JP4699659B2 - 多相整流装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各相の単相整流器がスター結線された回路構成の多相整流装置における入力電圧バランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6、図7及び図8は従来の三相3線式整流装置のブロック図及びその説明用のブロック図で、先ず図7において21、22、23が単相整流器で、24、25、26がコンバータである。このように単相整流器をスター結線することにより、各単相整流器の入力電圧は線間電圧の1/√3となる。例えばAC400V入力の場合、各単相整流器の入力電圧は約230Vとなり、単相整流器の設計としては200V系のものを流用することが可能になるメリットがある。
【0003】
ところが、このように単純に単相整流器をスター結線しただけでは、入力電圧がアンバランスになる問題が発生し、入力電圧が1/√3になるメリットは消えてしまう。以下にその理由を説明する。
【0004】
出力電圧を一定の電圧にする安定化電源を一般化すると、図8の様に描くことができる。つまり、出力電圧Voに応じて入力から見たインピーダンスZiを変化させ、それによって決まる入力エネルギーを内部で変換して出力するブラックボックスである。
その動作は以下のように説明することができる。すなわち、出力電圧が所定の電圧より下がった場合、安定化電源は入力から見たインピーダンスZiを小さくして、より多くのエネルギーを通過させることにより、出力電圧Voを上げる作用をする。逆に出力電圧が所定の電圧より上がった場合、安定化電源は入力から見たインピーダンスZiを大きくして、通過するエネルギーを減らすことにより、出力電圧を下げる作用をする。
【0005】
図6は単相整流器を安定化電源として一般化したものである。つまり、自分の出力電圧に応じて入力から見たインピーダンスZinを変化させるブラックボックスとして考える。話を単純にするため、コンバータの入力から見たインピーダンスZicは常に一定であるとする。これは理想状態である。また、各単相整流器の特性には差がない、すなわちZiu=f(Vou)、Ziv=f(Vov)、Ziw=f(Vow)の各関数は同一であると仮定する。これも理想状態である。
【0006】
すると、各単相整流器の出力電圧Vou、Vov、Vowが等しければ、それぞれの入力から見たインピーダンスZiu、Ziv、Ziwは全て等しくなる。 Ziu、Ziv、Ziwが全て等しければ、各入力電圧Viu、Viv、Viwもまた全て等しいことは自明である。
【0007】
さて、この理想状態からわずかにバランスが崩れた場合、例えば、単相整流器11の出力電圧Vouがわずかに下がった場合について考えてみると、上記段落番号[0004]で説明したように、出力電圧を安定化させるために、入力から見たインピーダンスZiuはわずかに小さくなる。すると、各入力電圧Viu、Viv、Viwはインピーダンス比で決まるのであるから、Viuはわずかに下がる事になる。
この単相整流器を通過するエネルギーはViu2/Ziuであるから、Viuが下がれば通過するエネルギーは減ることになる。通過するエネルギーが減れば、出力電圧Vouは下がってしまう。するとまたZiuが小さくなり、Viuが下がってVouも下がり…という動作を繰り返す。すなわち正帰還がかかって、入力電圧Viuは限界まで下がってしまうことになる。
【0008】
つまり図6の回路は本質的に不安定であり、外乱でわずかでも出力電圧が変動すれば、その変動が増幅される性質を持っている。したがって、いくら単相整流器やコンバータの特性をそろえたとしても、現実には入力電圧がバランスした状態を保つことは不可能である。
このように、単相整流器を単純に各相に設けただけでは、入力電圧がアンバランスになる問題を回避できない。
【0009】
図9、図10は上記ブロック図(図6)の単相整流器として昇圧チョッパ型アクティブフィルタを使用した従来回路図及びそのシミュレーション特性図である。各コンバータは、入力から見たインピーダンスが一定であると仮定して、抵抗127、128、129で代用している。
ここで抵抗127、128、129を等しくすると、段落番号0006で説明したように各単相整流器の入力電圧はバランスする。そこで、コンバータの特性がばらついた場合を想定して、抵抗127を1%大きくした。
【0010】
図10は抵抗127を1%大きくした場合のシミュレーション結果である。
