JP4705209B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法 - Google Patents
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)ペレットの加熱乾燥前の処理方法に関し、更に詳しくは成形性(フィッシュアイの抑制、着色の抑制、トルク変動の抑制)ならびに乾燥時の耐ブロッキング性に優れたEVOHを得ることのできるEVOHペレットの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、EVOHはその透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、或いはボトル等の容器等に成形されて利用されている。
かかるEVOHは、エチレンと酢酸ビニルを共重合してエチレン−酢酸ビニル共重合体を得て、該共重合体をケン化することにより得られるものであるが、通常は、ケン化後のEVOH溶液(EVOHの水−アルコール混合溶液)を凝固液中にストランド状に押し出した後にペレット状にカットされて、その後水洗され、加熱乾燥されてEVOHペレットとして製品化されたり、必要に応じて水洗後に各種の水溶液に浸せき処理され、加熱乾燥されてEVOHペレットとして製品化されているのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が上記の乾燥工程において、各種の方法を試みたところ、加熱乾燥の前に特定の処理を施すことにより、フィッシュアイの少なく成形性に優れたEVOHペレットが得られることが判明した。
すなわち、本発明は、EVOHの成形性の向上(フィッシュアイの抑制、着色の抑制およびトルク変動の抑制)ならびに加熱乾燥工程でのブロッキング防止を目的としたEVOHペレットの加熱乾燥工程での(前)処理方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、EVOHペレットの乾燥工程について鋭意研究した結果、EVOHペレットを水または水溶液と接触させた後に加熱乾燥を行うに当たって、該加熱乾燥前のEVOHペレットの含水率を物理的に1〜10重量%の水を除去して40〜70重量%に調整することにより上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明に用いられるEVOH(ペレット)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであり、特に原料となるエチレン−酢酸ビニル共重合体は特に限定されないが、得られるEVOHの要求性能を考慮すれば、エチレン含有量が20〜50モル%(更には25〜50モル%、特には27〜48モル%)が好ましく、かかるエチレン含有量が20モル%未満では得られるEVOHの高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下し、逆に60モル%を越えると得られるEVOHの充分なガスバリア性が得られず好ましくない。
【0006】
また、かかるエチレン−酢酸ビニル共重合体はエチレン、酢酸ビニル以外に、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合成分として含有しても差支えない。該単量体としては、例えばプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0007】
本発明で用いられるEVOHは、上記の如きエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであるが、かかるケン化反応は、アルカリ触媒の共存下に実施され、該アルカリ触媒としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のアルカリ触媒によるケン化反応に使用される従来公知の触媒をそのまま使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属アルコラート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,10]ウンデセン−7(DBU)で代表される強塩基性アミン、更には炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金属塩などが挙げられるが、取り扱いの容易さ、触媒コスト等から水酸化ナトリウムの使用が好ましい。
【0008】
触媒の使用量は必要ケン化度、反応温度等により異なるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の残存酢酸基に対して0.05当量以下が用いられ、好ましくは0.03当量以下である。又アルカリ触媒の替わりに、塩酸、硫酸等の酸触媒を用いることも可能である。
【0009】
ケン化に当たっては、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルコール又はアルコール含有媒体中に通常20〜60重量%程度の濃度になる如く溶解し、アルカリ触媒、あるいは酸触媒を添加して40〜140℃の温度で反応せしめる。
【0010】
該溶液温度においてEVOHが析出しない様に配慮すれば、該EVOHの濃度に特に制限はないが、通常は該EVOHの濃度が10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%となるようにすれば良い。
該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが用いられるが、好ましくはメタノールが用いられる。
【0011】
かかるケン化により得られるEVOHの酢酸ビニル成分のケン化度は70〜100モル%とすることが好ましく、更にはケン化度80〜100モル%である。該ケン化度が70モル%未満の場合、該EVOHを溶融成形する場合の熱安定性が悪くなり好ましくない。
【0012】
