JP4706103B2 - ポリエステル混繊糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリスチレンが芯、ポリエステルが鞘を構成している芯/鞘型複合マルチフィラメントAと、高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルマルチフィラメントBで構成されたポリエステル混繊糸に関するものである。さらに詳しくは該混繊糸を織編物とした後、通常染色加工を実施することによって織編物にソフトでかつしなやかな表面感を発現させることが可能でさらには、前記2種のフィラメント群の熱収縮差に起因する糸長差によって織編物に大きなふくらみを付与できるポリエステル混繊糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは優れた機械的特性を有しているために、衣料用途から資材用途まで幅広い分野で利用されている。衣料用途では天然繊維の持つ風合いや機能性をいかにして付与させるかということを目的として開発が進められてきた。
【0003】
ふくらみやソフト感に富んだ織編物を得るには構成するフィラメント間に適度に大きな糸長差を付与させることが有効である。従来よりこの糸長差を付与させる手段として収縮、伸度、単糸繊度など性質が互いに異なる2種以上のマルチフィラメントを別々に紡糸した後、延伸工程、仮撚り工程などの後工程で混繊する後混繊法が広く利用されている。
【0004】
一例として、収縮差を利用した混繊糸ではより大きな収縮差を与えるために、芯糸になる高収縮糸と、鞘糸になる熱処理で伸長挙動を示すいわゆる自発伸長糸をそれぞれ別々に紡糸した後に混繊してできた混繊糸を用いて織編物とし、その後の通常染色加工で大きな糸長差を発現させてふくらみを増大させる手段などが最近注目されている。このように後混繊法ではそれぞれのマルチフィラメントに適した条件で紡糸条件や延伸条件が設定可能であるので、マルチフィラメント間の糸長差を大きくすることに関しては大変効果的であるが、芯糸、鞘糸とそれぞれ別工程で製造した上で後混繊するというものであるために工程数が必然的に多くなり高コストになってしまうという欠点がある。
【0005】
こうした問題を解決する策として紡糸混繊技術が検討され、ポリマーの質や単糸繊度が異なる2種以上のマルチフィラメントを同一口金で同時紡糸する方法が開発された。例えば芯糸にイソフタル酸などの高収縮性を示す第3成分を共重合させた高収縮糸を配し、鞘糸に通常のPETを低収縮糸として配し、同一口金で同時紡糸・混繊した後巻き取るといったものである。これを延伸して得られた混繊糸を織編物に用いると収縮差が充分に発現するためふくらみ感としては充分なものが得られる。しかし、芯糸、鞘糸が同時紡糸・同時延伸のために織編物のソフト感に大きな影響を与える鞘糸も芯糸と同程度の配向促進が進むために初期ヤング率が大きくなり、織編物としたときに表面のソフト感、しなやかさの点では満足のいかないものになるという欠点がある。
【0006】
また、同じポリマーを用いて染色工程などで糸長差を発現する混繊糸を得るために、単糸繊度の異なる2種以上のマルチフィラメントを紡糸混繊する技術も検討されているが、単糸繊度差による紡糸工程での冷却速度の違いから細単糸繊度のマルチフィラメントが太単糸繊度のマルチフィラメントより高配向になるために熱収縮率が増加し、後の熱処理時で収縮が発現する際に細単糸繊度のマルチフィラメントが混繊糸の芯部を、太単糸繊度のマルチフィラメントが鞘部を形成することになり、織編物としたときに堅いタッチとなってしまう問題が生じてしまう。
【0007】
本発明品と同じように配向抑制効果を持つ物質を利用した配向度差を有する混繊糸も過去に紹介されている。例えば特公昭57−143522号公報では添加方式による同様の技術が紹介されているが、添加方式では添加ポリマーによる悪影響が問題となる。例えば、添加ポリマーが繊維表面に存在することによる発色不良や、添加のムラによって糸切れや染色ムラが発生するといったものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を解決するために、鞘糸が芯糸よりソフトでしなやかであり、さらには織編後の通常の染色加工の実施により2種のマルチフィラメント間の熱収縮差に起因する大きな糸長差を発現させて織編物に大きなふくらみとソフト感を付与できるポリエステル混繊糸を低コストで提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル混繊糸は上記の課題を解決するために次の構成を有する。 (1)ポリスチレンが芯、ポリエステルが鞘を構成している芯/鞘型複合マルチフィラメントAと、高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルマルチフィラメントBで構成され、前記芯/鞘型複合マルチフィラメントAの単糸の初期ヤング率をEa(cN/dtex)、およびポリエステルマルチフィラメントBの単糸の初期ヤング率をEb(cN/dtex)が次式[1]〜[2]の範囲を満たすことを特徴とするポリエステル混繊糸。