図10(a)の波形は各単相整流器の入力電圧波形をあらわす。即ち電圧計76、77、78の波形である。図10(a)から明らかなように、各単相整流器の入力電圧は完全にアンバランスになっている。電圧がほぼゼロになっているのが、抵抗128の相の入力電圧であり、他の相はそのぶん本来よりも高い電圧となっている。
図10(b)の波形は各単相整流器の出力電圧波形をあらわす。即ち電圧計130、131、132の波形である。抵抗128の相は低く、他の相は高くなっている。出力電圧設定は400Vであるが、高くなっている相はそれを大きく超えている。
又図10(c)の波形は各相の線電流波形をあらわす。即ち電流計73、74、75の波形である。アクティブフィルタとしての働きはなく、コンデンサインプットに近い波形となっている。
【0011】
この入力電圧アンバランスを解決する従来の手段として、特開平6-217551号公報に開示された技術では負荷分配制御装置30(図5)を設ける事でその対策としている。負荷分配制御装置30が各単相整流器の負荷を調整することにより、各入力電圧をバランスさせている。
【0012】
又、他の手段として、特許協力条約に基づく国際公開に係るWO94/27357に開示された技術では抵抗性の素子で仮想中性点Nを作り、各単相整流器の接続点と仮想中性点間の電圧がゼロになるような制御回路を設けることで、その対策としている。各単相整流器の接続点と仮想中性点が等しいという事はすなわちバランスしているという事である。
【0013】
その他手段として、特許協力条約に基づく国際公開に係るWO99/57800に開示された技術では人工的な中性点を作り出す手段A2(図3)を作り、各単相整流器の接続点NA2を人工的な中性点に接続することで、その対策としている。人工的な中性点を作り出す手段は系統内の磁束のベクトル和がゼロとなるように構成された磁気部品と規定されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、先行特許のように特別な回路を付加することなく、本質的な不安定性を解消することによって、各単相整流器の入力電圧をバランスさせる手段を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、二相あるいは更に多い相の系統に使われる多相整流装置で、前記装置は第一、第二の入力端子を持つ単相整流器を各相に持ち、前記単相整流器の第一の入力端子はそれぞれの相に接続され、前記単相整流器の第二の入力端子は互いに接続され、前記単相整流器の出力を入力とするコンバータを各相に持つ多相整流装置において、前記各単相整流器の出力は互いに接続されず、前記各相の単相整流器は任意の一つの単相整流器の出力電圧と、それぞれの入力電圧を入力信号に含む制御手段から生成された異なる駆動信号で駆動され、前記コンバータは共通の駆動信号で駆動される事を特徴とする。
【0017】
又、上記の課題を解決するための請求項の発明は、単相整流器が昇圧チョッパ型アクティブフィルタであることを特徴とする。又、上記の課題を解決するための請求項の発明は、各相のコンバータが共通の制御信号で制御される事を特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1、図2、図3は本発明の一実施例を示す多相整流装置のブロック図で、図1において単相整流器41、42、43は入力から見たインピーダンスZiu、Ziv、Ziwを自分の出力電圧ではなく、一つの単相整流器の出力電圧、即ちVouを共通制御信号として制御する。又、コンバータ44、45及び46は安定化電源として、これ又共通制御信号Voにより夫々制御される。
こうすれば、各単相整流器の入力から見たインピーダンスは常に一致する。各入力電圧Viu、Viv、Viwはインピーダンス比で決まるので、これも常に等しくなり、バランスが崩れる事はない。
これで上記課題は解決されるが、Vou以外の単相整流器出力は制御されない為、電圧値が不定となる問題がある。以下、この問題について説明する。
【0019】
各コンバータの特性には差がない、すなわちZicu=g(Vo)、Zicv=g(Vo)、Zicw=g(Vo)の各関数は同一であると仮定する。すると、各コンバータの入力から見たインピーダンスZicu、Zicv、Zicwは全て等しくなる。各単相整流器の入力から見たインピーダンスZiu、Ziv、Ziwは常に等しいのであるから、各入力電圧Viu、Viv、Viwも等しい。単相整流器を通過するエネルギーはVi2/Ziであるから、これも全て等しい。等しいエネルギーが、等しい入力から見たインピーダンスZicu、Zicv、Zicwを持つ各コンバータを通過するのであるから、その入力電圧すなわち各単相整流器の出力電圧Vou、Vov、Vowもまた等しくなる。