次に上記で得られたEVOHのアルコール溶液に水を加えてEVOHの水−アルコール混合溶液とした後、該混合溶液が凝固液中に供され、そこでEVOHが析出(凝固)されるのであるが、かかる凝固液としては、水やアルコールが用いられ、更には、EVOHの水−アルコール混合溶液に飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレフィン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)などの滑剤や、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)等を配合しても良い。
また、該混合溶液を凝固液と接触させる温度は−10〜40℃が好ましく、更には0〜20℃で、なるべく低温での操作が樹脂損失を少なく出来効果的である。
【0013】
上記の操作によりEVOHの水−アルコール混合溶液は凝固液中で析出されてEVOHとなるのであるが、かかる析出に当たっては、通常、任意の形状を有するノズルにより凝固液中にストランド状に押出されて析出させて、その後カッティングされてEVOHのペレットが得られるのである。
【0014】
かかるノズルの形状としては、特に限定されないが、円筒形状が好ましく、内径としては、0.1〜10cm、好ましくは0.2〜5.0cmである。
ノズルより押し出されるストランドは必ずしも一本である必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押出し可能である。
【0015】
かくして、ストランド状に押し出されたEVOHは凝固が充分進んでから切断され、EVOHのペレットが得られるのであるが、通常該ペレットは水洗または水溶液に浸せき処理される。
かかる水洗の条件としては、ペレットを温度10〜60℃の水槽中で水洗する。かかる水洗により、EVOH中のオリゴマーや不純物が除去され、特に酢酸ナトリウムは0.5重量%以下まで除去される。
【0016】
一方、水溶液に浸せき処理されるときの水溶液としては、酸またはその金属塩の水溶液が好ましく、かかる酸が、酢酸、ホウ酸、リン酸のいずれかで、その塩がこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の少なくとも1種以上であることが更に好ましい。
【0017】
かかる酸としては、具体的に酢酸、プロピオン酸、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸等を挙げることができ、好適には酢酸、ホウ酸、リン酸が用いられ、また、その塩としては、上記の酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられ、具体的には、酢酸塩としては酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸銅、酢酸コバルト、酢酸亜鉛などが挙げられ、好適には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが用いられ、ホウ酸塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が用いられ、またリン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウムなどが挙げられ、好適にはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウムが用いられる。
【0018】
かかる酸またはその金属塩の水溶液中の酸またはその金属塩の含有量は、その種類によっても一概に言えないが、例えば酢酸(塩)の時は0.001〜1重量%(更には0.01〜0.5重量%)程度が好ましく、ホウ酸(塩)の時は0.001〜1重量%(更には0.002〜0.2重量%)程度が好ましく、また、リン酸(塩)の時は0.0001〜0.5重量%(更には0.001〜0.1重量%)程度が好ましく、これらの含有量が過少の時は所定量の酸やその金属塩をEVOH中に含有させることが困難となり、逆に過多の時は得られる成形物の外観が悪化することがあり好ましくない。
【0019】
かくしてかかる水溶液中に上記のEVOHペレットが浸せきされて、酸やその金属塩が含有されるのであるが、これらの最終的な含有量も酸や金属塩の種類によっても一概に言えないが、例えば酢酸(塩)の時は10〜500ppm(更には20〜300ppm)(金属塩の時は金属換算)程度が好ましく、ホウ酸(塩)の時は10〜10000ppm(更には20〜1000ppm)(ホウ素換算)程度が好ましく、また、リン酸(塩)の時は5〜500ppm(更には20〜300ppm)(リン酸根換算)程度が好ましく、これらの含有量が過少の時は溶融成形時のロングラン性に劣ることがあり、逆に過多の時は得られるEVOHの熱安定性が悪化したり、得られる成形物の外観が悪化することがあり好ましくない。
また、上記の酸またはその金属塩の水溶液中への浸せきは、前記の水洗の後に行うことが好ましい。
【0020】
かくして、水洗或いは酸またはその金属塩の水溶液中への浸せきが行われたEVOHペレットは次いで加熱乾燥されるのであるが、本発明では、該加熱乾燥前のEVOHペレットの含水率を物理的に1〜10重量%の水を除去して40〜70重量%に調整することを最大の特徴とするもので、かかる処理について説明する。
【0021】
本発明においては、上記の如くEVOHペレットが加熱乾燥前に有している水分量(EVOHペレットの内部に含有されている水及び該ペレット表面に付着してる水の総量)を調整してEVOHペレットの含水率を40〜70重量%(更には45〜65重量%、特には50〜60重量%)に調整することが必要で、かかる範囲外では本発明の目的を達成することはできない。
【0022】
更に、水または水溶液と接触させた後のペレットの含水率と加熱乾燥前のペレットの含水率との差を1〜10重量%(更には1〜6重量%)とするのである。
【0023】
尚、上記の含水率とは、EVOHペレットが加熱乾燥前に有している水分量をW1(g)、EVOHペレットの重量をW2(g)とするとき、下記(1)式で算出されるものである。
含水率(重量%)={W1/(W1+W2)}×100 ・・・ (1)
かかるW1及びW2の測定は含水ペレットを電子ケットを用い450℃で25分間加熱する前の重量(W1+W2)と加熱後の重量(W2)を測定することにより、求めることが可能である。
