JP4705232B2 - 金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法 - Google Patents

金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
この発明は、金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、例えば、金の超微粒子が水に分散された金のコロイド溶液は、金を王水で溶解させた王水溶解液を、所要の有機溶媒で抽出し、さらにその抽出液を、還元剤を含む水溶液で逆抽出して、金を水相に移行させるなどして製造された。
【0004】
ところが、前記従来の金のコロイド溶液としての金属コロイド溶液は、そのままの状態で放置しておくと、金属の超微粒子としての金の超微粒子が分離離散した状態から団子状に会合してしまい、コロイド溶液としての均一性が確保できず、試験、研究のために使用する上で、あるいは実用面で問題があった。
【0005】
また、前記金属コロイド溶液は、抽出に相当な時間を要して製造するのに手間がかかり、さらに、その他の金属コロイド溶液の製造方法では、大型で特殊な装置を用いるものが多く、商品化に多大な経費が必要であった。
【0006】
この発明は、上記した従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、その目的は、金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された状態を維持することができる金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法を提供することにある。また、他の目的は、既存の装置を利用して容易に製造される金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る金属コロイド溶液は、金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された金属コロイド溶液であって、イオン交換樹脂が添加されている。これにより、金属の超微粒子の会合が抑制され、金属の超微粒子は、水あるいは含水アルコールに分散された状態を維持することができる。ここで、イオン交換樹脂は、自らが保持する陽イオンまたは/および陰イオンを、水あるいは含水アルコールに解離させる。そして、この解離したイオンが金属の超微粒子の表面を包囲することで、金属の超微粒子の会合が抑制される。
しかも、前記イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂であるので、金属の超微粒子の表面に形成されたマイナス電荷にはイオン交換樹脂の母体から解離した陽イオンが作用し、同じくプラス電荷には陰イオンが作用するので、金属の超微粒子の会合が有効に抑制される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る金属コロイド溶液は、金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された金属コロイド溶液であって、イオン交換樹脂が添加されている。これにより、金属の超微粒子の会合が抑制され、金属の超微粒子は、水あるいは含水アルコールに分散された状態を維持することができる。ここで、イオン交換樹脂は、自らが保持する陽イオンまたは/および陰イオンを、水あるいは含水アルコールに解離させる。そして、この解離したイオンが金属の超微粒子の表面を包囲することで、金属の超微粒子の会合が抑制される。
そして、前記金属の超微粒子は、水溶性または水分散性の層の上に、スパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込むことによって得られる。これにより、層の全部または一部が、水あるいは含水アルコールに溶解または分散されるとともに、層の上に載せられた金属の超微粒子が、水あるいは含水アルコールに取り込まれて分散される。よって、スパッタリング装置とか真空蒸着装置などの既存の装置を備えていれば、金属コロイド溶液が容易に製造される。また、スパッタリングとか真空蒸着することによって得られる金属の超微粒子は、扁平状に形成されるという特徴を有しており、かかる扁平状に形成された金属の超微粒子を用いれば、表面積を大きくして、対象物に付着ないし接着することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る金属コロイド溶液のように、請求項1に記載の金属コロイド溶液において、前記金属の超微粒子は、水溶性または水分散性の層の上に、スパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込むことによって得られるのが望ましい。これにより、層の全部または一部が、水あるいは含水アルコールに溶解または分散されるとともに、層の上に載せられた金属の超微粒子が、水あるいは含水アルコールに取り込まれて分散される。よって、スパッタリング装置とか真空蒸着装置などの既存の装置を備えていれば、金属コロイド溶液が容易に製造される。