【0010】
20≦Ea≦50 ・・・[1]
50≦Eb ・・・[2]
(2)ポリスチレンが芯、ポリエステルが鞘を構成している芯/鞘型複合マルチフィラメントAと、高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルマルチフィラメントBで構成され、前記芯/鞘型複合マルチフィラメントAの芯部を構成するポリスチレンが繊維軸方向に断続的に破断していて、隣接する破断部と破断部の間隔が5mm以下であることを特徴とする前記(1)に記載のポリエステル混繊糸。
【0011】
(3)ポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度が30%以上70%以下で、芯/鞘型複合マルチフィラメントAの単糸の平均破断伸度がポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度より20%以上大きいことを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリエステル混繊糸。
【0012】
(4)沸収処理後に180℃の乾熱処理を実施した後の芯/鞘型複合マルチフィラメントAとポリエステルマルチフィラメントBの分解糸の糸長差が10%以上40%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル混繊糸。
【0013】
(5)マルチフィラメントAの単糸繊度Daと、ポリエステルフィラメントBの単糸繊度をDbとが、次式[3]の関係を満たすこと特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル混繊糸。
【0014】
Da≦Db ・・・[3]
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0016】
まず、本発明の混繊糸はポリスチレンが芯、ポリエステルが鞘を構成している芯/鞘型複合マルチフィラメントAと、高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルマルチフィラメントBで構成されたものである。
【0017】
マルチフィラメントAを芯にポリスチレン、鞘にポリエステルとする芯/鞘型の複合糸とする理由は、ポリスチレンポリマーがポリエステルポリマーの配向促進を抑制する効果を利用するためである。
【0018】
この効果により、ポリスチレンポリマーを複合したポリエステルポリマーと高収縮性を示すポリエステルポリマーを同時に紡糸したとき、前者は後者より配向が抑制されたフィラメントとなるので低収縮かつ高伸度の糸になり、通常糸よりも初期ヤング率が小さい糸になる。したがって、曲げ剛性も小さくなるため、織編物としたときソフトでしなやかな風合いを発現させることができるのである。
【0019】
そしてマルチフィラメントAは、芯部のポリスチレンが、破断部を除いて繊維軸方向に一定量で存在し、繊維表面に露出していないことが重要である。これを満たしていれば芯/鞘複合の形態には特に制約がなく、芯部が偏心していても、同心円であってもかまわない。
【0020】
マルチフィラメントAのポリスチレンの複合比率については、重量比で3〜10%であることが望ましく、さらに好ましくは重量比で4〜6%である。含有量が3%に満たないときは、ポリスチレンによる配向抑制効果が乏しく、必要とする芯糸と鞘糸の間の初期ヤング率の差を得ることができない。逆に10%を越えてしまうと、鞘部を構成するポリエステルにクラックが生じたりして強度低下の原因となったり、さらにひどい場合にはクラックからポリスチレンが外に飛び出してしまうので好ましくない。
【0021】
マルチフィラメントAは染色工程の熱処理時の収縮挙動により低収縮サイドの糸となるため混繊糸の鞘部を構成することになるので織編物の表面部を形成することになる。したがって、織編物に十分なソフト感を付与するためにはマルチフィラメントAの単糸の初期ヤング率Eaは50cN/dtex以下であることが重要で、50cN/dtexより大きくなるとソフトな表面タッチは得られなくなってしまう。しかし逆に初期ヤング率が小さすぎると、すなわち配向の程度が低すぎると糸の破断伸度が大きくなり織編物としたときにフロスティングの問題が生じてしまう。糸の破断伸度が大きくなりすぎないためには初期ヤング率Eaは20cN/dtex以上であることが重要である。
【0022】
