JP4708152B2 - 電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法 - Google Patents

電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタ(以下、EDLCと称す)電極用炭素材の製造方法に関する。
EDLCは、固体(電極)と液体(電解液)との界面に形成される電気二重層を利用した大容量のコンデンサであり、充放電に通常の二次電池のような化学反応を伴わないため、二次電池と比較して内部抵抗が格段に低く大電流放電が可能である。さらに、充放電回数の制限が無いという特徴も有している。
EDLCは、パワー密度に優れている反面、エネルギー密度が劣っているという欠点があり、エネルギーデバイス用途への活用に際しては、更なる大容量化が必要である。EDLCの容量を大きくするには、電解液との間で多くの電気二重層を形成する電極材料の開発が不可欠である。したがって、より多くの電気二重層を形成すべく、比表面積の大きい活性炭の使用が検討されてきた。
EDLCの電極には、主に活性炭が使用されており、このような活性炭は、原料炭を賦活処理して比表面積を向上させて使用されている。
この賦活処理としては、例えば、原料組成物を水蒸気、二酸化炭素等の雰囲気中で600〜1000℃に加熱する方法や、原料組成物に塩化亜鉛、アルカリ金属水酸化物等を混合して不活性ガス雰囲気下で加熱する方法等が知られている。この賦活処理の過程において、活性炭となる材料の表面には吸着に適した多数の細孔が形成され、その結果活性炭の比表面積が増加する。このようにして製造された活性炭の比表面積は、窒素ガス吸着法(BET法)で測定した場合、例えば、1000〜2500m2/g程度になる。特に、高比表面積を有する炭素材を得るためには、アルカリ金属水酸化物、なかでも水酸化カリウムを用いた賦活方法が好ましく用いられている。
しかしながら、単純に比表面積を大きくすると、重量当たりの静電容量(F/g)は大きくなるものの、体積当たりの静電容量(F/cc)は電極密度の低下により却って小さくなるという問題がある。
特に、昨今は、高エネルギー密度のEDLCが要求されており、体積当たりの静電容量として、30F/cc以上が求められている。
このため、賦活処理前の炭素材の構造や特性に関して様々な提案がなされている。また、特定組成を有する炭素材を製造するために、様々な方法も提案されている。なかでも、石油コークスや石炭コークスを出発原料として利用することで、安価に活性炭を提供することができる。
特許文献1(特開平10−199767号公報)には、生石油コークスあるいは生石炭コークスを炭化処理し、炭化処理後の性状において揮発分が1.0〜5.0重量%でかつ水素と炭素の原子数比H/Cが0.05〜0.30の条件を満足するものを、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ金属水酸化物で賦活処理するEDLC電極用炭素材の製造方法が開示されている。炭化処理は、生コークス類を不活性ガス雰囲気下に温度550〜900℃(好ましくは600〜900℃、さらに好ましくは650〜850℃)で加熱処理することによりなされている。
実施例では、25F/cc以上の静電容量が得られてはいるが、30F/ccを達成した例は示されておらず、十分高いとはいえない。
特許文献2(特開2003−51430号公報)では、ASTMD-409-71規定の粉砕強度指数HGIが50以上であり、X線回折法により求められる微結晶炭素の層間距離d002が0.343nm以下であり、かつ、X線回折法により求められる微結晶炭素の結晶子の大きさLc002が3.0nm以下であることを特徴とする原料組成物が開示されている。この組成物は、黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含む原料炭(生コークス)を出発原料として準備する原料炭準備工程と、前記原料炭を不活性ガス雰囲気下、600〜900℃の温度で加熱し、その後100℃以下に冷却する熱処理工程を行うことで、細孔径0.1〜10μmに相当する大きさを有する微細クラックが特定の細孔容積で得られることを特徴としている。この方法により得られた原料組成物は、公知の方法により賦活処理がなされ、EDLC電極用炭素材とされるが、その比表面積は300m2/g以下となっている。また、この炭素材を用いたEDLCでは、30F/cc以上の高い静電容量が得られている。
しかしながら、この方法においても、原料となる生コークスの性状によっては、十分に満足な特性を有する炭素材が得られない場合があり、さらなる改良が求められている。
