができる。
以下、本発明に係るサブクール低温装置の第1ないし第3の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の第1の実施例のサブクール低温装置を図1に示す。すなわち、断熱真空容器3aと冷媒保持容器3bからなる低温容器2には、冷媒液10の蒸発を低減あるいはゼロとするための冷凍機1が取り付けられている。冷凍機1は通常、メンテナンス性等を考慮して低温容器2の上部から取り付けられ、下側に設けられた冷却ステージ1aに取り付けられた冷却ヘッド4aで冷媒液10を冷却する。冷却ヘッド4aは上部が開いた容器またはかごの形状をなし、底部が冷却ステージ1aの下端に取り付けられている。すなわち、冷却ヘッド4aは、冷却ステージ1aの下端に取り付けられ、外側面が上方向に伸びる方向に取り付けられている。
この構成によれば、図2に示すように、冷却ヘッド4aの温度勾配の方向と、冷媒液10の液面近くでの温度勾配の方向が一致し、各位置の冷却ヘッド4aと冷媒液10の間でほぼ同じ温度差となるため、冷却ヘッド4a全体が冷媒液10の冷却に寄与し、均一的で効率の良い伝熱特性が得られる。こうして冷媒液10への伝熱特性を含めた冷却の効率向上を図ることができ、さらに、冷媒液10の液面近くの温度勾配の安定化にもつながり、熱負荷変動における冷媒液10の擾乱による低温容器2内の圧力異常(急激な低下、増加等)を防ぐことができる。
図3は、本実施の形態のサブクール低温装置の第2の実施例を示す。本実施例は、冷却ヘッド4bが冷媒保持容器3bの外側に接続されている構成であり、冷凍機1は、冷媒液10を直接冷却しておらず、冷媒液10を保持している容器3bの側面から冷却している。この構成では低温容器2の上部に冷凍機1がないため、被冷却機器20を冷却する空間が増加するメリットがある。この実施例においても、冷媒保持容器3bの側面に取り付けた冷却ヘッド4bの下部を冷却ステージ1aに取り付けることで、冷却ヘッド4bの温度勾配と冷媒液10の温度勾配が同じ方向となり、第1の実施例と同様の効果が得られる。
なお本実施例は、冷凍機1を断熱真空容器3aの側面に取り付けた構成としてもよい。このようにすると、低温容器2の上面に高電圧が加わり上面にアクセスすることが危険なサブクール低温装置においても、冷凍機1のメンテナンス等を安全に行うことができる。
図4は、本実施の形態の第3の実施例を示す。本実施例は、冷媒液10に浸漬するフィン5を備えた冷却ヘッド4cを冷却ステージ1aの先端に取り付けた構成である。本実施例によれば、冷媒液10の温度勾配を持つ層が内的な擾乱に対し安定し、冷媒液10内の擾乱による低温容器2内の圧力の不安定性を抑えることができる。
図5は、本実施の形態の第4の実施例を示す。本実施例は第1の実施例(図1)に液面高さ調節装置である埋め子6を追加した構成である。埋め子6の高さはハンドル7によって低温容器2の外から変化させることができる。第1および第3の実施例では、冷媒液10をある温度からより低温に冷却する際、冷媒液10の密度の温度依存性により、体積が減少していくため、液面が低下していく。したがって冷却ヘッド4a,4cと液面の相対的な位置関係もずれていく。そのため、効果的に冷媒液10を冷却できる位置を維持できない。本実施例では、外部から上下移動できる埋め子6により、液面を上下に制御でき、効果的な冷却を行うことができる。通常、液面近くの温度勾配層は、被冷却機器20を設置する場所ではないため、これにより被冷却機器20の設置空間を減少させることはない。
なお、本実施の形態においては、冷媒液10を直接冷却する冷却ヘッド4a,4cの部材として、高電圧に対応したサファイア等の部材を使用し、あるいは、表面の形状に電界集中を緩和するための処置を施した構成とするのがよい。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態のサブクール低温装置は、冷媒保持容器3bにバルブ9a,9b付きの配管8を接続し、配管8に冷却ヘッド4dを接続した構成である。冷凍機1による冷媒液10の冷却を、冷媒保持容器3bから分岐し元に戻る配管8の一部で行う。配管8の一部で冷却された冷媒液10は、密度が高くなるため下方向に降下し、元の容器3bに戻る(自然対流)ため、冷媒液10の冷却を行うことができる。
本実施の形態のメリットは特に、配管8にバルブ9a,9bを設けることによって得られる。すなわち、図6のように、配管8の2箇所にバルブ9a,9bを設けることで、冷媒保持容器3bと、冷却に関与する配管8を切り離すことができる。2つのバルブ9a,9bを閉じ、配管8側(冷凍機1側)の配管内の冷媒液を何らかの方法で排除すると冷凍機1と冷媒保持容器3bとは熱的に分離される。特に配管8をステンレス等の熱伝導率の低い材料のものとした場合は断熱特性が増す。切離した後に冷凍機1を停止すれば、冷媒液10に大きな熱負荷をかけず、冷凍機1の冷却ステージ1aを室温にまで昇温させることが可能で、冷凍機1のメンテナンスを短時間に行うことができる。このような構成でない場合には、冷媒保持容器3b内の冷媒液10をすべて排除して温度を上げなければ冷凍機1のメンテナンスはできないため、メンテナンスに必要な時間が増大し、かつ、被冷却機器20の温度も上昇するため、例えば超電導コイル等では通電ができず、装置の稼動を停止せざるを得ない。
また、本実施の形態では、冷凍機1の設置方向を、低温容器2の側面側から取り付けることができるため、例えば低温容器2の上面に高電圧が加わる構成で上面にアクセスすることが危険な装置においても、危険な場所から離れた位置に冷凍機1が設置できるためメンテナンス性が良い。