また、マルチフィラメントAは、芯部を構成するポリスチレンが繊維軸方向に断続的に破断していることが重要である。これによってマルチフィラメントAの破断部の曲げモーメントが非破断部の曲げモーメントより小さくなるので、配向抑制による低初期ヤング率の効果と相乗して、混繊糸を織編物としたときによりソフトでしなやかな感触を付与することができるのである。このとき隣接する破断部と破断部の間隔(図1参照)が大きいと曲げモーメント減少の効果がなくなるので間隔は5mm以下、好ましくは3mm以下であることが重要である。
【0023】
織編物に大きなふくらみ感、ソフト感を付与するためには、繊維間の空隙を増大させることが需要であり、そのためには、芯糸と鞘糸の糸長差を大きくすることが重要である。したがって、芯糸となるポリエステルマルチフィラメントBは高収縮性を示すことが重要であり、そのために本発明においてはイソフタル酸などの高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルを用いるものである。
【0024】
また、ポリエステルマルチフィラメントBは染色工程の熱処理時の収縮挙動により混繊糸の芯部を構成し、織編物の反発性やハリ感、コシ感に大きな影響を与えるわけであるが、その役割を果たすためにはマルチフィラメントBの単糸の初期ヤング率Ebは50cN/dtex以上であることが重要である。
【0025】
また、本発明の混繊糸を織編物としたとき、ポリエステルマルチフィラメントBは混繊糸の芯部を構成することになり、織編物の引裂き強度に大きく影響するのであるが、ポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度が30%未満であると、製織準備工程などで毛羽が発生して工程通過性に問題が生じたり、織編後の引裂き強力の低下の原因となったりするのでポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度は30%以上であることが重要である。しかし、混繊糸の芯糸の単糸の平均破断伸度が大きすぎると織編物にグロウスの問題が生じてしまうのでポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度としては70%以下であることが重要である。ところが、混繊糸の鞘部を構成する芯/鞘型複合マルチフィラメントAもポリエステルマルチフィラメントBと同程度に高度に配向された延伸糸であるとヌメリ感が強くなるという問題がある。しかし、このヌメリ感は伸度が大きくなるほど解消されるため、芯/鞘型複合マルチフィラメントAの単糸の平均破断伸度はポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度より20%以上大きいことが重要である。
【0026】
また、織編物に充分なふくらみを与えるためには、混繊糸を沸収処理を30分間実施後180℃の乾熱処理を15分間実施したとき、マルチフィラメントAとポリエステルマルチフィラメントBの分解糸の糸長差が10%以上であることが好ましいが、逆に大きすぎるとふかつき感の強い織編物となるので分解糸糸長差は40%以下であることが重要である。
【0027】
なお本発明の混繊糸は繊度、単糸繊度、フィラメント数、断面形状には制約がなく、例えば断面形状については中空や3葉などの異形断面であってもよく、2種のマルチフィラメント間にそうした違いが存在していてもよい。しかし、織編物に反発性とソフト感を持たせるためには、反発性に寄与する芯糸の単糸繊度を太く、ソフト感に寄与する鞘糸の繊度を細くすることが好ましく、したがって、芯糸となるマルチフィラメントBの単糸繊度Dbが鞘糸となるマルチフィラメントAの単糸繊度Da以上とすることが好ましい。すなわち、Da≦Dbの関係を満足するものであることが好ましい。
【0028】
また、マルチフィラメントAのポリエステル部分およびポリエステルマルチフィラメントBには発色向上、艶消しなどを目的として粒子が添加されたものであってもよい。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例および図面により具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお本文中および実施例記載の各物性値は以下の測定方法によるものである。
(1)単糸の初期ヤング率
混繊糸を単糸一本一本に分解した後、インストロン社製引張り試験機を用いて、試長2cm、引張り速度2cm/minで引張り試験を行う。得られたS−S曲線の立ち上がりカーブの傾きの直線を延長して、伸度100%時での強力を求めてその値を単糸繊度で割った値(cN/dtex)とする。芯糸鞘糸それぞれについて異なる単糸5本(単糸数が足りない時は同一単糸から複数のサンプリングをする)の測定値の平均値をもって測定値とする。なお、芯糸と鞘糸の区別はS−Sカーブの形状から明らかに区別できる。
(2)単糸の平均破断伸度
混繊糸を単糸一本一本に分解した後、インストロン社製引張り試験機を用いて、試長2cm、引張り速度2cm/minで測定を行う。測定回数5回の平均値をもって測定値とする。なお、芯糸と鞘糸の区別はS−Sカーブの形状から明らかに区別できる。