一方、アルカリ賦活処理を行った活性炭には、多量のアルカリ金属が付着しており、EDLC電極に使用するためには、得られた活性炭を水洗、中和洗浄して、未反応の賦活剤や夾雑物等を除去する必要がある。
EDLCの高性能化が要求されるに伴い、EDLC電極用の活性炭中の残留アルカリ金属を一層低減するニーズが生じてきている。しかし、特許文献3(特開2005−123462号公報)に記載されるように、水洗や酸洗の繰り返しによりある程度の濃度まではアルカリ金属を除去できても、それ以上の除去は困難である。そのため、アルカリ賦活後の炭素材を用いたEDLCは、初期のキャパシタ容量は優れているものの、長時間使用したときにキャパシタ容量の低下が大きいという経時劣化の問題がある。
特許文献3では、アルカリ金属のより高度な除去を目的として、アルカリ賦活後の活性炭を、二酸化炭素などを用いたアルカリ失活工程;該失活除去工程を経た活性炭を不活性ガス雰囲気下に400℃を超え前記賦活工程の加熱温度未満に加熱する熱処理工程;および該熱処理工程を経た活性炭を水洗する水洗工程に供することで、残留アルカリ金属を100ppm未満という極めて低いレベルまで除去することを可能としている。
加えて、EDLCの用途の多様化に伴い、さらに高耐電圧化が求められている。
特開平10−199767号公報 特開2003−51430号公報 特開2005−123462号公報
本発明の目的は、生コークスを焼成して炭化品を製造し、それを賦活してキャパシタ用活性炭を製造する方法において、生コークス性状の影響を小さくして、安定した高性能品質活性炭の製造を可能にすることである。
具体的には、アルカリ賦活後の残留アルカリ金属を特殊な方法に依らず、容易に除去可能な製造方法を提供することである。
また、製造した活性炭は、キャパシタ電極剤として使用する時に最適な粒度に粉砕されるが、キャパシタの性能を高くするにはコークスの結晶重なりを壊さずに、主として結晶積層方向に粉砕することが望ましい。本発明ではそのように粉砕可能な活性炭を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、生コークスを600〜900℃の温度範囲で一段目の焼成を行った後、一旦100℃以下に降温し、前記焼成温度より100℃以上高い温度で1200℃までの範囲で二段目の焼成を行い、得られた炭化品を賦活処理することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法に関する。
本発明によれば、アルカリ賦活における賦活剤のコークスへの分散性が向上し、コークス中に空間的に無駄の少ないミクロポアの形成が可能となり、高表面積活性炭の製造を容易とする。その結果、キャパシタ電解液の内部浸透の容易化が図れ、静電容量等のキャパシタ性能の向上に寄与する。
また、炭素材の結晶性が向上することで、アルカリ賦活剤の炭素材への侵入を浅く留め、賦活後に必要なアルカリ金属除去を容易とし、残留アルカリ金属量の低減が特殊な方法に依らず達成できる。その結果、サイクル性、耐電圧の向上したキャパシタが得られる。また、結晶性の向上により、高導電性の炭素材が得られる。その結果、内部抵抗の低減が図れ、大容量キャパシタとした場合にも発熱を低く抑えることができる。
また、炭素材粉砕時の結晶積層方向の破断が容易となり、分極に効果的なエッジ面の増大が図れ、容量増大が実現する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、生コークスを600〜900℃の温度範囲で一段目の焼成を行った後、一旦100℃以下に降温し、前記焼成温度より100℃以上高い温度で1200℃までの範囲で二段目の焼成を行い、得られた炭化品を賦活処理することを特徴としている。
本発明における焼成工程に類似する方法は、人造黒鉛電極用コークスとして、高品位コークスを製造する方法(二段カルサイニング法)が、特公昭53−35801号公報に開示されている。この方法は、ディレードコークス化法(ディレード・コーキング法)により得られたグリーンコークス(生コークス)を、通常のか焼温度よりも低い温度範囲でか焼し、一旦冷却した後、再び通常のか焼温度範囲でか焼を行うことを特徴としている。つまり、一段目のか焼を600〜1000℃、好ましくは800℃前後で行い、一旦冷却後、通常のか焼温度(1200〜1500℃、実施例は1300℃)でか焼している。この結果、見かけ密度が大きく、熱膨張係数の小さい高品位コークスが得られるとしている。しかし、この方法は、人造黒鉛電極用コークスの製造方法であり、ここでの通常のか焼温度はキャパシタ用の炭素材の製造には高すぎる温度である。また、賦活処理して得られるEDCL電極用炭素材については何ら示唆するものではない。
本発明で出発原料として使用する生コークスは、アルキル側鎖を持つ多環芳香族化合物の積層した集合体で、熱不融の固体である。