【0020】
ここで、各単相整流器の出力電圧Vou、Vov、Vowが等しい状態からわずかにバランスが崩れた場合にどうなるかを考える。例えば、制御していない相の出力電圧Vovがわずかに下がった場合について考えてみると、この相のコンバータの通過エネルギーVov2/Zcivは他よりもわずかに下がることになる。一方、各単相整流器の通過エネルギーは各入力から見たインビーダンスZiu、Ziv、Ziwと各入力電圧Viu、Viv、Viwが等しいことから常に等しい。するとこの相のコンバータには通過できなかったエネルギーが貯まる事になり、入力電圧が上昇する。コンバ一タの入力電圧はすなわち単相整流器の出力電圧Vovであるから、つまり出力電圧Vovが下がるとそれを戻す作用があることがわかる。
出力電圧Vovがわずかに上がった場合は、コンバータの通過エネルギーが増え、エネルギーが不足するため、入力電圧が下がる事になり、やはり戻す作用が存在する。
【0021】
つまり、各コンバータの出力電圧制御を共通化する事により、各コンバータの入力電圧すなわち各単相整流器の出力電圧Vou、Vov、Vowは等しくなる。それに加えて、バランスが崩れたときに自動的に元に戻す作用がある。言い換えれば、本質的に安定である。
したがって、ある一つの単相整流器出力電圧しか制御しない為、他の単相整流器出力電圧が不定となる問題はこれで解決する。
【0022】
図2は各単相整流器51,52,53を共通の制御信号で制御し、各単相整流器出力電圧Vou,Vov,Vowの最大値を制御信号としている。最大値を例としてあげたが、各単相整流器出力電圧の最小値や平均値が重要になる応用例の場合は、それぞれ最小値、平均値で制御すればよい。
【0023】
図3は本発明を三相以外の任意の相数に適用した実施例である。従来の様に各単相整流器が自分の出力電圧を個別に制御していると、一度バランスが崩れた際に正帰還がかかって更にバランスが崩れる事、各単相整流器を共通の制御信号で制御すればその入力から見たインピーダンスは常に等しく、従って入力電圧がバランスする事、各コンバータを共通の制御信号で制御すれば、その入力電圧がバランスする事から任意の相数でも同様に適用できる。
【0024】
以上スター結線された多相整流装置について中性点がない場合について説明してきたが、中性点がある場合、各単相整流器の入力には直接入力電圧が印加されるので、これまで説明したような電圧バランスの問題は発生しない。しかしながら、各単相整流器の入力から見たインピーダンスがアンバランスになると、中性線に電流が流れる問題がある。
本発明は各単相整流器の入力から見たインピーダンスをバランスさせるため、中性線電流の低減に効果がある。したがって、中性点がある場合でも本発明は有効である。
【0025】
図4は本発明の実施例回路図、図5はそのシミュレーション特性図である。
昇圧チョッパ型アクティブフィルタの制御回路は、よく知られているように基準電圧と出力電圧を誤差増幅し、その結果と入力電圧波形を掛け算し、その結果と入力電流波形が等しくなるように制御している。
ここで入力電流の制御は波形を正弦波に近づけて力率を改善するためのものであり、単相整流器の入力から見たインピーダンスとは関係がない。入力から見たインピーダンスの大小を決めるのは出力電圧の制御部なので、この部分を各相共通にしている。
【0026】
図5において、シミュレーションは抵抗127を前記同様に他より1%大きくして行った結果である。図5(a)の波形は各単相整流器の入力電圧波形をあらわす。即ち電圧計76、77、78の波形である。各単相整流器の入力電圧はバランスしている。
図5(b)の波形は各単相整流器の出力電圧波形をあらわす。即ち電圧計130、131、132の波形である。400Vに設定したが、その通りの電圧が出ており、正常である。
図5(c)波形は各相の線電流波形をあらわす。即ち電流計73、74、75の波形である。アクティブフィルタとして正常に働いていることがわかる。
【0027】