また、スパッタリングとか真空蒸着することによって得られる金属の超微粒子は、扁平状に形成されるという特徴を有しており、かかる扁平状に形成された金属の超微粒子を用いれば、表面積を大きくして、対象物に付着ないし接着することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る金属コロイド溶液のように、請求項2または3に記載の金属コロイド溶液において、前記層を形成する層形成材は、デキストリン、デンプン、またはセルロースなどの水溶性多糖類であるのが望ましい。このように、例えば、デキストリン、デンプン、またはセルロースのような水溶性多糖類の層形成材は、金属の超微粒子の保護コロイドとして作用する。また、水溶性多糖類として、デキストリン、デンプン、またはセルロースを用いれば、安価な原料コストで済む。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る金属コロイド溶液のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の金属コロイド溶液において、前記金属は、貴金属であるのが望ましい。このように、貴金属として、例えば、金、銀、パラジュウムまたは白金のいずれかが分散された金属コロイド溶液は、電子回路ベース部材の配線を描画するための電子材料として、また、洋食器などのコーティング材として、さらには、超微粒子化されたことによって活性の高められた金属触媒として利用される。また、金、銀、または白金のような可食性の金属を用いることで、食品分野への応用が可能となる。さらに、金属が金である場合の金のコロイド溶液は、電子顕微鏡用の試料をコーティングする光学材料として、あるいは、遺伝子工学などの分野においては、DNAどうしやDNAとRNAとの間で同じ構造の部分を検出したり抽出するためのブロッティング法に使用される。
【0012】
請求項6に記載の発明に係る金属コロイド溶液の製造方法は、ベース部材上に、直接または間接的に、水溶性または水分散性の層を形成し、その層の上に、金属をスパッタリングまたは真空蒸着する。そして、そのスパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込み、前記金属を、超微粒子として前記水あるいは含水アルコールに分散させるとともに、イオン交換樹脂を添加する。このように、金属コロイド溶液は、水溶性または水分散性の層の上にスパッタリングまたは真空蒸着された金属を、その層ごと水あるいは含水アルコールに取り込んで製造されるので、既存のスパッタリング装置または真空蒸着装置を備えていれば、大型で特殊な装置を用いることなく容易に製造される。また、イオン交換樹脂が添加されることで、イオン交換樹脂の母体から陽イオンまたは/および陰イオンが解離し、その解離したイオンが金属の超微粒子の表面を包囲するため、金属の超微粒子の会合が抑制される。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る金属コロイド溶液の製造方法のように、請求項6に記載の金属コロイド溶液の製造方法において、前記イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂であるのが望ましい。これにより、イオン交換樹脂の保持する陽イオンおよび陰イオンの両イオンは、水あるいは含水アルコールに解離され、金属の超微粒子の表面に形成された、マイナス電荷およびプラス電荷のいずれの電荷にも作用するので、金属の超微粒子の会合は有効に抑制される。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る金属コロイド溶液の製造方法のように、請求項6または7に記載の金属コロイド溶液の製造方法において、前記ベース部材は、紙質素材よりなるのが望ましい。このように、ベース部材が紙質素材からなる場合には、水溶性または水分散性の層が、直接または間接的に、載りやすい。なお、台紙上にデキストリンが塗布されている、既存の陶磁器用転写紙を用いれば、既に水溶性または水分散性の層が形成されているので、層を形成する手間が省ける。
【0015】
また、請求項9に記載の発明に係る金属コロイド溶液の製造方法のように、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の金属コロイド溶液の製造方法において、前記金属は、貴金属であるのが望ましい。これにより、貴金属、例えば、金、銀、または白金のような可食性の金属が分散された金属コロイド溶液が製造されるので、食品分野への応用が可能となる。また、かかる金属コロイド溶液は、電子回路ベース部材の配線を描画するための電子材料として、また、洋食器などのコーティング材として、さらには、超微粒子化されたことによって活性の高められた金属触媒として利用される。そして、金属が金である場合の金のコロイド溶液は、電子顕微鏡用の試料をコーティングする光学材料として、あるいは、遺伝子工学などの分野においては、DNAどうしやDNAとRNAとの間で同じ構造の部分を検出したり抽出するためのブロッティング法に使用される。
【0016】