(3)ポリスチレンの破断部の間隔
混繊糸を単糸に分解して、光学顕微鏡で写真を撮り鞘糸単糸について破断部と破断部の間隔5点の距離の平均値を求める。これを鞘糸単糸10本(単糸数が足りない時は同一単糸から複数のサンプリングをする)について測定し、それらの平均値をもって測定値とする(図1)。
(4)分解糸糸長差
適当な長さの糸を取り出し、繊維自体が伸びないように注意深く単糸1本1本に分解する。グリセリンを塗布したスケール板上に分解した単糸をのせて、捲縮やくせがなくなる程度に伸ばして単糸1本の長さLをはかる(1mm単位まで)。長さの短い単糸群と長い単糸群に分類し、短い単糸群の平均長をL1、長い単糸群をL2として次式により算出する。測定回数5回の平均値をもってその測定値とする。
【0030】
分解糸糸長差(%)={(L2−L1)/L1}×100
(5)風合い特性
カトーテック株式会社製の布の風合い計測のために設計された布試験システム(KES)で計測する。
【0031】
(実施例1)
イソフタル酸8モル%と2−2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン5モル%と合計87モル%のエチレングリコール及びテレフタル酸とを共重合させた3葉断面ポリエステルと芯部にポリスチレンを重量比で4.5%複合させた3葉断面ポリエステルとを同一口金で紡速3000m/minで同時紡糸・混繊した後、通常延伸し、60dtex−36フィラメント(芯糸:30dtex−18フィラメント、鞘糸:30dtex−18フィラメント)の混繊糸を得た。
【0032】
得られた混繊糸を単糸一本一本に分解し、それぞれの単糸の強伸度を測定して得られた強伸度曲線から初期ヤング率を求めたところ、共重合成分を含むマルチフィラメント(織編物としたときに芯糸を構成するので以下芯糸と記す)の単糸の初期ヤング率Ebは58.7cN/dtexで、ポリスチレンを複合しているマルチフィラメント(織編物としたときに鞘糸を構成するので以下鞘糸と記す)の単糸の初期ヤング率は27.3cN/dtexであった。また混繊糸を沸収処理後に180℃で乾収処理した後の芯鞘間の分解糸糸長差は27.8%であった。さらに、芯糸の単糸の破断伸度は28.1%、鞘糸の単糸の破断伸度は64.2%であった。さらに、隣接する破断部と破断部の間隔は2.2mmであった。
【0033】
次にこの混繊糸を200T/mの実撚を施し、糊付けを実施した後タテ糸とし、ヨコ糸として83dtex−72フィラメントの通常ポリエステル延伸糸をS撚りZ撚りそれぞれ2500T/m実撚した糸を2本交互に用いてサテンを製織した。製織した布帛をリラックス精練した後、180℃でセットし、17%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い分散染料で染色した後160℃でファイナルセットした。得られた織物は大きなふくらみおよびソフトな風合いを持ち、しなやかな表面感を有していた。表1に糸物性およびKESの風合い特性値を示す。
【0034】
(実施例2)
イソフタル酸8モル%と2−2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン5モル%と合計87モル%のエチレングリコール及びテレフタル酸とを共重合させた丸中空ポリエステルと芯部にポリスチレンを重量比で4.5%複合させた3葉断面ポリエステルとを同一口金で紡速3000m/minで同時紡糸・混繊した後、通常延伸し、60dtex−27フィラメント(芯糸:30dtex−9フィラメント、鞘糸30dtex−18フィラメント)の混繊糸を得た。
【0035】
得られた混繊糸の芯糸の単糸の初期ヤング率は65.5cN/dtex、鞘糸の単糸の初期ヤング率は27.4%であった。また混繊糸を沸収処理後に180℃で乾収処理した後の芯鞘間の分解糸糸長差は29.1%であった。さらに、芯糸の単糸の破断伸度は29.1%、鞘糸の単糸の破断伸度は68.1%であった。さらに、隣接する破断部と破断部の間隔は3.2mmであった。
【0036】
この混繊糸に実施例1と同様200T/mの実撚を施した後、糊付けを実施してタテ糸とし、実施例1と同様の製織および仕上げ加工を施して織物を得た。得られた織物は実施例1で得られた織物同様大きなふくらみ、ソフトな風合いを有していた。表1に糸物性およびKESの風合い特性値を示す。
【0037】
(比較例1)