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態の第1の実施例を示す。この実施例では冷凍機1は、被冷却機器20を収容する低温容器2とは別の断熱真空容器15内に設置し、その間を、断熱配管14で往復接続している。断熱配管14内には冷媒配管11が設けられ、冷媒配管11内には冷媒保持容器3b内の冷媒液10よりも沸点の低い冷媒が気体あるいは超臨界状態として封入されている。冷媒配管11の冷凍機1側には冷却ヘッド4との熱交換部13が設けられ、冷媒保持容器3b側には冷媒液10に浸漬した配管により熱交換部13aが構成されている。また、冷媒配管11の一部に、冷媒の循環を促進する低温循環ポンプ12が設置されている。本実施例によれば、冷凍機1を低温容器2から離れた位置に置くことができ、メンテナンス性に優れたサブクール低温装置を提供することができる。
図8は、本発明の第3の実施の形態の第2の実施例を示す。本実施例は、冷媒液10を貯留する冷媒保持容器3bの外側に冷媒配管11を巻き付けて熱交換部13bを構成している。巻き付け方法としては、冷凍機1からの最も温度の低い冷媒の配管を冷媒保持容器3bの下部側から巻き、冷媒液10を冷却しながら温度上昇する冷媒配管11を順次冷媒保持容器3bの上方向に巻き付けていく構成とする。このようにすると、冷媒保持容器3b側面における冷媒配管11の温度勾配と冷媒液10の温度勾配とが一致し、冷媒液10を効率的に冷却し安定性を向上することができる。
図9は、本発明の第3の実施の形態の第3実施例を示す。本実施例は、冷媒配管11上の循環ポンプ17を室温部に設け、室温の配管と低温の配管の間に向流熱交換器16を設けた構成である。本実施例ではメンテナンスの必要な循環ポンプ17を室温部に置くことによって、装置のメンテナンス性が向上する。
本発明の第1の実施の形態の第1の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第1の実施の形態の第1の実施例のサブクール低温装置の冷却作用を説明するグラフ。 本発明の第1の実施の形態の第2の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第1の実施の形態の第3の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第1の実施の形態の第4の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第2の実施の形態のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第3の実施の形態の第1の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第3の実施の形態の第2の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 本発明の第3の実施の形態の第3の実施例のサブクール低温装置の構成を示す断面図。 従来のサブクール低温装置を示す断面図。 従来のサブクール低温装置の冷却作用を説明するグラフ。
符号の説明
1…冷凍機、1a…冷却ステージ、2…低温容器、3a…断熱真空容器、3b…冷媒保持容器、4,4a,4b,4c,4d…冷却ヘッド、5…フィン、6…埋め子、7…ハンドル、8…配管、9a,9b…バルブ、10…冷媒液、11…冷媒配管、12…低温循環ポンプ、13,13a,13b…熱交換部、14…断熱配管、15…断熱真空容器、16…向流熱交換器、17…室温循環ポンプ、20…被冷却機器。

Claims (10)

  1. 冷媒液を貯留する低温容器と、前記低温容器に取り付けられ前記低温容器内に貫入する冷却ステージを備えた冷凍機と、前記冷媒液の液面下において前記冷却ステージの下端に取り付けられ外側面が上方向に伸びる方向に接続され前記冷媒液の温度勾配と同じ方向の温度勾配を有する冷却ヘッドとを備えていることを特徴とするサブクール低温装置。
  2. 前記冷却ヘッドは開口を有する容器またはかごの形状をなし、前記容器またはかごの底部が前記冷却ステージに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のサブクール低温装置。
  3. 前記冷却ヘッドは、熱伝達を促進するフィンを備えていることを特徴とする請求項1記載のサブクール低温装置。
  4. 前記冷媒液に浸漬されて鉛直方向に移動し前記冷媒液の液面の高さを調整する液面高さ調整手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のサブクール低温装置。
  5. 冷媒液を貯留する冷媒保持容器と、前記冷媒保持容器を包囲する断熱真空容器と、前記断熱真空容器に取り付けられ断熱真空容器に貫入する冷却ステージを備えた冷凍機と、前記冷媒保持容器と前記断熱真空容器の間の空間において前記冷媒保持容器に接続され前記冷媒液を通流させて前記冷却ステージによって冷却される配管とを備え、
    前記配管の前記冷媒保持容器に接続された部分と前記冷却ステージに接続された部分の間に前記冷凍機の停止時に前記冷媒保持容器と冷却に関与する前記配管を切り離すために閉じられるバルブが設けられていることを特徴とするサブクール低温装置。
  6. 前記冷凍機は前記断熱真空容器の側面に取り付けられていることを特徴とする請求項5記載のサブクール低温装置。
  7. 冷媒液を貯留する低温容器と、冷凍機の冷却ステージが貫入された断熱容器と、前記冷却ステージに取り付けられた熱交換部に接続されて前記断熱容器と前記低温容器の間に前記冷媒液よりも沸点の低い冷媒を循環させる冷媒配管と、前記低温容器内において前記冷媒配管に接続され前記冷媒液を冷却する熱交換部とを備えていることを特徴とするサブクール低温装置。
  8. 前記冷媒液を冷却する熱交換部は前記冷媒液に浸漬されていることを特徴とする請求項記載のサブクール低温装置。
  9. 前記冷媒液を冷却する熱交換部は、前記低温容器内において前記冷媒液を貯留する冷媒保持容器に結合されていることを特徴とする請求項記載のサブクール低温装置。
  10. 前記冷媒配管上に冷媒循環用のポンプを備えていることを特徴とする請求項記載のサブクール低温装置。
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