また、請求項10に記載の発明に係る金属コロイド溶液の製造方法のように、請求項6ないし9のいずれか1項に記載の金属コロイド溶液の製造方法において、前記層を形成する層形成材は、デキストリン、デンプン、またはセルロースなどの水溶性多糖類であるのが望ましい。このように、デキストリン、デンプン、またはセルロースのような水溶性多糖類の層形成材を用いれば、金属コロイド溶液が、安価な原料コストで製造される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る金属コロイド溶液の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
金属コロイド溶液1は、図1に示すように、金属の超微粒子5が水あるいは含水アルコール4に分散されたコロイド溶液であって、粒状または粉末状のイオン交換樹脂10が添加されている。
【0019】
ここで、イオン交換樹脂10は、水あるいはアルコール4に添加されることで、母体から陽イオンまたは/および陰イオンを、前記水あるいは含水アルコール4に解離させる。すると、その解離された陽イオンまたは/および陰イオンは、金属の超微粒子5の表面に形成されているマイナス電荷あるいはプラス電荷のいずれかまたは両方に作用するようにして、金属の超微粒子5の表面を包囲する。その結果、金属の超微粒子5の会合が抑制されて、金属の超微粒子5は、均一に分散された状態を維持する。
【0020】
前記イオン交換樹脂10は、その種類を特に限定しないが、金属の超微粒子5の表面に形成されるマイナス電荷およびプラス電荷のいずれにも作用するように、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂であるのが望ましい。かかる両性のイオン交換樹脂としては、例えば、カートリッジ式の純水器などに汎用されるものを用いるとよい。なお、イオン交換樹脂10は、静置した状態で容器7の底に沈んでいるので、使用する際には、例えば、デカンテーションして、上澄みの、金属の超微粒子5が分散されたコロイド溶液の部分を取り出すようにする。もっとも、イオン交換樹脂10は、自らの保持する陽イオンまたは/および陰イオンを、水あるいは含水アルコールに解離させた後で取り除かれても構わない。
【0021】
また、前記金属の超微粒子5は、水溶性または水分散性の層の上に、スパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、前記水あるいは含水アルコール4で取り込むことによって得られる。前記層は、水溶性または水分散性の層を形成する層形成能を有して、水あるいは含水アルコール4に溶解または分散される層形成材によって構成される。層形成材としては、特に限定されないが、例えば、デンプンとかデンプンの加水分解物たるデキストリン、あるいはセルロース、さらには、プルランとかカラギーナンなどの水溶性多糖類を使用するとよい。
【0022】
ここで、層形成材としてのデキストリンが、水溶性または水分散性の層を形成し、この層の上に、金属の超微粒子5を載せて、水あるいは含水アルコール4に取り込まれるとする。すると、水溶性または水分散性の層は、前記水あるいは含水アルコール4に溶解または分散され、それと同時に、層の上に載せられた金属の超微粒子5も、水あるいは含水アルコール4に取り込まれて分散される。この場合、前記金属の超微粒子5は、後述するように、既存のスパッタリング装置とか真空蒸着装置などを利用すれば、容易に形成される。こうして得られる金属の超微粒子5は、後述するように、扁平状に形成されるという特徴を有しており、かかる扁平状に形成された金属の超微粒子5を用いれば、表面積が従来のものよりも大きくなるため、対象物に付着ないし接着し易くなる。よって、このような金属の超微粒子5が分散された金属コロイド溶液1は、電子顕微鏡用の試料をコーティングする光学材料として使用されるとよい。この点、従来においては、金属の超微粒子5を扁平状に形成するために、球形状に形成された金属の超微粒子5を、ボールミルなどの粉砕機で粉砕するという工程が加わり、余分な労力と時間とを要していた。
【0023】
なお、金属の超微粒子5とは、コロイド溶液として分散し得る、1ナノメートルから1マイクロメートルの範囲にある粒径の、金属の微粒子のことを言う。例えば、後述するスパッタリングによって形成される金属の超微粒子5としての金の超微粒子の場合は、電子顕微鏡装置にセットして顕微鏡観察を行うと、約2.3ナノメートルから3.9ナノメートルの平均粒径のものとして算定される。
【0024】
前記金属としては、特に限定されず、例えば、金、銀、パラジュウム、白金、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルまたは亜鉛などを用いることができる。そして、このような金属の超微粒子5が分散された金属コロイド溶液1は、筆記用具のジェルインキ、メタリックインキ、ポリマーインクなどのインキとかジェットプリンター用のインキに混入する光輝材あるいは色材として利用できる。また、金属として、金、銀、パラジュウムまたは白金のような貴金属が分散された金属コロイド溶液1は、電子回路ベース部材の配線を描画するための電子材料として、自動車の排気ガスの触媒として、また、洋食器などのコーティング材として、さらには、超微粒子化されたことによって活性が高められた金属触媒として利用することができ、使い道が広い。その他、例えば、セラミックなどに混入し、触媒として使用すれば、ダイオキシン除去などに利用することができる。また、貴金属としての、金、銀、または白金のような可食性の金属を用いることで、食品分野への応用が可能となる。さらに、金属が金である場合の金のコロイド溶液は、電子顕微鏡用の試料をコーティングする光学材料として、あるいは、遺伝子工学などの分野においては、DNAどうしやDNAとRNAとの間で同じ構造の部分を検出したり抽出するためのブロッティング法に使用されることができる。そして、貴金属は、一般に高価なものであるが、スパッタリング装置とか真空蒸着装置などを利用して得られる貴金属の超微粒子5は、既述したように、扁平状に形成されるという特徴を有するので、従来の球形状に形成されるものと比較すると利用効率がよく、その分原料コストを安価にすることができるというメリットもある。