石油の重質留分を500℃程度の高温で熱分解(コーキング)して得られる固形の炭素を主成分とする製品で、通常の石炭系のコークスに対して石油コークスと呼ぶことがある。石油コークスにはディレード・コーキング法によるものとフルイド・コーキング法によるものとがあり、現在においては前者によるものが大半を占めている。本発明においては、この石油コークスでコーカーから取り出されたままの状態である生石油コークス(生コークス)を用いる。ディレード・コーキング法により生産される生コークスは揮発分が6〜13質量%であり、フルイド・コーキング法により生産される生コークスは揮発分が4〜7質量%である。本発明においてはいずれの方法による生コークスを用いてもよいが、容易に入手が可能でかつ品質の安定したディレード・コーキング法により生産される生コークスが特に好適である。
図1〜4は、一段焼成における2種類の任意の生コークス(コークスA及びB)の焼成温度と各特性との関係を示したグラフである。
図1に示すようにコークス塊中の揮発分は、600〜900℃の温度で急激に減少するが、1000℃以上ではほぼ一定になる。コークス塊の伸びは図2に示すように、600℃までは僅かに増加(膨張)するが、600℃から1200℃までは温度に比例して減少(収縮)している。
これらの図から解る通り、一段焼成においてコークスは、600〜900℃で揮発分(ガス)を発生すると同時に急激な収縮を起こす。そのため内部に応力が発生することによりポアやクラックを生じる。このときのガスは、比較的分解しやすいアルキル側鎖が切断されたものや比較的分子量の小さな多環芳香族などがガスとなって離脱するが、比較的結合の弱い多環芳香族化合物積層や積層物同士の間を通して揮散して、主としてマクロポアに相当する50nm〜300μmの大きさのポアやクラックが生成する。
このときの結晶パラメーター変化を図3、4に示す。結晶層間は図3に示すように、700〜800℃の範囲で減少し、1200℃まで増加後、再び減少する。結晶子の大きさは図4に示すように、800〜1000℃まで減少し、その後増加する。このような複雑な変化は次のように考えられる。焼成前には、未発達でX線回折では測定されない程度の層間を持つ結晶子(結晶前駆体)が混在しており、それらが焼成温度の上昇につれて成長して測定可能となるため、層間は700〜800℃から見かけ上一旦大きくなり、結晶子大きさは800〜1000℃まで一旦小さくなる。さらに焼成温度が高くなると全体の結晶成長が進むことで、1200℃付近からは層間が再び小さくなり、結晶子大きさは1000℃以降次第に大きくなるものと推定される。
しかし、本発明の二段焼成法では図5に示すように、一段目の600℃以上の所定温度まで昇温すると、一段法の場合と同程度に収縮するが、一定時間保持時にさらに収縮する。この後、一旦100℃以下に降温すると、全体はほんの少し収縮−膨張するのみで、形成されたマクロポアは保たれる。これを二段目で再び加熱昇温すると、所定温度までは僅かに膨張した後に再び収縮する。このような複雑な収縮−膨張挙動が起きることにより、マクロポア(0.05〜300μm)やメソポア(2〜50nm)の発生が一段法より増加する(水銀ポロシメーター細孔分布により0.05〜300μm、窒素ガス吸着法細孔分布により0.1〜50nmのポアの増加が確認された。)。また、この二段目焼成では、一段目焼成で比較的分解しやすいアルキル側鎖のとれた多環芳香族化合物を焼成するために、この多環芳香族化合物の積層は、通常の一段焼成法よりも容易であり、結晶前駆体の成長が進むことにより炭化物の結晶性が向上する。
このようなマクロポア及びメソポアは、次の賦活処理工程において、賦活剤の分散性を高め、効率的なミクロポア(0.1〜2nm)の形成を促進し、高表面積活性炭の製造を容易とする。
本発明では、原料生コークスに対して、まず一段目焼成が行われる。一段目焼成は、600〜900℃の温度範囲にて不活性ガス中で実施される。その際、昇温速度については特に制限はないが、あまりに遅すぎても処理工程に時間が掛かり、逆にあまりに急激な温度上昇は揮発分の爆発的な揮散を招き、結晶構造を破壊する虞があり、また、装置コストも高くなる。通常は、30〜600℃/時、より好ましくは60〜300℃/時程度の昇温速度とするのが望ましい。
目標の焼成温度に達した後、一定時間その温度を保持する。この保持時間は例えば、10分〜2時間程度である。
次に、一旦100℃以下に冷却する。このとき、炉内での強制的な冷却は炉材の劣化を促進したり、エネルギーの損失が大きいため、通常は不活性雰囲気下で炉から取り出して放冷するのが望ましい。冷却の速度は特に限定しない。