【0024】
かかる含水量の調整方法としては、特に限定されないが、本発明では熱を加えることなく物理的に水分を除去することが好ましく、例えば遠心分離(脱水)方法、減圧篩(ハイドロシーブ)、ガス流動等の方法を挙げることができ、できるだけEVOHペレット表面に付着している水を優先的に除去することが好ましく、かかる点では遠心分離方法、減圧篩の方法が工業的に好適に用いられる。
【0025】
かかる遠心分離方法について、更に詳述すれば、回分式、連続式のいずれであってもよいが、工業的には連続式が好適に用いられる。回分式、連続式のいずれも目皿孔あるいはスリットをもつバケット状の回転体を有し、連続式はペレットが形状変化がなく連続排出できる構造を有するものであれば、遠心分離装置は限定されるものではない。除去する水分の調整は、目皿孔径、回転数、処理量(処理時間)等で行い、目皿孔径としては、EVOHペレット径より小さければよく、好ましくは0.1〜3mm程度であり、かかる目皿孔径が0.1mm未満では水の除去能力が不足し、さらに微粉による目詰まりが発生しやすく、逆に3mmを越えると水の除去の調製が難しく好ましくない。回転数は装置により一概に言えないが、通常500〜20000rpmに設定され、処理時間は60秒以内で実施される。
【0026】
また、減圧篩とは、篩上にEVOHペレットを乗せて、その背面を減圧して該ペレットが持っている水分を篩背面に除去する方法で、例えば該篩を傾斜させておきその表面にEVOHペレットを供給していくことで連続的に処理することも好ましい。該篩の孔径は、好ましくは0.1〜3mmであり、かかる孔径が0.1mm未満では水の除去の能力が不足し、逆に3mmを越えると水の除去の調製が難しく好ましくない。
含水率が調整されたEVOHペレットは、次いで、加熱乾燥工程を経て、製品化されるのである。
【0027】
かかる乾燥方法として、種々の乾燥方法を採用することが可能であり、例えば流動乾燥や静置乾燥等の乾燥方法を挙げることができ、これらを組み合わせることも可能で、流動乾燥処理後に静置乾燥処理を行う方法又は静置乾燥処理後に流動乾燥処理を行う方法等を採用することもできる。
【0028】
かかる流動乾燥とは、実質的に樹脂組成物(ペレット)が機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる乾燥を意味し、該乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円筒乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥とは、実質的に樹脂組成物(ペレット)が撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる乾燥を意味し、該乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型サイロ乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
また、上記の如く得られたEVOHペレットには、更に、必要に応じて、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、抗菌剤、フィラー、他樹脂などの添加剤を使用することも可能である。特にゲル発生防止剤として、ハイドロタルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩を添加することもできる。
【0030】
また、EVOHとして、異なる2種以上のEVOHを用いることも可能で、このときは、エチレン含有量が5モル%以上異なり、及び/又はケン化度が1モル%以上異なるEVOHのブレンド物を用いることにより、ガスバリヤー性を保持したまま、更に高延伸時の延伸性、真空圧空成形や深絞り成形などの2次加工性が向上するので有用である。
【0031】
かくして得られたEVOHペレットは、溶融成形等により、フィルム、シート、容器、繊維、棒、管、各種成形品等に成形され、又、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)を用いて再び溶融成形に供することもでき、かかる溶融成形方法としては、押出成形法、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
また、該EVOHペレットは、単層として用いることもできるし、該樹脂組成物からなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層等を積層して多層積層体として用いることも有用である。
【0032】
該積層体を製造するに当たっては、該EVOHペレットからなる層の片面又は両面に他の基材を積層するのであるが、積層方法としては、例えば該EVOHペレットからなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該EVOHペレットを溶融押出する方法、該EVOHペレットと他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、更には該EVOHペレットからなるフィルムやシートと他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。
【0033】
共押出の場合の相手側樹脂としては直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。他のEVOHも共押出可能である。上記のなかでも、共押出製膜の容易さ、フィルム物性(特に強度)の実用性の点から、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、PETが好ましく用いられる。
【0034】
更に、本発明で得られたEVOHペレットから一旦フィルムやシート等の成形物を得、これに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0035】
積層体の層構成は、該EVOHペレットからなる層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能である。