イソフタル酸8モル%と2−2ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン5モル%と合計87モル%のエチレングリコールおよびテレフタル酸とを共重合させた3葉断面ポリエステルと通常の3葉断面ポリエステルとを同一口金で紡速3000m/minで紡糸混繊した後通常延伸して55dtex−24フィラメント(芯糸:27.5dtex−12フィラメント、鞘糸:27.5dtex−12フィラメント)の混繊糸を得た。得られた混繊糸を実施例1と同様の方法で初期ヤング率を測定したところ、芯糸と鞘糸の差は明確ではなく、ほぼ同一のS−Sカーブで初期ヤング#率は63cN/dtexであった。また混繊糸を沸収処理後に180℃で乾収処理した後の芯鞘間の分解糸糸長差は24.2%であった。さらに、芯糸の単糸の破断伸度は31.1%、鞘糸の単糸の破断伸は34.1%であった。
【0038】
この混繊糸に200T/mの実撚を施し、糊付けしてタテ糸とし、ヨコ糸として83dtex−72フィラメントの通常ポリエステル延伸糸をS撚りZ撚りそれぞれ2500T/m実撚した糸を2本交互に用いてサテンを製織した。製織後の布帛を実施例1と同様の染色工程で仕上げた布帛はふくらみはそこそこあるものの、ソフトさに欠け表面感もしなやかさに欠けるものであった。表1に糸物性およびKESの風合い特性値を示す。
【0039】
(比較例2)
イソフタル酸を共重合していない通常の3葉断面ポリエステルと芯部にポリスチレンを4.5%複合させた3葉断面ポリエステルを同一口金で紡速3000m/minで紡糸混繊した後通常延伸して、60dtex−36フィラメント(芯糸:30dtex−18フィラメント、鞘糸:30dtex−18フィラメント)の混繊糸を得た。
【0040】
得られた混繊糸の芯糸の単糸の初期ヤング率は60.7cN/dtexで、鞘糸の単糸の初期ヤング率は26.5cN/dtexであった。また混繊糸を沸収処理後に180℃で乾収処理した後の芯鞘間の分解糸糸長差は8.9%であった。さらに、芯糸の単糸の破断伸度は30.5%、鞘糸の単糸の破断伸度は70.5%であった。
【0041】
得られた混繊糸に200T/mの撚糸を施し、実施例1と同様の織物を製織したところ、表面のソフト感は得られたものの、ふくらみ感に欠けるものであった。表1に糸物性およびKESの風合い特性値を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明のポリエステル混繊糸は、鞘糸の単糸の初期ヤング率が芯糸の単糸の初期ヤング率よりも大幅に小さいこと、鞘糸の芯部を構成するポリスチレンが連続的に破断していることで織編物にしたときにソフトでしなやかな表面感を有し、さらには2種のマルチフィラメント間の熱収縮差に起因する糸長差によって、織編後の通常の染色加工を実施することによって大きなふくらみを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる芯鞘型複合マルチフィラメントの単糸の一例を示す繊維軸方向の断面図である。
Claims (5)
- ポリスチレンが芯、ポリエステルが鞘を構成している芯/鞘型複合マルチフィラメントAと、高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルマルチフィラメントBで構成され、前記芯/鞘型複合マルチフィラメントAの単糸の初期ヤング率Ea(cN/dtex)、およびポリエステルマルチフィラメントBの単糸の初期ヤング率Eb(cN/dtex)が次式[1]〜[2]の範囲を満たすことを特徴とするポリエステル混繊糸。
20≦Ea≦50 ・・・[1]
50≦Eb ・・・[2] - ポリスチレンが芯、ポリエステルが鞘を構成している芯/鞘型複合マルチフィラメントAと、高収縮性を示す第3成分が共重合されたポリエステルマルチフィラメントBで構成され、前記芯/鞘型複合マルチフィラメントAの芯部を構成するポリスチレンが繊維軸方向に断続的に破断していて、隣接する破断部と破断部の間隔が5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル混繊糸。
- ポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度が30%以上70%以下で、芯/鞘型複合マルチフィラメントAの単糸の平均破断伸度がポリエステルマルチフィラメントBの単糸の平均破断伸度より20%以上大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル混繊糸。
- 沸収処理後に180℃の乾熱処理を実施した後の芯/鞘型複合マルチフィラメントAとポリエステルマルチフィラメントBの分解糸の糸長差が10%以上40%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル混繊糸。
- マルチフィラメントAの単糸繊度Daと、ポリエステルフィラメントBの単糸繊度Dbとが、次式[3]の関係を満たすこと特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル混繊糸。
Da≦Db ・・・[3]
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