続いて、前記と同様の昇温速度にて昇温を行い、二段目焼成を行う。二段目焼成は、一段目焼成よりも100℃以上高い温度であって、かつ1200℃以下の温度範囲にて行う。保持時間については、一段目の場合と同様の保持時間とすればよい。
なお、一段目焼成、冷却、二段目焼成は、連続して同じ炉内で実施する必要はなく別々に実施して良いが、200℃以上での操作は不活性ガス雰囲気下にて、炭素材が酸化されないようにするのが望ましい。
このように焼成して得られた炭化品は、比表面積(BET法)が1〜20m2/gであり、窒素ガス吸着法による細孔直径が0.1〜50nmの細孔容積が0.02〜0.2ml/g、水銀圧入法による細孔直径が0.05〜300μmの細孔容積が0.4〜2ml/gとなることが好ましい。
次に、このように焼成して得られた炭化品は、公知の方法にて賦活して活性炭とする。賦活工程における賦活反応の反応条件はこの反応を充分に進行させることができれば特に限定されず、通常の活性炭の製造で行われる公知の賦活反応と同様の反応条件のもとで賦活反応を行うことができる。例えば、賦活工程における賦活反応は、通常の活性炭の製造で行われるアルカリ金属水酸化物を焼成後の炭化品に混合し、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上の高温の温度条件のもと加熱することにより行うことができる。なお、この加熱温度の上限は賦活反応が支障なく進行する温度であれば特に限定されないが、通常900℃が好ましい。
賦活工程における賦活反応に使用するアルカリ金属水酸化物としては、例えば、KOH、NaOH、RbOH、CsOHが挙げられる。中でも賦活効果の観点からKOHが好ましい。
アルカリ賦活方法は、通常、アルカリ金属化合物等の賦活剤と炭化品を混合し、加熱することにより行われる。炭化品と賦活剤との混合割合は特に限定されるものではないが、通常、両者の質量比(炭化品:賦活剤)が1:0.5〜1:5の範囲が好ましく、1:1〜1:3の範囲がより好ましい。
本発明では、このように賦活処理された後、通常、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、乾燥、粉砕工程を経てEDLC電極用炭素材となる。賦活剤として、アルカリ金属化合物を使用した場合、炭素材中に残留するアルカリ金属の量については、EDLCとした場合に悪影響を及ぼす可能性のある水準よりも低い量(好ましくは1000ppm以下)であれば特に限定されないが、通常、例えば、洗浄排水のpHが7〜8程度になるように洗浄すると共に、できるだけアルカリ金属分を除去するように洗浄することが望ましい。本発明では、残留アルカリ金属の除去が、従来公知の活性炭よりも容易に行えるものであるが、前記特許文献3に示したような、特定のアルカリ除去工程を実施することは何ら差し支えない。また、粉砕工程は、公知の方法により行われ、通常、平均粒径0.5〜50μm、好ましくは1〜20μm程度の微粉体とされることが望ましい。
このように賦活処理して得られる炭素材は、100〜1200m2/gの比表面積を有し、賦活処理後の活性炭の窒素ガス吸着法による細孔直径が0.1〜50nmの細孔容積が0.1〜1ml/g、水銀圧入法による細孔直径が0.05〜300μmの細孔容積が0.4〜2ml/g、アルカリ金属量は200質量ppm以下である。
次に、本発明のEDLCについて説明する。
本発明のEDLCは、前記のように調製された電極用炭素材を含む電極を備えることを特徴とするものである。
該電極は、例えば、電極用炭素材と結着剤、さらに好ましくは導電剤を加えて構成され、またさらに集電体と一体化した電極であっても良い。
ここで使用する結着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体架橋ポリマー等のフッ素化ポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等のビニル系ポリマー、ポリアクリル酸等が挙げられる。電極中における結着剤の含有量は特に限定されないが、電極用炭素材と結着剤の合計量に対して、通常0.1〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
導電剤としては、カーボンブラック、粉末グラファイト、酸化チタン、酸化ルテニウム等の粉末が用いられる。電極中における導電剤の配合量は、配合目的に応じて適宜選択されるが、電極用炭素材、結着剤及び導電剤の合計量に対して、通常1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
なお、電極用炭素材、結着剤、導電剤を混合する方法としては、公知の方法が適宜適用され、例えば、結着剤を溶解する性質を有する溶媒を上記成分に加えてスラリー状としたものを集電体上に均一に塗布する方法や、あるいは溶媒を加えないで上記成分を混練した後に常温または加熱下で加圧成形する方法が採用される。