【0025】
次に、この発明に係る金属コロイド溶液1の製造方法の一実施の形態を、図1ないし図4に基づいて説明する。
【0026】
この金属コロイド溶液1を製造するには、まず、ベース部材2として、例えば、紙質素材よりなる台紙2aを用意する。そして、この台紙2aの表面に、糊状のデキストリンを塗布して、ベース部材2上に層3を形成する。図示実施の形態の場合、前記層3は、水に対する溶解性の異なる二種類のデキストリンがそれぞれに塗布されて、台紙2a上に二層に形成される。二層に形成される層3の下層側は、水難溶性のデキストリンを用いた、水難溶性の層3aからなり、上層側は、水溶性または水分散性のデキストリンを用いた、金属コロイド溶液1中に溶解または分散し得る前記水溶性または水分散性の層3bからなる(図2参照)。このように、ベース部材2上に形成される層3を、水難溶性の層3aと、その水難溶性の層3a上に形成される水溶性または水分散性の層3bとの二層で構成するのは、後述するように、水あるいは含水アルコール4でベース部材2上を洗ったときに、上層側の水溶性または水分散性の層3bが、下層側の水難溶性の層3aから容易に剥離されるからである。もっとも、層3を二層に形成せず、水溶性または水分散性の層3bのみを、ベース部材2上に直接に塗布しても構わない。
【0027】
次に、前記層3を塗布した台紙2aをスパッタリング装置(図示せず)にセットし、圧力を、1×10-3〜1×10-6Torrに調整してアルゴンガスを導入する。そして、例えば、0.65A×315Vの電力で、前記アルゴンガスが金からなるターゲットを叩くようにし、はじき飛ばされた金の分子を、台紙2a上に形成された前記水溶性または水分散性の層3bの上にスパッタリングして堆積させる。これにより、層3bの上に、金属の超微粒子5としての金の超微粒子が密集した状態の薄膜6が形成される(図3参照)。その後、スパッタリングされて薄膜6状に形成された金を、前記水溶性または水分散性の層3bの全部または一部とともに、水あるいは含水アルコール4で洗うようにして容器7内に取り込む(図4参照)。すると、スパッタリングされた金が、金属の超微粒子5として前記水あるいは含水アルコール4に分散される。ここで、顕微鏡観察を行うと、図5の電子顕微鏡写真に示すように、金属の超微粒子5は、水あるいは含水アルコール4に均一に分散された状態で存在していることがわかる。そして、この金属の超微粒子5が分散された状態を維持できるように、この溶液にイオン交換樹脂10を添加する。もっとも、イオン交換樹脂10は、スパッタリングされた金属としての金を、水あるいは含水アルコール4で洗う前に、予め容器7内に入れておいてもよい。イオン交換樹脂10の添加量は、図示実施の形態の場合、溶液全体に対して約5重量%である。なお、台紙2a上に形成された二層の層3のうち、上層側の水溶性または水分散性の層3bは、その大部分が、水あるいは含水アルコール4に取り込まれるが、下層側の水難溶性の層3aは、水あるいは含水アルコール4にほとんど取り込まれることなく台紙2a上に残留する。
【0028】
こうして、製造される金属コロイド溶液1は、イオン交換樹脂10が添加されることで、イオン交換樹脂10の母体から陽イオンまたは/および陰イオンが、水あるいは含水アルコール4に解離され、その解離された陽イオンまたは/および陰イオンが、金属の超微粒子5の表面を包囲することで、金属の超微粒子5の会合が抑制されたコロイド溶液となる(図1参照)。ここで、イオン交換樹脂10は、自らの保持する陽イオンまたは/および陰イオンを、前記水あるいは含水アルコール4に解離させた後で取り除かれても構わない。なお、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂を使用すれば、金の超微粒子の表面に形成された、プラス電荷およびマイナス電荷のいずれの電荷にも作用することができるので好ましい。
【0029】
また、金属コロイド溶液1は、スパッタリング装置のような既存の装置によって、しかもデキストリンのような安価に入手できる層形成材を使用して、容易に製造されることができる。そして、層形成材としてのデキストリンは、金属の超微粒子5の保護コロイドとしての機能を備える。かかるデキストリンと同様の性質を備えるものとしては、水溶性多糖類としてのデンプンとかセルロースが挙げられ、これらデンプンとかセルロースも、デキストリンと同様、安価に入手でき、かつ、金属の超微粒子5の保護コロイドとして機能する。
【0030】