【0036】
かくして得られた積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
上記の如く得られたフィルム、シート或いは容器等は食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
【0038】
実施例1
液温60℃に調整されたEVOH[エチレン含有量42モル%、ケン化度99.2モル%、MI(210℃、荷重2160g)が12g/10分]溶液(溶媒は水/メタノール=20/80重量比の混合溶液で、EVOHは45%含有)を凝固液(5℃の水)中にストランド状に押出した後にカッターで切断して、EVOHペレット(長さ4mm、直径4mm)を得た。
【0039】
かかるペレットを30℃の温水中で洗浄後、0.03%のホウ酸及び0.1%の酢酸を含有した水溶液に浸せきして、30℃で5時間撹拌を行って、含水率50%のEVOHペレットを得た。
次いで、かかるEVOHペレットを遠心分離機(目皿径1mm、回転数4000rpm、処理時間30秒)にかけて、EVOHペレットの含水率を46%にした(調整前後の含水率差4%)後、110℃で12時間乾燥を行って、本発明の処理が施されたEVOHペレット[ホウ酸をホウ素換算で110ppm、酢酸80ppm含有]を得た。
【0040】
得られたEVOHペレットを用いて、以下の評価を行った。
(フィッシュアイ)
得られたEVOHペレットを単軸押出機に供して、下記の条件で7日間連続して製膜を行って、1日毎に厚みが40μmのフィルムを得て、100mm×100mm当たりに発生するフィッシュアイの個数を調べて、下記の通り評価した。
◎ −−− 3個未満で推移
○ −−− 10個未満で推移
△ −−− 50個未満で推移
× −−− 50個以上で推移
【0041】
【0042】
(トルク変動)
上記の製膜条件で7日間連続で製膜を実施し、押出機のモーター負荷のスクリュートルクA(アンペア)の変動を下記の通り評価した。
○ −−− 5%未満の変動
△ −−− 5〜10%未満の変動
× −−− 10%以上の変動
【0043】
(着色)
得られたEVOHペレットを射出成形機に供して、下記の条件で100mmφで厚み5mmの円盤状の成形物を得て、着色の度合いを目視観察して下記の通り評価した。
○ −−− 乳白色またはごくわずかな黄味色を有している
△ −−− 少し黄味色を帯びている
× −−− かなり黄味色を帯びている
【0044】
【0045】
実施例2
液温50℃に調整されたEVOH[エチレン含有量35モル%、ケン化度99.5モル%、MI(210℃、荷重2160g)が20g/10分]溶液(溶媒は水/メタノール=40/60重量比の混合溶液で、EVOHは50%含有)を凝固液(5℃の水)中にストランド状に押出した後にカッターで切断して、EVOHペレット(長さ4mm、直径4mm)を得た。
【0046】
かかるペレットを30℃の酢酸水溶中で洗浄した後、0.06%のホウ酸、0.05%の酢酸及び0.04%の酢酸ナトリウムを含有した水溶液に浸せきして、30℃で5時間撹拌を行って、含水率48%のEVOHペレットを得た。
次いで、かかるEVOHペレットを遠心分離機(目皿径1mm、回転数3500rpm、処理時間25秒)にかけて、EVOHペレットの含水率を43%にした(調整前後の含水率差3%)後、105℃で16時間乾燥を行って、本発明の処理が施されたEVOHペレット[ホウ酸がホウ素換算で260ppm、酢酸が90ppm、酢酸ナトリウムがナトリウム換算で100ppm含有]を得た。
得られたEVOHペレットを用いて、実施例1と同様に評価を行った。
【0047】
実施例3
実施例1において、EVOHペレットの水溶液の浸せき処理を30℃で4時間として含水率50%のEVOHペレットを得て、遠心分離機の条件を変更して処理後のEVOHペレットの含水率を44%とした(調整前後の含水率差6%)以外は同様に処理を行って、同様に評価を行った。
【0048】
実施例4
実施例1の付着水の除去工程において、遠心分離機での除去に変えて、減圧篩(篩の傾斜角30度、篩孔径1.5mm、0.5気圧減圧、滞留時間20分)を用いて、EVOHペレットの含水率を45%にした(調整前後の含水率差5%)以外は同様に行って、同様に評価を行った。
【0049】
実施例5
実施例1において、EVOHペレットの水溶液の浸せき処理を35℃で5時間として含水率48%のEVOHペレットを得た後、実施例4の減圧篩に準じて、条件を変更して処理後のEVOHペレットの含水率を45%とした(調整前後の含水率差3%)以外は同様に処理を行って、同様に評価を行った。
【0050】
比較例1
実施例1において、遠心分離機での水分の除去を行わずに直接乾燥処理を行った以外は同様に行って、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明の方法で処理されたEVOHペレットは、成形性が良好でフィッシュアイ発生の抑制効果が大きく、積層体としての有用性も高く、食品や医薬品、農薬品、工業薬品包装用のフィルム、シート、チューブ、袋、容器等の用途に非常に有用で、延伸を伴う二次加工製品等にも好適に用いることができる。
Claims (3)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットを水または水溶液と接触させた後に加熱乾燥を行うに当たって、該加熱乾燥前のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの含水率を物理的に1〜10重量%の水を除去して40〜70重量%に調整することを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法。
- 水溶液が酸またはその金属塩の水溶液であることを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法。
- 酸が、酢酸、ホウ酸、リン酸のいずれかで、その塩がこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの処理方法。
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