また、集電体としては、公知の材質および形状ものを使用することができ、例えばアルミニウム、チタン、タンタル、ニッケル等の金属、あるいはステンレス等の合金を用いることができる。
本発明のEDLCの単位セルは、一般に上記電極を正極及び負極として一対用い、セパレータ(ポリプロピレン繊維不織布、ガラス繊維不織布、合成セルロース紙等)を介して対向させ、電解液中に浸漬することによって形成される。
電解液としては、公知の水系電解液、有機系電解液を使用することができるが、有機系電解液を用いることがより好ましい。このような有機系電解液としては、電気化学の電解液の溶媒として使用されているものを用いることができ、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、スルホラン誘導体、3−メチルスルホラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、グルタロニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルフォルメート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を挙げることができる。なお、これらの電解液を混合して使用してもよい。
また、有機電解液中の支持電解質としては、特に限定されないが、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類等の各種のものが使用でき、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、(C254NBF4、(C253(CH3)NBF4、(C254PBF4、(C253(CH3)PBF4等が好ましいものとして挙げられる。電解液中のこれらの塩の濃度は、通常0.1〜5mol/l、好ましくは0.5〜3mol/l程度の範囲内で適宜選択される。
EDLCのより具体的な構成は特に限定されないが、例えば、厚さ10〜500μmの薄いシート状またはディスク状の一対の電極(正極と負極)の間にセパレータを介して金属ケースに収容したコイン型、一対の電極をセパレータを介して捲回してなる捲回型、セパレータを介して多数の電極群を積み重ねた積層型等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(i)生コークスの焼成
揮発分8.1質量%の生コークスを表1に示す条件にて焼成した。その際、昇温速度は、200℃/時間とした。焼成後の炭化品について、以下の方法により、揮発分(VM)、真密度(RD)、水素量(H/C)、平均層間距離(d002)、結晶子(c軸)の大きさ(Lc002)、マクロポア、メソポア及びミクロポアの各細孔容積を測定した。各測定方法は以下の通りである。
揮発分測定:揮発分は、JIS M8812「石炭類及びコークス類−工業分析法」に記載の方法に準拠して測定した。
真密度(RD):JIS K2151に準拠して測定した。
水素量:有機元素分析装置(ヤナコ製CHNコーダー、MT―5型)を用いて試料中の水素重量%を求めた。
平均層間距離d002・結晶子(c軸)の大きさ(Lc002):試料に対して15%のシリコン粉末を混合して測定用セルに充填し、CuKα線を線源とし、X線回折装置(理学電機株式会社製、商品名:RINT1400VX)を用いて反射式ディフラクトメーター法によって広角X線回折線を測定し、学振法に基づき(002)面の平均層間距離(d002)および結晶子(c軸)の大きさ(Lc002)を求めた。
細孔容積測定:マクロポア(0.05〜300μm)は、水銀ポロシメーター(島津製作所製、商品名「オートポア」9520型)を用い、水銀圧入圧力から相当する細孔径と細孔容積を測定した。また、メソポア(2〜50nm)、ミクロポア(0.1〜2nm)は窒素ガス吸着装置(日本ベル製 商品名「BELSROP−mini」)を用い、BJH法、MP法でそれぞれの細孔容積を求めた。
(ii)賦活品の製造
上記の炭化品100質量部に対して水酸化カリウムが200重量部となるように混合し、窒素ガス雰囲気中、750℃で1時間賦活反応を進行せしめ、反応後に水洗及び酸洗浄(HClを使用)を繰り返し、炭素材中に残存する金属カリウムを除去し、乾燥して賦活品(EDLC電極用炭素材)を得た。得られた賦活品について、前記同様に各細孔容積を求め、また、比表面積、残留K濃度についても評価した。
比表面積:窒素ガス吸着法(BET法)により測定した。