また、スパッタリングされた金は、真空中においてベース部材2に勢いよく飛散付着されることにより、扁平状すなわち平面状に形成される金属の超微粒子5としての金の超微粒子となるので、対象物に対する付着性ないし接着性が良好となるとともに、製造される金属コロイド溶液1の伝導特性を向上させることができ、特に前記金属触媒として適用されたときに、その触媒活性を一層向上させる。そして、このような扁平状に形成される金属の超微粒子5としての金の超微粒子が分散された金属コロイド溶液1は、電子顕微鏡用の試料をコーティングする光学材料として好適に使用される。
【0031】
また、前記ベース部材2は、その材質を特に限定せず、例えば、合成樹脂などの樹脂製のものを用いることができる。もっとも、ベース部材2が、前記台紙2aのような紙質素材よりなる場合には、そのベース部材2上に、水溶性または水分散性の層3bが、直接的に、または前記水難溶性の層3aを介するなどして間接的に、載りやすいので好ましい。そして、ベース部材2が、紙質素材あるいはその他の素材よりなるシート材である場合には、可撓性に優れるため、巻いたりすることが可能となり、取り扱い性が向上する。ここで、台紙2aの表面に水難溶性の層3aを塗布し、さらにその水難溶性の層3aの上に水溶性または水分散性のデキストリンからなる、水溶性または水分散性の層3bを塗布したものは、陶磁器用転写紙として既に知られている。よって、かかる陶磁器用転写紙によれば、既に水溶性または水分散性の層3bがベース部材2上に塗布されているため、改めて層3bを形成する必要はなく、手間が省ける。
【0032】
また、スパッタリングされた金などの金属を、水あるいは含水アルコール4で取り込むには、既述したように、水あるいは含水アルコール4で洗うようにする方法のほか、例えば、ベース部材2としての台紙2aを、直接水あるいは含水アルコール4に浸すだけでも構わない。台紙2を、水あるいは含水アルコール4に浸すことで、層3bの上にスパッタリングされた金などの金属は、水溶性または水分散性の層3bの全部または一部とともに、水あるいは含水アルコール4に取り込まれて分散する。
【0033】
また、金などの金属の超微粒子5は、スパッタリング法によらなくとも、例えば、真空蒸着法によっても製造される。すなわち、真空蒸着装置によって生成された、金などの金属の蒸発粒子を、水溶性または水分散性の層3bの上に析出させ、その層3bごと、水あるいは含水アルコール4で取り込むことにより、金などの金属を、金属の超微粒子5として水あるいは含水アルコール4に分散させることができる。
【0034】
また、金属コロイド溶液1を酵素処理とか酸処理することで、溶液中に含まれる層形成材としてのデキストリン、デンプン、またはセルロースなどの水溶性多糖類を、低分子化しても構わない。これにより、水あるいは含水アルコール4に対する、層形成材の溶解性などの諸特性が改善される。
【0035】
なお、金属コロイド溶液1は、水あるいは含水アルコール4を用いるとともに、層形成材として食用可能な、デキストリン、デンプン、またはセルロースなどの水溶性多糖類を含み、かつ、食用可能な金属としての金などを含むため、食品分野への応用が可能となる。
【0036】
【発明の効果】
以上、詳述したところから明らかなように、この発明に係る金属コロイド溶液およびその金属コロイド溶液の製造方法によれば、次の効果がある。
【0037】
請求項に記載された金属コロイド溶液によれば、イオン交換樹脂の作用によって金属の超微粒子の会合が抑制され、金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された状態を維持することができる。しかも、前記イオン交換樹脂が、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂であるので、金属の超微粒子の表面に形成されたマイナス電荷にはイオン交換樹脂の母体から解離した陽イオンが作用し、同じくプラス電荷には陰イオンが作用するので、金属の超微粒子の会合が有効に抑制される。
また、請求項2に記載された金属コロイド溶液によれば、イオン交換樹脂の作用によって金属の超微粒子の会合が抑制され、金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された状態を維持することができる。その上、スパッタリング装置とか真空蒸着装置などの既存の装置によって容易に製造される、水あるいは含水アルコールを用いた金属コロイド溶液が提供される。また、スパッタリングとか真空蒸着によって得られる金属の超微粒子は、扁平状に形成されるので、対象物に対する付着性ないし接着性が改善される。
【0038】
また、請求項3に記載された金属コロイド溶液によれば、請求項1の効果に加えて、スパッタリング装置とか真空蒸着装置などの既存の装置によって容易に製造される、水あるいは含水アルコールを用いた金属コロイド溶液が提供される。また、スパッタリングとか真空蒸着によって得られる金属の超微粒子は、扁平状に形成されるので、対象物に対する付着性ないし接着性が改善される。
【0039】
また、請求項4に記載された金属コロイド溶液によれば、請求項2または3の効果に加えて、層形成材を、安価に入手でき、かつ、金属の超微粒子の保護コロイドとして作用させることができる。
【0040】
また、請求項5に記載された金属コロイド溶液によれば、請求項1ないし4のいずれか1項の効果に加えて、電子材料、光学材料、コーティング材、または触媒など種々の使い道があるとともに、食品分野への応用が可能となる。