本発明を先行特許と比較した場合、特開平6-217551号公報に開示された技術の様に特別な「負荷分配制御装置」を設けず、自然にバランスさせるので、回路が単純になる。また本質的に不安定な回路に制御をかけて安定にしているわけではなく、本質的に安定なので制御が容易である。又、前述のWO94/27357に開示された技術の様に各相整流器の接続点の電位を制御しなくても、自然に仮想中性点と等しくなる。仮想中性点との電位差を検出して、各相用の制御信号を作り出す複雑な回路は不要で、回路は単純になる。更に前述のWO99/57800に開示された技術の様に「人工的な中性点を作り出す手段」を設ける必要はない。これは商用トランスなので大きく、重く、高価だがこれが不要である。
【0028】
【発明の効果】
本発明を使用する事で、スター結線された各単相整流器の入力から見たインピーダンスをバランスさせることが可能になる。これにより、中性点がない場合は各単相整流器の入力電圧がバランスする効果が得られ、中性点がある場合は中性線電流を低減する効果が得られる。
各単相整流器の入力電圧がバランスすれば、入力電圧は線間電圧の1/√3となる。例えばAC400V入力の場合、各単相整流器の入力電圧は約230Vとなり、単相整流器の設計としては200V系のものを流用することが可能になるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る多相整流装置の構成(一つの単相整流器の出力電圧Vouを共通制御信号とした場合)を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施例に係る多相整流装置の構成(各単相整流器の出力電圧Vou,Vov,Vowの最大値を共通制御信号とした場合)を示すブロック図である。
【図3】 本発明の一実施例に係る多相整流装置の構成(任意の相数に適用した場合)を示すブロック図である。
【図4】 本発明の一実施例に係る多相整流装置の構成例を示す回路図である。
【図5】 図4に示す多相整流装置のシミュレーション特性図である。
【図6】 従来例に係る多相整流装置の構成(安定化電源として一般化した場合)を示すブロック図である。
【図7】 従来例に係る多相整流装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 安定化電源の動作説明図である。
【図9】 従来例に係る多相整流装置の構成を示す回路図である。
【図10】 図9に示す多相整流装置のシミュレーション特性図である。
【符号の説明】
11、12、13 単相整流器
14、15、16 コンバータ
21、22、23 単相整流器
24、25、26 コンバータ
31 安定化電源
41、42、43 単相整流器
44、45、46 コンバータ
51、52、53 単相整流器
54、55、56 コンバータ
61、62、63 単相整流器
64、65、66 コンバータ
70、71、72 交流電圧源
73、74、75 電流計
76、77、78 電圧計
79、80、81 電圧検出器
82、83、84 絶対値回路
85、86、87 掛算器
88、89、90 加算器
91、92、93 積分器
94、95、96 電圧リミッタ
97、98、99 積分器
100、101、102 加算器
103、104、105 直流電圧源
106、107、108 三角波発生器
109、110、111 比較器
112、113、114 全波整流素子
115、116、117 インダクタ
118、119、120 電流検出器
121、122、123 整流素子
124、125、126 コンデンサ
127、128、129 抵抗
130、131、132 電圧計
133、134、135 電圧検出器
136、137、138 コンデンサ
139、140、141 駆動素子
142、143、144 スイッチ素子

Claims (3)

  1. 二相あるいは更に多い相の系統に使われる多相整流装置で、前記装置は第一、第二の入力端子を持つ単相整流器を各相に持ち、前記単相整流器の第一の入力端子はそれぞれの相に接続され、前記単相整流器の第二の入力端子は互いに接続され、前記単相整流器の出力を入力とするコンバータを各相に持つ多相整流装置において、前記各単相整流器の出力は互いに接続されず、前記各相の単相整流器は任意の一つの単相整流器の出力電圧と、それぞれの入力電圧を入力信号に含む制御手段から生成された異なる駆動信号で駆動され、前記コンバータは共通の駆動信号で駆動される事を特徴とする多相整流装置。
  2. 単相整流器が昇圧チョッパ型アクティブフィルタであることを特徴とする請求項1の多相整流装置。
  3. 各相のコンバータは共通の制御信号で制御されることを特徴とする請求項1の多相整流装置。
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