残留K濃度:残留カリウムの定量は以下のように行った。適当量の試料を石英ビーカーに採取し、500℃に保った電気炉中で灰化する。試料が完全に灰化された後、塩酸を2〜3mL加え、時計皿で蓋をして加熱を続け、溶解させる。溶解物をメスフラスコにとって希釈した後、原子吸光法で定量する。
(iii)電極の作製
平均粒径20μmに粉砕した上記賦活品80質量部にカーボンブラックを10質量部、ポリテトラフルオロエチレン粉末を10質量部加え、乳鉢でペースト状となるまで混錬した。次いで、得られたペーストを180kPaのローラープレスで圧延して、厚さ200μmの電極シートを作製した。
(iv)セルの組立て
上記電極シートから直径16mmの円盤状ディスクを2枚打ち抜き、120℃、13.3Pa(0.1Torr)で2時間真空乾燥した後、露点−85℃の窒素雰囲気下のグローブボックス中にて、有機電解液(トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液、濃度:1モル/リットル)を真空含浸せしめた。次に、2枚の電極を各々正極、負極とし、両極間にセルロース系セパレータ(ニッポン高度紙工業社製、商品名:TF40−50、厚さ:50μm)、両端にはアルミ箔の集電体を取り付け、宝泉社製の2極式セルに組み込んで電気二重層キャパシタ(コイン型セル)を作製した。得られた各キャパシタについて、以下の方法により、エネルギー密度、静電容量を測定した。結果を表1に併せて示す。
静電容量: 上記コイン型セルに1F当たり2mAの定電流で2.7Vまで充電した。充電終了後30分2.7Vに保持した後、1mAの定電流放電を行った。そして、放電カーブにおいて、充電電圧の80%をV1、40%をV2、80%から40%まで電圧が降下するまでにかかる時間をΔT、放電電流値をIとしたとき、以下の式:
静電容量C[F]=IΔT/(V1−V2)
に従って静電容量C[F]を算出し、これを電極に含まれる活性炭の質量(正極、負極の合計)で割ると、質量あたり静電容量[F/g]が算出される。このF/gに、電極密度[g/cc]を掛けてF/ccを算出した。
Figure 0004708152
本発明では、大電流で長期にわたって充放電できる電気二重層キャパシタに適した活性炭が製造でき、電気自動車、太陽電池補助電源、風力発電補助電源など充放電頻度の高い電力蓄積用として有望である。
コークス中の揮発分と焼成温度との関係を示すグラフである。 コークス塊の伸びと焼成温度との関係を示すグラフである。 コークスの多環芳香族化合物積層物の層間距離と焼成温度との関係を示すグラフである。 結晶子の大きさと焼成温度との関係を示すグラフである。 焼成、冷却温度変化によるコークスの膨張、収縮挙動を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 石油の重質留分をコーキングして得られる生コークスを600〜900℃の温度範囲で一段目の焼成を行った後、一旦100℃以下に降温し、前記一段目の焼成温度より100℃以上高い温度で、かつ、1200℃までの範囲で二段目の焼成を行い、得られた炭化品を賦活処理することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
  2. 前記賦活処理は、アルカリ金属水酸化物を用いたアルカリ賦活であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウムであることを特徴とする請求項2に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
  4. 賦活処理後の活性炭の比表面積が、100〜1200m2/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材の製造方法。
  5. 賦活処理後の活性炭の窒素ガス吸着法による細孔直径が0.1〜50nmの細孔容積が0.1〜1ml/g、水銀圧入法による細孔直径が0.05〜300μmの細孔容積が0.4〜2ml/gである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法により得られる電気二重層キャパシタ電極用炭素材。
  6. 賦活処理後の活性炭のアルカリ金属量が200質量ppm以下である請求項5記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材。
  7. 賦活処理前の炭化物の比表面積が、1〜20m2/gであり、窒素ガス吸着法による細孔直径が0.1〜50nmの細孔容積が0.02〜0.2ml/g、水銀圧入法による細孔直径が0.05〜300μmの細孔容積が0.4〜2ml/gである請求項5又は6に記載の電気二重層キャパシタ電極用炭素材。
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