【0041】
請求項6または7に記載された金属コロイド溶液の製造方法によれば、金属コロイド溶液が、スパッタリング装置とか真空蒸着装置などの既存の装置を利用して容易かつ確実に製造される。また、金属の超微粒子が、水あるいは含水アルコールに分散された状態を維持できる金属コロイド溶液が製造される。
【0042】
また、請求項8に記載された金属コロイド溶液の製造方法によれば、請求項6または7の効果に加えて、ベース部材上に、水溶性または水分散性の層が、直接または間接的に、載りやすく作業性がよい。
【0043】
また、請求項9に記載された金属コロイド溶液の製造方法によれば、請求項6ないし8のいずれか1項の効果に加えて、電子材料、コーティング材、または触媒など種々の使い道のあるとともに、食品分野への応用が可能となる金属コロイド溶液が製造される。
【0044】
また、請求項10に記載された金属コロイド溶液の製造方法によれば、請求項6ないし9のいずれか1項の効果に加えて、層形成材の原料コストを安価にして金属コロイド溶液が製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る金属コロイド溶液が容器内に取り込まれた状態を示す図である。
【図2】 この発明に係る金属コロイド溶液の製造方法を説明するための、ベース部材上に、水難溶性の層を介して間接的に、水溶性または水分散性の層を形成した状態を示す断面図である。
【図3】 同じく、水溶性または水分散性の層の上に、スパッタリングされた金の薄層を形成した状態を示す断面図である。
【図4】 同じく、スパッタリングされた金を、水溶性または水分散性の層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込み、超微粒子として水あるいは含水アルコールに分散させた状態を示す概略図である。
【図5】 金属としての金が、水あるいは含水アルコールに分散された状態を示す、図面に代わる電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 金属コロイド溶液 2 ベース部材
3b 水溶性または水分散性の層 4 水あるいは含水アルコール
5 金属の超微粒子 10 イオン交換樹脂

Claims (10)

  1. 金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された金属コロイド溶液であって、
    陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂が添加されていることを特徴とする金属コロイド溶液。
  2. 金属の超微粒子が水あるいは含水アルコールに分散された金属コロイド溶液であって、
    イオン交換樹脂が添加されており、かつ、
    前記金属の超微粒子は、水溶性または水分散性の層の上に、スパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込むことによって得られることを特徴とする金属コロイド溶液。
  3. 前記金属の超微粒子は、水溶性または水分散性の層の上に、スパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込むことによって得られることを特徴とする請求項に記載の金属コロイド溶液。
  4. 前記層を形成する層形成材は、デキストリン、デンプン、またはセルロースなどの水溶性多糖類であることを特徴とする請求項2または3に記載の金属コロイド溶液。
  5. 前記金属は、貴金属であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の金属コロイド溶液。
  6. ベース部材上に、直接または間接的に、水溶性または水分散性の層を形成し、その層の上に、金属をスパッタリングまたは真空蒸着し、そのスパッタリングまたは真空蒸着された金属を、前記層の全部または一部とともに、水あるいは含水アルコールで取り込み、前記金属を、超微粒子として前記水あるいは含水アルコールに分散させるとともに、イオン交換樹脂を添加することを特徴とする金属コロイド溶液の製造方法。
  7. 前記イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合された両性のイオン交換樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
  8. 前記ベース部材は、紙質素材よりなることを特徴とする請求項6または7に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
  9. 前記金属は、貴金属であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
  10. 前記層を形成する層形成材は、デキストリン、デンプン、またはセルロースなどの水溶性多糖類であることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の金属コロイド溶液の製造方法。
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